(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135902
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アイソレータ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20240927BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240927BHJP
H01F 19/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01F27/32 130
H01F19/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046805
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E044CA06
5E044CA08
5E070AA01
5E070AB08
5E070CA13
(57)【要約】
【課題】サイズの増加、及び特性の低下を抑制する。
【解決手段】実施形態に係るアイソレータは、各々が、ヘリックス状の形状を有し、Z方向に沿った中心軸を有する、第1コイルC1及び第2コイルC2と、上記第1コイルC1及び第2コイルC2を封止する第1絶縁体41と、を含むアイソレータモジュール40を備え、上記第1コイル及び上記第2コイルは、互いに離間し、上記第1方向から見て、上記第1コイルは、上記第2コイルの内側に設けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、ヘリックス状の形状を有し、第1方向に沿った中心軸を有する、第1コイル及び第2コイルと、
前記第1コイル及び前記第2コイルを封止する第1絶縁体と、
を含むアイソレータモジュールを備え、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、互いに離間し、
前記第1方向から見て、前記第1コイルは、前記第2コイルの内側に設けられる、
アイソレータ。
【請求項2】
前記第1コイルの上端において、前記第1コイルの上面に接続される第1パッドと、
前記第1コイルの下端において、前記第1コイルの下面に接続される第2パッドと、
前記第2コイルの上端において、前記第2コイルの上面に接続される第3パッドと、
前記第2コイルの下端において、前記第1コイルの下面に接続される第4パッドと、
第1チップと、
第2チップと、
をさらに備え、
前記第1パッド及び前記第2パッドは、前記第1チップと、電気的に接続され、
前記第3パッド及び前記第4パッドは、前記第2チップと、電気的に接続される、
請求項1記載のアイソレータ。
【請求項3】
前記第1パッド、前記第2パッド、前記第3パッド、及び前記第4パッドのうち、前記第1パッド及び前記第2パッドは、前記第1方向に沿った回転軸について、回転方向に隣合うように設けられる、
前記第1パッド、前記第2パッド、前記第3パッド、及び前記第4パッドのうち、前記第3パッド及び前記第4パッドは、前記第1方向に沿った回転軸について、回転方向に隣合うように設けられる、
請求項2記載のアイソレータ。
【請求項4】
前記第1パッド及び前記第2パッドの各々は、前記第1パッド、前記第2パッド、前記第3パッド、及び前記第4パッドのうち前記第3パッド及び前記第4パッドそれぞれと、前記第1方向に沿った回転軸について、回転方向に隣合うように設けられる、
請求項2記載のアイソレータ。
【請求項5】
前記アイソレータモジュールよりも下方に設けられ、前記第2パッド及び前記第1チップと、電気的に接続される第1導電体と、
前記アイソレータモジュールよりも下方に設けられ、前記第4パッド及び前記第2チップと、電気的に接続される第2導電体と、
さらに備える、
請求項2記載のアイソレータ。
【請求項6】
前記第1チップ及び前記第1パッドは、前記第1チップの表面、及び前記アイソレータモジュールの表面に、前記第1チップ及び前記アイソレータモジュールと一体として設けられた第1配線によって、電気的に接続され、
前記第2チップ及び前記第3パッドは、前記第2チップの表面、及び前記アイソレータモジュールの表面に、前記第2チップ及び前記アイソレータモジュールと一体として設けられた第2配線によって、電気的に接続される、
請求項2記載のアイソレータ。
【請求項7】
前記第1コイル及び前記第2コイルは、略同等の高さの範囲に含まれる、
請求項1記載のアイソレータ。
【請求項8】
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記第1方向から見て円形状、楕円形状、又は多角形状を有する、
請求項1記載のアイソレータ。
【請求項9】
前記第1コイル及び前記第2コイルの間に設けられ、前記第1絶縁体と異なる第2絶縁体を、
さらに備え、
前記第2絶縁体は、液晶ポリマー樹脂を含む、
請求項1記載のアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
