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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135884
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】放射線像の読取装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 42/02 20210101AFI20240927BHJP
【FI】
G03B42/02 G
G03B42/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046780
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】藤井 優輔
(57)【要約】
【課題】セット時にイメージングプレートの放射線像形成面が外光に曝され難くすることを目的とする。
【解決手段】放射線像の読取装置は、イメージングプレート10の表面10aから放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、イメージングプレートを裏面10b側から支持するステージ60と、イメージングプレートを斜め下方に案内するプレートガイド面216を含むセット用ガイド200と、を備え、セット用ガイド及びステージの少なくとも一方が反対傾斜面64Fを含み、反対傾斜面は、プレートガイド面に対して反対側に下向き傾斜すると共にプレートガイド面によって案内されたイメージングプレートを受けて斜め下方に案内する面であり、さらに、ステージ及びセット用ガイドの少なくとも一方が、イメージングプレートの表面側から接触してイメージングプレートを反対傾斜面と同じ傾斜姿勢に反転させる上下反転接触部218を含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングプレートの表面から放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、
前記イメージングプレートを裏面側から支持するステージと、
前記ステージに支持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、
前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器と、
下向き傾斜し、前記イメージングプレートを斜め下方に案内するプレートガイド面を含み、前記イメージングプレートを前記ステージに向けて案内するセット用ガイドと、
を備え、
前記セット用ガイド及び前記ステージの少なくとも一方が反対傾斜面を含み、
前記反対傾斜面は、前記プレートガイド面に対して反対側に下向き傾斜すると共に前記プレートガイド面によって案内された前記イメージングプレートを受けて前記イメージングプレートを斜め下方に案内する面であり、
さらに、前記ステージ及び前記セット用ガイドの少なくとも一方が、前記反対傾斜面によって案内される前記イメージングプレートに対して前記イメージングプレートの表面側から接触して前記イメージングプレートを前記反対傾斜面と同じ傾斜姿勢に反転させる上下反転接触部を含む、放射線像の読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線像の読取装置であって、
前記ステージが、前記反対傾斜面として、水平方向に対して傾斜し、前記イメージングプレートを裏面側から支持する支持面を含み、
前記ステージが、前記支持面によって支持される前記イメージングプレートを前記支持面の傾斜方向下側から受ける受面をさらに含み、
前記プレートガイド面が、前記支持面に向って徐々に下方に向い、前記イメージングプレートを前記支持面に向けて案内し、
前記セット用ガイドが、前記上下反転接触部を含み、
前記上下反転接触部は、前記受面が前記イメージングプレートを受ける位置の真上延長上よりも前記支持面近くに位置する部分である、放射線像の読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドが、前記反対傾斜面と前記上下反転接触部とを含む、放射線像の読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記ステージと、前記励起光源と、前記光検出器と、前記セット用ガイドのうち少なくとも前記プレートガイド面及び前記上下反転接触部と、前記反対傾斜面とを覆う筐体をさらに備える、放射線像の読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記プレートガイド面は、外向きに凸な湾曲面である部分を含む、放射線像の読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記プレートガイド面は、前記イメージングプレートの案内方向に直交する水平方向に沿って見て1つの直線又は複数の直線の組合せ形状を呈する、放射線像の読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記上下反転接触部は、前記プレートガイド面に対して前記イメージングプレートの案内方向下流側に連続している、放射線像の読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドは、前記反対傾斜面の傾斜方向において、下方に向うにつれて徐々に前記反対傾斜面に近づく反対傾斜面用ガイド面を含む、放射線像の読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線像の読取装置であって、
前記反対傾斜面用ガイド面は、前記上下反転接触部に対して下側に連続している、放射線像の読取装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面のうち上側の端部に対して前記イメージングプレートの厚みに応じた距離離れて位置する上挿入ガイドを含む、放射線像の読取装置。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面による前記イメージングプレートの案内経路の途中に位置し、前記イメージングプレートの案内方向に沿った液体の流れを抑制する液体流込抑制凹部を有する、放射線像の読取装置。
【請求項12】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
取外し状態で前記プレートガイド面の少なくとも一部が外部に露出する状態となるように、前記セット用ガイドの少なくとも一部が着脱可能に支持されている、放射線像の読取装置。
【請求項13】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面の上側端に前記イメージングプレートを投入するための投入口と、前記投入口を開閉可能に塞ぐシャッタを含む、放射線像の読取装置。
【請求項14】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記セット用ガイドは、前記イメージングプレートの長手方向を、前記プレートガイド面における前記イメージングプレートの移動方向に沿わせた姿勢で、前記イメージングプレートを案内し、
前記ステージは、前記イメージングプレートの長手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢で支持する、放射線像の読取装置。
【請求項15】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の放射線像の読取装置であって、
前記ステージを、前記ステージに対して前記イメージングプレートがセットされるセット位置と前記励起光源からの励起光に応じて前記光検出器が前記放射線像を読取る読取位置との間で移動させるステージ移動機構をさらに備え、
前記セット用ガイドは、前記セット位置に位置する前記ステージに対向する位置に設けられる、放射線像の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、放射線像の読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、イメージングプレートを搬送する搬送機構を備える放射線像の読取装置を開示している。搬送機構として、イメージングプレートを保持するベルトと、ベルトを周回させるベルト駆動機構とを備える例が開示されている。イメージングプレートは、ベルトの一部である保持面上に載置された状態で、搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-53459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、イメージングプレートは、放射線像形成面を上向きにした状態で、筐体に形成された入口に挿入され、ベルトの保持面上に載置される。
【0005】
このため、イメージングプレートが入口に挿入される際に、上向きの放射線像形成面が読取装置外の光に曝される可能性がある。放射線像形成面が外光に曝されると、放射線像形成面が発光し、当該放射線像形成面に蓄えられたエネルギーが放出・散逸され画像データの一部が損失してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、イメージングプレートを放射線像の読取装置にセットする際に、イメージングプレートの放射線像形成面が外光に曝され難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、放射線像の読取装置は、イメージングプレートの表面から放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、前記イメージングプレートを裏面側から支持するステージと、前記ステージに支持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器と、下向き傾斜し、前記イメージングプレートを斜め下方に案内するプレートガイド面を含み、前記イメージングプレートを前記ステージに向けて案内するセット用ガイドと、を備え、前記セット用ガイド及び前記ステージの少なくとも一方が反対傾斜面を含み、前記反対傾斜面は、前記プレートガイド面に対して反対側に下向き傾斜すると共に前記プレートガイド面によって案内された前記イメージングプレートを受けて前記イメージングプレートを斜め下方に案内する面であり、さらに、前記ステージ及び前記セット用ガイドの少なくとも一方が、前記反対傾斜面によって案内される前記イメージングプレートに対して前記イメージングプレートの表面側から接触して前記イメージングプレートを前記反対傾斜面と同じ傾斜姿勢に反転させる上下反転接触部を含む。
【発明の効果】
【0008】
この放射線像の読取装置によると、イメージングプレートを放射線像の読取装置にセットする際に、イメージングプレートの放射線像形成面が外光に曝され難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は第1実施形態に係る読取装置を示す概略斜視図である。
図2図2は同上の読取装置を示す一部分解斜視図である。
図3図3は同上の読取装置を示す一部分解斜視図である。
図4図4は同上の読取装置の内部構造を示す正面図である。
図5図5図4のV-V線断面図である。
図6図6はステージを示す斜視図である。
図7図7は読取位置におけるステージを示す正面図である。
図8図8図4のVIII-VIII線における部分断面図である。
図9図9はセット用ガイドが支持部材から取外された状態を示す斜視図である。
図10図10はセット用ガイドの分解斜視図である。
図11図11はシャッタの動作を示す説明図である。
図12図12はイメージングプレートのガイド動作を示す説明図である。
図13図13は第1変形例に係るプレートガイド面を示す断面図である。
図14図14は第2変形例に係るプレートガイド面を示す断面図である。
図15図15は第3変形例に係るセット用ガイドを示す断面図である。
図16図16は第4変形例に係るセット用ガイドを示す断面図である。
図17図17は第5変形例に係るセット用ガイドを示す断面図である。
図18図18は第6変形例に係るセット用ガイドを示す説明図である。
図19図19は第7変形例に係るセット用ガイドを示す説明図である。
図20図20は第2実施形態に係る読取装置を示す部分斜視図である。
図21図21は同上の読取装置を示す部分側面図である。
図22図22は本実施形態に係るセット用ガイドを示す分解斜視図である。
図23図23はガイド本体をプレートガイド面側から見た斜視図である。
図24図24はガイド支持部から蓋部及びトレイが取外された状態を示す斜視図である。
図25図25は液体流込抑制凹部の変形例を示す図である。
図26図26は液体流込抑制凹部の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
{第1実施形態}
<全体構成>
以下、第1実施形態に係る放射線像の読取装置について説明する。図1は読取装置20を示す概略斜視図である。図1において、筐体30が2点鎖線で示されている。図2及び図3は読取装置20を示す一部分解斜視図である。図1から図3ではステージ60がセット位置P1に位置する。図2及び図3ではセット用ガイド200と読取ユニット90とが分解されている。図2においてセット位置P1よりも内側のステージ60の読取位置P2及び奥側位置P4が2点鎖線で示されている。
【0011】
放射線像の読取装置20は、イメージングプレート10の表面10aから放射線像を読取る装置である。
【0012】
イメージングプレート10は、放射線像形成層11を有する平たい形状であり、放射線像を記憶する記憶媒体である。イメージングプレート10の表面10a側に放射線像形成層11が露出している。放射線像形成層11は、照射された放射線のエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーに応じた発光光を発する層である。例えば、放射線像形成層11は、樹脂で形成されたフィルムの一方の表面に輝尽性蛍光体を塗布することによって形成される。X線発生器からのX線が撮影対象物を透過してイメージングプレート10に照射されると、X線の強度に応じたエネルギーが放射線像形成層11に蓄積される。X線の強度は、撮影対象物におけるX線吸収領域の分布に基づいたものであるため、放射線像形成層11に蓄積されたエネルギーの分布は、X線による撮影対象物の放射線像である。このように、イメージングプレート10は、X線による放射線像を潜像として記憶する。
【0013】
読取装置20は、放射線像形成層11から放射線像を読取り、放射線像の画像データを生成する装置である。読取装置20は、ステージ60と、励起光源92と、光検出器94と、セット用ガイド200を備える。ステージ60は、イメージングプレート10を裏面10b側から支持する。ステージ60に支持されたイメージングプレート10に対して励起光源92からの励起光が照射される。イメージングプレート10に励起光が照射されることによって、イメージングプレート10の放射線像形成層11が発光する。この発光光を光検出器94が検出する。光検出器94の検出信号に基づいて放射線像の画像データが生成される。
【0014】
セット用ガイド200は、読取装置20の外から供給されるイメージングプレート10をステージ60に向けて案内するガイドである。本読取装置20の利用者は、イメージングプレート10をセット用ガイド200に供給することで、当該イメージングプレート10をステージ60に読取りに適した姿勢でセットすることができる。
【0015】
なお、イメージングプレート10のうち放射線像形成層11が形成された表面10aは、放射線像形成面と把握されてもよいし、励起光照射面と把握されてもよい。また、当該表面とは反対側の裏面10bは、ステージ60の支持面64Fと対面し、当該支持面64Fに接触する接触面であると把握されてもよい。裏面10bは、励起光が照射される面とは反対の面であり、放射線像形成層11とは反対の面である。イメージングプレート10が表裏に関して正しくステージ60にセットされた場合には、イメージングプレート10のうち支持面64Fが向く方向と同じ方向を向く表面は、潜像を記憶可能な記憶面であり、また、記憶した潜像が読取られる読取り面である。
【0016】
読取装置20の各部構成について説明する。
【0017】
<筐体について>
読取装置20は、筐体30を備えており(図1参照)、この筐体30内に、ステージ60と、励起光源92と、光検出器94と、セット用ガイド200とが収容される。
【0018】
筐体30は、開口31を有する。開口31は、例えば、筐体30の周囲の側面のうちの1つの面に形成されている。開口31は、セット用ガイド200のうち投入口230が形成された部分を外部に露出させることが可能な形状に形成されている。本実施形態では、開口31は、セット用ガイド200のうち投入口230が形成された外向き面全体を外部に露出させる方形状に形成されている。開口は、投入口230のみを外部に露出させる形状、例えば、スリット形状であってもよい。なお、筐体30の全体が1つの部品として形成されている必要は無い。例えば、後に変形例において説明されるように、筐体のうち開口が形成された部分が他の部分に対して取外し可能であってもよいし、あるいは、筐体の一部が後述のベース板41と一体に成形されている構成であってもよい。
【0019】
本読取装置20の利用者は、当該開口31を通じて、イメージングプレート10をセット用ガイド200の投入口230内に入れることができる。読取装置20内に入れられたイメージングプレート10は、ステージ60にセットされる。
【0020】
取出口32が、筐体30の下部、例えば、筐体30の一側面のうちの下側部分に設けられる。取出口32は、外方に開口している。当該取出口32内に回収トレイ49が配置される。回収トレイ49は、例えば、上方が開口する箱状に形成されている。ステージ60から排出されたイメージングプレート10が当該回収トレイ49に排出される。読取装置20の利用者は、取出口32内の回収トレイ49を外側に引出して読取済のイメージングプレート10を回収することができる。回収トレイ49は、筐体30から取外し可能であってもよい。
【0021】
回収トレイ49が取外可能である場合は、回収トレイ49を清掃しやすいので好ましい。イメージングプレートを取出すための構成が上記構成であることは必須ではない。イメージングプレートを受ける回収用受部が外部に露出していてもよい。回収用受部がトレイ状ではなく、単なる平面状、又は、周りの一部のみが囲まれた形状であってもよい。回収用受部が、筐体から取外し可能でなくてもよいが、取外し可能であれば、回収用受部等の清掃が容易となる。
