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特開2024-135846対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135846
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/292 20170101AFI20240927BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06T7/292
H04N7/18 D
H04N7/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046730
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】富岡 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小平 行秀
(72)【発明者】
【氏名】仙波 翔吾
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF06
5C054DA07
5C054GB02
5C054HA19
5L096BA02
5L096CA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA59
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA05
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】野生動物の追跡及び撮影を精度良く行うことを可能とする対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法を提供する。
【解決手段】撮影方向を変更自在な撮影部と、撮影部によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定する対象判定部と、画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす第1対象を特定する対象特定部と、特定した第1対象を追跡して撮影するように、撮影部による撮影方向を制御する撮影制御部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影方向を変更自在な撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定する対象判定部と、
前記画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、前記画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす第1対象を特定する対象特定部と、
特定した前記第1対象を追跡して撮影するように、前記撮影部による撮影方向を制御する撮影制御部と、を有する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象特定部は、前記複数の対象のうちの最も大きさが大きい対象を前記第1対象として特定する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記対象特定部は、前記複数の対象のうちの先頭を移動する対象を前記第1対象として特定する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項4】
請求項1において、さらに、
前記画像データにおける前記第1対象についての第1特徴を特定する特徴特定部を有し、
前記対象判定部は、前記撮影部によって新たな画像データが撮影された場合、前記新たな画像データに対象が映っているか否かを判定し、
前記対象特定部は、前記新たな画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、前記新たな画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が前記第1条件を満たす第2対象を特定し、
前記特徴特定部は、前記新たな画像データにおける前記第2対象についての第2特徴を特定し、
前記撮影制御部は、
前記第1特徴と前記第2特徴との比較結果が第2条件を満たす場合、前記第1対象と前記第2対象とが同一の対象であるものとして前記第1対象の追跡を行う、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項5】
請求項4において、さらに、
前記画像データにおける前記第1対象の第1位置と、前記新たな画像データにおける前記第2対象の第2位置とを特定する位置特定部を有し、
前記撮影制御部は、
前記第1位置と前記第2位置との比較結果が第3条件を満たす場合、前記第1対象と前記第2対象とが同一の対象であるものとして前記第1対象の追跡を行う、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項6】
請求項4または5において、さらに、
前記新たな画像データに対象が映っていないと判定した場合、前記第1特徴を他の対象追跡装置に送信する送信部を有する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記撮影制御部は、
前記第1位置と前記第2位置とから前記第1対象の移動方向を推定し、
推定した前記移動方向に対応する前記他の対象追跡装置に対して前記第1特徴を送信する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項8】
請求項4において、さらに、
他の対象追跡装置から第3対象についての第3特徴を受信する受信部を有し、
前記撮影制御部は、前記第3特徴と前記第2特徴との比較結果が前記第2条件を満たす場合、前記第3対象と前記第2対象とが同一の対象であるものとして前記第3対象の追跡を行う、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記対象判定部は、前記撮影部によって新たな画像データが撮影された場合、前記新たな画像データに対象が映っているか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記新たな画像データに映る対象の数が1である場合、前記第1対象と前記新たな画像データに映る対象とが同一の対象であるものとして前記第1対象の追跡を行う、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項10】
請求項5において、
前記対象特定部、前記特徴特定部、前記位置特定部及び前記撮影制御部は、前記対象追跡装置が有する複数のプロセッサのうちの1のプロセッサであり、
前記対象判定部は、前記複数のプロセッサのうちの前記1のプロセッサ以外の他のプロセッサのそれぞれであり、
前記他のプロセッサのそれぞれは、前記撮影部によって撮影された互いに異なる画像データに対象が映っているか否かを判定する、
ことを特徴とする対象追跡装置。
【請求項11】
撮影方向を変更自在な撮影部によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定し、
