(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135924
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】座金
(51)【国際特許分類】
F16B 43/00 20060101AFI20240927BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F16B43/00 Z
F16B5/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046832
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】辻野 真次
(72)【発明者】
【氏名】波内 俊文
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直樹
【テーマコード(参考)】
3J001
3J034
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA03
3J001KA19
3J001KB04
3J034AA02
3J034BA20
(57)【要約】
【課題】締結対象物に対して浮き上がることを抑制できる座金を提供する。
【解決手段】座金は、被締結対象物2の被締結面22に締結対象物3を配置して、締付力を生じる締結具4で締結する際に用いられる座金1であって、締結対象物は、被締結面22と対向する側と反対側の面であって、挿通孔3aが形成された締結面31を備え、締結具は、柱状であって、被締結対象物に挿入される軸部41と、軸部の径外方に延出するように設けられる締付部42と、を備え、座金には、軸部を挿通可能な貫通孔1aが形成され、座金は、貫通孔を挿通孔に重ねた状態において締結面に当接する当接部11と、当接部に段差を介して隣り合い、貫通孔を挿通孔に重ねた状態において挿通孔に嵌入する嵌入部12と、を備え、嵌入部は、貫通孔を囲み、締付部に押圧される周囲部分120を有するとともに、周囲部分が被締結面に当接可能となるように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結対象物の被締結面に締結対象物を配置して、締付力を生じる締結具で締結する際に用いられる座金であって、
前記締結対象物は、前記被締結面と対向する側と反対側の面であって、挿通孔が形成された締結面を備え、
前記締結具は、柱状であって、前記被締結対象物に挿入される軸部と、前記軸部の径外方に延出するように設けられる締付部と、を備え、
前記座金には、前記軸部を挿通可能な貫通孔が形成され、
前記座金は、前記貫通孔を前記挿通孔に重ねた状態において前記締結面に当接する当接部と、前記当接部に段差を介して隣り合い、前記貫通孔を前記挿通孔に重ねた状態において前記挿通孔に嵌入する嵌入部と、を備え、
前記嵌入部は、前記貫通孔を囲み、前記締付部に押圧される周囲部分を有するとともに、該周囲部分が前記被締結面に当接可能となるように構成されている座金。
【請求項2】
前記貫通孔から前記当接部の外縁に延びる切目を有し、
前記切目の一方側が他方側に対して前記貫通孔の貫通方向でずれている、請求項1に記載の座金。
【請求項3】
前記挿通孔は、長孔であり、
前記嵌入部は、前記長孔の長手方向に沿って配置される、請求項1又は2に記載の座金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被締結対象物に締結対象物を締結する際に用いられる座金に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座金として、特許文献1に記載のようなスプリングワッシャ付き座金が知られている。スプリングワッシャ付き座金は、平板状で厚み方向に貫通するボルト挿通孔が形成された座板と、ボルト挿通孔と連通するように座板に突設された筒状部と、を備え、内周面に凹部が形成されたスプリングワッシャを筒状部に嵌合させることができるように構成されている。
【0003】
特許文献1によると、このような座金は、ボルトナットやねじなどの締結具で締め付ける締結対象物に形成された孔とボルト挿通孔を重ねて、重なった孔に締結具を挿入して締め付ける際に、座板によって、締結対象物への接触面積を確保できるので、締結具で確実に締結物を締め付けることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
