(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135826
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20240927BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B62B3/00 G
B62B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046706
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋
(72)【発明者】
【氏名】桂 斉士
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA31
3D050BB06
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE11
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】牽引時において移動体に挟まれることを防止する。
【解決手段】駆動ユニットは、電気モータ、操作部、及び制御部を備えている。操作部は、牽引方向、及び押し方向に操作されるように構成されている。操作部は、牽引方向の先端に位置している。制御部は、操作部が牽引方向に操作されたと判断すると牽引方向に走行するように電気モータを制御するように構成されている。また、制御部は、操作部が押し方向に操作されたと判断すると押し方向に走行するように電気モータを制御するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を牽引する牽引方向及び前記移動体を押す押し方向に走行させるように構成される駆動ユニットであって、
電気モータと、
前記牽引方向、及び前記押し方向に操作されるように構成され、前記牽引方向の先端に位置する操作部と、
前記操作部が前記牽引方向に操作されたと判断すると前記牽引方向に走行するように前記電気モータを制御し、前記操作部が前記押し方向に操作されたと判断すると前記押し方向に走行するように前記電気モータを制御するように構成される制御部と、
を備える、駆動ユニット。
【請求項2】
支持部と、
前記支持部から上方に延びる操作マストと、
前記操作マストの上端部に配置されるハンドル部と、
をさらに備え、
前記操作部は、前記ハンドル部に取り付けられる、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記ハンドル部上に配置される非常停止スイッチをさらに備え、
前記制御部は、使用者によって非常停止スイッチが操作された場合、前記電気モータを停止させるように構成される、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記操作部は、前記ハンドル部から延び前記牽引方向の先端に位置する操作レバーを有する、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記操作部は、
前記ハンドル部に取り付けられるベース部と、
前記ベース部から延び、前記ベース部と一体的に操作されるように構成される操作レバーと、
前記ベース部と一体的に操作されるように構成され、前記牽引方向の先端に位置する当接部と、
を有する、
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
荷台と、
請求項2に記載の駆動ユニットと、
を備え、
前記支持部は、前記荷台に取り付けられる、
パレットトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パレットトラックなどの移動体の性能を向上させるために、電気モータを搭載した電動式のパレットトラックが開示されている。例えば、特許文献1のパレットトラックは、手動のパレットトラックに駆動ユニットを搭載することによって、電動式のパレットトラックを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電動式のパレットトラックを牽引している際に、使用者がパレットトラックと壁などとの間に挟まれるおそれがある。そこで、本発明の課題は、牽引時において移動体に挟まれることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る駆動ユニットは、移動体を牽引する牽引方向及び移動体を押す押し方向に走行させるように構成されている。この駆動ユニットは、電気モータ、操作部、及び制御部を備えている。操作部は、牽引方向、及び押し方向に操作されるように構成されている。操作部は、牽引方向の先端に位置している。制御部は、操作部が牽引方向に操作されたと判断すると牽引方向に走行するように電気モータを制御するように構成されている。また、制御部は、操作部が押し方向に操作されたと判断すると押し方向に走行するように電気モータを制御するように構成されている。
