(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135892
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エアノズル位置制御装置、エアノズル位置制御方法、および樹脂成形システム
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20240927BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20240927BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/88
B29C48/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046793
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】内海 真一
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 和宏
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AK02
4F207AP05
4F207AP20
4F207AR07
4F207AR11
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK12
4F207KL84
4F207KM06
4F207KM16
(57)【要約】
【課題】樹脂成形システムの適正な運転条件をユーザの技量に依存することなく安定して設定する。
【解決手段】エアノズル位置制御装置は、エアノズル移動制御部と、エアノズル位置情報記憶部と、エアノズル位置情報処理部とを備える。エアノズル移動制御部は、樹脂成形システムに含まれる冷却装置におけるエアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する。エアノズル位置情報処理部は、エアノズルの位置及び姿勢を表すエアノズル位置情報をエアノズル位置情報記憶部に記憶させる処理と、入力された信号に応じて、エアノズル位置情報記憶部に記憶されているエアノズル位置情報を読み出し、エアノズル移動制御部に送信する処理とを実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むエアノズル位置制御装置:
樹脂成形システムにおける冷却装置に含まれるエアノズルのエアノズル移動制御信号、または前記エアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報に基づいて、前記エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、前記エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御するエアノズル移動制御部;
エアノズル位置情報記憶部;および
現時点における前記エアノズル位置情報を前記エアノズル位置情報記憶部に記憶させる処理と、読出指令信号に基づいて、前記エアノズル位置情報記憶部に記憶されているエアノズル位置情報を読み出し、前記読み出されたエアノズル位置情報を前記エアノズル移動制御部に送信する処理とを実行する、エアノズル位置情報処理部。
【請求項2】
請求項1に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記移動装置は、モータと移動機構とを含む、
エアノズル位置制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル位置情報処理部は、複数の樹脂成形システムが接続されるサーバに含まれているサーバ記憶部に前記エアノズル位置情報を記憶させる、
エアノズル位置制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル位置情報処理部は、前記エアノズル位置情報を、前記樹脂成形システムとは異なる他の樹脂成形システムに送信する、
エアノズル位置制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル位置情報処理部は、搬送可能な記録媒体に前記エアノズル位置情報を記録する、
エアノズル位置制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル位置情報処理部は、前記樹脂成形システムが設置された施設内に設けられている温度センサおよび湿度センサから出力される信号に基づいて、前記エアノズル位置情報と環境温度および環境湿度を表す情報とを対応付けて記憶させる、
エアノズル位置制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル移動制御部は、前記エアノズルと前記エアノズルに接触し得る他の部材との位置関係を表す情報を取得するセンサから出力される信号の解析結果に基づいて、前記エアノズルが前記他の部材と接触することを防ぐように、前記エアノズルの移動を制限する、
エアノズル位置制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記センサは、前記エアノズルと前記他の部材とを撮像する撮像センサを含む、
エアノズル位置制御装置。
【請求項9】
請求項7に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記センサは、前記エアノズルと前記他の部材との距離を表す情報を取得する距離センサを含む、
エアノズル位置制御装置。
【請求項10】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記エアノズル位置情報処理部は、前記エアノズルの位置または姿勢の制御が完了してから規定時間が経過した場合に、前記現時点における前記エアノズル位置情報を前記エアノズル位置情報記憶部に記憶させる、
エアノズル位置制御装置。
【請求項11】
請求項2に記載のエアノズル位置制御装置において、
前記移動機構は、
前記エアノズルを、前記エアノズルの長手方向に延びる軸を回動軸として回動させる回動機構と、
前記回動機構を支持し、前記回動機構を前記長手方向と直交する水平方向に移動させる水平移動機構と、
前記水平移動機構を支持し、前記水平移動機構を昇降させる昇降機構と、を含む、
エアノズル位置制御装置。
【請求項12】
以下を含むエアノズル位置制御方法:
エアノズル移動制御部が、エアノズル移動制御信号、または前記エアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、前記エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程;
エアノズル位置情報処理部が、現時点における前記エアノズル位置情報をエアノズル位置情報記憶部に記憶させる工程;および
エアノズル位置情報処理部が、読出指令信号に基づいて、前記エアノズル位置情報記憶部に記憶されているエアノズル位置情報を読み出し、前記エアノズル移動制御部に送信する工程。
【請求項13】
請求項12に記載のエアノズル位置制御方法において、
前記エアノズル位置情報処理部は、複数の樹脂成形システムが接続されるサーバに含まれているサーバ記憶部に前記エアノズル位置情報を記憶させる、
エアノズル位置制御方法。
【請求項14】
請求項12に記載のエアノズル位置制御方法において、
前記エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程では、
前記エアノズル移動制御部が、前記エアノズルと前記エアノズルに接触し得る他の部材との位置関係を表す情報を取得するセンサからの信号の解析結果に基づいて、前記エアノズルが前記他の部材と接触することを防ぐように、前記エアノズルの移動を制限する、
エアノズル位置制御方法。
【請求項15】
請求項1に記載のエアノズル位置制御装置を含む、樹脂成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアノズル位置制御装置、エアノズル位置制御方法、および樹脂成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形システムが知られている。樹脂成形システムは、例えば、エアノズルを含む冷却装置を備え、樹脂原料を溶融混練し、溶融樹脂を冷却装置にて冷却してフィルム状に成形する。特許文献1には、樹脂成形システムに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂成形システムを用いて樹脂フィルムなどを製造する場合、ユーザが、自身の経験や勘などに基づいて、システムの運転条件を初期設定し、システム稼働後に樹脂の状態を目視で確認し、樹脂が適正な状態となるように運転条件を調整する。
【0005】
しかしながら、樹脂成形システムの運転条件の調整はとてもシビアであり、わずかな条件の違いでも製造される樹脂フィルの状態あるいは特性は大きく異なることが多い。そのため、ユーザの技量によっては、運転条件を適正に調整し切れず、製品の品質にバラつきが生じることがある。
【0006】
上記事情により、樹脂成形システムの適正な運転条件を、より安定して設定することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態は、エアノズル位置制御装置である。当該エアノズル位置制御装置は、エアノズル移動制御部と、エアノズル位置情報記憶部と、エアノズル位置情報処理部とを備える。エアノズル移動制御部は、樹脂成形システムにおける冷却装置に含まれるエアノズル移動制御信号、またはエアノズルの位置および姿勢を表す位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する。エアノズル位置情報処理部は、現時点におけるエアノズル位置情報をエアノズル位置情報記憶部に記憶させる処理と、読出指令信号に基づいて、エアノズル位置情報記憶部に記憶されている位置情報を読み出し、読み出された位置情報をエアノズル移動制御部に送信する処理と、を実行する。
【0008】
一実施の形態は、エアノズル位置制御方法である。当該エアノズル位置制御方法は、エアノズル移動制御部が、エアノズル移動制御信号、またはエアノズルの位置および姿勢を表す位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程と、エアノズル位置情報処理部が、現時点におけるエアノズル位置情報をエアノズル位置情報記憶部に記憶させる工程と、エアノズル位置情報処理部が、読出指令信号に基づいて、エアノズル位置情報記憶部に記憶されている位置情報を読み出し、エアノズル移動制御部に送信する工程と、を含む。
