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特開2024-135920自動改札機および自動改札機の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135920
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動改札機および自動改札機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240927BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G07B15/00 B
B65H5/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046825
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴨頭 大輔
【テーマコード(参考)】
3E127
3F049
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA40
3E127CA02
3E127DA02
3E127DA04
3E127DA06
3E127DA07
3E127DA16
3E127DA17
3E127DA28
3E127EA02
3E127FA03
3E127FA10
3E127FA32
3E127FA34
3E127FA36
3E127FA42
3E127FA47
3E127FA48
3E127FA61
3F049DA04
3F049LA09
3F049LB12
(57)【要約】
【課題】省電力モードから復帰する際に、迅速に磁気券に対する処理が再開できる自動改札機を提供する。
【解決手段】自動改札機は、搬送処理部と検出部と制御部とを備える。搬送処理部は、券媒体を搬送路に沿って搬送する搬送処理と、電力遮断状態から復帰する際にギャップ調整処理とクレンジング処理を実行する。検出部は、改札口へ人が接近の有無を検出する。制御部は、検出部の検出結果に基づいて、給電を継続して券媒体の搬送可能状態を維持する通常運転モードと、給電を停止して搬送可能状態を休止する省電力モードとの切換処理を実行する。制御部は、省電力モードへ移行させる場合、搬送処理部の不揮発性の記憶部に省電力移行情報を記憶させる。搬送処理部は、電力遮断状態から復帰する際に省電力移行情報が記憶されていない場合はギャップ調整処理とクレンジング処理を実行し、省電力移行情報が記憶されている場合は少なくとも一方の処理を省略する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札口を通過しようとする利用者により投入口から投入された券媒体をローラとベルトの協働により所定の搬送路に沿って搬送する搬送処理と、電力遮断状態から搬送処理を復帰する際に前記搬送路に対する前記ローラのギャップ調整処理と前記ローラおよび前記ベルトを清掃するクレンジング処理とを実行する搬送処理部と、
前記改札口へ人が接近したか否かを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記搬送処理部への給電を継続して前記券媒体の搬送可能状態を維持する通常運転モードと、給電を停止して前記搬送可能状態を休止する省電力モードとの切換処理を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記省電力モードへ移行させる場合、前記搬送処理部の不揮発性の記憶部に前記省電力モードへ移行を示す省電力移行情報を記憶させ、
前記搬送処理部は、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されていない場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理を実行し、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されている場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理の少なくとも一方を省略する、自動改札機。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送処理部を前記省電力モードから復帰させる場合、前記省電力モードを解除することを示す省電力解除指定情報を前記搬送処理部に提供し、
前記搬送処理部は、前記省電力移行情報と前記省電力解除指定情報とに基づいて、前記電力遮断状態から復帰する際の処理の省略の有無を決定する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
制御部は、前記改札口に所定期間以上人が接近しなかった場合に、前記通常運転モードから前記省電力モードに切り替える、請求項1または請求項2に記載の自動改札機。
【請求項4】
改札口を通過しようとする利用者により投入口から投入された券媒体をローラとベルトの協働により所定の搬送路に沿って搬送する搬送処理と、電力遮断状態から搬送処理を復帰する際に前記搬送路に対する前記ローラのギャップ調整処理と前記ローラを清掃するクレンジング処理とを実行する搬送処理部を制御する搬送処理ステップと、