【0006】
この構成によれば、牽引時に移動体が意図せずに使用者に接触すると、まず、操作部が使用者に接触する。そして、そのまま移動体が牽引方向に走行すると、使用者に接触している操作部が押し方向に操作されるため、制御部は移動体が押し方向に走行するように電気モータを制御する。この結果、移動体は押し方向へと走行して使用者から離れるように移動するため、使用者が移動体に挟まれることを防止できる。また、上記駆動ユニットでは、移動体の走行操作の際に使用される操作部が挟まれ防止の機能も有しているため、挟まれ防止のためのシステムを別途構築する必要が無く、システムの簡素化が図れる。
【0007】
第2態様に係る駆動ユニットは、第1態様に係る駆動ユニットにおいて、支持部、操作マスト、及びハンドル部をさらに備える。操作マストは、支持部から上方に延びる。ハンドル部は、操作マストの上端部に配置される。操作部は、ハンドル部に取り付けられる。
【0008】
第3態様に係る駆動ユニットは、第2態様に係る駆動ユニットにおいて、非常停止スイッチをさらに備える。非常停止スイッチは、ハンドル部上に配置される。制御部は、使用者によって非常停止スイッチが操作された場合、電気モータを停止させるように構成される。
【0009】
第4態様に係る駆動ユニットは、第2又は第3態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。操作部は、操作レバーを有する。操作レバーは、ハンドル部から延び、牽引方向の先端に位置する。
【0010】
第5態様に係る駆動ユニットは、第2から第4態様のいずれかに係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。操作部は、ベース部、操作レバー、及び当接部を有する。ベース部は、ハンドル部に取り付けられる。操作レバーは、ベース部から延びる。操作レバーは、ベース部と一体的に操作されるように構成される。当接部は、ベース部と一体的に操作されるように構成される。当接部は、牽引方向の先端に位置する。
【0011】
第6態様に係るパレットトラックは、荷台と、第2から第5態様のいずれかに係る駆動ユニットとを備えている。支持部は、荷台に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、牽引時において移動体に挟まれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る駆動ユニットが搭載されたパレットトラック(移動体の一例)について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は、本実施形態に係る駆動ユニットを搭載するパレットトラックの側面図である。なお、この駆動ユニットは、パレットトラック以外の移動体(例えば、ハンドリフトトラック、ハンドトラック、又は車椅子)などにも搭載することができる。
【0015】
図1に示すように、パレットトラック200は、荷台(一対のフォークアーム)201、複数の車輪202、及び駆動ユニット100を有している。各車輪202は、荷台201に取り付けられている。各車輪202は、非駆動輪である。
【0016】
駆動ユニット100は、荷台201に取り付けられている。駆動ユニット100は、パレットトラック200を牽引方向及び押し方向に走行させるように構成されている。なお、牽引方向とは、使用者がパレットトラック200を牽引する方向である。本実施形態では、
図1の右方向が牽引方向である。また、押し方向とは、使用者がパレットトラック200を押す方向である。本実施形態では、
図1の左方向が押し方向である。押し方向は、牽引方向の反対方向となる。
【0017】
駆動ユニット100は、バッテリ(図示省略)、電気モータ2、及び駆動輪3を有している。また、駆動ユニット100は、支持部4、操作マスト5、ハンドル部6、操作部7、非常停止スイッチ8、及び制御部9を有している。
【0018】
バッテリは、電気モータ2などに電力を供給するように構成されている。電気モータ2は、バッテリからの電力で駆動するように構成されている。バッテリは、例えば、支持部4に取り外し可能に取り付けられている。電気モータ2は、駆動輪3を回転駆動する。パレットトラック200は、電気モータ2の駆動力のみで走行することができる。なお、パレットトラック200は、使用者による人力と、電気モータ2によるアシスト力とによって走行するように構成されていてもよい。
【0019】
支持部4は、荷台201に取り付けられている。支持部4は、バッテリ、電気モータ2、及び駆動輪3などを支持している。操作マスト5は、支持部4から上方に延びている。操作マスト5は、下端部を中心に揺動可能に構成されている。なお、操作マスト5を揺動させることによって、操作マスト5は牽引方向に倒れるように傾斜する。
