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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135872
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】換気空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/81 20180101AFI20240927BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240927BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240927BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240927BHJP
【FI】
F24F11/81
F24F7/007 B
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/86
F24F11/46
F24F110:10
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046767
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】591150797
【氏名又は名称】株式会社デンソーエアクール
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 優吾
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BF03
3L260AB07
3L260AB17
3L260BA02
3L260BA41
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB55
3L260CB62
3L260EA07
3L260EA08
3L260FB01
3L260FB44
3L260FB45
3L260FC02
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】快適性を維持しながら消費エネルギを低減する換気空調システムを提供する。
【解決手段】熱交換器23は、外気導入路17から導入された空気と排出路21を流れる空気とを熱交換する。冷媒式熱交換器25は、冷凍サイクルの一部を構成し、外気導入路17から熱交換器23を通過した空気を冷却および加熱する。バイパス通路20は、外気導入路17から導入されて熱交換器23を迂回する空気が流れる。室内温度センサ15は、建物内の部屋の室温を検出し、外気温度センサ18は、建物外から導入される外気の温度を検出する。風路切替装置30は、外気導入路17とバイパス通路20との連通および遮断を切り替える。ECUは、部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、外気導入路17から冷媒式熱交換器25を通過した空気、および、外気導入路17からバイパス通路20を流れる空気の少なくとも一方が部屋へ供給されるように風路切替装置30を駆動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物(2)に設置される換気空調システムであって、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から前記建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
前記外気導入路から導入された空気と前記排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、前記外気導入路から前記熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
前記外気導入路から導入されて前記熱交換器を迂回する空気が流れるバイパス通路(20)と、
前記建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
前記建物外から導入される外気の温度を検出する外気温度センサ(18)と、
前記外気導入路と前記バイパス通路との間の空気流れの許容および遮断を切り替える風路切替装置(30、31)と、
前記部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、前記外気導入路から前記熱交換器および前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記外気導入路から前記熱交換器を迂回して前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する電子制御装置(16)と、を備える換気空調システム。
【請求項2】
前記電子制御装置は、設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低いとき、前記外気導入路から前記バイパス通路を流れる空気が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1に記載の換気空調システム。
【請求項3】
前記電子制御装置は、設定温度よりも室温が低く、且つ、室温よりも外気温が高いとき、前記外気導入路から前記バイパス通路を流れる空気が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1に記載の換気空調システム。
【請求項4】
前記建物内には、部屋用エアコン(8)が取り付けられたエアコン設置室と、前記部屋用エアコンが取り付けられていないエアコン非設置エリアが設けられており、
換気空調システムは、前記熱交換器と前記冷媒式熱交換器との間に形成される中間通路(24)と、前記エアコン設置室に吹き出される風が流れる第1吹出通路(26)と、前記エアコン非設置エリアに吹き出される風が流れる第2吹出通路(27)をさらに備えており、
前記風路切替装置(30~34)は、前記外気導入路と前記バイパス通路との連通および遮断に加えて、前記中間通路と前記バイパス通路との連通および遮断、前記バイパス通路と前記第1吹出通路との連通および遮断、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路との連通および遮断を切り替え可能であり、
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンの運転状態に応じて、前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が、前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1に記載の換気空調システム。
【請求項5】
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが駆動している場合、前記中間通路から前記バイパス通路を流れる空気が前記第1吹出通路から前記エアコン設置室へ供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器を通過した空気が前記第2吹出通路から前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動し、さらに前記冷凍サイクルを駆動する、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項6】
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが駆動している場合、前記外気導入路と前記バイパス通路との間を遮断し、前記中間通路と前記バイパス通路との間を連通し、前記バイパス通路と前記第1吹出通路との間を連通し、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路との間を遮断するように前記風路切替装置を駆動する、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項7】
前記換気空調システムは、複数の前記部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることの可能な可変風量制御装置(50)をさらに備える、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項8】
前記電子制御装置は、前記室内温度センサで検出された室温と前記部屋の設定温度との差に応じて、前記可変風量制御装置の駆動と前記冷凍サイクルの駆動を制御する、請求項7に記載の換気空調システム。
【請求項9】
前記可変風量制御装置は、複数の前記部屋へ吹き出す風量を前記エアコン設置室と前記エアコン非設置エリアとで個別制御、または、一括制御することが可能である、請求項7に記載の換気空調システム。
【請求項10】
