(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135945
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240927BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240927BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H10B 51/20 20230101ALI20240927BHJP
H10B 51/50 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L27/00 301B
H01L27/088 E
H01L21/68 N
H01L21/304 622X
H01L21/02 C
H10B43/27
H10B41/27
H10B41/50
H10B43/50
H01L29/78 371
H10B51/20
H10B51/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046865
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】北川 白馬
(72)【発明者】
【氏名】住谷 まり子
(72)【発明者】
【氏名】中村 昂平
(72)【発明者】
【氏名】蘆立 浩明
(72)【発明者】
【氏名】高木 淳
(72)【発明者】
【氏名】福本 将之
【テーマコード(参考)】
5F048
5F057
5F083
5F101
5F131
【Fターム(参考)】
5F048AB01
5F048AB03
5F048BA01
5F048BF12
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F057AA12
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5F057DA03
5F083EP02
5F083EP17
5F083EP22
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5F083ER21
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5F083GA10
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5F083PR05
5F083PR21
5F083PR40
5F101BA01
5F101BA41
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH15
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA31
5F131CA63
5F131EC42
5F131EC43
5F131EC62
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現する。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の基板の表面の外周部に絶縁膜を形成し、絶縁膜を形成した後に、絶縁膜の内側の表面に接するシリコン層を形成し、陽極化成法を用いて、絶縁膜の内側のシリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の表面の外周部に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜を形成した後に、前記絶縁膜の内側の前記表面に接するシリコン層を形成し、
陽極化成法を用いて、前記絶縁膜の内側の前記シリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン層は多結晶シリコンである、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁膜の上に形成された前記シリコン層を除去する、請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の基板はシリコン基板である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記シリコン層は、エピタキシャル成長法を用いて形成される単結晶シリコン層である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質シリコン層を形成した後に、前記多孔質シリコン層の上に第1の電子回路を形成し、
第2の電子回路を有する第2の基板を準備し、
前記第1の電子回路と前記第2の電子回路が接続されるように前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせ、
前記多孔質シリコン層を境界として前記第1の電子回路と、前記第1の基板を分離する、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の電子回路はメモリセルアレイを含み、前記第2の電子回路は前記メモリセルアレイの動作を制御する制御回路を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
外周部の表面が絶縁膜で、前記外周部の内側に位置する表面がシリコン層である第1の基板を準備し、
陽極化成法を用いて、前記絶縁膜の内側の前記シリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成するする、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の基板はシリコン基板であり、前記シリコン層は前記シリコン基板の表層部分である、請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリコン層は化学気相成長法で形成されたシリコン層である、請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である、請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記多孔質シリコン層を形成した後に、前記多孔質シリコン層の上に第1の電子回路を形成し、
第2の電子回路を有する第2の基板を準備し、
前記第1の電子回路と前記第2の電子回路が接続されるように前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせ、
前記多孔質シリコン層を境界として前記第1の電子回路と、前記第1の基板を分離する、請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の電子回路はメモリセルアレイを含み、前記第2の電子回路は前記メモリセルアレイの動作を制御する制御回路を含む、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
少なくとも表面がシリコン層である第1の基板を準備し、
