(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013591
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20240125BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H3/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115791
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓実
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA10
3F048BA14
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3F048DA01
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3F048DB07
3F048DB09
3F048DC06
3F048DC12
3F048EA02
3F048EB23
3F048EB38
3F048EB39
3F343FA03
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3F343FC17
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3F343GB01
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3F343KB04
3F343KB06
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3F343MA31
3F343MA41
3F343MA55
3F343MC06
3F343MC08
(57)【要約】
【課題】異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、ピックローラと、ピックローラよりも下流側に、ピックローラに対して一方及び他方の側にそれぞれ配置され、媒体の浮き上がりを検出する第1及び第2浮き上がりセンサと、ピックローラに対して第1及び第2浮き上がりセンサと同じ側にそれぞれ配置され、媒体を検出する第1及び第2検出センサと、媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定する判定部と、媒体が所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する制御部と、を有し、判定部は、媒体の一方の側が他方の側よりも先行していることが検出された場合に、第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が所定の媒体であると判定しにくくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を給送するピックローラと、
前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、媒体の搬送方向に向かって前記ピックローラに対して一方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第1浮き上がりセンサと、
前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、前記搬送方向に向かって前記ピックローラに対して他方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第2浮き上がりセンサと、
前記ピックローラに対して前記第1浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第1検出センサと、
前記ピックローラに対して前記第2浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第2検出センサと、
前記第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定する判定部と、
媒体が前記所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する制御部と、を有し、
前記判定部は、前記第1および第2検出センサによって、媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、前記第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が前記所定の媒体であると判定しにくくする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記ピックローラよりも前記搬送方向の下流側に配置される分離ローラをさらに有し、
前記第1および第2検出センサは、前記分離ローラのニップ幅の下流端よりも下流側に、前記搬送方向と直交する方向に間隔を空けて配置されて、配置された位置において媒体を検出する媒体センサである、
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記第1および第2検出センサは、前記分離ローラのニップ幅の上流端よりも上流側に、前記搬送方向と直交する方向に間隔を空けて配置されて、媒体の速度を測定する速度センサである、
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記判定部は、媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることを検出した場合に、前記第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果を前記所定の媒体の判定に利用しない、
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記第1または第2浮き上がりセンサによって検出された前記媒体の浮き上がりの高さが閾値以上である場合に、媒体が前記所定の媒体であると判定し、
媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることを検出した場合に、前記第1浮き上がりセンサについての前記閾値を大きくする、
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記判定部は、
媒体が前記分離ローラを通過した直後の所定の判定期間に前記第1または第2浮き上がりセンサによって媒体の浮き上がりが検出された場合に、媒体が前記所定の媒体であると判定し、
媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることを検出した場合に、前記第1浮き上がりセンサについての前記判定期間を短くする、
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
ピックローラにより媒体を給送し、
前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、前記搬送方向に向かって前記ピックローラに対して一方の側に配置された第1浮き上がりセンサにより媒体の浮き上がりを検出し、
前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、前記搬送方向に向かって前記ピックローラに対して他方の側に配置された第2浮き上がりセンサにより媒体の浮き上がりを検出し、
前記ピックローラに対して前記第1浮き上がりセンサと同じ側に配置された第1検出センサにより媒体を検出し、
前記ピックローラに対して前記第2浮き上がりセンサと同じ側に配置された第2検出センサにより媒体を検出し、
前記第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定し、
媒体が前記所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する、ことを含み、
前記判定することにおいて、前記第1および第2検出センサによって、媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、前記第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が前記所定の媒体であると判定しにくくする、