締結対象物に形成された締結具を挿通するための挿通孔が座金に形成された貫通孔よりも大きい場合には、挿通孔と貫通孔を重ねて締結具で締め付けた際に、締付力によって挿通孔に重なった部分が挿通孔に沈み込み、座金の外縁部分が締結対象物の表面に対して浮き上がるように変形することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、締結対象物に対して浮き上がることを抑制できる座金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の座金は、被締結対象物の被締結面に締結対象物を配置して、締付力を生じる締結具で締結する際に用いられる座金であって、前記締結対象物は、前記被締結面と対向する側と反対側の面であって、挿通孔が形成された締結面を備え、前記締結具は、柱状であって、前記被締結対象物に挿入される軸部と、前記軸部の径外方に延出するように設けられる締付部と、を備え、前記座金には、前記軸部を挿通可能な貫通孔が形成され、前記座金は、前記貫通孔を前記挿通孔に重ねた状態において前記締結面に当接する当接部と、前記当接部に段差を介して隣り合い、前記貫通孔を前記挿通孔に重ねた状態において前記挿通孔に嵌入する嵌入部と、を備え、前記嵌入部は、前記貫通孔を囲み、前記締付部に押圧される周囲部分を有するとともに、該周囲部分が前記被締結面に当接可能となるように構成されている。
【0008】
かかる構成によれば、貫通孔の周囲部分が被締結面に当接するので、被締結対象物の被締結面に締結対象物を配置し、締結対象物の挿通孔に座金の貫通孔を重ねて締結具で締結する際に、締結具の締付力で貫通孔の周囲部分が貫通孔に沈み込むことを抑制できる。よって、座金が締結対象物に対して浮き上がることを抑制できる。
【0009】
また、前記貫通孔から前記当接部の外縁に延びる切目を有し、前記切目の一方側が他方側に対して前記貫通孔の貫通方向でずれているように構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、締結具で締め付けた際に、座金が切れ目を挟む部分で弾性変形し、偏平な形状となる。よって、締結具が緩んだとしても座金が復元し、締付部に座金が当接することができるため、締結具の脱落を抑制できる。
【0011】
また、前記挿通孔は、長孔であり、前記嵌入部は、前記長孔の長手方向に沿って配置される構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、嵌入部が長孔の長手方向に沿って配置されるので、被締結面に対する嵌入部の接触面積を確保することができる。よって、締付力を被締結面に分散して伝達することができるので、嵌入部によって被締結面が損傷することを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、締結対象物に対して浮き上がることを抑制できる座金を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる座金を用いて締結対象物を被締結対象物に締結した状態を示す斜視図である。
【
図2】同座金を用いて締結対象物を被締結対象物に締結した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態にかかる座金1について
図1乃至
図5を参照して説明する。説明の便宜上、幅方向、長手方向、及び、上下方向は、
図1に記載の方向を基準に説明するが、使用時における方向を限定するものではない。
【0016】
図1及び
図2に示すように、座金1は、太陽光発電をする太陽電池モジュール(図示しない)を屋根材に固定されるベース金具2に設置するための設置部材としてのレール3(締結対象物)を締結具4でベース金具2(被締結対象物)に固定するために用いられる。なお、太陽電池モジュールとレール3は図示しない金具で連結される。
【0017】
屋根材は、建築物の屋根を構成する部材であり、例えば金属製である。屋根材は、複数を組み合わせられて屋根を構成する。このような屋根材には、ベース金具2が取付けられる。具体的に、ベース金具2は、ベース金具2の被締結面22(表面)を構成する表面部21と、表面部21に連結されるとともに、屋根材に固定される固定部23(図示しない)と、を備える。表面部21には、厚み方向に貫通する表面孔2aが複数個所に形成されている。
【0018】
