(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135885
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】制御装置、通信制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/30 20090101AFI20240927BHJP
H04W 36/08 20090101ALI20240927BHJP
【FI】
H04W36/30
H04W36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046781
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小野田 晃久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD36
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067HH22
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】環境に応じて安定した無線通信を実現すること。
【解決手段】本発明の一実施形態における制御装置は、第1無線中継装置3aと接続されている通信端末2から送信される第1信号を取得し、通信端末から第1無線中継装置3aとは異なる第2無線中継装置3bに送信される第2信号を取得し、第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、第2信号の信号強度との関係に基づいて、第1閾値を第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、第1信号の信号強度と第2閾値との関係に基づいて、通信端末2に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信する制御部31と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、
前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、
前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、
前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信する制御部と、を有する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2信号の信号強度が前記第1閾値に関連付けられた値よりも高いとき、前記第1閾値を前記第1閾値よりも高い第2閾値に変更する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2信号の信号強度は、累積平均値を含み、
前記制御部は、
前記第1閾値と、前記累積平均値との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第2閾値に変更する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
所定時間内の前記通信端末からの前記第2無線中継装置に対する接続要求回数が所定の条件を満たすとき、
前記制御部は、前記第1情報を送信することを停止する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1信号を取得することは、第1無線中継装置と前記通信端末との接続後、所定の時間経過後に行われる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続が開始されてから所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記通信端末と前記第2無線中継装置との接続から、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続に切り替わったとき、所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1信号の信号強度は、移動平均値および微分値の少なくともいずれかを含み、
前記第1信号の信号強度の変化に基づいて、前記第1閾値を変更可能に設定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
日時情報を取得し、
前記日時情報に基づいて、前記第1閾値を設定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
コンピュータが、
第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、
前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、
前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、
前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信することを含む、
通信制御方法。
【請求項11】
前記第2信号の信号強度が前記第1閾値に関連付けられた値よりも高いとき、前記第1閾値を前記第1閾値よりも高い第2閾値に変更する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項12】
前記第2信号の信号強度は、累積平均値を含み、
前記第1閾値と、前記累積平均値との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第2閾値に変更する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項13】
