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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135828
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シャントレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/613 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G05F1/613 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046708
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒蔵 忠
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB02
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430LA02
(57)【要約】
【課題】出力端子に電源電圧が印加される状態になった場合、自身と出力端子に接続された外部回路とを過大な電源電圧から保護可能なシャントレギュレータを提供する。
【解決手段】シャントレギュレータ1Aは、出力端子6と、電源端子3と出力端子6との間に設けられるシャント抵抗10と、抵抗31,32を含むブリーダ抵抗と、出力端子6とグランド端子2との間に接続される出力トランジスタ11と、ブリーダ抵抗による分圧電圧と基準電圧との差に比例する電圧を出力するエラーアンプ21と、シャント抵抗10及び出力端子6の間に接続され、制御信号の信号レベルに応じて開閉制御されるスイッチ素子15と、スイッチ素子15の両端の一方である観測点の電圧が所定の電圧よりも高いか否かに対応する信号レベルを含む制御信号をスイッチ素子15へ供給するコンパレータ25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源端子と第2の電源端子との間に設けられる出力端子と、
前記第1の電源端子と前記出力端子との間に設けられる第1の抵抗と、
前記出力端子と前記第2の電源端子との間に、直列に接続された第2の抵抗及び第3の抵抗を含む第1のブリーダ抵抗と、
ゲートと、前記出力端子と接続されるドレインと、前記第2の電源端子と接続されるソースとを含む出力トランジスタと、
前記第1のブリーダ抵抗によって分圧された電圧と基準電圧との差に比例する電圧を出力し、出力した電圧を、前記出力トランジスタのゲートに供給するエラーアンプと、
前記第1の抵抗の両端のうち、前記第1の電源端子と接続される一端に対する他端と接続される第1端と、前記出力端子と接続される第2端と、制御信号を受ける制御端と、を有するスイッチと、
前記スイッチの第1端及び第2端から選択される何れか一方である観測点の電圧が所定の電圧よりも高いか否かを比べた結果に対応する2個の信号レベルを含み、前記観測点の電圧が前記所定の電圧よりも高い場合に第1の信号レベルの信号を、前記制御信号として出力するコンパレータと、を備え、
前記スイッチは、前記第1の信号レベルの前記制御信号を前記制御端に受けるとオフし、第2の信号レベルの前記制御信号を前記制御端に受けるとオンするように制御されることを特徴とするシャントレギュレータ。
【請求項2】
前記コンパレータは、
前記第2の抵抗及び前記第3の抵抗の接続点と接続される反転入力端子と、
前記基準電圧を発生させる基準電圧回路の出力端と接続される非反転入力端子と、
前記スイッチの制御端と接続される出力端子と、を備える請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項3】
前記スイッチの第1端と前記第2の電源端子との間に、直列に接続された第4の抵抗及び第5の抵抗を含む第2のブリーダ抵抗をさらに備え、
前記コンパレータは、
前記第4の抵抗及び前記第5の抵抗の接続点と接続される反転入力端子と、
前記基準電圧を発生させる基準電圧回路の出力端と接続される非反転入力端子と、
