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特開2024-135882歩容情報生成装置、歩容計測システム、歩容情報生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135882
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】歩容情報生成装置、歩容計測システム、歩容情報生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046778
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 浩司
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB14
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、歩隔に関する歩容情報を生成できる歩容情報生成装置等を提供する。
【解決手段】足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する通信部と、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する増分計算部と、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算し、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する歩容情報生成部と、生成された歩容情報を出力する出力部と、を備える歩容情報生成装置とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する通信部と、
前記センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する増分計算部と、
初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と前記左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算し、算出された前記歩隔に関する歩容情報を生成する歩容情報生成部と、
生成された前記歩容情報を出力する出力部と、を備える歩容情報生成装置。
【請求項2】
前記増分計算部は、
前記左右方向加速度を2階積分して前記左右方向距離を計算し、
前記左右方向距離の増分として、両足の前記左右方向距離の差を計算する請求項1に記載の歩容情報生成装置。
【請求項3】
前記増分計算部は、
前記左右方向距離の増分として、両足の一歩ごとにおける前記左右方向距離の差を計算する請求項2に記載の歩容情報生成装置。
【請求項4】
前記左右方向距離の増分に応じて前記センサデータの計測終了を判定する判定部を備え、
前記判定部は、
前記左右方向距離の増分に応じて計測終了と判定すると、前記歩隔を含む歩容パラメータの計算を指示する計算指示信号を出力し、
前記歩容情報生成部は、
前記計算指示信号に応じて、前記歩隔を含む歩容パラメータの計算を実行する請求項3に記載の歩容情報生成装置。
【請求項5】
前記判定部は、
予め設定された計測終了基準値よりも前記左右方向距離の増分が小さくなると、計測終了と判定する請求項4に記載の歩容情報生成装置。
【請求項6】
前記歩容情報生成部は、
前記センサデータに含まれる進行方向加速度を2階積分して進行方向軌跡を計算し、
算出された前記進行方向軌跡を用いて歩幅を計算し、
算出された前記歩幅に関する前記歩容情報を生成する請求項1に記載の歩容情報生成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の歩容情報生成装置と、
ユーザの履物に設置され、3軸方向の加速度を計測する加速度センサと、3軸周りの角速度を計測する角速度センサとを含むセンサを有し、前記加速度センサおよび前記角速度センサによって計測された物理量に基づくセンサデータを前記歩容情報生成装置に出力するセンサデータ計測装置と、を備える歩容計測システム。
【請求項8】
前記歩容情報生成装置は、
前記ユーザの携帯端末の画面に表示された計測開始ボタンのタップによって生成された計測開始信号を取得し、取得した前記計測開始信号を通信部に出力する計測指示取得部を備え、
前記歩容情報生成装置は、
前記計測開始信号を前記センサデータ計測装置に送信し、
前記センサデータ計測装置は、
前記計測開始信号に応じて前記センサデータの計測を開始し、
計測した前記センサデータを前記歩容情報生成装置に送信し、
前記歩容情報生成装置は、
前記左右方向距離の増分に応じて計測終了を判定し、
計測終了と判定すると、計測終了信号を前記センサデータ計測装置に送信し、
前記センサデータ計測装置は、
前記計測終了信号に応じて前記センサデータの計測を終了する請求項7に記載の歩容計測システム。
【請求項9】
コンピュータが、
足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得し、
前記センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算し、
両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と前記左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算し、
算出された前記歩隔に関する歩容情報を生成し、
生成された前記歩容情報を出力する歩容情報生成方法。
【請求項10】
足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する処理と、
前記センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する処理と、
両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と前記左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算する処理と、
算出された前記歩隔に関する歩容情報を生成する処理と、
生成された前記歩容情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩容パラメータを計測する歩容情報生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケアへの関心の高まりから、歩行の特徴を含む歩容を計測し、計測された歩容に応じた情報をユーザに提供するサービスが注目されている。歩行に関するデータから、歩隔や歩幅、足角などの歩容パラメータを検出できれば、歩容に応じたサービスを提供できる。例えば、歩容パラメータの一つである歩隔は、歩行者の状態の指標となる。そのため、日常の歩行における歩隔を計測できれば、その歩行者の状態に応じた適切なサービスを提供できる可能性がある。
【0003】
一般に、歩隔は、床埋め込み型の床反力計を用いて計測される。床反力計は高価であり、十分な床強度のための工事が必要である。また、安価な簡易型の床反力計もあるが、歩隔を計測するための距離を確保できないため、歩隔を安定して計測できなかった。カメラを用いれば、歩隔を計測できる。カメラを用いる場合、複数のカメラによって撮影された画像を用いて補正する必要がある。すなわち、床反力計と同様に、カメラを用いても、特定の環境でしか歩隔を計測できなかった。
【0004】
特許文献1には、歩行時や走行時における二肢の間隔を計測するシステムについて開示されている。特許文献1には、超音波を用いた非接触式の間隔計測器を用いて、二肢の間隔(両足間距離とも呼ぶ)を計測する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6307673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の手法では、一方の足に装備された超音波送波部から発せられた超音波を、もう一方の足に装備された受波部で受波し、超音波の伝播時間に基づいて両足間距離を算出する。特許文献1の手法によれば、歩行時や走行時において、一方の足に装備された超音波送波部ともう一方の足に装備された受波部との間隔を、両足間距離として計測できる。しかしながら、特許文献1の手法では、歩行時や走行時における両足間距離は計測できるものの、歩隔を計測できなかった。また、特許文献1の手法では、両足間距離の計測において、超音波を用いた非接触式の間隔計測器を用いる必要があった。
【0007】
