(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135839
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/26 20060101AFI20240927BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11C16/26 110
H10B41/27
H10B43/27
H01L29/78 371
G11C16/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046722
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 浩司
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225CA04
5B225EA05
5B225EE18
5B225EE19
5B225FA02
5F083EP02
5F083EP18
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5F083EP34
5F083EP42
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5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA05
5F083GA10
5F083JA01
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083ZA29
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減することが可能な半導体記憶装置が提供される。
【解決手段】半導体記憶装置は、メモリセルアレイと入出力回路との間に設けられるセンスアンプと、を備える。センスアンプは、データレジスタ部と、マルチプレクサ部と、センスアンプ部と、を有する。データレジスタ部は、第1ノードと、第2ノードと、を有する。第1ノードは、マルチプレクサ部に接続されて、保持すべきデータに応じてマルチプレクサ部から信号線を介して供給される電圧を保持する。第2ノードは、センスアンプ部に接続されて、第1ノードに保持されている電圧レベルを反転させた電圧レベルを保持する。データレジスタ部は、マルチプレクサ部が第1ノードに第2電圧を印加して第1ノードを第2電圧に保持させた後、第1ノードを第2電圧から第1電圧に遷移させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルトランジスタを含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイと入出力回路との間に設けられるセンスアンプと、を備え、
前記センスアンプは、
第1電圧が動作電圧として印加されて、前記メモリセルトランジスタに書き込むデータ、及び前記メモリセルトランジスタから読み出されたデータを一時的に保持するデータレジスタ部と、
前記第1電圧よりも低い第2電圧が動作電圧として印加されて、前記入出力回路と前記データレジスタ部との間に設けられるマルチプレクサ部と、
読み込み時に前記メモリセルトランジスタに記憶されているデータをセンスして前記データレジスタ部に保持させる一方、書き込み時に前記データレジスタ部に保持されているデータを前記メモリセルトランジスタに記憶させるセンスアンプ部と、を有し、
前記データレジスタ部は、
前記マルチプレクサ部に接続されて、保持すべきデータに応じて前記マルチプレクサ部から信号線を介して供給される電圧を保持する第1ノードと、
前記センスアンプ部に接続されて、前記第1ノードに保持されている電圧レベルを反転させた電圧レベルを保持する第2ノードと、を有し、
前記マルチプレクサ部が前記第1ノードに前記第2電圧を印加して前記第1ノードを前記第2電圧に保持させた後、前記第1ノードを前記第2電圧から前記第1電圧に遷移させる
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記データレジスタ部は、
前記第1電圧が印加される第1電源電圧ノードと、
前記第1電源電圧ノード及び前記第1ノードに接続される第1トランジスタと、を有し、
前記第1トランジスタを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記マルチプレクサ部から前記第1ノードに印加される前記第2電圧を前記第1ノードに保持する際に前記第1トランジスタをオフ状態にし、
前記第1ノードを前記第2電圧に保持した後、前記第1トランジスタをオン状態にして、前記第1ノードを前記第2電圧から前記第1電圧に遷移させる
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記データレジスタ部は、
前記第1電圧が印加される第1電源電圧ノードと、
前記第1電源電圧ノード及び前記第1ノードに接続される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記マルチプレクサ部から前記第1ノードに印加される前記第2電圧を前記第1ノードに保持する際に、前記第1電圧と接地電圧との中間の電圧である第3電圧を前記第1トランジスタのゲートに印加し、
前記第1ノードを前記第2電圧に保持した後、前記ゲートに前記第3電圧を印加した状態を継続して、前記第1ノードを前記第2電圧から前記第1電圧に遷移させる
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記マルチプレクサ部は、
並列接続されたPチャネル型トランジスタ及びNチャネル型トランジスタを有し、前記信号線と前記データレジスタ部との間に配置されるトランスファーゲートと、
当該半導体記憶装置のパワーオン時に前記信号線を接地電圧に設定する接地電圧設定回路と、を有する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記マルチプレクサ部は、
電圧生成回路から前記第2電圧が印加される第2電源電圧ノードと、
前記接地電圧が印加される第3電源電圧ノードと、
前記第2電源電圧ノードと前記信号線との間に設けられ、Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタのいずれか一方により構成される第2トランジスタと、
前記第3電源電圧ノードと前記信号線との間に設けられ、Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタのいずれか他方により構成される第3トランジスタと、を有し、
前記接地電圧設定回路は、当該半導体記憶装置のパワーオン時に、前記第2トランジスタをオフさせることが可能な信号を前記第2トランジスタのゲートに入力し、且つ前記第3トランジスタをオンさせることが可能な信号を前記第3トランジスタのゲートに入力することにより、前記信号線の電圧を接地電圧に設定する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記マルチプレクサ部は、
電圧生成回路から前記第2電圧が印加される第2電源電圧ノードと、
前記接地電圧が印加される第3電源電圧ノードと、
前記第2電源電圧ノードと前記信号線との間に設けられ、Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタのいずれか一方により構成される第2トランジスタと、
前記第3電源電圧ノードと前記信号線との間に設けられ、Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタのいずれか他方により構成される第3トランジスタと、を有し、
前記接地電圧設定回路は、
前記第2電源電圧ノードと前記第2トランジスタとの間に設けられる第4トランジスタと、
前記第3電源電圧ノードと前記信号線との間に設けられる第5トランジスタと、を有し、
当該半導体記憶装置のパワーオン時に、前記第4トランジスタがオフ状態になり、且つ前記第5トランジスタがオン状態になることにより、前記信号線を接地電圧に設定する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記メモリセルアレイと、複数の第1貼合パッドとを有する第1チップと、
前記センスアンプと、複数の第2貼合パッドとを有する第2チップと、を備え、
前記第1チップ及び前記第2チップは、前記第1貼合パッドと前記第2貼合パッドとが接合されて互いに貼合されている