前記画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、前記画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす第1対象を特定し、
特定した前記第1対象を追跡して撮影するように、前記撮影部による撮影方向を制御する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする対象追跡プログラム。
【請求項12】
撮影方向を変更自在な撮影部によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定し、
前記画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、前記画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす第1対象を特定し、
特定した前記第1対象を追跡して撮影するように、前記撮影部による撮影方向を制御する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする対象追跡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、山に近い農村部の畑の農作物が熊や猪等の野生動物(以下、単に野生動物または対象とも呼ぶ)により荒らされる被害が増加しているとともに、都市部においても野生動物が人に危害を与えるおそれが高まっている。そのため、例えば、出没した野生動物を追跡して撮影する際に用いることが可能な技術が各種提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-022783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような分野では、例えば、出没した野生動物の追跡及び撮影を精度良く行うことが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、野生動物の追跡及び撮影を精度良く行うことを可能とする対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明における対象追跡装置は、撮影方向を変更自在な撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定する対象判定部と、前記画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、前記画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす第1対象を特定する対象特定部と、特定した前記第1対象を追跡して撮影するように、前記撮影部による撮影方向を制御する撮影制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明における対象追跡装置、対象追跡プログラム及び対象追跡方法によれば、野生動物の追跡及び撮影を精度良く行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における対象追跡システム10の構成例を示す図である。
図2図2は、対象追跡装置1の構成について説明する図である。
図3図3は、情報処理装置11の構成について説明する図である。
図4図4は、第1の実施の形態の概略を説明する図である。
図5図5は、第1の実施の形態における対象追跡処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図6図6は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図7図7は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図8図8は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図9図9は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図10図10は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図11図11は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図12図12は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図13図13は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図14図14は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図15図15は、第1の実施の形態における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
図16図16は、位置情報131の具体例について説明する図である。
図17図17は、第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例について説明する図である。
図18図18は、第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例について説明する図である。
図19図19は、第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明を行う。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることが可能である。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
[第1の実施の形態における対象追跡システム10の構成例]
初めに、第1の実施の形態における対象追跡システム10の構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における対象追跡システム10の構成例を示す図である。
【0011】
対象追跡システム10は、図1に示すように、例えば、対象追跡装置1a、対象追跡装置1b、対象追跡装置1c、対象追跡装置1d及び対象追跡装置1e(以下、これらを総称して対象追跡装置1とも呼ぶ)を有する。また、対象追跡システム10は、例えば、管理装置2を有する。
【0012】
各対象追跡装置1は、例えば、野生動物が出没する可能性がある領域として予め指定された領域に含まれる山林の木等に取り付けられる。また、管理装置2は、例えば、各対象追跡装置1の取り付け場所と異なる場所(例えば、対象追跡システム10の管理者が業務を行う建屋の室内等)に設置される。
【0013】
なお、以下、対象追跡システム10が5台の対象追跡装置1を有するものとして説明を行うが、これに限られない。具体的に、対象追跡システム10は、例えば、5台以外の台数の対象追跡装置1を有するものであってもよい。
【0014】
[対象追跡装置1の構成]
次に、対象追跡装置1の構成について説明を行う。図2は、対象追跡装置1の構成について説明する図である。