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが停止している場合、前記バイパス通路の風流れを遮断し、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路とを連通し、前記冷媒式熱交換器を通過した空気が前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動し、前記冷凍サイクルを駆動し、さらに前記可変風量制御装置を駆動して前記エアコン設置室に吹き出す風量を前記エアコン非設置エリアに吹き出す風量よりも少なくする、請求項7に記載の換気空調システム。
【請求項11】
換気空調システムは、前記建物内の空気を前記中間通路に導入する室内還気路(11)をさらに備える、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項12】
前記風路切替装置は、
前記外気導入路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路を経由して前記エアコン設置室に空気が供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記外気導入路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路を経由して前記エアコン設置室に空気が供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、を実施することが可能である、請求項4または11に記載の換気空調システム。
【請求項13】
換気空調システムは、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器に送ることと、前記熱交換器を迂回させて前記バイパス通路に送ることが可能な外気導入用ブロアファン(19)と、
前記排出路に設けられる排出用ブロアファン(22)を備える、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項14】
換気空調システムは、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器に送る第1外気導入用ブロアファン(191)と、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器を迂回させて前記バイパス通路に送る第2外気導入用ブロアファン(192)と、
前記排出路に設けられる排出用ブロアファン(22)を備える、請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項15】
換気空調システムは、前記第1吹出通路に設けられる第1吹出通路ブロアファン(193)と、前記第2吹出通路に設けられる第2吹出通路ブロアファン(194)をさらに備える、請求項13または14に記載の換気空調システム。
【請求項16】
部屋用エアコン(8)が取り付けられたエアコン設置室と、前記部屋用エアコンが取り付けられていないエアコン非設置エリアを有する建物(2)に設置される換気空調システムであって、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から前記建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
前記外気導入路から導入された空気と前記排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、前記外気導入路から前記熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
前記建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
前記部屋用エアコンの運転状態に応じて、前記冷媒式熱交換器による冷房能力または暖房能力、および、前記エアコン設置室と前記エアコン非設置エリアへ供給される風量を制御する電子制御装置(16)と、を備える換気空調システム。
【請求項17】
前記外気導入路から導入されて前記熱交換器を迂回する空気が流れるバイパス通路(20)と、
前記建物外から導入される外気の温度を検出する外気温度センサ(18)と、
前記外気導入路と前記バイパス通路との間の空気流れの許容および遮断を切り替える風路切替装置(30、31)をさらに備え、
前記電子制御装置は、前記部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、前記外気導入路から前記熱交換器および前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記外気導入路から前記熱交換器を迂回して前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項16に記載の換気空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置される換気空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の空気の入れ替えを常に行う24時間換気システムが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の換気空調システムは、24時間換気システムの一部に、冷凍サイクルを構成する冷媒式熱交換器を組み合わせたものである。具体的には、この換気空調システムは、建物外から建物内に導入される導入空気と建物内から建物外へ排出される排出空気とを全熱交換器で熱交換した後、その熱交換された導入空気を冷媒式熱交換器で冷却または加熱し、建物内の各部屋に供給する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-5472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、住宅等において季節を通しての快適性、ヒートショック防止、冷暖房費の節約などを目的として建物の高気密高断熱化が進められている。
しかしながら、建物の高気密高断熱化が進むと、例えば夏季などに、建物内の室温よりも外気温が低い状態になることがある。その場合、特許文献1に記載の換気空調システムでは、建物外から建物内に導入される導入空気が、全熱交換器を通過する際に建物内から建物外へ排出される排出空気との熱交換により暖められた後、再び冷媒式熱交換器で冷やされて建物内の各部屋に供給される。そのため、冷媒式熱交換器の冷却能力が、外気をそのまま冷却するよりも増加し、冷凍サイクルの消費エネルギ(具体的には、冷凍サイクルを構成する圧縮機等を駆動するための電力量)が増大するといった問題がある。
加えて、同時に設置される部屋用エアコンの運転/停止状態に応じた冷房/暖房ができておらず、不在時や室温安定時に過剰な冷房や暖房を行うことで、換気空調の冷凍サイクルと部屋用エアコンの消費エネルギが増大したり、冷え過ぎ/暖まり過ぎによる快適悪化といった問題もある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、快適性を維持しながら消費エネルギを低減することの可能な換気空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明によると、建物(2)に設置される換気空調システムは、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
外気導入路から導入された空気と排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、外気導入路から熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
外気導入路から導入されて熱交換器を迂回する空気が流れるバイパス通路(20)と、
建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
建物外から導入される外気の温度を検出する外気温度センサ(18)と、
外気導入路とバイパス通路との間の空気流れの許容および遮断を切り替える風路切替装置(30、31)と、
部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、外気導入路から熱交換器および冷媒式熱交換器を通過した空気、および、外気導入路から熱交換器を迂回してバイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が部屋へ供給されるように風路切替装置を駆動する電子制御装置(16)と、を備える。
【0008】