陽極化成法を用いて前記シリコン層を多孔質化し、第1の多孔度を有する第1の多孔質領域と、前記第1の多孔質領域に対し前記表面に沿った方向に設けられ、前記第1の多孔度よりも多孔度の高い第2の多孔度を有する第2の多孔質領域と、を有する多孔質シリコン層を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2の多孔質領域は、前記第1の多孔質領域を囲む、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1の多孔質領域は、前記第2の多孔質領域を囲む、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記多孔質シリコン層を形成する前に、イオン注入法を用いて前記シリコン層に不純物を注入して、第1の領域と、前記第1の領域の不純物濃度よりも不純物濃度の高い第2の領域と、を形成し、
前記シリコン層を多孔質化する際に、前記第1の領域が前記第1の多孔質領域となり、前記第2の領域が前記第2の多孔質領域となる、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記多孔質シリコン層を形成する際に、第1のステップと第2のステップを有し、
前記第1のステップでは前記シリコン層が電解液に接する部分を第1の領域に限定する第1の基板ホルダを用い、
前記第2のステップでは前記シリコン層が電解液に接する部分を前記第1の領域の内側の第2の領域に限定する第2の基板ホルダを用い、
前記第2の領域が前記第2の多孔質領域となり、前記第2の領域の外側の前記第1の領域が前記第1の多孔質領域となる、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記多孔質シリコン層を形成する前に、前記シリコン層の前記表面に第1の絶縁膜を有する第1の領域と、前記第1の絶縁膜の膜厚より膜厚の薄い第2の絶縁膜を有するか、又は、絶縁膜を有しない第2の領域と、を形成し、
前記シリコン層を多孔質化する際に、前記第1の領域が前記第1の多孔質領域となり、前記第2の領域が前記第2の多孔質領域となる、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記多孔質シリコン層を形成した後に、前記多孔質シリコン層の上に第1の電子回路を形成し、
第2の電子回路を有する第2の基板を準備し、
前記第1の電子回路と前記第2の電子回路が接続されるように前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせ、
前記多孔質シリコン層を境界として前記第1の電子回路と、前記第1の基板を分離する、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記第1の電子回路はメモリセルアレイを含み、前記第2の電子回路は前記メモリセルアレイの動作を制御する制御回路を含む、請求項21記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、第1の電子回路が形成された支持基板と、第2の電子回路が形成された半導体基板を貼り合わせることにより、高機能又は高集積の半導体デバイスが実現できる。支持基板と半導体基板を貼り合わせた後、例えば、支持基板は半導体デバイスの製造コストを低減するために、分離され再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の基板の表面の外周部に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜を形成した後に、前記絶縁膜の内側の前記表面に接するシリコン層を形成し、陽極化成法を用いて、前記絶縁膜の内側の前記シリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図2】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図12】第1の実施形態の製造方法の作用及び効果の説明図。
【
図13】第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図14】第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図15】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図16】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図17】第2の実施形態の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図18】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図19】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図20】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図21】第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図22】第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図23】第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図24】第3の実施形態の半導体装置の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図25】第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図26】第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図27】第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図28】第4の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図29】第4の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図30】第4の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図31】第4の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図32】第5の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図33】第5の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【
