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特開2024-135866生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。
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  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図1
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図2
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図3
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図4
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図5
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図6
  • 特開-生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135866
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法。
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E04G21/08
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046757
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真史
(72)【発明者】
【氏名】田中 真史
(72)【発明者】
【氏名】昇 悟志
(72)【発明者】
【氏名】橋田 雅也
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172FA13
(57)【要約】
【解決課題】極めて簡単な構成で生コンクリート流動化程度を直感的に把握することができる生コンクリートの流動化程度評価装置、および生コンクリートの流動化程度の評価方法を提供する。
【解決手段】 生コンクリート流動化程度の評価装置は、型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できるものであり、前記生コンクリートの表層に対して下端が差し込まれて起立した1以上の棒部材と、前記1以上の棒部材の周囲に設けられて前記1以上の棒部材を上下動可能に支持する1以上の転倒防止具と、前記棒部材の近傍で前記生コンクリート内に差し込まれて振動するバイブレータであって、重力の作用で前記棒部材の前記下端が前記型枠内の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させるバイブレータと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できる生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記生コンクリートの表層に対して下端が差し込まれて起立した1以上の棒部材と、
前記1以上の棒部材の周囲に設けられて前記1以上の棒部材を上下動可能に支持する1以上の転倒防止具と、
前記棒部材の近傍で前記生コンクリート内に差し込まれて振動するバイブレータであって、重力の作用で前記棒部材の前記下端が前記型枠内の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させるバイブレータと、
を備える生コンクリート流動化程度の評価装置。
【請求項2】
前記棒部材は、前記下端からの距離を示す目盛りを有する請求項1に記載の生コンクリート流動化程度の評価装置。
【請求項3】
前記バイブレータは、前記バイブレータの直径の100~500%の長さを前記棒部材から離間した位置に差し込まれる請求項1に記載の生コンクリート流動化程度の評価装置。
【請求項4】
前記1以上の棒部材は、複数であり、複数の前記棒部材は、前記型枠内の複数の仮想格子点の近傍に設けられ、
前記転倒防止具は、複数であり、複数の前記転倒防止具のそれぞれは、前記複数の仮想格子点の近傍に設けられ前記複数の棒部材のそれぞれを支持し、
前記バイブレータは、前記仮想格子点に対応する位置で前記生コンクリートに差し込まれる請求項1に記載の生コンクリート流動化程度の評価装置。
【請求項5】
前記複数の棒部材は、前記複数の仮想格子点のうち、隣接する仮想格子点同士が形成する四角の中心の位置にも設けられ、
複数の前記転倒防止具は、前記中心の位置にも設けられ前記中心の位置に設けられる前記複数の棒部材をそれぞれ支持し、
前記バイブレータは、前記中心の位置の近傍に対応する位置で前記生コンクリートに差し込まれる請求項4に記載の生コンクリート流動化程度の評価装置。
【請求項6】