前記改札口へ人が接近したか否かを検出する検出部を制御するステップと、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記搬送処理部への給電を継続して前記券媒体の搬送可能状態を維持する通常運転モードと、給電を停止して前記搬送可能状態を休止する省電力モードとの切換処理を実行する制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップは、前記省電力モードへ移行させる場合、前記搬送処理部の不揮発性の記憶部に前記省電力モードへ移行を示す省電力移行情報を記憶させ、
前記搬送処理ステップは、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されていない場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理を実行し、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されている場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理の少なくとも一方を省略する、自動改札機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機および自動改札機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指定の領域の内外を仕切る場合、入出場者の管理を行うためにゲート部分に自動改札機が設置される場合がある。例えば、駅等においては、改札口に自動改札機が設置され、磁気情報等を含む磁気券(切符や定期券等)を用いて改札内外領域に対する入出場者の管理を行っている場合がある。自動改札機の内部には、複数のローラやベルトからなる搬送路が形成され、投入口から投入された磁気券を順次搬送している。磁気券は、搬送の途中で磁気情報の読取り処理や入退場記録のための印刷処理や穴開け処理等が実行され、排出口から放出処理されたり、自動改札機の内部に設けられた回収ストッカで集札処理されたりする。このような自動改札機の場合、磁気券の搬送をスムーズに行う等の目的のために、電源投入時(電力供給開始時、起動時)等に磁気券を搬送する搬送路の隙間(例えば、1枚の磁気券が通過可能な隙間)の調整や搬送路内のローラやベルトの清掃(クレンジング)等を実施するものがある。また、このような自動改札機を利用する入退場者は、常時存在するわけではなく、時間帯によっては、しばらく入退場者がいない場合がある。このような場合、自動改札機の一部の機能を休止させる省電力運転を行う自動改札機も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-263658号公報
【特許文献2】特開2002-308456号公報
【特許文献3】特開2002-240975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような、省電力運転の効果を向上させるためには、自動改札機において電力を多く使う部分を停止させることが考えられる。例えば、搬送動作を実行するローラやベルトの駆動を休止させることが考えられる。しかしながら、入退場者が現れて自動改札機を復帰させるために電力供給を再開するたびに、上述したように、搬送路の隙間調整処理やクレンジング処理等が実行されると、その処理の間、入退場者を待たせてしまうという問題がある。
【0005】
したがって、省電力モードから復帰する際に、迅速に磁気券に対する処理が再開できる自動改札機が提供できれば、入退場者の待ち時間を低減することができて有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態における自動改札機は、搬送処理部と、検出部と、制御部と、を備える。搬送処理部は、改札口を通過しようとする利用者により投入口から投入された券媒体をローラとベルトの協働により所定の搬送路に沿って搬送する搬送処理と、電力遮断状態から搬送処理を復帰する際に前記搬送路に対する前記ローラのギャップ調整処理と前記ローラおよび前記ベルトを清掃するクレンジング処理とを実行する。検出部は、前記改札口へ人が接近したか否かを検出する。制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記搬送処理部への給電を継続して前記券媒体の搬送可能状態を維持する通常運転モードと、給電を停止して前記搬送可能状態を休止する省電力モードとの切換処理を実行する。そして、前記制御部は、前記省電力モードへ移行させる場合、前記搬送処理部の不揮発性の記憶部に前記省電力モードへ移行を示す省電力移行情報を記憶させる。また、前記搬送処理部は、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されていない場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理を実行し、前記電力遮断状態から復帰する際に前記省電力移行情報が記憶されている場合は前記ギャップ調整処理と前記クレンジング処理の少なくとも一方を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態における自動改札機の外観構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態における自動改札機の内部機構を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図3図3は、実施形態における自動改札機の搬送路のうち分離部の詳細構成を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図4図4は、実施形態における自動改札機の機能を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
