(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135849
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】定着材料供給装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20240927BHJP
B01F 25/60 20220101ALI20240927BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20240927BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20240927BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20240927BHJP
B28C 7/14 20060101ALI20240927BHJP
B01F 101/28 20220101ALN20240927BHJP
【FI】
B01F35/71
B01F25/60
B01F23/50
B01F35/213
B01F35/222
B28C7/14
B01F101:28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046735
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】間野 真至
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G056
【Fターム(参考)】
4G035AB44
4G035AC33
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA04
4G037AA18
4G037EA01
4G056AA08
4G056CA01
4G056CB01
4G056CB02
4G056CB13
4G056CB19
4G056CB23
4G056DA09
(57)【要約】
【課題】2台の混練圧送ポンプに対する定着材料の選択供給と同時供給の双方を行うことができ、定着材料の枯渇による混練圧送ポンプの停止を防止できる。
【解決手段】ドライモルタルDMが投下される有底状の振分円筒3に、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11aにドライモルタルDMを投下する第1投下筒4aと、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11bにドライモルタルDMを投下する第2投下筒4bと、軸周りに回転可能に内装され、ドライモルタルDMを振分円筒3の底部31に導くように傾斜する仕切傾斜板5が設けられ、仕切傾斜板5の傾斜方向を、ドライモルタルDMを第1投下筒4aの第1開口41aだけに導く第1停止位置ST1と、第2投下筒4bの第2開口41bだけに導く第2停止位置ST2と、第1開口41aと第2開口41bの双方に導く第3停止位置ST3に、回転調整可能である定着材料供給装置1。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着材料を収容するサイロから前記定着材料を移送する移送部と、
前記移送部の先端側から内部に前記定着材料が投下される有底状の振分円筒と、
前記振分円筒の底部付近で開口する第1開口で前記振分円筒と連通し、第1混練圧送ポンプの第1ホッパーに前記定着材料を投下する第1投下筒と、
前記振分円筒の底部付近で開口し且つ前記第1開口と前記振分円筒の周方向に間隔を開けて設けられた第2開口で前記振分円筒と連通し、第2混練圧送ポンプの第2ホッパーに前記定着材料を投下する第2投下筒と、
前記振分円筒に前記振分円筒の軸周りに回転可能に内装され、前記振分円筒に投下された前記定着材料を前記振分円筒の底部に導くように傾斜する仕切傾斜板とを備え、
前記仕切傾斜板の傾斜方向を、前記第1投下筒に連通する前記第1開口だけに前記定着材料を導く第1停止位置と、前記第2投下筒に連通する前記第2開口だけに前記定着材料を導く第2停止位置と、前記第1開口と前記第2開口の双方に前記定着材料を導く第3停止位置とに、回転調整可能であることを特徴とする定着材料供給装置。
【請求項2】
前記仕切傾斜板の外周の一部に沿うように固定される略半円筒状の半円内筒が前記振分円筒に内装され、
前記半円内筒が前記振分円筒の軸周りに回転することにより前記仕切傾斜板が回転することを特徴とする請求項1記載の定着材料供給装置。
【請求項3】
前記仕切傾斜板及び前記半円内筒が前記振分円筒に対して着脱自在であると共に、