1以上の棒部材と、前記1以上の棒部材を支持可能な1以上の転倒防止具と、バイブレータと、を備える生コンクリート流動化程度の評価装置を用いて、型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できる生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記1以上の転倒防止具の内側に前記1以上の棒部材を通しつつ、前記生コンクリートの表層に対して前記1以上の棒部材の下端を差し込んで前記1以上の棒部材を起立させる第1工程と、
振動する前記バイブレータを前記生コンクリート内の前記1以上の棒部材の近傍に差し込んで、重力の作用で前記1以上の棒部材の前記下端が前記型枠内の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させる第2工程と、
を備える生コンクリート流動化程度の評価方法。
【請求項7】
前記バイブレータを除去する前に前記1以上の棒部材を除去する第3工程を備える請求項6に記載の生コンクリート流動化程度の評価方法。
【請求項8】
前記第3工程において、前記1以上の棒部材を除去した0.1秒~5分後に前記バイブレータを除去する請求項7に記載の生コンクリート流動化程度の評価方法。
【請求項9】
前記バイブレータは、前記バイブレータの直径の100~500%の長さを前記棒部材から離間した位置に差し込まれる、請求項6に記載の生コンクリート流動化程度の評価方法。
【請求項10】
前記1以上の棒部材は、複数であって、複数の前記棒部材は、前記型枠内の複数の仮想格子点の近傍に設けられ、
前記1以上の転倒防止具は、複数であって、複数の前記転倒防止具のそれぞれは、前記複数の仮想格子点の近傍に設けられ前記複数の棒部材のそれぞれを支持し、
前記第2工程において、前記仮想格子点に対応する位置で前記生コンクリートに前記バイブレータを順番に差し込んで、前記複数の棒部材を前記型枠の底部に当接させる、請求項6に記載の生コンクリート流動化程度の評価方法。
【請求項11】
前記複数の棒部材は、前記複数の仮想格子点のうち、隣接する仮想格子点同士が形成する四角の中心の位置にも設けられ、
複数の前記転倒防止具は、前記中心の位置にも設けられ前記中心の位置に設けられる前記複数の棒部材をそれぞれ支持し、
前記第2工程において、前記中心の位置の近傍に前記バイブレータを順番に差し込んで、前記複数の棒部材を前記型枠の底部に当接させる、請求項10に記載の生コンクリート流動化程度の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートの流動化程度評価装置および生コンクリート流動化程度の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの締固め完了判定方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、浮遊体をコンクリートの打ち込み前に型枠底部に設置し、浮遊体の浮上をもってコンクリートの締固め完了と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の建設業界における人手不足の問題から、若い働き手の育成や外国人材の活用などが社会的なニーズとして存在する。一方、これまでのコンクリートの締固めは、熟練した職人によって行われていたが、職人の高齢化の問題があり、職人の技術を若い働き手や外国人材に伝達することが急務になっている。しかしながら、特許文献1のコンクリートの締固め完了判定方法では、コンクリートの締固めにおける時間経過と締固め程度の関係を直感的に把握することができず、若い働き手や外国人材が技術を習得しにくい問題がある。また、コンクリートの骨材の影響によって、浮遊体が表面まで浮上しなかった場合には、浮遊体を回収できない問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、極めて簡単な構成で生コンクリート流動化程度を直感的に把握することができる生コンクリートの流動化程度評価装置、および生コンクリートの流動化程度の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の生コンクリート流動化程度の評価装置は、
型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できる生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記生コンクリートの表層に対して下端が差し込まれて起立した1以上の棒部材と、
前記1以上の棒部材の周囲に設けられて前記1以上の棒部材を上下動可能に支持する1以上の転倒防止具と、
前記棒部材の近傍で前記生コンクリート内に差し込まれて振動するバイブレータであって、重力の作用で前記棒部材の前記下端が前記型枠内の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させるバイブレータと、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の生コンクリート流動化程度の評価装置は、(1)記載の生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記棒部材は、前記下端からの距離を示す目盛りを有する。
【0008】
また、本発明(3)の生コンクリート流動化程度の評価装置は、(1)記載の生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記バイブレータは、前記バイブレータの直径の100~500%の長さを前記棒部材から離間した位置に差し込まれる。