本開示の目的は、簡易な構成で、歩隔に関する歩容情報を生成できる歩容情報生成装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の歩容情報生成装置は、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する通信部と、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する増分計算部と、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算し、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する歩容情報生成部と、生成された歩容情報を出力する出力部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様の歩容情報生成方法においては、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得し、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算し、両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算し、算出された歩隔に関する歩容情報を生成し、生成された歩容情報を出力する。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する処理と、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する処理と、両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算する処理と、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する処理と、生成された歩容情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、簡易な構成で、歩隔に関する歩容情報を生成できる歩容情報生成装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る歩容計測システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る歩容計測システムが備えるセンサデータ計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る歩容計測システムが備えるセンサデータ計測装置の配置例を示す概念図である。
図4】第1実施形態に係る歩容計測システムが備えるセンサデータ計測装置に設定される座標系について説明するための概念図である。
図5】第1実施形態に係る歩容計測システムに関する人体面について説明するための概念図である。
図6】第1実施形態に係る歩容計測システムに関する歩行周期について説明するための概念図である。
図7】第1実施形態に係る歩容計測システムに関する歩容パラメータについて説明するための概念図である。
図8】第1実施形態に係る歩容計測システムが備える歩容情報生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図9】第1実施形態に係る歩容計測システムを使用するユーザの携帯端末の画面に表示されたユーザインターフェースの一例を示す概念図である。
図10】第1実施形態に係る歩容計測システムが計測する歩隔について説明するための概念図である。
図11】第1実施形態に係る適用例1について説明するための概念図である。
図12】第1実施形態に係る歩容計測システムが備えるセンサデータ計測装置の動作について説明するためのフローチャートである。
図13】第1実施形態に係る歩容計測システムが備える歩容情報生成装置の動作について説明するためのフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る歩容計測システムの構成の一例を示すブロック図である。
図15】第2実施形態に係る歩容計測システムが備えるセンサデータ計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図16】第2実施形態に係る適用例2について説明するための概念図である。
図17】第2実施形態に係る適用例3について説明するための概念図である。
図18】第2実施形態に係る歩容計測システムが備える歩容情報生成装置の動作について説明するためのフローチャートである。
図19】第3実施形態に係る歩容計測システムが備える歩容情報生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図20】第3実施形態に係る歩容計測システムが備える歩容情報生成装置の動作について説明するためのフローチャートである。
図21】各実施形態の制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る歩容計測システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容計測システムは、ユーザの歩行に応じたセンサデータを計測する。本実施形態の歩容計測システムは、計測されたセンサデータを用いて、そのユーザの歩隔を計算する。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態に係る歩容計測システム1の構成の一例を示すブロック図である。歩容計測システム1は、センサデータ計測装置10と歩容情報生成装置15を備える。センサデータ計測装置10は、歩隔の計測対象である被験者(ユーザ)の履物等に設置される。例えば、歩容情報生成装置15の機能は、被験者の携帯する携帯端末にインストールされる。歩容情報生成装置15の機能は、被験者の携帯する携帯端末に通信ネットワークを通じて接続されたサーバやクラウドに実装されてもよい。以下においては、センサデータ計測装置10および歩容情報生成装置15の構成について、個別に説明する。
【0016】
〔センサデータ計測装置〕
図2は、センサデータ計測装置10の構成の一例を示すブロック図である。センサデータ計測装置10は、センサ11、制御部12、および通信部13を有する。図2のように、センサ11は、加速度センサ111と角速度センサ112を有する。図2には、加速度センサ111と角速度センサ112が、センサ11に含まれる例をあげる。センサ11には、加速度センサ111および角速度センサ112以外のセンサが含まれてもよい。センサ11に含まれうる加速度センサ111および角速度センサ112以外のセンサについては、説明を省略する。
【0017】
加速度センサ111は、3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。加速度センサ111は、足の動きに関する物理量として、加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測する。加速度センサ111は、計測した加速度を制御部12に出力する。例えば、加速度センサ111には、圧電型や、ピエゾ抵抗型、静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。加速度センサ111として用いられるセンサは、加速度を計測できればよい。
【0018】
角速度センサ112は、3軸周りの角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。角速度センサ112は、足の動きに関する物理量として、角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測する。角速度センサ112は、計測した角速度を制御部12に出力する。例えば、角速度センサ112には、振動型や静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。角速度センサ112として用いられるセンサは、角速度を計測できればよい。
【0019】
センサ11は、例えば、加速度や角速度を計測する慣性計測装置によって実現される。慣性計測装置の一例として、IMU(Inertial Measurement Unit)があげられる。IMUは、3軸方向の加速度を計測する加速度センサ111と、3軸周りの角速度を計測する角速度センサ112を含む。センサ11は、VG(Vertical Gyro)やAHRS(Attitude Heading Reference System)などの慣性計測装置によって実現されてもよい。また、センサ11は、GPS/INS(Global Positioning System/Inertial Navigation System)によって実現されてもよい。センサ11は、足の動きに関する物理量を計測できれば、慣性計測装置以外の装置によって実現されてもよい。
【0020】
図3は、両足の靴100の中に、センサデータ計測装置10が配置される一例を示す概念図である。図3の例では、足弓の裏側に当たる位置に、センサデータ計測装置10が設置される。例えば、センサデータ計測装置10は、靴100の中に挿入されるインソールに配置される。例えば、センサデータ計測装置10は、靴100の底面に配置されてもよい。例えば、センサデータ計測装置10は、靴100の本体に埋設されてもよい。センサデータ計測装置10は、靴100から着脱できてもよいし、靴100から着脱できなくてもよい。センサデータ計測装置10は、足の動きに関するセンサデータを計測できさえすれば、足弓の裏側ではない位置に設置されてもよい。また、センサデータ計測装置10は、ユーザが履いている靴下や、ユーザが装着しているアンクレット等の装飾品に設置されてもよい。また、センサデータ計測装置10は、足に直に貼り付けられたり、足に埋め込まれたりしてもよい。