これによれば、例えば夏季等に、部屋の設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低い場合、外気導入路に導入される外気を熱交換器を通さずにバイパス通路を通して部屋に供給することで、室温を下げて設定温度に近づけることが可能である。また、例えば冬季等に、部屋の設定温度よりも室温が低く、且つ、室温よりも外気温が高い場合、外気を熱交換器を通さずにバイパス通路を通して部屋に供給することで、室温を上げて設定温度に近づけることが可能である。このように、この換気空調システムは、外気を熱交換器を通さずにバイパス通路を通して部屋に供給し室温調整に利用することで、冷凍サイクルの駆動を抑制し、消費エネルギを低減できる。
【0009】
また、請求項16に係る発明によると、部屋用エアコン(8)が取り付けられたエアコン設置室と、前記部屋用エアコンが取り付けられていないエアコン非設置エリアを有する建物(2)に設置される換気空調システムは、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から前記建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
前記外気導入路から導入された空気と前記排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、前記外気導入路から前記熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
前記建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
前記部屋用エアコンの運転状態に応じて、前記冷媒式熱交換器による冷房能力または暖房能力、および、前記エアコン設置室と前記エアコン非設置エリアへ供給される風量を制御する電子制御装置(16)と、を備える。
【0010】
これによれば、部屋用エアコンの運転/停止状態に応じた冷房/暖房が可能となる。そのため、不在時や室温安定時に過剰な冷房や暖房を行うことを防ぐことができる。したがって、換気空調システムが備える冷凍サイクルの消費エネルギと部屋用エアコンの消費エネルギを低減し、さらに、冷え過ぎ/暖まり過ぎを防いで快適性を維持できる。
なお、請求項16に係る発明に対し、請求項1~15に係る発明を任意に組み合わせることが可能である。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る換気空調システムが設置された建物を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る換気空調システムが備える換気空調装置の断面図である。
図3】部屋の設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低い場合の換気空調システムの作動状態を説明するための説明図である。
図4】部屋用エアコンが駆動している場合の換気空調システムの作動状態を説明するための説明図である。
図5】部屋用エアコンが停止している場合の換気空調システムの作動状態を説明するための説明図である。
図6】第2実施形態に係る換気空調システムが備える換気空調装置の断面図である。
図7】第3実施形態に係る換気空調システムが備える換気空調装置の断面図である。
図8】第4実施形態に係る換気空調システムが備える換気空調装置の断面図である。
図9】第5実施形態に係る換気空調システムが設置された建物を示す断面図である。
図10】第6実施形態に係る換気空調システムが設置された建物を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の換気空調システム1は、建物内の24時間換気を行うと共に、建物内の空調(即ち、冷房、暖房、除湿)を行うシステムである。なお、本実施形態の換気空調システム1が設置される建物2は、戸建て住宅、アパート、マンション、集合住宅、ビルなどを含んでいる。24時間換気とは、1時間に0.5回(言い換えれば、2時間に1回)以上、建物内の全空気を入れ替えることを言う。
【0015】
本実施形態の換気空調システム1は、例えば、風量が最大300m/h程度であり、対象フロア面積を50~120m程度としており、2時間に1回以上、建物内の全空気を入れ替えることが可能である。また、本実施形態の換気空調システム1は、冷暖房能力を例えば1~3kWとしている。なお、本実施形態の換気空調システム1の風量、対象フロア面積、冷暖房能力はそれに限るものではない。
【0016】
まず、本実施形態の換気空調システム1が設置された建物2の一例として、二階建て戸建て住宅の断面図を図1に示す。この建物2は、高気密高断熱住宅である。
【0017】
図1に示すように、換気空調システム1は、建物2の一階と二階にそれぞれ設置されている。一階の換気空調システム1は、一階の換気および空調を行い、二階の換気空調システム1は、二階の換気および空調を行う。一階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、一階の機械室3に設置されている。二階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、二階の下がり天井4に設置されている。
【0018】
各換気空調装置10には、外気ダクト5、排気ダクト6、送風ダクト7などが接続されている。外気ダクト5は、建物外から外気を換気空調装置10へ導入する配管である。排気ダクト6は、建物内の空気を換気空調装置10を経由して建物外へ排出する配管である。具体的には、排気ダクト6は、建物内の空気を換気空調装置10へ導入する不図示の上流側排気ダクトと、その空気を換気空調装置10から建物外へ排出する下流側排気ダクト6とを有している。送風ダクト7は、換気空調装置10から建物内の各部屋などに空気を送風する配管である。また、各換気空調装置10は、室内還気路11から建物内の空気が導入されるようになっている。また、各換気空調装置10は、冷媒配管12を介して室外機13と接続されている。
【0019】
建物2の一階には、例えば浴室、脱衣所、トイレ、ホール、階段、リビング、ダイニングキッチンなどがあり、二階には、例えば書斎、廊下、洋室、主寝室などがある。そのうち、主たる居室(例えば、リビング、主寝室など)にはその部屋の負荷に見合った部屋用エアコン8が設置されている。一方、それ以外のエリアには部屋用エアコン8は設置されていない。なお、部屋用エアコン8は、例えば、ルームエアコン、ハウジングエアコン、マルチエアコン、パッケージエアコンなどを採用できる。図1では、部屋用エアコン8に「RAC」の表記をしている。RACは、room air conditioner の略である。以下の説明では、部屋用エアコン8が取り付けられた部屋を「エアコン設置室」と呼び、部屋用エアコン8が取り付けられていないエリア(部屋、廊下など)を「エアコン非設置エリア」と呼ぶ。図1では、エアコン設置室を破線MRで示している。
【0020】
換気空調システム1のリモコン14は、温度および湿度の調整をしたい部屋(例えば、脱衣所、洋室など)と、エアコン設置室にそれぞれ設置されている。ユーザは、リモコン14の操作により部屋の設定温度を調整できる。エアコン非設置エリアに設置されたリモコン14には、室内温度センサ15および不図示の湿度センサが内蔵されている。一方、エアコン設置室に設置されたリモコン14には、室内温度センサ15が内蔵されている。エアコン設置室の湿度管理は部屋用エアコン8でできるので、エアコン設置室に設置されたリモコン14には、必ずしも湿度センサが内蔵されていなくてもよい。なお、エアコン設置室に設置されたリモコン14に、必要に応じて湿度センサを内蔵してもよい。
【0021】
温度センサ15および湿度センサが検出した温度と湿度は、有線または無線により換気空調システム1が備える電子制御装置16(以下「ECU」という)に伝送される。ECUは、Electronic Control Unit の略である。
【0022】
<換気空調装置10の構成>
次に、本実施形態の換気空調システム1が備える換気空調装置10の構成について、図2を参照して説明する。
【0023】
図2に示すように、換気空調装置10は、外気導入路17、外気温度センサ18、外気導入用ブロアファン19、バイパス通路20、排出路21、排出用ブロアファン22、熱交換器23、中間通路24、室内還気路11、冷媒式熱交換器25、第1吹出通路26、第2吹出通路27、風路切替装置30、可変風量制御装置50およびECU等を備えている。
【0024】
外気導入路17には、外気ダクト5が接続される。そのため、外気導入路17には、建物外から外気ダクト5を経由して導入される空気が流れる。外気導入路17には、外気導入用ブロアファン19、外気温度センサ18およびフィルタ29が設けられる。外気導入用ブロアファン19は、外気導入路17に気流を発生させ、外気ダクト5から外気導入路17に導入される空気を熱交換器23およびバイパス通路20に送風する送風機である。詳細には、外気導入用ブロアファン19は、外気ダクト5から外気導入路17に導入される空気を熱交換器23に送ることが可能であると共に、熱交換器23を迂回させてバイパス通路20に送ることが可能である。そのため、熱交換器23には、外気導入路17から導入された空気が流れる。一方、バイパス通路20には、外気導入路17から導入されて、熱交換器23を迂回した空気が流れる。