【0009】
また、本発明(4)の生コンクリート流動化程度の評価装置は、(1)記載の生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記1以上の棒部材は、複数であり、複数の前記棒部材は、前記型枠内の複数の仮想格子点の近傍に設けられ、
前記転倒防止具は、複数であり、複数の前記転倒防止具のそれぞれは、前記複数の仮想格子点の近傍に設けられ前記複数の棒部材のそれぞれを支持し、
前記バイブレータは、前記仮想格子点に対応する位置で前記生コンクリートに差し込まれる。
【0010】
また、本発明(5)の生コンクリート流動化程度の評価装置は、(4)の何れか記載の生コンクリート流動化程度の評価装置であって、
前記複数の棒部材は、前記複数の仮想格子点のうち、隣接する仮想格子点同士が形成する四角の中心の位置にも設けられ、
複数の前記転倒防止具は、前記中心の位置にも設けられ前記中心の位置に設けられる前記複数の棒部材をそれぞれ支持し、
前記バイブレータは、前記中心の位置の近傍に対応する位置で前記生コンクリートに差し込まれる。
【0011】
また、本発明(6)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、
1以上の棒部材と、前記1以上の棒部材を支持可能な1以上の転倒防止具と、バイブレータと、を備える生コンクリート流動化程度の評価装置を用いて、型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できる生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記1以上の転倒防止具の内側に前記1以上の棒部材を通しつつ、前記生コンクリートの表層に対して前記1以上の棒部材の下端を差し込んで前記1以上の棒部材を起立させる第1工程と、
振動する前記バイブレータを前記生コンクリート内の前記1以上の棒部材の近傍に差し込んで、重力の作用で前記1以上の棒部材の前記下端が前記型枠内の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させる第2工程と、
を備える。
【0012】
また、本発明(7)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、(6)記載の生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記バイブレータを除去する前に前記1以上の棒部材を除去する第3工程を備える。
【0013】
また、本発明(8)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、(7)記載の生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記第3工程において、前記1以上の棒部材を除去した0.1秒~5分後に前記バイブレータを除去する。
【0014】
また、本発明(9)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、(6)記載の生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記バイブレータは、前記バイブレータの直径の100~500%の長さを前記棒部材から離間した位置に差し込まれる。
【0015】
また、本発明(10)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、(6)記載の生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記1以上の棒部材は、複数であって、複数の前記棒部材は、前記型枠内の複数の仮想格子点の近傍に設けられ、
前記1以上の転倒防止具は、複数であって、複数の前記転倒防止具のそれぞれは、前記複数の仮想格子点の近傍に設けられ前記複数の棒部材のそれぞれを支持し、
前記第2工程において、前記仮想格子点に対応する位置で前記生コンクリートに前記バイブレータを順番に差し込んで、前記複数の棒部材を前記型枠の底部に当接させる。
【0016】
また、本発明(11)の生コンクリート流動化程度の評価方法は、(10)記載の生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記複数の棒部材は、前記複数の仮想格子点のうち、隣接する仮想格子点同士が形成する四角の中心の位置にも設けられ、
複数の前記転倒防止具は、前記中心の位置にも設けられ前記中心の位置に設けられる前記複数の棒部材をそれぞれ支持し、
前記第2工程において、前記中心の位置の近傍に前記バイブレータを順番に差し込んで、前記複数の棒部材を前記型枠の底部に当接させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、極めて簡単な構成で生コンクリート流動化程度を直感的に把握することができる生コンクリートの流動化程度評価装置、および生コンクリートの流動化程度の評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の生コンクリート流動化程度の評価装置を模式的に示す正面図である。