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された実施形態によれば、消費電力を低減することが可能な半導体記憶装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルトランジスタを含むメモリセルアレイと、メモリセルアレイと入出力回路との間に設けられるセンスアンプと、を備える。センスアンプは、データレジスタ部と、マルチプレクサ部と、センスアンプ部と、を有する。データレジスタ部は、第1電圧が動作電圧として印加されて、メモリセルトランジスタに書き込むデータ、及びメモリセルトランジスタから読み出されたデータを一時的に保持する。マルチプレクサ部は、第1電圧よりも低い第2電圧が動作電圧として印加されて、入出力回路とデータレジスタ部との間に設けられる。センスアンプ部は、読み込み時にメモリセルトランジスタに記憶されているデータをセンスしてデータレジスタ部に保持させる一方、書き込み時にデータレジスタ部に保持されているデータをメモリセルトランジスタに記憶させる。データレジスタ部は、第1ノードと、第2ノードと、を有する。第1ノードは、マルチプレクサ部に接続されて、保持すべきデータに応じてマルチプレクサ部から信号線を介して供給される電圧を保持する。第2ノードは、センスアンプ部に接続されて、第1ノードに保持されている電圧レベルを反転させた電圧レベルを保持する。データレジスタ部は、マルチプレクサ部が第1ノードに第2電圧を印加して第1ノードを第2電圧に保持させた後、第1ノードを第2電圧から第1電圧に遷移させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のメモリシステムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態の半導体記憶装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態の半導体記憶装置のデータ書き込み時の動作例を示すタイミングチャート。
【
図4】第1実施形態の半導体記憶装置の構成を示す回路図。
【
図5】第1実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図6】第1実施形態のセンスアンプの構成を示すブロック図。
【
図7】第1実施形態のセンスアンプ部の概略構成を示すブロック図。
【
図8】第1実施形態のデータレジスタ部の構成を示す回路図。
【
図9】第1実施形態のデータレジスタ部及び入出力回路の構成を示すブロック図。
【
図10】第1実施形態のセンスアンプ部の構成を示すブロック図。
【
図11】(A)~(K)は、第1実施形態の半導体記憶装置の動作例を示すタイミングチャート。
【
図12】第1実施形態のデータレジスタ部の動作例を示す回路図。
【
図13】第1実施形態のデータレジスタ部の動作例を示す回路図。
【
図14】(A)~(K)は、第1実施形態の半導体記憶装置の動作例を示すタイミングチャート。
【
図15】(A)~(D)は、第1実施形態の半導体記憶装置の動作例を示すタイミングチャート。
【
図16】第2実施形態の変形例のセンスアンプ部の構成を示すブロック図。
【
図17】他の実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
1 第1実施形態
第1実施形態の半導体記憶装置について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置は、NAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。
【0008】
1.1 メモリシステムの構成
図1に示されるように、本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1、及び半導体記憶装置2を備えている。半導体記憶装置2は、NAND型のフラッシュメモリとして構成される不揮発性の記憶装置である。メモリシステムはホストと接続可能である。ホストは例えばパーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器である。なお、
図1では半導体記憶装置2が一つのみ図示されているが、実際のメモリシステムには半導体記憶装置2が複数設けられている。
【0009】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って半導体記憶装置2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って半導体記憶装置2からのデータの読み出しを制御する。
メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号/RB、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、データの信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSの各信号が送受信される。
【0010】
チップイネーブル信号/CEは、半導体記憶装置2をイネーブルにするための信号である。レディービジー信号/RBは、半導体記憶装置2がレディ状態であるか、あるいはビジー状態であるかを示すための信号である。「レディ状態」とは、外部からの命令を受け付ける状態である。「ビジー状態」とは、外部からの命令を受け付けない状態である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を半導体記憶装置2に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。メモリコントローラ1は、信号/WEが“L(Low)”レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むように半導体記憶装置2に指示する。
【0011】
リードイネーブル信号RE,/REは、メモリコントローラ1が半導体記憶装置2からデータを読み出すための信号である。リードイネーブル信号RE,/REは、例えば信号DQ<7:0>を出力する際の半導体記憶装置2の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を半導体記憶装置2に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。データストローブ信号DQS,/DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。
【0012】
メモリコントローラ1は、RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15を備えている。これらは内部バス16により互いに接続されている。
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト及びユーザデータ(書き込みデータ)等を内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、半導体記憶装置2から読み出されたユーザデータ、及びプロセッサ12からの応答等をホストへ送信する。
【0013】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を半導体記憶装置2へ書き込む処理、及び半導体記憶装置2から読み出す処理を制御する。
プロセッサ12はメモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12はCPUやMPU等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13を介してリクエストを受信した場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2へのユーザデータ及びパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2からのユーザデータ及びパリティの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0014】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、半導体記憶装置2上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16を介してRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。半導体記憶装置2の1ページに格納されるユーザデータのことを、以下では「ユニットデータ」とも称する。ユニットデータは、一般的には符号化されて、符号語として半導体記憶装置2に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを半導体記憶装置2に格納してもよいが、
図1では一例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0015】
プロセッサ12は、ユニットデータ毎に書き込み先の半導体記憶装置2のメモリ領域を決定する。半導体記憶装置2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域(物理アドレス)を指定してユーザデータを半導体記憶装置2へ書き込むようにメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合に、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定するとともに、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0016】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、半導体記憶装置2から読み出された符号語を復号する。
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを半導体記憶装置2へ記憶するまでに一時格納したり、半導体記憶装置2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時的に格納したりする。RAM11は、例えばSRAMやDRAM等の汎用メモリである。