前記スイッチの制御端と接続される出力端子と、を備える請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項4】
前記スイッチは、前記第1の抵抗の他端と接続されるドレインと、前記コンパレータの出力端子と接続されるゲートと、前記出力端子と接続されるソースと、を含むデプレッション型の電界効果トランジスタである、請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項5】
前記スイッチは、前記第1の抵抗の他端と接続されるソースと、前記コンパレータの出力端子と接続されるゲートと、前記出力端子と接続されるドレインと、を含む電界効果トランジスタである、請求項1に記載のシャントレギュレータ。
【請求項6】
前記スイッチは、オン状態における抵抗値が、前記第1の抵抗の抵抗値に対して十分に小さい抵抗値である、請求項1から5の何れか一項に記載のシャントレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャントレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
シャントレギュレータは電源と出力端子の間に定電流源や抵抗(以下、「シャント抵抗」とする)を接続し、出力端子とグランド端子の間に接続された出力トランジスタに流れるシンク電流を調整することで、当該シャント抵抗の電圧降下量を制御して、出力端子に一定の電圧を出力するものである。
【0003】
一般に、シャントレギュレータの集積回路は、出力トランジスタとその制御回路をゆうして構成されており、電源と出力端子の間に接続されるシャント抵抗は、当該集積回路の外部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-133954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のシャントレギュレータでは、当該シャントレギュレータの電源端子に意図しない過大な電圧が加わるなどしてシャント抵抗が損傷してしまうという故障が起こり得るものの、当該故障への対応は必ずしも十分とはいえなかった。
【0006】
シャント抵抗が過大電圧の印加によって損傷した場合、当該シャント抵抗の両端ノードが短絡することが起こり得る。シャント抵抗の両端ノードが短絡した場合、シャントレギュレータの出力端子には定格電圧を越える過大な電源電圧が加わることとなるため、シャントレギュレータが深刻な損傷を受け得る。さらに、シャントレギュレータの出力端子に外部回路が接続されている場合、当該外部回路の入力端子にも過大な電圧が印加されるので、当該外部回路も損傷し得る。
【0007】
本発明は、出力端子に定格電圧を越える過大な電圧が印加される不具合状態になった場合に、自身を過大な電圧から保護するとともに、出力端子に外部回路が接続される場合には、当該外部回路についても過大な電圧から保護可能なシャントレギュレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシャントレギュレータは、上述した課題を解決するためになされたものであり、第1の電源端子と第2の電源端子との間に設けられる出力端子と、前記第1の電源端子と前記出力端子との間に設けられる第1の抵抗と、前記出力端子と前記第2の電源端子との間に、直列に接続された第2の抵抗及び第3の抵抗を含む第1のブリーダ抵抗と、ゲートと、前記出力端子と接続されるドレインと、前記第2の電源端子と接続されるソースとを含む出力トランジスタと、前記第1のブリーダ抵抗によって分圧された電圧と基準電圧との差に比例する電圧を出力し、出力した電圧を、前記出力トランジスタのゲートに供給するエラーアンプと、前記第1の抵抗の両端のうち、前記第1の電源端子と接続される一端に対する他端と接続される第1端と、前記出力端子と接続される第2端と、制御信号を受ける制御端と、を有するスイッチと、前記スイッチの第1端及び第2端から選択される何れか一方である観測点の電圧が所定の電圧よりも高いか否かを比べた結果に対応する2個の信号レベルを含み、前記観測点の電圧が前記所定の電圧よりも高い場合に第1の信号レベルの信号を、前記制御信号として出力するコンパレータと、を備え、前記スイッチは、前記第1の信号レベルの前記制御信号を前記制御端に受けるとオフし、第2の信号レベルの前記制御信号を前記制御端に受けるとオンするように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力端子に定格電圧を越える過大な電圧が印加される不具合状態になった場合に、自身を過大な電圧から保護することができる。また、出力端子に外部回路が接続される場合には、当該外部回路についても過大な電圧から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るシャントレギュレータの回路図である。