図2図1に示す生コンクリート流動化程度の評価装置を上方から模式的に示した平面図である。
図3】第2実施形態の生コンクリート流動化程度の評価装置を上方から模式的に示した平面図である。
図4】実施例1の評価方法を模式的に示した正面図である。
図5図4に示す評価方法において、バイブレータを差し込み後に下がり長さ(沈下量)を測定する方法を模式的に示した正面図である。
図6】実施例1の結果を示すグラフである。
図7】実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の生コンクリートの流動化程度評価方法は、
1以上の棒部材と、前記1以上の棒部材を支持可能な1以上の転倒防止具と、バイブレータと、を備える生コンクリート流動化程度の評価装置を用いて、型枠内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価できる生コンクリート流動化程度の評価方法であって、
前記1以上の転倒防止具の内側に前記1以上の棒部材を通しつつ、前記生コンクリートの表層に対して前記1以上の棒部材の下端を差し込んで前記1以上の棒部材を起立させる第1工程と、
振動する前記バイブレータを前記生コンクリート内の前記1以上の棒部材の近傍に差し込んで、重力の作用で前記棒部材が前記型枠の底部に当接するまで周辺の前記生コンクリートを流動化させる第2工程と、
を備える。
【0020】
第1工程において、作業者は、生コンクリートの表層に対して1以上の棒部材の下端を差し込む。下端の差込長さとしては、例えば、1~10cm程度を差し込むことが好ましい。
【0021】
棒部材は、例えば、直径1~50mm、好ましくは5~30mm、より好ましくは9~11mmの丸棒を用いることができる。棒部材は、100~2000mm、好ましくは500~900mm、より好ましくは600~800mmの軸方向の長さを有する丸棒を用いることができる。棒部材は、丸棒以外にも、角棒、円筒や角パイプなどの中空形状など、他の形態の棒であってもよい。
【0022】
棒部材は、塩化ビニル製の丸棒であってもよいし、アルミニウム製の丸棒であってもよいし、鉄筋コンクリート用の鉄筋として一般的な異形棒鋼であってもよい。棒部材は、評価時間の短縮のために、生コンクリートが流動化した際に自重によって短時間で沈下する異形棒鋼を用いることが好ましい。
【0023】
バイブレータの直径は、例えば20~150mmであることが一般的である。バイブレータは、バイブレータの直径の100~500%の長さを棒部材から離間した位置に差し込まれる。すなわち、バイブレータの直径が50mmである場合には、50~250mmの長さを棒部材から離間した位置に差し込まれる。バイブレータの直径が100mmである場合には、100~500mmの長さを棒部材から離間した位置に差し込まれる。
【0024】
生コンクリートは、例えば、以下の配合条件で作成することができる。生コンクリートの呼び強度は18N/mmで、スランプは5cmで、ある。粗骨材最大寸法は20mmである。また、セメントの種類は普通セメントである。
【0025】
第2工程において、作業者は、1以上の棒部材の近傍に、振動するバイブレータを生コンクリート内に差し込むことで行う。バイブレータの振動によって、生コンクリートの粒子間の摩擦力が低下して生コンクリートが流動化して、棒部材に働く摩擦力が低下して、重力の作用で棒部材が沈下する。バイブレータを生コンクリート内に投入する時間は、振動するバイブレータを生コンクリート内に差し込んでから棒部材の下端が型枠内の底部に到着するまでの時間である。バイブレータを生コンクリート内に投入する時間は、例えば、1箇所につき1秒~10分、好ましくは3秒~5分、より好ましくは5秒~30秒である。
【0026】
生コンクリート流動化程度の評価方法は、バイブレータを除去する前に1以上の棒部材を除去する第3工程を備える。第3工程では、作業者は、先に棒部材を除去した後に、続いてバイブレータを除去するようにする。バイブレータは、棒部材を除去した後、例えば0.1秒~5分後に除去され、より好ましくは0.1秒~1分後に除去され、最も好ましくは0.1秒後に除去されることが望ましい。
【0027】
バイブレータは、棒部材の除去後、遅くとも、5分後に除去され、或いは、5、4、3、2、1分後に生コンクリートから除去されることが好ましく、或いは、0.1秒後に生コンクリートから除去されることが最も好ましい。
【0028】
以下図面を参照して、本発明の生コンクリート流動化程度の評価方法に用いられる生コンクリート流動化程度の評価装置の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
【0029】
図1に示すように、生コンクリート流動化程度の評価装置11は、型枠12と、型枠12内に打設された生コンクリート13と、生コンクリート13の表層に対して下端14Aが差し込まれた1以上の棒部材14と、1以上の棒部材14を上下動可能に支持する転倒防止具15と、1以上の棒部材14の近傍に差し込まれて振動するバイブレータ16(図4図5参照)と、を備える。
【0030】
本実施形態において、棒部材14は、複数であってもよいし、1個であってもよい。転倒防止具15は、複数であってもよいし、1個であってもよい。
【0031】