前記振分円筒の底部に滞留した前記定着材料を排出する排出穴が設けられていることを特徴とする請求項2記載の定着材料供給装置。
【請求項4】
前記第1混練圧送ポンプの前記第1ホッパーに内装される前記定着材料の貯留量を検知する第1レベルセンサと、
前記第2混練圧送ポンプの前記第2ホッパーに内装される前記定着材料の貯留量を検知する第2レベルセンサと、
前記仕切傾斜板を前記振分円筒の軸周りに回転させる位置決めモーターと、
前記位置決めモーターの回転動作を制御する回転駆動制御部とを備え、
前記第1レベルセンサが発信する前記定着材料の設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第1信号だけの信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第1停止位置となるように前記位置決めモーターを制御し、
前記第2レベルセンサが発信する前記定着材料の設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第2信号だけの前記信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第2停止位置となるように前記位置決めモーターを制御し、
前記第1信号と前記第2信号の双方の前記信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第3停止位置となるように前記位置決めモーターを制御することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の定着材料供給装置。
【請求項5】
前記移送部の移送動作の実行と停止を制御する移送動作制御部を備え、
前記第1信号と前記第2信号の双方の前記信号受信部による無受信に応じて、前記移送動作制御部が前記移送部の移送動作を停止することを特徴とする請求項4記載の定着材料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等の地山に定着材を注入する混練圧送ポンプにドライモルタル等の定着材料を供給する定着材料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの地山にロックボルトを打設し、ロックボルトが打設された穿孔内に定着材であるモルタルを混練圧送する際に、混練圧送ポンプが用いられている。そして、混練圧送ポンプには、ホッパー内にドライモルタルを投入して運転を開始すると、ドライモルタル粉を規定の水量で練り上げ、規程の圧力でモルタルを連続吐出できるものがある。モルタルを連続吐出する混練圧送ポンプでは、モルタルを連続吐出する故にホッパー内のドライモルタルが急速に減少するため、ホッパー内にドライモルタルを供給することが必要になる。
【0003】
混練圧送ポンプのホッパー内にドライモルタルを供給する装置として特許文献1の材料混練装置がある。この装置では、ドライモルタルをサイロに収容し、サイロから2つの混練圧送ポンプにドライモルタルを移送する移送手段の先端側に、2股に分岐した一方の混練圧送ポンプのホッパーへの投下口と他方の混練圧送ポンプのホッパーへの投下口を設けると共に、一方の混練圧送ポンプのホッパーと他方の混練圧送ポンプのホッパーに選択的にドライモルタルを投下する切換手段を設け、一方の混練圧送ポンプのホッパー内のドライモルタルの貯留量が設定量より多くなったときに、他方の混練圧送ポンプのホッパーへドライモルタルを投下するよう切換手段を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の材料供給装置では、一方の混練圧送ポンプのホッパー内のドライモルタルの貯留量が設定量より多くなるまで、他方の混練圧送ポンプのホッパー内にドライモルタルの供給を切り換えることができない。そのため、後からホッパー内のドライモルタルの貯留量が足りなくなった他方の混練圧送ポンプではドライモルタルが無くなり、他方の混練圧送ポンプの停止を余儀なくされることがあるという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、2台の混練圧送ポンプに対する定着材料の選択供給と同時供給の双方を行うことができ、ホッパー内の定着材料の枯渇による混練圧送ポンプの停止を防止することができる定着材料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の定着材料供給装置は、定着材料を収容するサイロから前記定着材料を移送する移送部と、前記移送部の先端側から内部に前記定着材料が投下される有底状の振分円筒と、前記振分円筒の底部付近で開口する第1開口で前記振分円筒と連通し、第1混練圧送ポンプの第1ホッパーに前記定着材料を投下する第1投下筒と