送信側回路と受信側回路との間を絶縁した状態で、送信側回路から受信側回路へ信号を伝送するアイソレータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-220950号公報
【特許文献2】特開2013-021902号公報
【特許文献3】特開2007-149872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイズの増加、及び特性の低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るアイソレータは、各々が、ヘリックス状の形状を有し、第1方向に沿った中心軸を有する、第1コイル及び第2コイルと、上記第1コイル及び上記第2コイルを封止する第1絶縁体と、を含むアイソレータモジュールを備え、上記第1コイル及び上記第2コイルは、互いに離間し、上記第1方向から見て、上記第1コイルは、上記第2コイルの内側に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図2】実施形態に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図1のII-II線に沿った断面図。
【
図3】実施形態に係るアイソレータモジュールの構造の一例を示す斜視図。
【
図4】実施形態に係るアイソレータモジュールの1次回路の構造の一例を示す斜視図。
【
図5】実施形態に係るアイソレータモジュールの2次回路の構造の一例を示す斜視図。
【
図6】実施形態に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す、
図3のVI-VI線に沿った断面図。
【
図7】実施形態に係るアイソレータモジュール、及び配線の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図8】第1変形例に係るアイソレータモジュール、及び配線の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図9】第2変形例に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図10】第2変形例に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図9のX-X線に沿った断面図。
【
図11】第3変形例に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図12】第3変形例に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図11のXII-XII線に沿った断面図。
【
図13】第4変形例に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図14】第4変形例に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図。
【
図15】第4変形例に係るアイソレータモジュールの構造の一例を示す斜視図。
【
図16】第4変形例に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す、
図15のXVI-XVI線に沿った断面図。
【
図17】その他の例に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0009】
1 実施形態
実施形態に係るアイソレータについて説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図2は、実施形態に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示されるように、アイソレータパッケージ1は、デジタル・アイソレータを含むパッケージである。アイソレータパッケージ1は、フレーム10、半導体チップ20及び30、アイソレータモジュール40、並びに絶縁部材50を備える。なお、
図1では、絶縁部材50が省略して示される。
【0011】
フレーム10は、例えば板状の金属部材である。フレーム10の上面上には、絶縁性の接着部材11及び12をそれぞれ介して、半導体チップ20及び30が設けられる。フレーム10は、半導体チップ20及び30を支持する基板として機能する。
【0012】
以下では、フレーム10の面と平行な面をXY面とする。XY面内で互いに垂直に交差する方向をX方向及びY方向とする。XY面に交差する方向をZ方向とする。Z方向のうち、フレーム10から半導体チップ20及び30に向かう方向を、上方向とも言う。
【0013】
アイソレータモジュール40は、半導体チップ20の上面上に、絶縁性の接着部材13を介して、設けられる。これにより、アイソレータモジュール40は、Z方向に見て、例えば半導体チップ20と重なる位置に設けられる。
【0014】
半導体チップ20には、回路21が設けられる。回路21は、信号の送受信回路及び変復調回路を含む。半導体チップ20の上方には、例えばフリップチップボンディングによって、アイソレータモジュール40が設けられる。回路21は、ボンディングワイヤW1を介してアイソレータモジュール40と電気的に接続される。また、
