(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135940
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置、モバイル装置、車両及びSSD
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240927BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/66 E
H02M3/155 W
H02M3/155 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046858
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忠之
【テーマコード(参考)】
4M106
5H730
【Fターム(参考)】
4M106AA02
4M106AB01
4M106AD01
4M106BA01
4M106DD04
4M106DD11
4M106DD13
5H730AA13
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE13
5H730ZZ05
5H730ZZ12
(57)【要約】
【課題】ノイズの他の回路への影響を抑制し、パッドに接触するプローブの数を減らす。
【解決手段】主回路(1)の電源端子と副回路(2、3)の電源端子とが抵抗(R1、R2)を介して接続され、主回路(1)の接地端子と副回路(2、3)の接地端子とが抵抗(R3、R4)を介して接続される。検査時に主回路(1)及び副回路(2、3)の電源端子と接続されたパッド(Pd)のいずれか1つに電源電圧(Vin)が印加され、主回路(1)及び副回路(2、3)の主回路(1)及び副回路(2、3)の接地端子と接続された前記パッドのいずれか1つにグラウンド電位が接続される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ内に形成された主回路及び副回路と、
前記主回路及び前記副回路の端子と接続されてチップの外部に露出する複数のパッドと、を有し、
前記主回路の電源端子と前記副回路の電源端子とが抵抗を介して接続され、
前記主回路の接地端子と前記副回路の接地端子とが抵抗を介して接続され、
検査時に前記主回路の電源端子と接続された前記パッド又は前記副回路の電源端子と接続された前記パッドのいずれか1つに電源電圧が印加されるとともに、前記主回路の接地端子と接続された前記パッド又は前記副回路の接地端子と接続された前記パッドのいずれか1つにグラウンド電位が接続され、
検査で良品と判定された後、前記主回路及び前記副回路の全ての電源端子と接続された全ての前記パッドに電源電圧が印加されるとともに、前記主回路及び前記副回路の接地端子と接続された全ての前記パッドがグラウンド電位に接続される構成の半導体装置。
【請求項2】
検査時において、複数の前記パッドのうち一部の前記パッドに検査用のプローブが接触し、
前記プローブが接触する前記パッドは、前記プローブ同士の接触を防止できるように形成される構成の請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記プローブが接触する前記パッド同士は、一定の間隔以上離れて形成される構成の請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗は、前記電源端子又は前記接地端子のノイズが当該電源端子又は接地端子と抵抗を介して接続される前記電源端子又は前記接地端子に影響しない抵抗値で構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記主回路及び前記副回路の少なくとも一つは、スイッチング素子を有するスイッチング回路で構成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スイッチング回路は、直列に接続されたハイサイドスイッチング素子とローサイドスイッチング素子とを有し、
前記電源端子が、前記ハイサイドスイッチング素子側の端子であり、前記接地端子が前記ローサイドスイッチング素子側の端子である構成の請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
絶縁性を有する樹脂で封止してパッケージを構成した請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記パッケージは、1つの面から前記チップの前記パッドと接続する接続端子が露出した構成である請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の半導体装置を有する構成のDC/DCコンバータ。
【請求項10】
請求項9に記載のDC/DCコンバータを有する構成のスイッチング電源装置。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチング電源装置を有する構成のモバイル装置。
【請求項12】
請求項10に記載のスイッチング電源装置を有する構成の車両。
【請求項13】
請求項10に記載のスイッチング電源装置を有する構成のSSD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものであり、半導体装置を用いたDC/DCコンバータ、DC/DCコンバータを用いたスイッチング電源装置、スイッチング電源装置を用いたモバイル装置、車両及びSSDに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置では、半導体ウェハーの出荷前に電気的な接続状態等の検査を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウェハーに形成される回路から発生するノイズによる他の回路への影響を減らすとともに、検査時にプローブが接触するパッドの個数を減らし、プローブ同士の接触を抑制する要求が高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本開示は、半導体装置であって、チップ内に形成された主回路及び副回路と、前記主回路及び前記副回路の端子と接続されてチップの外部に露出する複数のパッドと、を有する。