ことを特徴とする媒体搬送方法。
【請求項8】
媒体を給送するピックローラと、前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、媒体の搬送方向に向かって前記ピックローラに対して一方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第1浮き上がりセンサと、前記ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、前記搬送方向に向かって前記ピックローラに対して他方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第2浮き上がりセンサと、前記ピックローラに対して前記第1浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第1検出センサと、前記ピックローラに対して前記第2浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第2検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定し、
媒体が前記所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する、ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
前記判定することにおいて、前記第1および第2検出センサによって、媒体の前記第1検出センサの側が前記第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、前記第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が前記所定の媒体であると判定しにくくする、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、媒体を搬送して撮像するスキャナ等の媒体搬送装置は、載置台に重ねて載置された複数の媒体を順次分離して搬送する。しかしながら、複数の媒体がステープル等で綴じられている場合、これらの媒体を分離する際に媒体が破損する可能性がある。そこで、媒体搬送装置において、このような綴じ媒体を適切に検出して、搬送を停止させる等の異常制御を実行することが求められている。
【0003】
特許文献1には、媒体の搬送路に配置されて媒体を検知する第1~第3シート検知手段を有し、各シート検知手段が媒体を検知した時間の時間差に基づいて媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する画像読取装置が記載されている。綴じ媒体は分離の際に斜行するため、媒体の斜行によって生じる検知時間の差に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かが判定可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送装置では、綴じ媒体のような、異常制御を実行すべき媒体であるか否かを高精度に判定することが求められている。
【0006】
本発明は、異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る媒体搬送装置は、媒体を給送するピックローラと、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、媒体の搬送方向に向かってピックローラに対して一方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第1浮き上がりセンサと、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、搬送方向に向かってピックローラに対して他方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第2浮き上がりセンサと、ピックローラに対して第1浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第1検出センサと、ピックローラに対して第2浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第2検出センサと、第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定する判定部と、媒体が所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する制御部と、を有し、判定部は、第1および第2検出センサによって、媒体の第1検出センサの側が第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が所定の媒体であると判定しにくくする、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の実施形態に係る媒体搬送方法は、ピックローラにより媒体を給送し、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、搬送方向に向かってピックローラに対して一方の側に配置された第1浮き上がりセンサにより媒体の浮き上がりを検出し、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、搬送方向に向かってピックローラに対して他方の側に配置された第2浮き上がりセンサにより媒体の浮き上がりを検出し、ピックローラに対して第1浮き上がりセンサと同じ側に配置された第1検出センサにより媒体を検出し、ピックローラに対して第2浮き上がりセンサと同じ側に配置された第2検出センサにより媒体を検出し、第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定し、媒体が所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する、ことを含み、判定することにおいて、第1および第2検出センサによって、媒体の第1検出センサの側が第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が所定の媒体であると判定しにくくする、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の実施形態に係る制御プログラムは、媒体を給送するピックローラと、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、媒体の搬送方向に向かってピックローラに対して一方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第1浮き上がりセンサと、ピックローラのニップ幅の上流端よりも下流側に、搬送方向に向かってピックローラに対して他方の側に配置され、媒体の浮き上がりを検出する第2浮き上がりセンサと、ピックローラに対して第1浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第1検出センサと、ピックローラに対して第2浮き上がりセンサと同じ側に配置され、媒体を検出する第2検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、第1または第2浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が所定の媒体であるか否かを判定し、媒体が所定の媒体であると判定された場合に、異常制御を実行する、ことを媒体搬送装置に実行させ、判定することにおいて、第1および第2検出センサによって、媒体の第1検出センサの側が第2検出センサの側よりも先行していることが検出された場合に、第1浮き上がりセンサによる媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が所定の媒体であると判定しにくくする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】媒体搬送装置100の内部の搬送経路を示す図である。
【
図4】浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115及び傾きセンサ116の配置を模式的に示す図である。
【
図5】媒体搬送装置100の機能ブロック図である。
【
図6】記憶装置140及び処理回路150の機能ブロック図である。