、前記振分円筒の底部付近で開口し且つ前記第1開口と前記振分円筒の周方向に間隔を開けて設けられた第2開口で前記振分円筒と連通し、第2混練圧送ポンプの第2ホッパーに前記定着材料を投下する第2投下筒と、前記振分円筒に前記振分円筒の軸周りに回転可能に内装され、前記振分円筒に投下された前記定着材料を前記振分円筒の底部に導くように傾斜する仕切傾斜板とを備え、前記仕切傾斜板の傾斜方向を、前記第1投下筒に連通する前記第1開口だけに前記定着材料を導く第1停止位置と、前記第2投下筒に連通する前記第2開口だけに前記定着材料を導く第2停止位置と、前記第1開口と前記第2開口の双方に前記定着材料を導く第3停止位置とに、回転調整可能であることを特徴とする。
これによれば、第1混練圧送ポンプの第1ホッパー内における定着材料の貯留量と、第2混練圧送ポンプの第2ホッパー内における定着材料の貯留量に応じて、第1ホッパーだけへの定着材料の供給、第2ホッパーだけへの定着材料の供給、第1ホッパーと第2ホッパーの双方への定着材料の同時供給の3通りの定着材料供給を行うことができる。即ち、2台の混練圧送ポンプに対する定着材料の選択供給と同時供給の双方を行うことができ、ホッパー内の定着材料の枯渇による混練圧送ポンプの停止を防止することができる。
【0008】
本発明の定着材料供給装置は、前記仕切傾斜板の外周の一部に沿うように固定される略半円筒状の半円内筒が前記振分円筒に内装され、前記半円内筒が前記振分円筒の軸周りに回転することにより前記仕切傾斜板が回転することを特徴とする。
これによれば、仕切傾斜板の半円内筒への固定によって仕切傾斜板の所定の傾斜角度を安定して維持することができると共に、仕切傾斜板の取付強度を高めることができる。また、仕切傾斜板を半円内筒と一体化した部品として取り扱うことができ、定着材料供給装置を構成する部品の取扱いの容易性を高めることができる。また、半円内筒の回転によって仕切傾斜板を回転させ、仕切傾斜板の傾斜方向を変更することができ、仕切傾斜板の傾斜方向の変更動作をスムーズ且つ安定して行うことができる。
【0009】
本発明の定着材料供給装置は、前記仕切傾斜板及び前記半円内筒が前記振分円筒に対して着脱自在であると共に、前記振分円筒の底部に滞留した前記定着材料を排出する排出穴が設けられていることを特徴とする。
これによれば、混練圧送ポンプのホッパーに供給されずに漏れ落ち、振分円筒の内部に滞留した定着材料を、仕切傾斜板及び半円内筒を振分円筒から取り外して清掃することができ、振分円筒に滞留した定着材料を清掃して、仕切傾斜板や半円内筒の回転動作の円滑性を容易に復帰することができる。また、振分円筒の底部の排出穴から滞留した定着材料を排出することにより、振分円筒に滞留した定着材料が仕切傾斜板や半円内筒の円滑な回転動作を阻害することを抑制することができる共に、仕切傾斜板及び半円内筒を振分円筒から取り外す清掃作業の頻度を少なくすることができる。
【0010】
本発明の定着材料供給装置は、前記第1混練圧送ポンプの前記第1ホッパーに内装される前記定着材料の貯留量を検知する第1レベルセンサと、前記第2混練圧送ポンプの前記第2ホッパーに内装される前記定着材料の貯留量を検知する第2レベルセンサと、前記仕切傾斜板を前記振分円筒の軸周りに回転させる位置決めモーターと、前記位置決めモーターの回転動作を制御する回転駆動制御部とを備え、前記第1レベルセンサが発信する前記定着材料の設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第1信号だけの信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第1停止位置となるように前記位置決めモーターを制御し、前記第2レベルセンサが発信する前記定着材料の設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第2信号だけの前記信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第3停止位置となるように前記位置決めモーターを制御し、前記第1信号と前記第2信号の双方の前記信号受信部による継続受信に応じて、前記回転駆動制御部が、前記仕切傾斜板の傾斜方向が前記第2停止位置となるように前記位置決めモーターを制御することを特徴とする。
これによれば、第1混練圧送ポンプの第1ホッパー内における定着材料の貯留量と、第2混練圧送ポンプの第2ホッパー内における定着材料の貯留量に応じて、第1ホッパーだけへの定着材料の供給、第2ホッパーだけへの定着材料の供給、第1ホッパーと第2ホッパーの双方への定着材料の同時供給の3通りの定着材料供給を自動的、効率的に選択して行うことができる。
【0011】
