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特開2024-135899自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135899
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240927BHJP
【FI】
G07B15/00 501
G07B15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046801
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 貴行
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 竜三
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA18
3E127CA02
3E127CA37
3E127CA41
3E127CA48
3E127DA02
3E127DA17
3E127DA20
3E127DA30
3E127DA33
3E127EA43
3E127FA09
3E127FA44
3E127FA50
3E127FA53
(57)【要約】
【課題】利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機によって読み取られてしまうことを防止することができる自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の自動改札機は、読取部と、選択部と、制御部とを持つ。読取部は、読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取る機能を有する。選択部は、使用する媒体を利用者に選択させる。制御部は、前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りが不可能となるように前記読取部を制御するとともに、前記利用者によって選択された媒体を前記読取部に読み取らせ、前記読取部によって読み取られた情報に基づいて前記利用者の通行の可否を判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取る機能を有する読取部と、
使用する媒体を利用者に選択させる選択部と、
前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りが不可能となるように前記読取部を制御するとともに、前記利用者によって選択された媒体を前記読取部に読み取らせ、前記読取部によって読み取られた情報に基づいて前記利用者の通行の可否を判定する制御部と、
を備える自動改札機。
【請求項2】
前記読取部は、
第1媒体を読み取る第1読取部と、
前記第1媒体とは前記読取方式の異なる第2媒体を読み取る第2読取部と、を備える、
請求項1記載の自動改札機。
【請求項3】
前記第1読取部の設けられた位置を点灯する第1点灯部と、
前記第2読取部の設けられた位置を点灯する第2点灯部と、を備え、
前記制御部は、前記利用者が前記第1媒体を選択した場合には前記第2点灯部を消灯させ、前記利用者が前記第2媒体を選択した場合には前記第1点灯部を消灯させる、
請求項2記載の自動改札機。
【請求項4】
前記利用者が前記自動改札機の通路を出口側から退出したことを検知する第1検知部を更に備え、
前記制御部は、前記利用者の通行を許可すると判定した場合、前記利用者が前記通路を出口側から退出したことを前記第1検知部が検知したことに応じて、前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りを前記読取部に対して許可する、
請求項1記載の自動改札機。
【請求項5】
前記利用者が前記自動改札機の通路を入口側から退出したことを検知する第2検知部を更に備え、
前記制御部は、前記利用者の通行を許可しないと判定した場合、前記利用者が前記通路を入口側から退出したことを前記第2検知部が検知したことに応じて、前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りを前記読取部に対して許可する、
請求項1記載の自動改札機。
【請求項6】
使用する媒体の種類が前記利用者によって選択されていない場合、前記制御部は、前記読取方式を切り替えながら繰り返し媒体を読み取らせるよう前記読取部を制御する、
請求項1記載の自動改札機。
【請求項7】
前記制御部は、前記選択部に対する前記利用者からの入力に応じて、前記利用者によって選択された媒体の選択状態を解除する、
請求項1記載の自動改札機。
【請求項8】
読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取る機能を有する読取部を備える自動改札機が、
使用する媒体を利用者に選択させ、
前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りが不可能となるように前記読取部を制御するとともに、前記利用者によって選択された媒体を前記読取部に読み取らせ、前記読取部によって読み取られた情報に基づいて前記利用者の通行の可否を判定する、
自動改札機の制御方法。
【請求項9】
読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取る機能を有する読取部を備える自動改札機に、
使用する媒体を利用者に選択させる処理と、
前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りが不可能となるように前記読取部を制御するとともに、前記利用者によって選択された媒体を前記読取部に読み取らせ、前記読取部によって読み取られた情報に基づいて前記利用者の通行の可否を判定させる処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子マネーがチャージされたICカードを乗車券として使用することが可能な自動改札機が知られている。例えば、従来の自動改札機は、リーダライタを用いてICカードに対する情報(入場駅や出場駅等の情報)の読み書きを行っていた。
【0003】
ICカード以外に、QRコード(登録商標)などの読取方式の異なる媒体を乗車券として使用することができれば、自動改札機の利便性を向上させることができる。そこで、読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取り可能な読取部を自動改札機に設けることが考えられるが、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機によって読み取られてしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-57021号公報