【0009】
一実施の形態は、樹脂成形システムである。当該樹脂成形システムは、上記エアノズル位置制御装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、樹脂成形システムの適正な運転条件を、より安定して設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る樹脂成形システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るシステム用コンピュータの構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るシステム用コンピュータが構成する機能ブロックの例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る冷却装置の構成例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る冷却装置用コンピュータの構成例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る冷却装置用コンピュータが構成する機能ブロックの例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係るエアノズル制御部の機能ブロックによる構成例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係るエアノズル制御部における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
【
図9】実施の形態1の変形例1に係る冷却装置の要部構成例を示す図である。
【
図10】実施の形態1の変形例1に係るエアノズル位置情報記憶部に記憶される情報の例を示すテーブルである。
【
図11】実施の形態1の変形例2に係る複数の樹脂成形システムおよびサーバの接続構成例を示す図である。
【
図12】実施の形態1の変形例3に係る複数の樹脂成形システムの接続構成例を示す図である。
【
図13】実施の形態1の変形例4に係る複数の樹脂成形システムおよび記憶媒体の例を示す図である。
【
図14】実施の形態1の変形例5に係る冷却装置の要部構成例を示す図である。
【
図15】実施の形態1の変形例5に係るエアノズル制御部における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
【
図16】実施の形態1の変形例6に係る冷却装置の要部構成例を示す図である。
【
図17】実施の形態1の変形例6に係るエアノズル制御部における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
【
図18】実施の形態1の変形例7に係る冷却装置の要部構成例を示す図である。
【
図19】実施の形態1の変形例7に係るエアノズル制御部における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈発明者らによる検討の経緯〉
一般的に、樹脂フィルムなどの製造に用いる樹脂成形システムは、投入された樹脂原料を溶融混練してTダイに押し出す押出装置と、Tダイに形成されたスリット状の吐出口から吐出される膜状の溶融樹脂を冷却してフィルム状に成形する冷却装置とを備えている。また、冷却装置は、キャストロールとエアノズルとを有している。なお、キャストロールは、冷却ロールとも呼ばれ、エアノズルは、エアナイフとも呼ばれる。キャストロールは、Tダイの吐出口の下方に配置され、水平方向を回転軸にして回転するように構成されている。エアノズルは、キャストロールの回転軸と平行な方向に細長く延びる開口が形成されており、その開口からカーテン状の風を送り出す。
【0013】
Tダイから吐出される膜状の溶融樹脂は、回転するキャストロールの表面に接触する。また、キャストロールの表面に接触する溶融樹脂には、エアノズルからカーテン状の風が送られる。溶融樹脂は、キャストロールの表面に接触し、エアノズルからの風を受けることにより、冷却される。
【0014】
成形される樹脂の状態あるいは特性は、これらTダイの吐出口の位置と、キャストロールの表面の位置と、エアノズルの位置および姿勢との関係により、大きく異なることが知られている。Tダイおよびキャストロールの位置の微妙な調整は、構造上、難しい場合が多い。したがって、目標の状態の樹脂を成形するには、Tダイあるいはキャストロールに対するエアノズルの位置および姿勢の調整(以下、単に位置合せともいう)は、非常に重要である。
【0015】
エアノズルの位置合せは、極めてシビアである。エアノズルの位置の微小な変化、例えば、0.5mm程度の変化が生じても、成形される樹脂フィルムの品質あるいは特性に大きな影響を及ぼす可能性がある。そのため、従来、エアノズルの位置合せは、熟練者が、その熟練者の経験と勘に基づき、エアノズルの移動機構を手動で操作して実施することが多い。
【0016】
一方、エアノズルの位置合せが完了した状態であっても、エアノズルを別の位置に移動あるいは退避させる機会がある。例えば、樹脂成形システムあるいは冷却装置をメンテナンスする場合や、製造する製品の種類を切り替える場合には、エアノズルを今までとは異なる位置に移動させる必要がある。
【0017】
しかしながら、エアノズルの位置合せを改めて行う場合に、熟練者が仮に不在の状況では、エアノズルの位置合せに手間取ることがある。また、エアノズルの位置合せが完了したつもりであっても、実際に製品を検査すると、製品の品質あるいは特性が期待するものと異なる場合がある。
【0018】
このような事情により、樹脂成形システムの適正な運転条件の一つである、エアノズルの位置および姿勢を、より安定して設定することができる技術が望まれている。
【0019】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記の技術を見い出した。以下に、その技術の一例である実施の形態について説明する。
【0020】
(実施の形態1)
〈樹脂成形システムの構成例〉
図1は、実施の形態1に係る樹脂成形システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、樹脂成形システム1は、押出装置2、Tダイ3、冷却装置4、縦延伸装置5、横延伸装置6、および巻取装置7を有している。
【0021】
押出装置2は、原料10を溶融混練し、溶融樹脂をTダイ3に押し込む。Tダイ3は、押出装置2から押し込まれた溶融樹脂を、スリット状の吐出口により膜状の樹脂10aに成形し吐出する。冷却装置4は、Tダイ3から吐出されてきた膜状の樹脂10aを冷却してフィルム状の樹脂10bに成形し、下流側に搬送する。縦延伸装置5は、冷却装置4から搬送されてきたフィルム状の樹脂10cを、樹脂フィルムの搬送方向である縦方向に延伸し、下流側に搬送する。横延伸装置6は、縦延伸装置5から搬送されてきたフィルム状の樹脂10dを、樹脂フィルムの幅方向である横方向に延伸し、下流側に搬送する。巻取装置7は、横延伸装置6から搬送されてきたフィルム状の樹脂10eを、巻き取る。
【0022】
なお、樹脂成形システムの上記構成は、一例に過ぎない。例えば、縦延伸装置5および横延伸装置6は、配置が入れ替わってもよいし、これらのいずれか一方または両方が省かれてもよい。
【0023】
樹脂成形システム1は、さらに、押出装置用コンピュータ20、冷却装置用コンピュータ40、縦延伸装置用コンピュータ50、横延伸装置用コンピュータ60、巻取装置用コンピュータ70、およびシステム用コンピュータ8を有している。システム用コンピュータ8は、押出装置用コンピュータ20、冷却装置用コンピュータ40、縦延伸装置用コンピュータ50、横延伸装置用コンピュータ60、および巻取装置用コンピュータ70と接続されている。システム用コンピュータ8は、押出装置用コンピュータ20~巻取装置用コンピュータ70までのそれぞれのコンピュータと通信し、それぞれのコンピュータを制御する。
【0024】
システム用コンピュータ8は、システム用操作部91およびシステム用表示部92を有している。システム用コンピュータ8は、ユーザによるシステム用操作部91の操作に応じた入力を受け付け、システム用表示部92に各種情報を表示させる。システム用操作部91は、例えば、キーボード、マウスなどで構成される。システム用表示部92は、液晶モニタなどで構成される。システム用操作部91およびシステム用表示部92は、一体的に構成されたタッチパネルディスプレイなどであってもよい。
【0025】
図2は、実施の形態1に係るシステム用コンピュータ8の構成例を示す図である。
図2に示すように、システム用コンピュータ8は、例えば、構成要素として、通信バス801、プロセッサ802、メモリ803、ストレージ804、およびインタフェース807を有している。プロセッサ802、メモリ803、ストレージ804、およびインタフェース807は、通信バス801を介して互いに接続されており、互いに通信することができる。ストレージ804には、プログラム805およびデータ806が格納されている。プロセッサ802は、ストレージ804に格納されているプログラム805を読み出してメモリ803に展開し、必要に応じてデータ806を用いて実行することにより、各種の機能ブロックとして機能する。
【0026】
なお、プロセッサ802は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、PLD(Programmable Logic Device)などである。メモリ803は、例えば、半導体記憶装置である。ストレージ804は、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などである。プログラム805およびデータ806は、メモリ803に記憶されてもよい。
【0027】
図3は、実施の形態1に係るシステム用コンピュータ8が構成する機能ブロックの例を示す図である。実施の形態1においては、
図3に示すように、システム用コンピュータ8は、機能ブロックである、運転条件設定部82および装置制御部83として機能する。運転条件設定部82は、ユーザによるシステム用操作部91の操作によって入力された情報などに基づいて、各装置の運転条件を設定する。装置制御部83は、設定された運転条件に基づいて、各装置用コンピュータに制御信号を送信し、各装置の運転を制御する。
【0028】
〈冷却装置の構成例〉
ここで、冷却装置4の構成例について説明する。
図4は、実施の形態1に係る冷却装置の構成例を示す図である。
図4に示すように、冷却装置4は、第一キャストロール411、第二キャストロール412、エアノズル413、および搬送ロール421~424を有している。第一キャストロール411は、Tダイ3の吐出口3aの下方に配置されている。第二キャストロール412は、第一キャストロール411の下流側かつ上方に配置されていることが多い。エアノズル413は、Tダイ3の吐出口3aおよび第一キャストロール411の近傍に配置されている。搬送ロール421~424は、第二キャストロール412から下流側に向かって順番に配置されている。