所定時間内の前記通信端末からの前記第2無線中継装置に対する接続要求回数が所定の条件を満たすとき、
前記第1情報を送信することを停止する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項14】
前記第1信号を取得することは、第1無線中継装置と前記通信端末との接続後、所定の時間経過後に行われる、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項15】
前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続が開始されてから所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項16】
前記通信端末と前記第2無線中継装置との接続から、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続に切り替わったとき、所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項17】
前記第1信号の信号強度は、移動平均値および微分値の少なくともいずれかを含み、
前記第1信号の信号強度の変化に基づいて、前記第1閾値を変更可能に設定する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項18】
日時情報を取得し、
前記日時情報に基づいて、前記第1閾値を設定する、
請求項10に記載の通信制御方法。
【請求項19】
コンピュータに、
第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、
前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、
前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、
前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信することを実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、通信制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のアクセスポイントがある場合に、安定した通信を実現するために、クライアントが、一つのアクセスポイントから他のアクセスポイントへ接続を切り替える手法としてローミング技術が知られている。ローミングは、主に無線通信端末の移動により発生する。ローミング処理において、クライアントである通信端末は、接続されていたアクセスポイントとの接続を一旦切断し、新たなアクセスポイントに再接続する必要がある。例えば、クライアントが移動する場合、ローミングするタイミングが遅いと、接続されていたアクセスポイントに接続され続けるため、通信が不安定になる可能性がある。そのため、文献1には受信信号強度(RSSI)の閾値を設けて接続を切り替える手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ローミングを実施するタイミングはクライアントが制御し、管理者の思い通りにならないことがある。このため、ローミングするタイミングが遅い場合には、遠いアクセスポイントに接続され続けることとなり、通信が不安定となる問題がある。しかしながら、各端末に対して最適な閾値をあらかじめ設定することは難しい。
【0005】
本発明の目的の一つは、環境に応じて安定した無線通信を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信する制御部と、を有する、制御装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一実施形態によれば、コンピュータが、第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信することを含む、通信制御方法提供される。
【0008】
また、本発明の一実施形態によれば、コンピュータに、第1無線中継装置と接続されている通信端末から送信される第1信号を取得し、前記通信端末から前記第1無線中継装置とは異なる第2無線中継装置に送信される第2信号を取得し、前記第1信号に対してあらかじめ設定された信号強度の第1閾値と、前記第2信号の信号強度との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第1閾値とは異なる第2閾値に変更し、前記第1信号の信号強度と前記第2閾値との関係に基づいて、前記通信端末に、接続の切り替えに関連する第1情報を送信することを実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境に応じて安定した無線通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態における無線通信システムを示す概念図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における無線中継装置の構成を示すブロック図であるである。
【
図3】本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の第1実施形態における動作例1を示す概念図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における動作例1を示す概念図である。
【
図9】本発明の第1実施形態における動作例2を示す概念図である。
【
図10】本発明の第1実施形態における動作例2を示す概念図である。
【
図11】本発明の第2実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図12】本発明の第2実施形態における動作例3を示す概念図である。
【
図13】本発明の第2実施形態における動作例3を示す概念図である。
【
