(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135906
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車載機器
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240927BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
H05K5/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046809
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
3D020
4E360
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BB02
3D020BC02
3D020BD02
3D020BD09
4E360AB05
4E360EA03
4E360EC03
4E360EC14
4E360ED07
4E360GA52
4E360GB99
(57)【要約】
【課題】乗員の視界を遮る範囲が小さい車載機器を提供する。
【解決手段】車載機器(91)は、取り付け板(A3a)を有する取り付け部(A3)と、取り付け部(A3)を一軸線(ACL)まわりに回動可能に支持する第1筐体(A1)と、取り付け部(A3)を第1筐体(A1)との間に挟み、ねじの締め付けによって第1筐体(A1)に対する取り付け部(A3)の回動を禁止するノブ(A4)と、第1筐体(A1)に対し、ノブ(A4)を指で締緩不能とするよう覆う第1位置とノブ(A4)を露出させて指で締緩可能とする第2位置との間で移動する第2筐体(A2)と、を備えている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け板を有する取り付け部と、
前記取り付け部を一軸線まわりに回動可能に支持する第1筐体と、
前記取り付け部を前記第1筐体との間に挟み、前記第1筐体に対する前記取り付け部の回動を禁止するノブと、
前記第1筐体に対し、前記ノブを覆う第1位置と前記ノブを露出させる第2位置との間で移動する第2筐体と、
を備えた車載機器。
【請求項2】
前記第1筐体は、前記ノブを挟んで径方向に対向する位置に、前記ノブに沿い近接して前記一軸線の方向に延出した一対のノブサポータを有する請求項1記載の車載機器。
【請求項3】
前記第2筐体における前記ノブに対応した部分と、前記第1筐体における前記一対のノブサポータとの間に、前記第2筐体と前記第1筐体とを隔てる境界部が形成されており、
前記一軸線の方向から見たときに、前記一軸線の位置は、前記境界部における前記第2筐体の前記一軸線に直交する幅方向の両端部の位置を繋ぐ線分に対する一方側にあり、
前記境界部は、前記線分に対し前記一方側に入り込むように形成されている請求項2記載の車載機器。
【請求項4】
前記第2筐体は、前記第1位置で前記ノブを覆うパネルを有し、
前記第1筐体は、前記一軸線に対し前記第2筐体の前記パネルとは反対側に、前記一軸線から離れる方向に突出した突起部を有する請求項1記載の車載機器。
【請求項5】
前記第2筐体に前記一軸線に直交する光軸を有するカメラ部を備えたドライブレコーダである請求項1~4のいずれか1項に記載の車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、カメラを有する本体部,本体部から上方に突出した支持部,及び支持部の上方先端に形成された板状のベースを備えた車載機器であるドライブレコーダが記載されている。このドライブレコーダは、ベースを両面テープによって車両のフロントガラスの内面に貼り付けることでフロントガラスに取り付けられる。
【0003】
特許文献1に記載された車載機器の支持部は、本体部側とベース側とに分割された腕部と支柱部とが、水平軸まわりに上下回動可能に軸係合しており、ナットによって任意の回動位置で締め付け固定できるようになっている。
これにより、使用者は、フロントガラスに対するカメラの光軸方向を上下方向に回動調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている車載機器は、本体部が上下方向に延びる支持部を介してフロントガラスに取り付けられている。そのため、フロントガラスの取り付け位置から本体部の下端までの上下方向の距離が長く、その分、乗員の視界が大きい範囲で遮られる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、乗員の視界を遮る範囲が小さい車載機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)の構成を有する。
1) 取り付け板を有する取り付け部と、
前記取り付け部を一軸線まわりに回動可能に支持する第1筐体と、
前記取り付け部を前記第1筐体との間に挟み、ねじの締め付けによって前記第1筐体に対する前記取り付け部の回動を禁止するノブと、
前記第1筐体に対し、前記ノブを指で締緩不能とするよう覆う第1位置と前記ノブを露出させて指で締緩可能とする第2位置との間で移動する第2筐体と、
を備えた車載機器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、乗員の視界を遮る範囲が小さい、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一態様に係る実施例1の車載機器90の構成を示す第1態様での模式的断面図である。