【特許文献2】特開2018-147269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機によって読み取られてしまうことを防止することができる自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自動改札機は、読取部と、選択部と、制御部とを持つ。読取部は、読取方式の異なる複数種類の媒体を読み取る機能を有する。選択部は、使用する媒体を利用者に選択させる。制御部は、前記利用者によって選択されていない媒体の読み取りが不可能となるように前記読取部を制御するとともに、前記利用者によって選択された媒体を前記読取部に読み取らせ、前記読取部によって読み取られた情報に基づいて前記利用者の通行の可否を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態における改札機システム1を示す図。
図2】ICカード90の構成および機能を示す図。
図3】携帯端末装置200の構成および機能を示す図。
図4】自動改札機30の機能構成を示す図。
図5】センターサーバ装置50の機能構成を示す図。
図6】電子マネーサーバ装置70の機能構成を示す図。
図7】入出場管理テーブル64の内容を示す図。
図8】電子マネー情報82の内容を示す図。
図9】改札機システム1により実行される処理を示すシーケンス図。
図10】媒体の選択が行われていない場合の自動改札機30の外観を示す図。
図11】媒体の選択が行われた場合の自動改札機30の外観を示す図。
図12】自動改札機30によって実行される第1読取処理を示すフローチャート。
図13】自動改札機30によって実行されるNG解除処理を示すフローチャート。
図14】自動改札機30によって実行される第2読取処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の自動改札機、自動改札機の制御方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
[全体構成]
図1は、第1の実施形態における改札機システム1を示す図である。改札機システム1は、例えば、A駅システム10Aと、B駅システム10Bと、センターサーバ装置50と、電子マネーサーバ装置70Aと、電子マネーサーバ装置70Bとを備える。なお、改札機システム1は、A駅システム10AおよびB駅システム10Bの他に、複数の駅システムを含んでもよい。以下、A駅システム10Aと、B駅システム10Bとを区別しない場合は、単に「駅システム10」と称する。また、図示する例では、A駅システム10Aに含まれる構成を符号の末尾に「A」を付し、B駅システム10Bに含まれる構成を符号の末尾に「B」を付して示している。いずれの駅システムに含まれる構成であるか区別しない場合は、「A」または「B」を省略して示す。
【0010】
また、駅システム10は、例えば、自動改札機30や決済端末40の他、駅サーバ、券売機、駅務機器等を備える。駅サーバは、ネットワークNWを介してセンターサーバ装置50から取得した情報を、専用線(または公衆回線)を介して自動改札機30に送信したり、自動改札機30から専用線(または公衆回線)を介して取得した情報を、ネットワークNWを介してセンターサーバ装置50に送信したりする。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)、Wi-Fi網、インターネット等である。自動改札機30と、決済端末40とは、例えば専用線を介して通信する。
【0011】
決済端末40は、例えば、駅サーバを介さず、ネットワークNWに直接アクセスして電子マネーサーバ装置70と通信し、情報を送受信する。なお、決済端末40は、駅サーバを介して、ネットワークNWに直接アクセスしてもよい。
【0012】
[媒体]
ここで、本実施形態の改札機システム1において、利用される媒体Mについて説明する。媒体Mは、例えば、一以上の電子マネーのサービスの管理に用いられる情報を含む媒体である。媒体Mは、複数の電子マネーのサービスごとに、サービスのIDや、チャージ金額、利用履歴(例えば○○店舗利用等)等を書き込み可能な媒体であってもよい。すなわち、媒体Mは、複数の電子マネーのサービスの情報がそれぞれ独立して管理可能な媒体であってもよい。媒体Mは、ICカードであってもよいし、ICカードの機能を有する携帯端末装置であってもよいし、QRコード(登録商標)等のコード画像を表示する携帯端末装置であってもよい。
【0013】
図2は、ICカード90の構成および機能を示す図である。ICカード90は、無線通信機能を有する媒体である。ICカード90は、例えば、基材91と、チップ92と、アンテナ93とを備える。チップ92は、例えば、基材91に含まれるパッシブタイプのICチップである。チップ92は、RFID(Radio Frequency IDentifier)技術によって、自動改札機30のリーダライタとの間で情報を送受信する。チップ92は、自動改札機30により送信されたコマンド(信号)に応答して情報を送信する、コマンドレスポンス方式に基づいて処理を実行する。チップ92は、例えば、送受信部94、制御回路95、記憶部96などを備える。送受信部94は、自動改札機30により送信された電波に含まれる情報を復調したり、情報を重畳するための電波を生成し、生成した電波に情報を重畳したりする。
【0014】
制御回路95は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。制御回路95は、自動改札機30により送信されたコマンドの内容に応じて、記憶部96に情報を書き込んだり、記憶部96に書き込まれた情報を読み出したりする。また、制御回路95は、記憶部96に記憶された情報を読み出し、アンテナ93および送受信部94を用いて、読み出した情報を自動改札機30に送信する。
【0015】
記憶部96には、制御回路95により実行されるプログラムや、媒体ID、電子マネーのチャージ金額(入金金額)等がエンコードされて記憶されている。以下、具体的に説明する。記憶部96には、例えば、第1記憶領域AR1と、第2記憶領域AR2とが設定されている。第1記憶領域AR1には、例えば、ICカード90の識別情報(以下、「媒体ID」と称する)が記憶されている。媒体IDは、ICカード90において管理される電子マネーのサービスに関わらず、ICカード90のチップ92ごとに付与される識別情報である。この媒体IDは、チップ92に対して、予め定められた所定のプロトコルで通信が行われることによって取得される情報である。
【0016】
第2記憶領域AR2は、例えば、第1の電子マネーサービス領域AR2-1、第2の電子マネーサービス領域AR2-2、および第3の電子マネーサービス領域AR2-3が設定されている。第1の電子マネーサービス領域AR2-1には、第1の電子マネーのサービスに関する情報が記憶され、第2の電子マネーサービス領域AR2-2には、第2の電子マネーのサービスに関する情報が記憶され、第3の電子マネーサービス領域AR2-3には、第3の電子マネーのサービスに関する情報が記憶されている。第1の電子マネーのサービスに関する情報、第2の電子マネーのサービスに関する情報、または第3の電子マネーのサービスに関する情報は、当該電子マネーのサービスに対応するアクセス権を有する装置によって、当該電子マネーのサービスに対応するプロトコルで通信が行われることで取得または書き換えられる。
【0017】