【0017】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14及びメモリインターフェイス15を備える構成例が示されている。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が半導体記憶装置2に内蔵されていてもよい。
図1に示される各要素の具体的な構成や配置は特に限定されない。
【0018】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み対象となるデータをRAM11に一時的に記憶させる。プロセッサ12は、RAM11に格納されているデータを読み出してECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化して、符号語をメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を半導体記憶装置2に書き込む。
【0019】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェイス15は、半導体記憶装置2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号して、復号されたデータをRAM11に格納する。プロセッサ12は、RAM11に格納されているデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0020】
1.2 半導体記憶装置の概略構成
図2に示されるように、半導体記憶装置2は、メモリセルアレイ21、入出力回路22、ロジック制御回路23、レジスタ24、シーケンサ25、電圧生成回路26、ロウデコーダ27、センスアンプ28、入出力用パッド群30、ロジック制御用パッド群31、及び電源入力用端子群32を備えている。
【0021】
メモリセルアレイ21は、データを記憶する部分である。メモリセルアレイ21は、複数のビット線及び複数のワード線に関連付けられた複数のメモリセルトランジスタを有して構成されている。
入出力回路22は、信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS,/DQSをメモリコントローラ1との間で送受信する。また、入出力回路22は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ24に転送する。さらに、入出力回路22は、書き込みデータ及び読み出しデータをセンスアンプ28との間で送受信する。
【0022】
ロジック制御回路23は、メモリコントローラ1からチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WPを受信する。また、ロジック制御回路23は、レディービジー信号/RBをメモリコントローラ1に転送して、半導体記憶装置2の状態を外部に通知する。
【0023】
レジスタ24は各種データを一時的に保持する。例えば、レジスタ24は、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を指示するコマンドを保持する。このコマンドは、メモリコントローラ1から入出力回路22に入力された後、入出力回路22からレジスタ24に転送されて保持される。また、レジスタ24は、上記のコマンドに対応するアドレスも保持する。このアドレスは、メモリコントローラ1から入出力回路22に入力された後、入出力回路22からレジスタ24に転送されて保持される。さらに、レジスタ24は、半導体記憶装置2の動作状態を示すステータス情報も保持する。ステータス情報は、メモリセルアレイ21等の動作状態に応じて、シーケンサ25によって都度更新される。ステータス情報は、メモリコントローラ1からの要求に応じて、状態信号として入出力回路22からメモリコントローラ1に出力される。
【0024】
シーケンサ25は、メモリコントローラ1から入出力回路22及びロジック制御回路23に入力された制御信号に基づいて、メモリセルアレイ21を含む各部の動作を制御する。本実施形態では、シーケンサ25が制御部に相当する。
電圧生成回路26は、メモリセルアレイ21におけるデータの書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作のそれぞれに必要な電圧を生成する部分である。この電圧には、例えばメモリセルアレイ21の複数のワード線及び複数のビット線にそれぞれ印加される電圧等が含まれる。電圧生成回路26の動作はシーケンサ25により制御される。
【0025】
ロウデコーダ27は、メモリセルアレイ21の複数のワード線に電圧をそれぞれ印加するためのスイッチ群により構成される回路である。ロウデコーダ27は、レジスタ24からブロックアドレス及びロウアドレスを受け取り、ブロックアドレスに基づいてブロックを選択するとともに、ロウアドレスに基づいてワード線を選択する。ロウデコーダ27は、選択されたワード線に対して電圧生成回路26からの電圧が印加されるようにスイッチ群の開閉状態を切り替える。ロウデコーダ27の動作はシーケンサ25により制御される。
【0026】
センスアンプ28は、メモリセルアレイ21のビット線に印加される電圧を調整したり、ビット線の電圧を読み出してデータに変換したりするための回路である。センスアンプ28は、データの読み出し時には、メモリセルアレイ21のメモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを取得するとともに、取得した読み出しデータを入出力回路22に転送する。センスアンプ28は、データの書き込み時には、ビット線を介して書き込まれるデータをメモリセルトランジスタに転送する。センスアンプ28の動作はシーケンサ25により制御される。
【0027】
入出力用パッド群30は、メモリコントローラ1と入出力回路22との間で各信号の送受信を行うための複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0028】
ロジック制御用パッド群31は、メモリコントローラ1とロジック制御回路23との間で各信号の送受信を行うための複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子は、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、及びレディービジー信号/RBのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0029】
電源入力用端子群32は、半導体記憶装置2の動作に必要な各電圧の印加を受けるための複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子に印加される電圧には、電源電圧Vcc,VccQ,Vpp、及び接地電圧Vssが含まれている。電源電圧Vccは、動作電源として外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば2.5V程度の電圧である。電源電圧Vccは、例えば、半導体記憶装置2の内部電源電圧である電圧Vddを生成するための電圧である。電源電圧Vddは例えば1.5V程度の電圧である。半導体記憶装置2において、内部電源電圧Vddが供給される領域を、Vddドメイン(第1電源ドメイン)と呼ぶ場合がある。電源電圧VccQは、電源電圧Vccよりも低い電源電圧であり、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間で信号を送受信する際に用いられる入出力用電源電圧である。半導体記憶装置2において、入出力用電源電圧VccQが供給される領域を、VccQドメイン(第2電源ドメイン)と呼ぶ場合がある。電源電圧VccQは、少なくとも、入出力回路22の図示しないドライバ回路及びレシーバ回路に供給される。違う言い方をすると、半導体記憶装置2において、少なくとも入出力回路22のドライバ回路及びレシーバ回路は、VccQドメイン(第2電源ドメイン)に属する。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高い電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0030】
1.3 データの入力例
次に、半導体記憶装置2のデータ書き込み時の動作例について説明する。
図3に示されるように、まず書き込み動作のコマンドセットが入力される。具体的には、メモリコントローラ1は、例えば時刻T0においてコマンドラッチイネーブル信号CLEをハイレベルにした後、信号DQ<7:0>としてコマンド80hを送信する。より具体的には、信号DQ<7:0>に対応した8個の端子に、2進数の“10000000”(16進数の“80”)に対応した信号が、それぞれ入力される。コマンド80hは、ライトイネーブル信号/WEの立ち上がりエッジに対応して取り込まれる。続いて、メモリコントローラ1は、アドレスラッチイネーブル信号ALEをハイレベルにした後、信号DQ<7:0>としてアドレスを送信する。アドレスは複数サイクル(例えば5サイクル)にわたって送信される。アドレスはライトイネーブル信号/WEの立ち上がりエッジに対応して取り込まれる。アドレス送信が完了した時刻T1から最初の8ビットデータの受け入れ準備が完了するまでの所定時間tADLが経過すると、すなわち時刻T2になると、メモリコントローラ1は、データストローブ信号DQS,/DQSをローレベルとハイレベルとの間で交互に遷移させながら、信号DQ<7:0>としてデータを送り込む。所定時間tADLは、例えば、アドレス送信が完了してから、半導体記憶装置2において最初の8ビットデータの受け入れ準備が完了するまでに必要となる時間である。その後、メモリコントローラ1はコマンドラッチイネーブル信号CLEをハイレベルにした後、信号DQ<7:0>としてコマンド10hを送信する。コマンド10hがライトイネーブル信号/WEの立ち上がりエッジに対応して取り込まれると、その時点から内部動作時間tProgが経過するまでの期間にプログラム電圧の印加やベリファイ等の内部動作が行われる。信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSの振幅は、電源電圧VccQと実質的に等しい。