図2】本実施形態に係るシャントレギュレータ(第1変形例)の回路図である。
図3】本実施形態に係るシャントレギュレータ(第2変形例)の回路図である。
図4】本実施形態に係るシャントレギュレータ(第3変形例)の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るシャントレギュレータについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態を説明するにあたり、容量、抵抗及びスイッチの電源端子側の端を「第1端」と称し、グランド端子側の端を「第2端」と称する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るシャントレギュレータの一例であるシャントレギュレータ1Aの回路図である。
【0013】
シャントレギュレータ1Aは、保護回路の一例であるスイッチ素子15と、シャント抵抗10と、出力トランジスタ11と、エラーアンプ21と、コンパレータ25と、基準電圧回路20と、ブリーダ抵抗を構成する抵抗31及び抵抗32と、を備えている。スイッチ素子15は、オン(閉)とオフ(開)とを制御する制御信号を受ける制御端と、第1端と、第2端と、を含み、制御端に受ける制御信号に基づいて、第1端と第2端との間を、オン状態(短絡状態又は閉状態)又はオフ状態(開放状態又は開状態)に切り替え可能に構成されている。
【0014】
電源端子3は、電源電圧としての電圧Vinを供給する電源端子である。グランド端子2は、回路動作の基準となる電源電圧の一例として、0V(ゼロボルト)の電源電圧(以下、「接地電圧」とする)を供給する電源端子である。なお、電圧Vinは、接地電圧とは異なる電源電圧である。
【0015】
電源端子3にはシャント抵抗10の一端(第1端)が接続され、シャント抵抗10の他端(第2端)にスイッチ素子15の第1端が接続される。スイッチとしてのスイッチ素子15の第2端は、出力端子6に接続される。また、出力端子6とグランド端子2の間には、出力トランジスタ11が接続され、出力トランジスタ11のゲートはエラーアンプ21の出力端子に接続される。
【0016】
エラーアンプ21の反転入力端子(-)には、基準電圧を供給する基準電圧回路20の出力端が接続される。また、エラーアンプ21の非反転入力端子(+)には、出力端子6とグランド端子2の間に直列接続された抵抗32と抵抗31の接続点が接続される。
【0017】
コンパレータ25の非反転入力端子(+)には、基準電圧回路20の出力端が接続される。反転入力端子(-)には、抵抗32と抵抗31の接続点が接続される。コンパレータ25の出力端子は、スイッチ素子15の制御端に接続され、コンパレータ25の出力信号によってスイッチ素子15の開閉が制御される。
【0018】
出力端子6とグランド端子2の間には、容量4及び負荷抵抗5が接続されている。出力端子6には、シャントレギュレータ1Aの出力を入力として受ける外部回路(図示省略)が接続される。
【0019】
続いて、シャントレギュレータ1Aの動作について説明する。
出力端子6の電圧(出力電圧)は、抵抗31と32によって分圧される。分圧された出力電圧(以下、単に「分圧電圧」とする)は、エラーアンプ21とコンパレータ25において、基準電圧回路20から供給される基準電圧Vrefと比較される。
【0020】
分圧電圧が基準電圧Vrefよりも高い場合、エラーアンプ21の出力信号を受けて、出力トランジスタ11のゲートの電圧は、上昇する。出力トランジスタ11のゲートの電圧が上昇すると、シンク電流が増えて、出力電圧が低下する。
【0021】