【
図1B】
図1Bは、車載機器90の構成を示す第2態様での模式的断面図である。
【
図2B】
図2Bは、車載機器90の取り付け部A3を、
図2Aに示される第1位置から第2位置へ回動した状態を示す模式的断面図である。
【
図3】
図3は、車載機器90の第1筐体の後面図である。
【
図4A】
図4Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す第1の斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す第1の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す第2の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す第2の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す左側面図である。
【
図6B】
図6Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す左側面図である。
【
図7】
図7は、車載機器90の姿勢調節方法を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は、車載機器90を第1態様から第2態様に移行させる方法を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、
図2AにおけるS8-S8位置の断面図で示されるガイド部ASの動作図であり、
図9(a)は、第1筐体A1と第2筐体A2とを係合させるときの状態、
図9(b)は第1態様と第2態様との間の移動状態、
図9(c)は第1態様の状態、
図9(d)は係合解除が規制される状態が示されている。
【
図10A】
図10Aは、本発明の一態様に係る実施例2の車載機器91の構成を示す第1態様での模式的断面図である。
【
図10B】
図10Bは、車載機器91の構成を示す第2態様での模式的断面図である。
【
図12】
図12は、車載機器90の取り付け態様を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
まず、本発明の一態様に係る実施例1である車載機器90の構成を、
図1A~
図9を参照して説明する。以下に説明する車載機器90は、自動車のフロントガラスに取り付けられるドライブレコーダである。
【0011】
図1Aは、本発明の一態様に係る実施例1の車載機器90の構成を示す第1態様での模式的断面図であり、
図1Bは、車載機器90の構成を示す第2態様での模式的断面図である。
図2Aは、
図1AにおけるS2A-S2A位置での模式的断面図であり、
図2Bは、車載機器90の取り付け部A3を、
図2Aに示される第1位置から第2位置へ回動した状態を示す模式的断面図である。
図3は、車載機器90の第1筐体の後面図である。
図4Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す第1の斜視図であり、
図4Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す第1の斜視図である。
図5Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す第2の斜視図であり、
図5Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す第2の斜視図である。
図6Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す左側面図であり、
図6Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す左側面図である。
図7は、車載機器90の姿勢調節方法を説明するための斜視図であり、
図8は、車載機器90を第1態様から第2態様に移行させる方法を説明するための斜視図である。
図9は、
図2AにおけるS8-S8位置の断面図で示されるガイド部ASの動作図であり、
図9(a)は、第1筐体A1と第2筐体A2とを係合させる状態を示し、
図9(b)は第1態様と第2態様との間の移動状態をしめし、
図9(c)は第1態様の状態を示し、
図9(d)は係合解除が規制される状態を示している。説明の便宜上、前後左右の各方向を、
図1Aに矢印で規定する。上方は
図1Aの紙面手前方であり下方は
図1Aの紙面奥方である。
【0012】
なお、
図4A~
図8は、後述する実施例2の説明においても参照するので、実施例2の車載機器91に関する符号の一部は括弧付きで併記してある。
【0013】
車載機器90は、2つの筐体を相対的に左右方向にスライド可能なスライド構造を有し、左右方向の全長が最も短い第1態様と最も長い第2態様との間で伸縮可能である。
【0014】
車載機器90は、第1筐体A1,第2筐体A2,取り付け部A3,及びノブA4を有する。
第1筐体A1は、
図1A及び
図3などに示されるように、基部A11及びナットA12と、一対のノブサポータA1e,A1fとを有し、
図3に示される後面視において、左方側が開放した略コ字状に形成されている。基部A1及びノブサポータA1e,A1fは、例えば、樹脂の射出成形によって一体に形成される。基部A11は、後方側に開放して前方に抉れた溝部A11aを有する。ナットA12は、その軸線ACLが左右方向に延びる姿勢で溝部A11aの奥に収められている。