本発明の定着材料供給装置は、前記移送部の移送動作の実行と停止を制御する移送動作制御部を備え、前記第1信号と前記第2信号の双方の前記信号受信部による無受信に応じて、前記移送動作制御部が前記移送部の移送動作を停止することを特徴とする。
これによれば、第1混練圧送ポンプの第1ホッパーで定着材料が溢れることや、第2混練圧送ポンプの第2ホッパーで定着材料が溢れることを、自動的、効率的に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の定着材料供給装置によれば、2台の混練圧送ポンプに対する定着材料の選択供給と同時供給の双方を行うことができ、ホッパー内の定着材料の枯渇による混練圧送ポンプの停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による実施形態の定着材料供給装置をロックボルト施工中のトンネルに配置した状態の説明図。
【
図2】実施形態の定着材料供給装置と混練圧送ポンプが配置された状態の側面説明図。
【
図3】実施形態における混練圧送ポンプの断面説明図。
【
図4】実施形態の定着材料供給装置における振分円筒と第1投下筒と第2投下筒の透視斜視図。
【
図5】実施形態の定着材料供給装置における仕切傾斜板が無い状態の振分円筒と第1投下筒と第2投下筒の平面図。
【
図6】実施形態の定着材料供給装置における駆動制御機構のブロック図。
【
図7】実施形態の定着材料供給装置における仕切傾斜板の停止位置の変更と定着材料の供給を説明する説明図。
【
図8】(a)~(c)は実施形態の定着材料供給装置における各停止位置における半円内筒の位置を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の定着材料供給装置〕
本発明による実施形態の定着材料供給装置1は、
図1に示すように、例えばトンネルTの地山101にロックボルト102を打設し、ロックボルト102が打設された穿孔内に注入ホース103を介して定着材であるモルタルを混練圧送ポンプ10a、10bで混練圧送する際に用いられ、モルタルを連続吐出する混練圧送ポンプ10a、10bに定着材料としてドライモルタルDMを供給する。
【0015】
定着材料供給装置1は、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、定着材料のドライモルタルDMを収容するサイロ91からドライモルタルDMを移送する移送部と、移送部の先端側から内部にドライモルタルDMが投下される有底状の振分円筒3を有する。図示例の移送部はスクリューコンベア2で構成され、スクリューコンベア2の先端側から振分円筒3の上部開口にドライモルタルDMが投下される。尚、サイロ91には、500kg又は1ton等のリターナブルバッグ92からドライモルタルDMが投入され、収容される。
【0016】
振分円筒3には、略く字形の第1投下筒4aと略く字形の第2投下筒4bとがそれぞれ内部と連通するように取り付けられている。第1投下筒4aは、振分円筒3の底部31の付近で開口する第1開口41aで振分円筒3と連通し、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11aにドライモルタルを投下するように配置される。第2投下筒4bは、振分円筒3の底部31の付近で開口し且つ第1開口41aと振分円筒3の周方向に間隔を開けて設けられた第2開口41bで振分円筒3と連通し、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11bにドライモルタルを投下するように配置される。また、振分円筒3の底部31には、振分円筒3の内部に滞留したドライモルタルを排出可能な排出穴32が設けられており、本実施形態では、孤状細長穴の排出穴32が円板状の底部31の周縁付近において周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0017】
振分円筒3には、振分円筒3に上部開口から投下されたドライモルタルDMを振分円筒3の底部31に導くように傾斜する仕切傾斜板5が設けられており、仕切傾斜板5は、振分円筒3の軸周りに回転可能な状態で振分円筒3に内装されている。仕切傾斜板5は楕円形円板状に形成され、例えば振分円筒3の軸方向に対して45度程度の傾斜角度で設けられている。
【0018】
更に、本実施形態では、仕切傾斜板5の外周の一部に沿うように固定された略半円筒状の半円内筒6、図示例では全長に亘って断面視略C字形で略半円筒状の半円内筒6が振分円筒3に内装されており、仕切傾斜板5の周面51の一部に沿うように略半円筒状の半円内筒6の内周面61が固定されている。そして、半円内筒6を振分円筒3の軸周りに回転させることにより、半円内筒6に固定された仕切傾斜板5が回転するようになっている。仕切傾斜板5及び半円内筒6は、例えば振分円筒3の底部31に貫通して設けられる後述する位置決めモーター72の軸部と着脱自在とし、振分円筒3に対して着脱自在な状態で振分円筒3に内装されている。