図14】本発明の第3実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図15】本発明の第4実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
【
図16】本発明の第5実施形態における無線通信システムの構成を説明する図である。
【
図17】移動距離に対する信号強度の変動を示すグラフである。
【
図18】移動距離に対する信号強度の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態における無線通信システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
[無線通信システムの構成]
図1を用いて、無線通信システム1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムを示す概念図である。
図1に示すように、無線通信システム1は、無線通信端末2(または通信端末2)、並びに無線中継装置3aおよび3bを含む。ここで、各無線中継装置を特に区別する必要がない場合には、単純に「無線中継装置3」と呼ぶ。
【0013】
無線通信端末2には、多機能携帯電話、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末装置、パーソナルコンピュータなどの通信機能及び演算機能を備えた情報処理端末装置等が含まれる。また、無線通信端末2は、CPU、メモリ及び無線中継装置3との間の通信制御を遂行する通信制御部等を含む。さらに、無線通信端末2は、マウスやキーボード、タッチパネル等の操作入力装置及び表示装置を備えてもよい。
【0014】
無線中継装置3は、この例では、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント(AP)である。なお、無線中継装置3aは、「AP-A」と称し、無線中継装置3bは、「AP-B」と称する場合がある。もっとも、無線中継装置3は、無線LANのインタフェースを有するルータやファイアウォールなどであってもよい。無線通信端末2は、無線中継装置3を介して、他の無線通信端末と通信したり、他のネットワークに接続することができる。
【0015】
[無線中継装置の構成]
図2を用いて、無線中継装置3について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、無線中継装置3は、制御部31、記憶部33、通信部35、および操作部37を備える。
【0017】
記憶部33は、制御部31によって実行される制御プログラムおよび各種のテーブル等の情報を記憶する。無線中継装置3は、記録媒体を読み取る装置を備えていてもよい。例えば、記憶部33は、不揮発性メモリ、ハードディスク等の記憶装置であってもよい。記憶部33は、上述したプログラムなど、様々な機能を実現するためのアプリケーションプログラムを記憶する記憶領域、設定処理などによって設定される設定情報を記憶する記憶領域を含む。また、プログラムは、コンピュータにより実行可能であればよく、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。この場合には、無線中継装置3は、記録媒体を読み取る装置を備えていてもよい。
【0018】
操作部37は、電源ボタン、設定ボタン等の操作子を含み、操作子に対するユーザーの操作を受け付け、その操作に応じた信号を制御部31に出力する。操作部37はアプリケーションプログラムにより提供されてもよい。また、操作部37は必ずしも提供されなくても良い。
【0019】
通信部35は、5GHz帯のチャンネルのうち、制御部31によって設定されたチャンネルを用いて、無線通信端末2との無線通信を実行する。通信部35に設定されるチャンネルは、IEEE802.11の規格において、タイプW52、W53、W56に含まれるチャンネルから選択される。なお、通信部35には、上記チャンネルの他、2.4HGz帯などの通信帯域が設定されてもよい。
【0020】
また、通信部35は、周波数帯に関する情報に加えて、各無線中継装置3の識別情報、各無線中継装置3に接続する無線通信端末2の台数に関する情報、各無線中継装置3のチャネル使用率に関する情報、各無線中継装置3の有線側のトラフィックに関する情報、無線通信端末2の識別情報といった情報を送信してもよい。
【0021】
制御部31は、CPUなどの演算処理回路およびメモリを含む。制御部31は、記憶部33に記憶された通信制御プログラムをCPUによって実行して、各種機能を無線中継装置3において実現させる。実現される機能には、通信制御機能が含まれる。この通信制御機能によれば、後述する処理(以下、通信制御処理という)を実行することができる。
【0022】
さらに、制御部31は、機能部として、取得部311、判定部313、および設定部315を備える。
【0023】
取得部311は、記憶部33に格納された情報、または無線通信端末2から送信された各種情報を取得する機能を有する。この例では、取得部311は、無線通信端末2から送信される通信信号またはローミング要求信号を取得する。ローミング要求信号は、無線通信端末2から不特定多数の無線中継装置3に送信される。ローミング要求信号は、特定の無線中継装置3を識別するための識別子を含んでもよい。
【0024】
判定部313は、取得された情報に基づき、判定処理を行う機能を有する。この例は、判定部313は、無線中継装置3bが無線通信端末2から受信する信号の信号強度と、無線中継装置3aが無線通信端末2から受信する信号の信号強度の閾値とを比較判定する。受信強度は、RSSI(Received Signal Strength Indication、Received Signal Strength Indicator)で表示される。無線中継装置3aが無線通信端末2から受信する信号の信号強度は、「RSSI3a」として表現することができる。無線中継装置3bが無線通信端末2から受信する信号の信号強度は、「RSSI3b」として表現することができる。無線中継装置3aが無線通信端末2から受信する信号の信号強度の閾値はRSSIth3aとして表現することができる。なお、予め設定されたRSSIの閾値は、ネットワーク上のサーバに保持しておいてもよいし、記憶部33に記憶されてもよい。