【0029】
第一キャストロール411および第二キャストロール412は、ロール表面温度が溶融樹脂の温度より低い温度に保持され、設定された回転速度にて回転するように制御される。エアノズル413は、内部に導入された圧縮空気が細長いの送風口から押し出され、第一キャストロール411のロール表面に向けてカーテン状の風を送出する。Tダイ3の吐出口3aから吐出された溶融樹脂は、重力で降下し、第一キャストロール411のロール表面に接触する。エアノズル413から送出された風は、第一キャストロール411のロール表面に接触した溶融樹脂に当てられる。溶融樹脂は、第一キャストロール411のロール表面と、エアノズル413から送出された風とにより冷却されて硬化され、フィルム状に成形される。
【0030】
第一キャストロール411は、フィルム状に成形された樹脂を、自身の回転により、第二キャストロール412に搬送する。第二キャストロール412は、第一キャストロール411から搬送されてきた樹脂10aを、ロール表面にて更に冷却し固化させる。第二キャストロール412は、固化された樹脂10bを、自身の回転により、搬送ロール421に搬送する。搬送ロール421~424は、樹脂10bをさらに下流側に設置された縦延伸装置5に搬送する。
【0031】
ところで、上述したように、成形される樹脂の状態あるいは特性は、Tダイ3の吐出口3a、第一キャストロール411、およびエアノズル413の互いの位置関係、エアノズル413からの送風の向きなどによって大きく変化することが知られている。そのため、第一キャストロール411、第二キャストロール412、およびエアノズル413は、これらの位置と、エアノズル413の姿勢すなわち送風方向とを変化させることができるように構成されている。本実施の形態では、一例として、冷却装置4は、下記に説明するような構成を有している。
【0032】
冷却装置4は、第一キャストロール昇降装置414、第二キャストロール昇降装置415、キャストロール水平移動装置416、エアノズル回動装置417、エアノズル水平移動装置418、エアノズル昇降装置419、および支持台420を有している。なお、本実施の形態では、キャストロールは、上流側と下流側の2つが設けられているが、キャストロールは1つだけであってもよい。
【0033】
第一キャストロール411には、第一キャストロール昇降装置414が設けられており、第二キャストロール412には、第二キャストロール昇降装置415が設けられている。第一キャストロール昇降装置414および第二キャストロール昇降装置415は、キャストロール水平移動装置416に支持されている。キャストロール水平移動装置416は、支持台420に支持されている。第一キャストロール411および第二キャストロール412は、これらの昇降装置および水平移動装置により、支持台420に対して高さ位置と水平位置とを変えることができる。
【0034】
エアノズル413には、エアノズル回動装置417が設けられている。エアノズル回動装置417は、エアノズル水平移動装置418に支持されている。エアノズル水平移動装置418は、エアノズル昇降装置419に支持されている。また、エアノズル昇降装置419は、支持台420に支持されている。エアノズル回動装置417、エアノズル水平移動装置418、およびエアノズル昇降装置419は、本願が開示する移動装置の一例である。
【0035】
エアノズル回動装置417は、エアノズル413を支持し、エアノズル413をエアノズル413の長手方向、すなわち樹脂の幅方向に平行な軸を回動軸として回動させる回動機構を有し、エアノズル413の回動角度位置すなわち姿勢を変えることができる。エアノズル413の姿勢を変えることにより、エアノズル413からの送風の向きを変えることができる。
【0036】
エアノズル水平移動装置418は、エアノズル回動装置417を支持し、エアノズル回動装置417をエアノズル413の長手方向に直交する水平方向に移動させる水平移動機構を有し、エアノズル回動装置417の水平方向の位置を変えることができる。
【0037】
エアノズル昇降装置419は、エアノズル水平移動装置418を支持し、エアノズル水平移動装置418を鉛直方向に昇降させる昇降機構を有し、エアノズル水平移動装置418の高さ方向の位置を変えることができる。
【0038】
エアノズル413は、これらエアノズル回動装置417、エアノズル水平移動装置418、およびエアノズル昇降装置419により、支持台420に対する高さ位置、水平位置、および回動角度位置を変えることができる。
【0039】
エアノズル413の位置および姿勢の調整は、製造される樹脂フィルムの品質に大きな影響を及ぼすことから、非常に難しくシビアであると言われており、一般的に、熟練者がエアノズル413の位置および姿勢を調整することが多い。
【0040】
一方、エアノズル413の位置および姿勢を一旦調整し終えても、その後、エアノズル413の位置および姿勢を変えなければならない場合がある。例えば、冷却装置4のメンテナンスを実施する場合、あるいは、製造する樹脂フィルムの品種を切り替える場合には、エアノズル413の位置および姿勢を変えて、Tダイ3あるいは第一キャストロール411から離間させる場合がある。
【0041】
このような場合、従来、メンテナンス後に、あるいは製造品種を元に戻す際に、熟練者がエアノズル413の位置および姿勢を改めて調整し直す。
【0042】
しかしながら、熟練者といえども、エアノズル413の位置調整には比較的長い時間を要する。また、仮に熟練者がいない場合には、エアノズル413の位置調整にさらに長い時間を要したり、製造する樹脂の状態あるいは特性を目標の状態あるいは特性にすることができず、品質が安定しなかったりする場合がある。
【0043】
そこで、本実施の形態では、上記した回動装置、水平移動装置、および昇降装置などの移動装置には、モータを駆動源とする電動アクチュエータが用いられる。モータは、例えば、ACサーボモータ、ステッピングモータなどである。電動アクチュエータは、補助的にエアを用いてもよい。電動アクチュエータは、市販品を用いてもよいし、モータと移動機構とを組み合わせて製作されたものであってもよい。すなわち、回動装置は、モータと回動機構との組合せ、水平移動装置は、モータと水平移動機構との組合せ、昇降装置は、モータと昇降機構との組合せであってもよい。
【0044】
上記の移動装置に、このような電動アクチュエータを用いた場合には、エアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報は、電動アクチュエータにおける可動部の基準位置に対する回動角度位置、水平位置、および高さ位置として表すことができる。そして、エアノズル位置情報は、電動アクチュエータにおける可動部の伸び量、移動量、回動角度量に対応したデータ、あるいは、モータ軸の回転数もしくは回転量、リニアスケールの情報などに対応したデータで表すことができる。
【0045】
また、冷却装置用コンピュータ40に、エアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報を記憶させる処理、およびエアノズル位置情報を読み出す処理を実行する機能を設ける。ユーザは、メンテナンス後に、あるいは製造する樹脂フィルムの品種を元に戻す際に、冷却装置用コンピュータ40に、記憶しておいたエアノズル位置情報を読み出させ、そのエアノズル位置情報を基にエアノズル413の位置および姿勢を再設定することができる。
【0046】
次に、冷却装置用コンピュータの構成例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る冷却装置用コンピュータ40の構成例を示す図である。
図5に示すように、冷却装置用コンピュータ40は、例えば、構成要素として、通信バス401、プロセッサ402、メモリ403、ストレージ404、およびインタフェース407を有している。プロセッサ402、メモリ403、ストレージ404、およびインタフェース407は、通信バス401を介して互いに接続されており、互いに通信することができる。ストレージ404には、プログラム405およびデータ406が格納されている。プロセッサ402は、ストレージ404に格納されているプログラム405を読み出してメモリ403に展開し、必要に応じてデータ406を用いて、そのプログラム405を実行することにより、各種の機能ブロックとして機能する。
【0047】
なお、プロセッサ402は、プロセッサ802と同様に、例えば、CPU、MPU、MCU、PLDなどである。メモリ403は、例えば、半導体記憶装置である。ストレージ404は、例えば、SSD、HDDなどである。プログラム405およびデータ406は、メモリ403に記憶されてもよい。
【0048】
図6は、実施の形態1に係る冷却装置用コンピュータ40が構成する機能ブロックの例を示す図である。実施の形態1においては、
図6に示すように、冷却装置用コンピュータ40は、機能ブロックである、ロール制御部43およびエアノズル制御部44として機能する。
【0049】
ロール制御部43は、ユーザによる冷却装置用操作部93の操作によって入力された情報、あるいは、装置制御部83から入力された情報などに基づいて、第一キャストロール411および第二キャストロール412の位置あるいは回転速度などを設定する。
【0050】
エアノズル制御部44は、樹脂成形システム1における冷却装置4に含まれるエアノズル413の移動制御信号、またはエアノズル413の位置および姿勢を表す位置情報に基づいて、エアノズル413の位置および姿勢を変化させる移動装置を制御する。エアノズル制御部44は、この移動装置を制御することにより、エアノズル413の位置および姿勢の少なくとも一方を制御する。
【0051】
エアノズル制御部44は、例えば、ユーザによる冷却装置用操作部93の操作によって入力された情報、あるいは、装置制御部83から入力されたエアノズル413の位置情報などに基づいて、エアノズル413の位置および姿勢などを制御する。また、エアノズル制御部44は、ユーザによる冷却装置用操作部93の操作に応じて、エアノズル413の位置情報を取得し、エアノズル位置情報記憶部に記憶させたり、記憶されているエアノズル位置情報を読み出して、そのエアノズル位置情報を基にエアノズル413の位置および姿勢を制御したりする。さらに、エアノズル制御部44は、エアノズル413の運転の開始および停止を制御する。
【0052】
図7は、実施の形態1に係るエアノズル制御部44の機能ブロックによる構成例を示す図である。本実施の形態では、エアノズル制御部44は、エアノズル統括処理部441、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、エアノズル位置情報記憶部444、およびエアノズル運転制御部445を有している。