図5図5は、実施形態における自動改札機の処理の流れを示す例示的なシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
図1は、実施形態における自動改札機10の外観構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0010】
自動改札機10は、例えば、2台の本体10aが1組として施設(駅舎等)の改札口等に設置され、2台の本体10aの間に利用者(入退場者)が通行する通路が形成される。通路を相互通行として利用可能にする場合、2台の本体10aのそれぞれの通路側側面10bが向き合うように配置される。図1の場合、搬送方向Mの進入を許容する通路の場合、進行方向右側に配置された状態の本体10aが示されている。
【0011】
入場業務や出場業務を行う自動改札機10の本体10aの入口側端部には、施設内への入場時、あるいは施設内からの出場時に、磁気券(普通乗車券、定期乗車券、特急券、SFカード等の乗車券類のほか、施設内への入場券等の券媒体等)が投入される投入口12が設けられている。また、本体10aの出口側端部には、投入口12で投入された磁気券を排出する排出口14が設けられている。投入口12の近傍には、磁気券の投入を阻止するための投入口シャッタ(図示省略)が設けられている。
【0012】
本体10aにおける投入口12の近傍及び排出口14の前方には、利用者(入退場者)や係員などに対して案内を行うための案内表示部16(16a,16b)が設けられている。本体10aの通路側側面10bの両端部には、入退場者の通行を制御する開閉動作可能なドア18が設けられている。このドア18は、通行可否の判定結果に基づいて開閉制御される。
【0013】
本体10aの上部には、入退場者の通路を規定するための枠体20が立設されている。枠体20及び本体10aの各通路側の側面には、入退場者の通過を検知する複数の人間検知器22がそれぞれ設けられている。なお、人間検知器22は、自動改札機10の入口側に接近する人間を検出する機能を備える。すなわち、自動改札機10の入口側から例えば半径2mの接近検出エリアに人間が進入したことを検出することができる。後述するが、本実施形態の自動改札機10の場合、所定期間(例えば5分)の間、接近検出エリアに人間が進入したことが検出されない場合に、自動改札機10を省電力モードに移行させるようにしている。また、省電力モード中に接近検出エリアに人間等が進入したことが検出された場合、省電力モードから通常モード(磁気券を直ちに受け入れ可能なモード)に復帰するように構成している。
【0014】
また、枠体20上には、小児券の投入、無効券の投入や機器の異常などの装置の動作状態を表示する状態表示部24が設けられている。
【0015】
図2は、自動改札機10の内部機構を示す例示的かつ模式的な説明図である。図2に示すように、自動改札機10の内部機構において、投入口12と排出口14との間には、投入口12から投入された磁気券を搬送方向Mに沿って排出口14に搬送する搬送路Pが形成されている。搬送路Pには、投入口12から排出口14に沿い、分離部A、整列部B、磁気処理部C、パンチ部D、印刷部E、放出・集札部F等が順に設けられている。なお、磁気処理部Cの下方には、保留部CPが設けられている。
【0016】
分離部Aは、投入口12に複数の磁気券が一括して(重ねられた状態)で投入された場合に、一時的に保留するとともに、これらの磁気券を搬送方向M(下流側)に1枚ずつ分離して送り出す。
【0017】
整列部Bは、分離部Aから送出されてきた1枚ずつの磁気券を整列して磁気処理部Cへ送り出す。
【0018】
磁気処理部Cでは、磁気券の裏面等の磁気記録層に記録されているエンコード磁気情報を読み取るとともに、入場情報等の磁気情報の書き込みや更新処理を実行する。複数枚の磁気券が投入口12から一括して投入された場合、分離部Aで分離され、整列部Bで整列された磁気券の1枚ずつに対して磁気処理を行う。なお、磁気処理部Cでは、情報の読み書きを行う磁気ヘッドが搬送路Pを挟んで下側の位置と上側の位置とに配置されている。この構成によって、磁気券の磁気記録層が搬送路Pを下向きに搬送された場合でも、上向きに搬送された場合でも読み取ることができるようにされている。このように磁気処理が行われている間、一括投入された複数枚の磁気券のうち、先に磁気処理が完了した磁気券は、保留部CPで保留され、一括投入された磁気券の処理が完了するのを待つ。ところで、複数枚が一括して投入口12から投入された磁気券は、排出口14から排出される場合に、全て表面(または裏面)に揃えられて一括排出されることが望ましい。そこで、保留部CPには、反転部が設けられている。反転部では、例えば、磁気記録層が上向きの状態で搬送されてきた磁気券の表裏を反転させて、磁気記録層を下向きの状態に揃えるようにしている。なお、磁気券が投入口12から単独で投入され、かつ、磁気券の磁気記録層が例えば下向きになっている場合には、保留部CPは経由させず、下流側に搬送するようにしてもよい。また、磁気券が投入口12から単独で投入され、かつ、磁気券の磁気記録層が例えば上向きになっている場合には、保留部CPを経由し反転部で表裏反転させた上で、下流側に搬送するようにしてもよい。