【0025】
設定部315は、判定結果に基づき、各種情報を設定する。この例では、設定部315は、無線中継装置3bが無線通信端末2から受信する信号の信号強度と、無線中継装置3aが無線通信端末2から受信する信号の信号強度の閾値との比較判定結果により、閾値を高くする又は低くするように設定変更する。
【0026】
なお、本実施形態において、無線中継装置3のうち、無線中継装置3a(AP-A)は、無線通信システムにおける通信制御を行うものである。したがって、無線中継装置3a(AP-A)は、制御装置ということもできる。
【0027】
[無線中継装置による通信制御方法]
次に、
図3~6を用いて、無線中継装置3a(AP-A)による通信制御方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る通信制御方法の全体フローチャートである。通信制御方法は、閾値制御用の初期設定処理S100、閾値制御処理S200、およびローミング判定処理S300を含む。閾値制御用の初期設定処理S100は、閾値制御を行う前の無線中継装置の状態を判定し、閾値制御可能な状態に設定する。閾値制御処理S200は、無線中継装置3bの受信信号強度と、無線中継装置3aの受信信号強度の閾値を比較し、無線中継装置3bの受信信号強度に応じて、無線中継装置3aの受信信号強度の閾値を調整・変更する。ローミング判定処理S300は、無線中継装置3aの受信信号強度に応じて、無線通信端末2にローミングを実行するように指示する。以下、各処理について詳細に説明する。
【0028】
図4は、閾値制御用の初期設定処理S100を示すフローチャートである。
【0029】
図4において、まず無線中継装置3aの制御部31は、無線中継装置3aと、無線通信端末2とが接続されていることを示す情報(接続情報)を取得する(ステップS101)。このとき、制御部31は、接続情報を取得した時刻(タイムスタンプ)を取得し、時間を計測する(ステップS103)。所定の時間が経過するまで待機する(ステップS105;No)。所定の時間が経過後(ステップS105;Yes)、制御部31は、無線通信端末2から送信されて無線中継装置3aの通信部35で受信した信号の信号強度(RSSI3a)を取得する(ステップS107)。
【0030】
制御部31(判定部)は、受信した信号の信号強度(RSSI3a)があらかじめ設定された無線中継装置3aにおける信号強度の閾値(RSSIth3a)より大きいかどうかを比較する(ステップS109)。信号強度(RSSI3a)が信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも低いとき(ステップS109;No)、S103の処理に戻る。信号強度(RSSI3a)が信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも高いとき(ステップS109;Yes)、制御部31は、無線通信端末2から無線中継装置3bに送信された接続要求信号の送信回数(接続要求回数)を取得する(ステップS111)。
【0031】
接続要求回数が所定の回数よりも多いとき(ステップS113;No)、S103の処理に戻る。接続要求回数が所定の回数以下の場合(ステップS113;Yes)、制御部31は、閾値制御可能フラグを設定する(ステップS115)。以上で、閾値制御用の初期設定処理S100が終了する。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置3aの通信制御方法のうち閾値制御処理S200を示すフローチャートである。
【0033】
まず、無線中継装置3aの制御部31は、無線通信端末2から無線中継装置3bに送信された接続要求信号の信号強度(RSSI3b)を、無線中継装置3bから取得する(ステップS201)。
【0034】
次に、制御部31は、無線中継装置3bで受信する信号の信号強度(RSSI3b)と、無線中継装置3aで受信する信号の信号強度の閾値(RSSIth3a)とを比較する(ステップS203)。制御部31は、無線中継装置3bの信号強度(RSSI3b)が、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも低いとき(通信環境が悪いとき)、無線中継装置3bへのローミングを行わないように、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)を現在の値よりも低くする(例えば、-60dBmから-70dBmへ変更する)ように設定する(ステップS205)。
【0035】
一方、無線中継装置3bからの信号強度(RSSI3b)が、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも高いとき(通信環境が良好であるとき)、無線中継装置3bへのローミングを促すように、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)を現在の値よりも高くする(例えば、-60dBmから-50dBmへ変更する)ように設定する(ステップS207)。以上で、閾値制御処理S200が終了となる。
【0036】
図6は、ローミング判定処理S300のフローチャートである。
図6に示すように、無線中継装置3aの制御部31は、無線通信端末2から無線中継装置3aへ送信される信号(無線中継装置3aの信号)の信号強度(RSSI3a)を取得する(ステップS301)。なお、この信号強度(RSSI3a)は、すでに取得した値であってもよいし、再度取得してもよい。制御部31は、無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)と、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)とを比較する(ステップS303)。