前記主回路の電源端子と前記副回路の電源端子とが抵抗を介して接続され、前記主回路の接地端子と前記副回路の接地端子とが抵抗を介して接続される。検査時に前記主回路の電源端子と接続された前記パッド又は前記副回路の電源端子と接続された前記パッドのいずれか1つに電源電圧が印加されるとともに、前記主回路の接地端子と接続された前記パッド又は前記副回路の接地端子と接続された前記パッドのいずれか1つにグラウンド電位が接続される。検査で良品と判定された後、前記主回路及び前記副回路の全ての電源端子と接続された全ての前記パッドに電源電圧が印加されるとともに、前記主回路及び前記副回路の接地端子と接続された全ての前記パッドがグラウンド電位に接続される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、半導体装置内に形成される回路のノイズの他の回路への影響を抑制するとともに、パッドに接触するプローブの数を減らして、プローブ同士の接触を抑制できる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るスイッチング電源装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、スイッチング電源装置の断面図である。
【
図4】
図4は、検査を実行している状態のチップの概略構成図である。
【
図5】
図5は、検査を実行している状態のチップの一部の拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、検査を実行している状態のチップの拡大断面図である。
【
図7】
図7は、検査を実行している状態のチップのパッドが配列されている部分の拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、検査を実行している状態のチップの電源端子と接続されるパッドが配列されている部分の拡大断面図である。
【
図9】
図9は、検査を実行している状態のチップのグラウンド電位と接続されるパッドが配列されている部分の拡大断面図である。
【
図11】
図11は、モバイル装置の電源を供給する構造を示す構成図である。
【
図12】
図12は、スイッチング電源装置を用いた発光装置が搭載される車両の外観図(前面)である。
【
図13】
図13は、スイッチング電源装置を用いた発光装置が搭載される車両の外観図(背面)である。
【
図14】
図14は、LEDヘッドライトモジュールの外観図である。
【
図15】
図15は、LEDターンランプモジュールの外観図である。
【
図16】
図16は、LEDリアランプモジュールの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「Pチャンネル型、Nチャンネル型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOS電界効果トランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明する。ラインとは電気信号が伝播又は印加される配線を指す。グラウンド電位とは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグラウンド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グラウンド電位から見た電位を表す。
【0011】
以下の説明において、スイッチング素子がON状態のとき、スイッチの両端間が導通となる。一方で、スイッチング素子がOFF状態のとき、スイッチの両端間が非導通となる。以下、スイッチング素子について、ON状態、OFF状態を、単に、ON、OFFと表現することもある。また、スイッチング素子がON状態となっている期間をON期間と称することがあり、スイッチング素子がOFF状態となっている期間をOFF期間と称することがある。また、スイッチング素子がOFF状態のときON状態に切り替わることをターンONと称することがあり、ON状態のときOFF状態切り替わることをターンOFFと称することがある。
【0012】
任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間について「接続」とは、機械的に接続される場合を含むとともに、電気的に接続される、換言すると、電気が流れる状態になる場合も含まれるものとする。つまり、「接続する」は、「電気的に接続する」場合を含むものである。
【0013】
<スイッチング電源装置A>
図1は、本開示の一実施形態に係るスイッチング電源装置Aの全体構成図である。
図2は、スイッチング電源装置Aの断面図である。
図1に示す、スイッチング電源装置Aは、電源電圧Vinから電源電圧Vinよりも低い出力電圧Vout1、Vout2、Vout3の3系統の出力電圧を生成する降圧型DC/DCコンバータで構成される。電源電圧Vin及び出力電圧Vout1、Vout2、Vout3は、正の直流電圧である。
【0014】
図1に示すように、スイッチング電源装置Aは、第1コンバータブロックCb1、第2コンバータブロックCb2及び第3コンバータブロックCb3を含む構成を有する。第1コンバータブロックCb1は、出力電圧Vout1を出力する。また、第2コンバータブロックCb2は、出力電圧Vout2を出力する。そして、第3コンバータブロックCb3は、出力電圧Vout3を出力する。
【0015】
つまり、スイッチング電源装置Aは、3系統の出力電圧Vout1、Vout2、Vout3を出力可能な構成を有する。3系統の出力電圧Vout1、Vout2、Vout3は、同じ電圧値であってもよいし、それぞれ異なる電圧値であってもよい。また、一部同じ電圧値であってもよい。
【0016】
図1に示すように、スイッチング電源装置Aは、基板Bdに実装された、半導体装置100と、平滑化回路201、202、203と、を有する。
【0017】
<半導体装置100>
図1に示すように、半導体装置100は、内部に複数の回路を集積したIC(Integrated Circuit)チップChを有する。半導体ウェハーで構成されるチップChは、1つの主回路1と、2つの副回路2、3と、制御回路4とを有する。