【0031】
1.4 メモリセルアレイの回路構成
次に、メモリセルアレイ21の回路構成について説明する。
図4に示されるように、メモリセルアレイ21は複数のブロックBLKにより構成されている。
図4では、複数のブロックBLKのうちの一つのみが示されている。メモリセルアレイ21が有する他のブロックBLKの構成も、
図4に示されるものと同様である。
【0032】
図4に示されるように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。また各々のストリングユニットSUは複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択トランジスタST1,ST2とを含む。
【0033】
なお、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限らず、例えば32個、48個、64個、96個でもよい。例えばカットオフ特性を高めるために、選択トランジスタST1,ST2のそれぞれが、単一ではなく複数のトランジスタにより構成されていてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択トランジスタST1,ST2との間にはダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0034】
メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1と選択トランジスタST2との間に直列接続されるように配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が選択トランジスタST1のソースに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が選択トランジスタST2のドレインに接続されている。なお、MOSトランジスタの「ソース」及び「ドレイン」は相対的なものである。例えば、2つの拡散層とゲートを有するNチャネル型MOSトランジスタ(電子がキャリアとなるトランジスタ)においては、2つの拡散層のうち低い電圧を供給される側がキャリアの供給元としてのソースとして機能し、高い電圧を供給される側がキャリアの流出口としてのドレインとして機能する。違う言い方をすると、MOSトランジスタにおける2つの拡散層は、それぞれ、「ソースまたはドレインの一方」及び「ソースまたはドレインの他方」として機能する。以下の説明では、便宜上、通常状態においてより低い電圧が供給されている側を「ソース」、通常状態においてより高い電圧が供給される側を「ドレイン」と呼ぶ場合がある。この場合、「ソース」、「ドレイン」は、キャリアの供給元、流出口とは一致しない場合がある。
【0035】
ストリングユニットSU0~SU3のそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。選択トランジスタST2のゲートは、同一のブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一のセレクトゲート線SGSに共通接続されている。同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及びセレクトゲート線SGSは、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU3間で共通となっているのに対し、セレクトゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に個別に設けられている。
【0036】
メモリセルアレイ21には、n本のビット線BL(BL0、BL1、・・・、BL(n-1))が設けられている。「n」は、1つのストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの本数に対応する整数である。例えば、半導体記憶装置2が16kByteのデータを1単位としてメモリセルアレイ21への書き込みまたはメモリセルアレイ21からの読み出しをするように構成されている場合、「n」は131072(2の17乗)である。NANDストリングNSのそれぞれの選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続されている。NANDストリングNSのそれぞれの選択トランジスタST2のソースはソース線SLに接続されている。ソース線SLは、ブロックBLKが有する複数の選択トランジスタST2のソースに対して共通である。
【0037】
同一のブロックBLK内にある複数のメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータは一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、1つのワード線WLに接続され、且つ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。
【0038】
なお、以下の説明では、1つのワード線WLに接続され、且つ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTが記憶する1ビットデータの集合のことを「ページ」と称する。
図4では、上記のような複数のメモリセルトランジスタMTからなる集合の一つに、符号「MG」が付してある。
【0039】
1.5 半導体記憶装置の断面構造
図5に示されるように、半導体記憶装置2では、半導体基板40上に周辺回路PER及びメモリセルアレイ21が順に配置された構造を有している。本実施形態の半導体記憶装置2は、メモリセルアレイ21の下方に周辺回路PERが配置される、いわゆるCUA(CMOS under array)構造を有している。
【0040】
メモリセルアレイ21では、導電体層520の上に複数のNANDストリングNSが形成されている。導電体層520は、埋め込みソース線(BSL)とも称されるものであり、
図3のソース線SLに該当するものである。
導電体層520の上方には、セレクトゲート線SGSとして機能する配線層533、ワード線WLとして機能する複数の配線層532、及びセレクトゲート線SGDとして機能する配線層531が積層されている。積層された配線層533,532,531のそれぞれの間には、不図示の絶縁層が配置されている。
【0041】
メモリセルアレイ21には複数のメモリホール534が形成されている。メモリホール534は、配線層533,532,531、及びそれらの間にある不図示の絶縁層を上下方向に貫通しており、且つ導電体層520に達する穴である。
メモリホール534のうち、積層された配線層533,532,531のそれぞれと交差している各部分はトランジスタとして機能する。これら複数のトランジスタのうち、配線層531と交差している部分にあるものは選択トランジスタST1として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層532と交差している部分にあるものはメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層533と交差している部分にあるものは選択トランジスタST2として機能する。
【0042】
メモリホール534の上方にはビット線BLとして機能する配線層616が形成されている。メモリホール534の上端はコンタクトプラグ539を介して配線層616に接続されている。
図5に示される構造と同様の構造が、
図5の紙面の奥行き方向に沿って複数配列されている。
図5の紙面の奥行き方向に沿って一列に並ぶ複数のNANDストリングNSの集合によって、1つのストリングユニットSUが形成されている。
【0043】
半導体基板40と導電体層520(ソース線SL)とは離間して配置されており、両者の間に周辺回路PERの一部が配置されている。周辺回路PERは、メモリセルアレイ21におけるデータの書き込み動作や読み出し動作、及び消去動作等を実現するために設けられる回路である。
図2に示されるセンスアンプ28、ロウデコーダ27、及び電圧生成回路26等は周辺回路PERの一部となっている。
【0044】
周辺回路PERは、半導体基板40の上面に形成されたトランジスタTRと、複数の導電体611~615とを含む。導電体611~615は、例えば金属のような導体により形成された配線層である。導電体611~615は、複数の高さ位置に分布するよう形成されており、コンタクト620~623を介して互いに電気的に接続されている。コンタクト620~623は、不図示の絶縁層を上下方向に貫くようにコンタクトホールを形成した後、当該コンタクトホールの内側に例えばタングステン等の導電体材料を充填することにより形成されたものである。導電体615はコンタクト624を介して配線層616(ビット線BL)に電気的に接続されている。
【0045】
1.6 センスアンプの構成
次に、センスアンプ28の構成について詳しく説明する。
図6に示されるように、センスアンプ28は、その機能的な構成として、センスアンプ部50、データレジスタ部XDL(キャッシュ用データレジスタ部XDL)、及びマルチプレクサ部60を備えている。