図1及び
図2には図示されないが、回路21は、例えば半導体チップ20の上面とアイソレータモジュール40の下面との間の導体部、並びに半導体チップ20に設けられる配線を介して、アイソレータモジュール40の下面と電気的に接続される。導体部は、例えばバンプ、又は半田付けを用いて設けられたものである。また、半導体チップ20とアイソレータモジュール40とは、例えば異方導電性ペースト(Anisotropic Conductive Paste(ACP))を用いて、電気的に接続されてもよい。また、半導体チップ20は、ボンディングワイヤW2を介してピン23と電気的に接続される。
【0015】
半導体チップ30は、半導体チップ20とX方向に並ぶ。半導体チップ30には、回路31が設けられる。回路31は、信号の送受信回路及び変復調回路を含む。回路31は、ボンディングワイヤW3及びW4を介してアイソレータモジュール40と電気的に接続される。より具体的に、回路31は、例えばボンディングワイヤW3を介してアイソレータモジュール40の上面と電気的に接続される。また、回路31は、ボンディングワイヤW4に加えて、例えば、
図1及び
図2には図示されない、半導体チップ20の上面とアイソレータモジュール40の下面との間の導体部、並びに半導体チップ20及び30に設けられる配線を介して、アイソレータモジュール40の下面と電気的に接続される。当該導体部は、上述の、半導体チップ20の回路21とアイソレータモジュール40の下面とを電気的に接続する導体部と同様のものとし得る。また、半導体チップ30は、ボンディングワイヤW5を介してピン33と電気的に接続される。
【0016】
アイソレータモジュール40は、デジタル・アイソレータとして機能するモジュールである。アイソレータモジュール40には、トランスが実装される。アイソレータモジュール40は、トランスを用いて、送信側回路(1次回路)と受信側回路(2次回路)との間を絶縁した状態で、信号を伝送するように構成される。アイソレータモジュール40の構成の詳細については、後述する。
【0017】
絶縁部材50は、例えば、絶縁性の樹脂を含む。フレーム10、半導体チップ20及び30、アイソレータモジュール40、並びにボンディングワイヤW1、W2、W3、W4及びW5は、絶縁部材50によって封止される。ピン23及び33は、絶縁部材50によって固定され、かつ絶縁部材50の外部に露出する部分を有する。
【0018】
以上のような構成により、アイソレータパッケージ1は、ピン23とピン33との間で、アイソレータモジュール40を介して信号を伝送することができる。
【0019】
実施形態に係るアイソレータモジュールの構造について、
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7を用いて説明する。
図3は、実施形態に係るアイソレータモジュールの構造の一例を示す斜視図である。
図4は、実施形態に係るアイソレータモジュールの1次回路の構造の一例を示す斜視図である。
図5は、実施形態に係るアイソレータモジュールの2次回路の構造の一例を示す斜視図である。
図6は、実施形態に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す、
図3のVI-VI線に沿った断面図である。
図7は、実施形態に係るアイソレータモジュール、及び配線の平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図6及び
図7では、アイソレータモジュール40、及び半導体チップ20に設けられる配線が示される。また、
図6及び
図7では、半導体チップ20及び接着部材13の図示が省略される。
【0020】
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7に示されるように、アイソレータモジュール40は、例えば、絶縁体部41を含む。なお、
図4では、絶縁体部41内の1次回路に関する導電性の部材が、当該導電性の部材を覆う絶縁体部41を透過して図示される。また、
図5では、絶縁体部41内の2次回路に関する導電性の部材が、当該導電性の部材を覆う絶縁体部41を透過して図示される。
【0021】
絶縁体部41は、1次回路及び2次回路を含む絶縁性の部材である。絶縁体部41の形状は、例えば円柱形状である。しかしながら、これに限られず、絶縁体部41の形状は、任意の形状であってよい。
図6に示される、絶縁体部41のZ方向に沿った高さHは、例えば略2mm以下である。
【0022】
絶縁体部41内には、導電性のパッドPU1、PL1、PU2、及びPL2、並びにコイルC1及びC2が設けられる。絶縁体部41は、コイルC1及びC2を覆うように設けられる。絶縁体部41の上面には、例えばパッドPU1及びPU2の少なくとも一部が露出する。絶縁体部41の下面には、例えばパッドPL1及びPL2の少なくとも一部が露出する。
【0023】