【0020】
ハンドル部6は、操作マスト5の上端部に配置されている。例えば、ハンドル部6は、操作マスト5の上端部からパレットトラック200の幅方向(
図1の紙面垂直方向)に延びている。ハンドル部6は、環状であってもよいし、棒状であってもよい。使用者はハンドル部6を握ってパレットトラック200を牽引方向に走行させたり押し方向に走行させたりする。
【0021】
図2は、操作部7の周辺の詳細を示す拡大図である。なお、
図2では、中立位置にある操作部7を示している。
図2に示すように、操作部7は、ハンドル部6に取り付けられている。操作部7は、ハンドル部6に対して、揺動可能に取り付けられている。詳細には、操作部7は、取付部70を介してハンドル部6に取り付けられている。取付部70は、ハンドル部6に固定されている。操作部7は、この取付部70に対して揺動可能に取り付けられている。
【0022】
操作部7は、使用者によって、牽引方向、及び押し方向に操作されるように構成されている。なお、本実施形態において操作部7が牽引方向に操作されるとは、操作部7が揺動軸Oを中心に牽引方向に揺動するように操作されることを意味する。操作部7が牽引方向に揺動した場合、操作部7は揺動軸Oを中心に
図2の時計回りR1に回転する。
【0023】
また、本実施形態において操作部7が押し方向に操作されるとは、操作部7が揺動軸Oを中心に押し方向に揺動するように操作されることを意味する。操作部7が押し方向に揺動した場合、操作部7は揺動軸Oを中心に
図2の反時計回りR2に回転する。
【0024】
操作部7は、牽引方向の先端に位置している。詳細には、パレットトラック200の牽引走行時において、操作マスト5が牽引方向に傾斜した状態で、操作部7は牽引方向の先端に位置している。なお、好ましくは、操作マスト5が傾斜していない状態においても、操作部7は、牽引方向の先端に位置している。
【0025】
このように操作部7が牽引方向の先端に位置しているため、パレットトラック200が牽引方向に走行しているときに、パレットトラック200のうち、使用者と最初に接触する箇所は操作部7となる。操作部7のうち、牽引方向の先端に位置する部分(先端部)は、好ましくは、揺動軸Oから牽引方向に延ばした仮想面S内に位置しないように配置されている。また、操作部7の先端部の揺動範囲は、揺動軸Oから牽引方向に延ばした仮想面Sを超えないように設定されている。
【0026】
操作部7は、何も操作されていないとき、中立位置に位置している。使用者が操作部7から手を離すと、操作部7は中立位置に戻る。すなわち、操作部7はモーメンタリタイプである。操作部7は、中立位置にあるとき、牽引方向の先端に位置している。
【0027】
操作部7は、ベース部71と、操作レバー72とを有している。ベース部71は、ハンドル部6に取り付けられている。詳細には、取付部70を介してハンドル部6に取り付けられている。ベース部71は、揺動軸Oを中心に揺動可能である。
【0028】
操作レバー72は、ベース部71から延びている。操作レバー72は、ベース部71と一体的に操作されるように構成されている。すなわち、操作レバー72は、ベース部71と一体的に揺動する。操作レバー72は、ベース部71に固定されている。操作レバー72は、牽引方向の先端に位置している。
【0029】
非常停止スイッチ8は、ハンドル部6上に取り付けられている。詳細には、非常停止スイッチ8は、取付部70を介してハンドル部6上に取り付けられている。例えば、非常停止スイッチ8は、ボタンスイッチである。使用者が非常停止スイッチ8を操作する(押す)と、電気モータ2が停止する。このため、牽引走行中だった場合、パレットトラック200は走行停止する。
【0030】
制御部9は、使用者による操作部7の操作に応じて、電気モータ2を制御するように構成されている。詳細には、制御部9は、操作部7が牽引方向に操作されたと判断すると、牽引方向に走行するように電気モータ2を制御するように構成されている。また、制御部9は、操作部7が押し方向に操作されたと判断すると、押し方向に走行するように電気モータ2を制御するように構成されている。なお、制御部9は、操作部7が操作されていない、すなわち、操作部7が中立位置にあると判断すると、電気モータ2を停止させるように構成されている。
【0031】
制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータ(例えばマイクロコンピュータ)によって構成されている。ROMには、種々の演算をするためのプログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。
【0032】
次に、上述したように構成されたパレットトラック200の動作について
図3を参照しつつ説明する。なお、