【0015】
対象追跡装置1は、図2に示すように、例えば、コンピュータ基板(マイコン)である情報処理装置11と、管理装置2や他の対象追跡装置1と無線通信を行う通信装置12と、ソーラーパネル等において発電された電力を蓄電するバッテリー13と、バッテリー13に蓄電された電力を情報処理装置11等に供給するバッテリーコントローラ14とを有する。具体的に、通信装置12は、例えば、3G(3rd Generation Mobile Communication System)、LTE(Long Term Evolution)及びWifi等を用いることによって管理装置2や他の対象追跡装置1と無線通信を行うものであってよい。
【0016】
また、対象追跡装置1は、例えば、対象追跡装置1の近傍を移動する野生動物の動作を検出する1以上のモーションセンサ15と、対象追跡装置1の近傍を移動する野生動物を撮影するカメラ16(以下、撮影部16とも呼ぶ)とを有する。具体的に、カメラ16は、例えば、水平方向における撮影方向及び垂直方向における撮影方向が変更自在であり、かつ、ズーム自在なカメラであってよい。
【0017】
なお、対象追跡装置1は、例えば、バッテリー13からカメラ16に供給される電力の制御を行う制御装置(図示せず)を有するものであってよい。そして、制御装置は、例えば、カメラ16が野生動物の撮影を行っている時間帯に限り、バッテリー13に対して電力を供給するものであってよい。
【0018】
[情報処理装置11の構成]
次に、情報処理装置11の構成について説明を行う。図3は、情報処理装置11の構成について説明する図である。
【0019】
情報処理装置11は、例えば、汎用的なコンピュータのハードウエア構成を有し、図3に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信インタフェース(通信IF)103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0020】
記憶媒体104は、例えば、野生動物を追跡して撮影する処理(以下、対象追跡処理とも呼ぶ)を行うためのプログラム(図示しない)を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、対象追跡処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶領域110(以下、記憶部110とも呼ぶ)を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0021】
CPU101は、例えば、記憶媒体104(記憶領域110)からメモリ102にロードされたプログラムを実行して対象追跡処理を行う。
【0022】
なお、情報処理装置11は、例えば、複数のCPU101を有するものであってもよい。また、CPU101は、例えば、複数のCPUコアを有するものであってもよい。
【0023】
[第1の実施の形態における対象追跡処理の概略]
次に、第1の実施の形態における対象追跡処理の概略について説明を行う。図4は、第1の実施の形態の概略を説明する図である。
【0024】
情報処理装置11は、図4に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラムとが有機的に協働することにより、情報管理部111、対象判定部112、対象特定部113、特徴特定部114、位置特定部115、対象比較部116、撮影制御部117、情報受信部118、移動算出部119及び情報送信部120を含む各機能を実現する。
【0025】
情報管理部111は、例えば、管理者が位置情報131を入力した場合、入力された位置情報131を記憶領域110に記憶する。位置情報131は、例えば、対象追跡装置1(自装置)と他の対象追跡装置1との位置関係を示す情報である。
【0026】
対象判定部112は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データ(カメラ16によって撮影された動画データを構成するフレーム)に熊等の対象が映っているか否かを判定する。具体的に、対象判定部112は、例えば、カメラ16が新たな画像データを撮影するごとに、新たな画像データに対象が映っているか否かを判定する。
【0027】
対象特定部113は、例えば、画像データに1つの対象が映っていると判定した場合、画像データに映る1つの対象を追跡対象(以下、第1対象とも呼ぶ)として特定する。また、対象特定部113は、例えば、画像データに複数の対象が映っていると判定された場合、画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が条件(以下、第1条件とも呼ぶ)を満たす1つの対象を追跡対象として特定する。具体的に、対象特定部113は、例えば、カメラ16が新たな画像データを撮影するごとに、各画像データに映る追跡対象を特定する。
【0028】
さらに具体的に、対象特定部113は、例えば、画像データに複数の対象が映っていると判定された場合、画像データに映る複数の対象のうちの最も大きさが大きい対象を追跡対象として特定する。また、対象特定部113は、例えば、画像データに複数の対象が映っていると判定された場合、画像データに映る複数の対象のうちの先頭を移動する対象を追跡対象として特定する。
【0029】
特徴特定部114は、例えば、画像データに映る追跡対象についての特徴(例えば、色、輝度、形状及び大きさ等の特徴量)を特定する。具体的に、特徴特定部114は、例えば、カメラ16が新たな画像データを撮影するごとに、新たな画像データに映る追跡対象についての特徴を特定する。
【0030】
位置特定部115は、例えば、画像データに映る追跡対象の位置(例えば、画像データにおける追跡対象の座標を示すバウンディングボックス)を特定する。具体的に、位置特定部115は、例えば、カメラ16が新たな画像データを撮影するごとに、新たな画像データに映る追跡対象の位置を特定する。
【0031】
対象比較部116は、例えば、画像データ(以下、第1画像データとも呼ぶ)に映る追跡対象についての特徴(以下、第1特徴とも呼ぶ)と、第1画像データの次に撮影された画像データ(以下、第2画像データとも呼ぶ)に映る対象についての特徴(以下、第2特徴とも呼ぶ)とを比較する。そして、対象比較部116は、例えば、第1特徴と第2特徴との類似関係が条件(以下、第2条件とも呼ぶ)を満たす場合、第2画像データに映る対象が追跡対象であると判定する。
【0032】
また、対象比較部116は、例えば、第1画像データに映る追跡対象の位置(以下、第1位置とも呼ぶ)と、第2画像データに映る対象の位置(以下、第2位置とも呼ぶ)とを比較する。そして、対象比較部116は、例えば、第1位置と第2位置との類似関係が条件(以下、第3条件とも呼ぶ)を満たす場合、第2画像データに映る対象が追跡対象であると判定する。
【0033】
具体的に、対象比較部116は、例えば、カメラ16が新たな画像データを撮影するごとに、新たな画像に映る対象が追跡対象であるか否かを判定する。
【0034】
なお、対象比較部116は、例えば、第1特徴と第2特徴との類似度を示す値が予め定められた閾値以上である場合に、第2画像データに映る対象が追跡対象であると判定するものであってよい。また、対象比較部116は、例えば、第1位置と第2位置との距離が予め定められた閾値以下である場合に、第2画像データに映る対象が追跡対象であると判定するものであってよい。