【0053】
エアノズル統括処理部441は、エアノズルに関する各種の処理を実行する。エアノズル統括処理部441は、システム用コンピュータ8または冷却装置用操作部93から送られている制御信号を受信した場合に、その制御信号を、エアノズル制御部44が有する他の各部に適宜送信する。当該制御信号には、例えば、エアノズル位置情報記憶指令信号、エアノズル位置情報読出指令信号、エアノズル移動制御開始信号、エアノズル移動制御信号、エアノズル運転開始信号、エアノズル運転停止信号などが含まれる。
【0054】
エアノズル位置情報記憶指令信号は、エアノズル位置情報AJを記憶させることを指令する信号である。エアノズル位置情報読出指令信号は、エアノズル位置情報AJを読み出すことを指令する信号である。エアノズル移動制御開始信号は、設定されたエアノズル位置情報AJが表す位置にエアノズルを移動させる制御を開始させることを指令する信号である。エアノズル移動制御信号は、エアノズルを入力された向き、例えば高さ方向、水平方向、回動方向などの向きに一定量だけ移動させることを指令する信号である。エアノズル運転開始信号は、エアノズルによる送風を開始させることを指令する信号である。エアノズル運転停止信号は、エアノズルによる送風を停止させることを指令する信号である。
【0055】
エアノズル移動制御部442は、エアノズル移動制御開始信号を受信した場合に、エアノズル413の位置および姿勢が、設定されたエアノズル位置情報AJが表す位置および姿勢になるように、エアノズルの移動装置を制御する。制御される移動装置は、エアノズル回動装置417、エアノズル水平移動装置418、およびエアノズル昇降装置419の少なくとも1つである。また、エアノズル移動制御部442は、エアノズル移動制御信号を受信した場合に、入力された情報が表す向きにエアノズル413が移動するように、エアノズル回動装置417、エアノズル水平移動装置418、およびエアノズル昇降装置419の少なくとも1つを制御する。
【0056】
エアノズル位置情報処理部443は、現時点におけるエアノズル位置情報AJをエアノズル位置情報記憶部444に記憶させる処理と、読出指令信号に基づいて、エアノズル位置情報記憶部444に記憶されているエアノズル位置情報AJを読み出し、読み出されたエアノズル位置情報AJをエアノズル移動制御部442に送信する処理とを実行する、
【0057】
エアノズル位置情報処理部443は、例えば、エアノズル位置情報記憶指令信号を受信した場合に、現時点におけるエアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報AJを取得し、もしくは生成し、エアノズル位置情報記憶部444に記憶させる。また、エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報読出指令信号を受信した場合に、エアノズル位置情報記憶部444に記憶されているエアノズル位置情報AJの中から、エアノズル位置情報読出指令信号が定める特定のエアノズル位置情報AJを読み出す。そして、エアノズル位置情報処理部443は、読み出したエアノズル位置情報AJを、エアノズル移動制御部442に送信する。
【0058】
エアノズル位置情報記憶部444は、エアノズル位置情報を記憶する。なお、エアノズル位置情報AJは、他の各種情報と対応付けて記憶されてもよい。例えば、エアノズル位置情報AJは、製造する樹脂フィルムの品種を表す品種情報、記憶日時を表す日時情報などと対応付けて記憶されてもよい。
【0059】
エアノズル運転制御部445は、エアノズル運転開始指令信号を受信した場合に、エアノズル413の送風を開始させる。また、エアノズル運転制御部445は、エアノズル運転停止指令信号を受信した場合に、エアノズル413の送風を停止させる。
【0060】
〈エアノズル位置制御装置〉
実施の形態1によるエアノズル位置制御装置440は、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、およびエアノズル位置情報記憶部444を構成要素として含む装置である。エアノズル位置制御装置440は、本願が開示するエアノズル位置制御装置の一例である。
【0061】
なお、エアノズル位置制御装置440は、プロセッサおよびメモリを備え、当該プロセッサが、プログラムを実行することにより、エアノズル移動制御部442、およびエアノズル位置情報処理部443により行われる各処理を実行する装置であるともいえる。
【0062】
また、プロセッサおよびメモリを備え、プロセッサは、プログラムを実行することにより、制御信号に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の移動制御を実行する工程と、エアノズルの位置及び姿勢を表すエアノズル位置情報をメモリに記憶させる工程、および、入力された信号に応じて、メモリに記憶されているエアノズル位置情報を読み出す工程とを実行するように構成される、エアノズル位置制御装置も、本願が開示する一実施の形態である。
【0063】
〈エアノズル制御部における位置制御に係る処理フロー〉
エアノズル制御部における処理のうち位置制御に係る処理の流れについて説明する。
図8は、実施の形態1に係るエアノズル制御部における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
【0064】
図8に示すように、ステップS101では、エアノズル位置情報読出指令信号を受信したか否かの判定が行われる。具体的には、エアノズル統括処理部441が、エアノズル位置情報読出指令信号を受信したか否かを判定する処理を実行する。この判定において、エアノズル位置情報読出指令信号を受信したと判定された場合(S101:Yes)には、エアノズル統括処理部441は、当該信号をエアノズル位置情報処理部443に送信し、処理ステップをステップS102に移行させる。一方、エアノズル位置情報読出指令信号を受信していないと判定された場合(S101:No)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS103に移行させる。
【0065】
ステップS102では、エアノズル位置情報の読出しが行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、エアノズル位置情報記憶部444に記憶されているエアノズル位置情報AJの中から1つを読み出す。エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS103に移行させる。
【0066】
ステップS103では、エアノズル位置情報の入力または編集があったか否かが判定される。具体的には、エアノズル統括処理部441が、ユーザによるエアノズル位置情報AJの入力または編集があったか否かを判定する処理を実行する。この判定において、エアノズル位置情報AJの入力または編集があったと判定された場合(S103:Yes)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS104に移行させる。一方、エアノズル位置情報AJの入力または編集がなかったと判定された場合(S103:No)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS105に移行させる。
【0067】
ステップS104では、エアノズル位置情報の設定が行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、読み出された、または入力されたエアノズル位置情報AJを基に、エアノズル位置情報AJを設定する処理を実行する。エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報AJに編集がなされた場合には、その編集内容を反映させたエアノズル位置情報AJを設定する処理を実行する。ステップS104の処理が実行された後は、エアノズル統括処理部441が、処理ステップをステップS105に移行させる。
【0068】
ステップS105では、エアノズル移動制御開始信号を受信したか否かの判定が行われる。具体的には、エアノズル統括処理部441が、ユーザによる入力により、または、装置制御部83からの入力により、エアノズル移動制御開始信号を受信したか否かを判定する処理を実行する。この判定において、エアノズル移動制御開始信号を受信したと判定された場合(S105:Yes)には、エアノズル統括処理部441は、当該信号をエアノズル移動制御部442に送信し、処理ステップをステップS107に移行させる。一方、エアノズル移動制御開始信号を受信していないと判定された場合(S105:No)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS106に移行させる。
【0069】
ステップS106では、エアノズル移動制御信号を受信したか否かの判定が行われる。具体的には、エアノズル統括処理部441が、ユーザからの入力に基づくエアノズル移動制御信号を受信したか否かを判定する処理を実行する。エアノズル移動制御信号は、上述の通り、高さ方向、水平方向、および回動方向の少なくとも1つにおける向きへの一定量の移動を指令する信号である。この判定において、エアノズル移動制御信号を受信したと判定された場合(S106:Yes)には、エアノズル統括処理部441は、当該信号をエアノズル移動制御部442に送信し、処理ステップをステップS107に移行させる。一方、エアノズル移動制御信号を受信していないと判定された場合(S106:No)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS108に移行させる。
【0070】
ステップS107では、エアノズルの移動制御が行われる。具体的には、エアノズル移動制御部442は、受信したエアノズル位置情報AJまたはエアノズル移動制御信号に基づいて、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する処理を実行する。例えば、エアノズル移動制御部442は、設定されたエアノズル位置情報AJを受信した場合には、エアノズル413の位置および姿勢が、そのエアノズル位置情報が表す位置および姿勢になるように、エアノズル413の移動機構駆動部を制御する。また例えば、エアノズル移動制御部442は、エアノズル移動制御信号を受信した場合には、エアノズル413が、その信号が表す向きへ一定量だけ移動するように、エアノズル413の移動機構駆動部を制御する。エアノズル413の移動制御が完了すると、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS108に移行させる。