第1の電子マネーのサービスに関する情報は、第1のサービスID、第1のチャージ金額、および第1の利用履歴を含む。第1のサービスIDは、第1の電子マネーのサービスの管理者により管理されているIDである。第2の電子マネーのサービスに関する情報は、第2のサービスID、第2チャージ金額、および第2の利用履歴を含む。第2のサービスIDは、第2の電子マネーのサービスの管理者により管理されているIDである。第3の電子マネーのサービスに関する情報は、第3のサービスID、第3チャージ金額、および第3の利用履歴を含む。第3のサービスIDは、第3の電子マネーのサービスの管理者により管理されているIDである。以下、第1のサービスID、第2のサービスID、および第3のサービスIDを区別しない場合は、「サービスID」と称する。
【0018】
また、ICカード90には、少なくとも媒体IDを書き込む領域が設定され、利用者の入場駅の情報、出場駅の情報、またはチャージ金額を書き込む領域は設定されていなくてもよい。この場合、チャージ金額は、電子マネーサーバ装置70側で管理される。また、ICカード90には、媒体IDと、一つの電子マネーのサービスに関する情報のみが記憶されていてもよい。
【0019】
また、ICカード90に代えて(または加えて)、カードエミュレーション機能を有する携帯電話などの携帯端末装置が改札機システム1において利用されてもよい。
【0020】
以上、媒体Mの一例としてICカード90について説明したが、媒体Mはこれに限らない。例えば、媒体Mは、コード画像を乗車券として表示して自動改札機30に読み取らせる携帯端末装置であってもよい。以下、コード画像の一例として、QRコード(登録商標)を乗車券として表示して自動改札機30に読み取らせる携帯端末装置について説明する。
【0021】
図3は、携帯端末装置200の構成および機能を示す図である。携帯端末装置200は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。携帯端末装置200は、IC乗車券としての機能と、QRコード(登録商標)乗車券としての機能とを有する。
【0022】
携帯端末装置200は、例えば、通信部210と、制御部220と、第1処理部230と、第2処理部240と、タッチパネル250と、記憶部260とを備える。
【0023】
通信部210は、ネットワークNWを介して電子マネーサーバ装置70等の他の装置と通信するための通信インターフェースである。
【0024】
タッチパネル250は、表示部251と、入力部252と備える。表示部251は、携帯端末装置200の処理結果に応じた画像を表示する。入力部252は、利用者の操作を受け付ける。
【0025】
記憶部260は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはRAM(Random Access Memory)等である。記憶部260は、携帯端末装置200がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。記憶部260には、制御部220により実行されるプログラムや、媒体ID262が記憶されている。また、記憶部260には、これらの情報の他、QRコード(登録商標)決済サービスのサービスIDも記憶されている。
【0026】
制御部220は、携帯端末装置200全体の制御を統括する。制御部220は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0027】
第1処理部230は、IC乗車券としての機能を実行する処理部である。第1処理部230は、ICカード90と同様の機能を有しており、前述のチップ92およびアンテナ93を備えていてよい。このため、第1処理部230は、RFID技術によって、自動改札機30のリーダライタとの間で情報を送受信することができる。
【0028】
第2処理部240は、QRコード(登録商標)乗車券としての機能を実行する処理部である。第2処理部240は、記憶部260から乗車券アプリを読み出して実行し、媒体ID262がコード化されたQRコード(登録商標)を表示部251に表示させる。表示部251に表示されたQRコード(登録商標)は、自動改札機30によって読み取られることとなる。
【0029】
[自動改札機]
図4は、自動改札機30の機能構成を示す図である。自動改札機30は、例えば、通信部31と、制御部32と、ドア33と、ドア駆動部34と、第1読取部35-1と、第2読取部35-2と、第1点灯部36-1と、第2点灯部36-2と、第1検知部37-1と、第2検知部37-2と、タッチパネル38とを備える。
【0030】
通信部31は、決済端末40やセンターサーバ装置50等と通信するための通信インターフェースである。通信部31は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0031】
制御部32は、自動改札機30全体の制御を統括する。制御部32は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0032】
ドア33は、自動改札機30の通路に設けられた扉であり、利用者の通行の可否を案内する。ドア駆動部34は、ドア33を開閉するための駆動装置であり、例えばモータを備えていてよい。
【0033】
第1読取部35-1は、IC乗車券としての媒体M(ICカード90や携帯端末装置200)から情報を読み取る読取部である。具体的に、第1読取部35-1は、鉄道の利用者により翳された媒体Mと通信して、媒体Mから媒体IDを読み取るとともに、自動改札機30が設けられた駅の入場記録や出場記録等を媒体Mに書き込むリーダライタである。
【0034】
第2読取部35-2は、QRコード(登録商標)乗車券としての媒体M(携帯端末装置200)から情報を読み取る読取部である。QRコード(登録商標)乗車券としての媒体Mの読取方式は、IC乗車券としての媒体Mの読取方式と異なる。具体的に、第2読取部35-2は、鉄道の利用者により翳された媒体Mに表示されたQRコード(登録商標)を光学的に読み取り、読み取った情報をデコードすることにより、媒体Mの媒体IDを読み取る。
【0035】
第1点灯部36-1は、第1読取部35-1の設けられた位置を点灯する、LED(Light Emitting Diode)等の照明装置である。第2点灯部36-2は、第2読取部35-2の設けられた位置を点灯する、LED等の照明装置である。
【0036】
第1検知部37-1は、自動改札機30の出口付近に設けられ、利用者が自動改札機30の通路を出口側から退出したことを検知するためのセンサである。第2検知部37-2は、自動改札機30の入り口付近に設けられ、利用者が自動改札機30の通路を入口側から退出したことを検知するためのセンサである。
【0037】
タッチパネル38は、表示部38-1と、入力部38-2と備える。表示部38-1は、後述する媒体選択画面等を表示する。入力部38-2は、利用者の操作を受け付ける。
【0038】
制御部32は、通信部31を制御して、第1読取部35-1または第2読取部35-2により取得された媒体IDをセンターサーバ装置50に送信する。また、制御部32は、通信部31を介して、センターサーバ装置50により送信された鉄道の利用運賃を示す運賃情報を受信する。制御部32は、通信部31を制御して、センターサーバ装置50から受信した運賃情報等を決済端末40に送信する。決済端末40は、自動改札機30から受信した運賃情報に基づき、決済処理を行う。
【0039】
[センターサーバ装置]