コイルC1は、導電体により構成される。コイルC1は、例えば銅を含む。コイルC1は、らせん状(ヘリックス状)の形状を有する。なお、コイルC1は、つる巻きばね状の形状を有する、ということもできる。より具体的に、コイルC1は、例えばXY平面内に上面及び下面を有する円筒(円柱)の側面に巻き付くように設けられた配線を含む、円筒状のコイルばねの形状を有する。これにより、コイルC1は、Z方向に中心軸を有する。ここで、コイルの中心軸は、コイルの巻数(ターン数とも呼ぶ)の増加とともに、コイルが延伸する方向に沿った軸である。また、以上のような構成により、コイルC1は、例えば上方から見て円形状を有する。また、コイルC1は、例えば、Z方向に沿った全体に渡って、コイルC1の内径及び外径が略均一になるように構成される。
図6に示すように、コイルC1は外径R1を有する。以上のような構成により、コイルC1は、所定のインダクタンスを有する。
【0024】
コイルC1は、上端及び下端を有する。コイルC1の上端は、パッドPU1の下面と電気的に接続される。コイルC1の下端は、パッドPL1の上面と電気的に接続される。
【0025】
以上のようなコイルC1、並びにパッドPL1及びPU1の構成により、パッドPL1及びPU1の間で電流経路が形成される。コイルC1は、1次コイルとも呼ばれる。
【0026】
コイルC2は、導電体により構成される。コイルC2は、例えば銅を含む。コイルC2は、コイルC1と同様に、らせん状(ヘリックス状)の形状を有する。なお、コイルC2は、コイルC1と同様に、つる巻きばね状の形状を有する、ということもできる。より具体的に、コイルC2は、コイルC1と同様に、円筒状のコイルばねの形状を有する。これにより、コイルC2は、Z方向に中心軸を有する。また、以上のような構成により、コイルC2は、例えば上方から見て円形状を有する。また、コイルC2は、例えば、Z方向に沿った全体に渡って、コイルC2の内径及び外径が略均一になるように構成される。
図6に示すように、コイルC2は外径R2を有する。外径R2は、例えば外径R1より大きく、略5mm以下である。また、コイルC2の内径は、例えば外径R1より大きい。コイルC2は、コイルC1より外側に、コイルC1と離間して設けられる。コイルC1及びC2は、例えば絶縁体部41の部分によって、電気的に絶縁される。以上のような構成により、コイルC2は、所定のインダクタンスを有する。また、コイルC2は、コイルC1と略同等の高さの範囲に含まれる。
【0027】
コイルC2は、上端及び下端を有する。コイルC2の上端は、パッドPU2の下面と電気的に接続される。コイルC2の下端は、パッドPL2の上面と電気的に接続される。
【0028】
以上のようなコイルC2、並びにパッドPL2及びPU2の構成により、パッドPL2及びPU2の間で電流経路が形成される。コイルC2は、2次コイルとも呼ばれる。
【0029】
また、以上のような構成において、1次コイル及び2次コイルは、絶縁体部41内において互いに近接する。これにより、1次コイル及び2次コイルは、トランスとして機能する。
【0030】
パッドPL1の下面は、例えば当該パッドに対応する導体部BPを介して、半導体チップ20に設けられる配線61と、電気的に接続される。配線61は、半導体チップ20の回路21と、電気的に接続される。なお、
図6において、配線61及び導体部BPの間には、例えば図示されないパッドが設けられてもよい。
【0031】
パッドPL2の下面は、例えば当該パッドに対応する導体部BPを介して、半導体チップ20に設けられる配線62と、電気的に接続される。配線62は、
図7に示されるように、例えば半導体チップ20上に設けられたパッドPC2と、電気的に接続される。パッドPC2は、ボンディングワイヤW4を介して、半導体チップ30の回路31と、電気的に接続される。なお、
図6において、配線62及び導体部BPの間には、例えば図示されないパッドが設けられてもよい。
【0032】
導体部BPは、例えば、上述のように、半導体チップ20に設けられる配線61及び62のそれぞれと、アイソレータモジュール40とを電気的に接続するための、バンプ、又は半田付けにより形成されたものである。
【0033】
パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2は、Z方向に沿った回転軸について、例えば回転方向にこの順に並ぶように設けられる。これにより、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2のうち、パッドPU1及びPL1は、上記回転方向に隣合うように設けられる。また、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2のうち、パッドPU2及びPL2は、上記回転方向に隣合うように設けられる。
【0034】
なお、実施形態におけるパッドPU1、PL1、PU2、及びPL2の配置は、パッドPU1及びPL1、並びにパッドPU2及びPL2が隣合っていればよく、上述の配置に限られない。また、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2の配置は、各コイルC1及びC2のZ方向に沿った回転軸についての回転、及びターン数の変更によって設定することができる。
【0035】