図34】第5の実施形態の半導体装置の製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とは、例えば、図面内での相対的位置関係を示す用語である。「上」、又は、「下」という用語は、必ずしも、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いることが可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の基板の表面の外周部に絶縁膜を形成し、絶縁膜を形成した後に、絶縁膜の内側の表面に接するシリコン層を形成し、陽極化成法を用いて、絶縁膜の内側のシリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成する。
【0011】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、2つの基板を貼り合わせて、半導体デバイスを製造する方法である。半導体デバイスは、例えば、半導体メモリである。半導体メモリは、例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリである。
【0012】
【0013】
【0014】
最初に、支持基板10を準備する(
図1(a))。支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0015】
支持基板10は、導電体である。支持基板10は、例えば、半導体である。支持基板10は、例えば、単結晶シリコンである。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。支持基板10は、例えば、p型不純物としてボロン(B)が含まれるp型のシリコン基板である。支持基板10は、例えば、シリコンウェハである。支持基板10は、例えば、p型不純物としてボロン(B)が含まれるp型のシリコンウェハである。支持基板10は、例えば、石英基板等の絶縁基板であってもよい。
【0016】
支持基板10の直径は、例えば、150mm以上300mm以下である。
【0017】
次に、支持基板10の表面に、絶縁膜12を形成する(
図1(b))。絶縁膜12は、例えば、化学気相成長法(CVD法)を用いて形成する。
【0018】
絶縁膜12は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、又は、炭化物である。絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である。
【0019】
絶縁膜12の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0020】
次に、支持基板10の外周部の絶縁膜12を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図1(c))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0021】
例えば、フォトレジスト膜14としてポジ型レジストを用いる場合、フォトレジスト膜14を支持基板10の表面に塗布した後、支持基板10の中央部を露光することでフォトレジスト膜14を感光させて、支持基板10の中央部のフォトレジスト膜14を除去する。
【0022】
また、例えば、フォトレジスト膜14としてネガ型レジストを用いる場合、フォトレジスト膜14を支持基板10の表面に塗布した後、支持基板10の外周部を露光することでフォトレジスト膜14を感光させて、支持基板10の中央部のフォトレジスト膜14を除去する。
【0023】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の中央部の絶縁膜12を除去する(
図1(d))。絶縁膜12は、例えば、ウェットエッチング法を用いて除去する。
【0024】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図2(a))。
図2(a)、及び、
図2(b)に示すように、支持基板10の外周部に環状の絶縁膜12が形成される。
【0025】
支持基板10の外縁から環状の絶縁膜12の内縁までの距離(
図2(b)中のd)は、例えば、1mm以上10mm以下である。
図2(b)において、絶縁膜12の外縁は、支持基板10の外縁と一致していてもよい。
【0026】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図3(a))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。多結晶シリコン層16は、絶縁膜12の内側の、支持基板10の表面に接するように形成される。
【0027】
多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。多結晶シリコン層16の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0028】
次に、絶縁膜12の上に形成された多結晶シリコン層16を除去する(
図3(b))。多結晶シリコン層16は、例えば、化学機械研磨法(CMP法)を用いて除去する。
【0029】
次に、陽極化成法を用いて、絶縁膜12の内側の多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図3(c))。多結晶シリコン層16が多孔質化されることで、絶縁膜12の内側に多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分(void)を有する。
【0030】
図4は、多結晶シリコン層16を多孔質化する際に用いられる陽極化成装置20の一例の模式図である。
図4は、支持基板10を処理する状態を例示している。
【0031】
図4に示されるように、陽極化成装置20は、処理槽21、基板ホルダ22、第1電極23、第2電極24を備える。陽極化成装置20は、例えば、複数の基板を同時に処理可能なバッチ式の装置である。
【0032】
処理槽21は、例えば、フッ素樹脂製の容器である。処理槽21には、電解液25が貯留される。電解液25は、例えば、フッ化水素酸を含む。
【0033】
基板ホルダ22は、支持基板10を保持する。基板ホルダ22は、支持部22aとシール部22bを有する。シール部22bは、支持基板10の一方の面の側から他方の面の側への電解液の流路を塞ぐ機能を有する。シール部22bは、例えば、Oリングである。
【0034】
第1電極23及び第2電極24の間には、電圧が印加される。例えば、第1電極23に正電圧、第2電極24に負電圧が印加される。この場合、第1電極23が正極、第2電極24が負極となる。
図4中の矢印で示すように、第1電極23と第2電極との間の電解液25に、支持基板10を貫通して電流が流れる。
【0035】
支持基板10の陰極側、すなわち、電解液25の中に保持された支持基板10の第2電極24の側のシリコン層が陽極化成により多孔質化し、多孔質シリコン層18が形成される。絶縁膜12は、多結晶シリコン層16と比較して抵抗値が高いため、多孔質化されにくい。
【0036】
多結晶シリコン層16を多孔質化し、多孔質シリコン層18を形成した後、多孔質シリコン層18の上に、メモリ層30を形成する(
図5(a))。メモリ層30は、公知のプロセス技術を用いて形成される。
【0037】
図5(b)は、
図5(a)の破線で囲まれた領域R1の拡大図である。