図5は、センターサーバ装置50の機能構成を示す図である。センターサーバ装置50は、例えば、通信部52と、情報管理部54と、運賃導出部56と、記憶部60とを備える。
【0040】
通信部52は、自動改札機30等と通信するための通信インターフェースである。通信部52は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0041】
情報管理部54および運賃導出部56は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0042】
情報管理部54は、通信部52を介して、自動改札機30により送信された情報を受信し、受信した情報を入出場管理テーブル64において管理する。情報管理部54は、通信部52を制御して、運賃導出部56により導出された鉄道の利用運賃を出場駅の自動改札機30に送信する。
【0043】
運賃導出部56は、受信した媒体IDと、利用者の入場駅および出場駅との駅間の運賃とに基づいて、鉄道の利用運賃を導出する。
【0044】
記憶部60は、HDD、フラッシュメモリ、またはRAM等である。記憶部60は、センターサーバ装置50がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。記憶部60には、情報管理部54または運賃導出部56により実行されるプログラムや、運賃テーブル62、入出場管理テーブル64等が記憶されている。運賃テーブル62は、駅間の運賃が一覧となっている情報であり、運賃導出部56が運賃を導出する際に使用される。入出場管理テーブル64については後述する。
【0045】
[電子マネーサーバ装置]
電子マネーサーバ装置70Aは、第1の電子マネーのサービスを管理する装置である。電子マネーサーバ装置70Bは、第2の電子マネーのサービスを管理する装置である。電子マネーサーバ装置70Aおよび電子マネーサーバ装置70Bを区別しない場合は、単に、「電子マネーサーバ装置70」と称する。改札機システム1は、その他に、第3または第4の電子マネーのサービスを管理する装置が含まれてもよい。
【0046】
図6は、電子マネーサーバ装置70の機能構成を示す図である。電子マネーサーバ装置70は、例えば、通信部72と、決済管理部74と、記憶部80とを備える。
【0047】
通信部72は、決済端末40等と通信するための通信インターフェースである。通信部72は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0048】
決済管理部74は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。決済管理部74は、決済端末40により行われた決済処理を電子マネー情報82において管理する。
【0049】
記憶部80は、HDD、フラッシュメモリ、またはRAM等である。記憶部80は、電子マネーサーバ装置70がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。記憶部80には、決済管理部74により実行されるプログラムや、後述する電子マネー情報82等が記憶されている。
【0050】
[改札機システムの処理の概要]
入場駅において、利用者が媒体Mを自動改札機30の第1読取部35-1または第2読取部35-2に翳すと、自動改札機30は、第1読取部35-1または第2読取部35-2が読み取った媒体IDと、自動改札機30が設置された駅の識別情報をセンターサーバ装置50に送信する。この媒体IDは、センターサーバ装置50の入出場管理テーブル64において管理される。
【0051】
図7は、入出場管理テーブル64の内容を示す図である。入出場管理テーブル64は、媒体IDに対して、入場駅の情報、入場時刻、出場駅の情報、出場時刻、入場駅と出場駅との間の運賃、運賃の決済が完了しているか否かを示す情報、および利用者が利用する電子マネーのサービスの種別が対応付けられた情報の一覧である。
【0052】
センターサーバ装置50の情報管理部54は、自動改札機30により送信された媒体IDや駅の識別情報を取得すると、入出場管理テーブル64において媒体IDに対応し、且つ該当する項目に取得した情報を対応付ける。例えば、情報管理部54は、入出場管理テーブル64において、媒体IDに対して駅の識別情報が対応付けられていない状態で、駅の識別情報を取得すると、当該駅を入場駅とみなし、駅の識別情報を取得した時刻を入場時刻とみなす。
【0053】
また、出場駅において、利用者が媒体Mを自動改札機30の第1読取部35-1または第2読取部35-2に翳すと、自動改札機30は、第1読取部35-1または第2読取部35-2が読み取った媒体IDや自動改札機30が設置された駅の識別情報をセンターサーバ装置50に送信する。
【0054】
センターサーバ装置50の情報管理部54は、自動改札機30により送信された媒体IDや駅の識別情報を取得すると、入出場管理テーブル64において媒体IDに対応し、且つ該当する項目に取得した情報を対応付ける。例えば、情報管理部54は、入出場管理テーブル64において、媒体IDに対して入場駅の識別情報が対応付けられている状態で、駅の識別情報を取得すると、当該駅を出場駅とみなし、駅の識別情報を取得した時刻を出場時刻とみなす。
【0055】
更に、センターサーバ装置50の運賃導出部56は、運賃テーブル62を参照し、入出場管理テーブル64の入場駅から出場駅までの運賃を導出する。また、情報管理部54は、通信部52を制御することにより、導出された運賃を出場駅の自動改札機30に送信する。
【0056】
運賃を受信した自動改札機30は、受信した運賃を決済端末40に送信する。決済端末40は、自動改札機30から運賃を受信すると、運賃を決済するための決済処理を実行する。決済処理では、チャージ金額から運賃を差し引く等の処理が行われる。そして、決済端末40は、決済の明細(差し引いた金額やチャージ金額(残額)、媒体Mが利用された事業者名)を、電子マネーサーバ装置70に送信する。電子マネーサーバ装置70は、決済の明細を取得すると、電子マネー情報82を更新する。
【0057】
図8は、電子マネー情報82の内容を示す図である。電子マネー情報82は、媒体IDおよびサービスIDに対して、利用後のチャージ金額、媒体Mが利用された日時、媒体Mの利用金額、および媒体Mが利用された事業者名が対応付けられた情報の一覧である。決済管理部74は、決済の明細を取得すると、電子マネー情報82において媒体IDに対応し、且つ該当する項目に取得した情報を対応付け、媒体Mの利用状況を管理する。これにより、運賃が媒体Mのチャージ金額によって支払われ、利用者の入出場処理が完了する。
【0058】
なお、本実施形態の改札機システム1では、入場駅や出場駅等の情報をセンターサーバ装置50で管理することとしたが、これに限らない。例えば、ICカード90や携帯端末装置200に、これらの情報を保持するようにしてもよい。
【0059】