なお、以上の説明では、コイルC2がコイルC1の外側に設けられる場合を示したが、これに限られない。コイルC1がコイルC2の外側に設けられてもよい。この場合、コイルC1の外径R1は、例えば外径R2より大きく、略5mm以下とされる。また、コイルC1の内径は、例えば外径R2より大きい。
【0036】
また、以上の説明では、上方から見て、コイルC1及びC2が円形状を有する場合を示した。しかしながら、これに限られない。コイルC1及びC2は、例えば、上方から見て、楕円形状を有してもよい。この場合、コイルC1及びC2のうち外側に設けられるコイルの長手方向の外径は、例えば略5mm以下とされる。また、コイルC1及びC2は、例えば、上方から見て、多角形状を有してもよい。
【0037】
実施形態によれば、アイソレータモジュール40において、各コイルC1及びC2は、らせん状の形状を有する。これにより、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合と比べて、サイズ(面積)の増加を抑制することができる。補足すると、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合、各コイルは、例えば平面内で渦巻形状に設けられる。これにより、所定のインダクタンスを有するコイルを設ける際に、コイル及びアイソレータモジュールのサイズ(面積)が増大してしまう可能性がある。一方、実施形態によれば、上述のようなコイルC1及びC2の構成により、平面内のサイズ(面積)の増加を抑制することができる。したがって、アイソレータモジュール40のサイズ(面積)の増加を抑制することができる。
【0038】
また、実施形態によれば、コイルC1は、絶縁体部41内において、コイルC2の内側に設けられる。これにより、コイルC1及びC2の位置ずれによる特性の低下を抑制することができる。補足すると、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合、異なる2つの配線板を貼り合わせる工程における、1次コイル及び2次コイルの位置ずれの発生によって、アイソレータモジュールの特性の低下が発生することがある。このため、1次コイル及び2次コイルの位置ずれの発生を抑制するために、製造工程が複雑化し得る。実施形態によれば、1次コイル及び2次コイルはいずれも同一の絶縁体部41内に設けられるため、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合と比較して、位置ずれの発生を容易に抑制することができる。したがって、アイソレータモジュールの製造工程の複雑化を抑制し、かつ特性の低下を抑制することができる。
【0039】
また、実施形態によれば、アイソレータモジュール40と直接的に接続されるボンディングワイヤは2本である。これにより、アイソレータモジュール40の配置の自由度を向上することができる。補足すると、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合、1次コイルの一端及び他端、並びに2次コイルの一端及び他端をそれぞれ、1次回路及び2次回路と接続するために、例えば4本のボンディングワイヤがアイソレータモジュールと直接的に接続される。これにより、実施形態によれば、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合と比較して、アイソレータモジュール40と直接的に接続されるボンディングワイヤの数を低減することができる。このため、アイソレータモジュール40の配置の自由度が向上する。
【0040】
また、実施形態によれば、歩留まりの低下を抑制することができる。より具体的には、上述のようにアイソレータモジュール40の配置の自由度が向上することで、アイソレータモジュール40を配置する際のボンディングワイヤを形成する工程の難易度の上昇を抑制することができる。これにより、不良品の発生を抑制し、歩留まりの低下を抑制することができる。さらに、実施形態によれば、アイソレータモジュール40は、ボンディングワイヤW1、W3、及びW4によって、半導体チップ20及び30と、電気的に接続される。このような構成により、1次コイルを含む配線板と、2次コイルを含む配線板とを貼り合わせてアイソレータモジュールを形成する場合と比較して、アイソレータモジュールと、半導体チップとを接続するために用いられるボンディングワイヤの数を低減することができる。このような構成によっても、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0041】
また、実施形態によれば、アイソレータモジュール40は、フリップチップボンディングによって半導体チップ20と電気的に接続される。これにより、Z方向に見て、アイソレータモジュール40は、半導体チップ20と重なる位置に設けられる。このような構成によっても、アイソレータパッケージ1のサイズ(面積)の増加を抑制することができる。
【0042】
また、上述のようなコイルC1及びC2の構成によれば、トランスの結合係数(Coupling Coefficient)を高くしても、アイソレータモジュール40のサイズ(面積)の増加を抑制することができる。すなわち、各コイルC1及びC2の外径を維持しながら、ターン数を増加させることでトランスの結合係数を増加させることができる。