【0019】
パンチ部Dでは、搬送路Pを搬送されてきた磁気券に入鋏としての穿孔を形成する。印刷部Eでは、搬送路Pを搬送されてきた磁気券の表面に日付や改札場所名等の所定の情報を印刷する。印刷部Eは、例えばサーマルヘッド及びインクリボンを用いた熱転写方式のプリンタにより構成することができる。
【0020】
放出・集札部Fは、複数枚の磁気券が投入口12で一括投入された場合、サイズに応じて重ねて揃える。放出・集札部Fには、保留用のストッパにより一時的に貯留されてまとめられて、複数の磁気券が排出口14から一括(重ねられた状態)で排出される。なお、放出・集札部Fは、磁気券が使用済みで回収対象となっている場合(投入者に返却する必要がない場合)は、排出口14から排出することなく、自動改札機10の内部に設けられた回収ストッカ等に投入して回収する。
【0021】
図3は、自動改札機10の搬送路Pのうち分離部Aの詳細構成を示す例示的かつ模式的な説明図である。本実施形態の自動改札機10の搬送路Pは、磁気券Hを搬送する機構として、例えば、モータ等のアクチュエータによって回転する複数のローラによりベルトを走行させるベルト駆動機構を備える。図3の場合、搬送路Pを挟んで下方側の第1搬送ベルト26と上方側の第2搬送ベルト28を備える。第1搬送ベルト26は、所定速度で矢印R1方向に回転する一対に第1フィードローラ30,32の間に掛け渡されている。同様に、第2搬送ベルト28は、所定速度で矢印R2方向に回転する一対に第2フィードローラ34,36の間に掛け渡されている。第2搬送ベルト28は、第1搬送ベルト26より搬送方向Mの長さが短く設定されている。第2搬送ベルト28の上流側、すなわち、投入口12側には、磁気券Hを搬送路Pに引っ込むための矢印R2方向に回転するドローイングローラ38が配置され、下流側には、矢印R1方向に回転するリバースローラSRが配置されている。
【0022】
また、ドローイングローラ38と第2フィードローラ34との間には、ドローイングローラ38と第1搬送ベルト26によって搬送路Pに引き込まれた磁気券Hの厚みを測定するための第1厚みセンサ40が配置されている。1枚の磁気券Hの厚みは予め既知の値であるため、第1厚みセンサ40により搬送路Pを通過する磁気券Hの厚みを測定することにより、磁気券Hが複数枚重ねられている場合は、重ね枚数を検出することができる。つまり、投入口12から自動改札機10の内部に一括して投入された磁気券Hの枚数を管理することができる。
【0023】
また、リバースローラSRと第1搬送ベルト26(第1フィードローラ32)との間には、ローラ間ギャップGの大きさを測定するための第2厚みセンサ42が配置されている。第2厚みセンサ42は、分離部Aで分離された磁気券Hが1枚ずつ通過し得るローラ間ギャップGが正確に維持されているか否かを検出するためのセンサである。また、後述するギャップ調整処理を行う際に、調整状態を検出するセンサとして機能させてもよい。第1厚みセンサ40、第2厚みセンサ42は、光学式のセンサでもよいし接触式のセンサでもよい。
【0024】
このように構成される分離部Aに複数枚の磁気券Hが重ねられた状態(例えば、2枚)で投入されると、第1搬送ベルト26とドローイングローラ38との協働により重なった状態で搬送路P内に引き込まれる。そして、第1厚みセンサ40によって、引き込まれた磁気券Hの厚み、すなわち重ね枚数が検出される。
【0025】
搬送路Pに送り込まれた磁気券Hは、第1搬送ベルト26と第2搬送ベルト28によって搬送方向Mに搬送される。前述したように、リバースローラSRと第1搬送ベルト26(第1フィードローラ32)との間のローラ間ギャップGは、磁気券Hが1枚ずつ通過し得る間隔に設定されている。そのため、複数枚重なった状態の磁気券Hが第1フィードローラ32とリバースローラSRの対向位置に到達すると、第1フィードローラ32の矢印R1方向の回転によって搬送方向Mに移動する第1搬送ベルト26の搬送力によって最下層の磁気券H(第1搬送ベルト26に接触している磁気券H)のみが搬送方向Mに送り出される。同時に、第1搬送ベルト26に接触していなかった上層側の磁気券Hは、リバースローラSRの矢印R1方向の回転によって、逆搬送方向MRに押し戻され、第1搬送ベルト26と第2搬送ベルト28との間で滞留する。最下層に存在していた磁気券Hが送り出された結果、滞留していた磁気券Hが、第1搬送ベルト26に接触すると、搬送方向Mに送り出される。つまり、重ねて投入された磁気券Hを1枚ずつに分離して分離部Aから順次送り出すことができる。磁気券Hが3枚以上重ねられている場合でも、同様に最下層の磁気券Hから順次分離されて送り出される。
【0026】