なお、本実施形態では、自動改札機30は、利用者の入場および出場の双方を受け付けるものとして説明したが、これに代えて(或いは、加えて)、自動改札機30は、入場専用機または出場専用機として構成されてよい。入場専用機の自動改札機30は、決済端末40に接続されていなくてよい。この場合、入場専用機は、利用者が翳した媒体Mの媒体IDを取得すると、利用者が入場したことを示す情報と共に媒体IDをセンターサーバ装置50に送信する。センターサーバ装置50は、入場専用機から上記の情報を取得すると、利用者が入場したと判断する。出場専用機は、利用者が翳した媒体Mの媒体IDを取得すると、利用者が出場しようとしていることを示す情報と共に媒体IDをセンターサーバ装置50に送信する。センターサーバ装置50は、出場専用機から上記の情報を取得すると、利用者が出場したと判断する。また、情報管理部54は、入場したことを示す情報と媒体IDとを取得した場合に、入出場管理テーブル64において、利用者が前回の入場したことを示す情報に対して出場したことを示す情報が対応付けられていない場合、入場専用機にエラーメッセージを送信する。そして、入場専用機は、前回の運賃の精算が行われていないことを示す情報を利用者に通知する。また、例えば、情報管理部54は、出場しようとしていることを示す情報と媒体IDとを取得した場合に、入出場管理テーブル64において、入場したことを示す情報が対応付けられていない場合、出場専用機にエラーメッセージを送信する。そして、出場専用機は、入場処理が行われていないことを示す情報を利用者に通知する。
【0060】
図9は、改札機システム1により実行される処理を示すシーケンス図である。まず、入場側の自動改札機30の第1読取部35-1または第2読取部35-2に媒体Mが翳されると、第1読取部35-1または第2読取部35-2は、媒体Mを読み取ることにより媒体IDを取得する。制御部32は、通信部31を制御して、取得した媒体IDと、入場駅の識別情報とをセンターサーバ装置50に送信する(ステップS10)。次に、センターサーバ装置50の情報管理部54は、入場駅の自動改札機30により送信された媒体IDおよび入場駅の識別情報と、入場時刻とを入出場管理テーブル64に対応付ける(ステップS11)。
【0061】
次に、出場側の自動改札機30の第1読取部35-1または第2読取部35-2に媒体Mが翳されると、第1読取部35-1または第2読取部35-2は、媒体Mを読み取ることにより媒体IDを取得する。制御部32は、通信部31を制御して、取得した媒体IDと、出場駅の識別情報とをセンターサーバ装置50に送信する(ステップS12)。次に、センターサーバ装置50は、出場駅の自動改札機30により送信された媒体IDおよび出場駅の識別情報と、出場時刻とを入出場管理テーブル64に対応付ける(ステップS13)。
【0062】
次に、センターサーバ装置50の運賃導出部56は、運賃テーブル62および入出場管理テーブル64に基づいて、利用者が支払うべき運賃を導出し(ステップS14)、導出した運賃を出場駅の自動改札機30に送信する(ステップS15)。この際、センターサーバ装置50の情報管理部54は、導出した運賃を入出場管理テーブル64に仮登録する。
【0063】
次に、出場駅の自動改札機30は、センターサーバ装置50から運賃を受信し、受信した運賃と、タッチパネル38に表示された媒体選択画面から選択された電子マネーのサービスの種別とを決済端末40に送信する(ステップS16)。詳細は図10および図11で後述するが、媒体選択画面には複数のボタンが表示されており、利用者が複数のボタンのうちの一つを選択することで、使用する媒体(電子マネーのサービス)の種別が選択されることとなる。
【0064】
決済端末40は、出場駅の自動改札機30から受信した運賃を、受信したサービスの種別に対応する電子マネーのチャージ金額で決済する(ステップS17)。例えば、決済端末40は、受信したサービスの種別に対応する電子マネーサーバ装置70からチャージ金額を受信し、チャージ金額から運賃を差し引く等の処理を行う。次に、決済端末40は、サービスの種別に対応する電子マネーサーバ装置70に、決済の明細を送信する(ステップS18)。決済の明細には、例えば、サービスID、差し引いた金額やチャージ金額(残額)、媒体Mが利用された事業者名等の情報が含まれていてよい。その後、電子マネーサーバ装置70の決済管理部74は、決済端末40から受信した決済の明細を、電子マネー情報82に反映させる(ステップS19)。
【0065】
次に、決済端末40は、決済の明細の内容を含む決済の結果を出場駅の自動改札機30に送信する(ステップS20)。媒体MがIC乗車券の場合、チップ92の記憶部96にチャージ金額や利用履歴が記憶されている。このため、自動改札機30の第1読取部35-1のリーダライタは、決済の結果に応じて、記憶部96に記憶されているチャージ金額や利用履歴といった情報を更新する。次に、出場駅の自動改札機30は、受信した決済の結果をセンターサーバ装置50に送信する(ステップS21)。この場合、センターサーバ装置50は、送信した運賃に対する応答である、決済の結果を受信すると、入出場管理テーブル64において、仮登録した運賃を確定させると共に、運賃に対する決済が完了したことを示すフラグを媒体IDに対応付ける(ステップS22)。
【0066】
また、センターサーバ装置50は、送信した運賃に対する応答である、決済の結果を受信していない場合、運賃の決済が正しく行われていないため、決済が完了したことを示すフラグを設定しない。この状態で、利用者が駅に入場しようとし、決済が完了していない媒体IDがセンターサーバ装置50に送信された場合、センターサーバ装置50は、前回の決済が未完了であることを示す情報や、未完了の決済額等の情報を自動改札機30に送信する。
【0067】
図10は、媒体の選択が行われていない場合の自動改札機30の外観を示す図である。図10に示されるように、自動改札機30の上面には、第1読取部35-1、第2読取部35-2、第1点灯部36-1、および第2点灯部36-2が設けられている。第1点灯部36-1は第1読取部35-1の周囲に設けられており、第2点灯部36-2は第2読取部35-2の周囲に設けられている。また、タッチパネル38には、媒体選択画面が表示されている。媒体選択画面には、第1ボタンB1~第7ボタンB7が含まれる。
【0068】
第1ボタンB1~第4ボタンB4は、使用する媒体M(電子マネーのサービス)を利用者に選択させるためのボタンである。第1ボタンB1~第4ボタンB4は、それぞれのボタンに対応する電子マネーのサービスを示すピクトアイコンであってよい。このうち、第1ボタンB1~第3ボタンB3は、IC乗車券として利用可能な電子マネーのサービスを利用者に選択させるためのボタンである。第4ボタンB4は、QRコード(登録商標)乗車券として利用可能な電子マネーのサービスを利用者に選択させるためのボタンである。
【0069】
第5ボタンB5および第6ボタンB6は、媒体選択画面を別のページに切り替えるためのボタンである。使用可能な媒体M(電子マネーのサービス)の種類が多いために複数の媒体選択画面が存在する場合には、第5ボタンB5または第6ボタンB6を選択することで媒体選択画面を別のページに切り替えることができる。第5ボタンB5は、ページを次のページに送るためのページ送りボタンである。第6ボタンB6は、ページを前のページに戻すためのページ戻しボタンである。なお、自動改札機30は、利用者による媒体選択画面に対するスワイプ操作に応じてページを切り替えるようにしてもよい。
【0070】
第7ボタンB7は、選択された状態を解除するためのキャンセルボタンである。自動改札機30の制御部32は、タッチパネル38に表示された第7ボタンB7が利用者によって選択されたことに応じて、利用者によって選択された媒体Mの選択状態を解除する。