図2に示すように、型枠12が大型になる場合には、生コンクリート流動化程度の評価装置11は、型枠12内に位置する棒部材14を起立させたり除去したりするための、複数の足場17を有する。足場17は、上方から見て縦方向と横方向に格子状に設けることができる。図2では、足場17を破線の直線で示している。足場17は、例えば、一般構造用炭素鋼製の断面円形のロッド(単管パイプ)を井桁状に組んで互いに固定することで構成されている。すなわち、足場17は、上方から見て、縦方向に延びる複数の第1ロッド17Aと、横方向に延びる複数の第2ロッド17Bと、第1ロッド17Aと第2ロッド17Bとが交差する位置に設けられる格子点17C(仮想格子点)と、を含んでいる。
【0032】
足場17同士は、例えば50cm間隔で均等なピッチで設けられている。最も外側に位置する足場17は、型枠12から例えば25cm間隔で設けられている。
【0033】
型枠12は、生コンクリート13を固化させるのに一般に用いられる木製や鋼製の枠で構成されている。型枠12内の底部18は、すでに先に打たれたコンクリートであってもよいし、底型枠であってもよいし、地面であってもよい。
転倒防止具15は、棒部材14の数に応じて、増減することができる。
【0034】
転倒防止具15は、型枠12の外側に設けられた支柱部21と、支柱部21から延びた連結部22と、連結部22の先端に設けられ例えばリング状をなした支持部23と、を有する。支持部23の構造は、リング状に限られるものではなく、不連続なリング状であってもよい。また、例えば棒部材14が金属製であれば、支持部23を磁気装置として任意の形状であってもよいし、棒部材14が中空形状であれば、支持部23は中空部に挿入できる任意の形状であってもよい。連結部22および支持部23は、番線や針金等によって一体的に形成されていてもよい。あるいは、支持部23を筒状の部材で構成し、その筒状の部材である支持部23と足場17を番線で構成される連結部22で固定してもよい。
【0035】
転倒防止具15は、型枠12の内側に設けられている場合には、支柱部21を省略することができる。この場合、転倒防止具15は、足場17に対して連結部22を介して固定される。
【0036】
支持部23およびそれに支持される棒部材14は、足場17の格子点17Cの近傍に設けられる。より詳細には、支持部23およびそれに支持される棒部材14は、格子点17Cから5~25cmの長さ(直径5cmのバイブレータ16の直径の100~500%の長さ)を離間した位置に設けられている。
【0037】
バイブレータ16は、建設現場で用いられる一般的なバイブレータ16で構成される。バイブレータ16の直径は、20~150mmであることが一般的である。バイブレータ16は、後述するように、格子点17Cに対応する位置で、生コンクリート13内に差し込まれる。
【0038】
棒部材14は、1個であってもよいし、型枠が大型になる場合には、複数であってもよい。棒部材14同士は、互いに同形態に形成されている。棒部材14のそれぞれは、直径1~50mmの例えば円柱形(丸棒)をなしている。棒部材14は、下端14Aと、上端14Bと、を有する。棒部材14は、例えば、樹脂材料(塩化ビニル)、アルミニウム合金材料、鋼材料のいずれかによって形成されている。棒部材14は、鋼材料、特に異形棒鋼で形成されていることが望ましい。
【0039】
棒部材14の外周面には、例えば、テープ等で構成されるマーカーによって、下端14Aからの距離を示す目盛り24が形成されていることが望ましい。目盛り24は、例えば、10cmおきに形成されていてもよい。
【0040】
本実施形態の生コンクリート流動化程度の評価装置11を用いた生コンクリート流動化程度の評価方法について説明する。
まず、作業者は、図1図2に示すように、生コンクリート13が内部に打設された型枠12に対して足場17を設置する。足場17は、図2に破線の直線で示すように、上方からみて、型枠12に対して、縦方向および横方向に組まれて固定される。足場17は、一定のピッチで格子状に設置される。さらに、転倒防止具15を型枠12の外部または足場17に対して設置する。
【0041】
型枠12に近い位置の転倒防止具15は、図1に示すように支柱部21を型枠12の外部に起立するように設置する。この支柱部21に対して連結部22および支持部23を設置する。型枠12の中央部に近い位置の転倒防止具15は、支柱部21を省略して、足場17で形成された格子点17Cに対して連結部22および支持部23を設置する。図2に示すように、転倒防止具15の支持部23のそれぞれは、図中に×印で示される格子点17Cの近傍(格子点から5~25cmの位置)に配置される。これによって、生コンクリート流動化程度の評価装置11の事前の準備が完了する。
【0042】
生コンクリートの流動化程度評価装置11を用いた生コンクリート流動化程度の評価方法は、第1工程、第2工程、および第3工程を備える。
【0043】
作業者は、第1工程として、この転倒防止具15の支持部23の内側に棒部材14を通すようにして設置する。その際、棒部材14の下端は、生コンクリート13の表面に対して1~5cmほど差し込むようにする。このようにして、生コンクリート13の表面に対して棒部材14を起立させる。図2に示すように、すべての転倒防止具15に対して棒部材14を通すことで、足場17のすべての格子点17Cの近傍に対して棒部材14を設置する。
【0044】