【0022】
筐体及び回収用受部のうちの少なくとも一方において、イメージングプレート10の形状に合せた通過口が形成されていなくてもよい。
【0023】
筐体30に、各種指示を受付けるためのスイッチ33が設けられる。スイッチ33は、例えば、電源スイッチ、読取り開始を指示するためのスタートスイッチ等である。
【0024】
筐体30に、表示装置34が設けられてもよい。表示装置34は、例えば、液晶表示パネル又は有機EL(electro-luminescence)表示パネルにより構成される。この表示装置34に、読取られた放射線像が表示されてもよい。表示装置34に、操作のための諸情報が表示されてもよい。表示装置34には、読取り開始後に読取り終了までの残り時間等の読取り進捗状況に関する情報が表示されてもよい。表示装置34に、読取装置20に対する誤操作等に対する警告、注意、あるいはエラー情報が表示されてもよい。表示装置34は、表示機能及びタッチの検出機能を備えたタッチパネルであってもよい。この場合、上記スイッチの少なくとも一部の機能が、タッチパネルに組込まれてもよい。表示装置34は、省略されてもよい。
【0025】
イメージングプレート10を読取ることによって生成された放射線像の画像データが表示装置34に表示されることは必須ではない。放射線像の画像データは、無線通信又は有線通信によって、読取装置20と通信可能な他のコンピュータ(不図示)に送信されてもよい。放射線像の画像データは、本読取装置20に着脱可能なデータ記録媒体(例えば、フラッシュメモリ)に記録されてもよい。
【0026】
<筐体内部構成について>
筐体30の内部に設けられる各部構成について説明する。
【0027】
筐体30の内部に、支持部材40が設けられる。この支持部材40によって、ステージ60と励起光源92と光検出器94と、セット用ガイド200とが支持される。なお、下記例は一例であり、例えば、ステージ及びセット用ガイドを支持する構成は下記構成に限られない。支持部材に係る構成は本開示を限定するものでは無く、本開示は、重力を利用してイメージングプレート10をステージに導く各種構成に適用可能である。
【0028】
<支持部材について>
図1から図3に示すように、支持部材40は、ベース板41と、中間支持板42と、箱状部44とを備える。
【0029】
ベース板41は、筐体30の内部空間における下部に水平方向(重力方向に対して垂直な方向)に沿って配置される板状部材である。ここでは、ベース板41は、細長い方形板状に形成されている。ベース板41は、筐体30の下向き開口を閉じることができる。
【0030】
ベース板41上に中間支持板42が立設状態で支持される。中間支持板42は、重力方向に対して傾斜する傾斜面42aを有する板である(図3参照)。傾斜面42aは、斜め上方を向く面である。本実施形態では、中間支持板42は、長方形のうちの上側の1つの角を斜めに切除した形状に形成されている。傾斜面42a上に箱状部44が支持されることによって、箱状部44が斜め姿勢で支持されている。
【0031】
なお、本実施形態では、中間支持板42に、回路ユニット43が支持されている。回路ユニット43は、例えば、回路基板に各種電気部品が実装されたユニットである。かかる回路ユニットは、例えば、読取装置20の各種制御を実行する制御ユニットであってもよし、読取装置20の各部に電力を供給する電源回路であってもよい。回路ユニット43は、中間支持板42ではない他の部分、例えば、ベース板41、筐体30又は箱状部44によって支持されていてもよい。
【0032】
箱状部44は、一対の長手方向側板45と、一対の短手方向側板46と、背板47とを備える。背板47は、一方向に長い長方形板状である。一対の長手方向側板45のそれぞれは、背板47の長辺の長さに応じた長方形板状に形成されている.背板47の一対の長辺に、一対の長手方向側板45が立設状態で支持されている。短手方向側板46のそれぞれは、背板47の短辺の長さに応じた長方形板状に形成されている。背板47の一対の短辺に一対の短手方向側板46が立設状態で支持される。これにより、箱状部44は、背板47を底とし、当該底の一方面側を一対の長手方向側板45と一対の短手方向側板46とで囲う箱状に形成されている。以下、一対の短手方向側板46のうち上側のものを短手方向側板46U、下側のものを短手方向側板46Lと区別する場合がある。箱状部44は、背板47の反対側で開口している。背板47に対する一対の長手方向側板45及び一対の短手方向側板46の固定は、例えば、ねじ止又は溶接によってなされる。
【0033】
背板47は、中間支持板42の傾斜面42aに当該傾斜面に沿った状態で支持される。背板47は、傾斜面42aの傾斜に沿って斜め姿勢で支持されている。中間支持板42に対する背板47の固定は、例えば、ねじ止又は溶接によってなされる。
【0034】
背板47に対して中間支持板42とは反対側に一対の長手方向側板45と一対の短手方向側板46とが立設されている。箱状部44は、中間支持板42とは反対側で、斜め上側に開口している。
【0035】
一対の長手方向側板45は、傾斜面42aの延在方向に沿って延在している。このため、一対の長手方向側板45のうち背板47とは反対側の縁も、傾斜面42aの延在方向に沿って重力方向に対して傾斜している。一対の長手方向側板45のうち背板47とは反対側の縁のそれぞれに、一対の支持ロッド48が重力方向に対して傾斜する姿勢で支持されている。支持ロッド48は、例えば、長手方向側板45及び短手方向側板46の少なくとも一方にねじ止、又は溶接されることによって支持される。
【0036】
本実施形態では、支持ロッド48は、角棒状に形成されている。支持ロッド48は、長手方向側板45の長さよりも長い。支持ロッド48の一端部は、長手方向側板45の縁部に沿って上側の短手方向側板46Uに達している。支持ロッド48の他端部は、長手方向側板45の縁部に沿って下側の短手方向側板46Lを越えてさらに斜め下側に延出している。支持ロッド48の他端部は、下端部であり、上記ベース板41よりも上に位置する。
【0037】
上記一対の支持ロッド48のうち背板47とは反対側の外向き面に、励起光源92及び光検出器94が取付けられる。励起光源92及び光検出器94は、一対の短手方向側板46間であって下側の短手方向側板46L寄りに位置している。励起光源92は、箱状部44側に向けて励起光を照射し、光検出器94は、箱状部44側からの光を検出する。支持ロッド48に対する励起光源92及び光検出器94の取付は、例えば、ねじ止によってなされる。
【0038】
ステージ60は、一対の長手方向側板45の間で、励起光源92及び光検出器94の内側を移動可能に支持されている。以下の説明において、便宜上、ステージ60について、励起光源92及び光検出器94が設けられる側を前方、その反対側を後方という場合がある。また、以下の説明において、励起光源92及び光検出器94に対するステージ60の相対的な移動方向を主走査方向A1として参照する場合がある。ステージ60によって保持されたイメージングプレート10が励起光源92及び光検出器94の内側を通過する際に、励起光源92からの励起光がイメージングプレート10に照射され、励起光によるイメージングプレート10の発光光が光検出器94によって検出される。
【0039】
一対の支持ロッド48のうち下側の短手方向側板46Lよりも下方に延出する部分にセット用ガイド200が取付けられる。支持ロッド48に対するセット用ガイド200の取付は、例えば、ねじ止によってなされる。
【0040】
ステージ60は、支持ロッド48の延在方向において下側の短手方向側板46Lよりも下方に延出する位置に移動することができる。ステージ60が短手方向側板46Lよりも下方に延出する位置に移動した状態で、利用者は、セット用ガイド200を通じて当該ステージ60にイメージングプレート10をセットすることができる。
【0041】
また、一対の支持ロッド48の斜め下延長上に、回収トレイ49が位置している。ステージ60が短手方向側板46Lよりも下方に延出する位置に移動した状態で、ステージ60から排出されたイメージングプレート10が回収トレイ49内に落下して回収される。回収トレイ49は、筐体30に対して移動可能に配置されている必要は無い。例えば、支持ロッドの延長上に位置する回収トレイが、中間支持板とは反対側から筐体外に開口しており、当該開口を通じて回収トレイ内のイメージングプレートが筐体外に取出されてもよい。
【0042】
本実施形態において、一対の長手方向側板45は、箱状部44の形態で筐体30内の一定位置に支持される。長手方向側板45が箱状部44において一定位置に支持される構成は当該例に限られない。例えば、長手方向側板45は、筐体30の一部である側面等に固定されていてもよい。
【0043】
また、箱状部44は、複数の板状部材がねじ止又は溶接等で固定される構成に限られない。箱状部の全体がプレス加工又は金型成形等によって形成された一体部材であってもよい。この場合は、箱状部を製造するために、ねじ止や溶接をなくすることができる。
【0044】
<励起光源及び光検出器について>
励起光源92は、ステージ60によって保持されたイメージングプレート10に対して励起光を照射する。励起光は、放射線像形成層11を励起させるための光であり、例えば、放射線像形成層11を励起させる特定波長のレーザ光である。放射線像形成層11に励起光が照射されると、放射線像形成層11に蓄積されたエネルギーの分布に応じて放射線像形成層11が発光する。
【0045】
励起光源92は、励起光としてレーザ光を発するレーザ光源とMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーとを含む構成であってもよい。例えば、レーザ光源からのレーザ光の照射先が、放射線像形成層11の表面10aに対して、主走査方向A1に対して交差(直交)する副走査方向A2方向に沿って移動するように、レーザ光源がMEMSミラーによって反射される構成であってもよい。なお、ミラーの構成は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの代わりに、ガルバノミラーやポリゴンミラー等を用いることもできる。ミラーの構成によっては、レンズ系の構成が別途必須となることがあるが、適宜の組み合わせにより本読取装置に利用できる。
【0046】
光検出器94は、励起光によるイメージングプレート10からの発光による光を検出し、その強度に応じた信号を出力するセンサである。この光検出器94からの信号に基づいて、放射線像の画像データが生成される。
【0047】
光検出器94は、光を検出する素子が一列に並んだ構成であってもよい。例えば、光検出器94は、素子の配列方向を副走査方向A2と平行にした姿勢に配置されてもよい。光を検出する素子は、シリコン光電子増倍管、光電子増倍管、フォトダイオード等であってもよい。
【0048】
本実施形態では、励起光源92と光検出器94とは、読取ユニット90として一体化されている。例えば、励起光源92と光検出器94とは、モジュールケース91内に収容された状態で、一体化されている。モジュールケース91のうち支持部材40側を向く部分に、副走査方向A2に沿って細長い読取用スリット90Sが形成されている(図3参照)。励起光は、当該読取用スリット90Sを通ってイメージングプレート10に向けて照射される。イメージングプレート10の発光光は、当該読取用スリット90Sを通って光検出器94によって検出される。
【0049】
主走査方向A1に沿うステージ60の移動中に、励起光源92によるレーザ光がステージ60に保持されたイメージングプレート10の放射線像形成層11の表面10aに入射し、その照射先が副走査方向A2に沿って移動する。これにより、放射線像形成層11の表面10aが副走査方向A2に沿うラインに沿って順次発光光を生じる。
【0050】
光検出器94は、励起光源92からのレーザ光によって生じた放射線像形成層11の発光光を検出可能な位置に設けられる。例えば、励起光源92は、イメージングプレート10に対して斜め方向からレーザ光を照射するように配置され、光検出器94は、イメージングプレート10に対してレーザ光が照射する位置の正面に配置される。そして、放射線像形成層11の表面が副走査方向A2に沿うラインに沿って順次発光光を生じると、当該発光光が光検出器94によって検出される。
【0051】
ステージ60の移動中に、副走査方向A2における励起光源92の走査及び光検出器94による走査が繰返し行われることによって、イメージングプレート10の広い面、例えば、イメージングプレート10の全面の放射線像が光検出器94によって読取られる。
【0052】
なお、ステージ60の移動中に読取りを行うことは必須ではない。例えば、ステージ60が停止した状態で、励起光源92及び光検出器94が移動する構成であってもよい。また、ステージ60と、励起光源92及び光検出器94の両方が移動する構成であってもよい。
【0053】
<ステージ及びその移動のための構成について>
図4は読取装置20の内部構造をステージ60の支持面64Fに直交する外側から見た正面図である。図4において読取ユニット90及びセット用ガイド200は省略されている。図5図4のV-V線断面図である。図5において、セット用ガイド200は省略されず、また、読取ユニット90が2線鎖線で示されている。
【0054】
図1から図5に示すように、ステージ60は、イメージングプレート10を保持するように構成されている。例えば、ステージ60は、イメージングプレート10よりも大きく広がる板状部分を含む。イメージングプレート10がステージ60の一方面側の支持面64Fに接した状態で、ステージ60に対して一定位置及び一定姿勢で保持される。ステージ60がイメージングプレート10を保持する構成が後により具体的に説明される。
【0055】
ステージ60は、イメージングプレート10を保持した状態で主走査方向A1に沿って移動する。ステージ60を移動可能に支持するための構成について説明する。
【0056】
ステージ60は、一対の長手方向側板45のうち背板47とは反対側の縁部間を主走査方向A1に沿って移動することができる。背板47に対する下側の短手方向側板46Lの突出寸法は、背板47に対する長手方向側板45の突出寸法よりも小さい。このため、ステージ60は、主走査方向A1に沿って、一対の長手方向側板45の間から下側の短手方向側板46Lを越えて下方に移動することができる。つまり、主走査方向A1に沿って、一対の長手方向側板45間の位置(図2において2点鎖線で示す位置P2、P4)と一対の長手方向側板45間の下側に突出する位置P1(図2参照)との間で往復移動することができる。
【0057】
ステージ60は、ステージ移動機構50によって移動駆動可能に構成される。ステージ移動機構50は、移動駆動部52と、一対のガイドロッド56とを含む。
【0058】
移動駆動部52は、ステージ60に対して主走査方向A1に沿った駆動力を付与する部分である。本実施形態では、移動駆動部52は、モータ53と、ネジ軸部54とを含む。ネジ軸部54は、周囲にネジ溝が形成された棒状部材である。ネジ軸部54は、一対の短手方向側板46間に掛渡すようにして、一対の短手方向側板46に回転可能に支持されている。モータ53は、箱状部44に対して回転不能に固定されている。例えば、モータ53は、下方の短手方向側板46Lの外側にブラケット53B等を介して回転不能に固定されている。モータ53のシャフト53aがネジ軸部54に相対回転不能に固定されており、モータ53の正転方向又は逆転方向の回転に応じて、ネジ軸部54が正転方向又は逆転方向に回転駆動される。モータ53のシャフト53aの回転運動は、ギヤ、プーリー等の伝達装置を介してネジ軸部54に伝達されてもよい。
【0059】
ステージ60は、ネジ溝を有する貫通孔62h1を有している(図2参照)。ネジ軸部54は、上記貫通孔62h1に螺合している。ネジ軸部54の回転によって、当該ネジ軸部54が螺合するステージ60が主走査方向A1に沿って移動するように駆動される。
【0060】
ガイドロッド56は細長い棒状部材であり、一対の短手方向側板46の間に掛渡すように、一対の短手方向側板46に固定されている。ガイドロッド56は、ステージ60に形成されたガイド孔62h2に挿通されている(図2参照)。これにより、ガイドロッド56は、ステージ60がネジ軸部54周りに回転することを抑制する役割を果すことができる。ここでは、ガイドロッド56は、複数(本実施例では2つ)設けられているが、1つであってもよい。
【0061】
移動駆動部52による移動方向は上記例に限られず、水平方向又は斜め方向であってもよい。移動駆動部52は、ステージ60を移動させるアクチュエータであればよく、上記構成の他、リニアモータ等であってもよいし、ベルトによって移動させる機構であってもよい。ステージを移動させる代りに、読取ユニット90を移動させてステージ上のイメージングプレートを読取ってもよい。読取ユニットがイメージングプレートの平面情報を読取ることができるセンサであれば、ステージ及び読取ユニットの両方が移動しない場合も想定される。
【0062】
ステージ60は、ステージ移動機構50によって、セット位置P1と、読取位置P2との間で往復移動される。
【0063】
セット位置P1は、ステージ60に対してイメージングプレート10をセット可能な位置である。本実施形態では、セット位置P1は、下側の短手方向側板46Lの外側(下側)に突出する位置に設定される。セット位置P1において、ステージ60の上端寄りの部分が短手方向側板46L上に配置され、ステージ60の長手方向中間部及び下端部が下側の短手方向側板46Lから下方に延出する状態となる。セット位置P1においては、ステージ60にセットされるイメージングプレート10の配設領域(複数サイズのイメージングプレート10が想定される場合には最大配設領域)が、下側の短手方向側板46Lの外側に配置される。
【0064】
この状態において、ステージ60の支持面64Fは重力方向に対して傾斜している。ここでは、支持面64Fは、長手方向側板45の延在方向と同じ傾き方向に沿って傾斜している。つまり、支持面64Fは斜め上方を向くように傾斜している。本実施形態では、支持面64Fは、後述するプレートガイド面216に対して反対側で傾斜する反対傾斜面である。反対傾斜面としての支持面64Fについては、後にプレートガイド面との関係でさらに説明される。
【0065】