【0071】
ステップS108では、エアノズル位置記憶指令信号を受信したか否かの判定が行われる。具体的には、エアノズル統括処理部441が、ユーザによる入力、あるいは、装置制御部83からの入力に基づくエアノズル位置記憶指令信号を受信したか否かを判定する処理を実行する。この判定において、エアノズル位置記憶指令信号を受信したと判定された場合には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS109に移行させる。一方、エアノズル位置記憶指令信号を受信していないと判定された場合には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS111に移行させる。
【0072】
ステップS109では、エアノズル位置情報AJの取得が行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、エアノズルの移動機構駆動部から得られた情報、エアノズルの移動制御を行う際に用いたエアノズル位置情報AJなどに基づいて、現時点におけるエアノズル位置情報AJを、取得する処理を実行する。エアノズル位置情報AJの取得が完了すると、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS110に移行させる。
【0073】
ステップS110では、エアノズル位置情報の記憶が行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、ステップS109にて取得されたエアノズル位置情報AJを、エアノズル位置情報記憶部444に記憶させる処理を実行する。エアノズル位置情報AJの記憶が完了すると、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS111に移行させる。
【0074】
ステップS111では、エアノズルの制御処理を終了するか否かの判定が行われる。具体的には、エアノズル統括処理部441が、制御継続不適信号を受信したか否かに基づいて、エアノズルの制御処理を終了するか否かを判定する処理を実行する。制御継続不適信号は、例えば、エアノズルの制御処理においてエラーが発生したことを示すエラー信号、エアノズルの制御処理を終了させることを指令する制御処理終了信号などである。制御処理終了信号は、例えば、ユーザによる入力、あるいは、装置制御部83からの入力などに基づいて受信される。
【0075】
ステップS111における判定において、エアノズルの制御処理を終了すると判定された場合(ステップS111:Yes)には、エアノズル統括処理部441は、当該制御処理を終了させる。一方、エアノズルの制御処理を継続させると判定された場合(ステップS111:No)には、エアノズル統括処理部441は、処理ステップをステップS101に移行させる。
【0076】
なお、エアノズル位置情報記憶部444には、メンテナンスを実施する際にエアノズルを退避させる場合のエアノズル位置情報(メンテナンス退避位置)を記憶させてもよい。この場合、エアノズル位置情報処理部443は、メンテナンスモードに対応した信号の入力に応じて、エアノズルの位置を、メンテナンス退避位置に設定する。
【0077】
〈実施の形態1による効果〉
以上、説明したような実施の形態1に係る樹脂成形システム1によれば、樹脂成形システムの適正な運転条件を、より安定に設定することができる。
【0078】
例えば、実施の形態1によれば、エアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報を、記憶させたり、記憶させたエアノズル位置情報を読み出して設定したりすることができる。そのため、エアノズルの位置合せが完了した後に、メンテナンス、製造する樹脂の品種切替えなどが実施され、エアノズルの位置および姿勢を変えてしまった場合であっても、エアノズルの位置および姿勢を元の位置および姿勢に容易に戻すことができる。その結果、エアノズルの位置および姿勢を、ユーザの技量に依存することなく、迅速に、適正な位置および姿勢に戻すことができる。
【0079】
また、実施の形態1によれば、エアノズルの移動および姿勢の変更を、モータと移動機構とを含む装置を制御することにより行うので、エアノズルの位置および姿勢を高精度かつ高分解能にて制御することができ、エアノズルの位置合せが容易になる。
【0080】
これより、実施の形態1の各種変形例について説明する。
【0081】
〈変形例1〉
変形例1は、エアノズル位置情報を記憶させる際に、環境温度、環境湿度などの他の情報と対応付けて記憶させる例である。
【0082】
図9は、実施の形態1の変形例1に係る冷却装置4aの要部構成例を示す図である。
図9に示すように、変形例1によるエアノズル制御部44aは、上記のエアノズル制御部44と同様の構成を有している。すなわち、エアノズル制御部44aは、機能ブロックとして、エアノズル統括処理部441、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、エアノズル位置情報記憶部444、およびエアノズル運転制御部445を有している。
【0083】
また、変形例1によるエアノズル位置制御装置440aは、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、およびエアノズル位置情報記憶部444を構成要素として含む装置である。エアノズル位置制御装置440aは、本願が開示するエアノズル位置制御装置の一例である。
【0084】
エアノズル制御部44aには、樹脂成形システムが設置されている施設内に設けられた温度センサ95および湿度センサ96が、電気的に接続されている。なお、温度センサ95および湿度センサ96は、システム用コンピュータ8などに電気的に接続され、エアノズル制御部44aが、システム用コンピュータ8を介して接続されてもよい。
【0085】
エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報AJをエアノズル位置情報記憶部444に記憶させる際に、温度センサ95から出力される温度信号と、湿度センサ96から出力される湿度信号とを取得する。そして、エアノズル位置情報処理部443は、取得された温度信号に基づき環境温度を特定するとともに、取得された湿度信号に基づき環境湿度を特定する。エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報AJと、特定された環境温度および環境湿度とを対応付けて記憶させる。
【0086】
また、エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報AJをエアノズル位置情報記憶部444に記憶させる際に、エアノズル位置情報AJと、製造するフィルムの品種を表すフィルム品種情報とを対応付けて、エアノズル位置情報記憶部444に記憶させてもよい。フィルム品種情報は、ユーザによる操作部の操作により直接入力されてもよいし、予め登録されている複数のフィルム品種の中から、ユーザが操作部を操作して選択されてもよい。
【0087】
また、エアノズル位置情報処理部443は、エアノズル位置情報AJをエアノズル位置情報記憶部444に記憶させる際に、エアノズル位置情報AJと、調整者を特定する情報、記憶される時点の日時、備考などの情報と対応付けて記憶させてもよい。
【0088】
図10は、実施の形態1の変形例1に係るエアノズル位置情報記憶部444に記憶される情報の例を示すテーブルである。
図10に示すように、エアノズル位置情報AJは、エアノズル413の高さ位置、水平位置、および回動位置を含む。高さ位置は、例えば、エアノズル昇降装置419を構成する電動アクチュエータの可動部の位置に対応したデータ値である。同様に、水平位置は、例えば、エアノズル水平移動装置418を構成する電動アクチュエータの可動部の位置に対応したデータ値である。また、回動位置は、例えば、エアノズル回動装置417を構成する電動アクチュエータの可動部の回動位置に対応したデータ値である。
【0089】
また、エアノズル位置情報AJと対応付けられる情報は、
図10に示すように、例えば、環境温度、環境湿度、調整者のID番号、記憶される時点の日時、製造されるフィルムの製品名もしくは型番、備考をそれぞれ表す情報である。
【0090】
このような変形例1によれば、エアノズル位置情報AJを、製造するフィルムの種類と対応付けて記憶させる。そのため、製造するフィルムを切り替える場合に、そのフィルムの製造に適したエアノズルの位置および姿勢を、過去に記憶されたエアノズル位置情報から容易に復元あるいは再現させることができる。
【0091】
また、エアノズル位置情報に、エアノズル位置調整者を対応付けて記憶させる場合には、エアノズルの位置および姿勢をどのような考え方で調整したかを後から知りたい場合に、調整者に問い合せることができる。
【0092】
また、エアノズル位置情報AJに、環境温度あるいは環境湿度を対応付けて記憶させる場合には、現況と類似した環境温度あるいは環境湿度下でのエアノズルの位置および姿勢を再現させ、当該位置及び姿勢を基にエアノズルの位置合せを行うことができる。
【0093】
また、エアノズル位置情報AJに、備考を対応付けて記憶させる場合には、調整者のメモ書き、注意点など、エアノズルの位置合せに有益な情報を参照することができる。
【0094】
〈変形例2〉
変形例2は、エアノズル位置情報を、複数の樹脂成形システムが通信できるように接続された共有のサーバの記憶部に記憶させる例である。
【0095】
図11は、実施の形態1の変形例2に係る複数の樹脂成形システムおよびサーバの接続構成例を示す図である。
図11に示すように、変形例2では、樹脂成形システム1Aと樹脂成形システム1Bとがあり、それぞれ、共有のサーバ100に通信できるように接続されている。なお、変形例2では、サーバ100に2つの樹脂成形システム1A,1Bが接続された例であるが、サーバ100に3つ以上の樹脂成形システムが接続されてもよい。
【0096】
図11に示すように、変形例2による樹脂成形システム1Aは、システム用コンピュータ8A、冷却装置4A、およびエアノズル制御部44Aを有している。また、変形例2による樹脂成形システム1Bは、システム用コンピュータ8B、冷却装置4B、およびエアノズル制御部44Bを有している。
【0097】
図11に示すように、変形例2によるエアノズル制御部44A,44Bは、上記のエアノズル制御部44と同様の構成を有している。すなわち、エアノズル制御部44Aは、機能ブロックとして、エアノズル統括処理部441A、エアノズル移動制御部442A、エアノズル位置情報処理部443A、エアノズル位置情報記憶部444A、およびエアノズル運転制御部445Aを有している。同様に、エアノズル制御部44Bは、機能ブロックとして、エアノズル統括処理部441B、エアノズル移動制御部442B、エアノズル位置情報処理部443B、エアノズル位置情報記憶部444B、およびエアノズル運転制御部445Bを有している。