【0071】
図11は、媒体の選択が行われた場合の自動改札機30の外観を示す図である。図11において、第1ボタンB1が利用者に選択された場合の媒体選択画面が示されている。第1ボタンB1が選択されると、自動改札機30の制御部32は、タッチパネル38に表示された第1ボタンB1の背景を濃い色に変化させる。これによって、利用者は、第1ボタンB1が選択されたことを容易に把握することができる。
【0072】
また、制御部32は、第1点灯部36-1を点灯させることにより第1読取部35-1の周囲を青白く発光させるとともに、第2点灯部36-2を消灯させる。これによって、自動改札機30は、第1読取部35-1に媒体Mを翳すよう利用者に促すことができる。
【0073】
すなわち、制御部32は、利用者が第1ボタンB1~第3ボタンB3を選択した場合(IC乗車券を選択した場合)には、第1点灯部36-1を点灯させるとともに第2点灯部36-2を消灯させる。一方、制御部32は、利用者が第4ボタンB4を選択した場合(QRコード(登録商標)乗車券を選択した場合)には、第2点灯部36-2を点灯させるとともに第1点灯部36-1を消灯させる。これによって、利用者は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうちのどちらの読取部に媒体Mを翳せばよいのかを容易に把握することができる。
【0074】
本実施形態のように、自動改札機30に複数の読取部が設けられている場合、先行する利用者と後続の利用者とが、それぞれ別々の読取部に同時に媒体Mを翳してしまうことが考えられる。また、場合によっては、後続の利用者の方が先行する利用者よりも先に媒体Mを読取部に翳してしまう可能性も考えられる。このような状況を防止するため、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、利用者によって選択されていない媒体Mに対応する読取部をオフにすることで、媒体Mの読み取りが不可能となるように制御する。これによって、利用者が使用することを意図していない媒体Mが自動改札機30によって読み取られることを防止することができる。
【0075】
[第1読取処理]
図12は、自動改札機30によって実行される第1読取処理を示すフローチャートである。自動改札機30の制御部32は、自動改札機30内の記憶部に格納されたプログラムを実行することにより、第1読取処理を実行する。
【0076】
まず、制御部32は、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されたか否かを判定する(ステップS100)。ステップS100の処理は、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されるまで繰り返される。
【0077】
利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択された場合、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、選択された媒体Mに対応する読取部以外をオフにすることで、媒体Mの読み取りが不可能となるように制御する(ステップS101)。また、制御部32は、第1点灯部36-1および第2点灯部36-2のうち、選択された媒体Mに対応する点灯部以外を消灯させる(ステップS102)。
【0078】
次に、制御部32は、第1読取部35-1または第2読取部35-2によって媒体Mの読み取りが完了したか否かを判定する(ステップS103)。制御部32は、第1読取部35-1または第2読取部35-2によって媒体Mの読み取りが完了していないと判定した場合、利用者が使用しようとする媒体Mが選択されてから一定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する(ステップS104)。制御部32は、利用者が使用しようとする媒体Mが選択されてから一定時間経過していないと判定した場合、前述のステップS103に処理を戻す。一方、制御部32は、利用者が使用しようとする媒体Mが選択されてから一定時間経過したと判定した場合、後述するステップS109に処理を進める。
【0079】
ステップS103において、制御部32は、第1読取部35-1または第2読取部35-2によって媒体Mの読み取りが完了したと判定した場合、利用者が自動改札機30を通過するのを許可するか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部32は、入場記録が無いのに利用者が出場しようとする場合や、前回の入場記録に対する出場記録が無いのに利用者が入場しようとする場合や、電子マネーのチャージ金額が運賃よりも少ない場合には、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定する。制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定した場合、図13で後述するNG解除処理を実行する(ステップS200)。
【0080】
一方、制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可すると判定した場合、ドア駆動部34を制御することにより、自動改札機30のドア33を開く(ステップS106)。次に、制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するまで待機する(ステップS107)。具体的に、制御部32は、第1検知部37-1の検知結果に基づき、利用者が自動改札機30の通路を出口側から退出したか否かを判定する。制御部32は、利用者が自動改札機30を通過したと判定した場合、ドア駆動部34を制御することにより、自動改札機30のドア33を閉じる(ステップS108)。
【0081】
その後、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、選択された媒体Mに対応する読取部以外をオンにすることで、媒体Mの読み取りが可能となるように制御する(ステップS109)。また、制御部32は、第1点灯部36-1および第2点灯部36-2のうち、選択された媒体Mに対応する点灯部以外を点灯させる(ステップS110)。これによって、全ての読取部がオンになるとともに、全ての点灯部が点灯することとなる。このとき、制御部32は、タッチパネル38の媒体選択画面を何も選択されていない状態に戻す。その後、制御部32は、本フローチャートによる処理を終了する。本フローチャートによる処理の終了後は、再度ステップS100の処理が実行されることとなる。
【0082】
このように、制御部32は、利用者の通行を許可すると判定した場合、利用者が通路を出口側から退出したことを第1検知部37-1が検知したことに応じて、利用者によって選択されていない媒体Mの読み取りを第1読取部35-1または第2読取部35-2に対して許可する。これによって、自動改札機30を、次の利用者の所有する媒体Mの読み取りを行える状態にすることができる。
【0083】
[NG解除処理]
図13は、自動改札機30によって実行されるNG解除処理を示すフローチャートである。図13に示されるNG解除処理は、図12のステップS200を詳細に示したものである。
【0084】
