(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135935
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】監視システム及び監視方法
(51)【国際特許分類】
G06V 20/56 20220101AFI20240927BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240927BHJP
【FI】
G06V20/56
G06T7/00 650Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046851
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517332845
【氏名又は名称】Arithmer株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田坂 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭三
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】森 雅巳
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA03
5L096FA59
5L096FA68
(57)【要約】
【課題】衝突危険物の検出精度を向上可能な監視システム及び監視方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る監視システム100は、画像取得部11、判定部12、領域設定部13、及び検出部14を備える。画像取得部11は、牽引車の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する。判定部12は、画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定する。領域設定部13は、判定部12が画像中に被牽引車が存在すると判定した場合、牽引車及び被牽引車の左右側方のうち、被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、牽引車及び被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する。検出部14は、危険領域内に存在する衝突危険物を検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する画像取得部と、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定する判定部と、
前記判定部が前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する領域設定部と、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する検出部と、を備える、
監視システム。
【請求項2】
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在していないと判定した場合、前記領域設定部が、前記牽引車及び前記被牽引車の左右両側方に後方に伸びる形状の危険領域を設定する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、後方に伸びる形状の危険領域を設定し、
当該危険領域は、前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在していないと判定した場合に設定される前記危険領域と比して狭い、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項5】
コンピュータが、
牽引車の左右後方の画像をそれぞれ取得し、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定し、
前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定し、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する、
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視システム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、連結式車両の衝突防止システムが記載されている。特許文献1に記載の衝突防止システムは、連結式車両を構成する車両同士の連結角に応じて、センサが検出した物体が、連結式車両の車体の一部であるか否かを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の衝突防止システムが適用されるような連結式車両、即ち牽引車及び被牽引車からなる車両は、その進行方向や旋回角に応じて、他の物体との接触を注意する必要がある領域の重要性が変化する。
【0005】
例えば、牽引車及び被牽引車が旋回しつつ前方に進行する場合、外輪方向に位置する物体と接触する危険性は小さくなるが、内輪方向に位置する物体と接触する危険性は大きくなる。そのため、このような場合においては、衝突防止システムは、外輪方向に位置する物体よりも、内輪方向に位置する物体をより重点的に検出する必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の衝突防止システムが有するセンサは、常に一定の範囲内の物体を検出するものであるため、状況に応じて領域毎の検出精度の重みづけを行うことができなかった。