【0098】
樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル位置情報処理部443Aは、エアノズル位置情報AJを記憶させる際に、エアノズル位置情報AJを、システム用コンピュータ8Aを介してサーバ100におけるサーバ記憶部101に記憶させる。樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル位置情報処理部443Aは、エアノズル位置情報AJをサーバ記憶部101に記憶させる際に、樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル位置情報記憶部444Aにも記憶させてもよい。
【0099】
樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル移動制御部442Aは、エアノズル413Aの位置および姿勢を設定する際に、サーバ記憶部101からシステム用コンピュータ8Aを介してエアノズル位置情報AJを読み出す。そして、樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル移動制御部442Aは、読み出されたエアノズル位置情報AJに基づいて、エアノズル413Aの位置および姿勢を設定する。
【0100】
また、樹脂成形システム1Bにおけるエアノズル位置情報処理部443Bは、エアノズル413Bの位置および姿勢を設定する際に、サーバ100に含まれるサーバ記憶部101に記憶されているエアノズル位置情報AJを、システム用コンピュータ8Bを介して読み出してもよい。この場合、エアノズル位置情報処理部443Bは、エアノズル移動制御部442Bは、読み出されたエアノズル位置情報AJに基づいて、エアノズル413Bの位置および姿勢を制御する。
【0101】
このような変形例2によれば、エアノズル位置情報AJをサーバ記憶部101に記憶させるので、複数の樹脂成形システム1A,1Bの間でエアノズル位置情報AJを共有化することができる。
【0102】
したがって、ある樹脂成形システム1Aにおいて設定されたエアノズル413Aの位置および姿勢を、他の樹脂成形システム1Bのエアノズル413Bにおいて再現させることができる。すなわち、ある樹脂成形システム1Aにおいて適正に設定されたエアノズル413Aの位置および姿勢を、他の樹脂成形システム1Bにおけるエアノズル413Bにコピーして適用させることができる。その結果、複数の樹脂成形システム1において、同種のフィルムを製造する場合に、システムごとにエアノズル413の位置合せを行う必要がなくなり、当該位置合せを効率よく行うことができる。
【0103】
また、このような変形例2によれば、エアノズル413の位置および姿勢がコピーされた樹脂成形システム1において、システムの個体差により、仮に、エアノズル413の更なる位置合せが必要になっても、微小な調整だけで足りる。
【0104】
〈変形例3〉
変形例3は、複数の樹脂成形システムが互いに通信できるように接続され、ある樹脂成形システムにて取得されたエアノズル位置情報が、他の樹脂成形システムに送信され利用される例である。
【0105】
図12は、実施の形態1の変形例3に係る複数の樹脂成形システムの接続構成例を示す図である。
図12に示すように、変形例3による複数の樹脂成形システム1A,1Bは、変形例2による樹脂成形システム1A,1Bと同様の構成を有している。
【0106】
また、
図12に示すように、樹脂成形システム1Aと樹脂成形システム1Bとが互いに通信できるように接続されている。樹脂成形システム1Aにおけるエアノズル位置情報処理部443Aは、エアノズル位置情報記憶部444Aに記憶されているエアノズル位置情報AJを、システム用コンピュータ8Aを介して他の樹脂成形システム1Bに送信する。樹脂成形システム1Bにおけるエアノズル位置情報処理部443Bは、樹脂成形システム1Aから送信されたエアノズル位置情報AJを、システム用コンピュータ8Bを介して受信する。
【0107】
なお、エアノズル位置情報AJは、サーバを介して送信されてもよいし、サーバを介さず直接送信されてもよい。また、エアノズル位置情報AJは、システム用コンピュータを介さずに、エアノズル位置情報処理部443Aからエアノズル位置情報処理部443Bに直接送信されるようにしてもよい。
【0108】
このような変形例3によれば、ある樹脂成形システム1Aから、エアノズル位置情報AJが、他の樹脂成形システム1Bに送信されるので、変形例2の効果と同様の効果を奏する。例えば、ある樹脂成形システム1Aにおいて設定されたエアノズル413Aの位置および姿勢を、他の樹脂成形システム1Bのエアノズル413Bにおいて再現させることができる。
【0109】
〈変形例4〉
変形例4は、ある樹脂成形システムにて取得されたエアノズル位置情報が、記憶媒体を介して他の樹脂成形システムに移動され利用される例である。
【0110】
図13は、実施の形態1の変形例4に係る複数の樹脂成形システムおよび記憶媒体の例を示す図である。
図13に示すように、変形例4による複数の樹脂成形システム1A,1Bは、変形例2による樹脂成形システム1A,1Bと同様の構成をベースとして有している。一方、樹脂成形システム1Aは、搬送可能な記録媒体すなわち記録メディア110に対してデータを読み書きするメディアドライブ97Aを有している。同様に、他の樹脂成形システム1Bは、メディアドライブ97Bを有している。
【0111】
エアノズル位置情報処理部443Aは、エアノズル位置情報AJがメディアドライブ97Aにセットされている記録メディア110に書き込まれるように、メディアドライブ97Aを制御する。ユーザは、エアノズル位置情報AJが書き込まれた記録メディア110を、他の樹脂成形システム1Bのメディアドライブ97Bにセットする。エアノズル位置情報処理部443Bは、メディアドライブ97Bを制御して、記録メディア110からエアノズル位置情報AJを読み出し、エアノズル413Bのエアノズル位置情報として設定する。エアノズル位置情報処理部443Bは、読み出されたエアノズル位置情報AJを、エアノズル位置情報記憶部444Bに記憶させてもよい。
【0112】
なお、記録メディア110は、例えば、USBメモリ、SDカード、マイクロSDカード、外付けハードディスク、外付けSSD、CDロム、DVDロム、MOディスク、ブルーレイディスク、あるいはフロッピィディスクなどである。また、記録メディアがUSBポートに接続して使用されるタイプのものである場合には、USBポートがメディアドライブ97A,97Bに相当する。
【0113】
このような変形例4によれば、ある樹脂成形システム1Aから、エアノズル位置情報AJが、記録メディア110を介して、他の樹脂成形システム1Bに運ばれるので、変形例2の効果と同様の効果を奏する。例えば、ある樹脂成形システム1Aにおいて設定されたエアノズル413Aの位置および姿勢を、他の樹脂成形システム1Bのエアノズル413Bにおいて再現させることができる。
【0114】
〈変形例5〉
変形例5は、エアノズルの移動制御完了後に規定時間が経過すると、エアノズル位置情報が自動的に記憶される例である。
【0115】
図14は、実施の形態1の変形例5に係る冷却装置4eの要部構成例を示す図である。
図14に示すように、変形例5によるエアノズル制御部44eは、上記のエアノズル制御部44と同様の構成に加え、タイマまたは時計446を有している。
【0116】
また、変形例5によるエアノズル位置制御装置440eは、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、およびエアノズル位置情報記憶部444を構成要素として含む装置である。エアノズル位置制御装置440eは、本願が開示するエアノズル位置制御装置の一例である。
【0117】
エアノズル移動制御部442は、そのタイマまたは時計446の機能を用いて、エアノズル413の移動制御が一旦完了してからの経過時間を計測し、計測された経過時間が規定時間に達したか否かを判定する。
【0118】
エアノズル移動制御部442は、計測された経過時間が規定時間に達したと判定された場合に、その時点におけるエアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報AJを、エアノズル位置情報記憶部444に記憶させる。エアノズル移動制御部442は、計測された経過時間が規定時間に達していないと判定された場合には、エアノズル位置情報AJをエアノズル位置情報記憶部444に記憶させない。また、エアノズル413の移動制御が一旦完了してからの経過時間が規定時間に達する前に、次の移動制御が開始された場合には、エアノズル移動制御部442は、計測された経過時間をゼロにリセットする。
【0119】
図15は、実施の形態1の変形例5に係るエアノズル制御部44における処理の流れの一例を示す処理フロー図である。
図15に示すステップS201~S204の処理は、
図8に示すステップS101~104の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0120】
ステップS205では、エアノズル移動制御開始信号を受信したか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S205:Yes)には、処理ステップがステップS207に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S205:No)には、処理ステップがステップS206に移行される。
【0121】
ステップS206では、エアノズル移動制御信号を受信したか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S206:Yes)には、処理ステップはステップS207に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S206:No)には、処理ステップはステップS210に移行される。
【0122】
ステップS207では、エアノズルの移動制御が行われる。その後、処理ステップは、ステップS208に移行される。
【0123】
ステップS208では、移動制御完了後の経過時間の計測が開始される。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、タイマまたは時計446の機能を用いて、エアノズル413の位置および姿勢の少なくとも一方に係る制御が完了してからの経過時間の計測を開始する処理を実行する。その後、処理ステップはステップS209に移行される。
【0124】