【0021】
図3の例では、センサデータ計測装置10(センサ11)を基準として、左右方向のx軸、前後方向のy軸、上下方向のz軸を含むローカル座標系が設定される。図3には、左足と右足とで異なる座標系が設定される例を示す。左足に関しては、x軸は左方を正とし、y軸は前方を正とし、z軸は上方を正とする。右足に関しては、x軸は右方を正とし、y軸は前方を正とし、z軸は上方を正とする。センサ11に設定される軸の向きは、左右の足で同じでもよい。例えば、同じスペックで生産されたセンサ11が左右の靴100の中に配置される場合、左右の靴100に配置されるセンサ11の上下の向き(Z軸方向の向き)は、同じ向きである。その場合、左足に由来するセンサデータに設定されるローカル座標系の3軸と、右足に由来するセンサデータに設定されるローカル座標系の3軸とは、左右で同じである。
【0022】
図4は、足弓の裏側に設置されたセンサデータ計測装置10(センサ11)に設定されるローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と、地面に対して設定される世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)について説明するための概念図である。図4には、左足と右足とで異なる座標系が設定された例を示す。世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)では、進行方向に正対した状態のユーザが直立した状態で、ユーザの横方向がX軸方向、ユーザの背面の方向がY軸方向、重力方向がZ軸方向に設定される。なお、図4の例は、ローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)の関係を概念的に示すものであり、ユーザの歩行に応じて変動するローカル座標系と世界座標系の関係を正確に示すものではない。
【0023】
図5は、人体に対して設定される面(人体面とも呼ぶ)について説明するための概念図である。本実施形態では、身体を左右に分ける矢状面、身体を前後に分ける冠状面、身体を水平に分ける水平面が定義される。なお、図5のように、足の中心線を進行方向に向けて直立した状態では、世界座標系とローカル座標系が一致するものとする。図5には、左足と右足とで異なる座標系が設定された例を示す。本実施形態においては、X軸(x軸)を回転軸とする矢状面内の回転をロール、Y軸(y軸)を回転軸とする冠状面内の回転をピッチ、Z軸(z軸)を回転軸とする水平面内の回転をヨーと定義する。また、X軸(x軸)を回転軸とする矢状面内の回転角をロール角、Y軸(y軸)を回転軸とする冠状面内の回転角をピッチ角、Z軸(z軸)を回転軸とする水平面内の回転角をヨー角と定義する。
【0024】
制御部12(制御手段)は、歩容情報生成装置15から送信された計測開始信号を、通信部13から取得する。制御部12は、計測開始信号に応じて、加速度センサ111および角速度センサ112に計測を開始させる。例えば、制御部12は、ユーザの歩行検知に応じて、加速度センサ111および角速度センサ112に計測を開始させてもよい。例えば、制御部12は、予め設定された所定期間を越えて両足の垂直方向の高さが同じであった後に、左右いずれかの足の進行方向への動き出しが検出された時点を起点として、歩隔の計測を開始するように構成されてもよい。また、制御部12は、予め設定された所定タイミングにおいて、歩隔の計測を開始するように構成されてもよい。
【0025】
制御部12は、加速度センサ111から、3軸方向の加速度を取得する。また、制御部12は、角速度センサ112から、3軸周りの角速度を取得する。例えば、制御部12は、取得された角速度および加速度等の物理量(アナログデータ)をAD変換(Analog-to-Digital Conversion)する。なお、加速度センサ111および角速度センサ112によって計測された物理量(アナログデータ)は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々においてデジタルデータに変換されてもよい。制御部12は、変換後のデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)を通信部13に出力する。
【0026】
制御部12は、図示しない記憶部に、センサデータを記憶させるように構成されてもよい。センサデータには、デジタルデータに変換された加速度データと、デジタルデータに変換された角速度データとが少なくとも含まれる。加速度データは、3軸方向の加速度ベクトルを含む。角速度データは、3軸周りの角速度ベクトルを含む。加速度データおよび角速度データには、それらのデータの取得時間が紐付けられる。また、制御部12は、加速度データおよび角速度データに対して、実装誤差や温度補正、直線性補正などの補正を加えてもよい。
【0027】
例えば、制御部12は、センサデータ計測装置10の全体制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータやマイクロコントローラによって実現される。例えば、制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を有する。制御部12は、加速度センサ111および角速度センサ112を制御して、角速度や加速度を計測する。
【0028】
図6は、右足を基準とする一歩行周期について説明するための概念図である。左足を基準とする一歩行周期も、右足と同様である。図6の横軸は、右足の踵が地面に着地した時点を起点とし、次に右足の踵が地面に着地した時点を終点とする右足の一歩行周期である。図6の横軸は、一歩行周期を100%として第1正規化されている。また、図6の横軸は、立脚相が60%、遊脚相が40%になるように第2正規化されている。片足の一歩行周期は、足の裏側の少なくとも一部が地面に接している立脚相と、足の裏側が地面から離れている遊脚相とに大別される。立脚相は、さらに、荷重応答期T1、立脚中期T2、立脚終期T3、遊脚前期T4に細分される。遊脚相は、さらに、遊脚初期T5、遊脚中期T6、遊脚終期T7に細分される。なお、図6は一例であって、一歩行周期を構成する期間や、それらの期間の名称等を限定するものではない。
【0029】
図6のように、歩行においては、複数の事象(歩行イベントとも呼ぶ)が発生する。P1は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表すHS(Heel Strike)。P2は、右足の足裏が接地した状態で、左足の爪先が地面から離れる事象(反対足爪先離地)を表す(OTO:Opposite Toe Off)。P3は、右足の足裏が接地した状態で、右足の踵が持ち上がる事象(踵持ち上がり)を表す(HR:Heel Rise)。P4は、左足の踵が接地した事象(反対足踵接地)である(OHS:Opposite Heel Strike)。P5は、左足の足裏が接地した状態で、右足の爪先が地面から離れる事象(爪先離地)を表す(TO:Toe Off)。P6は、左足の足裏が接地した状態で、左足と右足が交差する事象(足交差)を表す(FA:Foot Adjacent)。P7は、左足の足裏が接地した状態で、右足の脛骨が地面に対してほぼ垂直になる事象(脛骨垂直)を表す(TV:Tibia Vertical)。P8は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表す(HC:Heel Contact)。P8は、P1から始まる歩行周期の終点に相当するとともに、次の歩行周期の起点に相当する。なお、図6は一例であって、歩行において発生する事象や、それらの事象の名称を限定するものではない。
【0030】
図7は、歩容パラメータの一例について説明するための概念図である。図7には、左足と右足とで異なる座標系が設定される例を示す。図7には、右足ステップ長SR、左足ステップ長SL、ストライド長T、および歩隔Wを図示する。右足ステップ長SRおよび左足ステップ長SLは、歩幅に相当する。図7には、進行方向の軸(Y軸)に平行であり、左右の足の中間を結ぶ軌跡に相当する進行軸APを図示する。右足ステップ長SRは、左足の足裏が接地した状態から、進行方向に振り出された右足の踵が着地した状態に遷移した際の、右足の踵と左足の踵とのY座標の差である。左足ステップ長SLは、右足の足裏が接地した状態から、進行方向に振り出された左足の踵が着地した状態に遷移した際の、左足の踵と右足の踵とのY座標の差である。ストライド長Tは、右足ステップ長SRと左足ステップ長SLの和である。歩隔Wは、右足と左足の間隔である。図7において、歩隔Wは、接地した状態における右足の踵の中心線(XR座標)と、接地した状態における左足の踵の中心線(XL座標)との差である。
【0031】