【0007】
その結果として、特許文献1に記載の衝突防止システムにおいては、衝突する危険性が高い物体の適切に検出できない場合や、衝突する危険性の低い物体を過剰に検出してしまう場合があった。つまり、特許文献1に記載の衝突防止システムにおいては、衝突危険物の検出精度を十分に向上できていないという課題があった。
【0008】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、衝突危険物の検出精度を向上可能な監視システム及び監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る監視システムは、牽引車の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する画像取得部と、画像中に、牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定する判定部と、判定部が画像中に被牽引車が存在すると判定した場合、牽引車及び被牽引車の左右側方のうち、被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、牽引車及び被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する領域設定部と、危険領域内に存在する衝突危険物を検出する検出部とを備える、監視システムである。
【0010】
本開示の一態様に係る監視方法は、コンピュータが、牽引車の左右後方の画像をそれぞれ取得し、画像中に、牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定し、画像中に被牽引車が存在すると判定した場合、牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、牽引車及び被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定し、危険領域内に存在する衝突危険物を検出する、監視方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によって、衝突危険物の検出精度を向上可能な監視システム及び監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る監視システムの構成を説明するための模式俯瞰図である。
【
図2】第1の実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る領域設定部の構成を説明するための模式俯瞰図である。
【
図4】第1の実施形態に係る監視システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る監視システムの構成を説明するための模式俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
<監視システムの構成>
以下、図面を参照しながら、本開示に係る第1の実施形態について詳細に説明する。まず始めに、本実施形態に係る監視システムの構成について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る監視システムの構成を説明するための模式俯瞰図である。
【0014】
第1の実施形態に係る監視システム100は、
図1に示すような牽引車T1、被牽引車T2、及び接続部T3を備えるトラックTに対して導入される。
なお、本実施形態に係る監視システム100はトラックTに対して導入されているが、本開示に係る監視システムを導入可能な車両はトラックに限定されず、牽引車と、牽引車に牽引される1以上の被牽引車とを備える車両であれば、どのような車両に対して導入されてもよい。例えば、本開示に係る監視システムは、工場等で運用される運搬車のような、1の牽引車が列をなす複数の被牽引車を牽引する車両に対して導入されてもよい。
【0015】
牽引車T1は、接続部T3を介して被牽引車T2と接続されている自動車である。牽引車T1は、動力機関を備えており、被牽引車T2を牽引しつつ進行する。
被牽引車T2は、接続部T3を介して牽引車T1と接続されている貨物車である。被牽引車T2は、動力機関を備えておらず、牽引車T1から牽引されることで進行する。
接続部T3は、牽引車T1及び被牽引車T2を接続している。接続部T3は、接続部T3からみて回転可能となるように、牽引車T1及び被牽引車T2を接続している。
【0016】
第1の実施形態に係る監視システム100は、トラックT近傍に存在する衝突危険物を検出する。そして、監視システム100は、衝突危険物を検出した場合に、トラックTのドライバに対して警告を通知する。
【0017】
ここでいう衝突危険物とは、トラックTと衝突する危険性がある物体全般を指し、例えば、歩行者等の人間であってもよいし、トラックT以外の他の自動車等の移動体であってもよいし、道路標識等の物体であってもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。第1の実施形態に係る監視システム100は、監視装置1、第1のカメラ2a、及び第2のカメラ2bを備える。
【0019】
第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bは、トラックTの側部に取り付けられたカメラであり、それぞれ牽引車T1の左後方及び右後方を撮影している。第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bは、撮影した画像を、監視装置1に対して出力する。