【0018】
図2に示すように半導体装置100は、基板Bdと、チップChと、モールド部Mdとを有する。さらに説明すると、半導体装置100は、基板Bdの上面Bd1側にチップChを配置し、基板Bdの上面1をチップChとともにモールド部Mdで封止したパッケージで構成されている。半導体装置100を構成するパッケージとして、例えば、フリップチップパッケージ(Flip Chip Package)を挙げることができる。ここで、「フリップチップパッケージ」とは、パッケージ内部に設けられた回路に接続するための配線又は端子が、一面から外部に露出する構成のパッケージである。
【0019】
モールド部Mdは、例えば、樹脂等の絶縁性を有する材料で構成される。半導体装置100は、チップChを含む回路を構成する回路構成要素をモールド部Mdで封止する構成を有する。モールド部Mdで封止することで、チップChを含む基板Bdに実装された回路構成要素が保持されるとともに、水、埃等の異物の付着を抑制して回路の短絡等の不具合を抑制することができる。
【0020】
図3は、半導体装置100を構成するチップChの底面図である。チップChの下面Ch1には、パッドPdが配置される。
図2、
図3に示すように、チップChの少なくとも下面Ch1には、パッシベーション(Passivation)膜Psが形成されている。パッドPdは、パッシベーション膜Psよりも外側、ここでは、下側に突出する構成である。パッドPdは、例えば、アルミニウム等の導電性を有する材料で形成されている。パッドPdは、例えば、第1回路1、第2回路2及び第3回路3、制御回路4等のチップChに形成された回路及び素子とチップChの外部の回路との電気的な接続を確立する構成である。
【0021】
基板Bdは、両面基板であり、上面Bd1及び下面Bd2の両面にパターン配線Pcが形成されている。基板Bdの上面Bd1及び下面Bd2に形成されたパターン配線Pcは、厚み方向に貫通するビアーホールHtを介して接続されている。
【0022】
また、基板Bdの上面Bd1及び下面Bd2には、カバー部Cvが形成されており、カバー部Cvが、パターン配線Pcを保護している。
図2に示すように、基板Bdの上面Bd1では、カバー部Cvの一部が取り除かれており、カバー部Cvが取り除かれている部分に配置されるパターン配線Pcと接続される配線パッドDが設けられている。配線パッドDは、例えば、銅等の導電性を有する材料で形成されている。
【0023】
なお、
図2に示す半導体装置100では、視認を容易にするため、基板Bdに対するカバー部Cv及び配線パッドDの厚みを大きく示しているが、実際には、基板Bdの厚みに対して薄く構成される場合が多い。配線パッドDは、上面に後述する接続柱部Ftが接続可能な構成を広く採用することができる。
【0024】
半導体装置100において、チップChは、基板Bdの上方に配置される。このとき、チップChの下面Ch1から露出するパッドPdは、基板Bdの上面から露出する配線パッドDに接続される。パッドPdと配線パッドDとは、接続柱部Ftが配置される。接続柱部Ftは導電性を有し、パッドPd及び配線パッドDのそれぞれと接触する。これにより、パッドPdと配線パッドDとは、接続柱部Ftによって接続される。パッドPdと接続柱部Ft及び接続柱部Ftと配線パッドの接続方法は、例えば、超音波はんだ付けを挙げることができるが、これに限定されない。接続柱部FtとパッドPd、接続柱部Ftと配線パッドDを確実に接続できる接続方法を広く採用することができる。
【0025】
基板BdにチップChを取り付けた後、基板Bdの上面Bd1を樹脂で封止してモールド部Mdを形成する。これにより、基板Bdの上面Bd1のチップChを含む回路が樹脂にて封止される。また、基板Bdの下面Bd2を覆うカバーCvの一部が、取り除かれており、基板Bdの下面Bd2のカバーCvが取り除かれている部分に、ソルダボールSdが配置されている。ソルダボールSdは、はんだ材で構成されている。半導体装置100は、例えば、平滑化回路201、202、203が構成される回路基板にソルダボールSdを介して接続される。
【0026】
<チップCh>
チップChに形成された、制御回路4には、外部の機器からの情報が入力される。制御回路4は、外部からの情報に基づいて、第1回路1、第2回路2及び第3回路3に対し、動作の指示を行う制御信号を送信する。制御回路4に入力される情報としては、例えば、出力電圧Vout1、Vout2、Vout3の電圧値、出力のタイミング等を挙げることができる。また、制御回路4にはこれら以外の情報が入力される場合もある。
【0027】
主回路1と副回路2、3とは実質上同じ構成であり、主回路1と副回路2、3とに優位性はない。以下の説明において、主回路1を第1回路1、副回路2及び副回路3を第2回路2及び第3回路3として説明する。
【0028】
チップChに形成された、第1回路1、第2回路2及び第3回路3は、それぞれ、独立した回路であり、制御回路4からの制御信号に基づいて動作する。第1回路1は平滑化回路201と、第2回路2は平滑化回路202と、第3回路3は平滑化回路203とそれぞれ接続されている。詳細は後述するが、平滑化回路201、202、203は、半導体装置100の外部に設けられた回路である。
【0029】
第1回路1、第2回路2及び第3回路3は実質上同じ構成を有する。そのため、回路構成の詳細については、第1回路1を参照して説明する。そして、第2回路2及び第3回路3の各構成については、第1回路1の構成と対応関係の説明を行う。
【0030】
第1回路1はスイッチング素子を有し、平滑化回路201と接続して構成される第1コンバータブロックCb1は降圧型DC/DCコンバータを構成する。同様に、第2回路2平滑化回路202と接続して降圧型DC/DCコンバータである第2コンバータブロックCb2を構成する。さらに、第3回路3は平滑化回路203と接続して降圧型DC/DCコンバータである第3コンバータブロックCb2を構成する。このような構成の第1回路1、第2回路2及び第3回路3をスイッチング回路と称する。
【0031】