制御部32は、図12のステップS105において、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定した場合、同じ媒体Mで再度読み取りが完了したか否かを判定する(ステップS201)。制御部32は、同じ媒体Mで再度読み取りが完了したと判定した場合、利用者が自動改札機30を通過するのを許可するか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202の処理は、図12のステップS105の処理と同様である。制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定した場合、前述のステップS201に処理を戻す。
【0085】
一方、制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可すると判定した場合、図12のステップS106に処理を移行させ、ドア駆動部34を制御することにより、自動改札機30のドア33を開く。これにより、利用者は、自動改札機30を通過することができるようになる。
【0086】
また、制御部32は、ステップS201において、同じ媒体Mで再度読み取りが完了していないと判定した場合、利用者が自動改札機30の入口から出たか否かを判定する(ステップS203)。具体的に、制御部32は、第2検知部37-2の検知結果に基づき、利用者が自動改札機30の通路を入口側から退出したか否かを判定する。制御部32は、利用者が自動改札機30の入口から出ていないと判定した場合、NG解除処理が開始してから一定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する(ステップS204)。制御部32は、NG解除処理が開始してから一定時間が経過していないと判定した場合、前述のステップS201に処理を戻す。
【0087】
一方、制御部32は、ステップS203で利用者が自動改札機30の入口から出たと判定した場合、またはステップS204でNG解除処理が開始してから一定時間が経過したと判定した場合、図12のステップS109に処理を移行させる。これによって、制御部32は、選択された媒体Mに対応する読取部以外をオンにするとともに、選択された媒体Mに対応する点灯部以外を点灯させる。すなわち、全ての読取部がオンになるとともに、全ての点灯部が点灯する。このため、自動改札機30を、利用者が使用しようとする媒体Mが選択されていない状態に戻すことができる。
【0088】
このように、制御部32は、利用者の通行を許可しないと判定した場合、利用者が通路を入口側から退出したことを第2検知部37-2が検知したことに応じて、利用者によって選択されていない媒体Mの読み取りを第1読取部35-1または第2読取部35-2に対して許可する。これによって、自動改札機30を、退出した利用者または次の利用者の所有する媒体Mの読み取りを行える状態にすることができる。
【0089】
以上説明した第1の実施形態では、自動改札機30の制御部32は、利用者によって選択されていない媒体Mの読み取りが不可能となるように読取部(第1読取部35-1または第2読取部35-2)を制御するとともに、利用者によって選択された媒体Mを読取部(第1読取部35-1または第2読取部35-2)に読み取らせ、読取部(第1読取部35-1または第2読取部35-2)によって読み取られた情報に基づいて利用者の通行の可否を判定する。これによって、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機30によって読み取られてしまうことを防止することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、自動改札機30は2つの読取部を備えることとしたが、これに限らない。例えば、自動改札機30は、読取方式の異なる3つ以上の読取部と、3つ以上の読取部のそれぞれに対応する3つ以上の点灯部とを備えていてもよい。読取部の数が多ければ多いほど、利用者はどの読取部に媒体Mを翳す必要があるのかを判断するのが難しくなる。しかしながら、本実施形態によれば、媒体Mを翳すべき読取部の設けられた位置を点灯部が点灯するため、利用者はどの読取部に媒体Mを翳す必要があるのかを容易に判断することができる。
【0091】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、図12のステップS100に示されるように、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されるまで自動改札機30は待機することとした。これに対し、第2の実施形態では、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されない場合には、自動改札機30は媒体Mを読み取る読取部を自動選択し、選択された読取部を用いて媒体Mを読み取る第2読取処理を行う。利用者は、複数の読取部のうちのどの読取部に媒体Mを翳すべきかを把握している場合、タッチパネル38から媒体Mを選択することなく、媒体Mを読取部に翳して読み取らせたい場合がある。このような場合に、第2の実施形態では、自動改札機30は利用者に媒体Mを選択させることなく、読取部を自動選択して媒体Mを読み取ることができるため、自動改札機30の利便性を向上させることができる。以下、第2の実施形態について詳細に説明する。
【0092】
[第2読取処理]
図14は、自動改札機30によって実行される第2読取処理を示すフローチャートである。自動改札機30の制御部32は、自動改札機30内の記憶部に格納されたプログラムを実行することにより、第2読取処理を実行する。
【0093】
まず、制御部32は、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されたか否かを判定する(ステップS300)。利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択された場合、制御部32は、前述の図12のステップS101に処理を進める。これによって、媒体Mがタッチパネル38から選択された場合の処理が行われる。
【0094】
一方、利用者が使用しようとする媒体Mがタッチパネル38から選択されていない場合、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、デフォルトの読取部を選択する(S301)。デフォルトの読取部は、自動改札機30で使用可能な複数種類の媒体Mのうち、最も使用される頻度の高い媒体Mを読み取る読取部であってよい。例えば、制御部32は、鉄道会社によって発行された交通系ICカードを読み取る読取部を、デフォルトの読取部として選択してもよい。
【0095】
次に、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、選択された読取部をオンにすることで、媒体Mの読み取りが可能となるように制御する(ステップS302)。また、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、選択された読取部以外をオフにすることで、媒体Mの読み取りが不可能となるように制御する(ステップS303)。
【0096】