【0025】
バイパス通路20には、風路切替装置30を構成する第1ダンパ31が設けられている。第1ダンパ31は、開閉動作により、外気導入路17とバイパス通路20との間の空気の流れを許容および遮断することが可能である。
【0026】
外気温度センサ18は、建物外から外気ダクト5を経由して外気導入路17に導入される外気の温度を検出する。なお、外気温度センサ18と共に不図示の湿度センサを設けてもよい。外気導入路17に設けられたフィルタ29は、外気に含まれる異物(例えば、花粉、PM2.5など)を捕集する。なお、このフィルタ29は、外気導入路17に代えて、外気ダクト5の途中に設けてもよい。
【0027】
排出路21の上流側の開口部211には、上流側排気ダクトが接続される。一方、排出路21の下流側の開口部212には、下流側排気ダクト6が接続される。そのため、排出路21には、建物内から建物外へ排出される空気が流れる。なお、図2では、排出路21の一部が、バイパス通路20に対して図2の紙面奥行方向奥側に重なっている。
【0028】
排出路21には、排出用ブロアファン22が設けられる。排出用ブロアファン22は、排出路21に気流を発生させ、上流側排気ダクトから導入される空気を排出路21および熱交換器23を経由して下流側排気ダクト6から建物外へ送風する送風機である。また、排出路21の上流側の開口部211に設けられたフィルタ40は、室内の空気に含まれる埃などを捕集する。なお、このフィルタ40は、排出路21の上流側の開口部211に代えて、上流側排気ダクトの途中に設けてもよい。
【0029】
熱交換器23は、外気導入路17から導入された空気と、排出路21を流れる空気との熱交換を行う。熱交換器23は、例えば紙などの透湿性を有する材料で形成された複数のシートが互いに隙間をあけて積層されており、その隙間を流れる空気同士の間で温度(即ち、顕熱)とともに湿度(即ち、潜熱)の交換を行う全熱交換器である。なお、熱交換器23は、そのような全熱交換器に限らず、温度(即ち、顕熱)のみを熱交換するものであってもよい。
【0030】
外気導入路17から熱交換器23を通過した空気は、中間通路24に流入する。中間通路24は、熱交換器23と冷媒式熱交換器25との間に形成される通路である。中間通路24には、室内還気路11から建物内の空気が導入される。そのため、中間通路24では、外気導入路17から熱交換器23を通過した空気と、室内還気路11から導入された建物内の空気とが混合される。なお、室内還気路11に設けられたフィルタ41は、室内の空気に含まれる埃などを捕集する。
【0031】
中間通路24の空気は、冷媒式熱交換器25に流れる。冷媒式熱交換器25は、中間通路24から冷媒式熱交換器25を通過して第2吹出通路27へ流れる空気を冷却および加熱する。冷媒式熱交換器25は、冷凍サイクルの一部を構成している。詳細には、換気空調装置10内に設けられた冷媒式熱交換器25と不図示の膨張弁と、室外機13に格納された不図示の圧縮機と不図示の室外熱交換器とは、冷媒配管12によって接続され、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。
【0032】
本実施形態の冷凍サイクルは、例えば四方弁などを用いて冷媒の流れ方向を変えることの可能なヒートポンプサイクルである。圧縮機から吐き出された冷媒が、室外熱交換器→膨張弁→冷媒式熱交換器25→圧縮機の順に流れるとき、冷媒式熱交換器25は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、冷媒式熱交換器25を通過する空気を冷却および除湿する。一方、圧縮機から吐き出された冷媒が、冷媒式熱交換器25→膨張弁→室外熱交換器→圧縮機の順に流れるとき、冷媒式熱交換器25は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、冷媒式熱交換器25を通過する空気を加熱する。
【0033】
冷媒式熱交換器25を通過した空気は、第2吹出通路27に流入する。第2吹出通路27は、エアコン非設置エリアに空気を送風する第2吹出開口部52と直接連通している。また、第2吹出通路27は、風路切替装置30を構成する第3ダンパ33を介して第1吹出通路26に連通している。第3ダンパ33は、第1吹出通路26と第2吹出通路27との間に設けられており、開閉動作により、第1吹出通路26と第2吹出通路27との間の空気の流れを許容および遮断することが可能である。第1吹出通路26は、エアコン設置室に空気を送風する第1吹出開口部51と直接連通している。
【0034】
また、中間通路24は、風路切替装置30を構成する第2ダンパ32を介してバイパス通路20に連通している。第2ダンパ32は、中間通路24とバイパス通路20との間に設けられており、開閉動作により、中間通路24とバイパス通路20との間の空気の流れを許容および遮断することが可能である。また、バイパス通路20は、風路切替装置30を構成する第4ダンパ34を介して第1吹出通路26に連通している。第4ダンパ34は、バイパス通路20と第1吹出通路26との間に設けられており、開閉動作により、バイパス通路20と第1吹出通路26の間の空気の流れを許容および遮断することが可能である。そのため、第2ダンパ32および第4ダンパ34の開動作により、中間通路24の空気は、バイパス通路20を経由して第1吹出通路26に流れることが可能である。したがって、第2ダンパ32と第4ダンパ34の開動作により、バイパス通路20には、中間通路24から冷媒式熱交換器25を迂回した空気が流れる。また、上述したように、第1ダンパ31の開動作により、バイパス通路20には、外気導入路17から導入されて熱交換器23を迂回した空気も流れる。
【0035】
風路切替装置30は、上述した第1~第4ダンパ31~34を備えている。第1~第4ダンパ31~34はいずれも風路開閉装置である。上述したように、第1ダンパ31は、外気導入路17とバイパス通路20との連通および遮断を切り替えるものである。第2ダンパ32は、中間通路24とバイパス通路20との連通および遮断を切り替えるものである。第3ダンパ33は、第1吹出通路26と第2吹出通路27との連通および遮断を切り替えるものである。第4ダンパ34は、バイパス通路20と第1吹出通路26との連通および遮断を切り替えるものである。
【0036】
第1吹出通路26と第2吹出通路27には複数の吹出開口部51、52が設けられている。その複数の吹出開口部51、52にはそれぞれ送風ダクト7が接続される。第1吹出通路26に設けられた第1吹出開口部51に接続される送風ダクト7は、エアコン設置室に空気を送る。第2吹出通路27に設けられた第2吹出開口部52に接続される送風ダクト7は、エアコン非設置エリアに空気を送る。
【0037】
複数の吹出開口部51、52には、それぞれ個別ブロアファン53が設けられている。複数の個別ブロアファン53は、本実施形態の可変風量制御装置50を構成している。なお、可変風量制御装置50は、VAV(variable air volume system )と呼ばれる。
【0038】
可変風量制御装置50は、個々の個別ブロアファン53の回転数を個別制御することで、複数の部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることが可能である。また、可変風量制御装置50は、複数の部屋へ吹き出す風量を、エアコン設置室とエアコン非設置エリアとで個別制御、または、一括制御することが可能である。また、可変風量制御装置50は、内部風路および室内温湿度状況により室内への吹出風量を個別調整することができる。具体的には、可変風量制御装置50は、室内温度センサ15で検出される室温とその部屋の設定温度との差(即ち、空調負荷)に応じて、各部屋に供給する空量を調整する。すなわち、可変風量制御装置50は、部屋の空調負荷が大きいとき、その部屋へ供給する風量を増加する。一方、可変風量制御装置50は、部屋の空調負荷が小さいとき、その部屋へ供給する風量を低減する。但し、可変風量制御装置50は、部屋へ供給する風量を低減する場合でも、24時間換気に必要な最低風量は確保するものである。
【0039】
ECUは、プロセッサと、ROM、RAM及びフラッシュメモリ等のメモリーとを備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。ECUは、プロセッサがメモリーに記憶されたプログラムを実行することにより、上述した換気空調システム1の各部の駆動を制御する。具体的に、ECUは、室内温度センサ15で検出された室温と、部屋の設定温度と、外気温度センサ18で検出された外気温などに応じて、風路切替装置30、可変風量制御装置50および冷凍サイクルなどの駆動を制御する。
【0040】
<ECUが実行する制御>
次に、種々の空調条件に応じて換気空調システム1のECUが実行する制御について説明する。
【0041】
(A)先ず、部屋の設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低い場合にECUが実行する制御について、図3を参照して説明する。このような状況は、建物2の高気密高断熱化により、夏季などに生じることがある。