【
図9】(A)は綴じ媒体を側面視した模式図であり、(B)は綴じ媒体を平面視した模式図である。
【
図10】(A)は傾いて搬送される媒体を平面視した模式図であり、(B)は傾いて搬送される媒体を搬送方向A2に向かって見た模式図である。
【
図11】媒体搬送装置200の内部の搬送経路を示す図である。
【
図12】浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115及び傾きセンサ216の配置を模式的に示す図である。
【
図13】媒体搬送処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、イメージスキャナである。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、媒体搬送装置100は、印刷対象物である媒体を搬送するプリンタ等でもよい。
【0014】
図1において矢印A1は略鉛直方向(高さ方向)を示し、矢印A2は媒体の搬送方向を示し、矢印A3は媒体の排出方向を示し、矢印A4は搬送方向A2又は排出方向A3と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは搬送方向A2又は排出方向A3の上流のことをいい、下流とは搬送方向A2又は排出方向A3の下流のことをいう。
【0015】
媒体搬送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
第1筐体101及び第2筐体102は、筐体の一例である。第2筐体102は、第1筐体101の内側に配置され、ジャムが発生した時や媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能となるように、ヒンジにより第1筐体101に回転可能に係合している。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第1筐体101に係合する。載置台103は、第1筐体101の側面に設けられる。載置台103は高さ方向A1に移動可能であり、媒体を搬送していないときは、媒体が容易に載置可能となるように第1筐体の下端に位置し、媒体を搬送するときは、最も上側に載置された媒体が後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。
【0018】
載置台103の上面の、幅方向A4における両端には、媒体の幅方向を規制する一対のサイドガイド103aが配置される。サイドガイド103aは、載置台103の上面に対して上方に突出し、かつ搬送方向A2に延伸する。媒体は、一対のサイドガイド103aの間に載置される。
【0019】
排出台104は、第2筐体102の上面に形成される。排出台104は、媒体を載置するための載置面を有し、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置する。
【0020】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有する。操作装備105は、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有する。表示装置106は、画像データをディスプレイに表示する。なお、表示装置106は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。この場合、操作装置105は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0021】
図2は、媒体搬送装置100の内部の搬送経路を示す図である。
【0022】
媒体搬送装置100は、内部の搬送経路に、第1媒体センサ110、ピックローラ111、浮き上がりセンサ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第2媒体センサ115、傾きセンサ116、第1~第5搬送ローラ117a~e、第1~第5従動ローラ118a~e及び撮像装置119等を有する。
【0023】
なお、ピックローラ111、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ117a~e及び/又は第1~第5従動ローラ118a~eのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ111、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第5搬送ローラ117a~e及び/又は第1~第5従動ローラ118a~eは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0024】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0025】
第1媒体センサ110は、給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側である載置台103に配置され、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ110は、媒体が接触している場合又は媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ110は、載置台103に媒体が載置されているか否かによって異なる信号値を有する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ110は、光検知センサ等の、媒体が載置台103に載置されているか否かを検出可能な他の任意のセンサでもよい。
【0026】
ピックローラ111は、第2筐体102に配置される。ピックローラ111は、媒体の搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0027】
浮き上がりセンサ112は、第2筐体102の内部に、かつピックローラ111より下流側に配置される。浮き上がりセンサ112は、ピックローラ111によって給送された媒体の浮き上がりを検出する。媒体の浮き上がりとは、給送された媒体が搬送経路に対して第2筐体102の側に曲がっていることをいう。浮き上がりセンサ112は、媒体が浮き上がっているか否かによって異なる信号値を有する浮き上がり信号を生成して出力することにより、媒体の浮き上がりを検出する。浮き上がりセンサ112の構成については
図3を用いて後述する。
【0028】
給送ローラ113は、第2筐体102の内部に、かつピックローラ111より下流側に配置される。給送ローラ113は、ピックローラ111により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ114は、第1筐体101の内部に、給送ローラ113と対向するように配置される。分離ローラ114は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体を給送する方向の反対方向に回転可能であり、又は停止可能である。給送ローラ113及び分離ローラ114は、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は分離ローラ114の上側に配置され、媒体搬送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。なお、給送ローラ113が分離ローラ114の下側に配置され、媒体搬送装置100は、いわゆる下取り方式により媒体を給送してもよい。
【0029】
第2媒体センサ115は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に配置される。第2媒体センサ115は、媒体を検出する。第2媒体センサ115は、回帰型プリズムセンサであり、第1筐体101の内部に配置されたLED(Light Emitting Diode)等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子並びに第2筐体102の内部に配置されたプリズム等の導光部材を備える。導光部材は、発光素子及び受光素子と媒体の搬送路を挟んで対向し、発光素子から照射された光を受光素子に導くように配置される。第2媒体センサ115は、受光素子によって検出された光の強度に応じた信号値を有する信号、すなわち、発光素子から照射された光が媒体で遮られたか否かによって異なる信号値を有する信号を第2媒体信号として生成して出力する。例えば、第2媒体センサ115は、第2媒体信号が、発光素子から照射された光が媒体で遮られたことを示す場合に、媒体を検出する。なお、第2媒体センサ115は、接触検知センサ等の、媒体を検出可能な他の任意のセンサでもよい。