作業者は、第2工程として、図中に×印で示す格子点17Cの位置に対応する生コンクリート13に対してバイブレータ16を差し込んで、当該位置で生コンクリート13に加振する(図4図5参照)。どの位置の格子点17Cに対応する生コンクリート13から順番にバイブレータ16を差し込むかは、任意である。
【0045】
バイブレータ16による加振は、棒部材14の下端14Aが型枠12内の底部18に当接するまで行う。棒部材14が直径10mmの異形棒鋼で構成される場合で、棒部材14から10cmの位置で生コンクリート13に振動する直径50mmのバイブレータ16を差し込んだ場合には、およそ20~30秒の加振で棒部材14の下端を型枠12内の底部18に接触させることができる。作業者は、図2に×印で示す格子点17Cの位置に対して、順番に生コンクリート13に対して振動するバイブレータ16を差し込んで、すべての棒部材14を漏れなく型枠12内の底部18に当接させるように生コンクリート13を流動化させる。このとき、バイブレータ16の直径が5cmであるときに、生コンクリート13を概ね流動化できる範囲として、図2に破線の円25で直径50cmの範囲(円)を示す。
【0046】
作業者は、第3工程として、下端14Aが底部18に接している棒部材14を生コンクリート13から除去する。作業者は、棒部材14の除去後に、振動するバイブレータ16を生コンクリート13から除去する。バイブレータ16は、棒部材14の除去後に、遅くとも5分後に、最も好ましくは0.1秒後に除去される。これによって、棒部材14を除去した後の空洞部分を周囲の生コンクリート13で埋めることができる。このため、当該部分が空洞として欠陥になってしまうことが防止される。
【0047】
以上の工程により、型枠12内の生コンクリート13を概ね流動化して、型枠12内の生コンクリート13の締固めを完了できる。
【0048】
本実施形態によれば以下のことがいえる。生コンクリート流動化程度の評価装置11は、型枠12内に打設された生コンクリート13の流動化程度を評価でき、生コンクリート13の表層に対して下端が差し込まれて起立した1以上の棒部材14と、1以上の棒部材14の周囲に設けられて1以上の棒部材14を上下動可能に支持する1以上の転倒防止具15と、棒部材14の近傍で生コンクリート13内に差し込まれて振動するバイブレータ16であって、重力の作用で棒部材14の下端14Aが型枠12内の底部18に当接するまで周辺の生コンクリート13を流動化させるバイブレータ16と、を備える。
【0049】
この構成によれば、バイブレータ16で生コンクリートの流動化を行って、棒部材14が型枠12内の底部18に当接して停止することで、作業者が生コンクリート13の流動化および締固めが完了したことを直感的に把握することができる。これによって、若い働き手や外国人材が生コンクリート13の締固め作業のやり方を直感的に把握することができる。これによって、若い働き手や外国人材の人材育成を効率よく行うことができる。また、棒部材14は、上端14B付近が生コンクリートから露出するため、回収不能となる事態を生じることを防止できる。
【0050】
棒部材14は、下端14Aからの距離を示す目盛りを有する。この構成によれば、棒部材14の沈下量(下がりの長さ)によって、作業者が生コンクリート13の流動化および締固めの程度を視覚的・直感的に把握することができる。これによって、若い働き手や外国人材が生コンクリート13の締固め作業のやり方を直感的に把握することができる。
【0051】
バイブレータ16は、バイブレータ16の直径の100~500%の長さを棒部材14から離間した位置に差し込まれる。この構成によれば、バイブレータ16による加振時間として一般的な5~30秒の時間内に棒部材14の下端14Aを型枠12の底部18に当接させることができる。これによって、現実的な時間内に生コンクリート13の流動化および締固めを完了させることができ、現場での効率的な作業を維持しつつ人材育成をすることができる。
【0052】
1以上の棒部材14は、複数であり、複数の棒部材14は、型枠12内の複数の仮想格子点17C上に設けられ、転倒防止具15は、複数であり、複数の転倒防止具15のそれぞれは、複数の仮想格子点17C上に設けられ複数の棒部材14のそれぞれを支持する。
【0053】
この構成によれば、型枠12内の生コンクリート13のすべてを均一に流動化して締固めを確実に行うことができる。これによって、若い働き手や外国人材であっても、簡単かつ確実に生コンクリート13の流動化および締固めを完了させることができる。
【0054】
生コンクリート流動化程度の評価方法は、1以上の棒部材14と、1以上の棒部材14を支持可能な1以上の転倒防止具15と、バイブレータ16と、を備える生コンクリート流動化程度の評価装置11を用いて、型枠12内に打設された生コンクリートの流動化程度を評価でき、1以上の転倒防止具15の内側に1以上の棒部材14を通しつつ、生コンクリート13の表層に対して1以上の棒部材14の下端を差し込んで1以上の棒部材14を起立させる第1工程と、振動するバイブレータ16を生コンクリート13内の1以上の棒部材14の近傍に差し込んで、重力の作用で1以上の棒部材14の下端14Aが型枠12内の底部18に当接するまで周辺の生コンクリート13を流動化させる第2工程と、を備える。
【0055】