通信部13(通信手段)は、歩容情報生成装置15から計測開始信号を受信する。通信部13は、受信された計測開始信号を制御部12に出力する。通信部13は、計測開始信号に応じて計測されたセンサデータを制御部12から取得する。通信部13は、取得したセンサデータを歩容情報生成装置15に送信する。通信部13は、予め設定された送信タイミングにおいて、センサデータを送信するように構成されてもよい。例えば、通信部13は、無線通信を介して、センサデータを送信する。通信部13から送信されたセンサデータは、歩容情報生成装置15によって受信される。センサデータの送信タイミングについては、特に限定しない。例えば、通信部13は、センサデータの計測に応じて、リアルタイムでそのセンサデータを送信する。例えば、通信部13は、所定期間に計測されたセンサデータを記憶しておき、予め設定されたタイミングにおいて、記憶されたセンサデータを一括で送信してもよい。
【0032】
例えば、通信部13は、無線通信を介して、歩容情報生成装置15にセンサデータを送信する。例えば、通信部13は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、歩容情報生成装置15にセンサデータを送信する。通信部13の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。通信部13は、ケーブルなどの有線を介して、歩容情報生成装置15にセンサデータを送信してもよい。
【0033】
〔歩容情報生成装置〕
図8は、歩容情報生成装置15の構成の一例を示すブロック図である。歩容情報生成装置15は、計測指示取得部150、通信部151、増分計算部152、判定部153、歩容情報生成部155、および出力部157を有する。
【0034】
計測指示取得部150(計測指示取得手段)は、ユーザによる計測開始指示を受け付ける。計測開始指示は、ユーザによる操作に応じて入力される。例えば、ユーザが携帯する携帯端末(図示しない)には、歩容情報生成装置15の機能を有するアプリ(ソフトウェア)がインストールされる。アプリが起動されると、ユーザが携帯する携帯端末の画面には、歩隔を含む歩容パラメータを計測のためのユーザインターフェースが表示される。
【0035】
図9は、ユーザが携帯する携帯端末180の画面に表示されたユーザインターフェースの一例を示す概念図である。ユーザインターフェースには、計測開始ボタン181が表示される。ユーザは、両足の踵をそろえた状態で待機し、歩行を開始するタイミングに合わせて、携帯端末の画面に表示された計測開始ボタン181をタップする。計測指示取得部150は、ユーザによる計測開始ボタン181のタップに応じて、計測開始信号を通信部151に出力する。例えば、計測開始ボタン181のタップに応じて、携帯端末180から、「両足の踵をそろえて立ってください」などといった音声指示が出力されてもよい。
【0036】
通信部151(通信手段)は、計測指示取得部150から計測開始信号を取得する。通信部151は、取得した計測開始信号をセンサデータ計測装置10に送信する。また、通信部151は、計測開始信号に応じて計測されたセンサデータを、センサデータ計測装置10から受信する。通信部151は、受信したセンサデータを増分計算部152に出力する。また、通信部151は、判定部153から計測終了信号を取得する。通信部151は、取得した計測終了信号をセンサデータ計測装置10に送信する。
【0037】
例えば、通信部151は、無線通信を介して、センサデータを受信する。通信部151によって受信されたセンサデータは、歩隔を含む歩容パラメータの計算に用いられる。例えば、通信部151は、無線通信を介して、センサデータ計測装置10から送信されたセンサデータを受信する。例えば、通信部151は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、センサデータ計測装置10からセンサデータを受信する。通信部151の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。通信部151は、ケーブルなどの有線を介して、センサデータ計測装置10からセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0038】
増分計算部152(増分計算手段)は、通信部151からセンサデータを取得する。増分計算部152は、センサデータのうち少なくとも左右方向加速度を取得する。増分計算部152は、左右方向加速度を2階積分して、左右方向距離の増分を計算する。増分計算部152は、左足および右足の各々に関して、別々に左右方向距離の増分を計算する。
【0039】
図10は、増分計算部152による左右方向距離の増分の計算について説明するための概念図である。図10は、両足をそろえて直立した状態から、数歩分歩いた状況における足の位置を示す。図10の例では、左足から一歩目が踏み出される。図10は、左から右に向けて時間が経過する様子を示す。タイミングt0において、ユーザは両足をそろえて直立している。タイミングt0(初期状態)における両足の踵の中心線間距離(踵中心間距離)はw0である。初期状態における踵中心間距離w0は、予め計測しておき、歩容情報生成装置15の記憶部(図示しない)に登録しておけばよい。センサデータ計測装置10が搭載された履物の大きさは、その履物の外形が変化していない限り一定である。そのため、履物の種別やサイズの入力に応じて、踵中心間距離w0が設定されるように構成されてもよい。
【0040】
ユーザによる計測開始ボタン181のタップによって送信された計測開始信号に応じて、センサデータ計測装置10による歩容パラメータ(歩隔)の計測が開始される。タイミングtL1は、左足の一歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングt0からタイミングtL1に遷移したことによる左方向への増分はdxL1である。タイミングtR1は、右足の一歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングt0からタイミングtR1に遷移したことによる右方向への増分はdxR1である。タイミングtL2は、左足の二歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングtL1からタイミングtL2に遷移したことによる左方向への増分はdxL2である。タイミングtR2は、右足の二歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングtR1からタイミングtR2に遷移したことによる右方向への増分はdxR2である。タイミングtL3は、左足の三歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングtL2からタイミングtL3に遷移したことによる左方向への増分はdxL3である。タイミングtR3は、右足の三歩目における足裏が接地した状態を示す。タイミングtR2からタイミングtR3に遷移したことによる右方向への増分はdxR3である。
【0041】
判定部153(判定手段)は、歩行に応じた左右方向距離の増分を取得する。判定部153は、取得した左右方向距離の増分の値に応じて、計測の終了を判定する。左右方向距離の増分は、歩数が増えるにつれて0に近づく。例えば、判定部153は、予め設定された計測終了基準値よりも増分の値が小さくなると、計測終了と判定する。例えば、判定部153は、予め設定された計測終了基準である変動値よりも増分の変動が小さくなると、計測終了と判定する。通常、3~5歩分のセンサデータがあれば、歩隔を計算できる。そのため、判定部153は、予め設定された歩数に応じて、計測終了と判定するように構成されてもよい。
【0042】
計測終了と判定すると、判定部153は、歩隔を含む歩容パラメータの計算を指示する計算指示信号を歩容情報生成部155に出力する。また、判定部153は、計測終了と判定すると、計測終了信号を通信部151に出力する。
【0043】
歩容情報生成部155(歩隔計算手段)は、判定部153から計算指示信号を取得する。歩容情報生成部155は、計算指示信号の取得に応じて、計測開始から計測終了までの計測期間における増分を増分計算部152から取得する。また、歩容情報生成部155は、初期状態における踵中心間距離w0を取得する。
【0044】
歩容情報生成部155は、タイミングt0(初期状態)における踵中心間距離w0と、歩行に応じた増分を取得する。歩容情報生成部155は、踵中心間距離w0と増分の総和との和を計算する。踵中心間距離w0と増分の総和との和が歩隔Wに相当する。歩容情報生成部155は、以下の式1を用いて、歩隔Wを計算する。
【0045】

【数1】
上記の式1において、nは計測開始から計測終了までの歩数を示す(nは自然数)。例えば、nは3~5に設定される。dxLiは、左足のi歩目における踵中心間距離の増分を示す(iは自然数)。dxRiは、右足のi歩目における踵中心間距離の増分を示す。実用においては、ドリフトや回転の影響がセンサデータに含まれる。そのため、算出された歩隔の値に、ドリフト補正や回転補正が行われてもよい。
【0046】
歩容情報生成部155は、算出した歩隔Wに基づいて、歩容に関する情報(歩容情報)を生成する。例えば、歩容情報生成部155は、算出された歩隔Wの値を含む歩容情報を生成する。歩容情報生成部155は、生成された歩容情報を出力部157に出力する。歩容情報生成部155によって生成される歩容情報については、歩隔に関連する情報であれば、特に限定しない。