【0035】
撮影制御部117は、例えば、追跡対象を追跡して撮影することが可能になるように、カメラ16の撮影方向を制御する。具体的に、撮影制御部117は、例えば、新たな画像データに映る特定の対象(以下、単に特定の対象とも呼ぶ)が追跡対象であると判定された場合、カメラ16の撮影方向が特定の対象の方向に向くように、カメラ16の撮影方向を制御する。
【0036】
さらに具体的に、撮影制御部117は、この場合、例えば、特定の対象が映る位置が画像データの中心になるように、カメラ16の撮影方向を制御するものであってよい。また、撮影制御部117は、例えば、今回撮影された画像データにおける特定の対象の位置と前回撮影された画像データにおける特定の対象の位置との差異の大きさに従って、カメラ16の撮影方向を制御するものであってよい。
【0037】
なお、撮影制御部117は、例えば、今回撮影された画像データにおける特定の対象の大きさと前回撮影された画像データにおける特定の対象の大きさとの差異が予め定められた閾値以上である場合、カメラ16の撮影方向を制御に代えて、または、カメラ16の撮影方向を制御とともに、カメラ16のズームインまたはズームアウトを行うものであってもよい。
【0038】
情報受信部118は、例えば、他の対象追跡装置1から送信された追跡依頼を受信する。追跡依頼は、例えば、他の対象追跡装置1が追跡を行っていた追跡対象(他の対象追跡装置1が有するカメラ16によって撮影された画像データに映っていた追跡対象)の追跡の引継ぎ依頼である。
【0039】
移動算出部119は、例えば、位置特定部115が複数回特定した追跡対象の位置から追跡対象の移動方向を算出する。また、移動算出部119は、例えば、位置特定部115が複数回特定した追跡対象の位置から追跡対象の移動速度を算出する。
【0040】
情報送信部120は、例えば、他の対象追跡装置1に対して追跡依頼を送信する。具体的に、情報送信部120は、例えば、移動算出部119によって算出された移動速度を含む追跡依頼を生成し、生成した追跡依頼を他の対象追跡装置1に送信する。
【0041】
すなわち、例えば、カメラ16によって撮影された1以上画像データに映っていた追跡対象が、カメラ16によって撮影された新たな画像データに映っていなかった場合、情報送信部120は、移動算出部119によって特定された追跡対象の移動方向に位置する他の対象追跡装置1に対して追加依頼を送信する。言い換えれば、情報送信部120は、例えば、追跡中の追跡対象を見失った場合、その追跡対象の追跡を継続する可能性が高いと判断できる他の対象追跡装置1に対して追加依頼を送信する。
【0042】
このように、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、撮影方向を変更自在なカメラ16と、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定し、画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす追跡対象を特定し、特定した追跡対象を追跡して撮影するように、カメラ16による撮影方向を制御する。
【0043】
すなわち、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、カメラ16が撮影する画像データに複数の対象が映っている場合、移動方向や移動速度についての主導権を有していると判断できる1の対象(例えば、親の熊等)を追跡対象として特定する。具体的に、対象追跡装置1は、例えば、最も大きさが大きい1の対象や先頭を移動する1の対象を追跡対象として特定する。そして、対象追跡装置1は、例えば、特定した追跡対象の追跡が可能になるようにカメラ16の撮影方向を制御する。そして、対象追跡装置1は、例えば、特定した追跡対象を追跡して撮影を行う。
【0044】
これにより、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、出没した対象の追跡及び撮影を精度良く行うことが可能になる。そのため、対象追跡装置1は、例えば、出没した対象の撮影を長く行うことが可能になる。したがって、管理者は、例えば、撮影された対象の挙動等を十分に観察することが可能になり、早期かつ十分な対策を行うことが可能になる。
【0045】
[第1の実施の形態における対象追跡処理の詳細]
次に、第1の実施の形態における対象追跡処理の詳細について説明を行う。図5から図15は、第1の実施の形態における対象追跡処理の詳細を説明するフローチャート図である。また、図16は、第1の実施の形態における対象追跡処理の詳細を説明する図である。
【0046】
[対象追跡装置1における処理]
初めに、対象追跡装置1における対象追跡処理について説明を行う。図5から図14は、対象追跡装置1における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
【0047】
情報受信部118は、図5に示すように、例えば、モーションセンサ15が物体を検出したことを示す情報(以下、検出情報とも呼ぶ)をモーションセンサ15から受信するまで、または、他の対象追跡装置1から追跡対象の追跡依頼を受信まで待機する(S11のNO)。
【0048】
そして、モーションセンサ15から検出情報を受信した場合(S11のYES、S12のYES)、撮影制御部117は、例えば、検出情報を送信したモーションセンサ15の検出方向に応じて、カメラ16の撮影方向を制御する(S13)。
【0049】
具体的に、例えば、西向きのモーションセンサ15と北向きのモーションセンサ15と東向きのモーションセンサ15とが対象追跡装置1(自装置)に取り付けられている場合において、西向きのモーションセンサ15が物体を検出した場合、撮影制御部117は、カメラ16の撮影方向を西向きに変更する。
【0050】
その後、撮影制御部117は、例えば、S13の処理で撮影方向の制御が行われた後のカメラ16による撮影を開始する(S14)。
【0051】
すなわち、撮影制御部117は、例えば、モーションセンサ15が検出した物体が熊等の対象である可能性があると判定し、モーションセンサ15が検出した物体の撮影を開始する。
【0052】
一方、他の対象追跡装置1から追跡対象の追跡依頼を受信した場合(S11のYES、S12のNO)、撮影制御部117は、図6に示すように、例えば、受信した追跡依頼に含まれる追跡対象の移動速度から、対象追跡装置1(自装置)が撮影可能な範囲内に追跡対象が到達するまでの予測時間(以下、到達時間とも呼ぶ)を算出する。
【0053】
具体的に、撮影制御部117は、例えば、記憶領域110に記憶された位置情報131を参照して、追跡依頼を送信した他の対象追跡装置1から対象追跡装置1(自装置)までの距離を特定する。そして、撮影制御部117は、例えば、特定した距離を追跡対象の移動速度で除算することによって到達時間を算出する。
【0054】
なお、S11の処理において他の対象追跡装置1から追跡対象の追跡依頼を受信した場合、情報管理部111は、例えば、受信した追跡依頼を情報格納領域130に記憶するものであってよい。以下、位置情報131の具体例について説明を行う。