この構成によれば、バイブレータ16で生コンクリート13の流動化を行うと、棒部材14が型枠12内の底部18に当接して停止する。これによって、作業者が生コンクリート13の流動化および締固めが完了したことを直感的に把握することができる。また、若い働き手や外国人材が技術を直感的に把握することができる。これによって、若い働き手や外国人材の人材育成を効率よく行うことができる。また、棒部材14は、上端14B付近が生コンクリートから露出するため、回収不能となる問題を生じることを防止できる。
【0056】
生コンクリート流動化程度の評価方法は、バイブレータ16を除去する前に1以上の棒部材14を除去する第3工程を備える。この構成によれば、棒部材14を除去した箇所を周囲の生コンクリートで埋めることができ、棒部材14を除去した箇所が空洞(欠陥)になってしまう不具合を生じることを防止できる。
【0057】
生コンクリート流動化程度の評価方法は、前記第3工程において、1以上の棒部材14を除去した0.1秒~5分後にバイブレータ16を除去する。この構成によれば、棒部材14を除去した箇所が空洞(欠陥)になってしまう不具合を生じる可能性をより一層低減することができる。
【0058】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0059】
図3を参照して、第2実施形態の生コンクリート流動化程度の評価装置11およびこれを用いる生コンクリート流動化程度の評価方法について説明する。
本実施形態において、1以上の転倒防止具15は、第1実施形態のように足場17の格子点17C(仮想格子点)の近傍だけでなく、隣接する4個の格子点17C同士が形成する四角の中心の位置31にも追加的に設けられている。したがって、本実施形態では、転倒防止具15のそれぞれの支持部23は、隣接する4個の格子点17C(仮想格子点)同士が形成する四角の中心の位置31に追加的に配置されている。
【0060】
この追加的転倒防止具32は、支柱部21が省略されている。追加的転倒防止具15は、支持部23と、連結部22と、を備える。連結部22は、一方の端部で足場17に固定され、他方の端部で支持部23に固定されている。追加的転倒防止具15の支持部23および連結部22は、番線によって一体的に形成されていてもよい。或いは、支持部23を筒状の部材で構成し、その筒状の部材である支持部23と足場17を番線で構成される連結部22で固定してもよい。
【0061】
本実施形態の生コンクリートの流動化程度の評価装置11を用いた生コンクリートの流動化程度評価方法について説明する。
【0062】
まず、作業者は、図3に示すように、生コンクリート13が内部に打たれた型枠12に対して足場17を設置する。足場17は、図3に破線の直線で示すように、上方からみて、型枠12に対して、縦方向および横方向に組まれて固定される。足場17は、一定のピッチで格子状に設置される。転倒防止具15を型枠12の外部および足場17に対して設置する。さらに、追加的転倒防止具15を足場17に対して取り付ける。
【0063】
型枠12に近い位置の転倒防止具15は、支柱部21を型枠12の外部に起立するように設置する。この支柱部21に対して連結部22および支持部23を設置する。型枠12の中央部に近い位置の転倒防止具15は、支柱部21を省略して、足場17で形成された格子点17Cに対して連結部22および支持部23を設置する。転倒防止具15の支持部23のそれぞれは、格子点17Cの近傍(格子点から5~25cmの位置)に配置される。追加的転倒防止具15の支持部23のそれぞれは、隣接する4個の格子点17C(仮想格子点)同士が形成する四角の中心の位置31に配置される。これによって、生コンクリート13の流動化程度の評価装置の事前の準備が完了する。
【0064】
生コンクリート流動化程度の評価装置11を用いた生コンクリート流動化程度の評価方法は、第1工程、第2工程、および第3工程を備える。
【0065】
作業者は、第1工程として、これら転倒防止具15および追加的転倒防止具15の支持部の内側に棒部材14を通すようにして設置する。その際、棒部材14の下端は、生コンクリート13の表面に対して1~5cmほど差し込むようにする。このようにして、生コンクリート13の表面に対して棒部材14を起立させる。図3に示すように、すべての転倒防止具15およびすべての追加的転倒防止具15に対して棒部材14を設置することで、足場17で形成された格子のすべての格子点17Cの近傍、および隣接する4個の格子点17C(仮想格子点)同士が形成する四角の中心の位置31、に対して棒部材14が設置される。
【0066】
作業者は、第2工程として、格子点17Cの位置に対応する生コンクリート13および隣接する4個の格子点17C(仮想格子点)同士が形成する四角の中心の位置31に対応する生コンクリート13に対してバイブレータ16を差し込んで、当該位置で生コンクリート13に加振する。どの位置に対応する生コンクリート13から順番にバイブレータ16を差し込むかは、任意である。
【0067】
バイブレータ16による加振は、棒部材14の下端が型枠12内の底部18に当接するまで行う。棒部材14が直径10mmの異形棒鋼で構成される場合で、棒部材14から10cmの位置で生コンクリート13に振動するバイブレータ16を差し込んだ場合には、およそ20~40秒の加振で棒部材14の下端14Aを型枠12内の底部18に接触させることができる。作業者は、図3に×印で示す格子点17Cの位置および4個の格子点17C(仮想格子点)同士が形成する四角の中心の位置31(厳密には、当該位置31にある棒部材14の近傍)に対して、順番に生コンクリート13に対して振動するバイブレータ16を差し込んで、すべての棒部材14を漏れなく型枠12内の底部18に当接させるように生コンクリート13を流動化させる。このとき、図3に破線の円で示されるように、バイブレータ16の直径が5cmであるときに、一般に直径50cmの範囲が生コンクリート13を流動化できる範囲である。