図3は、制御部9の処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、制御部9は、操作部7が牽引方向に操作されたか否か判断する(ステップS1)。例えば、使用者がパレットトラック200を牽引方向に走行させたい場合、使用者は操作レバー72を中立位置から牽引方向に操作する、すなわち、操作レバー72を
図2の時計回りR1に回転させる。このように操作レバー72が動くと、制御部9は、操作部7が牽引方向に操作されたと判断する。
【0033】
制御部9は、操作部7が牽引方向に操作されたと判断すると(ステップS1のYes)、パレットトラック200が牽引方向に走行するように電気モータ2を制御する(ステップS2)。すなわち、制御部9は、パレットトラック200に牽引走行を実行させる。
【0034】
制御部9は、操作部7が牽引方向に操作されていないと判断すると(ステップS1のNo)、次に、操作部7が押し方向に操作されたか否か判断する(ステップS3)。制御部9は、操作部7が押し方向に操作されていないと判断すると(ステップS3のNo)、再度ステップS1の処理から実行する。一方、制御部9は、操作部7が押し方向に操作されたと判断すると(ステップS3のYes)、パレットトラック200が押し方向に走行するように電気モータ2を制御する(ステップS4)。すなわち、制御部9は、パレットトラック200に押し走行を実行させる。
【0035】
以上のように構成された駆動ユニット100によれば、以下のようにパレットトラック200に挟まれることを防止できる。まず、使用者が操作部7を牽引方向に操作することで、制御部9が電気モータ2を制御し、パレットトラック200は牽引方向に走行する。
図4に示すように、パレットトラック200が使用者(
図4の二点鎖線)と接触すると、操作部7が牽引方向の先端に位置しているため、操作部7が使用者と接触する。具体的には、操作部7の操作レバー72が使用者と接触する。
【0036】
そして、操作部7が使用者と接触した状態でパレットトラック200がさらに牽引方向に進むと、
図5に示すように、操作部7は揺動軸Oを中心に反時計回りR2側に揺動する。すなわち、操作部7は押し方向に操作される。この操作部7の動作に応じて、制御部9は、パレットトラック200が押し方向に走行するように、電気モータ2を制御する。このため、パレットトラック200は、進行方向が牽引方向から押し方向に変わって走行する。すなわち、パレットトラック200は、使用者から離れる方向に移動する。パレットトラック200が使用者から離れるように移動すると、操作部7は中立位置に戻るように揺動する。そして、そのままパレットトラック200が押し方向に移動して、操作部7が
図2のように中立位置に戻ると、制御部9はパレットトラック200の走行が停止するように、電気モータ2を制御する。すなわち、制御部9は、電気モータ2の駆動を停止させる。以上より、パレットトラック200によって使用者が挟まれることを防止できる。
【0037】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0038】
(a)上記実施形態では、操作部7は、ベース部71と操作レバー72とを有していたが、操作部7の構成はこれに限定されない。例えば、操作部7は、ベース部71を有していなくてもよい。この場合、操作レバー72は、取付部70に揺動可能に取り付けられている。また、操作レバー72は、ハンドル部6に直接取り付けられていてもよい。
【0039】
(b)
図6に示すように、操作部7は、ベース部71及び操作レバー72に加えて、当接部73をさらに有していてもよい。当接部73は、ベース部71と一体的に操作されるように構成されている。すなわち、当接部73が揺動すると、ベース部71及び操作レバー72も揺動する。当接部73は、牽引方向の先端に位置している。すなわち、上記実施形態では、操作部7のうち操作レバー72が使用者に接触していたが、本変形例では、操作レバー72ではなく、当接部73が使用者に接触する。
【0040】
(c)上記実施形態では、操作部7の揺動軸Oは水平方向に延びているが、操作部7の揺動軸Oは鉛直方向やその他の方向に延びていてもよい。
【0041】
(d)上記実施形態では、操作部7を揺動することで、牽引方向及び押し方向に操作しているが、操作部7の構成はこれに限定されない。例えば、操作部7は、使用者によって引かれることで牽引方向に操作され、使用者によって押されることで押し方向に操作されるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
2 :電気モータ
4 :支持部
5 :操作マスト
6 :ハンドル部
7 :操作部
71 :ベース部
72 :操作レバー
73 :当接部
8 :非常停止スイッチ
9 :制御部
100 :駆動ユニット
200 :パレットトラック
201 :荷台