ステップS209では、計測された経過時間が規定時間に達したか否かが判定される。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、計測された経過時間が規定時間に達したか否かを判定する処理を実行する。この判定において、肯定される場合(S209:Yes)には、処理ステップはステップS211に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S209:No)には、処理ステップはステップS210に移行される。
【0125】
ステップS210では、エアノズル位置記憶指令信号を受信したか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S210:Yes)には、処理ステップはステップS211に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S210:No)には、処理ステップはステップS213に移行される。
【0126】
ステップS211では、エアノズル位置情報の取得が行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、現時点におけるエアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報AJを取得する処理を実行する。その後、処理ステップはステップS212に移行される。
【0127】
ステップS212では、エアノズル位置情報の記憶が行われる。その後、処理ステップはステップS213に移行される。
【0128】
ステップS213では、経過時間のリセットが行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、計測されている経過時間をゼロにリセットする処理を実行する。その後、処理ステップはステップS214に移行される。
【0129】
ステップS214では、エアノズルの制御処理を終了させるか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S214:Yes)には、制御処理を終了させる。一方、この判定において、否定される場合(S214:No)には、処理ステップはステップS201に移行される。
【0130】
なお、エアノズル413の移動制御が一旦完了してから規定時間が経過してエアノズル位置情報AJが記憶される場合、そのエアノズル位置情報AJは、上書き保存されてもよいし、別の情報として保存されてもよい。
【0131】
上記規定時間は、予め定められた時間であってもよいし、ユーザによる操作によって入力された時間であってもよい。規定時間は、予め用意された複数の候補の中から選択的に設定されてもよい。規定時間は、例えば、10分、30分、1時間などであってよい。
【0132】
なお、エアノズル位置情報AJが自動的に保存される機能は、ユーザによりオンオフの切り替えが可能であってもよい。
【0133】
このような変形例5によれば、エアノズル413が移動制御されなくなってから一定の時間が経過すると、エアノズル位置情報AJが自動的に保存される。そのため、仮に、ユーザが、エアノズル位置情報AJを記憶させる操作を忘れた場合であっても、エアノズル位置情報AJが保存される。その結果、エアノズル位置情報の保存忘れを防ぐことができる。また、ユーザが、エアノズル位置情報AJを記憶させる操作を煩雑に感じて放置した場合であっても、エアノズル位置情報が保存される。その結果、ユーザは煩雑な操作を行わずにエアノズル位置情報AJを記憶させることができる。
【0134】
〈変形例6〉
変形例6は、冷却装置において、エアノズルの近傍領域を撮像する撮像センサが設けられ、その撮像センサから出力される画像信号が解析され、解析結果に基づいて、エアノズルが他の部材に接触しないように、エアノズルの移動制御に制限が掛けられる例である。
【0135】
エアノズルとTダイとキャストロールとは、互いに近い位置に配置されることが多い。一方、これらの各部材は、デリケートで傷付き易い。したがって、各部材が互いに接触して傷つかないように、エアノズルの位置調整は、慎重に行う必要がある。
【0136】
そこで、変形例6による冷却装置では、エアノズルとその周囲の部材との位置関係を特定できるように、エアノズルの送風口の近傍領域を撮像する撮像センサが設けられる。エアノズル移動制御部は、その撮像センサから出力される画像信号を取得して解析し、解析結果として、エアノズルとその周囲の部材との位置関係を特定する。そして、エアノズル移動制御部は、特定された位置関係に基づいて、エアノズルが他の部材と接触しないように、エアノズルの移動範囲あるいは移動量を制限する。
【0137】
図16は、実施の形態1の変形例6に係る冷却装置4fの要部構成例を示す図である。
図16に示すように、変形例6によるエアノズル制御部44fは、上記のエアノズル制御部44と同様の構成を有している。
【0138】
また、変形例6によるエアノズル位置制御装置440fは、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、およびエアノズル位置情報記憶部444を構成要素として含む装置である。エアノズル位置制御装置440fは、本願が開示するエアノズル位置制御装置の一例である。
【0139】
図16に示すように、冷却装置4fは、エアノズル413とその周囲の部材との位置関係を特定できるように、エアノズル413の送風口の近傍領域を撮像する撮像センサ451を有する。
【0140】
撮像センサ451は、例えば、エアノズル413の外側から、エアノズル413の長手方向に向かい、エアノズル413とその周囲の部材との間の領域が含まれる領域を、複数回に亘って連続的に繰り返し撮像する。撮像センサ451は、撮像により得られた画像を表す画像信号GJを出力する。エアノズル移動制御部442は、撮像センサ451から出力される画像信号GJを受信し取得する。なお、
図16において、撮像センサ451は、概念的に描かれており、実際に配置される位置とは異なる位置に描かれている。
【0141】
エアノズル移動制御部442は、取得された画像信号GJを解析して、解析結果として、エアノズル413とその周囲の部材との位置関係を特定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413の移動を制御する際に、特定した位置関係に基づいて、エアノズル413がその周囲の部材、すなわちTダイ3あるいは第一キャストロール411と接触する可能性が高いか否かを逐次判定する。エアノズル移動制御部442は、接触する可能性が高いと判定された場合には、エアノズル413の移動制御を停止させる。
【0142】
あるいは、エアノズル移動制御部442は、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容範囲を決定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413が、決定された移動可能範囲内で移動するように、エアノズル413の移動制御に制限を掛ける。
【0143】
あるいは、エアノズル移動制御部442は、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容量を移動方向ごとに決定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413が、決定された移動許容量だけ移動するように、エアノズル413の移動制御に制限を掛ける。
【0144】
なお、撮像センサ451は、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどである。
【0145】
図17は、実施の形態1の変形例6に係るエアノズル制御部44fにおける処理の流れの一例を示す処理フロー図である。この処理フローは、エアノズル移動制御部442が、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容量を決定する場合の例である。
【0146】
図17に示すステップS301~S304の処理は、
図8に示すステップS101~S104の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0147】
ステップS305では、エアノズル移動制御開始信号を受信したか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S305:Yes)には、処理ステップがステップS307に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S305:No)には、処理ステップがステップS306に移行される。
【0148】
ステップS306では、エアノズル移動制御信号を受信したか否かの判定が行われる。。この判定において、肯定される場合(S306:Yes)には、処理ステップはステップS307に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S306:No)には、処理ステップはステップS311に移行される。
【0149】
ステップS307では、撮像センサからの画像信号の受信が行われる。具体的には、撮像センサ451が、エアノズル413の送風口の近傍領域を撮像して得られた画像信号GJを出力する。エアノズル移動制御部442は、撮像センサ451から出力される画像信号GJを受信する処理を実行する。その後、処理ステップはステップS308に移行される。
【0150】
ステップS308では、画像信号の解析が行われる。具体的には、エアノズル移動制御部442が、受信された画像信号GJを解析し、解析結果として、エアノズル413とその周囲の他の部材との位置関係を特定する。その後、処理ステップはステップS309に移行される。
【0151】
ステップS309では、エアノズルの移動許容範囲の設定が行われる。具体的には、エアノズル移動制御部442が、特定された位置関係に基づいて、エアノズル413が他の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容範囲を決定し設定する。その後、処理ステップはステップS310に移行される。
【0152】
ステップS310では、エアノズルの移動制御が行われる。その後、処理ステップは、ステップS311に移行される。
【0153】
ステップS311では、エアノズル位置記憶指令信号を受信したか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S311:Yes)には、処理ステップはステップS312に移行される。一方、この判定において、否定される場合(S311:No)には、処理ステップはステップS314に移行される。
【0154】