上述したように、複数枚重ねられた磁気券Hを1枚ずつ分離して送り出すためには、ローラ間ギャップG(リバースローラSRと第1搬送ベルト26(第1フィードローラ32)との隙間)の寸法管理を正確に行う必要がある。そのため、自動改札機10の場合、起動時等にギャップ調整を行う必要がある。ギャップ調整は、例えば、リバースローラSRを第1フィードローラ32(第1フィードローラ32)に対して上下方向(±Z方向)に移動させることで実現する。この場合、まず、図示を省略した駆動機構によりリバースローラSRを-Z方向に移動して第1フィードローラ32(第1フィードローラ32)に押圧して、「0点調整」を行う。この状態から予め試験等で定められたギャップ量(ローラ間ギャップG)になるまで+Z方向にリバースローラSRを引き上げてギャップ調整(処理)を行う。この場合のギャップ量は、前述したように、磁気券Hが1枚ずつ通過し得る間隔であり、例えば、1枚の磁気券Hの厚み以上で2枚の磁気券Hを重ねた場合の厚み未満である。このギャップ調整を行うことにより、確実に1枚の磁気券Hを分離して下流側に送り出すことができる。
【0027】
なお、上述したように1枚の磁気券Hを分離して下流側にスムーズに送り出すために、ギャップ調整処理とともに、ローラやベルトに付着した塵埃等を除去するクレンジング処理を施す場合がある。クレンジング処理は、例えば、磁気券Hが存在しない状態で、ローラやベルトを所定期間(例えば、10秒程度)空回しすることにより実施することができる。
【0028】
上述したようにギャップ調整処理やクレンジング処理は、自動改札機10の起動時(電源投入時)等に実施することが一般的であった。そのため、例えば、入退場者(自動改札機10の利用者)が一定期間存在しない場合に省電力モードで自動改札機10の搬送機構等の電源を完全にOFFしてしまうような場合、省電力モードからの復帰時にギャップ調整処理やクレンジング処理が実行され、入退場者が磁気券Hを投入可能状態になるまで、待ち時間が発生して、入退場者に煩わしさを感じさせてしまう場合ある。
【0029】
駅業務の開始時や停電、メンテナンス作業終了等からの復帰時等の自動改札機10の起動時には、搬送機構の状態に変化が生じている場合があるため上述したようなギャップ調整処理やクレンジング処理が実施されることが望ましい。一方、省電力モードによる一時的な休止からの復帰の場合、休止期間は比較的短時間であるとともに、搬送機構の状態が休止の前後で変化する可能性は低いと考えられる。このような場合、ギャップ調整処理やクレンジング処理を省略しても磁気券Hの搬送処理は、休止前と同様にスムーズに実行できると考えられる。そこで、本実施形態の自動改札機10の場合、自動改札機10の休止(電源OFF)が、省電力モードによる休止か他の事由による休止かを正確に判定して、ギャップ調整処理やクレンジング処理の省略の可否を決定するようにしている。
【0030】
図4は、自動改札機10の機能を示す例示的かつ模式的なブロック図である。自動改札機10は、制御部44の他、図2に示す自動改札機10の各機構を制御する構成として、搬送処理部46、人検出処理部48、磁気情報処理部50、パンチ処理部52、印刷処理部54等備える。制御部44は、搬送処理部46、人検出処理部48、磁気情報処理部50、パンチ処理部52、印刷処理部54等に対して上位の制御ユニットである。制御部44は、人間検知器22(検出部)等の検出結果に基づいて、例えば、搬送処理部46への給電を継続して磁気券H(券媒体)の搬送可能状態を維持する通常運転モードと、給電を停止して搬送可能状態を休止する省電力モードとの切換処理を実行することができる。
【0031】
制御部44、搬送処理部46、人検出処理部48、磁気情報処理部50、パンチ処理部52、印刷処理部54等は、例えば、それぞれCPU(Central Processing Unit)などといった演算装置を含んでいる。制御部44および各処理部は、ROM(Read Only Memory)等に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の機能を実現する。
【0032】
制御部44は、自動改札機10において、搬送処理部46、人検出処理部48、磁気情報処理部50、パンチ処理部52、印刷処理部54等に対して上位の制御部であり、自動改札機10の全体の制御を司るともに、各制御部および各制御部が制御する各機構に対する電力供給の管理等を行う。例えば、制御部44は、搬送処理部46の電源のON/OFFの制御を行い、自動改札機10の搬送系を省電力モードに移行させたり、省電力モードから通常モードに復帰させたりする電源制御を行う。
【0033】
搬送処理部46は、改札口を通過しようとする利用者により投入口12から投入された磁気券H(券媒体)をローラとベルトの協働により所定の搬送路Pに沿って搬送する搬送処理を実行する。つまり、搬送処理部46は、投入口12から投入され、排出口14から排出または自動改札機10内部の回収ストッカに集札される磁気券Hの搬送に関する制御を司る。また、搬送処理部46は、電力遮断状態から搬送処理を復帰する際に搬送路Pに対するローラのギャップ調整処理とローラおよびベルトを清掃するクレンジング処理とを実行する。
【0034】
搬送処理部46は、上述したような各機能を実現する詳細モジュールとして、搬送実行処理部46a、シャッタ開閉処理部46b、放出・集札処理部46c、記憶処理部46d、ギャップ調整処理部46e、クレンジング処理部46f等を有する。
【0035】