【0020】
なお、当然のことながら、第1及び第2という名称は便宜的なものであり、左後方を撮影するカメラを第2のカメラと呼んでもよいし、右後方を撮影するカメラを第1のカメラと呼んでもよい。
【0021】
本実施形態に係る監視装置1は、牽引車T1に備え付けられた装置である。監視装置1は、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bと、有線、無線、又はその両方を介して接続されている。
【0022】
なお、本実施形態に係る監視装置1は、牽引車T1に備え付けられた単一の装置として実現されているが、本開示に係る監視システムの構成はこれに限定されない。
例えば、本開示に係る監視装置1は、複数の装置の組み合わせによって実現されてもよい。また、本開示に係る監視装置1は、その機能の一部又は全てが、トラックTの外部に設置された装置によって実現されてもよい。
【0023】
本実施形態に係る監視装置1は、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bから、牽引者T1の左右後方の画像を取得する。そして、監視装置1は、取得した画像に基づいて、トラックT近傍の衝突危険物を検出し、ドライバに対して警告する。
監視装置1は、画像取得部11、判定部12、領域設定部13、検出部14、及び警告部15を備える。
【0024】
なお、監視装置1は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、演算部を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部とを備えている。すなわち、監視装置1は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて、動作する。
【0025】
そのため、
図2に示す監視装置1を構成する各機能ブロックは、ハードウェア的には、上記CPU、記憶部、その他の回路等によって構成でき、ソフトウェア的には、記憶部に格納された監視装置1を制御するためのプログラムなどによって実現できる。
即ち、監視装置1は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいは両者の組み合わせによって、様々な形態で実現できる。
【0026】
なお、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0027】
画像取得部11は、牽引車T1の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する。より詳細には、画像取得部11は、牽引車T1の左右側面にそれぞれ1以上備え付けられたカメラ、つまり、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bから画像を取得する。画像取得部11は、取得した画像を判定部12に対して出力する。
【0028】
判定部12は、画像取得部11から牽引車T1の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する。判定部12は、画像取得部11から取得した画像中に、牽引車T1が牽引する被牽引車T2が存在するか否かをそれぞれ判定する。
このような構成によって、本実施形態に係る監視装置1は、トラックTが旋回しているか否かを把握できる。
判定部12は、判定結果を、領域設定部13に対して出力する。
【0029】
例えば、判定部12は、取得した画像中に被牽引車T2が所定の大きさ以上で映っているか否かを判定してもよい。そして、判定部12は、取得した画像中に被牽引車が所定の大きさ以上で映っていた場合に、画像中に被牽引車T2が存在すると判定してもよい。
このような構成によると、判定部12は誤判定を抑制できる。
【0030】
例えば、判定部12は、取得した画像中から被牽引車T2に対応する特定の色を抽出するようにしてもよい。そして、取得した画像において、抽出した色が占める割合が所定の大きさ以上である場合に、取得した画像中に被牽引車T2が所定の大きさ以上で映っていると判定してもよい。
【0031】
また、例えば、判定部12は、人工知能(AI、artificial intelligence)を用いて、画像中に、被牽引車T2が存在するか否かをそれぞれ判定してもよい。
【0032】
領域設定部13は、画像取得部11が取得した画像中に牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かに関する判定結果を判定部12から取得する。領域設定部13は、取得した判定結果に基づいて危険領域を設定する。領域設定部13は、設定した危険領域に関する情報を、検出部14に対して出力する。
【0033】
なお、ここでいう危険領域とは、当該領域内に物体が存在する場合、トラックTの移動に伴って、当該物体がトラックTに衝突する可能性が高い領域のことを指す。
また、ここでいう危険領域に関する情報とは、後述する検出部14が、衝突危険物の検出範囲を定めるために用いる情報である。危険領域に関する情報は、後述する検出部14に読み込まれることによって、検出範囲を適切に定めることができる情報であれば、どのような情報であってもよい。危険領域に関する情報は、例えば、トラックTの一点を基準点とした座標情報であってもよい。
【0034】
以下、
図3を参照しながら、本実施形態に係る領域設定部13が設定する危険領域について、より詳細に説明する。
