(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135873
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】水回り空間に用いられるカウンターおよび洗面台
(51)【国際特許分類】
A47B 96/18 20060101AFI20240927BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A47B96/18 H
A47K1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046768
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北方 裕梨子
(72)【発明者】
【氏名】森 健太
(57)【要約】
【課題】本開示技術は、カウンターが濡れている場合にそのことがユーザーにわかりやすいカウンターおよびそのカウンターを有する洗面台を提供することを課題とするものである。
【解決手段】本開示技術に係るカウンター5は、水回り空間に用いられるカウンターである。本開示技術では、カウンター5における上向きの表面の少なくとも一部分を、水変色面8であることとしている。水変色面8は、濡れているときの色と乾燥時の色とが異なる面である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水回り空間に用いられるカウンターであって、
上向きの表面の少なくとも一部分は、濡れているときの色と乾燥時の色とが異なる水変色面であるカウンター。
【請求項2】
請求項1に記載のカウンターであって、
水受け部を有し、
上向きの表面のうち少なくとも前記水受け部に隣接する領域が前記水変色面であるカウンター。
【請求項3】
請求項1および請求項2のいずれか1つに記載のカウンターであって、
前記水変色面は、濡れているときの色が青色または水色であり、乾燥時の色が青色でも水色でもない色である面であるカウンター。
【請求項4】
請求項1および請求項2のいずれか1つに記載のカウンターであって、
前記水変色面は、濡れているときには文字または図形が現れ、乾燥時には文字も図形も現れない面であるカウンター。
【請求項5】
水受け部と、前記水受け部の縁辺の外に広がるカウンターとを有し、
前記カウンターは請求項1および請求項2のいずれか1つに記載のものである洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、水回り空間に用いられるカウンターおよび洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「洗面カウンターの清掃装置」が開示されている。同文献の洗面カウンターには洗面ボール部が備えられている。洗面ボール部には給水栓から給水することができる。同文献の洗面カウンターには洗面ボール部と並んで、フラットで水平なカウンター部が備えられている。同文献の洗面カウンターでは清掃機を備えており、カウンター部の清掃を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の洗面カウンターでは、カウンター部が濡れている場合がある。給水栓からの水が飛散してカウンター部の表面に到達することがあるからである。清掃機が備えられているとしても、濡れたカウンター部が直ちに清掃される訳ではない。ユーザーは、カウンター部が濡れていることに気づきにくいものである。このため、手荷物を濡れているカウンター部に置いてしまう場合がある。これでは手荷物が濡れてしまう。
【0005】
本開示技術の課題とするところは、濡れていることがユーザーにわかりやすいカウンターおよび洗面台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様におけるカウンターは、水回り空間に用いられるカウンターであって、上向きの表面の少なくとも一部分は、濡れているときの色と乾燥時の色とが異なる水変色面であるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】水変色面が部分的に濡れている状況を示す平面図である。
【
図4】濡れているときに文字が現れる水変色面の例を示す平面図である。
【
図5】濡れているときに図形が現れる水変色面の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示技術を適用した実施の形態に係る洗面台1を