【0046】
1.6.1 センスアンプ部の構成
センスアンプ部50は、n本のビット線BLのそれぞれに関連付けられてn個設けられている。
図7は、n個のセンスアンプ部のうちの1つのセンスアンプ部50の回路構成を示したものである。
【0047】
図7に示されるように、センスアンプ部50は、センスアンプ回路SACと、複数のデータレジスタ部SDL,ADL,BDL,CDLとを含む。センスアンプ回路SAC、及びデータレジスタ部SDL,ADL,BDL,CDLは、互いにデータを送受信可能なようにバスLBUSにより接続されている。より詳細には、データレジスタ部SDL,ADL,BDL,CDLはバスLBUSを介して互いに接続されている。
【0048】
センスアンプ回路SACは、例えば読み出し動作において、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。センスアンプ回路SACは、例えばPチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTR1と、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTR2~TR9と、キャパシタC10とを含む。
【0049】
トランジスタTR1の一端は電源線に接続されている。トランジスタTR1の他端はトランジスタTR2に接続されている。トランジスタTR1のゲートはデータレジスタ部SDL内のノードINV10に接続されている。トランジスタTR2の一端はトランジスタTR1に接続されている。トランジスタTR2の他端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR2のゲートには制御信号BLXが入力される。トランジスタTR3の一端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR3の他端はトランジスタTR4に接続されている。トランジスタTR3のゲートには制御信号BLCが入力される。トランジスタTR4は高耐圧のMOSトランジスタである。トランジスタTR4の一端はトランジスタTR3に接続されている。トランジスタTR4の他端は、対応するビット線BLに接続されている。トランジスタTR4のゲートには制御信号BLSが入力される。
【0050】
高耐圧のNチャネル型MOSトランジスタは、標準的なMOSトランジスタと比べて、例えば、ゲート酸化膜が厚く、かつ、ゲート長が長くなるように形成される。本実施形態のセンスアンプ回路SACにおいては、例えば、トランジスタTR2~TR3及びTR5~TR9が標準的なNチャネル型MOSトランジスタにより形成され、トランジスタTR4が高耐圧のNチャネル型MOSトランジスタにより形成される。この場合、トランジスタTR4は、トランジスタTR2~TR3及びTR5~TR9の各々と比べて、ゲート酸化膜が厚く、及び/又は、ゲート長が長くなるように形成される。
【0051】
トランジスタTR5の一端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR5の他端はノードSRCに接続されている。トランジスタTR5のゲートはノードINV10に接続されている。トランジスタTR6の一端は、トランジスタTR1とトランジスタTR2との間に接続されている。トランジスタTR6の他端はノードSENに接続されている。トランジスタTR6のゲートには制御信号HLLが入力される。トランジスタTR7の一端はノードSENに接続されている。トランジスタTR7の他端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR7のゲートには制御信号XXLが入力される。
【0052】
トランジスタTR8の一端は接地されている。トランジスタTR8の他端はトランジスタTR9に接続されている。トランジスタTR8のゲートはノードSENに接続されている。トランジスタTR9の一端はトランジスタTR8に接続されている。トランジスタTR9の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR9のゲートには制御信号STBが入力される。キャパシタC10の一端はノードSENに接続されている。キャパシタC10の他端にはクロックCLKが入力される。
【0053】
制御信号BLX,BLC,BLS,HLL,XXL,STBは例えばシーケンサ25により生成される。また、トランジスタTR1の一端に接続された電源線には、例えば半導体記憶装置2の内部電源電圧である電圧Vddが印加されている。この場合、センスアンプ回路SACは、Vddドメイン(第1電源ドメイン)に属する。ノードSRCには、例えば半導体記憶装置2の接地電圧である電圧Vssが印加されている。
【0054】
データレジスタ部SDL,ADL,BDL,CDLは、読み出しデータを一時的に保持する。
データレジスタ部SDLは、例えばインバータIV11,IV12と、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTR13,TR14とを含む。インバータIV11の入力ノードはノードLAT10に接続されている。インバータIV11の出力ノードはノードINV10に接続されている。インバータIV12の入力ノードはノードINV10に接続されている。インバータIV12の出力ノードはノードLAT10に接続されている。トランジスタTR13の一端はノードINV10に接続されており、トランジスタTR13の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR13のゲートには制御信号STIが入力される。トランジスタTR13の一端はノードLAT10に接続されており、トランジスタTR14の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR14のゲートには制御信号STLが入力される。
【0055】
例えば、ノードLAT10において保持されるデータがデータレジスタ部SDLに保持されるデータに相当する。また、ノードINV10において保持されるデータは、ノードLAT10に保持されるデータの反転データに相当する。データレジスタ部ADL,BDL,CDLの回路構成は、例えばデータレジスタ部SDLの回路構成と同様のため、それらの説明は省略する。以下では、データレジスタ部ADL,BDL,CDLをまとめて「データレジスタ部DL」とも称する。
【0056】
1.6.2 データレジスタ部XDLの構成
図7に示されるように、データレジスタ部XDLはバスDBUSに接続されている。バスDBUSはトランジスタTRXXを介してバスLBUSに接続されている。トランジスタTRXXのゲートには制御信号SWが入力される。データレジスタ部XDLはバスXBUSを介してマルチプレクサ部60に接続されている。データレジスタ部XDLは、センスアンプ部50とマルチプレクサ部60との間のデータの入出力に用いられる。
【0057】
図8は、データレジスタ部XDLの回路構成を示したものである。
図8に示されるように、データレジスタ部XDLは、Pチャネル型MOSトランジスタであるTP11~14,TP31と、Nチャネル型MOSトランジスタであるTN11~13,TN21,TN31とを含む。
【0058】
トランジスタTP11,TP12,TN11,TN12は、クロス接続されたインバータ回路XIVを構成している。すなわち、トランジスタTP11,TN11は第1インバータ回路を構成しており、ノードLAT20において直列接続されている。トランジスタTP11,TN11のそれぞれのゲートはノードINV20に接続されている。ノードLAT20及びノードINV20は第1インバータ回路の出力及び入力としてそれぞれ機能する。トランジスタTP12,TN12は第2インバータ回路を構成しており、ノードINV20において直列接続されている。トランジスタTP12,TN12のそれぞれのゲートはノードLAT20に接続されている。ノードLAT20及びノードINV20は第2インバータ回路の入力及び出力としてそれぞれ機能する。本実施形態では、ノードLAT20が第1ノードに相当し、ノードINV20が第2ノードに相当する。
【0059】
トランジスタTP11の電流経路の2つの端部のうち、ノードLAT20に接続される端部とは反対側の端部はトランジスタTP13を介して電源電圧ノードVDDに接続されている。電源電圧ノードVDDには、半導体記憶装置2の内部電源電圧である電圧Vddが供給されている。この場合、データレジスタ部XDLは、Vddドメイン(第1電源ドメイン)に属する。トランジスタTP13のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XLLが入力される。トランジスタTP13は、制御信号XLLに基づいてオン/オフするスイッチ回路として機能する。本実施形態では、電源電圧ノードVDDが第1電源電圧ノードに相当し、トランジスタTP13が第1トランジスタに相当する。
【0060】
トランジスタTP12の電流経路の2つの端部のうち、ノードINV20に接続される端部とは反対側の端部はトランジスタTP14を介して電源電圧ノードVDDに接続されている。トランジスタTP14のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XLIが入力される。トランジスタTP12は、制御信号XLIに基づいてオン/オフするスイッチ回路として機能する。
【0061】