【0035】
図3は、第1の実施形態に係る領域設定部の構成を説明するための模式俯瞰図である。より詳細には、
図3は、第1の実施形態に係るトラックTと、トラックTの側方に設定される危険領域を模式的に図示した俯瞰図である。
【0036】
図3(a)は、判定部12が画像中に被牽引車が存在しないと判定した場合に設定される危険領域を図示した模式俯瞰図である。
判定部12が画像中に被牽引車が存在しないと判定する状況は、例えば、
図3(a)に図示されるような、トラックTが旋回していない状況に対応している。
【0037】
図3(a)に示すような場合、即ち、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在していないと判定した場合、領域設定部13は、牽引車T1及び被牽引車T2の左右両側方に後方に伸びる形状の危険領域A1及びA2を設定する。
【0038】
より詳細には、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在していないと判定した場合、本実施形態に係る領域設定部13は、牽引車T1及び被牽引車T2の左右両側方に後方に矩形状の危険領域A1及びA2を設定する。
【0039】
なお、ここでいう後方に伸びる形状とは、少なくともトラックTに接する境界線が、直進するトラックTの側面部に沿った略直線である形状を指し、例えば、
図3(a)に示すような矩形状であってもよく、カメラ2a又は2bを中心点とした扇形であってもよい。
【0040】
図3(b)は、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在すると判定した場合に設定される危険領域を図示した模式俯瞰図である。より詳細には、
図3(b)は、判定部12が、第1のカメラ2aが撮影した画像に被牽引車T2が存在すると判定した場合に設定される危険領域を図示した模式俯瞰図である。
【0041】
判定部12が、第1のカメラ2aが撮影した画像に被牽引車T2が存在すると判定する状況は、例えば、
図3(b)に図示されるような、トラックTが左方向に旋回しようとしている状態に対応している。
【0042】
判定部12が画像中に被牽引車T2が存在すると判定した場合、領域設定部13は、牽引車T1及び被牽引車T2の左右側方のうち、被牽引車T2が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、牽引車T1及び被牽引車T2の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する。
【0043】
なお、本開示に係る曲線状の危険領域は、厳密な曲線形状を有する必要はない。例えば、ここでいう曲線状の危険領域は、複数の直線を含む折れ線形状の境界線を有する領域であってもよい。
【0044】
つまり、
図3(b)に示すような状況においては、領域設定部13は、牽引車T1及び被牽引車T2の左側側方に、牽引車T1及び被牽引車T2の側面部に沿う曲線状の危険領域A3を設定する。
このような構成によると、後述する検出部14が、トラックTの内輪側に存在する衝突危険物を適切に検出できる。
【0045】
ここで、領域設定部13は、画像中に映る被牽引車T2の位置に基づいて、危険領域A3の形状を設定してもよい。この場合、例えば、領域設定部13は、画像中に映る被牽引車T2の後端部の位置が側方側に位置するほど、曲率が大きくなるように危険領域A3を設定してもよい。
【0046】
また、領域設定部13は、画像中に映る被牽引車T2の大きさに基づいて、危険領域A3の形状を設定してもよい。この場合、例えば、領域設定部13は、画像中に映る被牽引車T2の大きさが大きいほど、曲率が大きくなるように危険領域A3を設定してもよい。
このような構成によると、トラックTの旋回の程度に応じて、適切に危険領域を設定できる。
【0047】
更に、領域設定部13は、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在すると判定した場合、牽引車T1の左右側方のうち、被牽引車T2が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、後方に伸びる形状の危険領域を設定する。より詳細には、領域設定部13は、矩形状の危険領域を設定する。
また、当該危険領域は、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在していないと判定した場合に設定される危険領域と比して狭い。
【0048】
つまり、
図3(b)に示すような状況においては、領域設定部13は、牽引車T1及び被牽引車T2の右側側方に、危険領域A2よりも面積が小さい矩形状の危険領域A4を設定する。
このような構成によると、後述する検出部14による衝突危険物の検出において、誤検出を抑制できる。
【0049】
図3(c)は、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在すると判定した場合に設定される危険領域の他の例を図示した模式俯瞰図である。
この場合、領域設定部13は、判定部12が画像中に被牽引車T2が存在すると判定した場合に、牽引車T1及び被牽引車T2の左右側方のうち、被牽引車T2が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、牽引車T1及び被牽引車T2の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定してもよい。
【0050】
つまり、領域設定部13は、