ステップS312では、エアノズル位置情報の取得が行われる。具体的には、エアノズル位置情報処理部443が、現時点におけるエアノズル413の位置および姿勢を表すエアノズル位置情報AJを取得する処理を実行する。その後、処理ステップはステップS313に移行される。
【0155】
ステップS313では、エアノズル位置情報の記憶が行われる。その後、処理ステップはステップS314に移行される。
【0156】
ステップS314では、エアノズルの制御処理を終了させるか否かの判定が行われる。この判定において、肯定される場合(S314:Yes)には、制御処理を終了させる。一方、この判定において、否定される場合(S314:No)には、処理ステップはステップS301に移行される。
【0157】
このような変形例6によれば、エアノズル移動制御部442の上記制御により、エアノズル413が周囲の部材と接触することを未然に防ぐことができる。
【0158】
〈変形例7〉
変形例7は、冷却装置において、エアノズルとその周辺の部材との距離に応じた距離信号を出力する距離センサが設けられ、その距離センサから出力される距離信号が解析され、解析結果に基づいて、エアノズルが他の部材に接触しないように、エアノズルの移動制御に制限が掛けられる例である。
【0159】
図18は、実施の形態1の変形例7に係る冷却装置4gの要部構成例を示す図である。
図18に示すように、変形例7によるエアノズル制御部44gは、上記のエアノズル制御部44と同様の構成を有している。
【0160】
また、変形例7によるエアノズル位置制御装置440gは、エアノズル移動制御部442、エアノズル位置情報処理部443、およびエアノズル位置情報記憶部444を構成要素として含む装置である。エアノズル位置制御装置440gは、本願が開示するエアノズル位置制御装置の一例である
【0161】
図18に示すように、変形例7による冷却装置4gは、エアノズル413とその周囲の部材との位置関係を特定できるように、エアノズル413に設けられる距離センサ452を有する。
【0162】
距離センサ452は、例えば、Tダイ3との距離および第一キャストロール411との距離のうち少なくとも1つの距離に応じた距離信号LJを出力する。エアノズル移動制御部442は、距離センサ452から出力される距離信号LJを受信し取得する。なお、
図18において、距離センサ452は、概念的に描かれており、最適な位置に配置されて描かれているわけではない。
【0163】
エアノズル移動制御部442は、取得された距離信号LJを解析して、解析結果として、エアノズル413とその周囲の部材との位置関係を特定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413の移動を制御する際に、特定した位置関係に基づいて、エアノズル413がその周囲の部材、すなわちTダイ3あるいは第一キャストロール411と接触する可能性が高いか否かを逐次判定する。エアノズル移動制御部442は、接触する可能性が高いと判定された場合には、エアノズル413の移動制御を停止させる。
【0164】
あるいは、エアノズル移動制御部442は、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容範囲を決定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413が、決定された移動可能範囲内で移動するように、エアノズル413の移動制御に制限を掛ける。
【0165】
あるいは、エアノズル移動制御部442は、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容量を移動方向ごとに決定する。そして、エアノズル移動制御部442は、エアノズル413が、決定された移動許容量だけ移動するように、エアノズル413の移動制御に制限を掛ける。
【0166】
なお、距離センサ452は、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波レーダセンサなどである。
【0167】
図19は、実施の形態1の変形例7に係るエアノズル制御部44gにおける処理の流れの一例を示す処理フロー図である。この処理フローは、エアノズル移動制御部442が、特定したエアノズル413との周囲の部材との位置関係に基づいて、エアノズル413が周囲の部材と接触しないような、エアノズル413の移動許容量を決定する場合の例である。
【0168】
図19に示すステップS401~S414は、
図17に示すステップS301~S314と共通する処理ステップが多い。ステップS301~S314と比較して異なるステップは、ステップS407,S408である。そこで、ここでは、ステップS407,S408についてのみ説明し、これら以外のステップについては説明を省略する。
【0169】
ステップS407では、距離センサからの処理信号の受信が行われる。具体的には、距離センサ452が、エアノズル413の送風口とTダイ3との距離に応じた距離信号、あるいは、エアノズル413の送風口と第一キャストロール411との距離に応じた距離信号を含む距離信号LJを出力する。エアノズル移動制御部442は、距離センサ452から出力される距離信号LJを受信する処理を実行する。その後、処理ステップはステップS408に移行される。
【0170】
ステップS408では、距離信号の解析が行われる。具体的には、エアノズル移動制御部442が、受信された距離信号LJを解析し、解析結果として、エアノズル413とその周囲の他の部材との位置関係を特定する。その後、処理ステップはステップS409に移行される。
【0171】
このような変形例7によれば、エアノズル移動制御部442の上記制御により、エアノズル413が周囲の部材と接触することを未然に防ぐことができる。
【0172】
(実施の形態2)
上述した樹脂成形システム1におけるエアノズル位置制御方法は、本願が開示する一実施の形態である。すなわち、エアノズル移動制御部が、エアノズル移動制御信号、またはエアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程と、エアノズル位置情報処理部が、現時点におけるエアノズル位置情報をエアノズル位置情報記憶部に記憶させる工程と、エアノズル位置情報処理部が、読出指令信号に基づいて、エアノズル位置情報記憶部に記憶されているエアノズル位置情報を読み出し、エアノズル移動制御部に送信する工程と、を含むエアノズル位置制御方法は、本願が開示する一実施の形態である。
【0173】
あるいは、プロセッサに、プログラムを実行させることにより、エアノズル移動制御信号、またはエアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程と、現時点におけるエアノズル位置情報をメモリに記憶させる工程と、読出指令信号に基づいて、メモリに記憶されているエアノズル位置情報を読み出す工程と、を実行させる、エアノズル位置制御方法は、本願が開示する一実施の形態である。
【0174】
本実施の形態のエアノズル位置制御方法によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。すなわち、樹脂成形システムの適正な運転条件を、より安定して設定することができる。
【0175】
(実施の形態3)
また、コンピュータを、上記エアノズル移動制御部を構成する各機能ブロックとして機能させるためのプログラムは、本願が開示する一実施の形態である。
【0176】
また、コンピュータに、エアノズル移動制御信号、またはエアノズルの位置および姿勢を表すエアノズル位置情報に基づいて、エアノズルの位置および姿勢を変化させる移動装置を制御することにより、エアノズルの位置および姿勢の少なくとも一方を制御する工程と、現時点におけるエアノズル位置情報をメモリに記憶させる工程と、読出指令信号に基づいて、メモリに記憶されているエアノズル位置情報を読み出す工程と、を実行させるためのプログラムは、本願が開示する一実施の形態である。
【0177】
さらに、このようなプログラムが記録された、非一時的な有体のコンピュータ読み取り可能な記録媒体もまた、本願が開示する一実施の形態である。
【0178】
本実施の形態であるプログラムあるいは記録媒体によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。すなわち、樹脂成形システムの適正な運転条件を、より安定して設定することができる。
【0179】
以上、複数の実施の形態および複数の変形例について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。さらに文中や図中に含まれる数値やメッセージ等もあくまで一例であり、異なるものを用いても本発明の効果を損なうものではない。
【0180】
また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の少なくとも1つの構成要素、機能等は、MPU、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。また、ソフトウェアにより実現される機能の範囲は限定されるものでなく、ハードウェアとソフトウェアを併用してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0181】
1,1A,1B…樹脂成形システム
2…押出装置
3…Tダイ
4…冷却装置
5…縦延伸装置
6…横延伸装置
7…巻取装置
8,8A,8B…システム用コンピュータ
10…原料
10a,10b,10c,10d,10e…樹脂
20…押出装置用コンピュータ
40…冷却装置用コンピュータ
43…ロール制御部
44,44a,44f,44g…エアノズル制御部
50…縦延伸装置用コンピュータ
60…横延伸装置用コンピュータ
70…巻取装置用コンピュータ
82…運転条件設定部
83…装置制御部
91…システム用操作部
92…システム用表示部
93…冷却装置用操作部
94…冷却装置用表示部
100…サーバ
101…サーバ記憶部
110…記録メディア
401…通信バス
402…プロセッサ
403…メモリ
404…ストレージ
405…プログラム
406…データ
407…インタフェース
411…第一キャストロール
412…第二キャストロール
413…エアノズル
414…第一キャストロール昇降装置
415…第二キャストロール昇降装置
416…キャストロール水平移動装置
417…エアノズル回動装置
418…エアノズル水平移動装置
419…エアノズル昇降装置
420…支持台
421~424…搬送ロール
441…エアノズル統括処理部
442…エアノズル移動制御部
443…エアノズル位置情報処理部
444…エアノズル位置情報記憶部
445…エアノズル運転制御部
451…撮像センサ
452…距離センサ
801…通信バス
802…プロセッサ
803…メモリ
804…ストレージ
805…プログラム
806…データ
807…インタフェース