【0037】
無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)が無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも高いとき(ステップS303;Yes)、ローミングせずにステップS301に戻る。一方、無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)が無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも低くなったとき(ステップS303;No)、制御部31は、無線中継装置3bに対して、無線中継装置3a(AP-A)から無線中継装置3b(AP-B)へ接続を切り替えるための指示情報(第1情報ともいう)を送信する(ステップS305)。以上により、ローミング判定処理S300が終了となると共に、本実施形態の通信制御処理が終了となる。なお、本実施形態では、無線中継装置3a(AP-A)が制御する例を示したが、無線中継装置3b(AP-B)も同様の通信制御処理を実行する。
【0038】
本実施形態の場合、取得される信号の信号強度(RSSI)の閾値を調整して、接続される無線中継装置(アクセスポイント)が自動制御される。これにより、接続されているアクセスポイントのRSSIが低下した時に切断が切れて、無線通信端末と新しいアクセスポイントとが接続されるようになる。したがって、本実施形態を用いることにより、環境に応じて無線通信端末に対する適切な通信接続の切り替えを行うことができる。
【0039】
なお、上記の説明において、制御部31は、無線中継装置3bの信号強度(RSSI3b)と、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)とを比較する例を示したが、本発明はこれに限定されない。制御部31は、無線中継装置3bの信号強度(RSSI3b)と、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)とを比較することに加えて、無線中継装置3bの信号強度(RSSI3b)と、無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)とを比較してもよい。無線中継装置3bからの信号強度(RSSI3b)が、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)よりも高くても、無線中継装置3bの信号強度(RSSI3b)が、無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)よりも低いときには、閾値を変更しなくてもよい。これにより、ローミングが繰り返されることを防止することができる。
【0040】
次に、各条件における動作例について説明する。
【0041】
[動作例1]
図7及び
図8を用いて、他の無線中継装置が無線通信端末から受信した接続要求信号のRSSI値が予め設定されたRSSI閾値より低い場合における無線中継装置3(制御装置)の動作例について説明する。
図7及び
図8は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の動作の一部を示す概念図である。
【0042】
無線中継装置3a(AP-A)及び無線中継装置3b(AP-B)の各RSSI閾値は、予め-60dBmと設定されている。このとき、無線中継装置3a(AP-A)と、無線通信端末2とが接続されている。無線中継装置3a(AP-A)及び無線中継装置3b(AP-B)は、無線通信端末2から送信された信号を受信する。具体的には、無線中継装置3a(AP-A)は、無線通信端末2から無線通信信号を受信する。無線中継装置3b(AP-B)は、無線通信端末2から接続要求信号を受信する。
【0043】
無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値が、無線中継装置3a(AP-A)が無線通信端末2から受信した無線通信信号の予め設定されたRSSI閾値以上かどうかを判断する。また、制御部31は、無線中継装置3a(AP-A)が受信する信号のRSSI値と、無線中継装置3b(AP-B)で受信する信号のRSSI値とを比較してもよい。その結果、無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値(-70dBm)が予め設定されたRSSI閾値(-60dBm)より低く、さらに無線中継装置3a(AP-A)が無線通信端末2から受信した要求信号のRSSI値(-55dBm)よりも低いと判断する。この場合、無線中継装置3a(AP-A)と接続された方が、無線通信端末2の通信環境が良好である。その結果、無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、RSSI閾値をあらかじめ設定された-60dBmから-70dBmに下げる。これにより、無線中継装置3b(AP-B)にローミングしづらくすることができる。
【0044】
[動作例2]
図9及び
図10を用いて、他の無線中継装置が無線通信端末から受信した要求信号のRSSI値が予め設定されたRSSI閾値より低い場合における無線中継装置3(制御装置)の動作例について説明する。
図9及び
図10は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の動作の一部を示す概念図である。
図9における基本的な接続状態は、
図7と同様である。
【0045】