図3(c)に示すような状況においては、牽引車T1及び被牽引車T2の右側側方に、牽引車T1及び被牽引車T2の側面部に沿う曲線状の危険領域A6を設定してもよい。
このような構成によると、後述する検出部14が、トラックTの外輪側に存在する衝突危険物を適切に検出でき、特に、トラックTが旋回しつつ後退する場合に、特段の効果を奏する。
【0051】
図2の説明に戻る。
検出部14は、領域設定部13から危険領域に関する情報を取得する。検出部14は、危険領域内に存在する衝突危険物を検出する。検出部14は、衝突危険物を検出した場合、その旨を警告部15に対して通知する。
なお、ここでいう衝突危険物を検出するとは、衝突危険物の検出を完了することのみを指すのではなく、衝突危険物の検出を試みることも指す。
【0052】
より詳細には、検出部14は、領域設定部13から取得した危険領域に関する情報に基づいて検出範囲を設定し、当該検出範囲内に存在する衝突危険物を検出する。
【0053】
例えば、本実施形態に係る検出部14は、画像取得部11から、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bが撮影した画像を取得してもよい。そして、取得した画像のうち設定した危険領域に該当する部分を抽出し、抽出部分に映る衝突危険物を検出してもよい。
例えば、検出部14は、衝突危険物の画像を学習させた人工知能(AI)を用いて、取得した画像から衝突危険物を検出してもよい。
【0054】
警告部15は、検出部14が衝突危険物を検出した場合、牽引車のドライバに対して警告する。警告部15は、例えば、警報音や、警告音声を発するスピーカ装置であってもよいし、ドライバに対して警告文を提示する表示装置であってもよい。
警告部15が表示装置である場合、警告部15は、例えば、衝突危険物が映る画像を検出部14から取得し、当該画像をドライバに対して提示するようにしてもよい。
【0055】
<監視システムの動作>
続いて、監視システムの動作、即ち、第1の実施形態に係る監視方法について詳細に説明する。
図4は、第1の実施形態に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、以降の説明においては、適宜
図2を参照する。
【0056】
まず始めに、画像取得部11が、牽引車T1の左右後方の画像を取得する(ステップST201)。より詳細には、画像取得部11が、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bから画像を取得する。
【0057】
次に、判定部12が、画像中に被牽引車T2が存在するか否かを判定する(ステップST202)。より詳細には、判定部12が、画像取得部11が取得した画像中に被牽引車T2が存在するか否かを判定する。
【0058】
画像中に被牽引車が存在する場合(ステップST202 YES)、領域設定部13が、被牽引車T2が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、曲線状の危険領域を設定する(ステップST203)。
そして、領域設定部13が、被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、矩形状の危険領域を設定する(ステップST204)。
なお、ステップST203及びステップST204の実行順序は逆でもよい。また、ステップST203及びステップST204は同時に実行される工程であってもよい。
【0059】
画像中に被牽引車が存在しない場合(ステップST202 NO)、領域設定部13が、両側の側方に矩形状の危険領域を設定する(ステップST205)。
なお、ステップST204において設定される危険領域は、ステップST205において設定される危険領域と比して狭い。
【0060】
次に、検出部14が、危険領域内に衝突危険物が存在するか否かを判定する(ステップST206)。危険領域内に衝突危険物が存在しない場合(ステップST206 NO)、監視システム100は、一連の動作を終了する。
【0061】
危険領域内に衝突危険物が存在する場合(ステップST206 YES)、警告部15が、ドライバに対して警告し(ステップST207)、監視システム100は、一連の動作を終了する。
【0062】
以上、説明したように、本実施形態に係る監視システム100は、牽引車T1の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得し、取得した画像中に被牽引車T2が存在するか否かを判定する。そして、本実施形態に係る監視システム100は、当該判定結果に基づいて、危険領域を設定し、当該設定領域内に存在する衝突危険物を検出する。
【0063】
このような構成によると、本実施形態に係る監視システム100は、トラックTの旋回状態に応じて、適切に危険領域を設定できる。その結果として、本実施形態に係る監視システム100は、衝突危険物の検出精度を向上できる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る監視システムは、第1の実施形態に係る監視システムの変形例である。第1の実施形態に係る監視システムは、牽引車が1台の被牽引車を牽引するトラックに導入されていたが、第2の実施形態に係る監視システムは、牽引車が複数台の被牽引車を牽引するカートに対して導入されている。
【0065】
図5は、第2の実施形態に係る監視システムの構成を説明するための模式俯瞰図である。より詳細には、
図5は、第2の実施形態に係るカートCと、カートCの側方に設定される危険領域を模式的に図示した俯瞰図である。
【0066】