図1Aに示されるように、基部A11の左側の壁部には、軸線ACLを芯とする貫通孔A11bが形成されている。貫通孔A11bには、ノブA4の、外周面に雄ねじが形成された軸部A4bが左方から挿通されてナットA12に螺合している。
【0015】
図2A,
図4A,及び
図5Bに示されるように、一対のノブサポータA1e,A1fは、基部A11の溝部A11aが形成された部位から、上下方向に離隔し左方に延びるように形成されている。
図2Aに示されるように、ノブサポータA1e,A1fそれぞれの後面には、上下の互いに遠ざかる方向に抉れて左右方向に延びる溝である凹ガイド部A111が形成されている。
【0016】
第2筐体A2は、基体A21及びパネルA22を有する。基体A21は、例えば、樹脂の射出成形によって、後方側か開放した扁平の容器状に形成されている。すなわち、基体A21は内部に収容空間AVを形成している。
図1A及び
図4Aに示されるように、基体A21は、左右方向の中央部に、前方に向け円筒状に突出した突出部A2aを有する。基体21は、突出部A2aを含む左右方向の中央部から右方部位の前後方向の厚さに対し、突出部A2aから左方に延びる部位である延出部A2bの厚さが薄くなっている。
図1Aに示されるように、収容空間AVにおいて、突出部A2aの内側にはカメラユニットA24が取り付けられている。カメラユニットA24は、前後方向に延びる光軸ACLcを有して前方の風景を撮像する。カメラユニットA24及び突出部A2aによりカメラ部ACAが構成されている。
【0017】
基体A21の右側面にはコネクタA23aが取り付けられている。コネクタA23aには、右方側から接続プラグA81が装脱可能となっている。
収容空間AVにおける後部には、基板A23が、上下左右方向に延在する姿勢で収められている。基板A23とカメラユニットA24及びコネクタA23aとは、電気的に接続されており、カメラユニットA24で撮像した画像は、コネクタA23aに接続された接続プラグA81を通して外部機器に出力される。
【0018】
パネルA22は、基体A21に対し、その開放された後部を塞ぐように取り付けられる概ね板状の部材である。パネルA22は、平板は部位と、その周縁に形成された前方に立ち上がる背の低い壁とを有する。
【0019】
パネル22の後面は、この車載機器90(ドライブレコーダ)を車両のフロントガラスに取り付けた状態で車室の乗員から視認される面である。パネルA22には、商品ブランドのロゴマークなどが印刷或いはエンボスによって付される。パネルA22は樹脂又は金属で形成される。
【0020】
図2Aに示されるように、基体A21の延出部A2bの前部には、上下方向に離隔して左右方向に延びる一対の凸ガイド部A211が形成されている。一対の凸ガイド部A211は、上下の互いに離れる方向に突出したリブとして形成されている。
一対の凸ガイド部A211には、第1筐体A1の一対の凹ガイド部A111が係合して、上下方向に離隔した一対のガイド部ASが構成されている。
【0021】
これにより、第2筐体A2は、第1筐体A1に対し左右方向に所定の範囲でスライド可能となっている。詳しくは、第2筐体A2は、第1筐体A1に対し、
図1Aに示される移動範囲の左端位置の第1位置と、
図1Bに示される移動範囲の右端位置の第2位置との間をスライドする。
【0022】
このスライドにおけるガイド部ASの状態を、
図9を参照して説明する。
図9は、
図2AにおけるS8-S8位置の断面図で示されるガイド部ASの動作図であり、
図9(a)は、第1筐体A1と第2筐体A2とを係合させるときの状態、
図9(b)は第1態様と第2態様との間の移動状態、
図9(c)は第1態様の状態、
図9(d)は係合解除が規制される状態が示されている。
【0023】
図9(a)に示されるように、第1筐体A1の凹ガイド部A111における後方側の側壁には、凹ガイド部A111の右方側となる出口及び左方側の奥に、それぞれ凹部の幅を狭くするよう突出した出口突起A112及び奥突起A113が形成されている。
一方、第2筐体A2の凸ガイド部A211の後壁には、凸ガイド部A211の右方側の奥と左方側の出口に、それぞれ後方側に突出した奥突起A212及び出口突起A213が形成されている。
【0024】
車載機器90の組み立て工程において、第1筐体A1と第2筐体A2とをガイド部ASで係合させるときには、
図9(a)に示されるように、凸ガイド部A211を凹ガイド部A111に進入させる。出口突起A112と出口突起A213とが厚さ方向(前後方向)にわずかに強嵌合となるように形成されているので、このとき、作業者は一定の力を付与して強嵌合の両突起を通過させて係合状態にできる。
【0025】
第1位置の僅かに手前と第2位置との間の係合状態では、
図9(b)に示されるように、厚さ方向に隙間が生じるように形成されているので、作業者によるわずかな力で第2筐体A2は第1筐体A1に対してスライドする。
【0026】
係合が第1位置の近傍に達すると、第1筐体A1の出口突起A112と、第2筐体A2の奥突起A212とが係合する。出口突起A112及び奥突起A212の突出高さは、わずかな摺動抵抗が生じるように形成されている。そのため、作業者は、良好な節度感をもって第2筐体A2を第1位置に位置決めできると共に、第2筐体A2が第1位置から容易に移動しないようになっている。
奥突起A212には、出口側に厚さがなだらかに変化するよう傾斜した誘導部A212aが形成されているので、出口突起A112は滑らかに奥突起A212の形成部位に進入し、支障なく
図9(c)に示される第1位置(最も奥の位置)へ移動する。
【0027】
一方、第1筐体A1を、