図1に示す。洗面台1は、箱部2と壁面部3とを有している。箱部2の上面には水受け部4が設けられている。箱部2の上面のうち水受け部4以外の部分はカウンター5である。カウンター5は水受け部4の縁辺の外に広がるフラットな面である。水受け部4はカウンター5に対して凹状である。壁面部3は、箱部2の背面側の上方に位置している。壁面部3の前面には、鏡6が備えられている。洗面台1はさらに、水受け部4に水を供給する水栓7を有している。
【0009】
ユーザーは、洗面台1の正面に立ち、鏡6を見ながら水栓7および水受け部4を使用することができる。ユーザーはその際、カウンター5を、手荷物の一時的な置き場として使用することができる。
【0010】
本形態の洗面台1は、水変色面8を有している。洗面台1では水変色面8は、カウンター5の上向きの表面の一部として設けられている。本形態ではカウンター5のうち水受け部4に隣接する領域が水変色面8で占められている。水変色面8は、濡れているときの色と乾燥時の色とが異なる面である。カウンター5のうち表面が水変色面8である部分は、
図2に示すように、下地層80の上に着色層81とそのさらに上の水変色層82とを積層して構成されている。
【0011】
下地層80の材質は、水回り空間に用いられるカウンターの素材として一般的なのものであって、着色層81、水変色層82との密着性があるものであれば何でもよい。例えば、熱硬化性樹脂を硬化させたもの、同樹脂に無機質粉体を混合してから硬化させたものである人造大理石、繊維補強樹脂、熱可塑性樹脂、石粉を樹脂で固めたものであるテラゾー、天然石材、セラミックス、セメント、ガラス、金属、木材、圧縮紙等が挙げられる。好ましくは人造大理石がよい。
【0012】
水変色層82は、濡れているときには透明であり乾燥時には不透明である材質の層である。水変色層82として使用できるものとしては例えば、パイロットインキ株式会社により「水発色カラー」として提供されているもの(https://www.pilotink.co.jp/metamo/ink/water.html)を挙げることができる。
【0013】
着色層81は、水変色層82が透明であるときの水変色面8の色を決定する層である。着色層81は、下地層80の材質と同質であり着色したもの、下地層80の材質と異なる材質で固有の色を有するもの、下地層80の表面上に印刷した色材の層、のいずれでもよい。
【0014】
上記のように構成されている水変色面8の外観は、濡れているか否かにより、次のように異なる。濡れていないとき、すなわち乾燥時には、水変色面8に当たる光が水変色層82の表面で乱反射するので、水変色層82は不透明である。このため水変色面8の外観上の色は、着色層81の色ではなく、水変色層82の不透明時の色である。濡れているときには、水変色面8に当たる光が着色層81まで到達してそこで反射される。このため水変色面8の外観上の色は、着色層81の色である。
【0015】
水変色層82の不透明時の色は、選択可能である。水変色層82の不透明時の色としては、着色層81の色とは異なる色が選択されているものとする。これにより水変色面8の外観上の色を、濡れているときと乾燥時とで異なる色とすることができる。
【0016】
このことによりユーザーは、水変色面8が濡れているか否かを、その色によって知ることができる。水変色面8が水変色層82の不透明時の色であれば、濡れていないことが分かる。水変色面8が着色層81の色であれば、濡れていることが分かる。水変色面8のうち一部分が濡れており残部が乾いていることもある。その場合でも
図3に示すように、濡れている場所9と乾いている場所10とを色によって識別することができる。
【0017】
カウンター5は本来、水栓7からの水を受けるための部位ではない。しかし、ユーザーが洗面台1を利用するときに、飛散した水がカウンター5に到達して濡らしてしまうことはある。特に、カウンター5の中でも水受け部4寄りの部分は濡れる可能性が高い。その後に別のユーザーが洗面台1を利用するために手荷物をカウンター5に置こうとするときに、水変色面8の機能が有益である。
【0018】
本形態ではカウンター5のうち濡れている可能性が高い部分が水変色面8である。このため、手荷物をカウンター5に置こうとするユーザーは、上記のように水変色面8の色により、カウンター5の濡れ状況を知ることができる。濡れておらずかつ自分の手荷物を置くのに十分な程度に広い領域があれば、そこに手荷物を置くことができる。そのような領域が存在しない場合には、ユーザーは、手荷物をカウンター5に置くことを回避した方がよい。当該手荷物が濡れてしまうからである。その場合でも、濡れている領域の水分をユーザーが十分に拭き取ればそこに手荷物を置くことができる。
【0019】