【0047】
理想的な歩行においては、歩隔がある程度狭い方がよい。理想的な歩行における歩隔の適正値は、5~13cm(センチメートル)の範囲内の値である。そのため、歩容情報生成部155は、歩隔の適正値との相違に応じた歩容情報を生成してもよい。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲内である場合、歩容情報生成部155は、「あなたの歩隔は理想的です」といった内容の歩容情報を生成する。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲外である場合、歩容情報生成部155は、「歩隔を狭くするように意識しましょう」といった内容の歩容情報を生成する。歩隔の適正値は、年齢や身長、足の長さなどの属性データに依存する。そのため、ユーザの属性データに基づいて、歩隔の適正値が定められてもよい。
【0048】
また、歩隔が広くなる要因としては、不安定な感覚や、恐怖心、胸郭が硬いなどの要因があげられる。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲外である場合、歩容情報生成部155は、不安定な感覚や、恐怖心、胸郭が硬いなどの要因を示す歩容情報を生成してもよい。
【0049】
出力部157(出力手段)は、歩容情報生成部155から歩容情報を取得する。出力部157は、取得した歩容情報を出力する。例えば、出力部157は、被験者(ユーザ)の携帯端末180の画面に、歩容情報を表示させる。例えば、出力部157は、歩容情報を使用する外部システム等に対して、その情報を出力する。出力部157から出力された歩容情報の使用に関しては、特に限定しない。
【0050】
〔適用例1〕
図11は、センサデータ計測装置10が搭載された靴100を履いて歩行するユーザの携帯する携帯端末180の画面に、歩容情報生成装置15から出力された歩隔に関する歩容情報を表示させる一例(適用例1)を示す概念図である。図11は、ユーザの歩行に応じて計測されたセンサデータに基づく歩容情報を、携帯端末180の画面に表示させる例である。図11の例では、「あなたの歩隔は○○cmです」という歩隔に関する歩容情報が、携帯端末180の画面に表示されている。携帯端末180の表示部に表示された歩容情報を確認したユーザは、自身の歩隔に関する情報を認識できる。
【0051】
例えば、歩容情報生成装置15は、被験者(ユーザ)が携帯する携帯端末180を介して、クラウドやサーバに構築された外部システム等に接続される。携帯端末180は、携帯可能な通信機器である。例えば、携帯端末180は、スマートフォンや、スマートウォッチ、携帯電話等の通信機能を有する携帯型の通信機器である。例えば、歩容情報生成装置15は、ケーブルなどの有線を介して、携帯端末180に接続される。例えば、歩容情報生成装置15は、無線通信を介して、携帯端末180に接続される。例えば、歩容情報生成装置15は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、携帯端末180に接続される。なお、歩容情報生成装置15の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。歩隔に関する情報は、携帯端末180にインストールされた別のアプリケーションによって使用されてもよい。その場合、携帯端末180は、その携帯端末180にインストールされたアプリケーションソフトウェア等によって、歩隔に関する情報を用いた処理を実行する。
【0052】
(動作)
次に、本実施形態に係る歩容計測システム1の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、歩容計測システム1に含まれるセンサデータ計測装置10および歩容情報生成装置15について、個別に説明する。
【0053】
〔センサデータ計測装置〕
図12は、センサデータ計測装置10の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図12のフローチャートに沿った説明においては、センサデータ計測装置10に含まれる構成要素を動作主体として説明する。図12のフローチャートに沿った処理の動作主体は、センサデータ計測装置10であってもよい。
【0054】
図12において、まず、通信部13が、歩容情報生成装置15から計測開始信号を受信する(ステップS101)。
【0055】
次に、制御部12が、センサ11に計測を開始させる(ステップS102)。
【0056】
次に、センサ11が、空間加速度および空間角速度を計測する(ステップS103)。
【0057】
次に、制御部12が、センサ11によって計測された空間加速度および空間角速度をセンサデータに変換する(ステップS104)。
【0058】
ここで、通信部13が計測終了信号を受信すると(ステップS105でYes)、制御部12が、センサ11に計測を終了させる(ステップS106)。通信部13が計測終了信号を受信していない場合(ステップS105でNo)、ステップS103に処理が戻る。
【0059】
ステップS106の次に、通信部13が、変換後のセンサデータを歩容情報生成装置15に送信する(ステップS107)。歩容情報生成装置15に送信されたセンサデータは、歩隔を含む歩容パラメータの計算に用いられる。
【0060】
〔歩容情報生成装置〕
図13は、歩容情報生成装置15の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図13のフローチャートに沿った説明においては、歩容情報生成装置15の構成要素を動作主体として説明する。図13のフローチャートに沿った処理の動作主体は、歩容情報生成装置15であってもよい。
【0061】
図13において、まず、計測指示取得部150が、ユーザによって入力された計測開始指示を受け付ける(ステップS151)。
【0062】
次に、通信部151が、計測開始信号をセンサデータ計測装置10に送信する(ステップS152)。
【0063】
次に、通信部151がセンサデータを受信すると(ステップS153でYes)、増分計算部152が、左右方向距離の増分を計算する(ステップS154)。通信部151がセンサデータを受信していない場合(ステップS153でNo)、センサデータを受信するまで待機する。
【0064】
ステップS154の次に、判定部153が計測を終了するか判定する(ステップS155)。判定部153が計測終了と判定すると(ステップS155でYes)、通信部151が、計測終了信号をセンサデータ計測装置10に送信する(ステップS156)。判定部153が計測終了と判定していない場合(ステップS155でNo)、ステップS154の処理が継続される。
【0065】
ステップS156の次に、歩容情報生成部155が歩隔を計算する(ステップS157)。
【0066】
次に、歩容情報生成部155が、歩隔に関する歩容情報を生成する(ステップS158)。
【0067】
次に、出力部157が、算出された歩隔に関する歩容情報を出力する(ステップS159)。例えば、歩隔に関する歩容情報は、ユーザの携帯する携帯端末180に出力される。例えば、歩隔に関する歩容情報は、携帯端末180の画面に表示される。例えば、歩隔に関する歩容情報は、その歩容情報を用いた処理を実行するシステムに出力される。
【0068】
以上のように、本実施形態の歩容計測システムは、センサデータ計測装置および歩容情報生成装置を備える。センサデータ計測装置は、ユーザの履物に設置される。センサデータ計測装置は、3軸方向の加速度を計測する加速度センサと、3軸周りの角速度を計測する角速度センサとを含むセンサを有する。センサデータ計測装置は、加速度センサおよび角速度センサによって計測された物理量に基づくセンサデータを歩容情報生成装置に出力する。
【0069】
歩容情報生成装置は、通信部、増分計算部、判定部、歩容情報生成部、および出力部を有する。通信部は、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する。増分計算部は、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する。判定部は、左右方向距離の増分に応じてセンサデータの計測終了を判定する。判定部は、左右方向距離の増分に応じて計測終了と判定すると、歩隔を含む歩容パラメータの計算を指示する計算指示信号を出力する。歩容情報生成部は、計算指示信号に応じて、歩隔を含む歩容パラメータの計算を実行する。歩容情報生成部は、歩隔として、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を計算する。歩容情報生成部は、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する。出力部は、生成された歩容情報を出力する。
【0070】