図9A(a)に示される第1位置から
図9(d)に示される第2位置に移動させると、出口突起A112及び出口突起A213の左方側端部が移動方向に対して直交する面を有して形成されている。そのため、単に第1筐体A1を左方に移動した場合、第2位置において出口突起A112と出口突起A213とが当接してそれ以上の移動が規制され、第2位置の位置決めとなる。
【0028】
メンテナンスなどの特別な場合において、ガイド部ASの係合を解除する際には、
図9(d)に示される状態から第1筐体A1を後方側に押し込みながら力をかけて左方へ移動させることで、わずかな強嵌合状態を経て第1筐体A1を第2筐体A2から分離できる。
【0029】
このように、第1位置は、
図1Aにおいて第1筐体A1の右面に第2筐体A2の左面が当接して第1筐体A1の左方への移動が規制される位置である。第1位置と第1位置に至る近傍位置では、
図2Aに示される凹ガイド部A111の出口突起A112と凸ガイド部A211の奥突起A212とがわずかに強嵌合となるようになっている。そのため、使用者は、第2位置側から左方に移動した第2筐体A2が第1位置に近くなると、一定の抵抗感を感じ、その抵抗力に抗して第2筐体A2を第1位置へ位置させる。これにより、第1位置にある第2筐体A2は、外部から所定値以上の力が付与されない限り、第1位置で維持される。
【0030】
一方、第2位置においては、凹ガイド部A111の出口突起A112と凸ガイド部A211の出口突起A213とが当接して第2筐体A2の右方への移動が規制される。 この当接は、第2筐体A2を前方に押し付けながらある程度以上の抜き方向(右方向)の力を付与することで解除できる。車載機器90の製造工程において、第1筐体A1に第2筐体A2を係合させて組み立て可能である。
【0031】
図1A及び
図2Aに示されるように、取り付け部A3は、取り付け板A3a,支柱部A3b,及び軸係合部A3cを有する。
軸係合部A3cは、左右方向に延びる軸線ACLを軸とする貫通孔A3b1を有して環状に形成されている。
支柱部A3bは、軸係合部A3cから径方向の外方に延びる柱状に形成されている。取り付け板A3aは、支柱部A3bの先端に設けられ軸線ACLと平行に延在する平板状の部位である。取り付け板A3aの表面には、両面テープなどの貼着部材A3a1(
図4A参照)が取り付けられている。
【0032】
一方、ノブA4は、手で摘まめる頭部A4aと、頭部A4aから右方に延びる軸部A4bとを有する。軸部A4bの周面には、ナットA12と螺合する雌ねじ部A4b1が形成されている。
図5Bに示されるように、頭部A4aの周面には、軸方向に延びて指掛かりとなる凹みの凹部A4cが、周方向に離隔して複数形成されている。
【0033】
図1Aに示されるように、ノブA4の軸部A4bは、取り付け部A3における軸係合部A3cの貫通孔A3b1に対し左方側から挿通され、さらに第1筐体A1の貫通孔A11bを通ってナットA12に螺合している。
これにより、ノブA4を締め付けることで軸係合部A3cが第1筐体A1の基部A11に押し付けられて第1筐体A1及び第2筐体A2に対する取り付け部A3の軸線ACLまわりの回動が規制される。また、ノブA4を緩めることで第1筐体A1及び第2筐体A2に対する取り付け部A3の軸線ACLまわりの回動位置を所定の角度範囲内の任意の位置にすることができる。
【0034】
車載機器90は、取り付け部A3の軸線ACLまわりの位置を、
図1A及び
図2Aに示されるような、取り付け板A3aの姿勢が概ね上下左右方向に延在する回動位置と、
図2Bに示されるように取り付け板A3aの姿勢が概ね前後左右方向に延在する回動位置との間で移動可能となっている(矢印DRa参照)。
【0035】
取り付け部A3は、
図5Aに示されるように、第1筐体A1(
図5Aでは不図示)及び第2筐体A2に対し、軸線ACLまわりの角度を最適に調整された姿勢で、車両側部材Gに貼着部材A3a1によって取り付けられる。車両側部材Gは、例えばフロントガラスである。
【0036】
これにより、車載機器90は、車両の例えばフロントガラスに取り付けたときに、フロントガラスの傾斜角度によらず、カメラユニットA24の光軸ACLcを上下方向に回動して好みの方向に調整できる。
【0037】
図1Aにおいて、支柱部A3bの右面と、この右面が当接する第1筐体A1の基部A11の左面とは、平らな面同士で当接させ摩擦力で回動規制することに限らず、両方の面それぞれに、互いに噛み合う放射状の凹凸を設けて、凹凸係合するようにしてもよい。この場合、放射状の凹凸の角度ピッチ毎に規制可能な回動位置が決まり、より強固に回動を規制して位置決めできる。
【0038】
ノブA4まわりの構造について、
図6A,
図6B,及び
図7も参照して説明する。
図6Aは、車載機器90の第1態様での外観を示す左側面図であり、
図6Bは、車載機器90の第2態様での外観を示す左側面図である。
図7は、車載機器90の姿勢調節方法を説明するための斜視図である。
【0039】
ノブA4は、
図5A及び
図6Aに示されるように、第2筐体A2が第1位置にあるときに、後方側(
図5Aの紙面手前側)から見て第2筐体A2に覆われるようになっている。第2筐体A2の基体A21とノブA4との間の隙間は狭く、指は入らない。従って、第2筐体A2が第1位置にある車載機器90の第1態様において、ノブA4を指でまわすことはできない。
一方、ノブA4は、
図5B及び
図6Bに示されるように、第2筐体A2が右方にずれて第2位置にあるとき、後方側から視認可能に露出する。
【0040】