搬送実行処理部46aは、自動改札機10内部で磁気券Hを搬送するために設けられた複数のローラの回転状態やベルトの走行状態の管理を行い、磁気券Hがスムーズに搬送路Pを走行するようにする。また、搬送実行処理部46aは、磁気券Hが搬送路Pで詰まった場合には、磁気券Hの新規受け付け中止や詰まった磁気券Hの排出処理や詰まった位置の特定等を行い、メンテナンスサポート等を行う。
【0036】
シャッタ開閉処理部46bは、磁気券Hの投入口12に設けられた投入口シャッタの開閉制御を行う。シャッタ開閉処理部46bは、例えば、搬送路Pに磁気券Hが詰まったり、自動改札機10に不具合が生じたりして自動改札機10の利用を中止する場合や、入退場制限が実施されている場合、省電力モードにより自動改札機10が休止している場合等に投入口シャッタを閉動作させる。また、上述したような事由が解消された場合に、投入口シャッタを開動作させて、磁気券Hの投入を許容する。
【0037】
放出・集札処理部46cは、投入口12から投入された磁気券Hを排出口14から排出するか、集札して自動改札機10内に設けられた回収ストッカ等で回収するかの判定を、磁気券Hが有する利用情報等に基づいて判定する。例えば、改札内への入場のために磁気券Hが自動改札機10に投入された場合、放出・集札処理部46cは、所定の入場処理が行われた磁気券Hを排出口14から排出して投入者(入退場者)に返却する。この場合、投入口12から複数枚の磁気券Hが一括投入された場合は、投入された複数枚の磁気券Hの表裏面の向きを揃えて一括した状態で排出する。一方、改札内から退場するために自動改札機10に磁気券Hが投入された場合で、投入者に対して磁気券Hの返却が不要であると判定される場合、放出・集札処理部46cは、対応する磁気券Hを集札のために回収ストッカ等に搬送する。
【0038】
記憶処理部46dは、制御部44から省電力モードへの移行を指示するコマンドを受けた場合、不揮発性の記憶部56に省電力モードへ移行を示す省電力移行情報を記憶させる。つまり、搬送処理部46が省電力モードへの移行コマンドを受けて、各ローラ等への給電を休止した場合でも省電力移行情報を維持し、省電力モードから復帰した際に省電力移行情報の確認を行うことができる。
【0039】
ギャップ調整処理部46eは、休止状態から復帰する場合に記憶部56に省電力移行情報が存在するか否か確認し、存在する場合には、省電力モードから復帰であると判定して、ギャップ調整処理の実行を省略する。一方、ギャップ調整処理部46eは、休止状態から復帰する場合に記憶部56に省電力移行情報が存在しない場合には、省電力モードからの復帰ではなく、駅業務開始時の起動や停電やメンテナンス後から復帰である判定して、ギャップ調整処理を実行する。ギャップ調整処理は、図3で説明したように、まず、リバースローラSRをーZ方向に移動させて、対向する第1フィードローラ32に押圧して「0点調整」を行う。その後、その位置から+Z方向に予め定まられたギャップ量(ローラ間ギャップG)だけ移動させることにより、リバースローラSRと第1フィードローラ32(第1搬送ベルト26)との間の隙間を所定のギャップ量に調整する。
【0040】
クレンジング処理部46fは、休止状態から復帰する場合に記憶部56に省電力移行情報が存在するか否か確認し、存在する場合には、省電力モードから復帰であると判定して、クレンジング処理の実行を省略する。一方、クレンジング処理部46fは、休止状態から復帰する場合に記憶部56に省電力移行情報が存在しない場合には、省電力モードから復帰ではなく、駅業務開始時の起動や停電やメンテナンス後から復帰である判定して、ギャップ調整処理の完了を確認してクレンジング処理を実行する。クレンジング処理は、図3で説明したように、例えば、磁気券Hが搬送路Pに存在しない状態(残留していない状態)で、ローラやベルトを所定期間(例えば、10秒程度)空回しすることにより、ローラやベルトに付着し得る塵埃等を搬送路Pから取り除く。
【0041】
人検出処理部48は、人間検知器22(図1参照)から供給される検出結果に基づき、自動改札機10(一対の本体10a)が規定する通路へ入退場者が進入したか否かの検出処理や自動改札機10の入口側(出口側)に設定された接近検出エリアへの人間(入退場者を含む)が進入したか否かの検出処理を行う。人検出処理部48は、検出結果を制御部44に提供する。制御部44は、人検出処理部48から提供された検出結果に基づき、通路のドア18の開閉制御や投入口12の投入口シャッタの開閉制御等を行うとともに、省電力モードへの移行処理や省電力モードから復帰処理を行う。
【0042】
磁気情報処理部50は、図3に示す磁気処理部Cにおける、磁気券Hの磁気記録層に記録された情報の読み込み処理、読み込んだ情報に基づく入退場情報の書き込み等を行う。また、磁気情報処理部50は、磁気券Hの読取状況等に基づき、磁気券Hの保留部CPへの送り込みや反転処理の有無等も制御する。
【0043】
パンチ処理部52は、図3に示すパンチ部Dにおいて、磁気券Hへの穿孔処理の実行を制御する。また、印刷処理部54は、図3に示す印刷部Eにおいて、搬送路Pを搬送された磁気券Hの表面に日付や改札場所名等の所定の情報を印刷する処理を実行する。
【0044】
上述したように構成される自動改札機10の省電力モード移行および省電力モードからの復帰処理の流れを、図5を用いて説明する。図5は、自動改札機10の処理の流れを示す例示的なシーケンス図である。なお、図5に示すシーケンス図では、自動改札機10が稼働中であるものとして、稼働中から省電力モードへの移行および省電力モードからの復帰するときの動作を一例として示すものである。