第1回路1は、ハイサイドスイッチング素子11と、ローサイドスイッチング素子12と、ドライバ回路13と、を有する。ハイサイドスイッチング素子11は、ここでは、nチャンネル型MOSトランジスタである。ローサイドスイッチング素子12は、ここでは、nチャンネル型MOSトランジスタである。
【0032】
なお、ハイサイドスイッチング素子11は、pチャンネル型MOSトランジスタであってもよい。また、第2回路2のハイサイドスイッチング素子21及びローサイドスイッチング素子22、第3回路のハイサイドスイッチング素子31及びローサイドスイッチング素子32も同様である。
【0033】
ドライバ回路13は、制御回路4からの制御信号に基づき、ハイサイドスイッチング素子11及びローサイドスイッチング素子12を動作させる構成を有する。ドライバ回路13は、ハイサイドスイッチング素子11及びローサイドスイッチング素子12を相補的に駆動する。なお、「相補的」とは、ハイサイドスイッチング素子11とローサイドスイッチング素子12のON/OFF状態が交互に入れ替わる状態を指す。さらに説明すると、完全に入れ替わっている場合だけでなく、例えば、ハイサイドスイッチング素子11及びローサイドスイッチング素子12がともにOFF状態であるデッドタイムを含んでもよい。
【0034】
なお、出力電圧Vout1は、ハイサイドスイッチング素子11のONデューティが大きいほど高くなる。つまり、ハイサイドスイッチング素子11のONデューティを調整することで、出力電圧Vout1を調整できる。なお、出力電圧Vout2、出力電圧Vout3についても同様である。
【0035】
ドライバ回路13は、平滑化回路201の出力電圧Vout1をフィードバック信号Sf1として取得する。ドライバ回路13は、フィードバック信号に基づいて、出力電圧Vout1が所望の電圧になるように、ハイサイドスイッチング素子11及びローサイドスイッチング素子12をON/OFF制御する。
【0036】
チップChの複数のパッドPdには、第1回路1と外部との電気的な接続を確立するための第1パッドPd1、第2パッドPd2、第3パッドPd3及び第4パッドPd4が含まれる。チップCh内において、ハイサイドスイッチング素子11のドレインが、第1パッドPd1に接続される。チップCh内において、ハイサイドスイッチング素子11のソースと、ローサイドスイッチング素子のドレインとは接続点P1で接続されている。接続点P1が第2パッドPd2に接続される。ローサイドスイッチング素子12のソースがチップCh内で第3パッドPd3に接続される。また、ドライバ回路13が第4パッドPd4に接続される。
【0037】
なお、
図1に示すように、スイッチング電源装置Aにおいて、第1パッドPd1は電源電圧Vinを供給する電圧源に接続される。なお、
図1に示すように、電源電圧Vinはコンデンサを介してグラウンド電位に接続されている。これにより、電源電圧Vinが供給される第1パッドPd1は、一定の電位に維持され、第1回路1の動作が安定する。なお、第2回路2及び第3回路3に供給される電源電圧も同様の構成を有する。
【0038】
また、接続点P1は第2パッドPd2を介して平滑化回路201の後述するインダクタ211の第1端と接続される。さらに、第1回路1のローサイドスイッチング素子12のソースは、第3パッドPd3を介してグラウンド電位GNDに接続される。また、第4パッドPd4は出力電圧Vout1をフィードバック信号Sf1として取得可能なように平滑化回路201のインダクタ211の第2端及び後述するコンデンサ221の第1端との接続点に接続される。
【0039】
第2回路2は、第1回路1のハイサイドスイッチング素子11と対応するハイサイドスイッチング素子21と、ローサイドスイッチング素子12と対応するローサイドスイッチング素子22と、ドライバ回路13と対応するドライバ回路23と、を有する。
【0040】
第2回路2は、第5パッドPd5、第6パッドPd6、第7パッドPd7及び第8パッドPd8と接続される。第5パッドPd5は、第2回路2のハイサイドスイッチング素子21のドレインと接続される。第6パッドPd6は、ハイサイドスイッチング素子21のソースとローサイドスイッチング素子22のドレインとの接続点P2と接続される。第7パッドPd7は、ローサイドスイッチング素子22のソースと接続される。第8パッドPd8は、ドライバ回路23と接続される。
【0041】
図1に示すように、スイッチング電源装置Aにおいて、第5パッドPd5には、電源電圧Vinを供給する電圧源に接続される。第6パッドPd6は平滑化回路202の後述するインダクタ212の第1端と接続される。さらに、第2回路2のローサイドスイッチング素子22のソースは、第7パッドPd7を介してグラウンド電位GNDに接続される。また、平滑化回路202の出力であるVout2がフィードバック信号Sf2として、第8パッドPd8を介してドライバ回路23に供給される。
【0042】
第3回路3は、第1回路1のハイサイドスイッチング素子11と対応するハイサイドスイッチング素子31と、ローサイドスイッチング素子12と対応するローサイドスイッチング素子32と、ドライバ回路13と対応するドライバ回路33と、を有する。
【0043】
第3回路3は、第9パッドPd9、第10パッドPd10、第11パッドPd11及び第12パッドPd12と接続される。第9パッドPd9は、第3回路3のハイサイドスイッチング素子31のドレインと接続される。第10パッドPd10は、ハイサイドスイッチング素子31のソースとローサイドスイッチング素子32のドレインとの接続点P3と接続される。第11パッドPd11は、ローサイドスイッチング素子32のソースと接続される。第12パッドPd12は、ドライバ回路23と接続される。
【0044】
図1に示すように、スイッチング電源装置Aにおいて、第9パッドPd9には、電源電圧Vinを供給する電圧源に接続される。第10パッドPd10は平滑化回路203の後述するインダクタ213の第1端と接続される。さらに、第3回路3のローサイドスイッチング素子32のソースは、第11パッドPd11を介してグラウンド電位GNDに接続される。また、平滑化回路203の出力であるVout3がフィードバック信号Sf3として、第12パッドPd12を介してドライバ回路33に供給される。
【0045】