セット位置P1に位置するステージ60は、セット用ガイド200によってガイドされたイメージングプレート10を受けることができる。より具体的には、セット位置P1は、セット用ガイド200の下側に設けられている(図5参照)。装置20の外側からイメージングプレート10がセット用ガイド200の投入口230に挿入されると、イメージングプレート10は、セット用ガイド200によってガイドされつつ自重によって重力方向下側に移動する。イメージングプレート10の下縁部分が支持面64Fに達すると、イメージングプレート10の下縁部分が支持面64Fの傾きに従って斜め下方向に滑り落ちつつ、イメージングプレート10が支持面64Fに向って傾き、イメージングプレート10の裏面10bが当該支持面64Fに対して面接触し得る状態となる。この状態で、イメージングプレート10がステージ60に設けられた位置決め機構(後述する)によって位置決め保持される。本実施例ではこのように、イメージングプレート10を正規姿勢に誘導する際に重力を利用する構成となっている。
【0066】
セット用ガイド200がイメージングプレート10をガイドするための構成が後により詳細に説明される。
【0067】
セット位置P1が上記位置に設定されていることは必須ではなく、例えば、セット用ガイド200との位置関係に応じて、一対の長手方向側板45の間に設定されていてもよい。
【0068】
読取位置P2は、励起光源92と光検出器94とが放射線像を読取る位置、即ち、励起光源92からの励起光に応じて光検出器94がイメージングプレート10の放射線像を読取る位置である。本実施形態では、読取位置P2は、一対の長手方向側板45の間の位置に設定される。より具体的には、読取位置P2は一対の長手方向側板45の間であって下寄りの位置に設定される。
【0069】
すなわち、励起光源92と光検出器94とを含む読取ユニット90は、一対の長手方向側板45の外向きの縁部分間で一対の支持ロッド48にネジ止等によって固定される。読取ユニット90は、一対の長手方向側板45の間であって上記セット位置P1寄りに位置する。読取ユニット90のうち箱状部44の内側を向く面に、読取用スリット90Sが形成される。読取ユニット90内の励起光源92からの励起光が読取用スリット90Sを通ってステージ60上のイメージングプレート10に照射される。また、この励起光によって励起されるイメージングプレート10からの発光光が読取用スリット90Sを通って光検出器94に入射する。
【0070】
セット位置P1においてステージ60にイメージングプレート10がセットされると、イメージングプレート10は主走査方向A1に沿って箱状部44内に向けて移動する。ステージ60にセットされたイメージングプレート10が上記読取用スリット90Sと向い合う位置に達すると、読取ユニット90によってイメージングプレート10の放射線像の読取りが開始される。ステージ60の移動に伴って、読取ユニット90によってイメージングプレート10の放射線像が順次読取られる。イメージングプレート10が読取用スリット90Sを通過すると、読取ユニット90による読取りが終了する。本実施形態のように、ステージ60が移動することによって放射線像の読取りがなされる場合、読取位置P2は、ステージ60上のイメージングプレート10(複数サイズのイメージングプレート10が想定される場合には、最も広いイメージングプレート10)が上記読取用スリット90Sに達して読取りが開始される位置と把握されてもよい。
【0071】
上記例とは異なり、一定位置に静止したイメージングプレート10に対して読取ユニット90が主走査方向A1に沿って移動して放射線像を読取る場合、あるいは、一定位置に静止したイメージングプレート10に対して2次元センサによって放射線像を読取る場合も想定される。この場合、一定位置に静止したイメージングプレート10を保持する位置が、読取位置P2である。
【0072】
本実施例では、ステージ60は、ステージ移動機構50によって、排出位置P3にも移動する(図5参照)。排出位置P3は、ステージ60にセットされたイメージングプレート10を排出するための位置である。排出位置P3は、読取位置P2に対してセット位置P1よりも離れた位置に設定される(図5において二点鎖線で示すステージ60参照)。本例に限られず、排出位置P3とは異なる位置、例えば、セット位置P1においてステージ60のイメージングプレート10が、別途の機構によって、排出されてもよい。
【0073】
既に述べたように、回収トレイ49が、排出位置P3の下方に設けられる。回収トレイ49の上開口は、ステージ60の下側延長上で開口している。イメージングプレート10は、排出位置P3におけるステージ60上を滑り落ちて、回収トレイ49の上開口を通って、回収トレイ49内に排出される。
【0074】
本実施形態では、ステージ60は、ステージ移動機構50によって、奥側位置P4にも移動する(図2参照)。奥側位置P4は、読取位置P2に対してセット位置P1とは反対側の位置にある。すなわち、ステージ60は、セット位置P1から読取位置P2を経過して奥側位置P4に移動することができる。奥側位置P4では、ステージ60上のイメージングプレート10は、読取ユニット90によって覆われずに露出した状態となっていてもよいし、他の部材によって覆われていてもよい。
【0075】
上記ステージ移動機構50の動作制御は、制御部100(図3参照)によってなされる。制御部100は、例えば、少なくとも1つのプロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータによって構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等であり、電気回路によって構成される。プロセッサが読取プログラムを実行することによって、読取りのための各種機能が実現される。この制御部100によって、上記モータ53の回転方向及び回転量の制御がなされることによって、主走査方向A1に沿ったステージ60の移動制御がなされる。かかる制御部100は、上記回路ユニット43によって実現される回路であることが想定される(図3参照)。
【0076】
本制御部100によって、読取ユニット90による励起光源92及び光検出器94の制御がなされてもよい。本制御部100によって、光検出器94によって検出された信号に基づいて放射線画像を生成するための各種信号処理、画像処理、表示装置34による表示処理等がなされてもよい。
【0077】
ステージ60を移動させる構成は上記例に限られない。移動機構は、読取ユニット90を重力方向、水平方向又は斜め方向に移動させてもよい。また、ステージ60が一定位置に支持され、読取ユニット90が移動してもよい。
【0078】
<ステージの全体構成について>
ステージ60の全体構成について説明する。図1から図5に示すように、ステージ60は、ステージ本体61と、位置決め機構70とを備える。
【0079】
ステージ本体61は、イメージングプレート10の裏面10bに面接触可能な支持面64Fを有する。本実施形態では、ステージ本体61は、可動支持体62と、板状部64とを含む。
【0080】
可動支持体62は、直方体状に形成されている。可動支持体62に、貫通孔62h1が形成されている(図2参照)。既に述べたように、モータ53によって正逆両方向に回転駆動可能なネジ軸部54が当該貫通孔62h1に螺合される。ネジ軸部54が正転方向に回転することによってステージ60がネジ軸部54に沿って一方側に移動し、ネジ軸部54が逆転方向に回転することによってステージ60がネジ軸部54に沿って他方側に移動することができる。かかる構造は、例えば、ボールネジと呼ばれる構造である。
【0081】
可動支持体62には、上記貫通孔62h1と平行なガイド孔62h2が形成されている(図2参照)。このため、可動支持体62は、ガイド孔62h2に挿通されたガイドロッド56によるガイド下、貫通孔62h1に螺合するネジ軸部54の正転方向又は逆転方向の回転に応じて、主走査方向A1に沿って両方向に移動駆動される。
【0082】
板状部64は、イメージングプレート10よりも大きく板状に広がる形状、ここでは、方形板状に形成されている。板状部64が方形板状に形成されていることは必須ではなく、楕円形状等他の形状に形成されていてもよい。
【0083】
板状部64の一方側の面に支持面64Fが設けられる。支持面64Fは、イメージングプレート10よりも大きく広がっていてもよい。イメージングプレート10として複数のサイズが想定される場合には、支持面64Fは、最も大きいイメージングプレート10よりも大きく広がっていてもよい。
【0084】
より具体的には、板状部64は、一方向(ここでは主走査方向A1)に沿って長い長方形状に形成されている。板状部64の他方側の面(支持面64Fとは反対側の面)のうち、板状部64の長手方向の一方側の部分が可動支持体62に固定されている。固定は、例えば、ねじ止によってなされる。板状部64は、可動支持体62から主走査方向A1に沿ってセット位置P1側に向って延出するように、可動支持体62によって片持ち状に支持されている。板状部64の一方側の面のうち可動支持体62から主走査方向A1に沿って下方に延び出る部分の一部が他の部分よりも凹んでいる。この凹んだ部分の底面が、イメージングプレート10の裏面に面接触可能な支持面64Fである。
【0085】
ステージ60が支持部材40によって支持された状態で、板状部64及び支持面64Fは重力方向(下方向)に対して傾斜し、支持面64Fは斜め上方向を向いている。本実施形態では、板状部64及び支持面64Fの傾斜角度は、長手方向側板45の延在方向の傾斜角度及び一対の支持ロッド48の傾斜角度と一致している。板状部64及び支持面64Fは、一定の傾斜角度を保った状態で、ガイドロッド56によるガイド下、主走査方向A1に沿って移動する。可動支持体62が下側の短手方向側板46L寄りに移動すると、板状部64のうち可動支持体62から延び出る部分は、下側の短手方向側板46L上を通り、斜め下方に延び出る。この状態で、支持面64Fが斜め上を向くように傾斜しているため、セット用ガイド200を通じてイメージングプレート10上に供給されるイメージングプレート10を、支持面64F上で受けることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、板状部64のうち可動支持体62寄りの領域に、部分的な突部領域64P(図6図7参照)が形成されている。突部領域64Pは、支持面64Fのうち上側及び両側を囲む領域に形成されている。突部領域64Pと支持面64Fとの間には段差が存在している。突部領域64Pが存在することによって、イメージングプレート10がより確実に支持面64F上に支持される。上記突部領域64Pが存在することは必須ではない。
【0087】
位置決め機構70は、支持面64F上に支持されたイメージングプレート10の縁部分に対して接触し、支持面64Fの延在方向において当該縁部分をその外側から位置決めする位置決め面72AF、72BF、72CF、72DFを有する。本実施形態では、位置決め面72AF、72BF、72CF、72DFは、支持面64Fに対して鋭角をなすように傾斜しており、イメージングプレート10の縁部分を支持面64Fに押付ける。位置決め面72AF、72BF、72CF、72DFが、イメージングプレート10の縁部分を支持面64Fに押付ける構成を有していることは必須ではない。
【0088】
なお、ステージ60が位置決め機構70を有している必要は無く、例えば、ステージ60が重力方向に対して直交する水平姿勢である場合には、イメージングプレート10は、縁部で位置決めされることなく、ステージ60上に載置されてもよい。
【0089】
ステージ60が位置決め機構70を備える構成において、位置決め機構70は、位置決め面72AF、72BF、72CF、72DFを少なくとも1つ有していればよい。位置決め機構70が、イメージングプレート10を少なくとも2方向において位置決めするためには、位置決め機構70は、互いに異なる方向(例えば互いに直交する方向)を向く位置決め面72AF、72BF、72CF、72DFを少なくとも2つ有していればよい。例えば、位置決め機構は、イメージングプレート10を下から支える上向きの位置決め面と、イメージングプレート10の左右方向を一方から押える右向き若しくは左向きの位置決め面とを有していてもよい。本実施形態では、位置決め機構70は、水平方向の位置決め機構と、上下方向の位置決め機構とを有している。このため、イメージングプレート10は、水平方向及び上下方向において一定位置に位置決めされる。
【0090】
イメージングプレート10は、位置決め機構70によってイメージングプレート10を正規姿勢に保持した状態で、読取位置P2に移動する。読取位置P2において、ステージ60に正規姿勢で保持されたイメージングプレート10の放射線像が、読取ユニット90によって読取られる。正規姿勢とは、ステージ60を基準として予め設定されたイメージングプレート10の姿勢であり、読取ユニット90による読取りに適した所定の姿勢である。本実施形態では、セット時及び読取り時において、ステージ60の支持面64Fにおいて位置決め面72AF、72CFが一定位置に配置されている。イメージングプレート10の一側の縁部分が位置決め面72AFに接触すると共に、イメージングプレート10の下側の縁部分が位置決め面72CFに接した状態が、正規姿勢である。
【0091】
本実施形態では、ステージ60は、イメージングプレート10の長手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢で支持する。具体的には、板状部64及び板状部64の一方面側の支持面64Fの長手方向は水平方向に対して傾斜しており、短手方向は水平方向に沿っている。このため、イメージングプレート10の長手方向を板状部64及び支持面64Fの長手方向に沿わせた姿勢で、イメージングプレート10をステージ60上で支持すると、イメージングプレート10の長手方向は水平方向に対して傾斜した姿勢となる。
【0092】
本実施形態では、副走査方向A2(水平方向)の位置決め部72A、72Bの最小間隔は、主走査方向A1の位置決め部72C、72Dの最小間隔よりも小さい。また、副走査方向A2(水平方向)の位置決め部72A、72Bの最大間隔は、主走査方向A1の位置決め部72C、72Dの最大間隔よりも小さい。このため、ステージ60は、イメージングプレート10の長手方向を、板状部64及び支持面64Fの長手方向に沿わせた姿勢で支持するのに適した構成を有している。
【0093】
本実施形態に拘らず、ステージは、イメージングプレートの短手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢で、当該イメージングプレートを支持してもよい。例えば、ステージの板状部及び支持面の長手方向が水平方向に沿っており、短手方向が水平方向に対して傾斜してもよい。
【0094】
<位置決め機構について>
図6はステージ60を示す斜視図である。図7は読取位置P2におけるステージ60を示す正面図であり、図8図4のXIII-XIII線における部分断面図である。
【0095】
位置決め機構70は、4つの位置決め部72A、72B、72C、72Dを含む。位置決め部72A、72Bによってイメージングプレート10が副走査方向A2(本実施形態では、水平方向)に位置決めされ、位置決め部72C、72Dによってイメージングプレート10が主走査方向A1(本実施形態では、上下方向)に位置決めされる。イメージングプレート10がセット位置P1に位置する状態では、左右の位置決め部72A、72Bが開いた状態になり、上下の位置決め部72C、72Dも開いた状態になる(図4参照)。この状態で、イメージングプレート10をステージ60にセットできる。イメージングプレート10が読取位置P2に位置する状態では、左右の位置決め部72A、72Bが接近した状態になり、上下の位置決め部72C、72Dも接近した状態になる。この状態で、ステージ60にイメージングプレート10が主走査方向A1及び副走査方向A2の両方において位置決めされた状態で保持される。
【0096】
上記左右の位置決め部72A、72B及び上下の位置決め部72C、72Dを開閉させる構成は特に限定されない。
【0097】
例えば、左右の位置決め部72A、72Bの少なくとも一方がバネ等の付勢部材によって閉方向に付勢されていてもよい。この場合、ステージ60がセット位置P1に移動することで、左右の位置決め部72A、72Bの少なくとも一方がカム面等の固定箇所に押し当てられて付勢部材の付勢力に抗して開かれてもよい。また、ステージ60が読取位置P2に移動することでカム面等による位置拘束が解除され、左右の位置決め部72A、72Bの少なくとも一方が付勢部材の付勢力によって閉位置に向けて移動する構成であってもよい。
【0098】
また、例えば、左右の位置決め部72A、72Bの少なくとも一方が、開閉のための駆動部(例えば、モータ、ソレノイドアクチュエータ)によって駆動されてもよい。
【0099】
上下の位置決め部72C、72Dについても、左右の位置決め部72A、72Bを駆動するのと同様構成によって開閉駆動されてもよい。
【0100】
なお、左右の位置決め部72A、72Bの両方が、ステージ60に対して一定位置に固定されていてもよい。左右の位置決め部72A、72Bの両方又は一方が省略されてもよい。
【0101】
また、上下の位置決め部72C、72Dの両方がステージ60に対して一定位置に固定されていてもよい。上下の位置決め部72C、72Dの両方又は一方が省略されてもよい。
【0102】
もっとも、ステージ60が斜め姿勢であることを想定すると、下側の位置決め部72Cは、支持面64F上を滑り落ちるイメージングプレート10を下側から受ける役割を果す。
【0103】
位置決め部72Cについて説明する。位置決め部72Cは、板状部64のうち主走査方向A1における一方側、ここでは、下側の側部に沿って突出する細長い部分である。位置決め部72Cは、支持面64Fを囲む境界のうち下側の境界に沿って副走査方向A2に沿って延在している。位置決め部72Cは、支持面64Fよりも当該支持面64Fから突出している。位置決め部72Cの長さは、支持面64F上に支持されるイメージングプレート10の幅寸法(複数サイズが想定される場合には最大の幅寸法)よりも長くてもよい。
【0104】
位置決め部72Cのうち内側(上側)を向く面が、位置決め面72CFに形成されている。位置決め面72CFは、支持面64Fに対する角度が90゜未満であるガイド面(ここでは平面)に形成されていてもよいし、支持面64Fに対して直角な平面に形成されていてもよい。位置決め面72CFは、重力方向に対して傾斜する支持面64Fの下側に位置していることから、支持面64Fに沿って下方に移動するイメージングプレート10の下側の縁部分を受ける面の一例である。
【0105】
本実施形態では、位置決め部72Cは、板状部64とは別体に形成されている。位置決め部72Cは、接触位置と退避位置との間で姿勢変更可能に構成される(図8参照)。接触位置は、位置決め面72CFを支持面64F上のイメージングプレート10の縁部分に対向させる位置であり、退避位置は、位置決め面72CFを、支持面64F上のイメージングプレート10の縁部分から退避させる位置である。