レール3は、ベース金具2に対向するように配置される下面と、下面と反対側の面である締結面31(上面)と、を備える長尺体である。このようなレール3の締結面31には、上面から下面に(厚み方向に)貫通する挿通孔3aが形成されている。挿通孔3aは、幅方向長さに比べて長手方向長さが長い長孔であり、幅方向長さは略一定である。レール3が長孔の挿通孔3aを有することにより、ベース金具2に対するレールの固定位置を調整できるため、屋根に太陽電池モジュールを取付ける際の取り付け位置を柔軟に変更できる。
【0019】
このようなレール3は、複数のベース金具2の上に跨るように配置される。また、レール3は、挿通孔3aがベース金具2の表面部21に形成された表面孔2aと重なるように配置される。ベース金具2の表面部21に形成される表面孔2aの位置や表面孔2a同士の間隔は、ベース金具2の種類(例えば表面部21の大きさや材質)や配置状態によって異なり、表面部21の様々な位置に表面孔2aが形成されている。ここで、レール3に形成された挿通孔3aが長孔であるので、挿通孔3aを表面部21の様々な位置の表面孔2aに合わせることができる。
【0020】
ベース金具2に対して配置されたレール3は、締結具4でベース金具2に対して固定される。
図5に示すように、締結具4は、柱状で挿通孔3aに挿通される軸部41と、軸部41から径外方に延出する締付部42と、を備える。本実施形態の締結具4は、締付部42としてのボルト頭を備える頭付きボルトである。締結具4は、締付部42の下面が締結面31と対向するように、ベース金具2に対して配置されたレール3の挿通孔3aに挿通され、反対側からナット(図示しない)を螺合されることで、レール3をベース金具2に対して締め付けて固定する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、座金1は、締結具4でレール3をベース金具2に対して締め付ける際に、締付部42と締結面31の間に配置される板状部材である。
図3及び
図4に示すように、座金1は、上面及び下面が締付部42の下面よりも広くなるように構成されており、軸部41を挿通可能な貫通孔1aが厚み方向で貫通するように形成されている。また、座金1は、下面がレール3の締結面31に当接する当接部11と、貫通孔1aを挿通孔3aに重ねた状態で挿通孔3aに嵌入する嵌入部12と、を備える。本実施形態の座金1は、上面及び下面が四角形状である。このような座金1は、例えば、平坦な板材(具体的には金属板)をプレス加工して製造される。なお、図面において、プレス加工によって形成される角を尖った状態で図示しているが、実際にはプレスによって角の部分にアールが形成される。
【0022】
嵌入部12は、幅方向に対して長手方向に長い板状体である。本実施形態の嵌入部12は、幅方向の中途部分が下方に凹となるように形成されており、締付部42が当接可能に構成されている。具体的に、嵌入部12は、下方に位置して、締結面31と当接する嵌入本体部121と、嵌入本体部121の幅方向両端部から上方に延伸する延伸部122と、を備える。なお、
図3において、嵌入本体部121と延伸部122の概念的な境界を一点鎖線で示している。嵌入本体部121の下面は、長手方向長さが幅方向長さよりも長く、また、貫通孔1aの径の2倍以上の長さである、長手方向に連続して延びる平坦な面である。延伸部122の上面には、締付部42が当接可能である。本実施形態では、
図1に示すように、嵌入本体部121の上面が延伸部122の上面よりも下方に位置しているため、嵌入本体部121には締付部42が当接しない。嵌入本体部121の厚み(上下方向長さ)は、長孔の厚み(上下方向長さ)とほぼ同じであり、嵌入本体部121の幅は、挿通孔3aの幅と略同じである(
図5参照)。
【0023】
嵌入部12の長手方向における中央部分には貫通孔1aが形成されている。貫通孔1aは丸孔であり、径が、嵌入部12の幅よりも小さく、また、挿通孔3aの幅方向長さよりも小さい。また、貫通孔1aは、挿通孔3aよりも小さい孔であり、具体的に、貫通孔1aは、幅方向長さが挿通孔3aの幅方向長さよりも小さく、長手方向長さが挿通孔3aの長手方向長さよりも小さい。また、貫通孔1aを囲む周囲部分120は、嵌入本体部121及び延伸部122の両方によって構成されている。
【0024】
当接部11は、嵌入部12に対して隣り合う、平坦な板状体である。具体的に、当接部11は、嵌入部12から連続して幅方向で外側に延び、下面が嵌入部12の下面(嵌入本体部121の下面)よりも上方に位置するように配置されている。本実施形態の当接部11は、嵌入部12の幅方向一方側及び他方側に配置されている。また、当接部11は、嵌入部12が挿通孔3aに嵌入した状態において、下面が締結面31に当接可能である。当接部11の幅方向長さは、貫通孔1aの径の半分以上の長さであり、長手方向長さは貫通孔1aの径の2倍以上である。