【0030】
傾きセンサ116は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に配置される。傾きセンサ116は、媒体の傾きを検出する。傾きセンサ116は、幅方向A4に間隔を空けて配置されて、配置された位置において媒体を検出する第1検出センサ116-1及び第2検出センサ116-2を有する。
【0031】
第1検出センサ116-1は、第2媒体センサ115と同様の回帰型プリズムセンサであり、第1筐体101の内部に配置されたLED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子並びに第2筐体102の内部に配置されたプリズム等の導光部材を備える。第1検出センサ116-1は、受光素子によって検出された光の強度に応じた信号値を有する信号、すなわち、発光素子から照射された光が媒体で遮られたか否かによって異なる信号値を有する信号を第1検出信号として生成して出力する。例えば、第1検出センサ116-1は、第1検出信号が、発光素子から照射された光が媒体で遮られていないことを示す状態から媒体で遮られたことを示す状態に変化した場合に、媒体の先端を検出する。
【0032】
第2検出センサ116-2も、第2媒体センサ115と同様の回帰型プリズムセンサであり、第1筐体101の内部に配置されたLED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子並びに第2筐体102の内部に配置されたプリズム等の導光部材を備える。第2検出センサ116-2は、受光素子によって検出された光の強度に応じた信号値を有する信号、すなわち、発光素子から照射された光が媒体で遮られたか否かによって異なる信号値を有する信号を第2検出信号として生成して出力する。例えば、第2検出センサ116-2は、第2検出信号が、発光素子から照射された光が媒体で遮られていないことを示す状態から媒体で遮られたことを示す状態に変化した場合に、媒体の先端を検出する。
【0033】
傾きセンサ116は、第1検出センサ116-1が媒体の先端を検出した時刻と第2検出センサ116-2が媒体の先端を検出した時刻との時間差が閾値以上である場合に、媒体が傾いていることを検出する。
【0034】
第1~第5搬送ローラ117a~e及び第1~第5従動ローラ118a~eは、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に、それぞれ相互に対向して設けられる。第1~第4搬送ローラ117a~d及び第1~第4従動ローラ118a~dは、給送ローラ113及び分離ローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第5搬送ローラ117e及び第5従動ローラ118eは、第1~第4搬送ローラ117a~d及び第1~第4従動ローラ118a~dにより搬送された媒体を排出台104に排出する。
【0035】
撮像装置119は、搬送方向A2において、第1搬送ローラ117aより下流側に配置され、第1搬送ローラ117a及び第1従動ローラ118aにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置119は、媒体の搬送路を挟んで相互に対向して配置される第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを有する。
【0036】
第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成して出力する。
【0037】
同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成して出力する。
【0038】
なお、撮像装置119は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bの一方だけを備え、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bは、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサに代えて、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有してもよい。また、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bは、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有してもよい。
【0039】
載置台103の、一対のサイドガイド103aの間に載置された媒体は、ピックローラ111、給送ローラ113がそれぞれ媒体を給送する方向に回転することによって、搬送方向A2に沿って、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を搬送される。利用者は、媒体搬送装置100の給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとのうちの何れかを設定可能である。給送モードは、利用者が操作装置105又は媒体搬送装置100と通信接続する情報処理装置を操作することにより設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、媒体の給送方向の反対方向に回転し、又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限され、重送が防止される。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、媒体の給送方向に回転する。
【0040】
媒体は、第1搬送ローラ117aが媒体を給送する方向に回転することによって第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を搬送され、撮像装置119の撮像位置に送り込まれ、撮像装置119によって撮像される。さらに、媒体は、第2~第5搬送ローラ117b~eがそれぞれ媒体を給送する方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0041】
図3は、浮き上がりセンサ112の斜視図である。浮き上がりセンサ112は、アーム112aと、馬蹄型センサ112bとを有する。
【0042】
アーム112aは、媒体の搬送経路の上側に、搬送方向A2に延伸するように設けられ、下面が第1ガイド101aと所定距離だけ離間して対向するように配置される。複数の浮き上がりセンサ112が幅方向A4に間隔を空けて配置されてもよい。この場合、各アーム112aは、第1ガイド101aに対する高さが同一となるように配置される。アーム112aの下流側の端部112cは、上流側の端部112dが揺動するように、第2筐体102に回転可能に係合する。これにより、媒体が浮き上がった場合、媒体とアーム112aとが接触して、媒体がアーム112aを回転させることにより上昇させる。媒体が浮き上がっていない場合のアーム112aの下面と第1ガイド101aとの間の距離は、浮き上がりセンサ112による検出を要する媒体の撓みの大きさに応じて適宜設定される。
【0043】
馬蹄型センサ112bは、発光素子112e、受光素子112f及び発光素子112eと受光素子112fとを接続する接続部112gを有する。発光素子112e及び受光素子112fは、相互に対向するように配置される。発光素子112eは、LED等であり、受光素子112fに向けて光を照射する。受光素子112fは、フォトダイオード等である。発光素子112e及び受光素子112fは、それぞれ発光部及び受光部の一例である。受光素子112fは、アーム112aを挟んで発光素子112eと対向して設けられ、発光素子112eからの光を検出する。受光素子112fは、検出された光の強度に応じた電気信号である浮き上がり検出信号を生成して出力する。なお、馬蹄型センサ112bは検出器の一例である。
【0044】