第1筐体A1の基部A11には、ノブA4に近接し、かつノブA4に対応した長さで左方に延出する一対のノブサポータA1e,A1fが形成されている。詳しくは、ノブサポータA1e,A1fは、ノブA4が締め込まれた状態におけるノブA4の左方端位置まで延びている。
ノブサポータA1e,A1fは、
図6Aに示されるように、それぞれノブA4の上側と下側とに、ノブA4を挟んで径方向に対向するように形成されている。ノブサポータA1e,A1fは、車載機器90を誤って落下させてしまった場合などにおいて、ノブA4に直接過大な力が加わりにくくしてノブA4が変形或いは損傷することを防止する。
【0041】
一方、ノブA4の周辺形状におけるノブA4に対応した部分において、第1筐体A1と第2筐体A2とを隔てる境界を示す境界部ALN1は、上下に延びる一直線状ではなく屈曲するように設定されている。境界部ALN1は狭い隙間であって
図6Aでは実線で示されている。
詳しくは、
図6Aに示されるように、境界部ALN1の、第2筐体A2における軸線ACLに直交する幅方向(
図6Aの上下方向)の両端部(上端部及び下端部)の位置は、ノブ4の軸線ACLよりも後方側のそれぞれ位置P1,位置P2にある。そして、境界部ALN1は、位置P1,位置P2からそれぞれ下方及び上方に延び、屈曲点P1a,P2aにおいて屈曲して軸線ACLに向かうように延びている。
【0042】
換言するならば、第1筐体A1と第2筐体A2とは、ノブA4に対応した部分において、一対のノブサポータA1e,A1fの後面が境界部ALN1とされている。そして、一軸線である軸線ACLの方向から見たときに、軸線ACLの位置は、第2筐体A2と一対のノブサポータA1e,A1fとの境界部ALN1における第2筐体A2の軸線ACLに直交する幅方向(上下方向)の両端部の位置(位置P1,P2)を繋ぐ線分ALNaに対する一方側(前方側)にある。そして、境界部ALN1は、線分ALNaに対し一方側に入り込むように形成されている。
【0043】
そのため、
図6Bに示されるように、第2筐体A2がスライドしてノブA4が露出した状態での軸線ACLを中心とした露出角度範囲は、屈曲点P1a,P2aを設けない場合のノブA4の露出角度範囲θに対して上下方向にそれぞれ拡大した露出角度範囲θaとなっている。これにより、
図7に示されるように、車載機器90は、第2態様において、矢印DR4で示される親指FG1及び人差し指FG2によるノブA4の締緩作業が大変容易である。
【0044】
車載機器90は、
図8のみに示されるように、第1筐体A1における基部A11の右下側に、縁部に沿って前方に突出したリブ状の突起部A1a1を有していてもよい。
図8は、車載機器90を第1態様から第2態様に移行させる方法を説明するための斜視図である。
【0045】
突起部A1a1は、第1筐体A1において、軸線ACLに対しパネルA22と反対側に軸線ACLから離れる方向に突出するように形成されている。上述のように、第2筐体A2を第1位置から第2位置に向け移動させる際には、第2筐体A2に、第1筐体A1に対し右方にずらす所定の力を付与する必要があるが、突起部A1a1は、指掛かりとなってこの移動作業を容易にする。
【0046】
具体的には、
図8に示されるように、第2筐体A2の基体A21及びパネルA22の左端部に人差し指FG2を当て、右方に押す(矢印DR5参照)。また、第1筐体A1には親指FG1をかけて左方に押す(矢印DR6参照)のであるが、その際に、親指FG1を突起部A1a1に引っ掛けることができるので、第1筐体A1に対する左方への力の付与を、指で確実かつ楽に行うことができる。
【0047】
上述のように、車載機器90は、取り付け板A3aを有する取り付け部A3が、第1筐体A1に対し、その第1筐体A1を通過する軸線ACLまわりに回動するので、取り付け位置と筐体の下端までの上下方向が短くコンパクトであり、乗員の視界を遮る範囲が小さい。
車載機器90は、光軸ACLcの上下方向を回動調整するノブA4を覆って締緩不能とする第1態様と、露出させて締緩可能とする第2態様とで態様遷移が可能となっている。これにより、意図せずノブA4が回されて光軸ACLcの向きが変わってしまう虞がなくなり、使用状態での車載機器90の左右方向の長さが短くなり、ノブA4が乗員から見えないのでデザインが単純化されて外観品位が向上する。
【0048】
(実施例2)
次に、本発明の一態様に係る実施例2である車載機器91の構成を、新たな
図10A,
図10B,及び
図11を主に、
図4A~
図8Bも併せて参照して説明する。以下に説明する車載機器91は、自動車のフロントガラスに取り付けられるドライブレコーダである。
【0049】
図10Aは、車載機器91の構成を示す第1態様での模式的断面図であり、
図10Bは、第2態様での模式的断面図であり、
図11は、
図10AにおけるS11-S11位置での模式的断面図である。説明の便宜上、前後左右の各方向を、
図10Aに矢印で規定する。上方は
図10Aの紙面手前方であり下方は
図10Aの紙面奥方である。
なお、既述のように、
図4A~
図8は、実施例1と共有しており、車載機器91に対応する符号の一部は括弧付きで示されている。
【0050】
車載機器91は、左右方向にスライド可能なスライド構造を有し、左右方向の全長が最も短い第1態様と、最も長い第2態様の間で伸縮可能である。
【0051】
図10Aに示されるように、車載機器91は、第1筐体1,第2筐体2,取り付け部3,及びノブ4を有する。第1筐体1は、樹脂の射出成形で形成され、基部1a,軸部1b,延出ガイド部1c,及びガイドレール部1dを有する。
【0052】