無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値が、無線中継装置3a(AP-A)が無線通信端末2から受信した無線通信信号の予め設定されたRSSI閾値以上かどうかを判断する。また、制御部31は、無線中継装置3a(AP-A)が受信する信号のRSSI値と、無線中継装置3b(AP-B)で受信する信号のRSSI値とを比較してもよい。その結果、無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値(-55dBm)が予め設定されたRSSI閾値(-60dBm)より高く、さらに無線中継装置3a(AP-A)が無線通信端末2から受信した信号のRSSI値(-70dBm)よりも高いと判断する。この場合、無線中継装置3b(AP-B)と接続された方が、無線通信端末2の通信環境が良好である。その結果、無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線中継装置3a(AP-A)のRSSI閾値をあらかじめ設定された-60dBmから-50dBmに上げる。これにより、無線中継装置3b(AP-B)にローミングしやすくすることができる。
【0046】
[ローミング処理の実施例]
図17および
図18は、移動距離に対する信号強度の変動を示すグラフである。横軸は、無線中継装置3aが位置する場所からの移動距離を示し、縦軸は信号強度を示す。
図17は、信号強度の閾値制御がされず、ローミング処理がなされなかった例を示す。
図18は、本実施形態を用いて、信号強度の閾値制御がなされ、ローミング処理が実行された例を示す。
図17に示すように、ローミング処理が実行されないと、信号強度が低下し続けてしまう。一方、本実施形態を用いることにより、移動途中でローミング処理が実行され、移動途中で信号強度が高まる。これにより、無線通信端末における無線通信が安定する。
【0047】
本実施形態では、無線中継装置3が受信する信号の信号強度(RSSI値)の閾値を調整することにより、無線通信端末2が通信環境の良い無線中継装置3と通信接続することができる。そのため、無線通信端末2が電波の弱い遠方の無線中継装置3に接続するといった事態を回避することができ、環境に応じて安定した無線通信を実現することができるという効果を奏する。
【0048】
<第2実施形態>
本実施形態では、ローミング要求回数に基づいて通信制御する例について説明する。
【0049】
図11は、本実施形態の通信制御フローチャートである。まず、無線中継装置3aの制御部31は、無線中継装置3aが無線通信端末2から受信した無線通信信号のRSSI値を取得する(ステップS401)。次に、制御部31は、単位時間当たりの無線通信端末2からの無線中継装置3bへの接続要求回数を取得する(ステップS4021)。
【0050】
次に、制御部31は、単位時間当たりの無線通信端末2からの無線中継装置3bへの接続要求回数を判定する(ステップS4023)。単位時間当たりの無線通信端末2からの無線中継装置3bへの接続要求回数が所定の回数より多い場合(ステップS4023;Yes)、ローミング停止設定を行う(ステップS404)。このとき、通信制御処理を終了してもよいし、S401の処理に戻ってもよい。
【0051】
単位時間当たりの無線通信端末2からの無線中継装置3bへの接続要求回数が所定の回数より少ない場合(ステップS4023;No)、制御部31は、無線中継装置3aの信号強度(RSSI3a)と、無線中継装置3aの信号強度の閾値(RSSIth3a)とを比較する(ステップS403)。以降の処理は、ステップS303と同様である。
【0052】
[動作例3]
図12及び
図13を用いて、他の無線中継装置が無線通信端末から受信した接続要求信号のRSSI値が予め設定されたRSSI閾値と同等の場合における無線中継装置3(制御装置)の動作例について説明する。
図12及び
図13は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の動作の一部を示すブロック図である。
図12における基本的な接続状態は、
図7と同様である。
【0053】
無線中継装置3aの制御部31は、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値が、無線中継装置3aが無線通信端末2から受信した無線通信信号の予め設定されたRSSI閾値以上かどうかを判断する。その結果、無線中継装置3a(AP-A)の制御部31は、無線通信端末2から受信した要求信号のRSSI値(-60dBm)が予め設定されたRSSI閾値(-60dBm)と同等であると判断する。また、無線中継装置3bが無線通信端末2から受信した接続要求信号のRSSI値(-60dBm)が、無線中継装置3a(AP-A)が無線通信端末2から受信した信号のRSSI値(-60dBm)と同等であると判断する。この場合、通信環境は無線中継装置3a(AP-A)、無線中継装置3b(AP-B)のどちらも同じ状況であり、無線中継装置3b(AP-B)が無線通信端末2から所定の回数より多く接続要求信号を受信する場合がある。この状態で、ローミングしてしまうと、今度は無線通信端末2が無線中継装置3aに接続要求信号を送ることになり、ローミングが頻発してしまう可能性がある。そのため、制御部31は、ローミング停止設定(ローミングの無効化)を行う(ステップS404)。
【0054】
本実施形態を用いることにより、環境に応じて安定した無線通信を実現することができるとともに、ローミング処理(通信の接続・切断)が繰り返し起こることを防止することができ、処理負荷を低減することができる。
【0055】
<第3実施形態>
本実施形態では、ローミング後の時間に基づいて通信制御する例について説明する。
【0056】
図14は、本実施形態の通信制御フローチャートである。
図14に示すように、制御部31は、無線中継装置3aと無線通信端末2との間における接続完了(ローミング完了)情報を取得する(ステップS501)。このとき、制御部31は、ローミングが完了した(接続が開始された)時間(時刻)情報(タイムスタンプ)を取得する(ステップS503)。
【0057】
次に、制御部31は、タイムスタンプが所定の時間(時刻)を経過するかを判定する(ステップS505)。タイムスタンプが所定の時間を経過するまで(ステップS505;No)、制御部31は、無線通信端末2に対して、ローミング処理停止設定を行う。この例では、次のローミング処理の停止を指示する信号を送信する。または、無線中継装置3aのRSSI閾値RSSIth3aを下げてもよい。これにより、無線中継装置3bへのローミング処理が制限される。