アーム112aは、初期状態において、発光素子112eと受光素子112fとの間に配置され、且つ、上昇した状態において、発光素子112e及び受光素子112fと対向しない位置に配置されるように設けられる。すなわち、アーム112aは、上昇していない状態で発光素子112eから受光素子112fへの光を遮断し、上昇した状態で発光素子112eからの光を受光素子112fまで通過させるように形成される。馬蹄型センサ112bは、受光素子112fによって検出された光の強度に応じた信号値を有する信号、すなわち、給送される媒体が浮き上がった場合と浮き上がっていない場合とで異なる信号値を有する信号を浮き上がり信号として生成する。例えば、浮き上がりセンサ112は、浮き上がり信号が示す、受光素子112fによって検出された光の強度が閾値以上である場合に、媒体の浮き上がりを検出する。
【0045】
図4は、浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115及び傾きセンサ116の配置を模式的に示す図である。
図4は、搬送経路を上から見た場合の図である
【0046】
浮き上がりセンサ112は、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2を有する。第1浮き上がりセンサ112-1は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して左側に配置される。第2浮き上がりセンサ112-2は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して右側に配置される。第1浮き上がりセンサ112-1の構成及び第2浮き上がりセンサ112-2の構成は、幅方向A4に関して対称である点を除き、同じである。
【0047】
第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2は、幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113から所定距離だけ離間して配置される。所定距離は、一般にステープル又はクリップ等で綴じられる可能性が高い媒体のうち幅方向A4の長さが最も小さい媒体(例えばA5サイズ)が幅方向A4の中央を搬送されたときに、その媒体の幅方向A4における端部がアーム112aの下側を通過するように設定される。これにより、浮き上がりセンサ112は、ステープル又はクリップ等で綴じられた綴じ媒体が搬送された場合に、媒体の浮き上がりを確実に検出することができる。
【0048】
第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のアーム112aの上流端112dは、ピックローラ111のニップ幅111aの上流端よりも上流側に位置する。また、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のアーム112aの下流端112cは、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ幅113aの下流端よりも下流側に位置する。これにより、浮き上がりセンサ112は、ピックローラ111のニップ幅111aの上流端と、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ幅113aの下流端との間における媒体の浮き上がりを検出する。
【0049】
第2媒体センサ115は、給送ローラ113及び分離ローラ114の下流側に配置される。第2媒体センサ115は、二つの給送ローラ113の間に配置され、例えば、幅方向A4における中央に配置される。なお、複数の第2媒体センサ115が幅方向A4に沿って間隔を空けて並べて配置されてもよい。
【0050】
傾きセンサ116の第1検出センサ116-1及び第2検出センサ116-2は、第2媒体センサ115の下流側に、幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。第1検出センサ116-1は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して左側に配置される。第2検出センサ116-2は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して右側に配置される。すなわち、第1検出センサ116-1は、ピックローラ111に対して第1浮き上がりセンサ112-1と同じ側に配置され、第2検出センサ116-2は、ピックローラ111に対して第2浮き上がりセンサ112-2と同じ側に配置される。
【0051】
図5は、媒体搬送装置100の概略構成の例を示すブロック図である。媒体搬送装置100は、上述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0052】
モータ131は、一又は複数のモータを含む。モータ131は、処理回路150からの制御パルスによって、ピックローラ111、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第5搬送ローラ117a~eを回転させて媒体を給送及び搬送させる。なお、第1~第5従動ローラ118a~eは、各搬送ローラの回転にしたがって従動するのではなく、モータ131によって回転されてもよい。
【0053】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する。インタフェース装置132は、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続されて、入力画像及び各種の情報を送受信する。媒体搬送装置100は、インタフェース装置132に代えて、無線信号を送受信するアンテナと、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための通信インタフェース回路とを有する通信部を備えてもよい。通信インタフェース回路が用いる通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0054】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読取り可能かつ非一時的な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等である。
【0055】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等でもよい。
【0056】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ110、浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115、傾きセンサ116、撮像装置119、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131を制御して媒体を搬送し、撮像装置119を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、浮き上がりセンサ112から受信した浮き上がり検出信号、第2媒体センサ115から受信した第2媒体信号及び傾きセンサ11
6から受信した信号に基づいて、搬送される媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する。
【0057】
図6は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0058】
記憶装置140には、制御プログラム141及び判定プログラム142等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151及び判定部152として機能する。
【0059】
図7は、媒体搬送装置100によって実行される媒体搬送処理の動作の流れを示すフロー図である。媒体搬送処理は、記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて、処理回路150が媒体搬送装置100の各要素と協働することにより実現される。
【0060】
最初に、制御部151は、媒体の読取りを指示する操作信号を受信するまで待機する(S101)。操作信号は、利用者によって媒体の読取指示が操作装置105に入力されたことに応じて、操作装置105から制御部151に供給される。操作信号は、利用者によって読取指示が情報処理装置に入力されたことに応じて、情報処理装置からインタフェース装置132を介して供給されてもよい。
【0061】
続いて、制御部151は、第1媒体センサ110から出力された第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(S102)。媒体が載置されていない場合(S102-No)、媒体撮像処理は終了する。