基部1aは、軸線CLに直交する方向に延材する厚板状に形成されている。基部1aの後部から右方に延出して延出ガイド部1cが形成されている。延出ガイド部1cの前面には、
図10B及び
図11に示されるように、上前方及び下前方に突出して左右方向に延びる平行な一対のガイドレール部1dが、上下方向に離隔して一対形成されている。
【0053】
図10Aにおいて、軸部1bは、左右方向に延びる一軸線である軸線CLを軸として基部1aから円柱状に延び出るように形成されている。軸部1bは、先端側に雄ねじ部1b1を有する。軸線CLは第1筐体1を貫く位置に設定されている。
【0054】
第2筐体2は、基体21及びオーナメントとしても利用できるパネル22を有する。
基体21は、収容ケース21a,スライダ21b,側壁部21c,及び後壁部21dを有する。収容ケース21aは、左右方向に長く内部に収容空間Vを有する閉じた箱状に形成されている。収容ケース21aは、後縁部に、第1筐体1の一対のガイドレール部1dに係合して第1筐体1を左右方向に移動可能なスライダ21bを有する。また、収容ケース21aは、後縁部の右端部に、側壁部21cが後方に延出するように形成されている。側壁部21cの後端には、左方に延びる細長板状の後壁部21dが一体的に形成されている。後壁部21dは、左端部から折れ曲がって前方に延びる左側壁部21d1(
図6A及び
図10A参照)を有する。
【0055】
パネル22は、後壁部21dの後面に取り付けられた板状の部材である。パネル22は、この車載機器91(ドライブレコーダ)を車両のフロントガラスに取り付けた状態で車室の乗員から視認される面である。パネル22には、商品ブランドのロゴマークなどが印刷或いはエンボスによって付される。パネル22は樹脂又は金属で形成される。
【0056】
図11に示されるように、第1筐体1の一対のガイドレール部1dは、前方側に向かうに従ってそれぞれ上前方と下前方とに延びる形状を有し上下方向に離隔して平行に形成されている。第2筐体2のスライダ21bは、一対のガイドレール部1dを上方及び下方から抱え込む形状を有する。
スライダ21bは、一対のガイドレール部1dに、前後上下方向に遊びなく左右方向(
図11の紙面表裏方向)に指の力によって移動可能に係合している。
【0057】
第1筐体1に対する第2筐体2の左右方向の移動範囲は、
図10Aに示される左端位置から、
図10Bに示される右端位置までの距離L1の範囲である。
左端位置は、第1筐体1の基部1aに第2筐体2の収容ケース21aの左端が当接することで決められる。右端位置は、スライダ21bの右端部がガイドレール部1dの右端に形成された当接壁部1d1に当接することで決められる。
【0058】
以下、左端位置を第1位置、右端位置を第2位置とも称し、第2筐体2が第1位置にある車載機器91の態様を第1態様、第2位置にある車載機器91の態様を第2態様とも称する。
【0059】
第1筐体1及び第2筐体2には、第2筐体2が第1位置及び第2位置において部材の係合によりロックする不図示のロック機構が設けられている。このロックは、指によって所定の力以上の力を掛けることで解除できるようにロック解除力が設定されている。第1筐体1と第2筐体2との係合構造に、実施例1のガイド部ASを適用してもよい。
【0060】
図10Aに示されるように、第2筐体における収容ケース21aの内部の収容空間Vには、基板体23が収容されている。基板体23は、基板23cと、基板23cに実装された、外部と電気的な接続をするコネクタ23a及びカメラユニット23bとを有する。
【0061】
コネクタ23aは、収容ケース21aの右端面に開口した接続部CNから臨めるように配置されており、外部の機器と電気接続をするための接続プラグ81が接続部CNにおいてコネクタ23aに対し着脱可能となっている。
カメラユニット23bは、収容空間Vにおける左側に配置され、光軸CLcは、収容ケース21aの長手方向に延びる軸線CLと直交する方向に延びている。収容ケース21aには、光軸CLcを軸として円筒状に前方に突出するカメラ部CAが形成されている。カメラ部CAにおいて、カメラユニット23bのレンズ23b1は外部から視認される。
【0062】
図10Aに示されるように、取り付け部3は、取り付け板3a,支柱部3b,及び軸係合部3cを有する。
軸係合部3cは、左右方向を軸とする環状に形成され、第1筐体1の軸部1bに遊びなく、軸線CLを中心として摺動回動可能に嵌められている。すなわち、第1筐体1は、軸係合部3cを相対的に摺動回動可能に支持している。支柱部3bは、軸係合部3cから径方向の外方に柱状に延びるように形成されている。取り付け板3aは、支柱部3bの先端に設けられ軸線CLと平行な延在する平板状の部位である。取り付け板3aの表面には、両面テープなどの貼着部材3a1が取り付けられている。
取り付け部3は、
図5Aに示されるように、第1筐体1(
図5Aでは不図示)に対し軸線CLまわりの角度を最適に調整された姿勢で、車両側部材Gに貼着部材3a1によって取り付けられる。車両側部材Gは、例えばフロントガラスである。
【0063】
図10Aに示されるように、ノブ4は、円盤状の底壁部4aと底壁部4aの周縁から立ち上がる周壁部4bとを有してカップ状に形成されている。
図5Bに示されるように、周壁部の外周面には、指掛かりとなるよう左右方向に延びる凹部4cが周方向に等角度ピッチで複数形成されている。周壁部4bは、内面に雌ねじ部4b1を有する。雌ねじ部4b1は、第1筐体1における軸部1bの雄ねじ部1b1に螺合する。
これにより、ノブ4は、軸線CLを軸として、軸係合部3cを間に挟んで基部1aに対し締緩可能である(
図10Bの矢印DR2参照)。