一方、分圧電圧が基準電圧Vrefよりも低い場合、エラーアンプ21の出力信号を受けて、出力トランジスタ11のゲートの電圧は、低下する。出力トランジスタ11のゲートの電圧が低下すると、シンク電流が少なくなり、出力電圧が上昇する。このようなシャントレギュレータ1Aの負帰還の動作により、出力電圧は一定に保たれる。
【0022】
出力電圧Vzは、電源端子3から供給される電圧Vin、出力トランジスタ11などシャントレギュレータに流れる電流Ishunt、負荷抵抗5に流れる電流Iload、シャント抵抗10の抵抗値Rs、スイッチ素子15がオンしている(短絡)状態の抵抗値(以下、「オン抵抗値」とする)Ron、との間に、次式(1)、
Vz=Vin-(Ishunt+Iload)・(Rs+Ron) ・・・(1)
の関係が成立する。
【0023】
スイッチ素子15が追設されると、スイッチ素子15が出力電圧Vzを変化させ得る。スイッチ素子15を追設するに際しては、出力電圧Vzの精度に与える影響が無視できるほど小さくすべきである。そのためには、スイッチ素子15のオン抵抗値Ronを、第1の抵抗としてのシャント抵抗10の抵抗値Rsに比べて十分に小さくしておく必要がある。例えば、シャント抵抗10の抵抗値Rsが1000Ωで、スイッチ素子15のオン抵抗値Ronが1Ωとすると、出力電圧Vzに0.1%の誤差をもたらす。出力電圧Vzの精度を0.1%とし、誤差をその10分の1に抑えるためには、スイッチ素子15のオン抵抗値Ronは、シャント抵抗10の抵抗値Rsの10000分の1(=0.1Ω)以下にする必要がある。
【0024】
ここで、シャント抵抗10が故障して、シャント抵抗10の両端ノードが短絡した場合を仮定して説明する。
【0025】
もし、スイッチ素子15が追設されていない場合には、出力端子6の出力電圧Vzは、電源端子3の電圧Vinになることから、シャントレギュレータ1A内の出力端子6と同一ノードに接続される素子及び回路に定格を越える過大な電圧が印加されてしまう。出力トランジスタ11は、上述したように、シャントレギュレータ1Aの負帰還の動作によって、出力端子6の出力電圧Vzを下げようと動作するため、出力トランジスタ11のゲートの電圧は高くなる。また、出力トランジスタ11のドレインは過大な電圧が印加される出力端子6と同じノードのため、出力トランジスタ11には過大な電流が流れる。出力トランジスタ11に過大な電流が流れることによって、出力トランジスタ11が熱損傷に至り得る。
【0026】
また、出力トランジスタ11の他にも、容量4の耐電圧を越えたり、負荷抵抗5の許容損失を越えてしまったり、出力端子6に接続される外部回路(図示省略)でも定格外の電圧や電流にさらされ得る。
【0027】
シャントレギュレータ1Aは、スイッチ素子15を備えることで、出力端子6に電源端子3の電圧Vinが印加されることを防いでいる。具体的に説明すれば、シャント抵抗10が故障して短絡するような状況では、まず出力端子6の出力電圧Vzが所定の電圧(を越えて高くなっていくので、所定の電圧を越えたら、スイッチ素子15がオフするようにする。スイッチ素子15をオンからオフに遷移させる電圧としては、例えば、上述した式(1)において、シャント抵抗10の抵抗値Rsが正常値の時の出力電圧Vzn等を設定することができる。
【0028】
シャントレギュレータ1Aでは、スイッチ素子15の第1端及び第2端から選択される何れか一方としての第1端を観測点としている。シャントレギュレータ1Aは、スイッチ素子15の第1端、すなわち出力端子6の電圧(出力電圧Vz)が所定の電圧よりも高いか否かに応じ、スイッチ素子15のオン(短絡又は接続)状態とオフ(開放又は非接続)状態とが切り替えられる。
【0029】
より詳しく説明すれば、シャントレギュレータ1Aでは、観測点と同一ノードである出力端子6の電圧(出力電圧Vz)が抵抗31及び32で分圧され、その分圧電圧と基準電圧Vrefとがコンパレータ25によって比べられる。コンパレータ25は、比べた結果に対応した2個の信号レベル(例えば、ローレベルとハイレベル)を含む信号を制御信号として出力する。コンパレータ25は、分圧電圧が基準電圧Vrefよりも高くなると、スイッチ素子15をオフさせる(例えばローレベルの)制御信号を出力する。一方、分圧電圧が基準電圧Vrefよりも低くなると、スイッチ素子15をオン(短絡)させる(例えばハイレベルの)制御信号を出力する。スイッチ素子15がオンする動作は、出力電圧Vzを、所定の電圧にクランプさせるような動作となる。