【0045】
制御部44は、自動改札機10の稼働中、人検出処理部48からの検出結果を監視して、所定期間以上、自動改札機10に人(入退場者やその他の人間等)が接近したことが検出されたか否かを監視している(S100)。「所定期間以上、人接近検出無し」の状態が存在しない場合(S100のNo)、つまり、自動改札機10の利用間隔や自動改札機10に接近する人の検出間隔が、所定期間未満の場合、自動改札機10は省電力モードに移行することなく、磁気券Hの搬送機構等への給電を維持して、磁気券Hの即時受け入れ状態(通常運転モード)を継続する。
【0046】
S100の処理で、制御部44が、「所定期間以上、人接近検出無し」と判定した場合(S100のYes)、つまり、制御部44は、自動改札機10に所定期間以上人が接近しなかった場合に、通常運転モードから省電力モードに切り替える。本実施形態の自動改札機10における省電力モードは、電力消費の多い機構の一つである、例えば、搬送機構(搬送処理部46)の電力供給をOFFにするモードとして説明する。制御部44は、自動改札機10を省電力モードへ移行させるためのコマンド「省電力:入」を搬送処理部46に向けて送出する(S102)。搬送処理部46は、「省電力:入」のコマンドを受けると、記憶処理部46dを介して不揮発性の記憶部56に省電力モードへ移行を示す省電力移行情報を保存(記憶)させる(S104)。そして、搬送処理部46は、制御部44に向けて、「省電力:入」のコマンドを受け付けたことを示すレスポンスを送信する(S106)。制御部44は、搬送処理部46からレスポンスを受け取ると、搬送処理部46に対して電源をOFFにする(S108)。この場合、搬送処理部46は、完全休止状態となり、搬送実行処理部46aは、各ローラやベルトの駆動を停止するとともに、シャッタ開閉処理部46bは、投入口シャッタを閉動作して、磁気券Hの投入を不可とする。
【0047】
制御部44は、省電力モード中に人検出処理部48から人の接近検出結果を受け取った場合、搬送処理部46に対して、電源をONにする(S110)。そして、この電源ONにより、搬送処理部46に対する電源供給が再開され、搬送処理部46が起動する(S112)。つまり、S108の電源OFFから、S110の電源ONまでの間が省電力モード期間Qとなる。
【0048】
搬送処理部46は、電源供給が再開されると、不揮発性の記憶部56を参照して、省電力移行情報が記憶されているかを確認する(S114)。つまり、給電が停止した原因が何であったかの判定を行う。搬送処理部46は、例えば、自動改札機10の利用がないため省電力モードに移行したことで給電が停止したのか(電力遮断状態に移行したのか)、別の理由、例えば、前日等の駅業務の終了により給電を停止させたり、停電のために給電が停止したり、メンテナンスのために意図的に給電を停止させた場合等との識別を行う。搬送処理部46は、記憶部56に省電力移行情報が記憶されていれば、給電停止が省電力モードへの移行によって行われたと判定することができる。
【0049】
ここで、搬送処理部46は、省電力移行情報が記憶されていないと判定した場合(S114のNo)、搬送処理部46に対する給電停止は省電力モードへの移行以外の原因で行われたと判定し、ギャップ調整処理の実行、およびギャップ調整処理に続いてクレンジング処理を実行する(S116)。なお、制御部44は、電源ONにより、搬送処理部46で電源が復帰した後に、自動改札機10で復帰処理を実行させるためのコマンドを搬送処理部46に送信する(S118)。復帰処理コマンドは、例えば、搬送路P中に磁気券Hが排出されずに残っていないかの確認や、搬送路P等に設けられた各種センサが正常に機能しているか否か等の確認を行わせるコマンドである。
【0050】
搬送処理部46は、自動改札機10において、復帰処理が完了すると、復帰処理完了のレスポンスを制御部44に返す(S120)。制御部44は、復帰処理完了のレスポンスを受けると、自動改札機10において、磁気券Hの受け入れ準備が整った判定し、磁気券Hの投入許可を示すコマンド(シャッタ開コマンド)を搬送処理部46に送信する(S122)。搬送処理部46は、シャッタ開コマンドを受信すると、シャッタ開閉処理部46bを介して、投入口12の投入口シャッタを開動作させて(S124)、磁気券Hの投入を許容する。つまり、ギャップ調整処理やクレンジング処理を実行して復帰する、通常復帰を実行して、磁気券Hの受け入れに備える。
【0051】
S114の処理において、搬送処理部46は、記憶部56に省電力移行情報が記憶されていると判定した場合(S114のYes)、搬送処理部46は、省電力モードからの復帰のために給電が再開されたと判定することができる。ただし、省電力モード中に停電等が発生している場合がある。そこで、制御部44は、S102で省電力モードに移行する旨を示すコマンドが出ていた場合であって、S110で電源ONするまでに、停電等が発生していない場合、復帰処理コマンドに、省電力解除指定データ(情報)を添付する。つまり、制御部44は、復帰処理を行うにあたり、当該復帰処理は、省電力モードからの復帰に伴う処理であることを証明するための省電力解除指定データを添付する。
【0052】