第1回路1のハイサイドスイッチング素子11のドレインが接続される電源端子と第2回路2のハイサイドスイッチング素子21のドレインが接続される電源端子とが抵抗R1を介して接続される。また、第1回路1のハイサイドスイッチング素子11のドレインが接続される電源端子と第3回路3のハイサイドスイッチング素子31のドレインが接続される電源端子とが抵抗R2を介して接続される。
【0046】
第1回路1のローサイドスイッチング素子12のソースが接続される接地端子と第2回路2のローサイドスイッチング素子22のソースが接続される接地端子とが抵抗R3を介して接続される。さらに、第1回路1のローサイドスイッチング素子12のソースが接続される接地端子と第3回路3のローサイドスイッチング素子32のソースが接続される接地端子とが抵抗R4を介して接続される。
【0047】
抵抗R1、R2は、第1回路1、第2回路2及び第3回路3の少なくとも一つの電源に接続される端子のノイズが、他の回路の電源に接続される端子に影響しないような抵抗値で構成されている。また、抵抗R3、R4は、第1回路1、第2回路2及び第3回路3の少なくとも一つのグラウンド電位に接続される端子で発生するノイズが、他の回路のグラウンド電位に接続される端子に影響しないような抵抗値で構成されている。抵抗R1、R2、R3、R4は、例えば、100Ω程度の抵抗値であるものを挙げることができるが、これに限定されない。なお、抵抗R1、R2、R3、R4の抵抗値は同じであってもよいし、異なっていてもよい。半導体装置100は以上示した構成を有する。
【0048】
上述したとおり、半導体装置100において、チップChのパッドPdは、それぞれ、接続柱部Ftを介して、それぞれ異なる配線パッドDと抵抗R1、R2、R3、R4より十分小さいインピーダンスで接続される。
【0049】
例えば、第1回路1の第1パッドPd1、第2回路2の第5パッドPd5及び第3回路3の第9パッドPd9に供給される電源電圧Vinはいずれも同じ電圧値であるが、それぞれ、供給される。このように十分小さいインピーダンス接続で、それぞれ供給されることで、各回路に他の回路のノイズの影響を受けない電源電圧Vinが供給される。
【0050】
同様に、第1回路1の第3パッドPd3、第2回路2の第7パッドPd7及び第11パッドPd11がそれぞれグラウンド電位GNDに抵抗R1、R2、R3、R4より十分小さいインピーダンスで接続される。このように十分小さいインピーダンス接続されることで、各回路が他の回路のノイズの影響を受けないグラウンド電位GNDに接続される。
【0051】
<平滑化回路>
次に、スイッチング電源装置Aの平滑化回路について説明する。スイッチング電源装置Aにおいて、第1コンバータブロックCb1は、第1回路1と平滑化回路201とを有する。また、第2コンバータブロックCb2は、第2回路2と平滑化回路202とを有する。第3コンバータブロックCb3は、第3回路3と平滑化回路203と有する。
【0052】
平滑化回路201、202、203は同様の構成を有する。
図1に示すように、第1コンバータブロックCb1の平滑化回路201は、インダクタ211及びコンデンサ221を有する構成を有する。平滑化回路201において、インダクタ211の第1端は第1回路1のハイサイドスイッチング素子11のソースとローサイドスイッチング素子12のドレインとの接続点P1に接続される。つまり、インダクタ211には第1回路1の接続点P1の電圧が供給される。
【0053】
そして、インダクタ211の第2端とコンデンサ221の第1端とが接続されており、その接続点の電圧が出力電圧Vout1として出力される。また、コンデンサ221の第2端はグラウンド電位GNDに接続される。
【0054】
スイッチング電源装置Aにおいて、第2コンバータブロックCb2の平滑化回路202は、インダクタ212及びコンデンサ222を有する。インダクタ212は、平滑化回路201のインダクタ211と対応する。インダクタ212の第1端は第2回路2のハイサイドスイッチング素子21のソースとローサイドスイッチング素子22のドレインとの接続点P2と接続される。インダクタ212には、接続点P2の電圧が供給される。コンデンサ222は、平滑化回路201のコンデンサ221と対応する。インダクタ212の第2端とコンデンサ222の第1端とが接続され、その接続点の電圧が出力電圧Vout2として出力される。
【0055】
スイッチング電源装置Aにおいて、平滑化回路203は、インダクタ213及びコンデンサ223を有する。インダクタ213は、平滑化回路201のインダクタ211と対応する。インダクタ213の第1端は第3回路3のハイサイドスイッチング素子31のソースとローサイドスイッチング素子32のドレインとの接続点P3と接続される。インダクタ213には、接続点P3の電圧が供給される。コンデンサ223は、平滑化回路201のコンデンサ221と対応する。インダクタ213の第2端とコンデンサ223の第1端とが接続され、その接続点の電圧が出力電圧Vout3として出力される。
【0056】
半導体装置100では、モールド部Mdで封止する前にチップChに形成された回路及び素子等の通電状態、電気的な特性等の検査が行われる。ここで、チップChの検査について図面を参照して説明する。
図4は、検査を実行している状態のチップChの概略構成図である。
図5は、検査を実行している状態のチップChの一部の拡大斜視図である。
図6は、検査を実行している状態のチップChの拡大断面図である。
図4では、第1回路1、第2回路2及び第3回路3の検査を実行している状態を示している。
【0057】
図5、
図6等に示すように、チップChの検査は、導電性を有するプローブPrを用いて実行される。検査では、検査装置300に接続されたプローブPrをチップChのパッドPdに接触させて、検査装置300とチップChとを接続する。
【0058】
図5、
図6に示すように、プローブPrは、接触針部Neと、支持部Nfとを有する。接触針部Neは、パッドPdに直接的に接触する部材である。接触針部Neは、支持部Nfの先端から下方に延びて構成される。支持部Nfが、長尺状の部材であり、検査を実行するための検査装置300に接続されている。
【0059】
検査装置300は、例えば、プローブPrを介して、検査に必要な電圧、スイッチング素子を駆動するための信号をチップChに形成された回路及び素子に供給する。また、検査装置300は、プローブPrを介して出力された電圧及び信号等を取得し、その電圧、信号に基づいて素子の通電状態、電気的な特性を検査する。