【0106】
位置決め部72Cの動作ついて説明しておく。板状部64のうち下端側部分が他の部分よりも幅狭に形成されている。位置決め部72Cは、細長い位置決め本体部73Caと、一対の回転支持部73Cbとを含む。位置決め本体部73Caは、板状部64のうち下端側部分全体に延在し得る長さに設定されている。位置決め本体部73Caの周囲を囲む面のうちの1つの面が上記位置決め面72CFに形成されている。位置決め本体部73Caの両端部から一対の回転支持部73Cbが延出している。一対の回転支持部73Cbが上記板状部64のうち下端側部分の両側外方に配置されている。ネジ又はピン等によって構成される支持軸部によって、一対の回転支持部73Cbが上記板状部64のうち下端側部分の両側に対して回転可能に支持される。
【0107】
位置決め部72Cが接触位置に位置する状態では、上記したように、位置決め面72CFが支持面64Fの下方延長上に交差するように位置する。このため、支持面64Fを滑り落ちるイメージングプレート10の下側の縁部分が位置決め面72CFに接触することができる(図8において実線で示す位置決め部72C参照)。
【0108】
位置決め面72CFが退避位置に位置変更されると、位置決め面72CFが支持面64Fから退避する(図8において二点鎖線で示す位置決め部72C参照)。すなわち、退避位置にあるときの位置決め面72CFは、支持面64Fに沿って下方に移動したイメージングプレート10の下側の縁部分を受けるポジションには位置しなくなる。本実施形態では、位置決め面72CFは、支持面64Fの裏側に向かって退避する。位置決め面72CFは、支持面64Fの正面側に退避移動してもよい。位置決め面72CFが退避位置に移動すると、イメージングプレート10は、支持面64F上を滑り落ちることができる。
【0109】
本実施形態では、一対の回転支持部73Cbのうちの一方に、支持面64Fとは反対側に突出する突出片73Cbpが突設されている。ステージ60の移動によって突出片73Cbpを押すことによって、位置決め面72CFが接触位置から退避位置に位置変更される。なお、退避位置から退避位置への位置決め部72Cの付勢は、位置決め部72C自体の自重によってなされてもよいし、ねじりコイルバネ等のばねによってなされてもよい。
【0110】
上記位置決め部72Cを位置変更させるための構成について説明する。
【0111】
本実施形態では、ステージ60は、セット位置P1からさらに(読取位置P2とは反対側に)遠ざかる排出位置P3に移動可能である(図5図8参照)。
【0112】
一対の支持ロッド48のうち箱状部44から突出する部分にカム板80が支持されている。カム板80は、下側の短手方向側板46Lの外側で、一対の支持ロッド48間に位置する板状部材である。カム板80は、読取位置P2におけるステージ本体61に対して支持面64Fとは反対側に位置している。
【0113】
上記カム板80に、溝84が形成されている(図4図8参照)。溝84は、上記位置決め部72Cの一端に設けられた突出片73Cbpを配置可能な位置において主走査方向A1に沿って延びるように形成されている。溝84は、カム板80の両面に貫通しているが、ステージ60側で開口する有底溝であってもよい。
【0114】
溝84の奥に作動ローラ85が位置している。作動ローラ85は、副走査方向A2に沿う軸周りに回転可能に支持されたローラである。作動ローラ85は、ステージ60がセット位置P1に位置する状態では突出片73Cbpに接触せず、ステージ60が排出位置P3に位置する状態で突出片73Cbpに接触可能な位置に配置されている。なお、溝84の奥に作動ローラ85が設けられず、第2カム溝の奥の位置自体が、ステージ60が排出位置P3に位置する状態で突出片73Cbpと接触可能に設定されていてもよい。
【0115】
ステージ60がセット位置P1及び読取位置P2に位置する状態では、突出片73Cbpは作動ローラ85に接触しない。この状態では、位置決め部72Cの位置決め面72CFは、位置決め部72Cの自重により又は付勢部材によって、イメージングプレート10を下から支える接触位置に位置している。
【0116】
ステージ60がセット位置P1から排出位置P3に移動すると、突出片73Cbpが作動ローラ85に接触し、位置決め面72CFが接触位置から退避位置に移動する。これにより、イメージングプレート10は、ステージ60の支持面64F上から下方に滑り落ちることができる。
【0117】
ステージ60が上記構成である必要はない。例えば、支持面上においてイメージングプレートを位置決め部の全てが支持面に対して一定位置に固定されていてもよい。また、ステージは、斜めに傾斜する支持面に対して下方のみからイメージングプレートを支持する位置決め部を有する構成であってもよい。また、例えば、ステージは、斜めに傾斜する支持面に対して下方及び一側方のみからイメージングプレートを支持する位置決め部を有する構成であってもよい。また、ステージは、重力方向に対して垂直な水平方向の沿った支持面を有していてもよい。つまり、ステージ60は、セット用ガイド200によってガイドされるイメージングプレート10をガイド先で支持する構成を有していればよい。
【0118】
<セット用ガイドについて>
図9はセット用ガイド200が支持部材40から取外された状態を示す斜視図である。図10はセット用ガイド200の分解斜視図である。図11図9のXI-XI線断面においてシャッタ244の動作を示す説明図である。図12図9のXI-XI線断面においてイメージングプレート10のガイド動作を示す説明図である。
【0119】
図1から図3図5図9から図12に示すように、セット用ガイド200は、プレートガイド面216を含んでおり、イメージングプレート10をステージ60に向けて案内する。プレートガイド面216は、下向き傾斜する面であり、イメージングプレート10を斜め下方に案内する面である。セット用ガイド200は、一対の支持ロッド48のうち下側の短手方向側板46Lから突出する部分にネジ止等によって固定されている。これにより、セット用ガイド200は、セット位置P1に位置するステージ60に対して支持面64F側から対向することができる。なお、セット用ガイド200は、ガイドするイメージングプレート10をセット位置P1のステージ60に案内可能な状態で当該ステージ60に対向していればよい。このため、例えば、セット用ガイド200の一部が読取ユニット90と干渉しない範囲で読取位置P2側にはみ出ていてもよい。
【0120】
より具体的には、セット用ガイド200は、ガイドベース板201と、ガイド本体212とを備える。
【0121】
ガイドベース板201は、金属又は樹脂によって形成された板、ここでは、方形板状に形成されている。ガイドベース板201の幅寸法(副走査方向A2における寸法)は、一対の支持ロッド48の幅に応じた大きさに設定されており、当該一対の支持ロッド48に掛渡すように固定される。主走査方向A1におけるガイドベース板201の長さは、一対の支持ロッド48のうち下側の短手方向側板46Lから突出する部分の長さに応じた大きさに設定されている。ガイドベース板201は、ステージ60のうち下側の短手方向側板46Lから突出する部分上を覆うことができる。
【0122】
ガイドベース板201に、プレート通過開口202が形成されている。プレート通過開口202は、イメージングプレート10が通過可能な方形状の開口である。例えば、プレート通過開口202は、イメージングプレート10の大きさ(複数サイズのイメージングプレート10が想定される場合には最大の大きさ)よりも大きい方形状に形成されている。プレート通過開口202は、セット位置P1に位置するステージ60のうち支持面64Fに対向する位置に形成される。ガイドベース板201は省略されてもよい。例えば、ガイド本体212は、支持ロッド48に直接固定されてもよい。
【0123】
ガイドベース板201には、シャッタ作動用開口204が形成されている。シャッタ作動用開口204は、例えば、プレート通過開口202の隣に形成される。シャッタ作動用開口204は、例えば、主走査方向A1に沿って長い長方形状の開口である。
【0124】
ガイド本体212は、例えば、清掃や滅菌の処理が容易で耐久性のある樹脂によって形成される。ガイド本体212は、プレートガイド面216を有しており、筐体30の開口31からステージ60に向けてイメージングプレート10を案内する。
【0125】
ガイド本体212は、副走査方向A2に垂直な2つの外向き面を2つの底面213とする直方体状に形成されている。
【0126】
各底面213は、上底213a、当該上底213aよりも長い下底213b、上底213a及び下底213bに対して垂直(特に図11参照)な辺213c、上底213a及び下底213bに対して斜め方向に延びる(特に図11参照)斜辺213dとで囲まれる台形状に形成されている。説明の便宜上、各辺の符号が図9図11に示される。
【0127】
ガイド本体212のうち2つの辺213c間の面は、ガイドベース板201に平行な姿勢で当該ガイドベース板201に対向する。ガイドベース板201が一対の支持ロッド48に取付けられた状態で、一対の支持ロッド48間において、ガイド本体212のうち2つの辺213c間の面がプレート通過開口202を介してステージ60の支持面64Fに対向する。
【0128】
ガイド本体212のうち2つの上底213a間の面、2つの下底213b間の面、及び、2つの底面は、ガイドベース板201に対して垂直姿勢である。
【0129】
ガイド本体212のうち2つの斜辺213d間の面は、ガイドベース板201に対して傾斜する姿勢で、当該ガイドベース板201に対して反対側を向いている。ガイド本体212のうち2つの斜辺213d間の面は、筐体30のうち開口31が形成された面に沿うように配置される。ガイド本体212のうち2つの斜辺213d間の面は、開口31を通じて筐体30の外に露出する。
【0130】
ガイド本体212は、一対の側壁部219、221と、ガイド部215と、上挿入ガイド222とを備える。
【0131】
一対の側壁部219、221は、上記底面213を外向き面とする板状部分であり、間隔をあけた並列姿勢で配置されている。
【0132】
一対の側壁部219の間にガイド部215と、上挿入ガイド222とが配置される。
【0133】
ガイド部215は、一対の側壁部219、221の間であって上底213a及び斜辺213d寄りの位置に配置されている。ガイド部215のうちステージ60側において斜め上を向く面がプレートガイド面216である。
【0134】
プレートガイド面216は、支持面64Fに向って徐々に下方に向うように形成されている。本実施形態では、プレートガイド面216は、外向きに凸な湾曲面216aである部分を含む。本実施形態では、プレートガイド面216の全体が湾曲面216aである。湾曲面216aは、副走査方向A2に沿って見ると、上方及びステージ60側に凸となる曲線を描いている。湾曲面216a上では、平坦なイメージングプレート10が面接触し難く、従って、イメージングプレート10が湾曲面216aに張り付いた状態となり難い。このため、イメージングプレート10は、湾曲面216a上を円滑に滑り落ちていくことができる。また、湾曲面216aとイメージングプレート10との摩擦量が軽減されるので、イメージングプレート10表面の損傷の可能性も低減され好ましい。
【0135】
プレートガイド面216の上端は、ステージ60における支持面64Fの下端(例えば、位置決め面72CFの位置)よりも上に位置し、好ましくは、支持面64Fの上端(例えば、離間位置に位置する位置決め面72DFの位置)よりも上に位置する。プレートガイド面216の上端からステージ60から離れる方向に向って入口ガイド面217aが延出する。入口ガイド面217aは、ステージ60から離れるのに連れて下側に向う形状に形成されている。入口ガイド面217aによって、プレートガイド面216の上端から外れた位置に差込まれたイメージングプレート10がプレートガイド面216の上端に向けて案内される。
【0136】
プレートガイド面216の下端は、プレートガイド面216の上端よりも下に位置し、好ましくは、支持面64Fの上端(例えば、離間位置に位置する位置決め面72DFの位置)よりも下に位置し、より好ましくは、支持面64Fのうち上端よりも下端(例えば、位置決め面72CFの位置)に近い高さに位置する。
【0137】
本実施形態において、ガイド部215のうち水平方向においてステージ60側に最も突出する頂部が上下反転接触部218である。よって、上下反転接触部218は、プレートガイド面216に対してイメージングプレート10の案内方向下流側に連続している。上下反転接触部218については、ステージ60の支持面64Fとの関係で後にさらに説明される。
【0138】
プレートガイド面216の下端からさらに下に向けて反対傾斜面用ガイド面217bが延出する。反対傾斜面用ガイド面217bは、上下反転接触部218に対して位置決め部72C側で連続している。
【0139】
反対傾斜面用ガイド面217bは、支持面64F(反対傾斜面)の傾斜方向において、下方に向うに連れて徐々に支持面64F(反対傾斜面)に近づく形状に形成されている。本実施形態では、反対傾斜面用ガイド面217bのうち上側部分は、上下反転接触部218に対して連続的に連なっており、外向きに凸となる湾曲面に形成されている。つまり、プレートガイド面216と上下反転接触部218と反対傾斜面用ガイド面217bとがこの順で連続して連なるように形成されている。反対傾斜面用ガイド面217bのうち下側部分は、支持面64F(反対傾斜面)に沿う平面に形成されている。位置決め面72CFが接触位置に位置する状態で、反対傾斜面用ガイド面217bのうち下側部分が位置決め部72Cに近接した状態となっていることが好ましい。これにより、反対傾斜面用ガイド面217bと位置決め部72Cとの間にイメージングプレート10が入り込む隙間が形成され難くなる。
【0140】
上挿入ガイド222は、プレートガイド面216の上端及び入口ガイド面217aの上方に位置する。上挿入ガイド222のうち入口ガイド面217aに対向する部分は、当該入口ガイド面217aに対して間隔をあけて対向する上挿入ガイド面222aに形成されている。上挿入ガイド面222aは、ステージ60から離れるにつれて入口ガイド面217aから離れる方向に向っている。入口ガイド面217aと上挿入ガイド面222aとの間の間隔は、ステージ60から離れるにつれて徐々に大きくなる。
【0141】
入口ガイド面217aと上挿入ガイド面222aと一対の側壁部219、221の内面とによって、プレートガイド面216の上側端にイメージングプレート10を投入するための投入口230が形成される。
【0142】
投入口230は、イメージングプレート10が通過可能な大きさに形成される。すなわち、上挿入ガイド面222aは、プレートガイド面216の上側の端部に対してイメージングプレートIPの厚みに応じた距離離れている。これにより、投入口230の最小のスリット幅W(図12参照)は、イメージングプレート10の厚みTに応じた大きさに設定されている。例えば、スリット幅Wは、イメージングプレート10の厚みTに対して1mm程度を加算した大きさに設定されていてもよい。例えば、イメージングプレート10が放射線像を記憶する際、イメージングプレート10の機械的な保護、X線情報の損失抑制等の観点から、イメージングプレート10にプロテクタが装着される場合がある。スリット幅Wがイメージングプレート10の厚みTに応じた大きさに設定されれば、プロテクタによって覆われたイメージングプレート10は、投入口230に挿入され難い。このため、プロテクタを装着したままのイメージングプレート10が誤って読取装置20内に挿入されることが抑制される。
【0143】
読取装置20による読取対象となるイメージングプレート10のサイズが複数である場合、投入口230の長さL(長手方向の幅)は、最も大きい幅のイメージングプレート10が通過可能な大きさに設定される。イメージングプレート10のサイズが異なる場合でも、イメージングプレート10の厚みTは同じであることが考えられる。そこで、上記のように、投入口230のスリット幅Wの大きさ設定によって、プロテクタを装着したままのイメージングプレート10の誤挿入を抑制することで、種々サイズのイメージングプレート10の読取りを可能としつつ、上記のような誤挿入を低減できる。また、イメージングプレート10を投入口230に挿入する際のイメージングプレート10の投入許容幅の自由度を制限することができる。このため、装置20の内部へのイメージングプレート10の投入位置が制限されるので、ステージ60上における不慮の位置ずれや脱落が生じ難い。
【0144】
副走査方向A2(水平方向)に沿った方向における投入口230及びプレートガイド面216の寸法は、イメージングプレート10の短手方向の寸法よりも大きい。また、プレートガイド面216の上端と支持面64Fとの間には、イメージングプレート10の長手方向の寸法よりも大きい距離が隔てられている。これにより、セット用ガイド200は、イメージングプレート10の長手方向を、プレートガイド面216におけるイメージングプレート10の移動方向に沿わせた姿勢で、イメージングプレート10を案内することができる。換言すれば、セット用ガイド200は、イメージングプレート10の短手方向を、副走査方向A2(水平方向)に沿わせた姿勢で、当該イメージングプレート10をステージ60に向けて案内することができる。
【0145】
上記したように、ステージは、イメージングプレートの短手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢でイメージングプレートを支持してもよい。この場合、セット用ガイドは、イメージングプレートの短手方向を水平方向に沿わせた姿勢でステージに向けてガイドするとよい。
【0146】
上挿入ガイド222のうち上挿入ガイド面222aに対してステージ60側の端には、ステージ60に向うにつれて上方に向う退避面222bが連なっている。
【0147】
上挿入ガイド222のうち退避面222b部分に退避溝222bgが形成されている。退避溝222bgは、プレートガイド面216側に開口しつつ、副走査方向A2に沿って延びる細長い溝状に形成されている。後述するシャッタ244が当該プレートガイド面216に退避移動することができる。
【0148】
ガイド本体212のうち2つの辺213c間の面に、ステージ60の支持面64Fに向く開口232が形成されている。プレートガイド面216を滑り落ちるイメージングプレート10は、当該開口232を通ってステージ60の支持面64Fに達することができる。各図において、ガイド本体212の上方に開口が描かれている。当該開口は、説明のための開口であり、実際は、塞がれている。