本実施形態の歩容情報生成装置は、左右方向距離の増分に応じて、計測終了を判定し、歩隔を含む歩容パラメータの計算を実行する。本実施形態の歩容情報生成装置は、足の動きに応じて計測されたセンサデータに含まれる左右方向加速度を用いて、歩隔に関する歩容情報を生成する。本実施形態の手法によれば、履物に設置されたセンサによって計測されたセンサデータを取得できれば、歩隔に関する歩容情報を生成できる。すなわち、本実施形態によれば、簡易な構成で、歩隔に関する歩容情報を生成できる。
【0071】
本実施形態の一態様において、増分計算部は、左右方向加速度を2階積分して左右方向距離を計算する。増分計算部は、左右方向距離の増分として、両足の左右方向距離の差を計算する。本態様によれば、左右方向加速度を2階積分して算出される左右方向距離の増分を用いて、歩隔を計算できる。
【0072】
本実施形態の一態様において、増分計算部は、前記左右方向距離の増分として、両足の一歩ごとにおける前記左右方向距離の差を計算する。そのため、本態様によれば、両足の一歩ごとにおける左右方向距離の増分を用いて、歩隔を計算できる。
【0073】
本実施形態の一態様において、判定部は、予め設定された計測終了基準値よりも左右方向距離の増分が小さくなると、計測終了と判定する。本態様によれば、計測終了基準値と左右方向距離との明確な関係に基づいて、計測終了を判定できる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る歩容計測システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容計測システムは、歩隔に加えて、歩幅を計算する。本実施形態の歩容計測システムは、算出された歩隔および歩幅に応じた歩容情報を出力する。
【0075】
(構成)
図14は、本実施形態に係る歩容計測システム2の構成の一例を示すブロック図である。歩容計測システム2は、センサデータ計測装置20と歩容情報生成装置25を備える。センサデータ計測装置20は、第1実施形態のセンサデータ計測装置10と同様の構成である。センサデータ計測装置20は、歩隔および歩幅を含む歩容パラメータの計測対象である被験者(ユーザ)の履物等に設置される。例えば、歩容情報生成装置25の機能は、被験者の携帯する携帯端末にインストールされる。歩容情報生成装置25の機能は、被験者の携帯する携帯端末に通信ネットワークを通じて接続されたサーバやクラウドに実装されてもよい。以下においては、センサデータ計測装置20については説明を省略し、歩容情報生成装置25の構成について説明する。
【0076】
〔歩容情報生成装置〕
図15は、歩容情報生成装置25の構成の一例を示すブロック図である。歩容情報生成装置25は、計測指示取得部250、通信部251、増分計算部252、判定部253、歩容情報生成部255、および出力部257を有する。
【0077】
計測指示取得部250(計測指示取得手段)は、第1実施形態の計測指示取得部150と同様の構成である。計測指示取得部250は、ユーザによる計測開始指示を受け付ける。計測開始指示は、ユーザによる操作に応じて入力される。
【0078】
通信部251(通信手段)は、第1実施形態の通信部251と同様の構成である。通信部251は、計測指示取得部250から計測開始信号を取得する。通信部251は、取得した計測開始信号をセンサデータ計測装置20に送信する。また、通信部251は、計測開始信号に応じて計測されたセンサデータを、センサデータ計測装置20から受信する。通信部251は、受信したセンサデータを増分計算部252に出力する。また、通信部251は、判定部253から計測終了信号を取得する。通信部251は、取得した計測終了信号をセンサデータ計測装置20に送信する。
【0079】
増分計算部252(増分計算手段)は、第1実施形態の増分計算部152と同様の構成である。増分計算部252は、通信部251からセンサデータを取得する。増分計算部252は、センサデータのうち少なくとも左右方向の加速度を取得する。増分計算部252は、左右方向の加速度を2階積分して、左右方向距離の増分を計算する。増分計算部252は、左足および右足の各々に関して、別々に増分を計算する。
【0080】
判定部253(判定手段)は、第1実施形態の判定部153と同様の構成である。判定部253は、歩行に応じた増分を取得する。判定部253は、取得した増分の値に応じて、計測の終了を判定する。例えば、判定部253は、予め設定された計測終了基準値に増分の値が達すると、計測終了と判定する。例えば、判定部253は、予め設定された計測終了基準である変動値よりも増分の変動が小さくなると、計測終了と判定する。判定部253は、計測終了と判定すると、歩容情報生成部255に計算指示信号を出力する。また、判定部253は、計測終了と判定すると、通信部251に計測終了信号を出力する。
【0081】
歩容情報生成部255(歩隔計算手段)は、判定部253から計算指示信号を取得する。歩容情報生成部255は、計算指示信号の取得に応じて、計測開始から計測終了までの計測期間における増分を、増分計算部252から取得する。また、歩容情報生成部255は、初期状態における踵中心間距離w0を取得する。
【0082】
歩容情報生成部255は、タイミングt0(初期状態)における踵中心間距離w0と、歩行に応じた増分を取得する。歩容情報生成部255は、踵中心間距離w0と距離の増分の総和との和を計算する。踵中心間距離w0と距離の増分の総和との和が歩隔に相当する。
【0083】
また、歩容情報生成部255は、計算指示信号の取得に応じて、歩幅の計算に用いられるセンサデータを取得する。例えば、歩容情報生成部255は、通信部251からセンサデータを取得する。歩容情報生成部255は、バッファ(図示しない)に記憶させたセンサデータを取得するように構成されてもよい。歩容情報生成部255は、取得したセンサデータを用いて、歩幅を計算する。歩容情報生成部255による歩幅の計算方法については、特に限定しない。
【0084】
例えば、歩容情報生成部255は、右足に関する進行方向加速度の時系列データを取得する。歩容情報生成部255は、取得した進行方向加速度の時系列データを2階積分して、進行方向軌跡の時系列データを生成する。歩容情報生成部255は、一歩行周期分の進行方向軌跡の歩行波形から、爪先離地と踵接地の間の区間を、一歩分の進行方向軌跡の歩行波形として抽出する。歩容情報生成部255は、一歩分の進行方向軌跡の歩行波形を用いて、足交差における空間位置と、爪先離地における空間位置との差の絶対値を計算する。足交差における空間位置と、爪先離地における空間位置との差の絶対値は、左足が前、右足が後ろの状態の左足ステップ長S(左足歩幅とも呼ぶ)に相当する。また、歩容情報生成部255は、一歩分の進行方向軌跡の歩行波形を用いて、足交差のタイミングにおける空間位置と、踵接地における空間位置との差の絶対値を計算する。足交差のタイミングにおける空間位置と、踵接地における空間位置との差の絶対値は、右足が前、左足が後ろの状態の右足ステップ長SR(右足歩幅とも呼ぶ)に相当する。
【0085】
例えば、歩容情報生成部255は、数歩分の左足歩幅および右足歩幅の平均値を、歩幅として計算する。歩容情報生成部255は、数歩分の左足歩幅および右足歩幅の各々平均値を、各足の歩幅として計算してもよい。また、歩容情報生成部255は、左足に関する進行方向加速度の時系列データを用いて、歩幅を計算してもよい。歩容情報生成部255は、両足に関する進行方向加速度の時系列データを用いて、歩幅を計算してもよい。
【0086】
歩容情報生成部255は、算出した歩隔および歩幅に基づいて、歩容に関する情報(歩容情報)を生成する。例えば、歩容情報生成部255は、算出された歩隔および歩幅の値を含む歩容情報を生成する。歩容情報生成部255は、生成された歩容情報を出力部257に出力する。歩容情報生成部255によって生成される歩容情報については、歩隔および歩幅のうち少なくともいずれかに関連する情報であれば、特に限定しない。
【0087】
理想的な歩行においては、歩幅がある程度広く、歩隔がある程度狭い方がよい。理想的な歩行における歩幅の適正値は、身長に0.45をかけた値である。高齢者に関しては、理想的な歩行における歩幅の適正値は、身長に0.4をかけた値である。また、理想的な歩行における歩隔の適正値は、5~13cm(センチメートル)の範囲内の値である。そのため、歩容情報生成部255は、理想的な歩行における歩幅および歩隔の適正値との相違に応じた歩容情報を生成してもよい。
【0088】
例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲内である場合、歩容情報生成部255は、「あなたの歩隔は理想的です」といった内容の歩容情報を生成する。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲外である場合、歩容情報生成部255は、「歩隔を狭くするように意識しましょう」といった内容の歩容情報を生成する。
【0089】
また、歩隔が広くなる要因としては、不安定な感覚や、恐怖心、胸郭が硬いなどの要因があげられる。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲外である場合、歩容情報生成部255は、不安定な感覚や、恐怖心、胸郭が硬いなどに関する歩容情報を生成してもよい。例えば、歩隔が5~13cm(センチメートル)の範囲外である場合、歩容情報生成部255は、「リラックスしましょう」といった内容の歩容情報を生成してもよい。