カートCは、例えば、工場等で運用される荷物運搬車である。カートCは、牽引車C1と、被牽車C2~C4とを備える。
【0067】
牽引車C1は、動力機関を有する車両であり、被牽車C2~C4を牽引している。牽引車C1は、例えば、自動運転によって進行する車両であってもよい。
牽引車C1には監視装置1が設らけれており、牽引車C1の側部には、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bが設けられている。
被牽引車C2~C4は、牽引車C1に牽引される動力機関を有さない車両であり、
図5に示すように1列に連結されている。
【0068】
第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bは、牽引車C1の側部に取り付けられたカメラである。本実施形態に係るカメラ2a及びカメラ2bは、第1の実施形態に係るカメラ2a及び2bと同様に、それぞれ牽引車C1の左後方及び右後方を撮影し、撮影した画像を監視装置1に対して出力する。
【0069】
監視装置1は、第1の実施形態に係る監視装置1と同様の構成を有するが、判定部12の構成と、領域設定部13の構成が一部異なる。
【0070】
本実施形態に係る判定部12は、被牽引車C2~C4が有する特定の部位を、カメラ2a及び2bより取得した画像から、被検出部位として検出する。本実施形態に係る判定部12は、被検出部位を検出した場合、領域設定部13に対して通知する。
【0071】
なお、ここでいう特定の部位、即ち被検出部位は、カメラ2a及び2bによって、撮影可能な部位であれば、どのような部位であってもよい。
例えば、被検出部位は、被牽引車の角部であってもよい。また、例えば、被牽引車C2~C4の側面部に特定の模様を付しておき、当該模様が付された被牽引車C2~C4の側面部を被検出部位としてもよい。
【0072】
本実施形態に係る領域設定部13は、
図5(a)に示すような、矩形状の危険領域A7及びA8をデフォルトの危険領域として設定する。
そして、本実施形態に係る領域設定部13は、判定部12から通知を受けた場合に、
図5(b)に示すような、側面部に沿う曲線状の危険領域A9と、危険領域A7及びA8よりも狭い矩形状の危険領域A10とを、通知時の危険領域として設定する。
【0073】
つまり、本実施形態に係る領域設定部13は、初期設定された危険領域を常時設定し、判定部12から通知を受けた場合にのみ危険領域の形状を変更する構成を有する点で、第1の実施形態に係る領域設定部13と異なる。
【0074】
なお、
図5(c)は、比較例を示した図であり、領域設定部13が初期設定された危険領域を一切変更しないような場合の例を示した図である。
このような場合においては、カートCが旋回している場合においても、領域設定部13が初期設定された領域A7及びA8を危険領域として設定し続ける。
【0075】
そのため、このような場合においては、領域A7中に被牽引車C2~C4が存在し、誤検出の原因となる。
また、このような場合においては、危険領域がカートCの内輪方向を内包できていないため、カートCと接触する可能性の高い物体P1を、衝突危険物として検出できない可能性がある。
また、このような場合においては、領域A8がカートCの外輪方向に大きく伸びるため、カートCと接触する可能性の低い物体P2を、衝突危険物として過剰に検出する可能性がある。
【0076】
これに対して、本実施形態に係る領域設定部13は、判定部12から通知を受けた場合に、
図5(b)に示すような領域を設定することで、衝突危険物を適切に検出できるようにしている。
【0077】
(その他の実施形態)
第1及び第2の実施形態に係る検出部14は、カメラ2a及び2bが撮影した画像に映る衝突危険物を検出するが、本開示に係る検出部14の構成は、これに限定されない。
【0078】
例えば、検出部14は、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2b以外の撮影装置が撮影した画像に映る衝突危険物を検出するようにしてもよい。
この場合、監視システム100は、例えば、牽引車、被牽引車、又はその両方の側方を撮影する撮影装置を更に備えてもよい。そして、検出部14が、当該撮影装置が撮影した画像に映る衝突危険物を検出するようにしてもよい。
前述した撮影装置は、例えば、被牽引車T2の側面に備え付けられていてもよい。
【0079】
また、第1及び第2の実施形態に係る監視システム100は、検出部14が衝突危険物を検出した場合、ドライバに対して警告を行っていたが、本開示に係る監視システムの構成にはこれに限定されない。
例えば、本開示に係る監視システム100は、検出部14が衝突危険物を検出した場合、トラックTの動作の一部を制限するような構成であってもよい。
【0080】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0081】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
牽引車の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する画像取得部と、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定する判定部と、
前記判定部が前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する領域設定部と、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する検出部と、を備える、
監視システム。