図5(b)に示すように、メモリ層30は、複数のメモリセルを有するメモリセルアレイ30xを含む。複数のメモリセルは、例えば、メモリセルアレイ30xの中で3次元的に配置される。メモリセルアレイ30xに含まれるメモリセルは、例えば、3端子型の不揮発性メモリセルである。
【0038】
メモリセルアレイ30xは、第1の電子回路の一例である。
【0039】
次に、半導体基板40を準備する(
図6(a))。半導体基板40は、第2の基板の一例である。
【0040】
図6(a)、
図6(b)は、半導体基板40の模式断面図である。
図6(b)は、半導体基板の一部の拡大模式断面図である。
図6(b)は、
図6(a)の破線で囲まれた領域R2の拡大図である。
【0041】
図6(b)に示すように、半導体基板40は、例えば、半導体層40aと配線層40bを含む。半導体層40aは、例えば、単結晶シリコンである。半導体基板40は、例えば、シリコン基板を含む。半導体基板40は、例えば、シリコンウェハである。半導体基板40は、例えば、p型不純物としてボロン(B)が含まれるp型のシリコンウェハである。
【0042】
半導体基板40は、制御回路40xを含む。制御回路40xは、第2の電子回路の一例である。
【0043】
制御回路40xは、半導体層40a及び配線層40bで形成される。制御回路40xは、例えば、トランジスタ及びトランジスタ間を接続する多層配線で形成される。制御回路40xは、例えば、n型トランジスタとp型トランジスタを含むCMOS回路である。
【0044】
次に、
図7(a)に示すように、半導体基板40の配線層40bと、メモリ層30を対向させる。
【0045】
次に、
図7(b)に示すように、支持基板10と半導体基板40を貼り合わせる。支持基板10に形成されたメモリ層30と、半導体基板40の配線層40bが接触するように貼り合わせる。メモリ層30のメモリセルアレイ30xと半導体基板40の制御回路40xが、物理的及び電気的に接続されるように、支持基板10と半導体基板40を貼り合わせる。
【0046】
例えば、支持基板10と半導体基板40との間に、機械的圧力を加える。例えば、機械的圧力を加えた状態で熱処理を加えることにより、メモリ層30と配線層40bとが接合する。熱処理の温度は、例えば、300℃以上500℃以下である。支持基板10と半導体基板40との間に、機械的圧力を加えた状態で熱処理を加えることにより、支持基板10と半導体基板40との間の接合面の強度が高くなる。
【0047】
図8は、
図7(b)の破線で囲まれた領域R3の拡大図である。メモリ層30と配線層40bとが接合されることにより、メモリセルアレイ30xと制御回路40xとが電気的に接続される。制御回路40xは、例えば、メモリセルアレイ30xの動作を制御する機能を備える。
【0048】
次に、
図9に示すように、多孔質シリコン層18を境界として、支持基板10と半導体基板40を分離する。すなわち、多孔質シリコン層18を境界として、支持基板10とメモリ層30を分離する。すなわち、多孔質シリコン層18を境界として、支持基板10とメモリセルアレイ30xを分離する。
【0049】
例えば、メモリ層30と配線層40bとの境界に向けて側方から楔状の治具を押し付ける又は/及びウォータージェットを噴射することにより、メモリ層30と配線層40bとの境界を起点として機械的に多孔質シリコン層18を分断して、支持基板10と半導体基板40を分離する。
【0050】
分離された半導体基板40に、残存していた多孔質シリコン層18は、例えば、CMP法を用いて除去される。
【0051】
その後、接合された半導体基板40及びメモリ層30は、例えば、ブレードダイシング法を用いて複数の半導体メモリチップに分割される。
【0052】
分離された支持基板10に、残存していた多孔質シリコン層18又は絶縁膜12は、例えば、CMP法を用いて除去される。支持基板10は、その後、再利用(リユース)され、半導体装置の製造に利用され得る。
【0053】
以上の製造方法により、支持基板10と半導体基板40を貼り合わせて、第1の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0054】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0055】
【0056】
【0057】
比較例の半導体装置の製造方法は、支持基板10の外周部に環状の絶縁膜12を形成しない点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。
【0058】
最初に、支持基板10を準備する(
図10(a))。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。
【0059】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図10(b))。多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。
【0060】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図10(c))。多結晶シリコン層16が多孔質化されることで、多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。多結晶シリコン層16の最外周は多孔質化されずに残存する。
【0061】
図11は、多結晶シリコン層16を多孔質化する際に用いられる陽極化成装置20の一例の模式図である。陽極化成装置20は、第1の実施形態の製造方法で用いた装置と同一の装置構成を備える。
【0062】
第1の実施形態の場合と同様、支持基板10の陰極側、すなわち、電解液の中に保持された支持基板10の第2電極24の側のシリコン層が陽極化成により多孔質化し、多孔質シリコン層18が形成される。
【0063】
図12(a)、
図12(b)は、第1の実施形態の製造方法の作用及び効果の説明図である。
図12(a)、
図12(b)は、陽極化成装置20の基板ホルダ22の部分の拡大図である。
図12(a)は、比較例の支持基板10を処理する場合の図、
図12(b)は第1の実施形態の支持基板10を処理する場合の図である。
【0064】
基板ホルダ22は、支持部22aとシール部22bを有する。シール部22bは、支持基板10の一方の面の側から他方の面の側への電解液の流路を塞ぐ機能を有する。シール部22bが電解液の流路を塞ぐことにより、電流が支持基板10の外縁を流れることを抑制し、支持基板10を貫通して電流が流れることになる。
【0065】
図12(a)に示されるように、比較例の場合、シール部22bによって電解液の流路が塞がれることで、シール部22bより支持基板10の外周側にある多結晶シリコン層16の多孔質化は進まず、多結晶シリコン層16の最外周は多孔質化されずに残存する。一方、シール部22bよりも内側の多結晶シリコン層16には、電流が流れ多孔質化されて多孔質シリコン層18が形成される。言い換えれば、比較例の場合、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置は、シール部22bが接触する位置で決まることになる。
【0066】