【0090】
例えば、身長に0.45をかけた値に歩幅が近い場合(例えば0.45±0.05の範囲内)、歩容情報生成部255は、「あなたの歩幅は理想的です」といった内容の歩容情報を生成する。例えば、身長に0.45をかけた値から歩幅が離れている場合(例えば0.45±0.05の範囲外)、歩容情報生成部255は、「歩幅を広くするように意識しましょう」といった内容の歩容情報を生成する。
【0091】
また、歩幅が狭くなる要因としては、下肢の可動域制限や、腰椎前弯制限、胸郭回旋制限などの要因があげられる。特に、下肢の可動域制限の要因には、股関節伸展や、膝伸展、足背屈、足指MP関節伸展の制限が含まれる(MP:Metacarpo Phalangeal)。例えば、身長に0.45をかけた値から歩幅が離れている場合、歩容情報生成部255は、下肢の可動域制限や、腰椎前弯制限、胸郭回旋制限などに関する歩容情報を生成してもよい。例えば、身長に0.45をかけた値から歩幅が離れている場合、歩容情報生成部255は、「屈伸や前屈、上体そらしなどの体操をしましょう」といった内容の歩容情報を生成してもよい。
【0092】
歩容情報生成部255は、歩容情報として、歩隔や歩容を含む歩容パラメータに応じた歩行に関するスコア(歩行スコア)を生成してもよい。例えば、歩容情報生成部255は、歩隔または歩幅の値に応じて、歩行スコアを生成する。例えば、歩容情報生成部255は、歩隔および歩幅の値に応じて、歩行スコアを生成する。歩行スコアの点数の付け方については、特に限定しない。
【0093】
出力部257(出力手段)は、歩容情報生成部255から歩容情報を取得する。出力部257は、取得した歩容情報を出力する。例えば、出力部257は、被験者(ユーザ)の携帯端末の画面に、歩容情報を表示させる。例えば、出力部257は、歩容情報を使用する外部システム等に対して、その情報を出力する。出力部257から出力された歩容情報の使用に関しては、特に限定しない。
【0094】
〔適用例2〕
図16は、センサデータ計測装置20が搭載された靴200を履いて歩行するユーザの携帯する携帯端末280の画面に、歩容情報生成装置25から出力された歩隔および歩幅に関する歩容情報を表示させる一例(適用例2)を示す概念図である。図16は、ユーザの歩行に応じて計測されたセンサデータに基づく歩隔および歩幅に関する歩容情報を、携帯端末280の画面に表示させる例である。
【0095】
図16の例では、「あなたの歩隔は○○cmです」という歩隔に関する歩容情報が、携帯端末280の画面に表示されている。図16の例では、歩隔の値に応じて、「歩隔を狭くするように意識しましょう」という歩隔に関する歩容情報が、携帯端末280の画面に表示されている。また、図16の例では、「あなたの歩幅は○○cmです」という歩幅に関する歩容情報が、携帯端末280の画面に表示されている。図16の例では、歩幅の値に応じて、「歩幅を広くするように意識しましょう」という歩幅に関する歩容情報が、携帯端末280の画面に表示されている。さらに、図16の例では、「あなたの歩行スコアは50です」という歩隔および歩幅に応じた歩行スコアが、携帯端末280の画面に表示されている。携帯端末280の表示部に表示された情報を確認したユーザは、自身の歩隔および歩幅に関する情報を認識できる。
【0096】
例えば、歩容情報生成装置25は、被験者(ユーザ)が携帯する携帯端末280を介して、クラウドやサーバに構築された外部システム等に接続される。携帯端末280は、携帯可能な通信機器である。例えば、携帯端末280は、スマートフォンや、スマートウォッチ、携帯電話等の通信機能を有する携帯型の通信機器である。例えば、歩容情報生成装置25は、ケーブルなどの有線を介して、携帯端末280に接続される。例えば、歩容情報生成装置25は、無線通信を介して、携帯端末280に接続される。例えば、歩容情報生成装置25は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、携帯端末180に接続される。なお、歩容情報生成装置25の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。歩隔に関する情報は、携帯端末280にインストールされた別のアプリケーションによって使用されてもよい。その場合、携帯端末280は、その携帯端末280にインストールされたアプリケーションソフトウェア等によって、歩隔に関する情報を用いた処理を実行する。
【0097】
〔適用例3〕
図17は、センサデータ計測装置20が搭載された靴200を履いて歩行するユーザの携帯する携帯端末280の画面に、そのユーザが通院する病院の医師からの行動推薦情報を表示させる一例(適用例3)を示す概念図である。
【0098】
図17の例では、ユーザの歩行に応じて計測されたセンサデータに基づく歩隔および歩幅に関する歩容情報Igが、そのユーザが通院する病院に設置された端末装置に送信される。歩容情報Igは、ユーザの症状を診察可能な医師によって閲覧される端末装置の画面に表示される。端末装置の画面を閲覧した医師は、ユーザの歩容情報Igに基づいて、そのユーザに対する行動推薦情報Irをその端末装置に入力する。端末装置に入力された行動推薦情報Irは、ユーザの携帯端末280に送信される。
【0099】
図17の例では、「当病院に来院して、整形外科を受診してください」という行動推薦情報が、携帯端末280の画面に表示されている。携帯端末280の画面に表示された行動推薦情報を確認したユーザは、その行動推薦情報に応じた行動を取ることによって、自身の歩容情報に応じた対応を取ることができる。
【0100】
(動作)
次に、本実施形態に係る歩容計測システム2の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、歩容計測システム2に含まれる歩容情報生成装置25の動作について説明する。センサデータ計測装置20の動作については、第1実施形態のセンサデータ計測装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
〔歩容情報生成装置〕
図18は、歩容情報生成装置25の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図18のフローチャートに沿った説明においては、歩容情報生成装置25の構成要素を動作主体として説明する。図18のフローチャートに沿った処理の動作主体は、歩容情報生成装置25であってもよい。
【0102】
図18において、まず、計測指示取得部250が、ユーザによって入力された計測開始指示を受け付ける(ステップS251)。
【0103】
次に、通信部251が、計測開始信号をセンサデータ計測装置20に送信する(ステップS252)。
【0104】
次に、通信部251がセンサデータを受信すると(ステップS253でYes)、増分計算部252が、左右方向距離の増分を計算する(ステップS254)。通信部251がセンサデータを受信していない場合(ステップS253でNo)、センサデータを受信するまで待機する。
【0105】
ステップS254の次に、判定部253が計測を終了するか判定する(ステップS255)。判定部253が計測終了と判定すると(ステップS255でYes)、通信部251が、計測終了信号をセンサデータ計測装置20に送信する(ステップS256)。判定部253が計測終了と判定していない場合(ステップS255でNo)、ステップS254の処理が継続される。
【0106】
ステップS256の次に、歩容情報生成部255が歩隔および歩幅を計算する(ステップS257)。
【0107】
次に、歩容情報生成部255が、歩隔および歩幅に関する歩容情報を生成する(ステップS258)。
【0108】
次に、出力部257が、算出された歩隔および歩幅に関する歩容情報を出力する(ステップS259)。例えば、歩隔および歩幅に関する歩容情報は、ユーザの携帯する携帯端末280に出力される。例えば、歩隔および歩幅に関する歩容情報は、携帯端末280の画面に表示される。例えば、歩隔および歩幅に関する歩容情報は、その歩容情報を用いた処理を実行するシステムに出力される。
【0109】
以上のように、本実施形態の歩容計測システムは、センサデータ計測装置および歩容情報生成装置を備える。センサデータ計測装置は、ユーザの履物に設置される。センサデータ計測装置は、3軸方向の加速度を計測する加速度センサと、3軸周りの角速度を計測する角速度センサとを含むセンサを有する。センサデータ計測装置は、加速度センサおよび角速度センサによって計測された物理量に基づくセンサデータを歩容情報生成装置に出力する。
【0110】