【0030】
ここで、スイッチ素子15のオフ状態を維持するようにラッチさせてもよい。スイッチ素子15のオフ状態を維持するようにラッチさせる場合は、シャント抵抗10が正常の時の電源投入において誤ラッチすることに伴ったスイッチ素子15の誤オフで出力電圧が立ち上がらないという誤動作を防ぐ必要がある。例えば、電源投入から起動時間分はコンパレータ25の動作によらずに、スイッチ素子15をオン状態で維持させるか、誤ラッチをリセットするパワーオンクリア等である。
【0031】
続いて、本発明の実施形態に係るシャントレギュレータの他の構成例として、幾つか例示して説明する。
【0032】
図2,3,4は、それぞれ、本発明の実施形態に係るシャントレギュレータの一例であるシャントレギュレータ1B(図2),1C(図3),1D(図4)の回路図である。
【0033】
(第1変形例)
シャントレギュレータ1Bは、シャントレギュレータ1Aに対して、直列に接続される抵抗33及び抵抗34をさらに備える点と、抵抗33と抵抗34との接続点がコンパレータ25の反転入力端子(-)に接続される点で相違するが、その他の点では相違しない。そこで、シャントレギュレータ1Bの説明では、シャントレギュレータ1Aとの相違を中心に説明する。
【0034】
シャントレギュレータ1Bでは、エラーアンプ21の非反転入力端子(+)が、シャントレギュレータ1Aと同様に、抵抗31及び抵抗32の接続点に接続されている。一方、コンパレータ25の反転入力端子(-)は、抵抗33及び抵抗34の接続点と接続されている。抵抗31及び抵抗32の接続点には、出力電圧Vzの分圧電圧が現れる一方、抵抗33及び抵抗34の接続点には、スイッチ素子15の第1端の電圧を分圧した電圧が現れる。
【0035】
出力電圧Vzの誤差を、(例えば、出力電圧Vzの精度に対して10分の1程度に)小さくするために、スイッチ素子15のオン抵抗値Ronを小さくしたスイッチ素子15を備えるシャントレギュレータ1Bを構成する場合、スイッチ素子15の両端の端子間電圧は、出力電圧Vzの精度の10分の1程度になっているため、スイッチ素子15の第1端及び第2端のどちらを観測したとしても大差はないといえる。
【0036】
このように構成されるシャントレギュレータ1Bによれば、シャントレギュレータ1Aと同様の効果を得ることができる。また、シャントレギュレータ1Bは、抵抗33及び抵抗34をさらに備えているので、エラーアンプ21の非反転入力端子(+)とコンパレータ25の反転入力端子(-)に供給する電圧を個別に分けることができる。したがって、シャントレギュレータ1Bによれば、スイッチ素子15をオンとオフさせる所定の電圧を、シャント抵抗10が故障していない通常時の出力電圧Vznよりも高い電圧に設定することができる。
【0037】
スイッチ素子15の閾値電圧は、出力トランジスタ11、容量4、負荷抵抗5、及び外部回路(図示省略)に負担がかからない範囲内で設定すればよいので、シャントレギュレータ1Bは、シャントレギュレータ1Aよりも、スイッチ素子15の閾値電圧の設定の自由度を大きくすることができる。
【0038】
(第2変形例)
シャントレギュレータ1Cは、シャントレギュレータ1Aに対して、スイッチ素子15の代わりに、デプレッション型のNチャネルMOSFET14を備える点と、コンパレータ25の出力端子の接続先が、スイッチ素子15の制御端の代わりに、Nチャネルのデプレッション型MOSFET14のゲートである点で相違するが、その他の点では相違しない。そこで、シャントレギュレータ1Cの説明では、シャントレギュレータ1Aとの相違を中心に説明する。
【0039】
シャントレギュレータ1Cは、保護回路の一例であるデプレッション型のNチャネルMOSFET14を備えており、コンパレータ25の出力端子がデプレッション型のNチャネルMOSFET14のゲートに接続されている。コンパレータ25及びエラーアンプ21は、それぞれ、動作させるための電源を出力端子6から供給するように構成される。
【0040】