【0062】
媒体が載置されている場合(S102-Yes)、制御部151は、載置台103を移動させるためのモータを駆動して、媒体を給送可能な位置まで載置台103を上昇させる。制御部151は、モータ131を駆動してピックローラ111、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第5搬送ローラ117a~eを回転させ、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる(S103)。
【0063】
次に、制御部151は、第2媒体センサ115から出力された第2媒体信号に基づいて、第2媒体センサ115によって媒体が検出されたか否かを判定する(S104)。制御部151は、第2媒体信号が、発光素子から照射された光が媒体で遮られていないことを示す状態から媒体で遮られたことを示す状態に変化した場合に、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達し、媒体が第2媒体センサ115によって検出されたと判定する。媒体が第2媒体センサ115によって検出されていない場合(S104-No)、S104に戻り、制御部151は媒体が第2媒体センサ115によって検出されるまで待機する。
【0064】
媒体が第2媒体センサ115によって検出された場合(S104-Yes)、判定部152は、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する判定処理を実行する(S105)。判定処理の詳細は後述する。
【0065】
次に、制御部151は、判定処理の結果を判定部152から取得して、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する(S106)。媒体が綴じ媒体である場合(S106-Yes)、制御部151は、モータ131を停止することによって媒体の搬送を停止させる(S107)。また、制御部151は、媒体の搬送に異常があったことを示す画面を表示装置106に表示させる。以上で、媒体搬送処理は終了する。なお、媒体の搬送を停止させること、及び媒体の搬送に異常があったことを示す画面を表示装置106に表示させることは、異常制御を実行することの一例である。
【0066】
媒体が綴じ媒体でない場合(S106-No)、制御部151は、媒体を撮像する(S108)。制御部151は、媒体の先端が、第2媒体センサ115と撮像装置119との間の撮像開始位置に到達するまで待機する。例えば、制御部151は、媒体の先端が第2媒体センサ115の位置に到達してから所定距離だけ搬送された場合に、媒体の先端が撮像開始位置に到達したと判定する。媒体の先端が撮像開始位置に到達した場合、制御部151は、撮像装置119を制御して、媒体の搬送に伴い順次媒体を撮像して入力画像を生成する。制御部151は、インタフェース装置132を介して、生成した入力画像を情報処理装置に送信する。
【0067】
次に、制御部151は、第1媒体センサ110から出力された第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(S109)。媒体が載置されている場合(S109-Yes)、媒体搬送処理はS104に戻り、制御部151は次の媒体が第2媒体センサ115によって検出されるまで待機する。媒体が載置されていない場合(S109-No)、制御部151は、モータ131を停止させる。以上で、媒体搬送処理は終了する。
【0068】
図8は、媒体搬送処理のS105において媒体搬送装置100によって実行される判定処理の流れを示すフロー図である。判定処理においては、媒体が綴じ媒体であるか否かが判定される。
【0069】
最初に、判定部152は、判定期間の計時を開始する(S201)。判定期間は、媒体が第2媒体センサ115に到達してから媒体が所定距離だけ搬送されるまでの期間である。この場合、判定部152は、第1~第5搬送ローラ117a~eを駆動するモータ131に供給された制御パルスの計数を開始する。判定期間は、媒体が第2媒体センサ115に到達してから所定時間が経過するまでの期間でもよい。この場合、判定部152は、媒体が第2媒体センサ115に到達した時刻からの経過時間の計測を開始する。例えば、判定期間は、標準的な大きさ(例えば、A4サイズ)の媒体の後端が給送ローラ113及び分離ローラ114を通過するまでの期間に設定される。
【0070】
次に、判定部152は、浮き上がりセンサ112が出力する浮き上がり信号に基づいて、浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出されたか否かを判定する(S202)。判定部152は、浮き上がり信号が示す、受光素子112fによって検出された光の強度が閾値以上である場合に、媒体の浮き上がりが検出されたと判定する。
【0071】
浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出された場合(S202-Yes)、判定部152は、媒体が綴じ媒体であると判定する(S203)。以上で、判定処理は終了する。
【0072】
浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出されなかった場合(S202-No)、判定部152は、傾き検出センサ116によって、媒体が傾いていることが検出されたか否かを判定する(S204)。判定部152は、媒体の第1検出センサ116-1の側が第2検出センサ116-2の側よりも先行している場合、又は媒体の第2検出センサ116-2の側が第1検出センサ116-1の側よりも先行している場合に、媒体が傾いていることが検出されたと判定する。
【0073】
例えば、判定部152は、第1検出センサ116-1によって媒体の先端が検出されており、かつ第1検出センサ116-1が媒体の先端を検出した時刻から所定時間が経過しても第2検出センサ116-2によって媒体の先端が検出されていない場合に、媒体の第1検出センサ116-1の側が第2検出センサ116-2の側よりも先行していると判定する。また、判定部152は、第2検出センサ116-2によって媒体の先端が検出されており、かつ第2検出センサ116-2が媒体の先端を検出した時刻から所定時間が経過しても第2検出センサ116-2によって媒体の先端が検出されていない場合に、媒体の第2検出センサ116-2の側が第1検出センサ116-1の側よりも先行していると判定する。
【0074】
媒体の先端が第1検出センサ116-1及び第2検出センサ116-2の何れによっても検出されていない場合、判定部152は、媒体が傾いていることが検出されていないと判定する。媒体の先端が第1検出センサ116-1及び第2検出センサ116-2のうちの一方のみによって検出されているが、媒体が検出されてから所定時間が経過していない場合にも、判定部152は、媒体が傾いていることが検出されていないと判定する。媒体が第1検出センサ116-1及び第2検出センサ116-2のうちの一方によって検出された時刻から所定時間が経過する前に他方によって検出された場合にも、判定部152は、媒体が傾いていることが検出されていないと判定する。
【0075】
所定時間は、許容される媒体の傾きに基づいて設定される。媒体の傾きの検出は、後述するように、媒体の後端がサイドガイド103aに乗り上げているか否かを検出するためのものであるから、許容される傾きは、例えば、媒体の先端が幅方向A4の中央に配置された状態で、媒体の後端がサイドガイド103aに接触しない範囲に設定される。所定時間は、許容される最大の傾きを有する媒体が搬送されたときに、第1検出センサ116-1が媒体の先端を検出する時刻と第2検出センサ116-2が媒体の先端を検出する時刻との時間差に設定される。
【0076】
媒体の傾きが検出された場合(S204-Yes)、判定部152は、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のうち、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であると判定しにくくする(S205)。すなわち、判定部152は、媒体の第1検出センサ116-1の側が第2検出センサ116-2の側よりも先行していることが検出された場合に、第1浮き上がりセンサ112-1の検出結果に基づいて媒体が綴じ媒体であると判定しにくくする。また、判定部152は、媒体の第2検出センサ116-2の側が第1検出センサ116-1の側よりも先行していることが検出された場合に、第2浮き上がりセンサ112-2の検出結果に基づいて媒体が綴じ媒体であると判定しにくくする。