【0043】
また、上述のようなコイルC1及びC2の構成によれば、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2の位置の調整が容易である。すなわち、コイルを回転させること、及びコイルのターン数の変更によりパッドPU1、PL1、PU2、及びPL2の位置を設定することができる。このような構成によっても、アイソレータモジュール40の配置の自由度を向上させることができる。
【0044】
2 変形例
次に、変形例に係るアイソレータについて説明する。以下では、実施形態と同等の構成についてはその説明を省略し、実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0045】
2.1 第1変形例
第1変形例に係るアイソレータについて説明する。第1変形例は、アイソレータモジュール40のパッドPU1及びPU2、並びにPL1及びPL2が、上方から見て対向するように設けられる点において、実施形態と異なる。以下では、実施形態と異なる構成について主に説明する。また、実施形態と同等の構成については省略する。
【0046】
以下では、第1変形例に係るアイソレータモジュール40の構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施形態に係るアイソレータモジュール、及び配線の平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図8は、
図7に示される領域に対応する。
【0047】
パッドPU1、PL2、PL1、及びPU2は、Z方向に沿った回転軸について、回転方向にこの順に並ぶように設けられる。これにより、パッドPU1は、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2のうちパッドPU2及びPL2によって、上記回転方向に挟まれるように設けられる。また、パッドPL1は、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2のうちパッドPL2及びPU2によって、上記回転方向に挟まれるように設けられる。これらの構成により、パッドPU1及びPL1、並びにパッドPU2及びPL2はそれぞれ、対向するように設けられる。
【0048】
なお、実施形態と同様に、パッドPU1、PL1、PU2、及びPL2の配置は、パッドPU1及びPL1、並びにパッドPU2及びPL2がそれぞれ、対向するように設けられればよく、上述の配置に限られない。
【0049】
なお、コイルC1及びC2の構成は、Z方向に沿った回転軸について回転させることを除き、実施形態と同等とすることができる。
【0050】
第1変形例によっても、実施形態と同様の効果が奏される。
【0051】
2.2 第2変形例
次に、第2変形例に係るアイソレータについて説明する。第2変形例は、アイソレータモジュール40が、上方から見て、半導体チップ20及び30と重ならない位置に設けられる点において、実施形態及び第1変形例と異なる。以下では、実施形態及び第1変形例と異なる構成について主に説明する。
【0052】
図9及び
図10に示すように、アイソレータパッケージ1は、実施形態におけるフレーム10の代わりに、フレーム101、102、161、及び162を含む。
図9は、第2変形例に係るアイソレータの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図10は、第2変形例に係るアイソレータの断面構造の一例を示す、
図9のX-X線に沿った断面図である。
【0053】
アイソレータパッケージ1は、半導体チップ20及び30、アイソレータモジュール40、並びに絶縁部材50に加えて、フレーム101、102、161、及び162を備える。
【0054】
フレーム101、102、161、及び162は、例えば板状の金属部材である。
【0055】
フレーム101及び102の面上には、絶縁性の接着部材11及び12をそれぞれ介して、半導体チップ20及び30が設けられる。フレーム101及び102は、半導体チップ20及び30を支持する基板として機能する。
【0056】
フレーム161及び162の上方には、アイソレータモジュール40が設けられる。アイソレータモジュール40は、導体部BPを介して、フレーム161及び162と、電気的に接続される。なお、
図10では、フレーム161、及びフレーム161に接続される導体部BPが示され、フレーム162、及びフレーム162に接続される導体部BPの図示が省略される。導体部BPは、例えば、フレーム161及び162のそれぞれと、アイソレータモジュール40とを電気的に接続するための、バンプ、又は半田付けにより形成されたものである。アイソレータモジュール40と、フレーム161及び162とは、例えば、実施形態におけるアイソレータモジュール40及び半導体チップ20の接続と同様に、フリップチップボンディングによって電気的に接続される。フレーム161は、絶縁部材50によって封止されるボンディングワイヤW6を介して、半導体チップ20の回路21と、電気的に接続される。フレーム162は、ボンディングワイヤW4を介して、半導体チップ20の回路21と、電気的に接続される。フレーム161及び162は、アイソレータモジュール40を支持する基板として機能する。