【0068】
作業者は、第3工程として、下端14Aが底部18に接している棒部材14を生コンクリート13から除去する。作業者は、棒部材14の除去後に、振動するバイブレータ16を生コンクリート13から除去する。バイブレータ16は、棒部材14の除去後に、遅くとも5分後に、最も好ましくは0.1秒後に除去される。これによって、棒部材14を除去した後の空洞部分を周囲の生コンクリート13で埋めることができる。このため、当該部分が空洞として欠陥になってしまうことが防止される。
【0069】
以上の工程により、型枠12内の生コンクリート13を概ね流動化して、型枠12内の生コンクリート13の締固めを完了できる。
【0070】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。複数の棒部材14は、前記複数の仮想格子点のうち、隣接する仮想格子点同士が形成する四角の中心の位置31にも設けられ、複数の転倒防止具は、前記中心の位置31にも設けられ前記中心の位置31に設けられる複数の棒部材14をそれぞれ支持し、バイブレータ16は、中心の位置31の近傍に対応する位置で生コンクリート13に差し込まれる。この構成によれば、四角の中心の位置31で、生コンクリート13の流動化および締固めが十分になされない事態を生じることを防止できる。これによって、生コンクリート13の流動化および締固めをさらに確実にすることができる。
【実施例0071】
発明者らは、本願発明を完成させるに先立ち、バイブレータ16からの棒部材14の距離に関する実験(実施例1)と、棒部材14の材質に関する実験(実施例2)と、を行った。
[実施例1]
【0072】
図4図5に実施例1の評価方法を示す。図4に示すように、直径50mmのバイブレータ16のある位置(加振位置)から10cm、30cm、50cm、90cmの位置に棒部材14を起立するように配置して、バイブレータ16からの距離の影響を検討した。棒部材14として、直径10mm、長さ700mmの異形棒鋼を用いた。
【0073】
今回使用した生コンクリート13の配合条件は、上記実施形態と同様とした。生コンクリート13の呼び強度は18N/mmで、スランプは5cmであった。粗骨材最大寸法は20mmである。また、セメントの種類は普通セメントであった。生コンクリート13の深さ(高さ)は、60cmである。
【0074】
図5に示すように、この状態で、生コンクリート13に振動するバイブレータ16を差し込んだ。図6に、時間経過と棒部材14の沈下量の結果を示す。バイブレータ16のある位置(加振位置)から10cmに棒部材14を配置すると、棒部材14が感度良く沈下して、20~30秒で棒部材14の下端が型枠12内の底部18にまで沈下した。一方、バイブレータ16のある位置(加振位置)から30cm、50cm、90cmの位置に棒部材14を配置した場合、加振による生コンクリート13の流動化の影響が起こらずに、棒部材14の沈下がほとんど見られないことが分かった。
[実施例2]
【0075】
続いて、棒部材14の材質を変化させて、棒部材14の沈下量に変化が出るかを検討した。バイブレータ16から棒部材14までの距離は、10cmとした。棒部材14として、異形棒鋼、アルミニウム合金(アルミ)製の丸棒、および塩化ビニル樹脂(塩ビ)製の丸棒、の3種類を容易した。棒部材14は、直径10mm、長さ700mmである。生コンクリート13の配合条件および深さ(高さ)は、実施例1と同様とした。結果を図7に示す。
【0076】
棒部材14として異形棒鋼を用いた場合には、20~30秒で棒部材14が感度良く沈下して、棒部材14の下端14Aが型枠12内の底部18にまで沈下した。一方、異形棒鋼より比重の小さいアルミニウム合金製の棒部材14では、加振時間に対する沈下量が緩やかとなり、さらに比重の小さい塩化ビニル樹脂製の棒部材14では、さらに加振時間に対する沈下量が小さくなった。
[考察]
【0077】
発明者らは、上記実施例1、実施例2の結果から、生コンクリートの流動化程度を最も感度良く検出できる棒部材14として、異形棒鋼を選択した。また、バイブレータ16に対する棒部材14の位置として、バイブレータ16から10cmの位置が最も感度良く沈下が起こり望ましいことを確認した。さらに、棒部材14として、異形棒鋼を選択し、バイブレータ16から10cmの位置に棒部材14を配置することで、20~30秒で棒部材14の下端14Aが型枠12内の底部18にまで感度良く沈下することを確認した。この20~30秒の加振時間は、生コンクリート13を流動化するのに必要かつ十分な時間として、作業現場での実情にも合致している。
【符号の説明】
【0078】
11 評価装置
12 型枠
13 生コンクリート
14 棒部材
14A 下端
15 転倒防止具
16 バイブレータ
17C 格子点
18 底部
24 目盛り
31 位置
32 追加的転倒防止具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7