シャントレギュレータ1Cでは、シャント抵抗10が故障して、シャント抵抗10の両端ノードが短絡すると、スイッチとしてのデプレッション型のNチャネルMOSFET14のドレインには、電源端子3の電圧が印加されるため、デプレッション型のNチャネルMOSFET14の定格電圧(耐電圧)は、電源端子3の電圧以上にしておく必要がある。
【0041】
シャントレギュレータ1Cにおいても、スイッチ素子15の場合と同様に、デプレッション型のNチャネル電界効果トランジスタ(FET)としてのデプレッション型のNチャネルMOSFET14を、出力電圧Vzの分圧電圧と基準電圧Vrefとを比べた結果に応じて、オンとオフとを切替制御する。すなわち、出力電圧Vzの分圧電圧が基準電圧Vrefよりも高くなると、コンパレータ25はローレベルの制御信号を出力し、デプレッション型のNチャネルMOSFET14をオフさせる。一方、出力電圧Vzの分圧電圧が基準電圧Vrefよりも低くなると、コンパレータ25はハイレベルの制御信号を出力し、デプレッション型のNチャネルMOSFET14をオンさせる。
【0042】
シャントレギュレータ1Cでは、ゲートに供給されるコンパレータ25からの制御信号によって、デプレッション型のNチャネルMOSFET14がオンとオフとを繰り返すため、出力電圧Vzは、所定の電圧にクランプされる。このように構成されるシャントレギュレータ1Cによれば、シャントレギュレータ1Aと同様の効果を得ることができる。
【0043】
(第3変形例)
シャントレギュレータ1Dは、シャントレギュレータ1Aに対して、スイッチ素子15の代わりに、Pチャネル電界効果トランジスタ(FET)としてのPチャネルMOSFET13を備える点と、コンパレータ25及びエラーアンプ21の代わりに、コンパレータ23及びエラーアンプ22を備える点で相違するが、その他の点では相違しない。そこで、シャントレギュレータ1Dの説明では、シャントレギュレータ1Aとの相違を中心に説明する。
【0044】
シャントレギュレータ1Dは、保護回路の一例であるPチャネルMOSFET13と、エラーアンプ22と、コンパレータ23と、を備えている。
【0045】
エラーアンプ22の非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)及び出力端子の接続先は、エラーアンプ21の非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)及び出力端子の接続先と同じである。エラーアンプ22の電源電圧が入力される電源入力端子22pは、電源供給ノード8又は出力端子6と同一のノードを選択できる。
【0046】
コンパレータ23の非反転入力端子(+)は、抵抗31及び抵抗32の接続点に接続される。一方、コンパレータ23の反転入力端子(-)は、基準電圧回路20の出力端に接続される。すなわち、コンパレータ23の非反転入力端子(+)及び反転入力端子(-)の接続先は、コンパレータ25の非反転入力端子(+)及び反転入力端子(-)の接続先と逆(入れ替えたもの)である。コンパレータ23の出力端子は、スイッチとしての制御端であるPチャネルMOSFET13のゲートに接続されている。
【0047】
スイッチとしてのPチャネルMOSFET13のオンとオフとは、コンパレータ23の出力端子から供給される制御信号によって制御される。コンパレータ23の電源電圧が入力される電源入力端子23pは、電源供給ノード8、すなわちP型チャネルMOSトランジスタ13のソース及びシャント抵抗10の第2端の接続点と接続する。
【0048】
シャントレギュレータ1Dでは、シャント抵抗10が故障して、シャント抵抗10の両端ノードが短絡すると、PチャネルMOSFET13とコンパレータ23とエラーアンプ22には、電源端子3の電圧Vinが印加されるため、PチャネルMOSFET13、エラーアンプ22、及びコンパレータ23の定格電圧(耐電圧)は、電源端子3の電圧以上にしておく必要がある。
【0049】
シャントレギュレータ1Dにおいても、スイッチ素子15の場合と同様に、PチャネルMOSFET13を、出力電圧Vzの分圧電圧と基準電圧Vrefとを比べた結果に応じて、オンとオフとを切替制御する。すなわち、出力電圧Vzの分圧電圧が基準電圧Vrefよりも高くなると、コンパレータ23はハイレベルの制御信号を出力し、PチャネルMOSFET13をオフさせる。一方、出力電圧Vzの分圧電圧が基準電圧Vrefよりも低くなると、コンパレータ23はローレベルの制御信号を出力し、PチャネルMOSFET13をオンさせる。