多孔質シリコン層18が形成された支持基板10の上には、メモリ層30が形成される。メモリ層30の形成のために、支持基板10は各種の半導体製造装置の中で、処理される。支持基板10が処理される際、支持基板10の最外周部は、例えば、半導体製造装置の搬送用の治具やキャリア等に接触する場合がある。
【0067】
例えば、機械的に脆弱な多孔質シリコン層18が、搬送用の治具やキャリア等に接触すると、ダストが発生するおそれがある。ダストが発生すると、例えば、半導体デバイスの製造歩留まりが低下し問題となる。したがって、支持基板10の外周部の所定の範囲には、多孔質シリコン層18が形成されていないことが好ましい。
【0068】
上述のように、比較例の場合、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置は、シール部22bが接触する位置で決まることになる。例えば、基板ホルダ22に支持基板10を保持する際に、支持基板10の基板ホルダ22に対する位置ずれが生じると、シール部22bが支持基板10に接触する位置が変化する。したがって、支持基板10の外周部の所定の範囲を超えた領域に多孔質シリコン層18が形成されてしまう恐れがある。
【0069】
また、比較例の場合、例えば、シール部22bによる電解液の流路のシールが不十分で、シール部22bと支持基板10の間を電界液が侵入してしまうおそれがある。電界液が侵入してしまうと、シール部22bよりも支持基板10の外周部の多結晶シリコン層16に電流が流れ、支持基板10の外周部の所定の範囲を超えた領域に多孔質シリコン層18が形成されてしまう恐れがある。
【0070】
以上のように、比較例の場合、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置がばらつくことで、多孔質シリコン層18がダスト発生の要因となるおそれがある。
【0071】
第1の実施形態の場合、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置は、支持基板10の外周部に環状に設けられた絶縁膜12の内周端で決まる。したがって、支持基板10の基板ホルダ22に対する位置ずれが生じたり、シール部22bと支持基板10の間に電界液が侵入したりしても、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置は変化しない。よって、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置が安定し、多孔質シリコン層18がダスト発生の要因となることが抑制できる。
【0072】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置が安定する。したがって、第1の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、支持基板10と半導体基板40とを貼り合わせて製造される半導体デバイスの製造プロセスを安定させることができる。
【0073】
(第1の変形例)
【0074】
図13(a)、
図13(b)は、第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図である。
図13(a)、
図13(b)は、模式断面図である。
【0075】
第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法は、絶縁膜の上に形成されたシリコン層を除去しない点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。
【0076】
支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成するまでは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様である(
図13(a))。
【0077】
次に、絶縁膜12の上に形成された多結晶シリコン層16を除去することなく、陽極化成法を用いて、絶縁膜12の内側の多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図13(b))。多結晶シリコン層16が多孔質化されることで、絶縁膜12の内側に多孔質シリコン層18が形成される。
【0078】
絶縁膜12の上の多結晶シリコン層16には、陽極化成の際に絶縁膜12が存在するため電流が流れず、多孔質化されない。
【0079】
その後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。なお、陽極化成の後であって、メモリ層30を形成する前に、例えば、CMP法を用いて表面を平坦化してもよい。
【0080】
(第2の変形例)
【0081】
【0082】
第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法は、シリコン層は、エピタキシャル成長法を用いて形成される単結晶シリコン層である点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。
【0083】
支持基板10の外周部に環状の絶縁膜12を形成するまでは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様である(
図14(a))。
【0084】
次に、支持基板10の表面に単結晶シリコン層17を形成する(
図14(b))。単結晶シリコン層17はシリコン層の一例である。単結晶シリコン層17は、絶縁膜12の内側の、支持基板10の表面に接するように形成される。
【0085】
単結晶シリコン層17は、エピタキシャル成長法を用いて形成される。単結晶シリコン層17の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0086】
次に、陽極化成法を用いて、絶縁膜12の内側の単結晶シリコン層17を多孔質化する(
図14(c))。単結晶シリコン層17が多孔質化されることで、絶縁膜12の内側に多孔質シリコン層18が形成される。
【0087】
その後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0088】
実施形態では、絶縁膜12のパターニングをフォトレジストを用いて行う場合を例に説明したが、例えば、支持基板10の外周部だけに選択的に絶縁膜を成膜する成膜装置を用いて、絶縁膜12を形成することも可能である。
【0089】
以上、第1の実施形態及び変形例の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層の外周側の端部の位置が安定する。したがって、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することができる。