【0064】
ノブ4を締め込むことで、第1筐体1と取り付け部3との相対的な回動を禁止できる。すなわち、
図10Aに示されるように、ノブ4を締め込むことで、ノブ4と第1筐体1の基部1aとの間に取り付け部3の軸係合部3cを挟み、軸係合部3cを基部1aに対し回動不能に固定できる。
ノブ4を緩めると、
図10Bに示されるように、軸係合部3cは、締め付けから開放されて軸線CLまわりに回動可能となる。すなわち、ノブ4を緩めることで、第1筐体1と取り付け板3aとの軸線CLまわりの相対的な回動位置が調整可能となり、ノブ4を締めることで、任意の回動位置で固定できる。これにより、取り付け板3aをフロントガラスに取り付けた状態でのカメラ部CAの光軸CLcの上下方向の位置を回動調整できる。
【0065】
第1筐体1に対する取り付け部3の回動可能範囲は、例えば、
図10A及び
図4Aに示される、取り付け板3aが上下左右方向に延在する前方位置と、約90°起き上がって取り付け板3aが前後左右方向に延在する上方位置との間とされる(
図4A:矢印DRa参照)。
【0066】
ノブ4まわりの構造について、
図6A,
図6B,及び
図7も参照して説明する。
図6Aは、車載機器91の第1態様での外観を示す左側面図であり、
図6Bは、車載機器91の第2態様での外観を示す左側面図である。
図7は、車載機器91の姿勢調節方法を説明するための斜視図である。
【0067】
ノブ4は、
図6A,
図5A,
図10Aに示されるように、第2筐体2が第1位置にあるときに、後方側(
図5Aの紙面手前側)から見て基体21の後壁部21d(
図10A参照)に覆われるようになっている。後壁部21dとノブ4との間には指が入り込める隙間はない。従って、第2筐体2が第1位置にある車載機器91の第1態様において、ノブ4を指でまわすことはできない。
一方、ノブ4は、
図6B及び
図5Bに示されるように、第2筐体2が右方にずれて第2位置にあるとき、後方側から視認可能に露出する。
【0068】
第1筐体1の基部1aには、ノブ4に近接し、かつノブ4に対応した長さで左方に延出する一対のノブサポータ1e,1fが形成されている。詳しくは、ノブサポータ1e,1fは、ノブ4が締め込まれた状態におけるノブ4の左方端位置まで延びている。
ノブサポータ1e,1fは、
図6Aに示されるように、それぞれノブ4の上側と下側とに、ノブ4を挟んで径方向に対向するように形成されている。ノブサポータ1e,1fは、車載機器91を誤って落下させてしまった場合などにおいて、ノブ4に直接過大な力が加わりにくくしてノブ4が変形或いは損傷することを防止する。
【0069】
一方、ノブ4の周辺形状におけるノブ4に対応した部分において、第1筐体1と第2筐体2とを隔てる境界面を示す境界部LN1は、左側面図である
図6Aにおいて上下に延びる一直線状ではなく屈曲するように設定されている。境界部LN1は狭い隙間であって
図6A及び
図6Bでは実線で示されている。
詳しくは、
図6Aに示されるように、境界部LN1の、第2筐体2の軸線CLに直交する幅方向の両端部(上端部及び下端部)の位置は、ノブ4の軸線CLよりも後方のそれぞれ位置P1,位置P2にある。そして、位置P1,位置P2からそれぞれ下方及び上方に延び、屈曲点P1a,P2aにおいて屈曲して軸線CLに向かうように延びている。
【0070】
換言するならば、第1筐体と第2筐体2とは、ノブ4に対応した部分において、一対のノブサポータ1e,1fの後面が境界部LN1とされている。そして、一軸線である軸線CLの方向から見たときに、軸線CLの位置は、第2筐体2と一対のノブサポータ1e,1fとの境界部LN1における第2筐体2の軸線CLに直交する上下方向の両端部の位置(位置P1,P2)を繋ぐ線分LNaに対する一方側(前方側)にある。そして、境界部LN1は、線分LNaに対し一方側に入り込むように形成されている。
この態様において、第2筐体2が第1位置にあるときに、第2筐体2の左右方向でノブ4に対応している前面と、第1筐体1のノブサポータ1e,1fの後面とが近接対向するようになっている。
【0071】
そのため、
図6Bに示されるように、第2筐体2がスライドしてノブ4が露出した状態での軸線CLを中心とした露出角度範囲は、屈曲点P1a,P2aを設けない場合のノブ4の露出角度範囲θに対して上下方向にそれぞれ拡大した露出角度範囲θaとなっている。これにより、
図7に示されるように、車載機器91は、第2態様において、矢印DR4で示される親指FG1及び人差し指FG2によるノブ4の締緩作業が大変容易である。
【0072】
車載機器91は、
図10A,
図10B,及び
図8に示されるように、第1筐体1における基部1aの右下側に、縁部に沿って前方に突出したリブ状の突起部1a1を有する。詳しくは、突起部1a1は、第1筐体1において、軸線CLに対しパネル22と反対側に軸線CLから離れる方向に突出するように形成されている。上述のように、第2筐体2を第1位置から第2位置に向け移動させる際には、第2筐体2に、第1筐体1に対し右方にずらす所定の力を付与してロック解除をする必要があるが、突起部1a1は、指掛かりとなってこのロック解除作業を容易にする。
【0073】
図8は、車載機器91を第1態様から第2態様に移行させる方法を説明するための斜視図である。
具体的には、
図8に示されるように、第2筐体2の基体21及びパネル22の左端部に人差し指FG2を当て、右方に押す(矢印DR5参照)。また、第1筐体1には親指FG1をかけて左方に押す(矢印DR6参照)のであるが、その際に、親指FG1を突起部1a1に引っ掛けることができるので、第1筐体1に対する左方への力の付与を、指で確実かつ楽に行うことができる。