【0058】
一方、タイムスタンプが所定の時間を経過したとき(ステップS505;Yes)、制御部31は、次のローミング処理を可能する。この例では、制御部31は、ローミング可能フラグを設定してもよい。また、ローミング処理可能に設定変更するとき、ローミング処理停止時に変更された閾値を変更前の値に戻してもよい。
【0059】
また、本実施形態の場合、無線通信端末2と、無線中継装置3bとの接続が切断されて、無線通信端末と無線中継装置3aとの接続に切り替わった時に、所定の時間(または期間)において無線通信端末2にローミングに関連する情報(例えば、接続切断指示情報)を送信することを停止してもよい。
【0060】
本実施形態を用いることにより、ローミング処理(通信の接続・切断)が短時間に繰り返されることを防止することができ、通信環境を安定させることができる。また、無線チャンネルの効率的な利用を実現する上で、無線中継装置および無線通信端末にかかる負荷を低減することができる。
【0061】
<第4実施形態>
本実施形態では、日時情報を用いて閾値を設定する例について説明する。
【0062】
図15は、本実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
図15に示すように、制御部31は、日時情報を取得する(ステップS601)。また、日時情報は、無線中継装置3a内から取得してもよいし、別の装置から取得されてもよい。制御部31は、所定の日時に到達するまで(ステップS603;No)、ステップS501の処理を繰り返す。所定の日時に到達したとき(ステップS603;Yes)、制御部31は、無線中継装置3aのRSSI閾値を設定する(ステップS605)。
【0063】
本実施形態の場合、曜日ごと、時間帯ごとの無線通信端末の移動パターンを記録してもよい。曜日ごと、時間帯ごとに無線通信端末の移動パターンに合わせて信号強度の閾値が設定されることにより、無線通信端末に適切な通信環境を提供することができる。
【0064】
<第5実施形態>
本発明の第1実施形態では、無線通信システム1は、複数の無線中継装置3aおよび3bを含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。
図16は、無線通信システム1A示す概念図である。
【0065】
図16に示すように、無線通信システム1Aは、中継装置3aおよび3bに加えて無線制御装置4を含んでもよい。本実施形態において、無線中継装置3の数は、3つ以上であってもよい。無線制御装置4は、無線中継装置3aおよび無線中継装置3bを制御するが、機器としては、無線中継装置3と同じであってもよい。無線制御装置4は、無線LANのアクセスポイント、ルータ、ファイアウォールなど、ネットワーク機器であれば適用可能である。ここでは、複数の無線中継装置3を制御する機能を有するという意味で、コントローラアクセスポイント(コントローラAP)と呼んでもよい。他方、コントローラアクセスポイントが制御する複数の無線中継装置3をメンバーアクセスポイントと呼んでもよい。
【0066】
本実施形態において、無線制御装置4の制御部は、第1実施形態の無線中継装置3aと同様の機能を有することができる。
【0067】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、ステップの追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0068】
本発明の第1実施形態において、信号強度(RSSI)を取得するとき、信号強度(RSSI)の累積平均値を取得してもよい。これにより、信号強度の揺らぎや瞬間的な電波環境の悪化による影響を最小限に抑えることができる。
【0069】
また、信号強度(RSSI)の値は、累積平均値の他、移動平均値であってもよい。移動平均値が減少傾向の場合、無線通信端末2が無線中継装置3aから遠ざかる方向に移動していると判断し、閾値の制御を行ってもよい。
【0070】
また、本発明の第1実施形態において、取得した信号強度(RSSI)の一定区間における変動に基づいて閾値制御を行ってもよい。具体的には、一定時間(または期間)における信号強度(RSSI)を取得し、取得した信号強度の値から近似式を求めるとともに、微分値を算出する。このとき、当該微分値が負の値の場合には、無線通信端末2が無線中継装置3aから遠ざかる方向に移動していると判断し、閾値の制御を行ってもよい。
【0071】
また、本発明の第1実施形態において、無線中継装置3a又は無線中継装置3bと、信号(RSSI)と、無線中継装置3aの信号強度の閾値を比較する例について説明したが、信号強度の閾値は、1つの値に限定されず、一つの範囲として表現されてもよい。
【0072】
なお、本発明の第1実施形態では、タイムスタンプ、無線中継装置3aの受信信号強度(RSSI)、接続要求回数が所定の条件を満たすときに、閾値制御可能フラグを設定する例を示したが、本発明はこれに限定されない。少なくとも一つの条件を満たすときに、閾値制御フラグを設定してもよい。
【0073】
また、本発明の第1実施形態では、閾値制御の初期設定処理S100を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。閾値制御用の初期設定処理S100は、一度閾値制御可能な状態に設定されれば処理を省略しても良い。
【0074】
また、本発明の第1実施形態では、閾値制御処理S200を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。閾値制御処理S200は無線中継装置3bの受信信号強度が通知されない場合は省略しても良い。
【0075】
また、本発明の第1実施形態では、ステップS103及びステップS105において、タイムスタンプを取得する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ステップS103とステップS105は、接続情報を取得した時刻を起点として、タイマー処理で実現しても良い。