【0019】
仕切傾斜板5の傾斜方向は、第1投下筒4aに連通する第1開口41aだけにドライモルタルDMを導く第1停止位置ST1と、第2投下筒4bに連通する第2開口41bだけにドライモルタルDMを導く第2停止位置ST2と、第1開口41aと第2開口41bの双方にドライモルタルDMを導く第3停止位置ST3とに、回転調整可能になっており、半円内筒6及びこれに固定された仕切傾斜板5を振分円筒3の内部で軸周りに回転させて位置調整可能になっている。
【0020】
第1混練圧送ポンプ10aは、
図1~
図3に示すように、漏斗状の第1ホッパー11aと、第1ホッパー11aの排出口111aと内部が連通し、排出口111aよりも先端寄りに設けられた注水口12aと内部が連通すると共に、直線状に延びるように形成された筒部13aを有し、筒部13aは、先端側が低くなるように傾斜して設けられている。
【0021】
筒部13aの内部には、ドライモルタルDMの空練り用の攪拌羽根14aと、攪拌羽根14aと軸方向に連結された攪拌棒15aとが設けられ、筒部13aの後側に設けられたモーター16aで攪拌羽根14aと攪拌棒15aを回転可能になっている。第1ホッパー11aの排出口111aから筒部13aの内部に投入されたドライモルタルDMは、攪拌羽根14aの回転で筒部13aの先端側に運ばれ、注水口12aから注水された水と攪拌棒15aの回転で混ぜられる。ドライモルタルDMと水を混練して生成されたモルタルはゴム製の内周螺旋ステーター内で金属製のスクリューローターが回転することにより押し混ぜられるように混錬されながら加圧吐出されるポンプ部17aで更に攪拌されて先端の吐出口18aから吐出される。
【0022】
第2混練圧送ポンプ10bの構成は、第1混練圧送ポンプ10aの構成と同一であり、排出口111bを有する漏斗状の第1ホッパー11bと、排出口111bと注水口12bと内部が連通する筒部13bと、筒部13bに内装される空練り用の攪拌羽根14bと水と攪拌する攪拌棒15bと、モーター16bと、ポンプ部17bと、突出口18bとから構成される(
図3参照)。
【0023】
振分円筒3の底部31の下側には、定着材料供給装置1を駆動する駆動装置7が設けられている(
図4、
図5参照)。駆動装置7は、
図6に示すように、PLCで構成される制御装置71と、仕切傾斜板5を振分円筒3の軸周りに回転させる位置決めモーター72、本実施形態では仕切傾斜板5が固定されている半円内筒6を振分円筒3の内部で振分円筒3の軸周りに回転させる位置決めモーター72とを備える。制御装置71には、位置決めモーター72の回転動作を制御する回転駆動制御部711と、スクリューコンベア2を動作させるコンベアモーター21の駆動を制御し、スクリューコンベア2の移送動作の実行と停止を制御する移送動作制御部712と、信号受信部713が設けられている。
【0024】
また、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11aにはドライモルタルDMの貯留量を検知する第1レベルセンサ19aが内装され、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11bにはドライモルタルDMの貯留量を検知する第2レベルセンサ19bが内装されている。第1レベルセンサ19aと第2レベルセンサ19bは、それぞれ制御部と、制御プログラムやドライモルタルDMの設定貯留量等を記憶する記憶部と、信号発信部と、ドライモルタルDMの貯留量を検知する検知子とから構成され、有線又は無線の通信回線を介して制御装置71の信号受信部713に所定の信号を発信するようになっている。
【0025】
第1レベルセンサ19aは、第1ホッパー11aに貯留されているドライモルタルDMの貯留量が設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の場合に、第1ホッパー11aのドライモルタルDMの貯留量の不足を示す第1信号S1を制御装置71の信号受信部713に送信し、第1ホッパー11aのドライモルタルDMの貯留量が設定貯留量以上若しくは設定貯留量超となって貯留量不足が解消されるまで第1信号S1を継続して発信し、貯留量不足の解消に応じて第1信号S1の発信を停止する。
【0026】