歩容情報生成装置は、通信部、増分計算部、判定部、歩容情報生成部、および出力部を有する。通信部は、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する。増分計算部は、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する。判定部は、左右方向距離の増分に応じてセンサデータの計測終了を判定する。判定部は、左右方向距離の増分に応じて計測終了と判定すると、歩隔を含む歩容パラメータの計算を指示する計算指示信号を出力する。歩容情報生成部は、計算指示信号に応じて、歩隔を含む歩容パラメータの計算を実行する。歩容情報生成部は、歩隔として、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を計算する。また、歩容情報生成部は、センサデータに含まれる進行方向加速度を2階積分して進行方向軌跡を計算する。歩容情報生成部は、算出された進行方向軌跡を用いて歩幅を計算する。歩容情報生成部は、算出された歩隔および歩幅に関する歩容情報を生成する。出力部は、生成された歩容情報を出力する。
【0111】
本実施形態の歩容情報生成装置は、足の動きに応じて計測されたセンサデータに含まれる左右方向加速度を用いて、歩隔を計算する。また、本実施形態の歩容情報生成装置は、センサデータに含まれる進行方向加速度を用いて、歩幅を計算する。本実施形態の歩容情報生成装置は、算出された歩隔および歩幅に関する歩容情報を生成する。本実施形態の手法によれば、履物に設置されたセンサによって計測されたセンサデータを取得できれば、歩隔および歩幅に関する歩容情報を生成できる。すなわち、本実施形態によれば、簡易な構成で、歩隔および歩幅に関する歩容情報を生成できる。
【0112】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る歩容情報生成装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容情報生成装置は、第1~第2の実施形態に係る歩容計測システムに含まれる歩容情報生成装置を簡略化した構成である。
【0113】
(構成)
図19は、本実施形態に係る歩容情報生成装置35の構成の一例を示すブロック図である。歩容情報生成装置35は、通信部351、増分計算部352、歩容情報生成部355、および出力部357を備える。
【0114】
通信部351は、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する。増分計算部352は、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する。歩容情報生成部355は、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算する。歩容情報生成部355は、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する。出力部357は、生成された歩容情報を出力する。
【0115】
(動作)
図20は、本実施形態に係る歩容情報生成装置35の動作について説明するためのフローチャートである。図20のフローチャートに沿った処理の説明においては、歩容情報生成装置35の構成要素を動作主体とする。図20のフローチャートに沿った処理の動作主体は、歩容情報生成装置35であってもよい。例えば、図20のフローチャートに沿った処理(歩容情報生成方法)は、コンピュータによって実行される。
【0116】
図20において、まず、通信部351は、足の動きに応じて計測されたセンサデータを取得する(ステップS351)。次に、増分計算部352は、センサデータに含まれる左右方向加速度を用いて左右方向距離の増分を計算する(ステップS352)。次に、歩容情報生成部355は、初期状態における両足の踵の中心線間距離に相当する踵中心間距離と左右方向距離の増分の総和との和を歩隔として計算する(ステップS353)。次に、歩容情報生成部355は、算出された歩隔に関する歩容情報を生成する(ステップS354)。次に、出力部357は、生成された歩容情報を出力する(ステップS355)。
【0117】
本実施形態の歩容情報生成装置は、足の動きに応じて計測されたセンサデータに含まれる左右方向加速度を用いて、歩隔に関する歩容情報を生成する。本実施形態の手法によれば、履物に設置されたセンサによって計測されたセンサデータを取得できれば、歩隔に関する歩容情報を生成できる。すなわち、本実施形態によれば、簡易な構成で、歩隔に関する歩容情報を生成できる。
【0118】
(ハードウェア)
次に、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。ここでは、そのようなハードウェア構成の一例として、図21の情報処理装置90(コンピュータ)をあげる。図21の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0119】
図21のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図21においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0120】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラム(命令)を、主記憶装置92に展開する。例えば、プログラムは、各実施形態の制御や処理を実行するためのソフトウェアプログラムである。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、プログラムを実行することによって、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0121】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0122】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0123】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。外部機器と接続されるインターフェースとして、入出力インターフェース95と通信インターフェース96とが共通化されてもよい。
【0124】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。入力機器としてタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルの機能を有する画面がインターフェースになる。プロセッサ91と入力機器とは、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0125】
情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器が備え付けられてもよい。表示機器が備え付けられる場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられる。情報処理装置90と表示機器は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0126】
情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体に格納されたデータやプログラムの読み込みや、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みを仲介する。情報処理装置90とドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0127】
以上が、本開示の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。図21のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本開示の範囲を限定するものではない。各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも、本開示の範囲に含まれる。
【0128】
各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も、本開示の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0129】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせられてもよい。各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよい。各実施形態の構成要素は、回路によって実現されてもよい。
【0130】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0131】
1、2 歩容計測システム
10、20 センサデータ計測装置
11 センサ
12 制御部
13 通信部
15、25、35 歩容情報生成装置
111 加速度センサ
112 角速度センサ
150、250 計測指示取得部
151、251、351 通信部
152、252、352 増分計算部
153、253 判定部
155、255、355 歩容情報生成部
157、257、357 出力部
180、280 携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21