(付記2)
前記取得部が、前記牽引車の左右側面にそれぞれ1以上備え付けられたカメラから、前記画像を取得する、
付記1に記載の監視システム。
(付記3)
前記画像中に前記被牽引車が所定の大きさ以上で映っていた場合に、前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定する、
付記1又は2に記載の監視システム。
(付記4)
前記領域設定部が、前記画像中に映る前記被牽引車の位置に基づいて、前記危険領域の形状を変更する、
付記1乃至3のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記5)
前記領域設定部が、前記画像中に映る前記被牽引車の大きさに基づいて、前記危険領域を設定する、
付記1乃至4のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記6)
前記領域設定部が、前記画像中に映る前記被牽引車の大きさが大きいほど、曲率が大きくなるように前記危険領域を設定する、
付記5に記載の監視システム。
(付記7)
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在していないと判定した場合、前記領域設定部が、前記牽引車及び前記被牽引車の左右両側方に後方に伸びる形状の危険領域を設定する、
付記1乃至6のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記8)
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在していないと判定した場合、前記領域設定部が、前記牽引車及び前記被牽引車の左右両側方に矩形状の危険領域を設定する、
付記7に記載の監視システム。
(付記9)
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、後方に伸びる形状の危険領域を設定し、
当該危険領域は、前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在していないと判定した場合に設定される前記危険領域と比して狭い、
付記7又は8に記載の監視システム。
(付記10)
前記判定部が、前記画像中に、前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、矩形状の危険領域を設定し、
当該危険領域は、前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在していないと判定した場合に設定される前記危険領域と比して狭い、
付記9に記載の監視システム。
(付記11)
前記判定部が、前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影されていない側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する、
付記1乃至8のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記12)
前記検出部が、前記画像中に映る前記衝突危険物を検出する、
付記1乃至11のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記13)
前記牽引車、前記被牽引車、又はその両方の側方を撮影する撮影部を更に備え、
前記検出部が、前記撮影部が撮影した画像データに映る前記衝突危険物を検出する、
付記1乃至12のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記14)
前記検出部が、前記衝突危険物を検出した場合、前記牽引車のドライバに対して警告する警告部を更に備える、
付記1乃至13のいずれか1項に記載の監視システム。
(付記15)
牽引車の左右後方を撮影した画像をそれぞれ取得する画像取得部と、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定する判定部と、
前記判定部が前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定する領域設定部と、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する検出部と、を備える、
監視装置。
(付記16)
コンピュータが、
牽引車の左右後方の画像をそれぞれ取得し、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定し、
前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定し、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する、
監視方法。
(付記17)
牽引車の左右後方の画像をそれぞれ取得し、
前記画像中に、前記牽引車が牽引する被牽引車が存在するか否かをそれぞれ判定し、
前記画像中に前記被牽引車が存在すると判定した場合、前記牽引車及び前記被牽引車の左右側方のうち、前記被牽引車が存在すると判定された画像が撮影された側の側方に、前記牽引車及び前記被牽引車の側面部に沿う曲線状の危険領域を設定し、
前記危険領域内に存在する衝突危険物を検出する、動作をコンピュータに実行させる、
監視プログラム。
【符号の説明】
【0082】
1 監視装置、11 画像取得部、12 判定部、13 領域設定部、14 検出部、
15 警告部、2a、2b カメラ、T トラック、T1 牽引車、T2 被牽引車、
T3 接続部