【0055】
[位置情報131の具体例]
図16は、位置情報131の具体例について説明する図である。
【0056】
図16に示す位置情報131は、対象追跡装置1の装置IDが設定される「装置ID」と、「装置ID」に設定された装置IDに対応する対象追跡装置1を基準とした場合における「装置ID」が「1」である対象追跡装置1の位置が設定される「装置(1)」と、「装置ID」に設定された装置IDに対応する対象追跡装置1を基準とした場合における「装置ID」が「2」である対象追跡装置1の位置が設定される「装置(2)」と、「装置ID」に設定された装置IDに対応する対象追跡装置1を基準とした場合における「装置ID」が「3」である対象追跡装置1の位置が設定される「装置(3)」と、「装置ID」に設定された装置IDに対応する対象追跡装置1を基準とした場合における「装置ID」が「4」である対象追跡装置1の位置が設定される「装置(4)」と、「装置ID」に設定された装置IDに対応する対象追跡装置1を基準とした場合における「装置ID」が「5」である対象追跡装置1の位置が設定される「装置(5)」とを項目として有する。
【0057】
具体的に、図16に示す位置情報131において、1行目の情報(「装置ID」が「1」である情報)には、「装置(2)」として「東南100(m)」が設定され、「装置(3)」として「東100(m)」が設定され、「装置(4)」として「東300(m)」が設定され、「装置(5)」として「北東400(m)」が設定されている。
【0058】
すなわち、図16に示す位置情報131のうちの1行目の情報は、例えば、「装置ID」が「2」である対象追跡装置1の位置が、「装置ID」が「1」である対象追跡装置1の位置を基準とした場合における東南方向の100(m)先であることを示している。図16に含まれる他の情報についての説明は省略する。
【0059】
そのため、例えば、対象追跡装置1(自装置)の「装置ID」が「1」であり、追跡対象を送信した他の対象追跡装置1の「装置ID」が「2」である場合、撮影制御部117は、追跡依頼を送信した他の対象追跡装置1から対象追跡装置1(自装置)までの距離として「100(m)」を特定するものであってよい。そして、例えば、他の対象追跡装置1から送信された追跡依頼に含まれる追跡対象の移動速度が「2(m/秒)」である場合、撮影制御部117は、到達時間として「50(秒)」を算出するものであってよい。
【0060】
図6に戻り、撮影制御部117は、例えば、S21の処理で算出した到達時間から追跡対象を待機する時間(以下、待機時間とも呼ぶ)を算出する(S22)。
【0061】
具体的に、撮影制御部117は、例えば、S21の処理で算出した到達時間に対して予め定められたマージン(例えば、数十秒)を加算することによって、待機時間を算出するものであってよい。
【0062】
その後、撮影制御部117は、例えば、S11の処理で受信した追跡依頼を送信した他の対象追跡装置1の設置位置に応じて、カメラ16の撮影方向を制御する(S23)。
【0063】
具体的に、撮影制御部117は、例えば、記憶領域110に記憶された位置情報131を参照して、S11の処理で受信した追跡依頼を送信した他の対象追跡装置1の位置の対象追跡装置1の位置を基準とした場合における方向(以下、第1方向とも呼ぶ)を特定するものであってよい。そして、撮影制御部117は、例えば、カメラ16の撮影方向を第1方向に変更するものであってよい。
【0064】
続いて、情報受信部118は、図7に示すように、S22の処理で算出した待機時間が経過するまでの間、モーションセンサ15から検出情報を受信するまで待機する(S24のNO、S31のNO)。
【0065】
そして、モーションセンサ15から検出情報を受信した場合(S24のNO、S31のYES)、撮影制御部117は、例えば、検出情報を送信したモーションセンサ15の検出方向に応じて、カメラ16の撮影方向を制御する(S32)。
【0066】
その後、撮影制御部117は、例えば、S32の処理で撮影方向の制御が行われた後のカメラ16による撮影を開始する(S33)。
【0067】
一方、S22の処理で算出した待機時間が経過するまでの間に、モーションセンサ15から検出情報を受信しなかった場合(S31のNO、S24のYES)、情報送信部120は、例えば、S11の処理で受信した追跡依頼に対応する追跡対象の追跡に失敗したことを示す情報(以下、追跡ロスト情報とも呼ぶ)を管理装置2に送信する(S25)。そして、対象追跡装置1は、例えば、対象追跡処理を終了する。
【0068】
これにより、管理者は、例えば、管理装置2から出力される情報を参照することで、追跡対象の追跡に失敗したことを示す情報や、追跡対象の追跡に失敗した対象追跡装置1(追跡対象の追跡に失敗した位置)を把握することが可能になる。
【0069】
そして、S14の処理またはS33の処理の後、対象判定部112は、図8に示すように、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに熊等の対象が映っているか否かを判定する(S41)。
【0070】
その結果、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っていないと判定した場合(S41のNO)、対象判定部112は、例えば、S14の処理またはS33の処理でカメラ16による撮影を開始してから予め指定された時間(以下、単に指定時間とも呼ぶ)が経過しているか否かを判定する(S42)。
【0071】
そして、S14の処理またはS33の処理でカメラ16による撮影を開始してから指定時間が経過していないと判定した場合(S42のNO)、撮影制御部117は、例えば、カメラ16のズームが可能であるか否かを判定する(S43)。
【0072】
その結果、カメラ16のズームが可能であると判定した場合(S43のNO)、撮影制御部117は、例えば、予め指定された値(例えば、予め指定された倍率)に従ってカメラ16のズームインを行う(S44)。その後、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。
【0073】
すなわち、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに映る対象の大きさが小さい場合、対象判定部112は、その画像データに対象が映っていないと判定する可能性がある。そのため、撮影制御部117は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っていないと判定された場合、カメラ16のズームインを行ってから再度撮影を行い、撮影された画像データに対象が映っているか否かについての判定を再度行う。
【0074】
これにより、対象追跡装置1は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに映る対象の大きさが小さい場合であっても、対象の検出を行うことが可能になる。
【0075】
一方、カメラ16のズームが可能でないと判定した場合(S43のNO)、撮影制御部117は、例えば、カメラ16のズームアウトを行う。
【0076】