【0149】
本実施形態では、ガイド本体212は、ガイド部215と一方の側壁部219とを含むガイド分割体214と、上挿入ガイド222と他方の側壁部221とを含むガイド分割体220との2分割構成とされている(図10参照)。ガイド本体212が、分割構造とされることによって、プレートガイド面216、上挿入ガイド面222a等を任意の形状に加工し易い。ガイド本体212を形成するための具体的な構成例は当該例に限られない。ガイド本体の全体が1つの部品によって構成されてもよいし、ガイド本体が任意の数で任意の境界で分割されてもよい。例えば、入口ガイド面217aを形成する部分と、湾曲面216aを形成する部分とが分割されていてもよい。
【0150】
ガイド分割体214、220の各側壁部219、221のうち辺213c側の面がガイドベース板201に面接触した状態で、ネジS等によってガイド分割体214、220がガイドベース板201に固定されている。ガイド分割体214、220がガイドベース板201に固定されることによって、ガイド分割体214、220が合体状態に保たれている。セット用ガイド200を一定位置に支持するための構成は上記例に限られない。後の変形例で説明するように、セット用ガイドが装置に対してスライド移動可能に嵌込固定されてもよい。
【0151】
ガイド本体212又はガイド200は、支持部材40から着脱可能に構成されていることが好ましい。この場合、投入されたイメージングプレート10が読取装置20内で詰ったとしても、ガイド本体212又はガイド200を取外すことで、利用者が詰ったイメージングプレート10に容易にアクセスすることができる。これにより、当該イメージングプレート10の詰りを容易に解消できる。例えば、ガイド投入口230を含む部分が筐体から取外し可能に構成されていてもよい。
【0152】
本願実施形態では、ガイドベース板201は、ガイド本体212から外方にはみ出ている。ガイドベース板201のうちガイド本体212から外方にはみ出る両側部分が、一対の支持ロッド48上に重ね合わされた状態で、セット用ガイド200が一対の支持ロッド48に着脱可能に取付けられている。セット用ガイド200が当該一対の支持ロッド48に取付けられた位置が、セット用ガイド200がイメージングプレート10をステージ60に向けて案内する案内位置である。本実施形態では、ネジSがガイドベース板201を貫通して一対の支持ロッド48のネジ孔に締結されている。ネジSを締付けることによって、セット用ガイド200が一対の支持ロッド48に取付けられる。ネジSを緩めて支持ロッド48から取外すことによって、セット用ガイド200が一対の支持ロッド48から取外される。
【0153】
セット用ガイド200を、支持ロッド48を含む支持部材40に着脱可能に取付ける構成は上記例に限られない。例えば、バネ等の弾性部材を利用した係止部材がセット用ガイド200に係止することによって、セット用ガイド200が支持部材40に着脱可能に取付けられてもよい。つまり、装置20の不可逆的な破損を伴うことなく、セット用ガイド200を所定の案内位置から取外し、かつ、元の案内位置に戻すことができれば、セット用ガイド200は案内位置から着脱可能であるといえる。
【0154】
また、セット用ガイド200の全体が着脱可能である必要は無い。セット用ガイド200の少なくとも一部が着脱可能であり、当該少なくとも一部の取外状態で、プレートガイド面16の少なくとも一部が外部(筐体外)に露出した状態となればよい。イメージングプレート10と接触するプレートガイド面216を含む部分が着脱可能であれば、清掃しやすいので、好ましい。
【0155】
セット用ガイド200は、投入口230を開閉可能に塞ぐシャッタ244を含む。シャッタ244は、ステージ60の移動に連動して動作するシャッタ機構240の一部である。
【0156】
即ち、シャッタ機構240は、揺動部材242を含む。揺動部材242は、揺動本体243と、シャッタ244とがL字状に連なる部材である。揺動本体243は、一方の側壁部221の外面に揺動可能に支持されている。例えば、揺動本体243は、ネジSによって側壁部221に対して揺動可能に支持される。揺動本体243の一端にシャッタ244が連なっている。一方の側壁部221に、退避溝222bgに貫通する貫通孔221hが形成されている(図10から図12参照)。貫通孔221hは、退避溝222bgからプレートガイド面216側に向う細長い孔に形成されている。シャッタ244は、貫通孔221hを貫通して、一対の側壁部219、221間に配置される。揺動本体243の揺動に応じて、シャッタ244は、プレートガイド面216の上端と上挿入ガイド222との間に位置する閉位置(図11において2点鎖線で示される)と、退避溝222bg内に位置する開位置(図11において実線で示される)との間で往復移動可能に支持される。
【0157】
揺動本体243の他端部は、側壁部221から辺213c側に延びている。揺動本体243の揺動に応じて、揺動本体243の他端部が辺213cから突出した突出位置と辺213c側に近づいた退避位置との間で移動可能に支持される。揺動本体243の他端部が突出位置に位置する状態でシャッタ244が閉位置に位置する。揺動本体243の他端部が退避位置に位置する状態でシャッタ244が開位置に位置する。
【0158】
シャッタ244が開位置から閉位置側に移動するように、揺動部材242が常時付勢されている。例えば、揺動部材242の揺動軸が、揺動本体243の重心よりも揺動本体243の他端寄りに設定されることによって、揺動部材242が上記方向に重力によって付勢されている。揺動部材242は、別途設けられたねじりコイルバネ等のばねによって上記方向に付勢されていてもよい。
【0159】
本実施形態では、揺動本体243の他端にローラ243qが回転可能に支持されている。このローラ243qがシャッタ用カム248に接触することで、揺動本体243の他端とシャッタ用カム248との摩擦力が低減されている。揺動本体243の他端がシャッタ用カム248に直接接触してもよい。
【0160】
揺動部材242は、ステージ60がセット位置P1に移動することで揺動する。ここでは、ステージ60がセット位置P1に位置する状態で、シャッタ244が開位置に移動し、ステージ60がセット位置P1から読取位置P2に移動する途中で(イメージングプレート10の読取開始までに)、シャッタ244が閉位置に移動する。
【0161】
すなわち、シャッタ機構240は、ステージ60と共に移動するシャッタ用カム248を備える(図6図9図11参照)。シャッタ用カム248は、例えば、板状部64によって支持された部材であってもよいし、可動支持体62によって支持された部材であってもよいし、板状部64と一体化された部分であってもよい。
【0162】
シャッタ用カム248は、板状部64の一側で、主走査方向A1に沿う長尺部分である。副走査方向A2において、シャッタ用カム248は、上記揺動部材242の他端と接触し得る位置に位置している。
【0163】
シャッタ用カム248は、主走査方向A1に沿って読取位置P2からセット位置P1に向うにつれてセット用ガイド200から遠ざかる方向に向う作動面248aと、主走査方向A1及び副走査方向A2の両方に沿うと共にセット用ガイド200側を向く開状態維持面248bとを有する。作動面248aは、セット位置P1寄り(下寄り)に位置している。開状態維持面248bは、当該作動面248aから読取位置P2側(上側)に向けて延在している。
【0164】
ステージ60がセット位置P1に位置する状態では、揺動部材242の他端のローラ243qがシャッタ用カム248の開状態維持面248bに乗上げた状態となっている。このため、揺動部材242の他端が退避位置に位置しており、シャッタ244は退避溝222bg内の開位置に位置している。
【0165】
この状態では、投入口230は開いており、イメージングプレート10が当該投入口230を通じてプレートガイド面216に挿入され得る。
【0166】
ステージ60がセット位置P1から読取位置P2に移動すると、シャッタ用カム248が読取位置P2側に移動する。作動面248aが揺動部材242の他端位置に達すると、揺動部材242に作用する付勢力によって、揺動部材242の他端は、開状態維持面248bから作動面248aに沿って、突出位置に移動する。これにより、シャッタ244が閉位置に移動する。ステージ60がさらに読取位置P2側に移動する際には、揺動部材242に常時作用する付勢力によって、シャッタ244が閉位置に位置する状態が保たれる。
【0167】
ステージ60がセット位置P1に戻ってくると、揺動部材242の他端のローラ243qが作動面248aから開状態維持面248b上に乗上げ退避位置に移動する。これにより、シャッタ244は退避溝222bg内の開位置に移動し、投入口230が開かれ、上記状態に戻る。
【0168】
本実施形態では、シャッタ244がステージ60の移動を利用して開閉される例が説明された。シャッタ244は、ステージ60を移動させるモータ53とは別の駆動部(例えば、モータ、ソレノイドアクチュエータ)によって駆動されてもよい。
【0169】
筐体30は、セット用ガイド200のうち一対の斜辺213dの間の面を、開口31を通じて露出させた状態で、当該セット用ガイド200及び支持部材40、ステージ60、読取ユニット90等を覆っている(図1参照)。このため、筐体30は、ステージ60と、励起光源92及び光検出器94とを含む読取ユニット90、セット用ガイド200のうち少なくともプレートガイド面216及び上下反転接触部218と、支持面64F(反対傾斜面)とを覆っている。
【0170】
<イメージングプレートを反転させつつステージに向けてガイドするための構成について>
以下に、イメージングプレート10を反転させつつステージ60に向けてガイドするための構成に着目した説明がなされる。ここで、イメージングプレート10を反転させるとは、イメージングプレート10が水平姿勢及び傾斜姿勢であるかに拘らず、イメージングプレート10のうち上向きとなる一方の面を他方の面に変更するように向きを変えることをいう。
【0171】
セット用ガイド200及びステージ60の少なくとも一方が反対傾斜面を含む。反対傾斜面は、プレートガイド面216に対して反対側に下向き傾斜すると共に、プレートガイド面216によって案内されたイメージングプレート10を受けてイメージングプレート10を斜め下方に案内する面である。
【0172】
本実施形態では、ステージ60が反対傾斜面を含む。より具体的には、ステージ60の支持面64Fが反対傾斜面である。つまり、プレートガイド面216は下に向うに連れてステージ60側に向い、支持面64Fは下に向うに連れてセット用ガイド200側に向っている。換言すれば、プレートガイド面216及び支持面64Fは、下方に向って互いに異なる側に傾斜している。このため、支持面64Fは、プレートガイド面216に対して反対側に下向き傾斜している。また、支持面64Fは、副走査方向A2に沿って見て、プレートガイド面216の各部の接線の下方延長上に広がっている。このため、支持面64Fは、重力に従い、プレートガイド面216によって下方に案内されたイメージングプレート10を下方で受けることができる領域に広がっている。このため、支持面64Fは、反対傾斜面の一例である。
【0173】
また、ステージ60及びセット用ガイド200の少なくとも一方が、支持面64F(反対傾斜面)によって案内されるイメージングプレート10に対してイメージングプレート10の表面側から接触してイメージングプレート10を支持面64F(反対傾斜面)と同じ傾斜姿勢に反転させる上下反転接触部218を含む。例えば、上下反転接触部218は、水平方向において、支持面64F(反対傾斜面)の最下端よりも支持面64F(反対傾斜面)の最上端寄りに位置していてもよい。この場合、プレートガイド面216上を滑り落ちたイメージングプレート10が支持面64F(反対傾斜面)に達すると、イメージングプレート10の下端がさらに支持面64F(反対傾斜面)上を滑り落ちていくことが考えられる。そして、イメージングプレート10の下端が水平方向において上下反転接触部218を超えて滑り落ちていくと、イメージングプレート10の傾斜状態が逆となる。これにより、イメージングプレート10が反転して、支持面64F(反対傾斜面)上に支持される。
【0174】
本実施形態では、ステージ60が、支持面64F(反対傾斜面)によって支持されるイメージングプレート10を支持面64F(反対傾斜面)の傾斜方向下側から受ける受面を含む。下側の位置決め面72CFが、イメージングプレート10を下側から受けるため、当該下側の位置決め面72CFが受面である。
【0175】
位置決め面72CF(受面)との関係では、上下反転接触部218は、位置決め面72CF(受面)がイメージングプレート10を受ける位置の真上延長上よりも支持面64F(反対傾斜面)近くに位置する部分である。図12において位置決め面72CF(受面)の真上延長線L1と、上下反転接触部218の真下延長線L2とが示される。水平方向におけるL1とL2との距離が、水平方向における位置決め面72CF(受面)に対する上下反転接触部218の位置差Dである。位置差Dが0を越えていれば、イメージングプレート10の傾斜を反対にすることができる。位置差Dが大きいほど、イメージングプレート10の反対側傾斜角度を大きくでき、イメージングプレート10が反転し易くなる。上下反転接触部218としての部分は、イメージングプレート10に接触し得る部分であればよく、大きく広がる面であってもよいし、線状部分であってもよい。
【0176】
なお、位置決め面72CFが重力方向に対して傾いている場合等においては、位置決め面72CFが支持面64F上のイメージングプレート10を受ける位置を基準とし、上下反転接触部218は、当該位置の真上延長上よりも支持面64F近くに位置していればよい。
【0177】
<案内動作について>
セット用ガイド200によるイメージングプレート10の案内動作について、主に図12を参照しつつ説明する。
【0178】
イメージングプレート10の長手方向を投入口230の延在方向に対して交差させた(好ましくは垂直)姿勢で、イメージングプレート10が投入口230に挿入される(Q1参照)。イメージングプレート10の挿入端は、入口ガイド面217aと上挿入ガイド面222aとによって、ガイド部215と上挿入ガイド222との間で最も狭まる投入口230部分に案内される。仮にイメージングプレート10にプロテクタが装着されたままの状態であると、プロテクタを含む厚みが、投入口230の幅Wを越えるので、イメージングプレート10は投入口230よりさらに奥に侵入し難い。
【0179】
イメージングプレート10が投入口230を越え、さらに奥に挿入される(Q2参照)。イメージングプレート10の過半が投入口230を越えてプレートガイド面216上に位置するようになると、手で押さなくても、重力によって、イメージングプレート10はプレートガイド面216の傾斜に従って滑り落ちる。やがて、イメージングプレート10の下端が支持面64F(反対傾斜面)に達するようになる(Q3参照)。イメージングプレート10の下端は、支持面64F(反対傾斜面)の傾斜に従って、さらに滑り落ちるように下方に移動する。
【0180】
イメージングプレート10のうち下端よりも上側で上下反転接触部218に接触する部分は、線L2上の位置に保たれ、水平方向において線L1側への移動を規制される(Q4参照)。このため、イメージングプレート10の下端が支持面64F(反対傾斜面)の傾斜に従って、線L1から線L2側に向って下方に移動すると、その前の状態よりも傾斜姿勢が反対になる。つまり、イメージングプレート10の下端が線L1を越える前は、イメージングプレート10は、プレートガイド面216と同方向に傾斜している。イメージングプレート10の下端が線L1を越えて線L2に近づくと、イメージングプレート10は支持面64F(反対傾斜面)と同方向に傾斜するようになる。すると、イメージングプレート10の下端に対して、イメージングプレート10の重心が線L1とは反対側の支持面64F(反対傾斜面)側に偏ることになる。これにより、イメージングプレート10の裏面が支持面64F(反対傾斜面)側に近づくように、イメージングプレート10がさらに傾く。これにより、ステージ60の支持面64F(反対傾斜面)は、イメージングプレート10の裏面10bに接触して当該イメージングプレート10を支持面64F(反対傾斜面)と同じ傾斜姿勢で保持することができる(Q5参照)。
【0181】
<読取動作について>
本読取装置20の読取動作例について説明する。
【0182】
初期状態においては、ステージ60はセット位置P1に位置している(図1図4図5参照)。この状態では、副走査方向A2(水平方向)において位置決め面72AF、72BF間が開いた状態となっている。また、主走査方向A1において位置決め面72CF、72DFが開いた状態となっている。さらに、突出片73Cbpが作動ローラ85に接触しないため、位置決め部72Cの位置決め面72CFは、イメージングプレート10を下から支える接触位置に位置している。
【0183】
また、揺動部材242の他端のローラ243qが開状態維持面248b上に乗上げているため、シャッタ244は退避溝222bg内の開位置に移動し、投入口230が開かれた状態となっている。
【0184】
この状態で、セット用ガイド200における投入口230にイメージングプレート10が挿入される(図12参照)。イメージングプレート10は、放射線像形成層11(イメージングプレート10の表面10a)を下向きにした姿勢で、投入口230に挿入される。一般的に、太陽光は、空から照射される。また、室内照明器具は、天井等の頭上から照射される。本読取装置20は、テーブル上等に設置されることが想定される。このため、本読取装置が設置される環境下における太陽光及び照明光の大部分は、読取装置20に対して上方から照射されることが想定される。イメージングプレート10の放射線像形成層11を下向きにすると、放射線像形成層11が太陽光及び照明光に不慮の曝露をされ難くなる。
【0185】
セット用ガイド200に投入されたイメージングプレート10は、セット用ガイド200内のプレートガイド面216及び支持面64F(反対傾斜面)の共同作用によって反転された状態で、ステージ60上に支持される。ステージ60の支持面64F(反対傾斜面)上では、イメージングプレート10の裏面10bが重力方向において下を向き、放射線像形成層11が重力方向において上を向く。このため、ステージ60は、主にイメージングプレート10の自重によって当該イメージングプレート10を支持することができる。
【0186】