【0077】
媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が綴じ媒体であると判定しにくくするとは、例えば、先行している側の浮き上がりセンサ112の検出結果を綴じ媒体の判定に利用しないことをいう。例えば、媒体の第1検出センサ116-1の側が先行している場合、判定部152は、S202において、第2浮き上がりセンサ112-2が媒体の浮き上がりを検出した場合に媒体が綴じ媒体であると判定するが、判定部152は、第1浮き上がりセンサ112-1のみが媒体の浮き上がりを検出した場合には、媒体が綴じ媒体であると判定しない。同様に、媒体の第2検出センサ116-2の側が先行している場合、判定部152は、S202において、第1浮き上がりセンサ112-1が媒体の浮き上がりを検出した場合に媒体が綴じ媒体であると判定するが、判定部152は、第2浮き上がりセンサ112-2のみが媒体の浮き上がりを検出した場合には、媒体が綴じ媒体であると判定しない。
【0078】
媒体の傾きが検出されなかった場合(S204-No)、判定処理はS206に進む。
【0079】
次に、判定部152は、判定期間が終了したか否かを判定する(S206)。例えば、判定部152は、第2媒体センサ115によって媒体が検出されてからモータ131に供給された制御パルスの数に基づいて、判定期間が終了したか否かを判定する。
【0080】
判定期間が終了していない場合(S206-No)、判定処理はS202に進む。
【0081】
判定期間が終了した場合(S206-Yes)、判定処理は終了する。
【0082】
以下では、判定処理における判定の原理について説明する。
【0083】
図9(A)は給送ローラ113及び分離ローラ114の位置に到達した綴じ媒体を側面視した模式図である。
図9(A)に示す例では、綴じ媒体は、下側媒体M1と上側媒体M2とが綴じ部Sによって綴じられたものである。綴じ媒体が給送ローラ113及び分離ローラ114の位置に到達すると、下側媒体M1は分離ローラ114の回転によって停止し、上側媒体M2のみが給送ローラ113の回転によって搬送方向A2に進行しようとする。このとき、上側媒体M2の先端部が綴じ部Sによって下側媒体M1に固定されているため、上側媒体M2の、給送ローラ113が接触する領域Tと綴じ部Sとの間に浮き上がりが発生する。したがって、浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出されたか否かに基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かが判定可能である。
【0084】
図9(B)は給送ローラ113及び分離ローラ114の位置に到達した綴じ媒体を平面視した模式図である。
図9(B)に示すように、上側媒体M2は給送ローラ113の回転によって搬送方向A2に進行しようとするが、先端部の片側が綴じ部Sによって綴じられているため、搬送方向A2に向かって綴じ部Sの側とは反対側が先行するように傾く。すなわち、綴じ媒体が搬送されている場合、媒体の先端の、搬送方向A2に向かって一方の側が先行するとともに、他方の側に浮き上がりが生じる。
【0085】
図10(A)は、搬送方向A2に対して傾いて搬送される通常媒体(綴じ媒体でない媒体をいう。)を平面視した模式図であり、
図10(B)は、傾いて搬送される通常媒体を搬送方向A2に向かって見た模式図である。媒体の傾きが大きい場合、媒体が給送されるときに、媒体の後端が載置台103のサイドガイド103aに乗り上げる場合がある。この場合、媒体の、サイドガイド103aに乗り上げた部分Vと、ピックローラ111が接触する領域Tとの間に浮き上がりが生じる。したがって、通常媒体が傾いて搬送されている場合にも、浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出される。
【0086】
媒体の後端がサイドガイド103aに乗り上げる場合には、媒体は傾いており、幅方向A4に向かって、サイドガイド103aに乗り上げた側が、他方の側よりも先行している。
図10(A)及び(B)に示す例では、媒体の、搬送方向A2に向かって右側が左側よりも先行しているため、後端の右側がサイドガイド103aに乗り上げている。したがって、媒体の浮き上がりもピックローラ111に対して右側に生じている。すなわち、通常媒体が傾いて搬送されている場合、媒体の先端の、搬送方向A2に向かって一方の側が先行するとともに、その一方の側に浮き上がりが生じる。
【0087】
したがって、判定部152が、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が綴じ媒体であると判定しにくくすることにより、傾いて搬送された媒体を綴じ媒体であると誤検知することが防止される。
【0088】
以上説明したように、媒体搬送装置100は、搬送方向A2に向かって媒体の一方の側が他方の側よりも先行している場合に、一方の側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて媒体が綴じ媒体であると判定しにくくする。これにより、媒体搬送装置100は、綴じ媒体と傾いて搬送された通常媒体とを判別し、異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする。
【0089】
上述した説明では、判定処理のS205において、判定部152は、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112の検出結果を綴じ媒体の判定に利用しないものとしたが、このような例に限られない。判定部152は、先行している側の浮き上がりセンサ112についての判定期間を短くしてもよい。
【0090】
この場合、判定処理のS201において、判定部152は、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のそれぞれについて、判定期間の計時を開始する。S205において、判定部152は、先行している側の浮き上がりセンサ112についての判定期間を所定時間だけ短くする。また、S206において、判定部152は、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のそれぞれについて、判定期間が終了したか否かを判定する。第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のうちの一方についての判定期間のみが終了している場合、判定部152は、以後、判定期間が終了した浮き上がりセンサ112の検出結果を綴じ媒体の判定に利用せず、判定処理はS202に戻る。第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2の両方の判定期間が終了した場合には、判定処理が終了する。変化後の判定期間を適切に設定することにより、媒体搬送装置100は、綴じ媒体と傾いて搬送された媒体とを高精度に判別し、異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする。
【0091】
上述した説明では、浮き上がりセンサ112はアーム112a及び馬蹄型センサ112bを有するものとしたが、このような例に限られない。浮き上がりセンサ112は、媒体の搬送路の上方に配置されるLED等の発光素子と、LEDから照射されて媒体で反射された光を検出するフォトダイオード等の受光素子とを備える光学式測距センサでもよい。この場合、浮き上がりセンサ112は、発光素子が光を照射してから受光素子が光を受光するまでの時間に応じて異なる値を示す信号を浮き上がり信号として出力する。例えば、浮き上がりセンサ112は、浮き上がり信号が示す、発光素子が光を照射してからフォトダイオードが光を受光するまでの時間が閾値以下である場合に、媒体の浮き上がりを検出する。
【0092】
また、この場合、さらに判定処理のS205において、判定部152は、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112の閾値を小さくすることにより、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であると判定しにくくしてもよい。例えば、媒体の第1検出センサ116-1の側が先行している場合、判定部152は、第1浮き上がりセンサ112-1の閾値を小さくする。また、媒体の第2検出センサ116-2の側が先行している場合、判定部152は、第2浮き上がりセンサ112-2の閾値を小さくする。変化後の閾値を適切に設定することにより、媒体搬送装置100は、綴じ媒体と傾いた媒体とを高精度に判別し、異常制御を実行すべき媒体であるか否かをより高精度に判定することを可能とする。