搬送処理部46は、省電力移行情報が記憶部56に記憶され、かつ省電力解除指定データが復帰処理コマンドに含まれていた場合(S126のYes)、今回の給電再開が、省電力モードからの復帰であり、その間に停電等のトラブルも発生していないという、信頼性の高い判定を行うことができる。つまり、単純な省電力モードからからの復帰であると判定する。その結果、搬送処理部46は、磁気券Hの残留なしの確認やセンサチェック等の復帰処理を実行して、S120において復帰処理完了のレスポンスを制御部44に返す。そして、制御部44は、復帰処理完了のレスポンスを受けると、S122の処理で、磁気券Hの投入許可を示すコマンド(シャッタ開コマンド)を搬送処理部46に送信する。搬送処理部46は、シャッタ開コマンドを受信すると、シャッタ開閉処理部46bを介して、投入口12の投入口シャッタを開動作させて(S124)、磁気券Hの投入を許容する。つまり、搬送処理部46は、ギャップ調整処理やクレンジング処理を実行することなく、省電力モードからの復帰後(給電再開後)、迅速に磁気券Hの投入を許容する。つまり、省電力モードからの復帰時に、直ちに磁気券Hの受け入れを可能として、入退場者を待たせる等の不都合が発生することを抑制することができる。
【0053】
なお、S126の処理において、搬送処理部46は、省電力解除指定データが復帰処理コマンドに含まれていないと判定した場合(S126のNo)、つまり、搬送処理部46は、省電力移行情報の存在により、当初は省電力モード移行を意図して給電を停止したが、給電停止中に停電等のトラブルが発生した可能性があると、判定することができる。このような場合は、搬送路Pの状態が変化している可能性があるため、通常の復帰動作として、ギャップ調整処理を実行し、続いてクレンジング処理を実行する(S128)。その後、搬送処理部46は、S120で復帰処理完了のレスポンスを制御部44に戻す。そして、制御部44は、復帰処理完了のレスポンスを受けると、S122のシャッタ開コマンドを搬送処理部46に送信する。搬送処理部46は、シャッタ開コマンドを受信すると、シャッタ開閉処理部46bを介して、投入口12の投入口シャッタを開動作させて(S124)、磁気券Hの投入を許容する。つまり、ギャップ調整処理やクレンジング処理を実行して復帰する通常復帰を実行する。
【0054】
なお、搬送処理部46は、省電力解除指定データの確認処理を省略してもよい。この場合、省電力移行情報の存在の有無によってのみ、ギャップ調整処理やクレンジング処理の省略を判定することが可能になり、処理の簡略化に寄与することができる。
【0055】
このように、本実施形態の自動改札機10によれば、搬送処理部46への給電を省電力モードへの移行により停止する場合、その旨を示す省電力移行情報を、搬送処理部46の不揮発性の記憶部56に記憶しておく。そして、自動改札機10への入退場者(人)の接近により省電力モードを終了させ磁気券Hの受け入れ可能な状態に復帰する場合に、搬送処理部46は記憶部56に記憶しておいた省電力移行情報を参照する。搬送処理部46は、省電力移行情報が確認できた場合、今回の給電復帰は省電力モードからの復帰であると判定し、給電復旧時に通常実施していたギャップ調整処理やクレンジング処理を非実行として(省略して)、迅速に磁気券Hの投入を許容する。その結果、省電力モード時には搬送処理部46を完全休止させて、効果的な省電力を実現しつつ、省電力モードからの復帰時に、直ちに磁気券Hの受け入れを可能として、入退場者を待たせる等の不都合が発生することを容易に抑制することができる。
【0056】
また、搬送処理部46は、省電力移行情報に加えて省電力解除指定データの存在を確認して、給電復旧時にギャップ調整処理やクレンジング処理の省略の是非を判定するようにしてもよい。この場合、給電復旧時にギャップ調整処理やクレンジング処理を省略するべきか否かの判定をより正確かつ適切に行うことができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、分離部Aにおいて、ギャップ調整処理やクレンジング処理を省略するべきか否かの判定を実施する例を示した。他の実施形態では、分離部A以外の搬送路Pに対してもギャップ調整処理やクレンジング処理を実施可能であり、同様に処理を省略するか否かの判定を行ってもよく、同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、上述した実施形態では、ギャップ調整処理とクレンジング処理とを両方省略する例を示したが、いずれか一方の処理を省略するようにしてもよい。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 自動改札機
12 投入口
14 排出口
22 人間検知器
26 第1搬送ベルト
28 第2搬送ベルト
30,32 第1フィードローラ
34,36 第2フィードローラ
38 ドローイングローラ
40 第1厚みセンサ
42 第2厚みセンサ
44 制御部
46 搬送処理部
46a 搬送実行処理部
46d 記憶処理部
46e ギャップ調整処理部
46f クレンジング処理部
56 記憶部
A 分離部
B 整列部
C 磁気処理部
CP 保留部
D パンチ部
E 印刷部
F 放出・集札部
G ローラ間ギャップ
H 磁気券
P 搬送路
SR リバースローラ
図1
図2
図3
図4
図5