【0060】
そして、検査にて良品と判定されたチップChを、モールド部Mdで封止してパッケージを構成する。なお、本開示では、パッケージを構成した後、出荷される構成としているが、これに限定されない。例えば、チップChの状態で出荷される場合もある。この場合も、出荷前に、上述の検査が実施され、良品と判定されたチップChが出荷される。
【0061】
このような検査において、プローブPrが接触し、短絡してしまうと、正確な検査結果を得ることが困難になる。チップChでは、隣り合うパッドPdに接触されるプローブPrが短絡することを抑制するため、パッドPd同士は、間隔Wよりも大きな間隔をあけて形成される(
図6参照)。なお、間隔Wは、プローブPrの支持部Nfと接触針部Neとの角度、接触針部NeのパッドPdに対する角度によって変化する。
【0062】
検査装置300を用いて検査を行う場合、検査装置300のプローブPrが配置される検査台(不図示)にチップChを位置決めして載置する。これにより、プローブPrとパッドPdとを接触させることができる。一方で、検査装置300のプローブPrは、細い部材であるため、小さな外力でも変形する場合がある。つまり、検査装置300にチップChを正確に位置決めしても、パッドPdにプローブPrが接触しない場合がある。プローブPrが多少変形していてもプローブPrがパッドPdと接触可能なように、チップChのパッドPdは、一定以上の面積となるように形成される。
【0063】
本開示の半導体装置100のチップChは、全てのパッドPdにプローブPrを接触させなくてもチップChの検査を実行することが可能な構成を有する。つまり、チップChは一部のパッドPdにプローブPrを接触させない状態で、検査が可能な構成となっている。ここで、接触させないパッドPdを含むチップChについて図面を参照して説明する。
【0064】
図7は、検査を実行している状態のチップChの第1回路1、第2回路2及び第3回路3と接続されたパッドが配列されている部分の拡大斜視図である。
図8は、検査を実行している状態のチップChの電源端子と接続されるパッドが配列されている部分の拡大断面図である。
図9は、検査を実行している状態のチップChのグラウンド電位と接続されるパッドが配列されている部分の拡大断面図である。なお、以下の説明において、プローブPrには、
図4、
図7、
図8、
図9等に示すように番号を付けて説明する。
【0065】
図1、
図4に示すように、チップChにおいて、第1パッドPd1と第5パッドPd5とは抵抗R1を介して接続され、第1パッドPd1と第9パッドPd9とは抵抗R2を介して接続される。
【0066】
つまり、チップChにおいて、第2回路2のハイサイドスイッチング素子21のドレインは、抵抗R1を介して第1パッドPd1に接続される。また、第3回路3のハイサイドスイッチング素子31のドレインは、抵抗R2を介して第1パッドPd1に接続される。そのため、第1パッドPd1に電圧を印加すると、第1回路1、第2回路2及び第3回路3のすべてに電圧を印加することができる。なお、第2回路2及び第3回路3に印加される電圧は、第1回路1に印加される電圧に対して、抵抗R1及び抵抗R2による電圧降下分低くなる。
【0067】
検査は、チップCh内に形成された回路及び素子の接続状態、動作状態を確認する。チップChの検査時、第1パッドPd1にプローブPr1を接触させて、検査装置300から検査電圧Vtを印加することで第1回路1、第2回路2及び第3回路3に検査に必要な電圧を印加可能である。その結果、第5パッドPd5、第9パッドPd9には、プローブPrを接触させなくてもよい。なお、検査において、電源電圧Vinに流れる電流は微小であるため、チップChの第2回路2及び第3回路3に印加される電圧は、電源電圧Vinからの微小なドロップとなり、問題にならない。
【0068】
そして、第5パッドPd5及び第9パッドPd9にはプローブPrを接触させなくてもよく、露出面の面積をプローブPrが接触する他のパッドPdに比べて小さくできる。また、第5パッドPd5及び第9パッドPd9に接触するプローブPrがないので、第5パッドPd5と第2パッドPd2との間隔及び第5パッドPd5と第6パッドPd6との間隔を、間隔W(
図7参照)よりも小さくすることが可能である(
図7、8参照)。同様に、第9パッドPd9と第6パッドPd6との間隔及び第9パッドPd9及び第10パッドPd10との間隔を、間隔Wよりも小さくすることができる(
図7、8参照)。
【0069】
また、第3パッドPd3と第7パッドPd7とは抵抗R3を介して接続され、第3パッドPd3と第11パッドPd11とは抵抗R4を介して接続される。上述と同様、第3パッドPd3がグラウンド電位GNDに接続されると、第2回路2のローサイドスイッチング素子22のソースは抵抗R3を介してグラウンド電位GNDと接続される。また、第3回路3のローサイドスイッチング素子32のソースは抵抗R4を介してグラウンド電位GNDに接続される。
【0070】
チップChの検査時において、第3パッドPd3は、プローブPr3を介して検査装置300の内部のグラウンド電位GNDに接続される。これにより、第2回路2及び第3回路3も抵抗R3及び抵抗R4を介してグラウンド電位GNDに接続される。
【0071】
第7パッドPd7及び第11パッドPd11には、プローブPrを接触させなくてもよいため、露出面の面積をプローブPrが接触する他のパッドPdに比べて小さくできる。また、第7パッドPd7及び第11パッドPd11に接触するプローブPrがないので、第7パッドPd7と第4パッドPd4との間隔及び第7パッドPd7及び第8パッドPd8の間隔を、間隔Wよりも小さくすることが可能である(
図7、9参照)。同様に、第11パッドPd11と第8パッドPd8との間隔及び第11パッドPd11と第12パッドPd12との間隔を、間隔Wよりも小さくすることができる(
図7、9参照)。
【0072】
以上のように構成されたチップChの検査を行う場合、12個のパッドPd1~Pd12に対して、パッドに接触させるプローブPrを8個とすることができる。これにより、検査装置300の構成を簡略化することが可能である。
【0073】