【0042】
この場合、図3に示すように、ECUは、第1ダンパ31と第3ダンパ33と第4ダンパ34を開き、第2ダンパ32を閉じる。これにより、矢印AF1、AF2に示すように、外気ダクト5から外気導入路17に導入される外気は、バイパス通路20、第1吹出通路26、第2吹出通路27の順に流れる。そして、第1吹出通路26および第1吹出開口部51から送風ダクト7を通りエアコン設置室に空気が供給され、第2吹出通路27および第2吹出開口部52から送風ダクト7を通りエアコン非設置エリアに空気が供給される。
【0043】
また、矢印AF3に示すように、上流側排気ダクトから排出路21に導入される室内空気は、熱交換器23を通り下流側排気ダクト6から建物外に排出される。
【0044】
なお、破線矢印AF4に示すように、外気ダクト5から外気導入路17に導入される空気の一部は、熱交換器23、中間通路24、冷媒式熱交換器25、第2吹出通路27に流れることもある。但し、破線矢印AF4に示す経路には、熱交換器23、冷媒式熱交換器25といった2つの熱交換器があるため、矢印AF1、AF2に示した経路と比べて圧力損失が大きい。そのため、破線矢印AF4に示す経路を流れる風量は、矢印AF1、AF2に示した経路を流れる風量に比べて非常に小さい。したがって、ECUは、冷凍サイクル装置の駆動を停止する。
【0045】
上記の制御により、室温を下げる要求が有り、且つ、室温よりも外気温が低い場合、外気を熱交換器23を通さずに部屋に供給することで、室温を下げて設定温度に近づけることが可能である。したがって、換気空調システム1は、外気を室温調整に利用することで、冷凍サイクルの駆動を抑制し、消費エネルギを低減できる。
【0046】
(B)次に、部屋の設定温度よりも室温が低く、且つ、室温よりも外気温が高い場合にECUが実行する制御について説明する。このような状況は、建物2の高気密高断熱化により、冬季などに生じることがある。
【0047】
この場合も、図3に示すように、ECUは、第1ダンパ31と第3ダンパ33と第4ダンパ34を開き、第2ダンパ32を閉じる。そのため、矢印AF1、AF2に示したように外気が流れる。また、矢印AF3に示したように、排出路21を流れる室内空気は建物外に排出される。一方、破線矢印AF4に示す経路を流れる風量は、矢印AF1、AF2に示した経路を流れる風量に比べて非常に小さい。したがって、ECUは、冷凍サイクル装置の駆動を停止する。
【0048】
この制御により、室温を上げる要求が有り、且つ、室温よりも外気温が高い場合、外気を熱交換器23を通さずに部屋に供給することで、室温を上げて設定温度に近づけることが可能である。したがって、換気空調システム1は、外気を室温調整に利用することで、冷凍サイクルの駆動を抑制し、消費エネルギを低減できる。
【0049】
(C)続いて、エアコン設置室の部屋用エアコン8が駆動している場合にECUが実行する制御について、図4を参照して説明する。
【0050】
この場合、図4に示すように、ECUは、第1ダンパ31と第3ダンパ33を閉じ、第2ダンパ32と第4ダンパ34を開く。これにより、矢印AF5に示すように、外気ダクト5から外気導入路17に導入される外気は、熱交換器23を通り中間通路24に流入する。また、AF6に示すように、室内還気路11から室内空気が中間通路24に流入する。中間通路24では、外気導入路17から熱交換器23を通り中間通路24に流入した空気と、室内還気路11から中間通路24に流入した空気とが混合される。AF7に示すように、中間通路24で混合された空気の一部は、バイパス通路20を経由して第1吹出通路26に流れ、第1吹出開口部51から送風ダクト7を通りエアコン設置室に供給される。また、AF8に示すように、中間通路24で混合された空気の他の一部は、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整されて第2吹出通路27に流れ、第2吹出開口部52から送風ダクト7を通りエアコン非設置エリアに供給される。したがって、ECUは、冷凍サイクル装置を駆動する。
【0051】
また、矢印AF3に示すように、上流側排気ダクトから排出路21に導入される室内空気は、熱交換器23を通り下流側排気ダクト6から建物外に排出される。
【0052】
この制御により、部屋用エアコン8が駆動している場合、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整した空気をエアコン非設置エリアに供給し、その空気をエアコン設置室に供給しないことで、冷媒式熱交換器25による冷暖房能力をエアコン非設置エリアのみに集中させることができる。これにより、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整した空気を全部屋に供給することに比べて、冷凍サイクルの能力を抑制して消費エネルギを低減でき、さらにエアコン非設置エリアの快適性を高めることができる。
また、この制御により、中間通路24から冷媒式熱交換器25を迂回してバイパス通路20を流れる空気をエアコン設置室へ供給することで、部屋用エアコン8の空調能力および省電力性能を活かしつつ換気を行うことができ、建物全体での消費エネルギを低減できる。
【0053】
(D)次に、エアコン設置室の部屋用エアコン8が停止している場合にECUが実行する制御について、図5を参照して説明する。
【0054】
この場合、図5に示すように、ECUは、第1ダンパ31と第2ダンパ32と第4ダンパ34を閉じ、第3ダンパ33を開く。これにより、矢印AF5に示すように、外気ダクト5から外気導入路17に導入される外気は、熱交換器23を通り中間通路24に流入する。また、AF6に示すように、室内還気路11から室内空気が中間通路24に流入する。中間通路24では、外気導入路17から熱交換器23を通り中間通路24に流入した空気と、室内還気路11から中間通路24に流入した空気とが混合される。AF8、AF9に示すように、中間通路24で混合された空気は、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整されて第2吹出通路27、第1吹出通路26の順に流れる。そして、第1吹出通路26から第1吹出開口部51および送風ダクト7を通りエアコン設置室に空気が供給され、第2吹出通路27から第2吹出開口部52および送風ダクト7を通りエアコン非設置エリアに空気が供給される。したがって、ECUは、冷凍サイクル装置を駆動する。
【0055】
また、矢印AF3に示すように、上流側排気ダクトから排出路21に導入される室内空気は、熱交換器23を通り下流側排気ダクト6から建物外に排出される。
【0056】
さらに、ECUは、可変風量制御装置50を駆動し、エアコン設置室に吹き出す風量をエアコン非設置エリアに吹き出す風量よりも少なくする。具体的には、ECUは、第1吹出通路26側に設けられた個別ブロアファン53の回転数を、第2吹出通路27側に設けられた個別ブロアファン53の回転数よりも下げる。これにより、エアコン設置室に吹き出される風量が、エアコン非設置エリアに吹き出される風量よりも少なくなる。
【0057】
この制御により、冷媒式熱交換器25の冷暖房能力によりエアコン非設置エリアの快適性を向上することができると共に、エアコン非設置エリアとエアコン設置室の換気ができる。また、ECUは部屋用エアコン8が停止していることからエアコン設置室には人がいないと仮定し、そのエアコン設置室に吹き出す風量を少なくすることで、冷凍サイクルの無駄な消費電力を抑えることができる。
ところで、一般に、部屋用エアコン8は、室温と目標温度とが大きく乖離していると駆動開始時にフルパワー運転となり、低効率状態で消費電力が多くなる。それに対し、この制御により、部屋用エアコン8が停止しているエアコン設置室にも少ない風量を吹き出すことで、室温と目標温度とが大きく乖離することを防ぐことで部屋用エアコン8の駆動を開始した際にその部屋用エアコン8に消費される電力を低減することができる。
【0058】
<本実施形態の作用効果>
以上説明した本実施形態の換気空調システム1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)本実施形態では、換気空調システム1の備えるECUは、部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、冷媒式熱交換器25を通過した空気、および、外気導入路17からバイパス通路20を流れる空気の少なくとも一方が部屋へ供給されるように風路切替装置30を駆動する。具体的には、ECUは、設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低いとき、外気導入路17からバイパス通路20を流れる空気が部屋へ供給されるように風路切替装置30を駆動する。
これによれば、換気空調システム1は、例えば夏季などに、室温よりも外気温が低いとき、外気を室温調整に利用することで、冷凍サイクルの駆動を抑制し、消費エネルギを低減できる。
【0059】