すなわち、撮影制御部117は、この場合、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っていないと判定し、カメラ16のズーム状態を初期状態に戻す。
【0077】
そして、S44の処理またはS45の処理の後、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。
【0078】
また、S41の処理において、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っていると判定した場合(S41のYES)、対象判定部112は、図9に示すように、例えば、対象が検出されたことを示すフラグ(以下、検出フラグとも呼ぶ)を記憶領域110に記憶(設定)する(S51)。
【0079】
そして、S11の処理において追跡依頼を受信していない場合、すなわち、S11の処理において検出情報を受信している場合(S52のNO)、情報送信部120は、例えば、追跡対象の追跡に開始することを示す情報(以下、追跡開始情報とも呼ぶ)を管理装置2に送信する(S53)。
【0080】
これにより、管理者は、例えば、管理装置2から出力される情報を参照することで、追跡対象の追跡が開始されたことを示す情報や、追跡対象の追跡を行っている対象追跡装置1(追跡対象の追跡が行われている位置)を把握することが可能になる。
【0081】
その後、対象特定部113は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データから追跡対象を特定する(S54)。
【0082】
具体的に、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに1つの対象が映っている場合、対象特定部113は、画像データに映る1つの対象を追跡対象として特定する。また、例えば、画像データに複数の対象が映っている場合、対象特定部113は、画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす1つの対象を追跡対象として特定する。
【0083】
さらに具体的に、対象特定部113は、例えば、画像データに複数の対象が映っていると判定された場合、画像データに映る複数の対象のうちの最も大きさが大きい対象を追跡対象として特定するものであってよい。また、対象特定部113は、例えば、画像データに複数の対象が映っていると判定された場合、画像データに映る複数の対象のうちの先頭を移動する対象を追跡対象として特定するものであってよい。
【0084】
なお、例えば、画像データに複数の対象が映っている場合において、各対象のカメラ16からの位置が異なっていると判定した場合、対象特定部113は、例えば、各対象のカメラ16からの距離を同一とした場合における各対象の大きさを推定するものであってよい。そして、対象特定部113は、この場合、例えば、推定した各対象の大きさを比較することによって追跡対象を特定するものであってよい。
【0085】
また、例えば、画像データに複数の対象が映っている場合、対象特定部113は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データから、複数の対象のそれぞれの移動方向を特定するものであってよい。そして、例えば、各対象の移動方向の差異が閾値以下である場合、すなわち、各対象の移動方向がほぼ同一であると判定可能である場合、対象特定部113は、各対象の移動方向の平均等を算出することにより、複数の対象の全体としての移動方向(以下、全体の移動方向とも呼ぶ)を特定するものであってよい。さらに、対象特定部113は、この場合、例えば、全体の移動方向に向けて最も進んでいる対象を追跡対象として特定するものであってよい。
【0086】
そして、S41の処理で検出した対象が複数である場合(S55のYES)、特徴特定部114は、図10に示すように、例えば、S41の処理で検出した対象ごとに、各対象についての特徴を特定する(S61)。
【0087】
また、位置特定部115は、この場合、例えば、S41の処理で検出した対象ごとに、各対象の位置を特定する(S62)。
【0088】
続いて、対象比較部116は、例えば、今回のS41の処理で検出した対象ごとに、前回のS41の処理で検出した対象との対応付けを行う(S63)。
【0089】
具体的に、対象比較部116は、例えば、今回のS41の処理で検出した対象ごとに、前回のS41の処理で検出した対象のうち、S61の処理で特定された特徴の類似関係が第2条件を満たし、かつ、S62の処理で特定された位置の類似関係が第3条件を満たす対象を、同一の対象として特定する。その後、撮影制御部117は、例えば、今回のS54の処理で特定した追跡対象の位置に応じて、カメラ16の撮影方向を制御する(S56)。そして、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。
【0090】
具体的に、撮影制御部117は、例えば、S54の処理で特定した追跡対象の位置の対象追跡装置1の位置を基準とした場合における方向(以下、第2方向とも呼ぶ)を特定する。撮影制御部117は、例えば、カメラ16の撮影方向を第2方向に変更する。
【0091】
一方、S55の処理において、カメラ16によって撮影された画像データに複数の対象が映っていない場合、すなわち、カメラ16によって撮影された画像データに1つの対象が映っている場合(S55のNO)、対象追跡装置1は、例えば、S61の処理からS63の処理を行わない。そして、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。
【0092】
すなわち、カメラ16によって撮影された画像データに映る対象が1つのみである場合、対象比較部116は、例えば、画像データに映る対象が前回のS54の処理において特定された追跡対象と同一であると判定することが可能である。そのため、対象比較部116は、この場合、例えば、S61の処理からS63の処理を省略する。
【0093】
これにより、対象追跡装置1は、例えば、カメラ16の撮影方向の制御に伴う処理負担を抑制することが可能になる。そのため、対象追跡装置1は、例えば、自装置のスペックが十分でない場合であっても、カメラ16の撮影方向の制御をリアルタイムに行うことが可能になる。
【0094】
また、S52の処理において、S11の処理において追跡依頼を受信している場合(S52のYES)、特徴特定部114は、図11に示すように、例えば、S41の処理で検出した対象についての特徴を特定する(S71)。具体的に、特徴特定部114は、例えば、S41の処理で検出した対象が複数である場合、各対象についての特徴を特定する。
【0095】
その後、対象比較部116は、例えば、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての特徴と、S71の処理で特定された対象についての特徴との類似関係が第2条件を満たす対象が存在するか否かを判定する(S72)。
【0096】
その結果、S41の処理で検出した対象に、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての特徴と、S71の処理で特定された対象についての特徴との類似関係が第2条件を満たす対象が存在すると判定した場合(S73のYES)、撮影制御部117は、図12に示すように、例えば、存在すると判定した対象の位置に応じて、カメラ16の撮影方向を制御する(S81)。