また、プローブPrを接触させない、第5パッドPd5、第7パッドPd7、第9パッドPd9及び第11パッドPd11の外部に露出する部分の面積を小さくすることができる。また、これらのプローブPrを接触させないパッドと隣接するパッドとの間隔は、隣り合う両方にプローブPrが接触するパッドPdの間隔Wよりも狭くなる。そのため、チップChの底面Ch1におけるパッドPdの配列の自由度を高めることができる。これにより、チップChに形成される回路等の構成要素の配列の自由度を高めることができる。
【0074】
また、プローブPrを接触させないパッドPdを有することで、パッドPdの露出部分の面積を小さくできるとともに、隣り合うパッドPdの間隔を狭くできる。そのため、チップChの底面積及び体積を小さく抑えることができる。
【0075】
なお、
図3、
図5、
図7等にパッドPdの例を示しているが、この図示は一例であり、実際のチップChとは異なることは言うまでもない。また、チップChでは、第1パッドPd1に検査電圧Vtを供給し、第3パッドPd3をグラウンド電位GNDに接続して、検査を実行していた。しかしながら、これに限定されず、検査電圧Vtは、第1パッドPd1に代えて、第5パッドPd5又は第9パッドPd9のいずれかに検査電圧Vtを供給するようにしてもよい。また、第3パッドPd3に代えて、第7パッドPd7又は第11パッドPd11が、グラウンド電位GNDに接続されるようにしてもよい。この場合、検査電圧が供給されるパッド、グラウンド電位GNDに接続されるパッドが大きく形成されるとともに、隣接するパッドと間隔Wあけるように構成される。
【0076】
チップChの底面Ch1におけるパッドPdの密度が低い部分に、検査電圧Vtが供給される第1パッドPd1及びグラウンド電位GNDに接続される第3パッドPd3を配置するようにしてもよい。このようにすることで、プローブPrの互いに接触することを抑制しつつ、チップChの底面Ch1を有効に利用することができる。その結果、チップChの底面Ch1の面積及び体積を小さく抑えることができる。
【0077】
上述したチップChでは、主回路1、副回路2、3の3個の回路を例に説明しているが、これに限定されず、2個の回路を有する構成であってもよいし、4個以上の回路を有する構成であってもよい。
【0078】
また、半導体装置100では、チップChに形成される構成要素として、主回路1、副回路2、3はDC/DCコンバータの一部を構成するハーフブリッジ回路としたが、これに限定されない。主回路1、副回路2、3としては、電圧が供給される電源端子と、グラウンド電位GNDに接続される接地端子とを有する回路を広く採用することができる。
【0079】
<用途>
先述した半導体装置100を用いたスイッチング電源装置Aは、モバイル装置の電源装置としてして利用することができる。
図10は、モバイル装置Spの斜視図である。
図11は、モバイル装置Spの電源を供給する構造を示す構成図である。
【0080】
図10、
図11に示すように、モバイル装置Spはここでは、スマートフォンである。モバイル装置Spには、ディスプレイユニットDUと、タッチパネルユニットTPと、スピーカーSKと、マイクロフォンMCと、を有する。
【0081】
ディスプレイユニットDUは、モバイル装置Spの操作画像を表示する構造である。ディスプレイユニットDUは、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等のディスプレイを有する構成である。タッチパネルユニットTPは、ディスプレイユニットDUの上面に配置されて、使用者の指、スタイラス等の操作体が接触した位置を検出する位置検出部材である。
図11に示すように、スピーカーSK及びマイクロフォンMCは、サウンドユニットSUを構成する。
【0082】
図11に示すように、モバイル装置Spのスイッチング電源装置Aは、バッテリーBTに接続される。そして、スイッチング電源装置Aは、バッテリーBTから電源電圧Vinの供給を受ける。
【0083】
スイッチング電源装置Aでは、第1コンバータブロックCb1がディスプレイユニットDUに接続される。第1コンバータブロックCb1は電源電圧Vinを出力電圧Vout1に変換し、ディスプレイユニットDUに供給する。第2コンバータブロックCb2がタッチパネルユニットTPに接続される。第2コンバータブロックCb2は電源電圧Vinを出力電圧Vout2に変換し、タッチパネルユニットTPに供給する。そして、第3コンバータブロックCb3がサウンドユニットSUに接続される。第3コンバータブロックCb3は、電源電圧Vinを出力電圧Vout3に変換し、サウンドユニットSUに供給する。
【0084】
上述したとおり、チップChにおいて、主回路1、副回路2、3の電源端子及び接地端子は、それぞれ抵抗R1、R2、R3、R4で接続されている。各抵抗R1、R2、R3、R4は、互いにノイズが他方に影響しない程度の抵抗値である。そのため、例えば、主回路1で発生したノイズが副回路2、3に影響しない。このように構成されているため、例えば、タッチパネルユニットに外部の電波、静電気等によるノイズが発生し、副回路2にノイズが発生した場合でも、主回路1及び副回路3にノイズが影響しない。これにより、モバイル装置Spの動作品質の低下を抑制しつつ、モバイル装置の各部に電力を供給することができる。
【0085】
また、先述した半導体装置100を用いたスイッチング電源装置Aは、LEDに電圧を供給する発光装置の電源とすることができる。スイッチング電源装置Aは、例えば、
図12及び
図13で示すとおり、車両X10のヘッドライト(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、白昼夜走行(DRL)用光源X12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、及び、ターンランプX15などの発光装置の電源装置として好適に用いることができる。
【0086】