着色層81の色としては、好ましい色がある。着色層81の好ましい色は、青色または水色である。着色層81が青色または水色であると、水変色面8の濡れているときの色も青色または水色である。これらの色は、人に水をイメージさせる色である。このためユーザーは、青色または水色である水変色面8を見て、そこは濡れているという認識を自然に持つことができる。
【0020】
その場合、水変色層82の不透明時の色は、青色でも水色でもない色である必要がある。好ましくは、洗面台1のカウンター5として通常使用される材質の色またはそれと類似する色が好適である。例えば、人造大理石の色またはそれに似せた色が挙げられる。単純な白色でもよい。
【0021】
水変色面8の濡れているときの色と乾燥時の色との組み合わせが上記のものであると、不特定多数のユーザーが利用する施設、例えば商業施設、集客施設に設置される洗面化粧台1において特に有益である。水変色面8の機能を知らないユーザーであっても、カウンター5が濡れている場合にそのことを自然に認識できるからである。
【0022】
水変色面8の濡れているときの発色機能は、面全体に一様に付与されていてもよいし、一様でなくてもよい。一様でない発色の例としては、
図4(文字)、
図5(図形)が挙げられる。
図4は、濡れている状態での水変色面8に文字83が現れている状況を示している。このような例では、文字83が持つ言語上の意味によっても、ユーザーに対してカウンター5が濡れていることを認識させることができる。
図5は、濡れている状態での水変色面8に図形84が現れている状況を示している。このような例では、図形84が人に想起させるイメージによっても、ユーザーに対してカウンター5が濡れていることを認識させることができる。
図5の例での図形84は、水滴の絵柄の模様である。
図4の例、
図5の例とも、乾燥時の水変色面8は文字83も図形84も現れない単色の面である。
【0023】
図4または
図5のような例を実現するためには、着色層81と水変色層82とのいずれか少なくとも一方を、全面ベタ状ではなくパターン状に形成しておけばよい。例えば、着色層81を、濡れているときに発色させようとする位置にのみ形成しておくことが考えられる。この場合、水変色層82は全面ベタ状でもよい。あるいは、水変色層82を、濡れているときに発色させようとする位置のみが透明化するように形成しておくことも考えられる。この場合、着色層81は全面ベタ状でもよい。着色層81と水変色層82との両方がパターン状であってもよい。
【0024】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば、洗面台1における本来水を受ける目的の場所ではない場所であるカウンター5に水変色面8を設けている。これにより、カウンター5が濡れている場合にそのことがユーザーにわかりやすい洗面台1が実現されている。このため、前のユーザーがカウンター5を濡らしてしまった後に洗面台1を利用する後のユーザーが、カウンター5に手荷物を置く前に、そこが濡れていることが分かるようになっている。
【0025】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、対象とする洗面台は、鏡6を有しないものであってもよい。カウンター5のうち水変色面8が占める範囲は、カウンター5の上向きの表面の全体であってもよい。カウンター5のうち一部分のみに水変色面8を設ける場合には、カウンター5のうち水受け部4に隣接する領域に水変色面8を設けることが望ましい。水変色面8における濡れているか否かによる発色メカニズムは、別のものでもよい。洗面台に水栓7が含まれておらず、洗面台が設置される場所の壁面に設けられている水栓を利用する形態であってもよい。
【0026】
[予備請求項1]
請求項3に記載のカウンターであって、
前記水変色面は、濡れているときには文字または図形が現れ、乾燥時には文字も図形も現れない面であるカウンター。
【0027】
[予備請求項2]
請求項1から請求項4までおよび予備請求項1のいずれか1つに記載のカウンターであって、
前記水変色面は、
濡れているときには透明であり乾燥時には不透明である水変色層と、
前記水変色層の乾燥時の色とは異なる色であり前記水変色層の下に被覆されている着色層とを有するカウンター。
【0028】
[予備請求項3]
水受け部と、前記水受け部の縁辺の外に広がるカウンターとを有し、
前記カウンターは請求項3、請求項4、予備請求項1、および予備請求項2のいずれか1つに記載のものである洗面台。
【符号の説明】
【0029】
1……洗面台、4……水受け部、5……カウンター、7……水栓、8……水変色面、
9……濡れている場所、10……乾いている場所、81……着色層、82……水変色層、83……文字、84……図形