トランジスタTN11の電流経路の2つの端部のうち、ノードLAT20に接続される端部とは反対側の端部はトランジスタTN13を介して接地電圧ノードVSSに接続されている。接地電圧ノードVSSには接地電圧Vssが供給されている。トランジスタTN13のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XNLが入力される。トランジスタTN13は、制御信号XNLに基づいてオン/オフするスイッチ回路として機能する。
【0062】
トランジスタTN12の電流経路の2つの端部のうち、ノードINV20に接続される端部とは反対側の端部は接地電位ノードVSSに接続されている。
トランジスタTN21は、バスDBUSとノードINV20との間に並列に接続されている。トランジスタTN21のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XTIが入力される。トランジスタTN21は、制御信号XTIに基づいてオン/オフするスイッチ回路として機能する。
【0063】
トランジスタTP31,TN31は、バスXBUSとノードLAT20との間に並列に接続されている。トランジスタTP31のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XNLが入力される。トランジスタTN31のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号XTLが入力される。トランジスタTP31,TN31は、制御信号XNL,XTLに基づいてオン/オフするスイッチ回路として機能する。
【0064】
図9に示されるように、センスアンプ28はk個のカラムユニットCU(CU0~CU(k-1))を有している。1つのカラムユニットCUは、m個のセンスアンプ回路SAC(SA0~SA(m-1))、m個のデータレジスタ部DL(DL0~DL(m-1))、及びm個のデータレジスタ部XDL(XDL0~XDL(m-1))を含む。「m」及び「k」は整数であり、「m×k=n」を満たす。「m」は例えば8(2の2乗)であり、「k」は16384(2の14乗)である。換言すれば、n個(131072、2の17乗)のセンスアンプ回路SACは、k個(16384、2の14乗)のカラムユニットCUに分割されており、各カラムユニットCUはm個(8、2の2乗)のセンスアンプ回路SACを含んでいる。
【0065】
m個のデータレジスタ部XDLはm本のバスXBUS(XBUS0~XBUS(m-1))を介してマルチプレクサ部60に接続されている。m本のバスXBUSは例えば64個の複数のカラムユニットCUに対して共通に設けられている。換言すれば、m本のバスXBUSには例えば64個の複数のカラムユニットCUが接続されている。このように複数のカラムユニットCUが接続されるバスXBUSを一組として、複数組のバスXBUSがマルチプレクサ部60に接続されている。
【0066】
1.6.2 マルチプレクサ部の構成
次に、マルチプレクサ部60の構成について説明する。
図9に示されるように、マルチプレクサ部60は、m本のバスXBUSを介してm個のデータレジスタ部XDLと接続されている。また、マルチプレクサ部60はバスYIOを介して入出力回路22に接続されている。
【0067】
マルチプレクサ部60は、第1マルチプレクサ部70と、第2マルチプレクサ部80とを有している。
第1マルチプレクサ部70は、
図10に示される信号変換部YLOG(YLOG0~YLOG(w-1))をw個有している。w個の信号変換部YLOGはw本のバスYIOを介して入出力回路22に接続されている。「w」は例えば64である。
【0068】
信号変換部YLOGは、NAND回路71と、電圧変換回路72とを備えている。
電圧変換回路72は、直列に接続されたトランジスタTP40とトランジスタTN40とを有している。トランジスタTP40はPチャネル型MOSトランジスタであり、トランジスタTN40はNチャネル型MOSトランジスタである。本実施形態では、トランジスタTP40が第2トランジスタに相当し、トランジスタTN40が第3トランジスタに相当する。トランジスタTP40の一端は電源電圧ノードVCCQに接続されている。電源電圧ノードVCCQには電源電圧VccQが印加されている。本実施形態では、電源電圧ノードVCCQが第2電源電圧ノードに相当する。この場合、第1マルチプレクサ部70は、VccQドメイン(第2電源ドメイン)に属する。トランジスタTP40の他端部はバスIOBUSに接続されている。トランジスタTN40の一端は接地電圧ノードVSSに接続されている。本実施形態では、接地電圧ノードVSSが第3電源電圧ノードに相当する。トランジスタTN40の他端部はバスIOBUSに接続されている。本実施形態では、バスIOBUSが信号線に相当する。
【0069】
NAND回路71の入力にはバスYIOが接続される。また、NAND回路71の入力には、シーケンサ25により生成される制御信号VDDREADn_QがNOT回路73を介して入力される。制御信号VDDREADn_Qは、半導体記憶装置2のパワーオン時にハイレベルに設定されて、それ以外の場合にローレベルに設定される。NAND回路71の出力は電圧変換回路72のトランジスタTP40,TN40のそれぞれのゲートに入力されている。本実施形態では、NAND回路71及びNOT回路73が、半導体記憶装置2のパワーオン時にバスIOBUSの電圧を接地電圧Vssに設定する接地電圧設定回路74として機能する。
【0070】
図10に示されるように、第2マルチプレクサ部80は、m本のバスXBUSにそれぞれ接続されるm個のトランスファーゲートBYCOM(BYCOM0~BYCOM(m-1))を有している。m個のトランスファーゲートBYCOMは共通の一つのバスIOBUSを介して第1マルチプレクサ部70の信号変換部YLOGに接続されている。
【0071】
トランスファーゲートBYCOMは、並列に接続されたトランジスタTP50と、トランジスタTN50とを備えている。トランジスタTP50はPチャネル型MOSトランジスタであり、トランジスタTN50はNチャネル型MOSトランジスタである。トランジスタTP50,TN50のそれぞれの一端にはバスIOBUSが接続され、トランジスタTP50,TN50のそれぞれの他端はバスXBUSに接続されている。トランジスタTP50のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号DIN_Nが入力されている。トランジスタTN50のゲートには、シーケンサ25により生成される制御信号DIN_Pが入力されている。
【0072】
図10に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置2では、信号変換部YLOGが電源電圧VccQに基づいて動作する。より具体的には、入出力回路22から信号変換部YLOGまでの要素は、VccQドメイン(第2電源ドメイン)に属し、電源電圧VccQを動作電源として動作する。これに対して、
図7,8に示されるように、データレジスタ部XDLからセンスアンプ部50までの要素は、Vddドメイン(第1電源ドメイン)に属し、電源電圧VccQよりも高い電源電圧Vddに基づいて動作する。したがって、本実施形態の半導体記憶装置2では信号変換部YLOGとデータレジスタ部XDLとの間で動作電圧が変化する。本実施形態では、電源電圧Vddが第1電圧に相当し、電源電圧VccQが第2電圧に相当する。この場合、第2マルチプレクサ部80は、Vddドメイン(第1電源ドメイン)とVccQドメイン(第2電源ドメイン)との境界に相当する。
【0073】
1.7 半導体記憶装置の動作例(データの書き込み)
次に、本実施形態の半導体記憶装置2の動作例、特にメモリコントローラ1からの指示に基づいてデータの書き込みを行う際の半導体記憶装置2の動作例について説明する。
【0074】
メモリコントローラ1が、所定のデータを信号DQ<7:0>として半導体記憶装置2に送信すると、信号DQ<7:0>が、
図2に示される入出力用パッド群30を介して入出力回路22に入力される。入出力回路22は、信号DQ<7:0>をシリアル信号からパラレル信号に変換して、
図9に示されるバスYIOを介して第1マルチプレクサ部70に送信する。
【0075】
このとき、例えば”1”のデータに対応するハイレベルの信号がバスYIOに伝送されたとすると、
図10に示されるNAND回路71にバスYIOを介してハイレベルの信号が入力される。また、制御信号VDDREADn_Qはローレベルに設定されているため、それをNOT回路73により反転させたハイレベルの信号がNAND回路71に入力される。NAND回路71は、バスYIOを介して入力されるハイレベルの信号と、NOT回路73から入力されるハイレベルの信号との否定論理積を演算することにより、ローレベルの信号を出力する。そのため、電圧変換回路72ではトランジスタTP40がオン状態になる一方、トランジスタTN40がオフ状態になるため、バスIOBUSが電源電圧ノードVCCQに接続される。よって、
図11(A)に示されるように、時刻T10でバスIOBUSに電圧VccQが伝送される。
【0076】
その後、
図10に示されるバスIOBUSにm個のデータレジスタ部XDLのうちの一つを接続する。例えば、
図11(B),(C)に示されるように、シーケンサ25は、時刻T11でトランスファーゲートBYCOM0に入力されている制御信号DIN_Nをローレベルに設定し、且つ制御信号DIN_Pをハイレベルに設定することにより、トランスファーゲートBYCOM0のトランジスタTP50,TN50がオン状態になる。制御信号DIN_N,DIN_Pのハイレベルは電圧Vddであり、それらのローレベルは接地電圧Vssである。
【0077】
一方、