【0076】
また、本発明の一実施形態では、信号強度のみならず、チャネル使用率を比較し、チャネル使用率の低い無線中継装置3を選択した上で、ローミング(接続切り替え)指示を行ってもよい。
【0077】
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、制御部を有する制御装置が提供される。さらに以下のように構成することもできる。
【0078】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記制御部は、前記第2信号の信号強度が前記第1閾値に関連付けられた値よりも高いとき、前記第1閾値を前記第1閾値よりも高い第2閾値に変更してもよい。
【0079】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記第2信号の信号強度は、累積平均値を含み、前記制御部は、前記第1閾値と、前記累積平均値との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第2閾値に変更してもよい。
【0080】
本発明の一実施形態の制御装置において、所定時間内の前記通信端末からの前記第2無線中継装置に対する接続要求回数が所定の条件を満たすとき、前記制御部は、前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0081】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記第1信号を取得することは、第1無線中継装置と前記通信端末との接続後、所定の時間(期間)経過後に行われてもよい。
【0082】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記制御部は、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続が開始されてから所定の時間(期間)において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0083】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記通信端末と前記第2無線中継装置との接続から、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続に切り替わったとき、所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0084】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記制御部は、前記第1信号の信号強度は、移動平均値および微分値の少なくともいずれかを含み、前記第1信号の信号強度の変化に基づいて、前記第1閾値を変更可能に設定してもよい。
【0085】
本発明の一実施形態の制御装置において、前記制御部は、日時情報を取得し、前記日時情報に基づいて、前記第1閾値を設定してもよい。
【0086】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記第2信号の信号強度が前記第1閾値に関連付けられた値よりも高いとき、前記第1閾値を前記第1閾値よりも高い第2閾値に変更してもよい。
【0087】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記第2信号の信号強度は、累積平均値を含み、前記第1閾値と、前記累積平均値との関係に基づいて、前記第1閾値を前記第2閾値に変更してもよい。
【0088】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、所定時間内の前記通信端末からの前記第2無線中継装置に対する接続要求回数が所定の条件を満たすとき、前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0089】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記第1信号を取得することは、第1無線中継装置と前記通信端末との接続後、所定の時間(期間)経過後に行われてもよい。
【0090】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続が開始されてから所定の時間において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0091】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記通信端末と前記第2無線中継装置との接続から、前記通信端末と前記第1無線中継装置との接続に切り替わったとき、所定の時間(期間)において前記通信端末に前記第1情報を送信することを停止してもよい。
【0092】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記第1信号の信号強度は、移動平均値および微分値の少なくともいずれかを含み、前記第1信号の信号強度の変化に基づいて、前記第1閾値を変更可能に設定してもよい。
【0093】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、日時情報を取得し、前記日時情報に基づいて、前記第1閾値を設定してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1・・・無線通信システム,2・・・無線通信端末,3・・・無線中継装置,3a・・・中継装置,3a・・・無線中継装置,3b・・・無線中継装置,4・・・無線制御装置,31・・・制御部,33・・・記憶部,35・・・通信部,37・・・操作部,311・・・取得部,313・・・判定部,315・・・設定部