【0050】
シャントレギュレータ1Dでは、ゲートに供給されるコンパレータ23からの制御信号によって、PチャネルMOSFET13がオンとオフとを繰り返すため、出力電圧Vzは所定の電圧にクランプされる。このように構成されるシャントレギュレータ1Dによれば、シャントレギュレータ1Aと同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上、本実施形態に係るシャントレギュレータによれば、保護回路(スイッチ素子15、デプレッション型のNチャネルMOSFET14、又はPチャネルMOSFET13)を備えるので、出力端子6の電圧である出力電圧Vzが電源端子3の電圧Vinまで上昇することはなく、所定の電圧でクランプされる(又はスイッチ素子15をオフにラッチする場合、グランド端子2の電圧になる)。
【0052】
したがって、本実施形態に係るシャントレギュレータによれば、出力トランジスタ11に過大な電流が流れることを防止することができる。また、容量4、負荷抵抗5にも過大な電圧がかからないように保護することができる。さらに、出力端子6の先にある外部回路(図示省略)についても過大な電圧から保護することができる。故に、本実施形態に係るシャントレギュレータを適用すれば、当該シャントレギュレータを包含する回路系統全体の安全性を向上させることができる。
【0053】
また、スイッチ素子15のオン抵抗値Ron等の保護回路のオン抵抗値を、シャント抵抗10に比べて十分に小さい値となるように回路を構成すれば、当該保護回路を追設した影響を出力電圧Vzに及ぶのを防止することができる。
【0054】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え又は変更することができる。
【0055】
上述したシャントレギュレータ1A~1Dは、出力端子6とグランド端子2との間に、容量4及び負荷抵抗5が接続されている例を説明したが、容量4及び負荷抵抗5の少なくとも一方は省略されていてもよい。
【0056】
図3に例示されるシャントレギュレータ1Cは、シャントレギュレータ1Aにおけるスイッチ素子15を、デプレッション型のNチャネルMOSFET14に置換した構成であるが、シャントレギュレータ1Cは、この構成例に限られない。例えば、シャントレギュレータ1Cは、シャントレギュレータ1Bにおけるスイッチ素子15を、デプレッション型のNチャネルMOSFET14に置換した構成でもよい。
【0057】
図4に例示されるシャントレギュレータ1Dは、シャントレギュレータ1Aにおけるスイッチ素子15及びコンパレータ25を、それぞれ、PチャネルMOSFET13及びコンパレータ23に置換した構成であるが、シャントレギュレータ1Dは、この構成例に限られない。例えば、シャントレギュレータ1Dは、シャントレギュレータ1Bにおけるスイッチ素子15及びコンパレータ25を、それぞれ、PチャネルMOSFET13及びコンパレータ23に置換した構成としてもよい。
【0058】
また、本実施形態におけるデプレッション型のNチャネルMOSFET14及びPチャネルMOSFET13は、FETの一例として示したものであり、金属酸化膜半導体型FET(MOSFET)に限定されるものではない。本実施形態内のMOSFETは、例えば、接合型FET(JFET)や金属絶縁膜半導体型FET(MISFET)等のMOSFETと異なる種類のFETであってもよい。
【0059】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1A~1D シャントレギュレータ
2 グランド端子
3 電源端子
6 出力端子
22p,23p 電源入力端子
8 電源供給ノード
10 シャント抵抗(第1の抵抗)
11 出力トランジスタ
13 PチャネルMOSFET(スイッチ)
14 デプレッション型のNチャネルMOSFET(スイッチ)
15 スイッチ素子(スイッチ)
20 基準電圧回路
21,22 エラーアンプ
23,25 コンパレータ
31,32 抵抗(第2,3の抵抗)
33,34 抵抗(第4,5の抵抗)
図1
図2
図3
図4