(2)本実施形態では、ECUは、設定温度よりも室温が低く、且つ、室温よりも外気温が高いとき、外気導入路17からバイパス通路20を流れる空気が部屋へ供給されるように風路切替装置30を駆動する。
これによれば、換気空調システム1は、例えば冬季などに、室温よりも外気温が高いとき、外気を室温調整に利用することで、冷凍サイクルの駆動を抑制し、消費エネルギを低減できる。
【0060】
(3)本実施形態では、ECUは、部屋用エアコン8の運転状態に応じて、冷媒式熱交換器25を通過した空気、および、バイパス通路20を流れる空気の少なくとも一方が、エアコン設置室およびエアコン非設置エリアへ供給されるように風路切替装置30を駆動する。具体的には、ECUは、部屋用エアコン8が駆動している場合、中間通路24からバイパス通路20を流れる空気が第1吹出通路26からエアコン設置室へ供給され、冷媒式熱交換器25を通過した空気が第2吹出通路27からエアコン非設置エリアへ供給されるように風路切替装置30を駆動する。また、その場合、ECUは、冷凍サイクルを駆動する。
これによれば、部屋用エアコン8が駆動している場合、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整した空気をエアコン非設置エリアに供給し、その空気をエアコン設置室に供給しないことで、冷媒式熱交換器25による冷暖房能力をエアコン非設置エリアのみに集中させることができる。これにより、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整した空気を全部屋に供給することに比べて、冷凍サイクルの能力を抑制して消費エネルギを低減でき、さらにエアコン非設置エリアの快適性を高めることができる。
また、部屋用エアコン8が駆動している場合、中間通路24から冷媒式熱交換器25迂回してバイパス通路20を流れる空気をエアコン設置室へ供給することで、部屋用エアコン8の空調能力および省電力性能を活かしつつ換気を行うことができ、建物全体での消費エネルギを低減できる。
【0061】
(4)本実施形態では、ECUは、部屋用エアコン8が駆動している場合、風路切替装置30としての第1ダンパ31と第3ダンパ33を閉じ、第2ダンパ32と第4ダンパ34を開く。これによれば、外気導入路17とバイパス通路20とが遮断され、中間通路24とバイパス通路20とが連通し、バイパス通路20と第1吹出通路26とが連通し、第1吹出通路26と第2吹出通路27とが遮断される。したがって、冷媒式熱交換器25で温湿度を調整した空気をエアコン非設置エリアのみに供給し、中間通路24から冷媒式熱交換器25迂回してバイパス通路20を流れる空気をエアコン設置室のみに供給できる。
【0062】
(5)本実施形態では、換気空調システム1は、複数の部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることの可能な可変風量制御装置50を備える。
ところで、上記特許文献1に記載の換気空調システムは、換気空調装置で温湿度を調整した空気を複数の部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることができない。そのため、室内環境を一定に保ちたい部屋には必ず部屋用エアコンを設置する必要があり、建物全体としての空調設備の設置コストが増加するといった問題がある。それに対し、本実施形態の換気空調システム1は、複数の部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることの可能な可変風量制御装置50を備えている。そのため、必要に応じて、主たる居室(例えば、リビング、主寝室など)のみに部屋用エアコン8を設置すればよく、建物全体としての空調設備の設置コストを低減できる。
【0063】
(6)本実施形態では、ECUは、室内温度センサ15で検出された室温と部屋の設定温度との差に応じて、可変風量制御装置50の駆動と冷凍サイクルの駆動を制御する。
これによれば、各部屋の温度をそれぞれの設定温度に保つことができ、さらに消費エネルギを低減できる。
【0064】
(7)本実施形態では、可変風量制御装置50は、複数の部屋へ吹き出す風量を、エアコン設置室とエアコン非設置エリアとで個別制御、または、一括制御することが可能である。
これによれば、エアコン設置室とエアコン非設置エリアをそれぞれの設定温度に保つことができ、さらに消費エネルギを低減できる。
【0065】
(8)本実施形態では、ECUは、部屋用エアコン8が停止している場合、バイパス通路20の風流れを遮断し、第1吹出通路26と第2吹出通路27とを連通し、冷媒式熱交換器25を通過した空気がエアコン設置室およびエアコン非設置エリアへ供給されるように風路切替装置30を駆動する。さらに、ECUは、可変風量制御装置50を駆動してエアコン設置室に吹き出す風量をエアコン非設置エリアに吹き出す風量よりも少なくする。
これによれば、冷媒式熱交換器25の冷暖房能力によりエアコン非設置エリアの快適性を向上することができると共に、エアコン非設置エリアとエアコン設置室の換気ができる。
また、ECUは部屋用エアコン8が停止しているエアコン設置室には人がいないと仮定し、そのエアコン設置室に吹き出す風量を少なくすることで、冷凍サイクルの無駄な消費電力を抑えることができる。さらに、部屋用エアコン8が停止しているエアコン設置室にも少ない風量を吹き出すことで、室温と目標温度とが大きく乖離することを防ぐことで部屋用エアコン8の駆動を開始した際にその部屋用エアコン8に消費される電力を低減することができる。
【0066】
(9)本実施形態では、換気空調システム1は、建物内の空気を中間通路24に導入する室内還気路11を備えている。
ところで、上記特許文献1に記載の換気空調システムは、建物外から導入した外気の温湿度を調整して建物内に供給するのみであり、建物内の空気を循環させつつ空調を行うことができないといった問題がある。それに対し、本実施形態の換気空調システム1は、建物内の空気を中間通路24に導入する室内還気路11を備えている。これによれば、外気導入路17から熱交換器23を通過した空気と室内還気路11から導入された空気とを中間通路24で混合した後、冷媒式熱交換器25またはバイパス通路20を通して部屋へ供給することで、部屋の換気と温度調整を高効率に行うことが可能となる。したがって、部屋用エアコン8が駆動している場合の動作と、部屋用エアコン8が停止している場合の動作のいずれにおいても、冷凍サイクルの消費エネルギを低減できる。
【0067】
(10)本実施形態では、換気空調システム1は、外気導入路17に設けられて建物外から導入される空気をバイパス通路20および熱交換器23に送る外気導入用ブロアファン19と、排出路21に設けられる排出用ブロアファン22を備える。
これによれば、可変風量制御装置50として個別ブロアファン53を採用した際に、換気空調装置10内のブロアファンの数を最小限とすることができ、部品点数の増加を抑えることができる。
【0068】
(11)本実施形態では、ECUは、部屋用エアコン8の運転状態に応じて、冷媒式熱交換器25による冷房能力または暖房能力、および、エアコン設置室とエアコン非設置エリアへ供給される風量を制御する。
これによれば、部屋用エアコン8の運転/停止状態に応じた冷房/暖房が可能となる。そのため、不在時や室温安定時に過剰な冷房や暖房を行うことを防ぐことができる。したがって、換気空調システム1が備える冷凍サイクルの消費エネルギと部屋用エアコン8の消費エネルギを低減し、さらに、冷え過ぎ/暖まり過ぎを防いで快適性を維持できる。
【0069】
(12)本実施形態では、一階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、一階の機械室3に設置されている。これによれば、配置設計性、施工性、サービス性、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0070】
(13)本実施形態では、二階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、二階の下がり天井4に設置されている。これによれば、間取りへの影響を小さくでき、さらに、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0071】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してブロアファンの構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
図6に示すように、第2実施形態の換気空調装置10には、第1外気導入用ブロアファン191と第2外気導入用ブロアファン192と排出用ブロアファン22が設けられている。第1外気導入用ブロアファン191は、外気導入路17に設けられて建物外から導入される空気を熱交換器23に送る送風機である。第2外気導入用ブロアファン192は、外気導入路17に設けられて建物外から導入される空気を熱交換器23を迂回させてバイパス通路20に送る送風機である。排出用ブロアファン22は、第1実施形態と同じく、排出路21に気流を発生させる送風機である。