【0025】
当接部11と嵌入部12の間には、下面側に段差Dが形成されている。具体的に、当接部11の下面よりも嵌入本体部121の下面が下方に位置し、かつ、当接部11の下面と嵌入本体部121の下面と嵌入本体部121の側面が連結されることで段差Dが形成されている。つまり、段差Dは、当接部11の下面と嵌入本体部121の側面によって形成されている。段差Dの高さは、挿通孔3aの貫通方向における長さ(即ち、レール3において挿通孔3aを有する部分の板厚)に略等しい。なお、段差Dの高さが挿通孔3aの貫通方向における長さよりも小さい構成とすることもできる。このような構成であっても当接部11と締結面31が当接する。
【0026】
座金1には、貫通孔1aから当接部11の外縁まで連続して延びる切目13が形成される。切目13は、幅方向に沿って貫通孔1aから当接部11の外縁まで延びるように形成されている。また、切目13の幅(長手方向における長さ)は、貫通孔1aの径よりも小さく、具体的には、貫通孔1aの径の半分以下である。
【0027】
長手方向(切目13の幅方向)における切目13の一方側は、他方側に対して上方に位置している。本実施形態では、座金1の切れ目を挟んだ部分にねじられることで、切目13の一方側が他方側に対する上下方向におけるずれが形成されている。また、座金1は、上下方向で圧縮する力を受けた際に、切目13の一方側と他方側の上下方向高さがそろうように弾性変形し、上下方向で圧縮する力を受けなくなった場合には、切目13の一方側が他方側に対して上下方向でずれるように復元する。この復元の際、座金1の切目13を挟む部分にて上下方向に弾性力が生じることになる。
【0028】
以上のような構成の座金1を用いてレール3をベース金具2に固定する方法について
図5を参照して説明する。
【0029】
ベース金具2をレール3に固定する際には、準備段階として、表面孔2aとレール3の挿通孔3aが重なるように、ベース金具2に対してレール3を配置する。なお、ベース金具2に予め表面孔2aが形成されていない場合には、表面部21に孔をあけて表面孔2aを形成する。
【0030】
次に、ベース金具2の表面孔2a及びレール3の挿通孔3aに貫通孔1aが重なるように座金1を配置する。このとき、座金1を嵌入部12が挿通孔3aの長手方向に沿うように挿通孔3aに嵌入させる。本実施形態で、座金1は、嵌入部12が挿通孔3aに嵌入した状態で挿通孔3aの長手方向に沿って移動可能である。なお、座金1は、ベース金具2の表面孔2aに対応した数量が配置される。座金1が配置された状態で、ベース金具2の表面孔2a、レール3の挿通孔3a、及び、座金1の貫通孔1aが上下方向で重なった状態となる。
【0031】
そして、重なったベース金具2の表面孔2a、レール3の挿通孔3a、及び、座金1の貫通孔1aに対して締結具4を挿通する。具体的には、締付部42が座金1の上面(延伸部122の上面)に当接するまで軸部41を挿通し、挿通が完了後に、裏側(下側)から軸部41にナット(図示しない)を螺合して、ベース金具2、レール3及び座金1を締め付ける。なお、座金1と締付部42の間にワッシャ(平ワッシャ)を介在させたうえで締め付けを行ってもよい。本実施形態では、締結具4の締付部42(ワッシャを設けた場合はワッシャ)は、座金1の貫通孔1aの周囲部分120のうち、延伸部122によって構成される部分にのみ当接する。
【0032】
ここで、締付部42によって座金1に対して上下方向に圧縮する力がかかるので、座金1が弾性変形して、切目13を挟んだ一方側と他方側の高さがそろう。切目13を挟んだ一方側と他方側の高さがそろうと、当接部11の下面が平坦な状態となり、当接部11の下面が全体的に締結面31に当接する状態となる。座金1が締結面31に全体的に当接することで、締付部42による締付力を分散してレール3に伝達することができるので、締付力に起因した座面陥没などを抑制することができる。本実施形態で、当接部11は、幅方向長さが貫通孔1aの径の2倍以上あるので、締付部42による締付力を確実に分散してレール3に伝達することができる。また、当接部11は、幅方向で嵌入部12の一方側及び他方側に配置されるので、締付部42による締付力を確実に分散してレール3に伝達することができる。
【0033】