【0097】
すなわち、対象追跡装置1は、この場合、例えば、他の対象追跡装置1が追跡していた追跡対象(他の対象追跡装置1のカメラ16が撮影した画像データの映っていた追跡対象)の追跡を引継ぐ。
【0098】
そして、情報送信部120は、例えば、S11の処理で受信した追跡依頼に対応する追跡対象の追跡を対象追跡装置1(自装置)が引継ぐことを示す情報(以下、追跡継続情報とも呼ぶ)を管理装置2に送信する(S82)。
【0099】
その後、S41の処理で検出した対象が複数である場合(S83のYES)、位置特定部115は、この場合、例えば、S41の処理で検出した対象ごとに、各対象の位置を特定する(S84)。
【0100】
一方、S41の処理で検出した対象が複数でない場合(S83のNO)、対象追跡装置1は、例えば、S84の処理を行わない。
【0101】
その後、情報管理部111は、例えば、S11の処理で受信した追跡依頼を情報格納領域130から削除する(S85)。そして、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。 また、S73の処理において、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての特徴と、S71の処理で特定された対象についての特徴との類似関係が第2条件を満たしていないと判定した場合(S73のNO)、情報送信部120は、例えば、S73の処理が行われた回数が予め指定された回数(以下、指定回数とも呼ぶ)に到達しているか否を判定する(S74)。
【0102】
その結果、S72の処理が行われた回数が指定回数に到達していないと判定した場合(S74のNO)、対象判定部112は、例えば、S41以降の処理を再度行う。
【0103】
一方、S72の処理が行われた回数が指定回数に到達していると判定した場合(S74のYES)、情報送信部120は、例えば、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての追跡ロスト情報を管理装置2に送信する(S75)。
【0104】
すなわち、情報送信部120は、例えば、S72の処理を繰り返し行ったにもかかわらず、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象と、S71の処理で特定された対象とが類似すると判定されなかった場合に、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての追跡ロスト情報を送信する。
【0105】
その後、情報管理部111は、例えば、S11の処理で受信した追跡依頼を情報格納領域130から削除する(S76)。そして、情報送信部120等は、例えば、S53以降の処理を行う。
【0106】
すなわち、情報送信部120は、この場合、例えば、S41の処理で特定した対象がS11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象と異なると判定し、S11の処理において受信した追跡依頼に含まれる追跡対象についての追跡ロスト情報と、S41の処理で特定した対象を新たな追跡対象として追跡を開始することを示す追跡開始情報とを管理装置2に送信する。
【0107】
また、S42の処理において、S14の処理またはS33の処理でカメラ16による撮影を開始してから指定時間が経過していると判定した場合(S42のYES)、情報送信部120は、図13に示すように、例えば、記憶領域110に検出フラグが設定されているか否かを判定する(S91)。
【0108】
その結果、記憶領域110に検出フラグが設定されていると判定した場合(S91のYES)、情報送信部120は、例えば、前回のS54の処理で特定した追跡対象の移動方向に他の対象追跡装置1が存在するか否かを判定する(S92)。
【0109】
具体的に、移動算出部119は、この場合、例えば、S62の処理やS72の処理において特定された追跡対象の各位置(すなわち、追跡対象の軌跡)から追跡対象の移動方向を特定する。そして、情報送信部120は、例えば、記憶領域110に記憶された位置情報131を参照して、特定した移動方向に他の対象追跡装置1が存在するか否かを判定する。
【0110】
その結果、前回のS54の処理で特定した追跡対象の移動方向に他の対象追跡装置1が存在しないと判定した場合(S92のNO)、情報送信部120は、例えば、前回のS54の処理で特定した追跡対象についての追跡ロスト情報を管理装置2に送信する(S93)。
【0111】
すなわち、情報送信部120は、例えば、前回のS54の処理で特定した追跡対象の追跡を継続することができないと判定し、前回のS54の処理で特定した追跡対象についての追跡ロスト情報を管理装置2に送信する。
【0112】
一方、前回のS54の処理で特定した追跡対象の移動方向に他の対象追跡装置1が存在すると判定した場合(S92のYES)、情報送信部120は、例えば、前回のS54の処理で特定した追跡対象の移動速度を算出する(S94)。
【0113】
具体的に、情報送信部120は、この場合、例えば、S62の処理やS72の処理において特定された追跡対象の各位置やカメラ16による画像データの撮影間隔等から追跡対象の移動速度を特定する。
【0114】
そして、情報送信部120は、例えば、S92の処理で存在すると判定した他の対象追跡装置1に対して追跡依頼を送信する(S95)。
【0115】
具体的に、情報送信部120は、例えば、S61の処理またはS71の処理で最後に特定した追跡対象の特徴と、S94の処理で算出した追跡対象の移動速度とを含む追跡依頼を送信するものであってよい。
【0116】
その後、撮影制御部117は、例えば、カメラ16による撮影を停止する(S96)。そして、対象追跡装置1は、例えば、対象追跡処理を終了する。
【0117】
なお、撮影制御部117は、記憶領域110に検出フラグが設定されていないと判定した場合(S91のNO)、及び、S93の処理が行われた後においても同様に、S96の処理を行う。
【0118】
これにより、撮影制御部117は、例えば、追跡対象の追跡に伴う消費電力(カメラ16による撮影に伴う電力消費)を抑えることが可能になる。
【0119】
このように、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、撮影方向を変更自在なカメラ16と、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定し、画像データに複数の対象が映っていると判定した場合、画像データに映る複数の対象のうちの他の対象との関係が第1条件を満たす追跡対象を特定し、特定した追跡対象を追跡して撮影するように、カメラ16による撮影方向を制御する。
【0120】
すなわち、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、カメラ16が撮影する画像データに複数の対象が映っている場合、移動方向や移動速度についての主導権を有していると判断できる1の対象(例えば、親の熊等)を追跡対象として特定する。具体的に、対象追跡装置1は、例えば、最も大きさが大きい1の対象や先頭を移動する1の対象を追跡対象として特定する。そして、対象追跡装置1は、例えば、特定した追跡対象の追跡が可能になるようにカメラ16の撮影方向を制御する。そして、対象追跡装置1は、例えば、特定した追跡対象を追跡して撮影を行う。