【0057】
このような構成によっても、実施形態及び第1変形例と同様の効果が奏される。
【0058】
2.3 第3変形例
次に、第3変形例に係るアイソレータについて説明する。第3変形例は、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40が、半導体基板に支持される点において、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と異なる。以下では、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と異なる構成について主に説明する。
【0059】
アイソレータパッケージ1の構成について、
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、第3変形例に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図12は、第3変形例に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【0060】
アイソレータパッケージ1は、半導体チップ20及び30、アイソレータモジュール40、並びに絶縁部材50に加えて、半導体基板Sを含む。
【0061】
半導体基板Sの面上には、絶縁性の接着部材11、12、及び13をそれぞれ介して、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40が設けられる。半導体基板Sは、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40を支持する基板として機能する。
【0062】
半導体基板Sには、例えばピン23及び33、並びに配線61及び62が設けられる。半導体基板Sにおいて、ピン23及び33、並びに配線61及び62の各々は、少なくとも一部が半導体基板Sの上面に露出するように設けられる。配線61は、第2変形例におけるフレーム161と同様に、ボンディングワイヤW6を介して、半導体チップ20の回路21と、電気的に接続される。配線62は、実施形態において半導体チップ20に設けられる配線62と同様に、ボンディングワイヤW4を介して、半導体チップ30の回路31と、電気的に接続される。また、配線61及び62の上面上には、実施形態と同様に、導体部BPを介して、アイソレータモジュール40が設けられる。これにより、配線61及び62は、アイソレータモジュール40と電気的に接続される。
【0063】
このような構成によっても、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と同様の効果が奏される。
【0064】
2.4 第4変形例
次に、第4変形例に係るアイソレータについて説明する。第4変形例は、ピン23及び33、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40が、ボンディングワイヤW1、W2、W3、W4、W5、及びW6の代わりに、成形配線によって接続される点において、第3変形例と異なる。以下では、第3変形例と異なる構成について主に説明する。
【0065】
アイソレータパッケージ1の構成について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、第4変形例に係るアイソレータパッケージの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図14は、第4変形例に係るアイソレータパッケージの断面構造の一例を示す、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。
【0066】
アイソレータパッケージ1は、ボンディングワイヤW1、W2、W3、W4、W5、及びW6の代わりに、配線I1、I2、I3、I4、I5、及びI6を含む。配線I1、I2、I3、I4、I5、及びI6は、半導体基板S、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40等の表面上に配線パターンとして設けられた成形配線である。配線I1、I2、I3、I4、I5、及びI6は、半導体基板S、半導体チップ20及び30、並びにアイソレータモジュール40と、一体として設けられ得る。配線I1、I2、I3、I4、I5、及びI6は、例えばメッキ処理を用いて形成され得る。配線I1、I2、I3、I4、I5、及びI6は、ボンディングワイヤW1、W2、W3、W4、W5、及びW6と同様に、絶縁部材50によって封止される。
【0067】
配線I1は、例えばアイソレータモジュール40、半導体基板S、及び半導体チップ20の表面に設けられる。配線I1は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ20及びアイソレータモジュール40と電気的に接続される。これにより、配線I1は、半導体チップ20の回路21と、アイソレータモジュール40と、を電気的に接続する。