第2レベルセンサ19bも同様に、第2ホッパー11bに貯留されているドライモルタルDMの貯留量が設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の場合に、第2ホッパー11bのドライモルタルDMの貯留量の不足を示す第2信号S2を制御装置71の信号受信部713に送信し、第2ホッパー11bのドライモルタルDMの貯留量が設定貯留量以上若しくは設定貯留量超となって貯留量不足が解消されるまで第2信号S2を継続して発信し、貯留量不足の解消に応じて第2信号S2の発信を停止する。
【0027】
そして、
図6~
図8に示すように、制御装置71の回転駆動制御部711は、第1レベルセンサ19aが発信するドライモルタルDMの設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第1信号S1だけの信号受信部713による継続受信に応じて、仕切傾斜板5の傾斜方向が、第1混練圧送ポンプ10aにドライモルタルDMを供給する第1投下筒4aに連通する第1開口41aだけにドライモルタルDMを導く第1停止位置ST1となるように位置決めモーター72を制御し、第1停止位置ST1で仕切傾斜板5を定置する。即ち、楕円板状で所定傾斜角度で傾斜する仕切傾斜板5の長軸方向の下端を、第1開口41aに対応する位置、例えば第1開口41aの下縁の中央位置に配置すると共に、半円内筒6の断面視略C字形の開口側を第1開口41aに向くように配置する。
【0028】
また、制御装置71の回転駆動制御部711は、第2レベルセンサ19bが発信するドライモルタルDMの設定貯留量未満若しくは設定貯留量以下の第2信号S2だけの信号受信部713による継続受信に応じて、仕切傾斜板5の傾斜方向が、第2混練圧送ポンプ10bにドライモルタルDMを供給する第2投下筒4bに連通する第2開口41bだけにドライモルタルDMを導く第2停止位置ST2となるように位置決めモーター72を制御し、第2停止位置ST2で仕切傾斜板5を定置する。即ち、楕円板状で所定傾斜角度で傾斜する仕切傾斜板5の長軸方向の下端を、第2開口41bに対応する位置、例えば第2開口41bの下縁の中央位置に配置すると共に、半円内筒6の断面視略C字形の開口側を第2開口41bに向くように配置する。
【0029】
また、制御装置71の回転駆動制御部711は、第1信号S1と第2信号S2の双方の信号受信部713による継続受信に応じて、仕切傾斜板5の傾斜方向が、第1混練圧送ポンプ10aにドライモルタルDMを供給する第1開口41aと第2混練圧送ポンプ10bにドライモルタルDMを供給する第2開口41bの双方にドライモルタルDMを導く第3停止位置ST3なるように位置決めモーター72を制御し、第3停止位置ST3で仕切傾斜板5を定置する。即ち、楕円板状で所定傾斜角度で傾斜する仕切傾斜板5の長軸方向の下端を、第1開口41aと第2開口41bとの中間に位置するように配置すると共に、半円内筒6の断面視略C字形の開口側を第1開口41aと第2開口41bの中間位置を向くように配置する。
【0030】
また、制御装置71の移送動作制御部712は、第1信号S1と第2信号S2の双方の信号受信部713による無受信に応じて、有線又は無線の通信回線を介して接続されるスクリューコンベア2のコンベアモーター21に動作停止信号を送信し、コンベアモーター21の動作を停止してスクリューコンベア2によるドライモルタルDMの振分円筒3への移送動作、供給を停止する。
【0031】
本実施形態の定着材料供給装置1によれば、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11a内におけるドライモルタルDMの貯留量と、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11b内におけるドライモルタルDMの貯留量に応じて、第1ホッパー11aだけへのドライモルタルDMの供給、第2ホッパー11bだけへのドライモルタルDMの供給、第1ホッパー11aと第2ホッパー11bの双方へのドライモルタルDMの同時供給の3通りの定着材料供給を行うことができる。即ち、2台の混練圧送ポンプ10a、10bに対するドライモルタルDMの選択供給と同時供給の双方を行うことができ、ホッパー11a内又はホッパー11bの定着材料の枯渇による混練圧送ポンプ10a又は10bの停止を防止することができる。
【0032】
また、仕切傾斜板5の半円内筒6への固定によって仕切傾斜板5の所定の傾斜角度を安定して維持することができると共に、仕切傾斜板5の取付強度を高めることができる。また、仕切傾斜板5を半円内筒6と一体化した部品として取り扱うことができ、定着材料供給装置1を構成する部品の取扱いの容易性を高めることができる。また、半円内筒6の回転によって仕切傾斜板5を回転させ、仕切傾斜板5の傾斜方向を変更することができ、仕切傾斜板5の傾斜方向の変更動作をスムーズ且つ安定して行うことができる。
【0033】