【0093】
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置200の搬送経路を示す図である。媒体搬送装置200は、傾きセンサ116に代えて傾きセンサ216を有する点で媒体搬送装置100と相違する。
【0094】
傾きセンサ216は、ピックローラ111より上流側に配置される。傾きセンサ216は、媒体の傾きを検出する。傾きセンサ216は、幅方向A4に間隔を空けて配置されて、媒体の速度を検出する第1速度センサ216-1及び第2速度センサ216-2を有する。
【0095】
第1速度センサ216-1は、例えばスリット式エンコーダである。第1速度センサ216-1は、スリットが設けられ、媒体の通過に伴って回転する回転部材、LED等の発光素子及びフォトダイオード等の受光素子を備える。LED等の発光素子から出射された光が回転するスリットを通過することにより、光パルスが生成される。第1速度センサ216-1は、受光素子が検出した光パルスの幅又は間隔に応じた信号、すなわち、媒体の移動速度に応じた信号を第1速度信号として生成して出力する。
【0096】
第2速度センサ216-2は、第1速度センサ216-1と同様の構成を有する。第2速度センサ216-2は、受光素子が検出した光パルスの幅又は間隔に応じた信号、すなわち、媒体の移動速度に応じた信号を第2速度信号として生成して出力する。
【0097】
傾きセンサ216は、第1速度信号が示す媒体の移動速度と第2速度信号が示す媒体の移動速度との差が閾値以上である場合に、媒体が傾いていることを検出する。
【0098】
なお、第1速度センサ216-1及び第2速度センサ216-2は、磁石を備える回転部材が回転することによる磁気の変化を検出する磁気式エンコーダでもよい。
【0099】
図12は、浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115及び傾きセンサ216の配置を模式的に示す図である。
図12は、搬送経路を上から見た場合の図である
【0100】
第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のアーム112aの上流端112dは、ピックローラ111のニップ幅111aの上流端よりも上流側に位置する。また、第1浮き上がりセンサ112-1及び第2浮き上がりセンサ112-2のアーム112aの下流端112cは、第1搬送ローラ117aのニップ幅の上流端よりも下流側に位置する。これにより、浮き上がりセンサ112は、ピックローラ111のニップ幅111aの上流端と、第1搬送ローラ117aのニップ幅の上流端との間における媒体の浮き上がりを検出する。
【0101】
傾きセンサ216の第1速度センサ216-1及び第2速度センサ216-2は、ピックローラ111の上流側に、幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。第1速度センサ216-1は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して左側に配置される。第2速度センサ216-2は、搬送方向A2に向かって、すなわち幅方向A4において、ピックローラ111及び給送ローラ113に対して右側に配置される。すなわち、第1速度センサ216-1は、ピックローラ111に対して第1浮き上がりセンサ112-1と同じ側に配置され、第2速度センサ216-2は、ピックローラ111に対して第2浮き上がりセンサ112-2と同じ側に配置される。
【0102】
図13は、媒体搬送装置200によって実行される媒体搬送処理の動作の流れを示すフロー図である。媒体搬送処理は、記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて、処理回路150が媒体搬送装置200の各要素と協働することにより実現される。
図13のS301~S303、S307~S311の処理は、
図7のS101~S103、S105~S109の処理と同様であるため、説明を省略し、以下ではS304~S306についてのみ説明する。
【0103】
S303においてモータ131が駆動された後に、判定部152は、傾き検出センサ216によって媒体が傾いていることが検出されたか否かを判定する(S304)。判定部152は、媒体の第1速度センサ216-1の側が第2速度センサ216-2の側よりも先行している場合、又は媒体の第2速度センサ216-2の側が第1速度センサ216-1の側よりも先行している場合に、媒体の傾きが検出されたと判定する。例えば、判定部152は、第1速度信号が示す媒体の移動速度と第2速度信号が示す媒体の移動速度との差が閾値以上である場合に、傾き検出センサ216によって媒体の傾きが検出されたと判定する。
【0104】
媒体が傾いていることが検出された場合(S304-Yes)、判定部152は、第1浮き上がりセンサ116-1及び第2浮き上がりセンサ116-2のうち、媒体の先行している側の浮き上がりセンサ112による媒体の浮き上がりの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であると判定しにくくする(S305)。
【0105】
媒体が傾いていることが検出されなかった場合(S304-No)、媒体搬送処理はS306に進む。
【0106】
次に、制御部151は、第2媒体センサ115から出力された第2媒体信号に基づいて、第2媒体センサ115によって媒体が検出されたか否かを判定する(S306)。媒体が第2媒体センサ115によって検出されていない場合(S306-No)、S304に戻り、制御部151は傾きセンサ216によって媒体の傾きが検出されるまで、又は第2媒体センサ115によって媒体が検出されるまで待機する。
【0107】
なお、媒体搬送装置200によって実行される判定処理においては、S204~S205の処理は省略される。
【0108】
このように、媒体搬送装置200は、ピックローラより上流側に配置される傾きセンサ216によって媒体の傾きを検出する。これにより、媒体搬送装置200は、第2媒体センサ115によって媒体が検出されるより前に浮き上がりセンサ112によって媒体の浮き上がりが検出された場合に、その時点で搬送を停止することができ、綴じ媒体の破損を防止することを可能とする。
【0109】
図14は、他の実施形態に係る媒体搬送装置が有する処理回路350の概略構成を示す図である。処理回路350は、処理回路150の代わりに用いられ、媒体搬送処理を実行する。処理回路350は、制御回路351及び判定回路352等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0110】
制御回路351は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路351は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ110から第1媒体信号を、判定回路352から判定処理における判定結果を受信し、受信した各信号及び判定結果に基づいてモータ131を制御する。また、制御回路351は、撮像装置119から入力画像を受信し、インタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信する。
【0111】
判定回路352は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路352は、浮き上がりセンサ112、第2媒体センサ115及び傾きセンサ116からそれぞれ浮き上がり検出信号、第2媒体信号並びに第1及び第2検出信号等を受信する。判定回路352は、受信した各信号に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否か等を判定し、判定結果を制御回路351に出力する。
【0112】
以上説明したように、媒体搬送装置は、処理回路350を用いる場合においても、綴じ媒体を適切に検出することを可能とする。
【0113】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0114】
100 媒体搬送装置
111 ピックローラ
112 浮き上がりセンサ
113 給送ローラ
114 分離ローラ
115 第2媒体センサ
116 傾きセンサ
151 制御部
152 判定部