例えば、車両X10のヘッドライトX11の電源装置として、スイッチング電源装置Aを用いる場合、第1コンバータブロックCb1の出力電圧Vout1がハイビームに供給されるように構成する。また、第2コンバータブロックCb2の出力電圧Vout2がロービーム供給されるように構成する。さらに、第3コンバータブロックCb3の出力電圧Vout3がスモールランプに供給されるように構成する。このように構成することで、例えば、駆動用のモータのインバータからのノイズが、主回路1、副回路2、3のいずれかに作用した場合でも、他の回路に影響することを抑制することができる。これにより、照明のちらつき、点灯不良等の発生を抑制できる。
【0087】
なお、先述したスイッチング電源装置Aは、発光装置(
図14のLEDヘッドライトモジュールY10、
図15のLEDターンランプモジュールY20、及び、
図16のLEDリアランプモジュールY30など)のモジュールの内部に配置される電源装置として提供されてもよい。
【0088】
また、これ以外にも、スイッチング電源装置Aは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)の電源として用いることも可能である。例えば、複数のHDD、SSDを有する記憶装置のそれぞれの電源として用いることが可能である。
【0089】
<その他>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0090】
以上説明した半導体装置(100)は、チップ(Ch)内に形成された主回路(1)及び副回路(2、3)と、主回路(1)及び副回路(2、3)の端子と接続されてチップの外部に露出する複数のパッド(Pd)と、を有する。主回路(1)の電源端子と副回路(2、3)の電源端子とが抵抗(R1、R2)を介して接続され、主回路(1)の接地端子と副回路(2、3)の接地端子とが抵抗(R3、R4)を介して接続される。検査時に主回路(1)の電源端子と接続されたパッド(Pd1)又は副回路(2、3)の電源端子と接続されたパッド(Pd5、Pd9)のいずれか1つに電源電圧(Vin)が印加されるとともに、主回路(1)の接地端子と接続されたパッド(Pd3)又は副回路(2、3)の接地端子と接続されたパッド(Pd7、Pd11)のいずれか1つにグラウンド電位(GND)が接続される。検査で良品と判定された後、主回路(1)及び副回路(2、3)の全ての電源端子と接続された全てのパッド(Pd1、Pd5、Pd9)に電源電圧(Vin)が印加されるとともに、主回路(1)及び副回路(2、3)の接地端子と接続された全てのパッド(Pd3、Pd7、Pd11)がグラウンド電位(GND)に接続される構成(第1の構成)である。
【0091】
上記第1の構成の半導体装置(100)において、検査時において、複数のパッド(Pd)のうち一部のパッド(Pd1、Pd2、Pd3、Pd4、Pd6、Pd8、Pd10、Pd12)に検査用のプローブ(Pr)が接触し、プローブ(Pr)が接触するパッド(Pd1、Pd2、Pd3、Pd4、Pd6、Pd8、Pd10、Pd12)は、プローブ(Pr)同士の接触を防止できるように形成される構成(第2の構成)であってもよい。
【0092】
上記第2の構成の半導体装置(100)において、プローブ(Pr)が接触するパッド(Pd)同士は、一定の間隔(W)以上離れて形成される構成(第3の構成)であってもよい。
【0093】
上記第2の構成又は第3の構成の半導体装置(100)において、電源端子又は前記接地端子のノイズが電源端子又は接地端子と抵抗(R1、R2、R3、R4)を介して接続される電源端子又は接地端子に影響しない抵抗値で構成(第4の構成)されてもよい。
【0094】
上記第2の構成又は第3の構成の半導体装置(100)において、主回路(1)及び副回路(2、3)の少なくとも一つは、スイッチング素子を有するスイッチング回路で構成(第5の構成)される。
【0095】
上記第5の構成の半導体装置(100)において、スイッチング回路(1、2、3)は、直列に接続されたハイサイドスイッチング素子(11、21、31)とローサイドスイッチング素子(12、22、32)とを有し、電源端子が、ハイサイドスイッチング素子側(11、21、31)の端子であり、接地端子がローサイドスイッチング素子側(12、22、32)の端子である構成(第6の構成)である。
【0096】
上記第1の構成から上記第6の構成のいずれかの半導体装置(100)において、絶縁性を有する樹脂で少なくともチップChを封止したパッケージを構成した構成(第7の構成)である。
【0097】
上記第7の構成の半導体装置(100)において、パッケージは、1つの面からチップ(Ch)のパッド(Pd)と接続した接続端子(Pc)が露出した構成(第8の構成)である。
【0098】
上記第1の構成から第8の構成のいずれかの半導体装置(100)を有するDC/DCコンバータを有する構成(第9の構成)である。
【0099】
上記第9の構成のDC/DCコンバータを有するスイッチング電源装置(A)を有する構成(第10の構成)である。
【0100】
上記第10の構成のスイッチング電源装置(A)を有するモバイル装置(Sp)である構成(第11の構成)である。
【0101】
上記第10の構成のスイッチング電源装置(A)を有する車両(X10)を有する構成(第12の構成)である。
【0102】
上記第10の構成のスイッチング電源装置(A)を有するSSDである構成(第13の構成)である。
【符号の説明】
【0103】
A スイッチング電源
1 主回路(第1回路)
2 副回路(第2回路)
3 副回路(第3回路)
4 制御回路
100 半導体装置
11、21、31 ハイサイドスイッチング素子
12、22、32 ローサイドスイッチング素子
13、23、33 ドライバ回路
201、202、203 平滑化回路
211、212、213 インダクタ
221、222、223 コンデンサ
Pd パッド
Pd1~Pd12 パッド
Ft 接続柱部
Bd 基板
Bd1 上面
Bd2 下面
Cv カバー部
D 配線パッド
300 検査装置
Pr プローブ
Ne 接触針部
Nf 支持部
R1、R2、R3、R4 抵抗
Sp モバイル装置
BT バッテリー
DU ディスプレイユニット
SK スピーカー
SU サウンドユニット
TP タッチパネルユニット
MC マイクロフォン
X10 車両
X11 ヘッドライト
X12 用光源
X14 ストップランプ
X15 ターンランプ
Y10 LEDヘッドライトモジュール
Y20 LEDターンランプモジュール
Y30 LEDリアランプモジュール