【0068】
配線I2は、例えば半導体基板S、半導体チップ20の表面に設けられる。配線I2は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ20及びピン23と電気的に接続される。これにより、配線I1は、半導体チップ20の回路21と、ピン23と、を電気的に接続する。
【0069】
配線I3は、例えばアイソレータモジュール40、半導体基板S、及び半導体チップ30の表面に設けられる。配線I3は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ30及びアイソレータモジュール40と電気的に接続される。これにより、配線I3は、半導体チップ30の回路31と、アイソレータモジュール40と、を電気的に接続する。
【0070】
配線I4は、例えば半導体基板S、及び半導体チップ30の表面に設けられる。配線I4は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ30及び配線62と電気的に接続される。これにより、配線I4は、配線62と、半導体チップ30の回路31と、を電気的に接続する。
【0071】
配線I6は、例えば半導体基板S、及び半導体チップ20の表面に設けられる。配線I6は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ20及び配線61と電気的に接続される。これにより、配線I6は、配線61と、半導体チップ20の回路21と、を電気的に接続する。
【0072】
配線I5は、例えば半導体基板S、及び半導体チップ30の表面に設けられる。配線I5は、その一端及び他端においてそれぞれ、半導体チップ30及びピン33と電気的に接続される。これにより、配線I5は、半導体チップ30の回路31と、ピン33と、を電気的に接続する。
【0073】
アイソレータモジュール40の構成について、
図15及び
図16を用いて説明する。
図15は、第4変形例に係るアイソレータモジュールの構造の一例を示す斜視図である。
図16は、第4変形例に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す、
図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
【0074】
配線I1は、パッドPU1と、電気的に接続される。配線I1は、アイソレータモジュール40の絶縁体部41の上面上、及び側面上に設けられる。
【0075】
配線I2は、パッドPU2と、電気的に接続される。配線I2は、アイソレータモジュール40の絶縁体部41の上面上、及び側面上に設けられる。
【0076】
このような構成によっても、実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例と同様の効果が奏される。
【0077】
第4変形例によれば、アイソレータモジュール40は半導体チップ20及び30とそれぞれ成形配線によって接続される。また、半導体チップ20及び30はそれぞれ、ピン23及び33とも成形配線によって接続される。このような構成によれば、アイソレータモジュール40、半導体チップ20及び30、並びにピン23及び33を、ボンディングワイヤによって接続する場合と比較して、配線を形成する際の自由度を向上することができる。これにより、配線長の増加を抑制することができる。したがって、このような構成によっても、アイソレータパッケージ1のサイズ(面積)の増加を抑制することができる。
【0078】
3. その他
上述の実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例、及び第4変形例では、コイルC1及びC2が単一の部材から構成される絶縁体部41内に設けられる場合を示したが、これに限られない。
図17に示すように、絶縁体部41内において、コイルC1及びC2の間には、絶縁体部41と異なる絶縁部材42が設けられてもよい。絶縁部材42は、例えば液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer(LCP))樹脂等を含む。
図17は、その他の例に係るアイソレータモジュール、及び配線の断面構造の一例を示す断面図である。
図17は、
図6の断面図に対応する領域を示す。以上のような構成によれば、アイソレータモジュール40の絶縁耐性を向上することができる。
【0079】
また、図示しないが、コイルC1及びC2のうち、外径が小さいコイルの内側には空間が含まれてもよい。すなわち、コイルC1及びC2が電気的に絶縁されていればよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1…アイソレータパッケージ
10、101、102、161、162…フレーム
11、12、13、14…接着部材
20、30…半導体チップ
21、31…回路
W1、W2、W3、W4、W5、W6…ボンディングワイヤ
I1、I2、I3、I5、I6…配線
23、33…ピン
40…アイソレータモジュール
50…絶縁部材
PU1、PU2、PL1、PL2…パッド
BP…導体部
S…半導体基板