【0073】
また、第2実施形態の可変風量制御装置50は、第1実施形態と同じく、個別ブロアファン53により構成されている。
【0074】
以上説明した第2実施形態の構成によれば、第1外気導入用ブロアファン191と第2外気導入用ブロアファン192を外気導入路17に設けることで、外気導入量を増加することができる。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対してブロアファンと可変風量制御装置50の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
図7に示すように、第3実施形態の換気空調装置10には、外気導入用ブロアファン19と排出用ブロアファン22と第1吹出通路ブロアファン193と第2吹出通路ブロアファン194が設けられている。外気導入用ブロアファン19と排出用ブロアファン22は、第1実施形態で説明したものと同じである。
第1吹出通路ブロアファン193は、第1吹出通路26に設けられ、第1吹出通路26の空気を第1吹出開口部51から送風ダクト7を通してエアコン設置室に供給する送風機である。第2吹出通路ブロアファン194は、第2吹出通路27に設けられ、第2吹出通路27の空気を第2吹出開口部52から送風ダクト7を通してエアコン非設置エリアに供給する送風機である。
【0077】
また、第3実施形態の可変風量制御装置50は、複数の吹出開口部51、52にそれぞれ設けられた複数のVAVダンパ54により構成されている。
【0078】
以上説明した第3実施形態の構成によれば、可変風量制御装置50としてVAVダンパ54を採用した際に、換気空調装置10内のブロアファンの数を最小限とすることができ、部品点数の増加を抑えることができる。
さらに、可変風量制御装置50としてVAVダンパ54を採用することで、可変風量制御装置50の構成を簡素にして、製造上のコストを低減できる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第2実施形態と第3実施形態との組み合わせである。
【0080】
図8に示すように、第4実施形態の換気空調装置10には、第1外気導入用ブロアファン191と第2外気導入用ブロアファン192と排出用ブロアファン22と第1吹出通路ブロアファン193と第2吹出通路ブロアファン194が設けられている。第1外気導入用ブロアファン191と第2外気導入用ブロアファン192は、第2実施形態で説明したものと同じである。第1吹出通路ブロアファン193と第2吹出通路ブロアファン194は、第3実施形態で説明したものと同じである。
【0081】
また、第4実施形態の可変風量制御装置50は、第3実施形態と同じく、複数のVAVダンパ54により構成されている。
【0082】
以上説明した第4実施形態の構成によれば、第1外気導入用ブロアファン191と第2外気導入用ブロアファン192を外気導入路17に設けることで、外気導入量を増加することができる。さらに、可変風量制御装置50としてVAVダンパ54を採用することで、可変風量制御装置50の構成を簡素にして、製造上のコストを低減できる。
【0083】
(第5および第6実施形態)
第5および第6実施形態について説明する。第5および第6実施形態は、第1実施形態等に対して建物2に対する換気空調装置10の設置場所を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
(第5実施形態)
図9に示すように、第5実施形態の換気空調システム1も、建物2の一階と二階にそれぞれ設置されている。一階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、一階の床下60に設置されている。これによれば、間取りへの影響を小さくでき、さらに、配置設計性、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0085】
また、第5実施形態では、二階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、二階の小屋裏61に設置されている。これによれば、間取りへの影響を小さくでき、さらに、配置設計性、施工性、サービス性、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0086】
(第6実施形態)
図10に示すように、第6実施形態の換気空調システム1も、建物2の一階と二階にそれぞれ設置されている。一階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、一階の下がり天井62に設置されている。これによれば、間取りへの影響を小さくでき、さらに、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0087】
また、第6実施形態では、二階の換気空調システム1が備える換気空調装置10は、二階の壁内63に設置されている。これによれば、施工性、ユーザメンテナンス性を向上できる。
【0088】
(他の実施形態)
換気空調システム1が備える風路切替装置30は、上記第1実施形態で説明した風路切替の態様に加えて、次のような態様を行うことも可能である。
例えば、風路切替の態様として、第1ダンパ31を閉じ、第2ダンパ32、第3ダンパ33、第4ダンパ34を開くことで、中間通路24からバイパス通路20と第1吹出通路26と第2吹出通路27を経由してエアコン設置室およびエアコン非設置エリアに空気を供給できる。
【0089】
また、風路切替の別の態様として、第1ダンパ31と第4ダンパ34を開き、第2ダンパ32と第3ダンパ33を閉じることで、外気導入路17からバイパス通路20と第1吹出通路26を経由してエアコン設置室に空気を供給し、中間通路24から冷媒式熱交換器25と第2吹出通路27を経由してエアコン非設置エリアに空気を供給できる。
【0090】
上述した各実施形態では、風路切替装置30を第1~第4ダンパ31~34で構成したが、それに限らず、風路切替装置30は例えばスライドドア、ロータリドア、または、風路を切り替えるコマなどで構成してもよい。また、第3、第4実施形態では、可変風量制御装置50をVAVダンパ54で構成したが、それに限らず、可変風量制御装置50は例えばスライドドア、ロータリドア、または、風量を切り替えるコマなどで構成してもよい。
【0091】
上述した各実施形態では、ECUは、室内温度センサ15で検出された室温と、部屋の設定温度と、外気温度センサ18で検出された外気温などに応じて、風路切替装置30、可変風量制御装置50および冷凍サイクルなどの駆動を制御したが、これに限らない。例えば、ECUは、室内温度センサ15および湿度センサで検出された温湿度と、部屋の設定温湿度と、外気温度センサ18および湿度センサで検出された外気温湿度、温湿度によって算出された快適性を表す指数(例えば不快指数)などに応じて、風路切替装置30、可変風量制御装置50および冷凍サイクルなどの駆動を制御してもよい。
【0092】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0093】
本発明に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本発明に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0094】
(本発明の特徴)
本発明の特徴を以下に示す。
[請求項1]
建物(2)に設置される換気空調システムであって、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から前記建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
前記外気導入路から導入された空気と前記排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、前記外気導入路から前記熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
前記外気導入路から導入されて前記熱交換器を迂回する空気が流れるバイパス通路(20)と、
前記建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
前記建物外から導入される外気の温度を検出する外気温度センサ(18)と、
前記外気導入路と前記バイパス通路との間の空気流れの許容および遮断を切り替える風路切替装置(30、31)と、
前記部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、前記外気導入路から前記熱交換器および前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記外気導入路から前記熱交換器を迂回して前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する電子制御装置(16)と、を備える換気空調システム。
[請求項2]