次に、制御部32は、選択された読取部によって媒体Mの読み取りが完了したか否かを判定する(ステップS304)。制御部32は、選択された読取部によって媒体Mの読み取りが完了していないと判定した場合、読取部が選択されてから一定時間(例えば0.2秒)が経過したか否かを判定する(ステップS305)。制御部32は、使用する読取部が選択されてから一定時間経過していないと判定した場合、前述のステップS304に処理を戻す。
【0097】
一方、制御部32は、使用する読取部が選択されてから一定時間経過したと判定した場合、次の読取部(言い換えると、まだ選択されていない読取部)が存在するか否かを判定する(ステップS306)。制御部32は、次の読取部が存在すると判定した場合、次の読取部を選択し(ステップS307)、前述のS302に処理を戻す。これによって、制御部32は、次の読取部による媒体Mの読み取りを試みることができる。一方、制御部32は、次の読取部が存在しないと判定した場合、後述するステップS312に処理を進める。
【0098】
ステップS304において、制御部32は、選択された読取部によって媒体Mの読み取りが完了したと判定した場合、利用者が自動改札機30を通過するのを許可するか否かを判定する(ステップS308)。例えば、制御部32は、入場記録が無いのに利用者が出場しようとする場合や、前回の入場記録に対する出場記録が無いのに利用者が入場しようとする場合や、電子マネーのチャージ金額が運賃よりも少ない場合には、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定する。制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可しないと判定した場合、前述の図13に示されるNG解除処理を実行する(ステップS200)。なお、本実施形態においては、図13のステップS202でOKと判定された場合には、図14のステップS309に処理が進められ、図13のステップS204でYESと判定された場合には、図14のステップS312に処理が進められることとなる。
【0099】
一方、制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するのを許可すると判定した場合、ドア駆動部34を制御することにより、自動改札機30のドア33を開く(ステップS309)。次に、制御部32は、利用者が自動改札機30を通過するまで待機する(ステップS310)。具体的に、制御部32は、第1検知部37-1の検知結果に基づき、利用者が自動改札機30の通路を出口側から退出したか否かを判定する。制御部32は、利用者が自動改札機30を通過したと判定した場合、ドア駆動部34を制御することにより、自動改札機30のドア33を閉じる(ステップS311)。
【0100】
その後、制御部32は、第1読取部35-1および第2読取部35-2のうち、選択された読取部以外をオンにすることで、媒体Mの読み取りが可能となるように制御する(ステップS312)。これによって、全ての読取部がオンになる。その後、制御部32は、本フローチャートによる処理を終了する。本フローチャートによる処理の終了後は、再度ステップS300の処理が実行されることとなる。
【0101】
以上説明した第2の実施形態では、タッチパネル38から使用する媒体Mの種類が利用者によって選択されていない場合、制御部32は、読取方式を切り替えながら繰り返し媒体Mを読み取らせるよう第1読取部35-1および第2読取部35-2を制御する。これによって、利用者は、複数の読取部のうちのどの読取部に媒体Mを翳すべきかを把握している場合、タッチパネル38から媒体Mを選択することなく、媒体Mを対応する読取部に翳して読み取らせることができ、自動改札機30の利便性を向上させることができる。
【0102】
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、第1読取部35-1および第2読取部35-2はそれぞれ独立して設けられることとしたが、これに限らない。例えば、第1読取部35-1および第2読取部35-2は、一体化された一つの読取部として構成されてもよい。この場合、一つの読取部で複数種類の媒体Mを読み取ることができるため、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機30によって読み取られてしまう可能性がある。具体的に、携帯端末装置200に表示されたQRコード(登録商標)を読取部に読み取らせようとする場合に、携帯端末装置200のチップ92の内容が読み取られ、IC乗車券として認識されることが考えられる。このような場合であっても、本実施形態によれば、タッチパネル38から選択された媒体Mの読取部以外がオフになるため、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機30によって読み取られてしまうことを防止することができる。
【0103】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、自動改札機30と決済端末40とが別々に設けられることとしたが、これに限らない。例えば、自動改札機30に決済端末40の機能を持たせることで、決済端末40を省略してもよい。
【0104】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、改札機システム1が鉄道に利用される例について説明したが、これに限らない。例えば、改札機システム1は、バス、路面電車、フェリー、航空機、ロープウェイなどの交通システムに適用されてもよい。
【0105】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、自動改札機30は、読取部(第1読取部35-1および第2読取部35-2)と、選択部(タッチパネル38)と、制御部32とを持つ。読取部(第1読取部35-1および第2読取部35-2)は、読取方式の異なる複数種類の媒体Mを読み取る機能を有する。選択部(タッチパネル38)は、使用する媒体Mを利用者に選択させる。制御部32は、利用者によって選択されていない媒体Mの読み取りが不可能となるように読取部(第1読取部35-1および第2読取部35-2)を制御するとともに、利用者によって選択された媒体Mを読取部(第1読取部35-1および第2読取部35-2)に読み取らせ、読取部(第1読取部35-1および第2読取部35-2)によって読み取られた情報に基づいて利用者の通行の可否を判定する。これによって、利用者が利用しようとする媒体以外の媒体が自動改札機30によって読み取られてしまうことを防止することができる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1…改札機システム、10…駅システム、30…自動改札機、31…通信部、32…制御部、33…ドア、34…ドア駆動部、35-1…第1読取部、35-2…第2読取部、36-1…第1点灯部、36-2…第2点灯部、37-1…第1検知部、37-2…第2検知部、38…タッチパネル、38-1…表示部、38-2…入力部、40…決済端末、50…センターサーバ装置、70…電子マネーサーバ装置、90…ICカード、200…携帯端末装置、M…媒体
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