また、仕切傾斜板5及び半円内筒6を振分円筒3に対して着脱自在とすることにより、混練圧送ポンプ10a、10bのホッパー11a、11bに供給されずに漏れ落ち、振分円筒3の内部に滞留したドライモルタルDMを、仕切傾斜板5及び半円内筒6を振分円筒3から取り外して清掃することができ、振分円筒3に滞留したドライモルタルDMを清掃して、仕切傾斜板5や半円内筒6の回転動作の円滑性を容易に復帰することができる。また、振分円筒3の底部31の排出穴32から滞留したドライモルタルDMを排出することにより、振分円筒3に滞留したドライモルタルDMが仕切傾斜板5や半円内筒6の円滑な回転動作を阻害することを抑制することができる共に、仕切傾斜板5及び半円内筒6を振分円筒3から取り外す清掃作業の頻度を少なくすることができる。
【0034】
更に、本実施形態では制御装置71、位置決めモーター72、第1レベルセンサ19a、第2レベルセンサ19bを設けることにより、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11a内におけるドライモルタルDMの貯留量と、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11b内におけるドライモルタルDMの貯留量に応じて、第1ホッパー11aだけへのドライモルタルDMの供給、第2ホッパー11bだけへのドライモルタルDMの供給、第1ホッパー11aと第2ホッパー11bの双方へのドライモルタルDMの同時供給の3通りの定着材料供給を自動的、効率的に選択して行うことができる。
【0035】
また、第1信号S1と第2信号S2の双方の信号受信部713による無受信に応じて、移送動作制御部712がスクリューコンベア2の移送動作を停止することにより、第1混練圧送ポンプ10aの第1ホッパー11aでドライモルタルDMが溢れることや、第2混練圧送ポンプ10bの第2ホッパー11bでドライモルタルDMが溢れることを、自動的、効率的に防止することができる。
【0036】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0037】
例えば上記実施形態の定着材料供給装置1では、制御装置71、位置決めモーター72、第1レベルセンサ19a、第2レベルセンサ19bを用い、第1ホッパー11aだけへのドライモルタルDMの供給、第2ホッパー11bだけへのドライモルタルDMの供給、第1ホッパー11aと第2ホッパー11bの双方へのドライモルタルDMの同時供給の3通りの定着材料供給を自動的に行う構成としたが、振分円筒3内の仕切傾斜板5を手動で振分円筒3の軸周りに回転させ、これらの3通りの定着材料供給を手動で行う構成とすることも可能である。
【0038】
また、上記実施形態における略半円筒状の半円内筒6は、全長に亘って断面視略C字形とし、仕切傾斜板5の周面51の一部に沿うように略半円筒状の半円内筒6の内周面61を固定する構成としたが、本発明における略半円筒状の半円内筒は、例えば振分円筒3の上部開口側を仕切傾斜板5の傾斜角度に合わせて斜めに切断された形状としてもよく、この形状の半円内筒を用い、仕切傾斜板5の外周の下面の一部を半円内筒の上端面に載置して固定する構成等としてもよい。また、本発明における定着材料、定着材には適用可能な範囲で適宜のものを用いることが可能であり、例えばドライモルタルDM以外の粉体の定着材料を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えばトンネルの地山に定着材を注入する混練圧送ポンプにドライモルタルを供給する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…定着材料供給装置 2…スクリューコンベア 21…コンベアモーター 3…振分円筒 31…底部 32…排出穴 4a…第1投下筒 41a…第1開口 4b…第2投下筒 41b…第2開口 5…仕切傾斜板 51…周面 6…半円内筒 61…内周面 7…駆動装置 71…制御装置 711…回転駆動制御部 712…移送動作制御部 713…信号受信部 72…位置決めモーター 91…サイロ 92…リターナブルバッグ 10a…第1混練圧送ポンプ 11a…第1ホッパー 111a…排出口 12a…注水口 13a…筒部 14a…攪拌羽根 15a…攪拌棒 16a…モーター 17a…ポンプ部 18a…吐出口 19a…第1レベルセンサ 10b…第2混練圧送ポンプ 11b…第1ホッパー 111b…排出口 12b…注水口 13b…筒部 14b…攪拌羽根 15b…攪拌棒 16b…モーター 17b…ポンプ部 18b…吐出口 19b…第2レベルセンサ 101…地山 102…ロックボルト 103…注入ホース T…トンネル DM…ドライモルタル ST1…第1停止位置 ST2…第2停止位置 ST3…第3停止位置 S1…第1信号 S2…第2信号