読取装置20における読取のための指示が入力されると、制御部100(図3参照)によってステージ移動機構50の駆動によってステージ60がセット位置P1から読取位置P2に向けて移動する。
【0187】
移動途中で、位置決め部72Bが位置決め部72Aに対して接近し、位置決め部72Bと位置決め部72Aとがイメージングプレート10の両側縁部分を左右両側から挟込む状態となる。
【0188】
また、ステージ60がセット位置P1から読取位置P2に移動すると、位置決め部72Dが位置決め部72Cに対して接近する。これにより、一対の位置決め面72CF、72DFがイメージングプレート10の上下縁部分を上下から挟込む状態となる。
【0189】
これにより、ステージ60の支持面64F(反対傾斜面)上において、イメージングプレート10が主走査方向A1及び副走査方向A2の両方向において位置決め保持される。
【0190】
また、ステージ60がセット位置P1から読取位置P2に移動する途中で、揺動部材242の他端のローラ243qが開状態維持面248b上から作動面248aを経て降りる。これにより、シャッタ244は退避溝222bgから出て閉位置に移動し、投入口230が閉じられた状態となる。ステージ60がセット位置P1から読取位置P2に移動すると、投入口230が閉じられるので、誤って複数のイメージングプレート10が投入口230に挿入されることが抑制される。
【0191】
ステージ60が読取位置P2に移動することで、読取ユニット90によってイメージングプレート10の潜像が読取られる。
【0192】
読取ユニット90による読取り終了後、ステージ60はセット位置P1に戻る。その移動途中で、上記と逆の動作が行われ、ステージ60におけるイメージングプレート10の保持が解除される。また、シャッタ244が開位置に移動し、投入口230が開かれる。
【0193】
ステージ60がセット位置P1から排出位置P3に向けて移動すると、突出片73Cbpが作動ローラ85に接触し、位置決め部72Cの位置決め面72CFが接触位置から退避位置に移動する(図8参照)。位置決め面72CF上に支持されていたイメージングプレート10が、支持面64F(反対傾斜面)から位置決め面72CF上を通って滑り落ち、回収トレイ49内に回収される。位置決め面72CFの退避位置の姿勢や退避のさせ方の設計によっては、イメージングプレート10は、滑り落ちる過程で位置決め面72CF上を通らず(接触せず)回収トレイ49内に回収されてもよい。
【0194】
この後、ステージ60が排出位置P3からセット位置P1に戻る。すると、位置決め面72CFが接触位置に戻るように、位置決め部72Cが回転移動する。この状態で、上記したように、セット位置P1のステージ60にイメージングプレート10をセットすることができる。
【0195】
<効果等>
以上のように構成された放射線像の読取装置20によると、イメージングプレート10を読取装置20にセットする際に、イメージングプレート10の放射線像形成面が外光に曝され難くなる。
【0196】
すなわち、本読取装置20周りでは、太陽光及び天井照明光等、上方からの光の強度が最も強いことが想定される。本読取装置20によると、イメージングプレート10は、放射線像形成面である表面10aを下向けにした状態で、筐体30内のプレートガイド面216面上に載置され得るため、当該載置時に、イメージングプレート10の放射線像形成面が外光に曝され難い。イメージングプレート10は、プレートガイド面216よって斜め下方に案内され、プレートガイド面216とは反対側に下向き傾斜する支持面64F(反対傾斜面)に受止められ、さらに、斜め下方に案内される。イメージングプレート10が支持面64F(反対傾斜面)によって斜め下方に案内される際、上下反転接触部218がイメージングプレート10に表面10a側から接触して、イメージングプレート10を支持面64F(反対傾斜面)と同じ傾斜姿勢に反転させる。このため、イメージングプレート10の表裏が上下反転し、放射線像形成面を上向きにした姿勢で、イメージングプレート10がステージ60によって支持される。これにより、イメージングプレート10を放射線像の読取装置20にセットする際に、イメージングプレート10が外光に曝され難くなるとともに、イメージングプレート10の放射線像形成面を必ず上向きにした姿勢でステージ60上に支持できるので、円滑に読取りが開始される。
【0197】
また、ステージ60の支持面64Fが反対傾斜面であり、ステージ60がイメージングプレート10を下から受ける受面としての位置決め面72CFを含み、セット用ガイド200が上下反転接触部218を含む。このため、ステージ60の支持面64Fを、反対傾斜面として利用して、イメージングプレート10を反転させることができ、構成の簡易化が可能となる。
【0198】
また、上下反転接触部218がイメージングプレート10側に設けられるので、反転させたいイメージングプレート10に当接しながら確実に反転作用を及ぼすことができるとともに、ステージ60上のイメージングプレート10を読取る際に、上下反転接触部218が邪魔となり難い。
【0199】
また、ステージ60、励起光源92、光検出器94、プレートガイド面216、上下反転接触部218及び支持面64F(反対傾斜面)は、筐体30によって覆われている。このため、筐体30内で、イメージングプレート10の反転及びステージ60へのセットがなされる。このため、イメージングプレート10の放射線像形成面が外光に曝され難い。
【0200】
また、プレートガイド面216は、外向きに凸な湾曲面216aを含む。このため、イメージングプレート10がプレートガイド面216に面接触し難く、イメージングプレート10がプレートガイド面216上で留まり難い。これにより、プレートガイド面216は、イメージングプレート10をより確実にステージ60に向けて案内できる。
【0201】
また、上下反転接触部218は、プレートガイド面216に対してイメージングプレート10の案内方向下流側に連続している。このため、プレートガイド面216と上下反転接触部218との間で、イメージングプレート10が引っ掛り難く、イメージングプレート10がステージ60に向けて円滑に案内される。また、重力方向に一定距離滑り落ちてくるイメージングプレート10の落下の勢いを利用して、イメージングプレート10をステージ60に向けて円滑に案内できる。
【0202】
また、セット用ガイド200は、支持面64F(反対傾斜面)の傾斜方向において、下方に向うにつれて支持面64F(反対傾斜面)に近づく反対傾斜面用ガイド面217bを含む。このため、イメージングプレート10、特に、イメージングプレート10の下端部が、反対傾斜面用ガイド面217bによってより確実に支持面64F(反対傾斜面)に向けて案内される。
【0203】
また、反対傾斜面用ガイド面217bは、上下反転接触部218に対して位置決め面72CF(受面)側で連続している。このため、イメージングプレート10が上下反転接触部218と反対傾斜面用ガイド面217bとの間で引っ掛り難い。
【0204】
また、セット用ガイド200は、プレートガイド面216の上端に対してイメージングプレート10の厚みに応じた距離離れて位置する上挿入ガイド222を含む。このため、イメージングプレート10がプレートガイド面216のうち上端と上挿入ガイド222との間に挿入されることによって、イメージングプレート10の裏面10bをプレートガイド面216上に沿わせるようにイメージングプレート10をプレートガイド面216上にセットし易い。
【0205】
また、セット用ガイド200は、支持部材40に対して着脱可能に取付けられる。セット用ガイド200の少なくとも一部を取外すことで、当該セット用ガイド200の清掃、滅菌処理を容易に行える。また、イメージングプレート10の詰り等の不具合が生じても、セット用ガイド200を取外すことで、当該不具合を解消し易い。セット用ガイド200は、例えば、筐体30を取外した状態で、支持部材40から取外されてもよい。
【0206】
また、セット用ガイド200は、投入口230を開閉可能に閉じるシャッタ244を含む。このため、イメージングプレート10を挿入可能なタイミングを規制することができる。例えば、ステージ60がセット位置P1に位置する状態でシャッタ244が開き、セット位置P1から読取位置P2に移動する途中でシャッタ244が閉じる。これにより、イメージングプレート10を読取り中に、シャッタ244が追加投入されることが抑制される。また、シャッタ244が閉じている間は、投入口230から入り込む可能性のある微量な外光をシャットアウトできるので、イメージングプレート10の画像読取りにおいて外光の入射がより高度に管理された環境を実現できる。
【0207】
また、セット用ガイド200は、イメージングプレート10の長手方向を、プレートガイド面216におけるイメージングプレート10の移動方向に沿わせた姿勢で、イメージングプレート10を案内し、ステージ60は、イメージングプレート10の長手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢で支持する。このため、イメージングプレート10の短手方向を水平方向に沿わせる場合と比較して、上下反転接触部218によるイメージングプレート10を大きく傾けやすい。換言すれば、上下反転接触部218によってイメージングプレート10を傾けた場合に、イメージングプレート10の下端に対するイメージングプレート10の重心の位置ずれを大きくできる。このため、イメージングプレート10がより確実に反転し易い。
【0208】
また、セット用ガイド200は、セット位置P1に位置するステージ60に対向するため、セット用ガイド200を励起光源92及び光検出器94と干渉させずに配置し易い。
【0209】
{変形例}
上記実施形態では、プレートガイド面216は、幅方向(副走査方向A2)に沿って同じ高さの部分が連続する面であることを想定した説明がなされた。つまり、上記プレートガイド面216を、その幅方向(副走査方向A2)に沿いかつ当該プレートガイド面216に交差する断面で観察すると、プレートガイド面216は直線で表現される。
【0210】
図13に示す第1変形例に係るプレートガイド面416A又は図14に示す第2変形例に係るプレートガイド面416Bのように、プレートガイド面416A、416Bは、その幅方向において凹凸をなす面であってもよい。
【0211】
プレートガイド面416Aでは、複数の溝416Agが並列するように形成されている。各溝416Agは、プレートガイド面416Aによるイメージングプレート10の案内方向に沿って延びる溝である。溝416Agは、底が曲面をなし、入口も曲面をなしている。このため、プレートガイド面416Aの幅方向(副走査方向A2)に沿いかつ当該プレートガイド面416Aに交差する断面では、プレートガイド面416Aは、曲線の波(例えば、サイン曲線)で表現される。
【0212】
プレートガイド面416Bでは、複数の溝416Bgが並列するように形成されている。各溝416Bgは、プレートガイド面416Bによるイメージングプレート10の案内方向に沿って延びる溝である。溝416Bgは、底が角をなすV字溝である。隣合う溝416Bg間の壁は、頂部が角をなす三角突条に形成されている。このため、プレートガイド面416Bの幅方向(副走査方向A2)に沿いかつ当該プレートガイド面416Bに交差する断面では、プレートガイド面416Bは、三角波が連続する形状で表現される。
【0213】
これらのプレートガイド面416A、416Bによると、プレートガイド面416A、416Bとイメージングプレート10とが面接触し難くなるため、イメージングプレート10がプレートガイド面416A、416Bに張り付きにくい。このため、イメージングプレート10がプレートガイド面416A、416Bによって円滑に案内される。
【0214】
また、イメージングプレート10がステージ60に向けて滑り落ちる際に、イメージングプレート10が各溝416Ag、416Bgによる凹凸に引っ掛り難い。イメージングプレート10が横ずれしようとすると、イメージングプレート10が各溝416Ag、416Bgによる凹凸に引っ掛り得るため、イメージングプレート10の横ずれが抑制される。複数の溝416Ag、416Bgの凹凸間の落差は、イメージングプレート10の厚みより小さい設計であることが、当該凹凸にイメージングプレート10が詰まる可能性を低減するので望ましい。
【0215】
図15に示す第3変形例に係るセット用ガイド500Aのように、プレートガイド面216に対応するプレートガイド面516Aは、複数の平面516Af1、516Af2の組合せによって構成されてもよい。ここでは、平面516Af1が投入口230からステージ60に向って下向き傾斜しており、当該平面516Af1の下縁に平面516Af2が角をなして繋がっている。平面516Af2は、平面516Af1よりも大きく傾いている。
【0216】
平面516Af2の下縁に上下反転接触部218に対応する上下反転接触部518Aが位置している。
【0217】
上下反転接触部518Aの下側に反対傾斜面用ガイド面217bに対応する反対傾斜面用ガイド面517Abが連なっている。本変形例では、反対傾斜面用ガイド面517Abは平面であり、下方に向うに連れて徐々にステージ60の支持面64F(反対傾斜面)に向って近づく姿勢とされている。
【0218】
本変形例によっても、イメージングプレート10が平面516Af1、516Af2によってステージ60に向けて案内される。イメージングプレート10の下端が支持面64F(反対傾斜面)に接して下方に滑り落ちると、イメージングプレート10の中間部が上下反転接触部518Aに接触して、イメージングプレート10が反転する。そして、イメージングプレート10の裏面10bが支持面64F(反対傾斜面)に接した状態で、イメージングプレート10がステージ60上に支持される。
【0219】
プレートガイド面は、3つ以上の平面の組合せによって構成されてもよい。
【0220】
図16に示す第4変形例に係るセット用ガイド500Bのように、プレートガイド面216に対応するプレートガイド面516Bは、1つの平面であってもよい。ここでは、平面であるプレートガイド面516Bが投入口230からステージ60に向って下向き傾斜している。
【0221】
プレートガイド面516Bの下縁に上下反転接触部218に対応する上下反転接触部518Bbが位置している。
【0222】
上下反転接触部518Bbの下側に反対傾斜面用ガイド面217bに対応する反対傾斜面用ガイド面517Bbが連なっている。本変形例では、反対傾斜面用ガイド面517Bは平面であり、下方に向うに連れて徐々にステージ60の支持面64F(反対傾斜面)に向って近づく姿勢とされている。
【0223】
本変形例によっても、イメージングプレート10がプレートガイド面516Bによってステージ60に向けて案内される。イメージングプレート10の下端が支持面64F(反対傾斜面)に接して下方に滑り落ちると、イメージングプレート10の中間部が上下反転接触部518Bbに接触して、イメージングプレート10が反転する。そして、イメージングプレート10の裏面10bが支持面64F(反対傾斜面)に接した状態で、イメージングプレート10がステージ60上に支持される。
【0224】
図17に示す第5変形例に係るセット用ガイド500Cのように、プレートガイド面216に対応するプレートガイド面516Cは、1つの平面であってもよい。ここでは、平面であるプレートガイド面516Cが投入口230からステージ60に向って下向き傾斜している。
【0225】
本変形例では、プレートガイド面516Cは、板515の上向きの面である。プレートガイド面516Cの下縁、即ち、板515の下縁に、上下反転接触部218に対応する上下反転接触部518Cbが位置している。
【0226】
本変形例では、反対傾斜面用ガイド面は省略されている。
【0227】
本変形例でも、イメージングプレート10は、第4変形例と同様に、プレートガイド面516Cからステージ60に向けて案内され、反転して、ステージ60上に保持される。
【0228】
これらの変形例に示されるように、プレートガイド面516A、516B、516Cは、複数の平面516Af1、516Af2又は1つの平面516B、516Cであってもよい。この場合、曲面加工する場合と比較し、当該プレートガイド面516A、516B、516Cを容易に加工できる。
【0229】
プレートガイド面に案内方向に沿って溝が形成されている場合を考慮すると、イメージングプレートの案内方向に直交する水平方向に沿って見て、プレートガイド面が1つの直線又は複数の直線の組合せ形状を呈していれば、それらの加工を容易に行える。
【0230】
上下反転接触部518A、518Bb、518Cbが直線部分であったり、平面であったりしても、その加工を容易に行える。また、反対傾斜面用ガイド面517Ab、517Bが平面であれば、その加工を容易に行えると把握し得る。
【0231】
上記と同様に、イメージングプレートの案内方向に直交する水平方向に沿って見て、上下反転接触部が点又は直線形状を呈していたり、反対傾斜面用ガイド面が直線形状を呈していたりすれれば、それらの加工を容易に行えると把握し得る。
【0232】
なお、プレートガイド面は、下向き傾斜する面であればよい。プレートガイド面は、曲面だけ、平面だけ、曲面と平面との組合せ、平面と平面との組合せ等であってもよい。
【0233】
上記実施形態では、ステージ60の支持面64Fが反対傾斜面である例が説明された。反対傾斜面が支持面64Fであることは必須ではなく、また、セット用ガイドが反対傾斜面を有していてもよい。
【0234】
図18に示す第6変形例に係るセット用ガイド600は、下向き傾斜するプレートガイド面616を有する。プレートガイド面616から下向きに上下反転接触部618が延出している。
【0235】
上下反転接触部618に対して間隔をあけて対向ガイド面620が位置している。対向ガイド面620は上下反転接触部618に対して平行である。
【0236】
対向ガイド面620の下端に反対傾斜面630が連なっている。反対傾斜面630は、プレートガイド面616に対して反対側に下向き傾斜している。
【0237】
反対傾斜面630の延長上の下方にステージ60に対応するステージ660が位置する。ステージ660は水平方向に沿う支持面664Fを有している。ステージ660は、セット位置P1から水平方向に沿って移動して読取位置P2に向う。
【0238】
プレートガイド面616によって案内されたイメージングプレート10は、重力によって下方に落ちて反対傾斜面630に受けられる。イメージングプレート10は、反対傾斜面630によって斜め下方に案内され、上記ステージ660上に向う。
【0239】