【0090】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、外周部の表面が絶縁膜で、外周部の内側に位置する表面がシリコン層である第1の基板を準備し、陽極化成法を用いて、絶縁膜の内側のシリコン層を多孔質化し、多孔質シリコン層を形成する。第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の基板の表面の外周部に絶縁膜を形成した後に、シリコン層を形成しない点で、第1の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態の製造方法と共通する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0091】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、2つの基板を貼り合わせて、半導体デバイスを製造する方法である。半導体デバイスは、例えば、半導体メモリである。半導体メモリは、例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリである。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
支持基板10は、導電体である。支持基板10は、例えば、半導体である。例えば、支持基板10は、例えば、単結晶シリコンである。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。支持基板10は、例えば、シリコンウェハである。支持基板10は、例えば、p型不純物としてボロン(B)が含まれる。p型のシリコンウェハである。
【0096】
支持基板10の直径は、例えば、150mm以上300mm以下である。
【0097】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図15(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0098】
多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。多結晶シリコン層16の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0099】
次に、多結晶シリコン層16の表面に、絶縁膜12を形成する(
図15(c))。絶縁膜12は、例えば、化学気相成長法(CVD法)を用いて形成する。
【0100】
絶縁膜12は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物である。絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である。
【0101】
絶縁膜12の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0102】
次に、支持基板10の外周部の絶縁膜12を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図15(d))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0103】
例えば、フォトレジスト膜14としてポジ型レジストを用いる場合、フォトレジスト膜14を支持基板10の表面に塗布した後、支持基板10の中央部を露光することでフォトレジスト膜14を感光させて、支持基板10の中央部のフォトレジスト膜14を除去する。
【0104】
また、例えば、フォトレジスト膜14としてネガ型レジストを用いる場合、フォトレジスト膜14を支持基板10の表面に塗布した後、支持基板10の外周部を露光することでフォトレジスト膜14を感光させて、支持基板10の中央部のフォトレジスト膜14を除去する。
【0105】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の中央部の絶縁膜12を除去する。絶縁膜12は、例えば、ウェットエッチング法を用いて除去する。
【0106】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図16(a))。支持基板10の外周部に環状の絶縁膜12が形成されることになる。支持基板10の外周部の表面は絶縁膜12であり、外周部の内側に位置する表面が多結晶シリコン層16となる。
【0107】
次に、陽極化成法を用いて、絶縁膜12の内側の多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図16(b))。多結晶シリコン層16が多孔質化されることで、絶縁膜12の内側に多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0108】
絶縁膜12の下の多結晶シリコン層16は、陽極化成の際に絶縁膜12が上に存在するため電流が流れず、多孔質化されない。
【0109】
次に、多結晶シリコン層16の上の絶縁膜12を除去する(
図16(c))。絶縁膜12は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。
【0110】
その後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0111】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、多孔質シリコン層18の外周側の端部の位置が安定することで、支持基板10と半導体基板40とを貼り合わせて製造される半導体デバイスの製造プロセスを安定させることができる。
【0112】
(変形例)
【0113】
【0114】
第2の実施形態の変形例の半導体装置の製造方法は、シリコン層はシリコン基板の表層部分である点で、第2の実施形態の製造方法と異なる。
【0115】
支持基板10の表面に、絶縁膜12を形成する(
図17(a))。絶縁膜12は、例えば、化学気相成長法(CVD法)を用いて形成する。支持基板10は、シリコン基板である。支持基板10は、第1の基板の一例である。シリコン基板の表層部分がシリコン層の一例である。
【0116】
絶縁膜12は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物である。絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である。
【0117】
絶縁膜12の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0118】
次に、支持基板10の外周部の絶縁膜12を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図17(b))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0119】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の中央部の絶縁膜12を除去する。絶縁膜12は、例えば、ウェットエッチング法を用いて除去する。
【0120】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図17(c))。支持基板10の外周部に環状の絶縁膜12が形成されることになる。
【0121】
次に、陽極化成法を用いて、絶縁膜12の内側のシリコン基板の表層部分のシリコン層を多孔質化する(
図17(d))。シリコン基板が多孔質化されることで、絶縁膜12の内側に多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0122】