また、座金1は、嵌入部12が挿通孔3aに嵌入しており、貫通孔1aの周囲部分120がベース金具2の表面部21(被締結面22)に当接しているので、締付によって座金1(周囲部分)を上方から下方に押圧力がかかったとしても、座金1が挿通孔3aに沈み込むように変形し、当接部11が締結面31に対して浮き上がるように変形(座金1全体でU字状やV字状に変形)することを抑制できる。よって、当接部11が浮き上がることで、当接部11が締結面31に対して面で接触できなくなり、上述の座金1としての機能が低下することを抑制できる。さらに、嵌入部12の下面(嵌入本体部121の下面)は長手方向に連続して延びる平面であるので、締付力を分散してベース金具2に伝達することができるため、締付力に起因してベース金具2の表面を傷つけることを抑制することができる。
【0034】
以上の工程で、レール3のベース金具2に対する固定が完了する。固定完了後に締結具4の締め付けが緩んだとしても、座金1が復元して、切目13の一方側は、他方側に対して上方に位置しているようになるので、緩んで生じた空間が復元した座金1によって埋められるため、締付部42が座金1に当接する状態を維持できる。よって、締結具4の脱落を抑制できる。
【0035】
上記実施形態の座金1によれば、貫通孔1aの周囲部分120が被締結面22に当接するので、被締結対象物(ベース金具2)の被締結面22に締結対象物(レール3)を配置し、締結対象物(レール3)の挿通孔3aに座金1の貫通孔1aを重ねて締結具4で締結する際に、締結具4の締付力で貫通孔1aの周囲部分120が貫通孔1aに沈み込むことを抑制できる。よって、座金1が締結対象物(レール3)に対して浮き上がることを抑制できる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0037】
例えば、被締結対象物がベース金具2であり、締結対象物が太陽電池モジュールを設置するためのレール3である場合について説明したが、このような構成に限らず、種々の締結対象物を被締結対象物に締結する場合に本発明を適用できる。例えば、レール3を屋根材(瓦など)に直接取り付ける構成とすることもできる。
【0038】
また、挿通孔3aが長孔である場合について説明したが、貫通孔1aよりも大きな孔であれば、長孔に限らず丸孔や四角形状の孔などとして構成できる。
【0039】
さらに、座金1には切目13が形成される場合について説明したが、このような構成に限らず、切目13が形成されない構成を採用することもできる。この場合、座金1に弾性力が生じないため、一般的なばね座金と併用することが好ましい。
【0040】
また、締結具4は、頭付きボルトである場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、軸部41のみのボルトとボルトに螺合される当接部11としてのナットとを備える構成であってもよいし、表面孔2aがねじ穴である場合には、軸部41及び締付部42を備えるねじであってもよい。さらに、ねじを有さない締結具4(例えばリベット)であってもよい。
【0041】
さらに、周囲部分120の下面の全部が被締結対象物に当接する場合について説明したが、このような構成に限らず、一部のみが当接可能であってもよい。このような場合であっても、座金1が挿通孔3aに沈み込むことを抑制できる。
【0042】
また、当接部11及び嵌入部12の下面は平坦である場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、当接部11や嵌入部12から下方に突出する複数の(多数の)突起部を備える構成とすることもできる。このような構成の場合には、突起部が締結対象物や被締結対象物に噛み込んで座金1がずれることを抑制できる。
【0043】
さらに、嵌入部12は、下方に凹となるように構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、上面が平坦であり、下面が当接部11に対して突出するように構成することもできる。このような構成の場合、貫通孔1aの周囲部分120の全体に締付部42が当接する。このような構成の座金は、例えば鋳造により形成できる。
【符号の説明】
【0044】
1…座金、1a…貫通孔、11…当接部、12…嵌入部、120…周囲部分、121…嵌入本体部、122…延伸部、13…切目、2…ベース金具(被締結対象物)、2a…表面孔、21…表面部、22…被締結面、23…固定部、3…レール(締結対象物)、3a…挿通孔、31…締結面、4…締結具、41…軸部、42…締付部、