イメージングプレート10が反対傾斜面630によって斜め下方に案内される際に、イメージングプレート10の下端が、上下反転接触部618の下方延長線L3上を越える。このため、仮にイメージングプレート10が、プレートガイド面616と傾き方向と同じ傾き方向で、反対傾斜面630上に落下したとしても、イメージングプレート10の下端よりも上側の部分が上下反転接触部618によって位置規制された状態で、イメージングプレート10の下端が当該上下反転接触部618の下方延長線L3を越え、これにより、イメージングプレート10の傾きが逆となるように反転される。イメージングプレート10は、反転された状態で、反対傾斜面630上からステージ660上に滑り落ちる。
【0240】
このように、セット用ガイド600が反対傾斜面630を有していても、イメージングプレート10を反転させてステージ660にセットすることができる。
【0241】
上記変形例において、平面状の上下反転接触部618が省略され、プレートガイド面616の下端に線状の上下反転接触部が位置していてもよい。この場合、対向ガイド面620が省略され、プレートガイド面616と反対傾斜面630との距離が近付けられ、プレートガイド面616によって案内されるイメージングプレート10が直接反対傾斜面630上に滑り落ちるようにしてもよい。
【0242】
本変形例のように、セット用ガイド600が反対傾斜面630と上下反転接触部618とを含むと、ステージ660に反対傾斜面、上下反転接触部を設けなくてもよい。これにより、ステージ660を傾斜させる必要がなくなり、ステージ660の設計等に対する制約を少なくできる。また、特許文献1のような従来の横型タイプの読取装置にも用いることができる。
【0243】
反対傾斜面がステージ側に設けられる場合、反対傾斜面は支持面664Fであってもよいし(実施形態の例参照)、当該支持面664Fとは別に存在していてもよい。この場合、ステージ60と共に移動する部材の面によって構成される反対傾斜面が、プレートガイド面から滑り落ちるイメージングプレート10を受止めることができ、かつ、イメージングプレート10を支持面664Fに向けて案内可能な位置に設けられればよい。
【0244】
図19に示す第7変形例に係るステージ760のように、当該ステージ760が上下反転接触部718を有していてもよい。
【0245】
本変形例では、プレートガイド面716は、支持面64F(反対傾斜面)から離れている。イメージングプレート10の下端がプレートガイド面716から支持面64F(反対傾斜面)上に達した状態で、イメージングプレート10は、プレートガイド面716から離れる。イメージングプレート10の下側において上下反転接触部が省略されている。このため、セット用ガイド700側において上下反転接触部が省略されている。
【0246】
本変形例では、ステージ760の支持面64F(反対傾斜面)の上方に、当該支持面64Fから離れ、かつ、副走査方向A2に沿って延びる上下反転接触部718が位置する。上下反転接触部718は、ステージ760に突設された支持柱719等によって、支持面64F(反対傾斜面)から離れた位置に支持される。上下反転接触部718は、受面である位置決め面72CFよりも上に位置する。
【0247】
この場合、イメージングプレート10の下端が支持面64F(反対傾斜面)上に達し、当該支持面64F(反対傾斜面)上を滑り落ちていく際に、イメージングプレート10のうち下端よりも上側の部分が上下反転接触部718に接して、反転される。イメージングプレート10は、反転した状態で、支持面64F(反対傾斜面)上をさらに滑り落ちて、位置決め面72CFに達し、ステージ760上に支持される。
【0248】
なお、読取ユニット90がイメージングプレート10を読取る際には、上下反転接触部718を避けてステージ760から離れた位置で読取ユニット90がイメージングプレート10を読取ってもよいし、画像処理の工程において読取られた上下反転接触部718のデータを演算処理(編集や消去)してもよいし、ステージ760が読取位置P2に移動する途中でカム機構又は別の駆動機構等によって上下反転接触部718を退避移動させる構成としてもよい。
【0249】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る放射線像の読取装置720について説明する。図20は読取装置720を示す部分斜視図である。図21は同読取装置720を示す部分側面図である。図20及び図21において、読取装置720のうちセット用ガイド800が組込まれた部分が示される。図22は本実施形態に係るセット用ガイド800を示す分解斜視図である。
【0250】
この読取装置720と第1実施形態に係る読取装置20との主な相違点は、セット用ガイド200に対応するセット用ガイド800に係る構成である。当該相違点に係るセット用ガイド800が中心に説明される。
【0251】
セット用ガイド800は、ガイド本体810と、ガイド支持部830と、蓋部850とを備える。
【0252】
ガイド支持部830が筐体30に対応する筐体880内において一定位置に支持されている。ガイド本体810は、プレートガイド面216に対応するプレートガイド面816を備える部分である。ガイド支持部830によって、ガイド本体810が着脱可能に支持される。ガイド本体810がガイド支持部830によって支持された状態で、ガイド本体810がセット位置P1に位置するステージ60に対向する位置に配置される。この状態で、ガイド本体810のプレートガイド面816が、外部から投入されるイメージングプレート10を反転させつつステージ60に向けて案内することができる。ガイド本体810がガイド支持部830から取外されると、プレートガイド面816が外部に露出することができる。
【0253】
蓋部850は、ガイド本体810のうち筐体880の外向き部分を外側から覆う。蓋部850によって、ガイド支持部830とガイド本体810との合せ目等が外側から隠され、かつ、外光が装置720内に進入し難くなる。蓋部850が省略されてもよい。蓋部850は、ガイド本体810と一体化されてもよい。
【0254】
セット用ガイド800の各部についてより具体的に説明する。
【0255】
ガイド支持部830は、一対の基部832と、一対の側壁部834と、中間連結部838とを備える。本実施形態では、ガイド支持部830は、幅方向において2分割された樹脂部品によって構成されている。ガイド支持部830の全体が樹脂等によって一体成形されていてもよい。
【0256】
一対の基部832のそれぞれは細長い部分であり、間隔をあけて平行に並んでいる。一対の基部832が筐体880内の一定位置に支持される。例えば、一対の基部832が、一対の支持ロッド48にネジ止等によって固定される(図9参照)。
【0257】
一対の側壁部834が一対の基部832に対して立設状態で支持される。一対の側壁部834間の空間は、セット位置P1に位置するステージ60の前方に広がっている。当該空間にガイド本体810が配置されることで、当該ガイド本体810がセット位置P1に位置するステージ60に対向することができる。
【0258】
本実施形態では、一対の側壁部834のうち上側部分の間隔は、下側部分の間隔よりも大きい。なお、一対の基部832は接着等により、筐体880内に支持される前に、予め一体的に接合されていてもよい。同様に、一対の側壁部834は接着等により、予め一体的に接合されていてもよい。同様に、一対の基部832の一方と一対の側壁部834の一方とは接着等により、予め一体的に接合されていてもよい。
【0259】
一対の側壁部834の内面に、スライド保持溝834gが形成されている。本実施形態では、スライド保持溝834gは、一対の側壁部834のうち上側部分において、後述する回収トレイ780に向って延びている。より具体的には、スライド保持溝834gは、主走査方向A1に沿って延びる有底溝である。スライド保持溝834gのうち回収トレイ780側の下側端は開口している。スライド保持溝834gのうち回収トレイ780とは反対側の上側端は開口しない閉鎖端とされている。スライド保持溝834gは、直線状に延びていてもよいし、途中で曲っていてもよい。例えば、スライド保持溝834gの途中がクランク状に曲っており、一対のスライド保持用突部814pがスライド保持溝834gの途中に引っ掛る構成とされてもよい。これにより、ガイド本体部810とガイド支持部830とが容易に分離し難くなる。
【0260】
一対の側壁部834の先端部の上寄り部分に、一対の蓋支持部835が設けられている。蓋支持部835の外向き面は、筐体880の外向き面よりも内側に位置している。蓋支持部835の外向き面は、筐体880の外向き面と平行な方向に沿っている。
【0261】
蓋支持部835に蓋部850の取付突部854が嵌る凹部835aが形成されている。
【0262】
一対の蓋支持部835の下方は、筐体880の外向きに開放される空間である。この空間に、蓋部850の爪部856が配置される。
【0263】
中間連結部838は、一対の側壁部834を結ぶ方向に延びる細長い部分である。中間連結部838は、上挿入ガイド面222aと同様に、プレートガイド面816のうち上側の端部に対してイメージングプレート10の厚みに応じた距離離れて位置する面を有する。プレートガイド面816のうち上側の端縁と中間連結部838とによって、挿入口839が形成される。
【0264】
なお、ガイド支持部830は筐体880内において一定位置に支持されればよく、その支持のための構成は上記例に限られない。例えば、ガイド支持部830が筐体880に直接固定されていてもよい。
【0265】
図23はガイド本体810をプレートガイド面816側から見た斜視図である。図20から図23に示すように、ガイド本体810は、プレートガイド面16に対応するプレートガイド面816を有する部材である。ガイド本体810は、例えば、樹脂等によって形成される。
【0266】
より具体的は、ガイド本体810は、ベース板部811と、中間基部812と、ガイド面形成部814とを備える。
【0267】
ガイド面形成部814は、上記一対の側壁部834のうち幅狭な上寄り部分間に配置可能な大きさに設定されている。中間基部812は、上記一対の側壁部834のうち幅広な下寄り部分間に配置可能な大きさに設定されている。中間基部812の上側にガイド面形成部814が位置している。
【0268】
そして、ガイド面形成部814及び中間基部812が、一対の側壁部834間の空間に配置される。この状態で、一対の側壁部834の内面がガイド面形成部814及び中間基部812の外向き側面に接触して、ガイド本体810が幅方向(副走査方向A2)に位置決めされる。
【0269】
また、中間基部812のうちガイド面形成部814より外方に突出する両側突出部分815が、一対の側壁部834の上下方向中間に位置する下向き段部に接触し、ガイド本体810の上方向への位置規制がなされる。
【0270】
ガイド面形成部814のうち上向き部分からセット位置P1におけるステージ60に対向する部分にわたってプレートガイド面816が形成されている。プレートガイド面816は、第1実施形態におけるプレートガイド面16と同様構成である。
【0271】
ガイド面形成部814の両側面に、主走査方向A1に沿って延びる一対のスライド保持用突部814pが形成されている。一対のスライド保持用突部814pが、主走査方向A1に沿って下側からスライド保持溝834gに嵌め込まれる。つまり、ガイド本体810は、ガイド支持部830に対して下側からセットされる。
【0272】
ガイド本体810がガイド支持部830にセットされた状態で、一対のスライド保持用突部814pがスライド保持溝834gに嵌め込まれているため、ステージ60の支持面64Fに直交する方向(主走査方向A1及び副走査方向A2に直交する方向)において、ガイド本体810が一定位置に位置決めされる。
【0273】
ガイド面形成部814のうちプレートガイド面816とは反対側は開口しているが、これは必須ではない。
【0274】
中間基部812の一対の両側突出部分815に、一対の蓋保持用突部815pが突出している。蓋保持用突部815pは、両側突出部分815のうち蓋部850寄りの上端から上方に向って突出している。蓋保持用突部815pは、蓋支持部835の下縁に対して間隔をあけた位置に配置される。そして、蓋部850の爪部856が、蓋支持部835の下縁と蓋保持用突部815pとの間に入り込み、蓋保持用突部815pに引っ掛ることができる。
【0275】
ベース板部811は、中間基部812の下縁から外方に向って突出する板状部分である。ベース板部811が一対の側壁部834の下面に接触することで、ガイド支持部830に対するガイド本体810の上方位置がより確実に規制される。また、回収トレイ780が筐体880にセットされた状態で、回収トレイ780の上面がベース板部811の下面に接触する。これにより、ガイド本体810の下方への脱落が抑制される。ベース板部811は1つの部品であってもよいし、複数部品が組合わされた部品であってもよい。
【0276】
また、本実施形態では、プレートガイド面816にスリット816Sが形成されている。スリット816Sは、プレートガイド面816によるイメージングプレート10の案内経路の途中に位置している。本実施形態では、スリット816Sは、プレートガイド面816のうち入口近くに位置している。スリット816Sは、プレートガイド面816の表面から裏面に向って貫通するスリットである。スリット816Sは、プレートガイド面816によるイメージングプレート10の案内方向Fに対して直交している。
【0277】
スリット816Sは、プレートガイド面816側に開口し反対側に開口しない有底溝形状であってもよい。スリット816Sは、前記案内方向Fに沿っていてもよいし、前記案内方向Fに対して斜めであってもよい。
【0278】
プレートガイド面816の途中にスリット816Sが存在することによって、プレートガイド面816の入口部分に液体が浸入したとしても、当該液体はスリット816S内に入る。このため、イメージングプレート10の案内方向に沿った液体の流れが抑制され、液体はプレートガイド面816を伝って読取装置720内に進入し難い。スリット816Sがプレートガイド面816の表面から裏面に向って貫通していれば、スリット816S上の液体はスリット816Sを通ってプレートガイド面816から離れた箇所に案内される。このため、液体が読取装置720内により進入し難い。後述のように、ガイド本体810を取外し、プレートガイド面816を滅菌、清掃する場合にも、スリット816Sがプレートガイド面816の表面から裏面に向って貫通していれば、液体等がより残留しにくいので好ましい。
【0279】
図24はガイド支持部830から蓋部850及び回収トレイ780が取外された状態を示す斜視図である。図20から図24に示すように、蓋部850は、蓋本体852と、取付突部854と、爪部856とを備える。
【0280】
蓋本体852は、板状に形成されている。筐体880にガイド本体810及びガイド支持部830を露出させる開口882hが形成されている。蓋本体852は、当該開口882hを塞ぐ大きさの板状に形成されている。
【0281】
蓋本体852は、蓋側挿入口853が形成されている。蓋側挿入口853は、イメージングプレート10を挿入可能なスリット状に形成されている。蓋本体852が上記開口882h内に配置された状態で、蓋側挿入口853が挿入口839に対向する位置に配置される。
【0282】
蓋本体852のうち筐体880の内側を向く面に、取付突部854と爪部856とが突設される。
【0283】
取付突部854は、凹部835aに対向する位置に形成されている。取付突部854は、凹部835aに挿入可能な突形状、ここでは、円柱状に形成されている。取付突部854の先端部に環状溝が形成され、当該環状溝にOリング等の環状弾性部材854aが装着されている。取付突部854が上記凹部835aに嵌め込まれる。この状態で、環状弾性部材854aが凹部835aに筐体880の内側から引っ掛り、凹部835aからの取付突部854の抜けを抑制する。環状弾性部材854aを弾性変形させる程度の大きい力を加えれば、取付突部854を凹部835aから抜くことができる。
【0284】
爪部856は、蓋支持部835と蓋保持用突部815pとの間に対向する位置に形成されている。爪部856は、蓋本体852から突出する方向に延びる部分と当該部分の先端部から下側に向う部分とを含むフック状に形成されている。この爪部856が蓋支持部835の下縁と蓋保持用突部815pとの間に挿入されて、蓋保持用突部815pに上方から引っ掛ることができる。
【0285】
本実施形態では、蓋本体852にガイド突部857が突設されており、蓋本体852に装着時に、当該ガイド突部857がガイド支持部830に形成されたガイド凹部836aにガイド挿入される。
【0286】
回収トレイ780は、上記セット用ガイド800及びセット位置P1のステージ60の下方に位置する。より具体的には、筐体880のうちセット用ガイド800及びセット位置P1のステージ60の下方に、回収トレイ780を収容可能な空間882(図20図21参照)が形成される。空間882には、回収トレイ780の一部を嵌込可能なトレイセット部883が配置される。
【0287】
回収トレイ780は、トレイ本体782と、セット突部786とを含む。
【0288】
トレイ本体782は、筐体880の前方、即ち、蓋側挿入口853と同じ側に開口する方形トレイ状に形成されている。トレイ本体782のうちの上壁部783の上面は、上記ベース板部811に沿って延びる平面に形成されている。当該上壁部783のうち筐体880の内側部分は、セット位置P1のステージ60の下方に位置している。上壁部783のうちセット位置P1のステージ60の下方延長上にスリット状のイメージングプレート通過口783hが形成されている。
【0289】
トレイ本体782内の最下面784aは水平方向に沿っており、トレイ本体782内の奥側面は、イメージングプレート通過口783hから斜め下方向に延びる傾斜面784bである。イメージングプレート通過口783hを通過したイメージングプレート10は、傾斜面784bを滑って最下面784a上に受止められる。最下面784a上には、ゴム等、トレイ本体782よりも柔軟なシートが敷設されてもよい。この場合、イメージングプレート10の落下衝撃をシートによって受止めることができる。また、シートが滑り難いゴム等のシートであれば、イメージングプレート10がトレイ本体782内から滑り出難い。
【0290】
傾斜面784bに水平方向に延びる凹溝784bg(図20参照)が形成されている。利用者は、指先を凹溝784bg内に差込むことで、傾斜面784bにもたれかかるように支持されるイメージングプレート10を容易に取出すことができる。
【0291】
セット突部786は、トレイ本体782から筐体880内に向けて延びる形状に形成されている。回収トレイ780が筐体880の上記空間882内に配置された状態で、当該セット突部786が上記トレイセット部883に形成されたセット凹部に嵌り込む。これにより、回収トレイ780が空間882内の一定位置に保持される。