図11(D),(E)に示されるように、シーケンサ25は、トランスファーゲートBYCOM1~BYCOM(m-1)にそれぞれ入力されている制御信号DIN_Nをハイレベルに維持し、且つ制御信号DIN_Pをローレベルに維持することにより、トランスファーゲートBYCOM1~BYCOM(m-1)のそれぞれのトランジスタTP50,TN50をオフ状態に維持する。これにより、バスIOBUSに、トランスファーゲートBYCOM0に対応したデータレジスタ部XDL0が接続されて、バスIOBUSに伝送されている電圧がバスXBUS0を介してデータレジスタ部XDL0に入力される。結果的に、
図11(F)に示されるように、時刻T12でバスXBUS0が電源電圧ノードVCCQに設定される。
【0078】
続いて、バスXBUS0の電圧をデータレジスタ部XDL0に取り込む。具体的には、
図11(G)~(I)に示されるように、シーケンサ25は、時刻T13で制御信号XTL,XLLをハイレベルに設定するとともに、時刻T14で制御信号XNLをローレベルに設定する。制御信号XTL,XNL,XLLのハイレベルは電圧Vddであり、それらのローレベルは接地電圧Vssである。これにより、
図12に示されるように、データレジスタ部XDLにおいてトランジスタTP31,TN31がオン状態になるとともに、トランジスタTP13,TN13がオフ状態になる。なお、
図12では、オン状態になっているトランジスタに丸が付され、オフ状態であるトランジスタにバツが付されている。
【0079】
なお、シーケンサ25は、時刻T13において、
図12に示される制御信号XLI,XTIをローレベルに設定する。したがって、トランジスタTP14はオン状態になるとともに、トランジスタTN21はオフ状態になる。なお、制御信号XLI,XTIのハイレベルは電圧Vddであり、それらのローレベルは接地電圧Vssである。
【0080】
時刻T13でトランジスタTN31がオン状態になると、バスXBUS0の電圧VccQがトランジスタTN31を介してノードLAT20に伝送される。これにより、
図11(J)に示されるように、時刻T14でノードLAT20が電源電圧VccQに設定される。また、
図12に示されるように、ノードLAT20が電源電圧VccQに設定されることによりトランジスタTP12がオフ状態になる一方、トランジスタTN12がオン状態になるため、ノードINV20が接地電圧ノードVSSに接続される。よって、
図11(K)に示されるように、時刻T14以降、ノードINV20が接地電圧Vssに設定される。
【0081】
なお、
図12に示されるように、ノードINV20が接地電圧Vssに設定されることにより、トランジスタTN11がオフ状態なる一方、トランジスタTP11がオン状態になる。このとき、トランジスタTP13がオフ状態であるため、電源電圧ノードVDDの電圧VddがノードLAT20に供給されることはない。
【0082】
一方、
図11(B),(C)に示されるように、シーケンサ25が時刻T14で制御信号DIN_Nをハイレベルに設定し、且つ制御信号DIN_Pをローレベルに設定すると、
図10に示されるトランジスタTP50,TN50がオフ状態になる。これにより、バスXBUS0及びデータレジスタ部XDL0がバスIOBUSから電気的に遮断される。続いて、
図11(G),(H)に示されるように、シーケンサ25が時刻T15で制御信号XTLをローレベルに設定し、且つ時刻T16で制御信号XNLをハイレベルに設定すると、
図13に示されるように、トランジスタTP31,TN31が共にオフ状態になる。これにより、ノードLAT20がバスXBUS0から電気的に遮断される。
【0083】
また、
図11(I)に示されるように、シーケンサ25が時刻T16で制御信号XLLをローレベルに設定することにより、
図13に示されるようにトランジスタTP31がオン状態になる。これにより、電源電圧ノードVDDの電源電圧VddがトランジスタTP13,TP11を介してノードLAT20に供給される。そのため、
図11(J)に示されるように、時刻T16以降、ノードLAT20が電圧VccQから電圧Vddへと遷移する。
【0084】
以上により、
図11(J),(K)に示されるように、ノードLAT20に電圧Vddが保持され、ノードINV20に接地電圧Vssが保持された状態となる。
以降、データレジスタ部XDL0からバスDBUSにデータを出力する際には、シーケンサ25は、
図13に示される状態において制御信号XTIをハイレベルに設定して、トランジスタTN21をオン状態にする。これにより、ノードINV20に保持されている電圧VddがバスDBUSに転送される、すなわちデータレジスタ部XDL0に保持されているデータがバスDBUSに転送される。
【0085】
なお、上記ではバスYIOに”1”のデータが伝送された場合における半導体記憶装置2の動作について説明したが、バスYIOに”0”のデータが伝送された場合、半導体記憶装置2は例えば
図14(A)~(K)に示されるように動作する。このときの半導体記憶装置2の動作は、バスYIOに”1”のデータが伝送された場合と類似であるため、その詳細な説明は割愛する。なお、この場合には、
図14(J),(K)に示されるように、ノードLAT20が接地電圧Vssに設定され、ノードINV20が電源電圧Vddに設定される。
【0086】
1.8 半導体記憶装置の動作例(パワーオン時)
このような半導体記憶装置2では、パワーオンが開始された時点では電圧生成回路26により生成される各電圧が不安定であるため、例えばVccQドメイン(第2電源ドメイン)における電源電圧ノードVCCQの不定電圧がVddドメイン(第1電源ドメイン)における電源電圧ノードVDDの不定電圧よりも大きくなる可能性がある。
【0087】
一方、
図10に示されるトランスファーゲートBYCOMのPチャネル型のトランジスタTP50では、そのバックゲート(N型領域)に電源電圧Vddが印加されている。半導体記憶装置2のパワーオン時のような電圧が不安定な状況では、信号変換部YLOGにおいて使用されている電圧、具体的には接地電圧ノードVSSの電圧よりも高く、且つ電源電圧ノードVCCQの不定電圧よりも低い電圧がバスIOBUSに印加される可能性がある。上述の通り、パワーオン時には電源電圧ノードVCCQの不定電圧が電源電圧ノードVDDの不定電圧よりも大きくなる可能性があるため、電源電圧ノードVDDの不定電圧よりも高い電圧がバスIOBUSに印加される可能性がある。このような場合、
図10に示されるトランスファーゲートBYCOMのPチャネル型のトランジスタTP50において、バックゲートとなるN型領域と、バスIOBUS側のソース/ドレイン端となるP型領域とにより、フォワードバイアスが発生することにより、意図しない電流が半導体記憶装置2に流れる可能性があるため、好ましくない。
【0088】
そこで、本実施形態の半導体記憶装置2では、パワーオン時にバスIOBUSを接地電圧ノードVSSに設定する。具体的には、例えば
図15(A)に示されるように、時刻T20で半導体記憶装置2においてパワーオン処理が開始されたとすると、シーケンサ25は制御信号VDDREADn_Qをハイレベルに設定する。この制御信号VDDREADn_Qは、
図10に示されるNOT回路73により反転されてNAND回路71に入力される。したがって、NAND回路71にはNOT回路73からローレベルの信号が入力される。そのため、NAND回路71は、バスYIOの信号レベルに関わらずハイレベルの信号を出力するため、電圧変換回路72のトランジスタTP40がオフ状態になる一方、トランジスタTN40がオン状態になる。これにより、バスIOBUSがトランジスタTN40を介して接地電圧ノードVSSに接続されて、バスIOBUSが接地電圧Vssに設定される。
図15(B),(C)には、これらのトランジスタTP40,TN40のそれぞれのオン/オフ状態の遷移が示され、
図15(D)にはバスIOBUSの電圧の推移が示されている。
【0089】
その後、半導体記憶装置2においてパワーオン処理が終了すると、すなわち電圧生成回路26により生成される各電圧が安定すると、シーケンサ25は時刻T21で制御信号VDDREADn_Qをローレベルに設定する。これにより、NAND回路71には、制御信号VDDREADn_QをNOT回路73により反転させた信号、すなわちハイレベルの信号が入力されるようになる。よって、時刻T21以降は、バスIOBUSの電圧レベルに応じてNAND回路71の出力が変化するようになるため、上記の1.7で説明したような半導体記憶装置2の動作が実現されることになる。
【0090】
1.9 効果
本実施形態の半導体記憶装置2は、複数のメモリセルトランジスタMTを含むメモリセルアレイ21と、メモリセルアレイ21と入出力回路22との間に設けられるセンスアンプ28とを備えている。センスアンプ28は、データレジスタ部XDLと、マルチプレクサ部60と、センスアンプ部50とを備えている。データレジスタ部XDLは、電源電圧Vddが動作電圧として印加されて、メモリセルトランジスタMTに書き込むデータ、及びメモリセルトランジスタMTから読み出されたデータを一時的に保持する。マルチプレクサ部60は、電源電圧Vddよりも低い電源電圧VccQが動作電圧として印加されて、入出力回路22とデータレジスタ部XDLとの間に設けられる。センスアンプ部50は、読み込み時にメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータをセンスしてデータレジスタ部XDLに保持させる一方、書き込み時にデータレジスタ部XDLに保持されているデータをメモリセルトランジスタMTに記憶させる。データレジスタ部XDLは、ノードLAT20と、ノードINV20とを有する。ノードLAT20は、マルチプレクサ部60に接続されて、保持すべきデータに応じてマルチプレクサ部60からバスIOBUSを介して供給される電圧を保持する。ノードINV20は、センスアンプ部50に接続されて、ノードLAT20に保持されている電圧レベルを反転させた電圧レベルを保持する。データレジスタ部XDLは、マルチプレクサ部60がノードLAT20に電圧VccQを印加してノードLAT20に電圧VccQを保持させた後、ノードLAT20の電圧を電圧VccQから電圧Vddに遷移させる。