前記電子制御装置は、設定温度よりも室温が高く、且つ、室温よりも外気温が低いとき、前記外気導入路から前記バイパス通路を流れる空気が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1に記載の換気空調システム。
[請求項3]
前記電子制御装置は、設定温度よりも室温が低く、且つ、室温よりも外気温が高いとき、前記外気導入路から前記バイパス通路を流れる空気が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1または2に記載の換気空調システム。
[請求項4]
前記建物内には、部屋用エアコン(8)が取り付けられたエアコン設置室と、前記部屋用エアコンが取り付けられていないエアコン非設置エリアが設けられており、
換気空調システムは、前記熱交換器と前記冷媒式熱交換器との間に形成される中間通路(24)と、前記エアコン設置室に吹き出される風が流れる第1吹出通路(26)と、前記エアコン非設置エリアに吹き出される風が流れる第2吹出通路(27)をさらに備えており、
前記風路切替装置(30~34)は、前記外気導入路と前記バイパス通路との連通および遮断に加えて、前記中間通路と前記バイパス通路との連通および遮断、前記バイパス通路と前記第1吹出通路との連通および遮断、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路との連通および遮断を切り替え可能であり、
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンの運転状態に応じて、前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が、前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項5]
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが駆動している場合、前記中間通路から前記バイパス通路を流れる空気が前記第1吹出通路から前記エアコン設置室へ供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器を通過した空気が前記第2吹出通路から前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動し、さらに前記冷凍サイクルを駆動する、請求項4に記載の換気空調システム。
[請求項6]
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが駆動している場合、前記外気導入路と前記バイパス通路との間を遮断し、前記中間通路と前記バイパス通路との間を連通し、前記バイパス通路と前記第1吹出通路との間を連通し、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路との間を遮断するように前記風路切替装置を駆動する、請求項4または5に記載の換気空調システム。
[請求項7]
前記換気空調システムは、複数の前記部屋へ吹き出す風量を部屋ごとに変えることの可能な可変風量制御装置(50)をさらに備える、請求項4ないし6のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項8]
前記電子制御装置は、前記室内温度センサで検出された室温と前記部屋の設定温度との差に応じて、前記可変風量制御装置の駆動と前記冷凍サイクルの駆動を制御する、請求項7に記載の換気空調システム。
[請求項9]
前記可変風量制御装置は、複数の前記部屋へ吹き出す風量を前記エアコン設置室と前記エアコン非設置エリアとで個別制御、または、一括制御することが可能である、請求項7または8に記載の換気空調システム。
[請求項10]
前記電子制御装置は、前記部屋用エアコンが停止している場合、前記バイパス通路の風流れを遮断し、前記第1吹出通路と前記第2吹出通路とを連通し、前記冷媒式熱交換器を通過した空気が前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアへ供給されるように前記風路切替装置を駆動し、前記冷凍サイクルを駆動し、さらに前記可変風量制御装置を駆動して前記エアコン設置室に吹き出す風量を前記エアコン非設置エリアに吹き出す風量よりも少なくする、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項11]
換気空調システムは、前記建物内の空気を前記中間通路に導入する室内還気路(11)をさらに備える、請求項4ないし10のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項12]
前記風路切替装置は、
前記外気導入路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第1吹出通路と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン設置室および前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記中間通路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路を経由して前記エアコン設置室に空気が供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、
前記外気導入路から前記バイパス通路と前記第1吹出通路を経由して前記エアコン設置室に空気が供給され、前記中間通路から前記冷媒式熱交換器と前記第2吹出通路を経由して前記エアコン非設置エリアに空気が供給される態様と、を実施することが可能である、請求項4ないし11のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項13]
換気空調システムは、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器に送ることと、前記熱交換器を迂回させて前記バイパス通路に送ることの可能な外気導入用ブロアファン(19)と、
前記排出路に設けられる排出用ブロアファン(22)を備える、請求項4ないし12のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項14]
換気空調システムは、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器に送る第1外気導入用ブロアファン(191)と、
前記外気導入路に設けられ、前記建物外から導入される空気を前記熱交換器を迂回させて前記バイパス通路に送る第2外気導入用ブロアファン(192)と、
前記排出路に設けられる排出用ブロアファン(22)を備える、請求項4ないし12のいずれか1つに記載の換気空調システム。
[請求項15]
換気空調システムは、前記第1吹出通路に設けられる第1吹出通路ブロアファン(193)と、前記第2吹出通路に設けられる第2吹出通路ブロアファン(194)をさらに備える、請求項13または14に記載の換気空調システム。
[請求項16]
部屋用エアコン(8)が取り付けられたエアコン設置室と、前記部屋用エアコンが取り付けられていないエアコン非設置エリアを有する建物(2)に設置される換気空調システムであって、
建物外から導入される空気が流れる外気導入路(17)と、
建物内から前記建物外へ排出される空気が流れる排出路(21)と、
前記外気導入路から導入された空気と前記排出路を流れる空気とを熱交換する熱交換器(23)と、
冷凍サイクルの一部を構成し、前記外気導入路から前記熱交換器を通過した空気を冷却および加熱する冷媒式熱交換器(25)と、
前記建物内の部屋の室温を検出する室内温度センサ(15)と、
前記部屋用エアコンの運転状態に応じて、前記冷媒式熱交換器による冷房能力または暖房能力、および、前記エアコン設置室と前記エアコン非設置エリアへ供給される風量を制御する電子制御装置(16)と、を備える換気空調システム。
[請求項17]
前記外気導入路から導入されて前記熱交換器を迂回する空気が流れるバイパス通路(20)と、
前記建物外から導入される外気の温度を検出する外気温度センサ(18)と、
前記外気導入路と前記バイパス通路との間の空気流れの許容および遮断を切り替える風路切替装置(30、31)をさらに備え、
前記電子制御装置は、前記部屋の設定温度と室温と外気温に応じて、前記外気導入路から前記熱交換器および前記冷媒式熱交換器を通過した空気、および、前記外気導入路から前記熱交換器を迂回して前記バイパス通路を流れる空気の少なくとも一方が前記部屋へ供給されるように前記風路切替装置を駆動する、請求項16に記載の換気空調システム。
【符号の説明】
【0095】
1 換気空調システム
15 室内温度センサ
16 電子制御装置(ECU)
17 外気導入路
18 外気温度センサ
20 バイパス通路
21 排出路
23 熱交換器
25 冷媒式熱交換器
30 風路切替装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10