【0121】
これにより、本実施の形態における対象追跡装置1は、例えば、出没した対象の追跡及び撮影を精度良く行うことが可能になる。そのため、対象追跡装置1は、例えば、出没した対象の撮影を長く行うことが可能になる。したがって、管理者は、例えば、撮影された対象の挙動等を十分に観察することが可能になり、早期かつ十分な対策を行うことが可能になる。
【0122】
[S41の処理の詳細]
次に、S41の処理の詳細について説明を行う。図14は、S41の処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【0123】
対象判定部112は、S33の処理の後、図14に示すように、例えば、S31の処理で検出した物体についての所定数の画像データを撮影する(S101)。ここでの所定数の画像データは、例えば、数枚の画像データであってよい。
【0124】
そして、対象判定部112は、例えば、S101が撮影した所定数の画像データから、S31の処理で検出した物体が動作しているか否かを判定する(S102)。
【0125】
その結果、S31の処理で検出した物体が動作していないと判定した場合(S103のNO)、撮影制御部117は、例えば、S96以降の処理を行う。
【0126】
すなわち、モーションセンサ15は、例えば、光の反射等が発生した場合においても、物体が検知されたと判定する可能性がある。そのため、対象判定部112は、例えば、S31の処理で検出した物体が動作していないと判定した場合、S31の処理で検出した物体が対象でないと判定し、カメラ16による撮影を終了するものであってもよい。
【0127】
これにより、撮影制御部117は、例えば、追跡対象の追跡に伴う消費電力(カメラ16による撮影に伴う電力消費)をより抑えることが可能になる。
【0128】
一方、S31の処理で検出した物体が動作していると判定した場合(S103のYES)、対象判定部112は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っているか否かを判定する(S104)。
【0129】
その結果、カメラ16によって撮影された画像データに対象が映っていないと判定した場合(S104のNO)、対象判定部112は、例えば、カメラ16によって撮影された画像データに対象以外の物体(以下、対象外とも呼ぶ)が映っているか否かを判定する(S105)。
【0130】
そして、カメラ16によって撮影された画像データに対象外が映っていると判定した場合(S105のYES)、撮影制御部117は、例えば、S96以降の処理を行う。
【0131】
一方、カメラ16によって撮影された画像データに対象外が映っていないと判定した場合(S105のNO)、対象判定部112は、例えば、S42以降の処理を行う。
【0132】
[管理装置2における処理]
次に、管理装置2における対象追跡処理について説明を行う。図15は、管理装置2における対象追跡処理を説明するフローチャート図である。
【0133】
管理装置2は、図15に示すように、例えば、対象追跡装置1のいずれかから情報を受信するまで待機する(S201のNO)。
【0134】
具体的に、管理装置2は、例えば、対象追跡装置1のいずれかから追跡開始情報または追跡ロスト情報を受信するまで待機する。
【0135】
そして、対象追跡装置1のいずれかから情報を受信した場合(S201のYES)、管理装置2は、例えば、受信した情報を記憶領域(図示せず)に記憶する(S202)。
【0136】
また、管理装置2は、この場合、例えば、S201の処理で受信した情報を管理者が閲覧可能な操作端末(図示せず)に出力する(S203)。
【0137】
これにより、管理者は、例えば、操作端末に出力された情報を閲覧することで、対象の追跡状況を把握することが可能になる。
【0138】
[第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例]
次に、第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例について説明を行う。図17から図19は、第1の実施の形態における対象追跡処理の変形例について説明する図である。
【0139】
なお、以下、S41の処理を検出処理OBとも呼び、S61の処理を特徴特定処理FEとも呼び、S62の処理を位置特定処理LPとも呼び、S63の処理を対象比較処理SCとも呼び、S56の処理を撮影制御処理CPとも呼ぶ。
【0140】
図5等で説明した対象追跡装置1では、図17に示すように、カメラ16が画像データを撮影した場合、例えば、検出処理OB1、特徴特定処理FE1、位置特定処理LP1、対象比較処理SC1及び撮影制御処理CP1を順次行う。そして、カメラ16が次の画像データを撮影した場合、図5等で説明した対象追跡装置1では、例えば、検出処理OB2、特徴特定処理FE2、位置特定処理LP2、対象比較処理SC2及び撮影制御処理CP2を順次行う。さらに、カメラ16が次の画像データを撮影した場合、図5で説明した対象追跡装置1では、例えば、検出処理OB3以降の処理を順次行う。
【0141】
これに対し、本変形例における対象追跡装置1では、例えば、検出処理OBを他の処理と異なるリソース(例えば、情報処理装置11が有する複数のCPU101における異なるCPU101)において行う。
【0142】
具体的に、対象追跡装置1では、図18に示すように、例えば、検出処理OB1、検出処理OB2及び検出処理OB3のそれぞれをリソース2、リソース3及びリソース4のそれぞれにおいて並列に行う。そして、対象追跡装置1では、例えば、特徴特定処理FE1、位置特定処理LP1、対象比較処理SC1、撮影制御処理CP1、特徴特定処理FE2、位置特定処理LP2、対象比較処理SC2及び撮影制御処理CP2等をリソース1において纏めて行う。
【0143】
これにより、対象追跡装置1は、例えば、検出処理OBの実行時間が他の処理よりも長く場合であっても、対象追跡処理の実行に伴う全体の処理時間を抑えることが可能になる。そのため、対象追跡装置1は、例えば、対象追跡処理のリアルタイム性を確保することが可能になる。
【0144】
なお、対象追跡装置1では、例えば、カメラ16が撮影した画像データに映る対象が1つである場合(S55のNO)、図19に示すように、特徴特定処理FE1、位置特定処理LP1及び対象比較処理SC1等の実行を省略するものであってよい。
【符号の説明】
【0145】
1:対象追跡装置
2:管理装置
10:対象追跡システム
11:情報処理装置
12:通信装置
13:バッテリー
14:バッテリーコントローラ
15:モーションセンサ
16:カメラ
101:CPU
102:メモリ
103:通信インタフェース
104:記憶媒体
105:バス
110:記憶領域
111:情報管理部
112:対象判定部
113:対象特定部
114:特徴特定部
115:位置特定部
116:対象判定部
117:撮影制御部
118:情報受信部
119:移動算出部
120:情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19