【0091】
この構成によれば、マルチプレクサ部60を、電圧Vddよりも低い電圧VccQで駆動させることができるため、半導体記憶装置2全体の消費電力を低減することができる。また、マルチプレクサ部60とデータレジスタ部XDLとの間に、動作電圧を電圧VccQから電圧Vddに変換するためのレベルシフタ等を設ける必要がないため、回路構成を簡素化することが可能となる。
【0092】
データレジスタ部XDLは、電源電圧ノードVDDと、トランジスタTP13とを有する。電源電圧ノードVDDには電源電圧Vddが印加されている。トランジスタTP13は電源電圧ノードVDD及びノードLAT20に接続されている。シーケンサ25は、マルチプレクサ部60からノードLAT20に印加される電圧VccQをノードLAT20に保持する際にトランジスタTP13をオフ状態にする。また、シーケンサ25は、ノードLAT20を電圧VccQに保持した後、トランジスタTP13をオン状態にして、ノードLAT20を電圧VccQから電圧Vddに遷移させる。
【0093】
この構成によれば、マルチプレクサ部60において動作電圧として電圧VccQを用いながらも、電圧Vddを動作電圧とするデータレジスタ部XDLを適切に動作させることができる。
マルチプレクサ部60は、バスIOBUSとデータレジスタ部XDLとの間に配置されるトランスファーゲートBYCOMを更に備える。トランスファーゲートBYCOMは、並列接続されたPチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTP50と、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTN50とを有する。マルチプレクサ部60は、半導体記憶装置2のパワーオン時にバスIOBUSの電圧を接地電圧Vssに設定する接地電圧設定回路74を有する。
【0094】
この構成によれば、トランスファーゲートBYCOMのPチャネル型のトランジスタTP50においてフォワードバイアスが発生することを回避できるため、半導体記憶装置2の誤動作を未然に回避することが可能である。
マルチプレクサ部60は、電圧生成回路26から電圧VccQが印加される電源電圧ノードVCCQと、接地電圧Vssが印加される接地電圧ノードVSSと、Pチャネル型のトランジスタTP40と、Nチャネル型のトランジスタTN40とを備える。トランジスタTP40は、電源電圧ノードVCCQとバスIOBUSとの間に設けられる。トランジスタTN40は、接地電圧ノードVSSとバスIOBUSとの間に設けられる。接地電圧設定回路74は、半導体記憶装置2のパワーオン時に、トランジスタTP40をオフさせることが可能な信号をトランジスタTP40のゲートに入力する一方、トランジスタTN40をオンさせることが可能な信号をトランジスタTN40のゲートに入力することにより、バスIOBUSの電圧を接地電圧Vssに設定する。
【0095】
この構成によれば、半導体記憶装置2のパワーオン時にバスIOBUSの電圧を接地電圧Vssに容易に設定することができる。
1.10 第1実施形態の変形例
次に、第1実施形態の半導体記憶装置2の変形例について説明する。
【0096】
本変形例の半導体記憶装置2では、
図11(I)に一点鎖線で示されるように、シーケンサ25が制御信号XLLを、ハイレベルの電圧とローレベルの電圧との中間の電圧Vmに設定する。電圧Vddが1.5Vであるとすると、中間電圧Vmは0.9Vから1.0Vの範囲の電圧に設定されている。本実施形態では、中間電圧Vmが第3電圧に相当する。これにより、データレジスタ部XDLのトランジスタTP13が、完全なオフ状態よりも若干オン状態寄りのスイッチング状態、換言すれば不完全なオフ状態(弱いオン状態)になる。結果的に、時刻T13以降にノードLAT20が電圧VccQに設定された後、完全なオフ状態でないトランジスタTP13を介して電源電圧ノードVDDから電源電圧VddがノードLAT20に供給されることにより、ノードLAT20が電圧VccQから電圧Vddに遷移する。
【0097】
このように、本変形例のシーケンサ25は、マルチプレクサ部60からノードLAT20に印加される電圧VccQをノードLAT20に保持する際に、電圧Vddと接地電圧Vssとの中間の電圧VmをトランジスタTP13のゲートに印加する。また、シーケンサ25は、ノードLAT20を電圧VccQに保持した後、トランジスタTP13のゲートに中間電圧Vmを印加した状態を継続して、ノードLAT20を電圧VccQから電圧Vddに遷移させる。
【0098】
このような構成によっても、第1実施形態の半導体記憶装置2と同様に、データレジスタ部XDLにおいて動作電圧を電圧VccQから電圧Vddに容易に遷移させることができる。
2 第2実施形態
次に、第2実施形態の半導体記憶装置2について説明する。以下、第1実施形態の半導体記憶装置2との相違点を中心に説明する。
【0099】
2.1 マルチプレクサ部の構成
図16に示されるように、本実施形態の第1マルチプレクサ部70は、NAND回路71に代えてNOT回路75を備えている。また、第1マルチプレクサ部70は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTP41、及びNチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタTN41を更に備えている。トランジスタTP41は電源電圧ノードVCCQとトランジスタTP40との間に設けられている。トランジスタTN41はバスIOBUSと接地電圧ノードVSSとの間に設けられている。トランジスタTP41,TN41のそれぞれのゲートには制御信号VDDREADn_Qが入力されている。本実施形態では、トランジスタTP41が第4トランジスタに相当し、トランジスタTN41が第5トランジスタに相当する。
【0100】
シーケンサ25は、半導体記憶装置2のパワーオン時に制御信号VDDREADn_Qをハイレベルの電圧に設定する。これにより、トランジスタTP41がオフ状態になり、且つトランジスタTN41がオン状態になるため、バスIOBUSがトランジスタTN41を介して接地電圧ノードVSSに接続される。よって、バスIOBUSが接地電圧Vssに設定される。
【0101】
2.2 効果
本実施形態の半導体記憶装置2では、トランジスタTP41,TN41が、半導体記憶装置2のパワーオン時にバスIOBUSを接地電圧に設定する接地電圧設定回路74として機能する。
【0102】
このような構成であっても、トランスファーゲートBYCOMのPチャネル型のトランジスタTP50においてフォワードバイアスが発生することを回避できるため、半導体記憶装置2の誤動作を未然に回避することが可能である。
3 他の実施形態
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
【0103】
例えば、半導体記憶装置2は、
図5に示されるような構造に限らず、
図17に示されるようなCBA(CMOS directly Bonded to Array)構造を有するものであってもよい。
図17に示される半導体記憶装置2では、メモリセルアレイ110が設けられるメモリ部180と、周辺回路PERが設けられる制御回路部190とが別々に製造される。この半導体記憶装置2は、別々に製造されたメモリ部180と制御回路部190とを貼合面B1で貼り合わせて互いに接合させることにより構成される。貼合面B1に設けられる制御回路部190の貼合パッド800及びメモリ部180の貼合パッド801は互いに接合されている。メモリセルアレイ110と周辺回路PERとは貼合パッド800,801及びビア810,811を介して互いに電気的に接続されている。本実施形態では、メモリ部180が第1チップに相当し、制御回路部190が第2チップに相当し、貼合パッド801が第1貼合パッドに相当し、貼合パッド800が第2貼合パッドに相当する。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれ、かつ特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
BYCOM:トランスファーゲート、INV20:ノード(第2ノード)、IOBUS:バス(信号線)、LAT20:ノード(第1ノード)、MT:メモリセルトランジスタ、TN40:トランジスタ(第3トランジスタ)、TN41:トランジスタ(第5トランジスタ)、TN50:トランジスタ(Nチャネル型トランジスタ)、TP13:トランジスタ(第1トランジスタ)、TP40:トランジスタ(第2トランジスタ)、TP41:トランジスタ(第4トランジスタ)、TP50:トランジスタ(Pチャネル型トランジスタ)、VCCQ:電源電圧ノード(第2電源電圧ノード)、VDD:電源電圧ノード(第1電源電圧ノード)、VSS:接地電圧ノード(第3電源電圧ノード)、XDL:データレジスタ部、2:半導体記憶装置、21:メモリセルアレイ、22:入出力回路、25:シーケンサ(制御部)、28:センスアンプ、50:センスアンプ部、60:マルチプレクサ部、74:接地電圧設定回路、180:メモリ部(第1チップ)、190:制御回路部(第2チップ)、800:貼合パッド(第2貼合パッド)、801:貼合パッド(第1貼合パッド)。