【0074】
上述のように、車載機器91は、取り付け板3aを有する取り付け部3が、第1筐体1に対し、その第1筐体1を通過する軸線CLまわりに回動するので、取り付け位置と筐体の下端までの上下方向が短くコンパクトであり、乗員の視界を遮る範囲が小さい。
車載機器91は、光軸CLcの上下方向を回動調整するノブ4を覆って締緩不能とする第1態様と、露出させて締緩可能とする第2態様とで態様遷移が可能となっている。これにより、意図せずノブ4が回されて光軸CLcの向きが変わってしまう虞がなくなり、使用状態での車載機器91の左右方向の長さが短くなり、ノブ4が乗員から見えないのでデザインが単純化されて外観品位が向上する。
【0075】
以上詳述した実施例1及び実施例2それぞれの一態様は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0076】
取り付け部A3,3の回動の禁止と許容は、上述のねじ締緩による構造に限定されない。例えば、ばねなどの付勢力による部材の押し付け及びその解除によるもの、バヨネット式のリング回動による爪の係合及びその解除によるもの、など、種々の構造を採用できる。
【0077】
ノブA4,4が第2筐体A2,2に覆われた第1態様でも、取り付け部A3,3の回動は可能であってもよい。この場合、ノブA4,4を指で直接回すことは実質的に不能であるが、ノブA4,4の形状を、ドライバやボックスレンチなどの工具に係合する形状として、工具による回動を可能にしてもよい。
【0078】
カメラユニットA24,23bの光軸ACLc,CLcは、取り付け部A3,3の回動軸線でもある軸線ACL,CLと直交していることが望ましい。
【0079】
図12は、車載機器90の取り付け態様を示す模式的側面図である。詳しくは、車載機器90を、車両側部材G(フロントガラスG)に取り付けた状態を示す模式図である。
図2Aに示される車載機器90の上下前後の姿勢において、
図12に示されるように軸線ACLの位置から第2筐体A2の上端までの上下方向の距離を距離D1とし下端までの上下方向の距離を距離D2とすると、軸線ACLの位置から取り付け部A3の取り付け板A3aまでの距離D3が、距離D1よりも長く設定されることが望ましい。また、軸線ACLは、第2筐体A2の上下方向の中心位置にあることが、より望ましい。具体的には、
図12において距離D1と距離D2とが等しいことがより望まれる。また、光軸ACLcは、軸線ACLと直交し、交わることが望ましい。
また、
図12において、軸線ACLから第2筐体A2の突出部A2aの先端までの水平距離を距離D4とし、第2筐体A2の後端までの水平距離を距離D5とすると、距離D3は距離D5よりも長く設定されることが望ましい。また、距離D4と距離D5とは等しくなくてよいが、等しくするのがより望ましい。
これらの関係は、車載機器91についても同様である。
【0080】
カメラユニットA24は、
図1Aに示されるように取り付け板A3aと左右方向において干渉しないようにずれた位置にあるとよい。換言するならば、取り付け板A3aとカメラユニットA24との左右方向の位置及び形状は、取り付け板A3aが相対的にいずれの位置に回動しても、カメラユニットA24の撮像範囲に入らないようになっているとよい。これは車載機器91についても同様である。
【0081】
ノブサポータA1eとノブサポータA1fとは、周方向に180°離隔して対向配置されてなくてもよく、離隔角度は任意である。
【0082】
車載機器90,91は例示したドライブレコーダに限定されるものではない。本発明は、車両の窓ガラスの内側に取り付けられて、筐体の角度を調整して使用する機器に適用可能である。例えば、パネルA22,22の後面に乗員が視認可能に画像を表示する画像表示部を備えた表示機器、パネルA22,22に、後方側へ音を狭指向性で放出する音声放出部を備えた音響機器、パネルA22,22の後面に乗員の体温などを測定するセンサを備えた計測機器、などに適用できる。
【符号の説明】
【0083】
A1,1 第1筐体
A11,1a 基部
A111 凹ガイド部
A112 出口突起
A113 奥突起
A1a1,1a1 突起部
1b 軸部
1b1 雄ねじ部
1c 延出ガイド部
1d ガイドレール部
1d1 当接壁部
A1e,A1f,1e,1f ノブサポータ
A11a 溝部
A11b 貫通孔
A12 ナット
A2,2 第2筐体
A2a 突出部
A2b 延出部
A21,21 基体
A211 凸ガイド部
A212 奥突起
A212a 誘導部
A213 出口突起
21a 収容ケース
21b スライダ
21c 側壁部
21d 後壁部
21d1 左側壁部
A22,22 パネル
23 基板体
A23a,23a コネクタ
A24,23b カメラユニット
23b1 レンズ
A23,23c 基板
A3,3 取り付け部
A3a,3a 取り付け板
A3a1,3a1 貼着部材(両面テープ)
A3b,3b 支柱部
A3b1 貫通孔
A3c,3c 軸係合部
A4,4 ノブ
A4a 頭部
A4b 軸部
4a 底壁部
4b 周壁部
A4b1,4b1 雌ねじ部
A4c,4c 凹部
A81,81 接続プラグ
90,91 車載機器(ドライブレコーダ)
AS ガイド部
ACA,CA カメラ部
ACL,CL 軸線
ACLc,CLc 光軸
CN 接続部
FG1 親指
FG2 人差し指
G 車両側部材(フロントガラス)
ALNa,LNa 線分
ALN1,LN1 境界部
L1 距離
P1,P2 位置
P1a,P2a 屈曲点
AV,V 収容空間
θ,θa 露出角度範囲