【0292】
本実施形態において、セット用ガイド800の少なくとも一部が着脱可能であり、セット用ガイド800の当該少なくとも一部が取外された状態で、プレートガイド面816の少なくとも一部が露出する状態となる。
【0293】
本実施形態では、読取装置720の使用状態では、ガイド本体810は、一対の側壁部834間に位置する状態で、ガイド支持部830にセットされている。この状態で、一対のスライド保持用突部814pがスライド保持溝834gに嵌り込んでいる。
【0294】
また、取付突部854が凹部835aに挿入されると共に、爪部856が蓋保持用突部815pに引っ掛った状態で、蓋部850がガイド支持部830に装着されている。
【0295】
さらに、回収トレイ780がガイド本体810の下方の空間882にセットされている。この状態で、回収トレイ780の上壁部783の上面がガイド本体810のベース板部811の下面の少なくとも一部に接触している。このため、ガイド本体810の下方への抜けが抑制されている。
【0296】
上記状態では、プレートガイド面816が、セット位置P1に位置するステージ60に対向する位置に配置される。このため、イメージングプレート10を、蓋側挿入口853及び挿入口839に挿入すると、当該イメージングプレート10はプレートガイド面816によってステージ60に向けて案内される。この際、第1実施形態で説明したように、イメージングプレート10が反転される。これにより、ステージ60にイメージングプレート10がセットされる。
【0297】
イメージングプレート10の読取り終了後、第1実施形態で説明したように、下側の位置決め部72Cが退避位置に移動する。すると、ステージ60上のイメージングプレート10が滑り落ちる。イメージングプレート10は、イメージングプレート通過口783hを通って、回収トレイ780内に向う。回収トレイ780において、イメージングプレート10は、傾斜面784b上を滑って最下面784aに達する。この状態で、イメージングプレート10は、最下面784aによって下から支えられ、かつ、傾斜面784bにもたれかかった状態となる。
【0298】
例えば、プレートガイド面816を滅菌、清掃したい場合、或いは、プレートガイド面816上でイメージングプレート10が詰った場合には、次のようにしてプレートガイド面816を外部に露出させることができる。
【0299】
まず、回収トレイ780を筐体880外に引抜く(図24参照)。次に、蓋部850を筐体880から外す。この際、蓋部850の上側の取付突部854を凹部835aから抜く方向に移動させた後、蓋部850を上方に移動させると、爪部856と蓋保持用突部815pとの引っ掛りを解除することができる。回収トレイ780と蓋部850との取外しはいずれが先になされてもよい。
【0300】
回収トレイ780が取外されることで、ガイド本体810は、空間882内に向けて下方に移動可能な状態となる。また、蓋部850が取外されることで、利用者は、ガイド本体810の前方から当該ガイド本体810に触れることができるようになる。
【0301】
利用者は、ガイド本体810の前部に触れて当該ガイド本体810を下方に押下げることができる。すると、スライド保持用突部814pがスライド保持溝834g内を移動しつつ、ガイド本体810が空間882内向って下方に移動する。スライド保持用突部814pがスライド保持溝834gを抜出ると、ガイド本体810を筐体880から前方に取外すことができるようになる。
【0302】
ガイド本体810が筐体880から取外されると、プレートガイド面816が外部に露出できるようになる。なお、プレートガイド面816の少なくとも一部が外部に露出するとは、利用者の指が当該プレートガイド面816に触れることができるようになること把握されてもよい。これにより、プレートガイド面816を露出させることでき、または、プレートガイド面816上に広がる空間に外部からアクセスできるようになり、詰ったイメージングプレート10を除去することができる。
【0303】
上記と逆にすることで、ガイド本体810、蓋部850及び回収トレイ780を筐体880にセットされる。
【0304】
本実施形態によると、プレートガイド面816によるイメージングプレート10のガイド動作によって、第1実施形態と同様に、イメージングプレート10を放射線像の読取装置720にセットする際に、イメージングプレート10の放射線像形成面が外光に曝され難くすることができる。
【0305】
また、本実施形態によると、プレートガイド面816の少なくとも一部を外部に露出させるように、セット用ガイド800の少なくとも一部が着脱可能とされている。このため、イメージングプレート10の詰り等の不具合が生じても、セット用ガイド800の少なくとも一部、ここでは、ガイド本体810を取外すことで、当該不具合を解消し易い。また、プレートガイド面816等の清掃、滅菌処理を容易に行える。
【0306】
特に、ガイド本体810の着脱は、回収トレイ780の移動による当該回収トレイ780の着脱、及び、蓋部850の移動による当該蓋部850の着脱によって行われる。このため、工具等を利用せずに、ガイド本体810を容易に着脱できる。
【0307】
なお、セット用ガイド800の少なくとも一部を着脱可能に支持する構成は上記例に限られない。ガイド本体にバネ等の弾性部材を利用した係止部材が設けられ、当該係止部材がガイド支持部に着脱可能に係止する構成であってもよい。また、ガイド本体がねじ等によって着脱可能にガイド支持部に取付けられる構成であってもよい。また、セット用ガイドの全体が筐体に対して着脱可能であってもよい。つまり、装置720の不可逆的な破損を伴うことなく、セット用ガイドの少なくとも一部を所定の案内位置から取外し、かつ、元の案内位置に戻すことができれば、セット用ガイドの少なくとも一部は着脱可能であるといえる。
【0308】
また、プレートガイド面816の途中にスリット816Sが形成されている。当該スリット816Sによって読取装置720内への液体の浸入が抑制される。例えば、本発明の放射線像の読取装置は、病院やクリニック等医療機関の院内で使用される他、在宅診療の際に個人宅や施設等の訪問場所に持参し使用することも想定される。その際、飲料又は生活用水等の液体が読取装置720にかかってしまい、当該液体が蓋側挿入口853、挿入口839を通ってプレートガイド面816に達する可能性がある(もちろん、院内でも、飲料や清掃用の液体など、前述のような可能性は想定され得る)。当該液体は、スリット816S内に入るため、液体がプレートガイド面816を伝って読取装置720の奥深くに浸入し難い。
【0309】
プレートガイド面には複数のスリットが形成されてもよい。液体流込抑制凹部が上記スリット816Sであることは必須ではない。液体流込抑制凹部は、プレートガイド面の表面から奥側に貫通する孔であってもよいし、液体を一時的に貯める凹みであってもよい。
【0310】
図25に示す変形例のように、液体流込抑制凹部は、プレートガイド面816に沿って形成されたスリット816Saであってもよい。この場合、プレートガイド面816には、プレートガイド面816の幅方向に沿って並ぶ複数本のスリット816Saを有していてもよい。
【0311】
図26に示す変形例のように、液体流込抑制凹部は、プレートガイド面816に形成された複数の孔816Sbであってもよい。
【0312】
いずれにせよ、プレートガイド面816に、イメージングプレート10のガイドを妨げない程度で凹みが形成されていれば、液体がイメージングプレート10表面を流れていくことが阻害され、筐体880内に液体が浸入し難くなる。
【0313】
なお、プレートガイド面816にスリット816S等の液体流込抑制凹部が形成されることは必須ではない。
【0314】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0315】
{付記}
本開示は、下記の各態様を開示する。
【0316】
第1の態様は、イメージングプレートの表面から放射線像を読取る放射線像の読取装置であって、前記イメージングプレートを裏面側から支持するステージと、前記ステージに支持された前記イメージングプレートに励起光を照射する励起光源と、前記励起光による前記イメージングプレートからの発光光を検出する光検出器と、下向き傾斜し、前記イメージングプレートを斜め下方に案内するプレートガイド面を含み、前記イメージングプレートを前記ステージに向けて案内するセット用ガイドと、を備え、前記セット用ガイド及び前記ステージの少なくとも一方が反対傾斜面を含み、前記反対傾斜面は、前記プレートガイド面に対して反対側に下向き傾斜すると共に前記プレートガイド面によって案内された前記イメージングプレートを受けて前記イメージングプレートを斜め下方に案内する面であり、さらに、前記ステージ及び前記セット用ガイドの少なくとも一方が、前記反対傾斜面によって案内される前記イメージングプレートに対して前記イメージングプレートの表面側から接触して前記イメージングプレートを前記反対傾斜面と同じ傾斜姿勢に反転させる上下反転接触部を含む、放射線像の読取装置である。
【0317】
読取装置周りでは、太陽光及び天井照明光等、上方からの光の強度が最も強いことが想定される。本読取装置によると、イメージングプレートは、放射線像形成面である表面を下向けにした状態で、筐体内のプレートガイド面上に載置され得るため、当該載置時に、イメージングプレートの放射線像形成面が外光に曝され難い。イメージングプレートは、プレートガイド面よって斜め下方に案内され、プレートガイド面とは反対側に下向き傾斜する反対傾斜面に受止められ、さらに、斜め下方に案内される。イメージングプレートが反対傾斜面によって斜め下方に案内される際、上下反転接触部がイメージングプレートに表面側から接触して、イメージングプレートを反対傾斜面と同じ傾斜姿勢に反転させる。このため、イメージングプレートは、表裏が上下反転し、放射線像形成面を上向きにした姿勢で、ステージによって支持される。これにより、イメージングプレートを放射線像の読取装置にセットする際に、イメージングプレートが外光に曝され難くなるとともに、イメージングプレートの放射線像形成面を必ず上向きにした姿勢でステージ上に支持できるので、円滑に読取りが開始される。
【0318】
第2の態様は、第1の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記ステージが、前記反対傾斜面として、水平方向に対して傾斜し、前記イメージングプレートを裏面側から支持する支持面を含み、前記ステージが、前記支持面によって支持される前記イメージングプレートを前記支持面の傾斜方向下側から受ける受面をさらに含み、前記プレートガイド面が、前記支持面に向って徐々に下方に向い、前記イメージングプレートを前記支持面に向けて案内し、前記セット用ガイドが、前記上下反転接触部を含み、前記上下反転接触部は、前記受面が前記イメージングプレートを受ける位置の真上延長上よりも前記支持面近くに位置する部分である、放射線像の読取装置である。
【0319】
ステージの支持面を、反対傾斜面として利用して、イメージングプレートを反転させることができるので、構成の簡易化が可能となる。
【0320】
第3の態様は、第1の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドが、前記反対傾斜面と前記上下反転接触部とを含むものである。
【0321】
この場合、ステージの支持面を傾斜させなくてもよい。
【0322】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る読取装置であって、前記ステージと、前記励起光源と、前記光検出器と、前記セット用ガイドのうち少なくともプレートガイド面及び前記上下反転接触部と、前記反対傾斜面とを覆う筐体をさらに備える、放射線像の読取装置である。
【0323】
この場合、筐体内で、イメージングプレートの反転及びステージへのセットがなされる。このため、イメージングプレートの放射線像形成面が外光に曝され難い。
【0324】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記プレートガイド面は、外向きに凸な湾曲面である部分を含むものである。
【0325】
このように、プレートガイド面が、外向きに凸な湾曲面である部分を含めば、イメージングプレートがプレートガイド面に面接触し難く、プレートガイド面上で留まり難い。
【0326】
第6の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記プレートガイド面は、前記イメージングプレートの案内方向に直交する水平方向に沿って見て1つの直線又は複数の直線の組合せ形状を呈するものである。
【0327】
これにより、プレートガイド面の加工が容易となる。
【0328】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記上下反転接触部は、前記プレートガイド面に対して前記イメージングプレートの案内方向下流側に連続しているものである。
【0329】
この場合、プレートガイド面と上下反転接触部との間で、イメージングプレートが引っ掛り難い。
【0330】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドは、前記反対傾斜面の傾斜方向において、下方に向うにつれて徐々に前記反対傾斜面に近づく反対傾斜面用ガイド面を含むものである。
【0331】
この場合、イメージングプレートが、反対傾斜面用ガイド面によって、反対傾斜面に向けてより確実に案内される。
【0332】
第9の態様は、第8の態様に係る放射線像の読取装置であって、前記反対傾斜面用ガイド面は、前記上下反転接触部に対して下側に連続しているものである。
【0333】
この場合、イメージングプレートが、上下反転接触部と反対傾斜面用ガイド面との間で引っ掛り難い。
【0334】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面のうち上側の端部に対して前記イメージングプレートの厚みに応じた距離離れて位置する上挿入ガイドを含むものである。
【0335】
この場合、イメージングプレートがプレートガイド面のうち上側の端部と上挿入ガイドとの間に挿入されることによって、イメージングプレートの裏面をプレートガイド面上に沿わせるようにイメージングプレートをプレートガイド面上にセットし易い。
【0336】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面による前記イメージングプレートの案内経路の途中に位置し、前記イメージングプレートの案内方向に沿った液体の流れを抑制する液体流込抑制凹部を有するものである。
【0337】
これにより、プレートガイド面上に液体が浸入しても、液体流込抑制凹部によって、当該液体が読取装置内部へ流込むことが抑制される。
【0338】
第12の態様は、第1から第11のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、取外し状態で前記プレートガイド面の少なくとも一部が外部に露出する状態となるように、前記セット用ガイドの少なくとも一部が着脱可能に支持されている。
【0339】
これにより、清掃、滅菌処理を容易に行える。また、イメージングプレートの詰り等の不具合が生じても、セット用ガイドの少なくとも一部を取外すことで、当該不具合を解消し易い。
【0340】
第13の態様は、第1から第12のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドは、前記プレートガイド面の上側端に前記イメージングプレートを投入するための投入口と、前記投入口を開閉可能に塞ぐシャッタを含む。
【0341】
これにより、イメージングプレートを挿入可能なタイミングを規制することができる。また、複数のイメージングプレートが投入口に投入されることで発生するプレート詰り等の放射線像の読取装置の不具合を防止することができる。
【0342】
第14の態様は、第1から第13のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記セット用ガイドは、前記イメージングプレートの長手方向を、前記プレートガイド面におけるイメージングプレートの移動方向に沿わせた姿勢で、前記イメージングプレートを案内し、前記ステージは、前記イメージングプレートの長手方向を水平方向に対して傾斜させた姿勢で支持するものである。
【0343】
この場合、上下反転接触部によって、イメージングプレートを大きく傾けることができる。これにより、イメージングプレートを上下反転させ易い。
【0344】
第15の態様は、第1から第14のいずれか1つの態様に係る放射線像の読取装置であって、前記ステージを、前記ステージに対して前記イメージングプレートがセットされるセット位置と前記励起光源からの励起光に応じて前記光検出器が前記放射線像を読取る読取位置との間で移動させるステージ移動機構をさらに備え、前記セット用ガイドは、前記セット位置に位置する前記ステージに対向する位置に設けられるものである。
【0345】
これにより、セット用ガイドを、励起光源及び光検出器と干渉させずに配置し易い。
【0346】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0347】
10 イメージングプレート
10a 表面
10b 裏面
20、720 放射線像の読取装置
30 筐体
31 開口
50 ステージ移動機構
60 ステージ
61 ステージ本体
64F 支持面(反対傾斜面)
72C 位置決め部
72CF 位置決め面(受面)
90 読取ユニット
92 励起光源
94 光検出器
200、500A、500B、500C、600、700、800 セット用ガイド
204 開口
216、416A、416B、516A、516B、516C、616、716、816 プレートガイド面
216a 湾曲面
217a 入口ガイド面
217b 反対傾斜面用ガイド面
218、518A、518Bb、518Cb、618、718 上下反転接触部
230 投入口
240 シャッタ機構
244 シャッタ
248 シャッタ用カム
516Af1、516Af2、516B、516C 平面
517Ab、517B 反対傾斜面用ガイド面
630 反対傾斜面
660、760 ステージ
664F 支持面
810 ガイド本体
816S、816Sa スリット
816Sb 孔
P1 セット位置
P2 読取位置
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