絶縁膜12の下のシリコン基板は、陽極化成の際に絶縁膜12が上に存在するため電流が流れず、多孔質化されない。
【0123】
次に、シリコン基板である支持基板10の上の絶縁膜12を除去する。絶縁膜12は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。
【0124】
その後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0125】
第2の実施形態及び変形例の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層の外周側の端部の位置が安定する。したがって、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することができる。
【0126】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体層装置の製造方法は、少なくとも表面がシリコン層である第1の基板を準備し、陽極化成法を用いてシリコン層を多孔質化し、第1の多孔度を有する第1の多孔質領域と、第1の多孔質領域に対し表面に沿った方向に設けられ、第1の多孔度よりも多孔度の高い第2の多孔度を有する第2の多孔質領域と、を有する多孔質シリコン層を形成する。また、第3の実施形態の半導体層装置の製造方法では、多孔質シリコン層を形成する前に、イオン注入法を用いてシリコン層に不純物を注入して、第1の領域と、第1の領域の不純物濃度よりも不純物濃度の高い第2の領域と、を形成し、シリコン層を多孔質化する際に、第1の領域が第1の多孔質領域となり、第2の領域が第2の多孔質領域となる。
【0127】
第3の実施形態の半導体層装置の製造方法は、第1の基板に多孔質シリコン層を形成するプロセスが異なる点で、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と重複する内容については、記述を省略する場合がある。
【0128】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、2つの基板を貼り合わせて、半導体デバイスを製造する方法である。半導体デバイスは、例えば、半導体メモリである。半導体メモリは、例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリである。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
支持基板10は、導電体である。支持基板10は、例えば、半導体である。例えば、支持基板10は、例えば、単結晶シリコンである。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。支持基板10は、例えば、p型不純物としてボロン(B)が含まれるp型のシリコン基板である。
【0133】
支持基板10の直径は、例えば、150mm以上300mm以下である。
【0134】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図18(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0135】
多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。多結晶シリコン層16の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0136】
次に、支持基板10の中央部を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図18(c))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0137】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の外周部にイオン注入法を用いてボロン(B)をイオン注入する(
図18(d))。ボロン(B)は不純物の一例である。
【0138】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図19(a))。
図19(a)、及び、
図19(b)に示すように、多結晶シリコン層16の中央部に低不純物濃度領域16xが形成され、多結晶シリコン層16の外周部に高不純物濃度領域16yが形成される。低不純物濃度領域16xは第1の領域の一例である。また、高不純物濃度領域16yは第2の領域の一例である。
【0139】
高不純物濃度領域16yの導電性不純物の不純物濃度は、低不純物濃度領域16xの導電性不純物の不純物濃度より高い。例えば、高不純物濃度領域16yのボロン(B)の濃度は、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度よりも高い。
【0140】
高不純物濃度領域16yの抵抗率は、低不純物濃度領域16xの抵抗率よりも低い。高不純物濃度領域16yの抵抗率は、低不純物濃度領域16xの抵抗率の1000分の1以上5分の1以下である。高不純物濃度領域16yの抵抗率は、例えば、0.001Ω・cm以上0.09Ω・cm以下である。また、低不純物濃度領域16xの抵抗率は、例えば、0.01Ω・cm以上0.1Ω・cm以下である。
【0141】
なお、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度が所望の濃度に満たない場合には、例えば、フォトレジスト膜14を除去した後に、再度多結晶シリコン層16の中央部と外周部とにイオン注入をおこなってもよい。
【0142】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図20(a)、
図20(b))。なお、用いられる陽極化成法は、第1の実施形態の製造方法で用いられる陽極化成法と同様である。
【0143】
多結晶シリコン層16が多孔質化されることで多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0144】
多孔質シリコン層18の中央部は、低多孔質領域18xとなる。また、多孔質シリコン層18の外周部は、高多孔質領域18yとなる。低多孔質領域18xは、第1の多孔質領域の一例である。高多孔質領域18yは、第2の多孔質領域の一例である。
【0145】
高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xを囲む。高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xに対し、多結晶シリコン層16の表面に沿った方向に設けられる。
【0146】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、低不純物濃度領域16xが低多孔質領域18xとなる。また、高不純物濃度領域16yが高多孔質領域18yとなる。
【0147】
高多孔質領域18yは、第1の多孔度を有する。また、低多孔質領域18xは、第2の多孔度を有する。第1の多孔度は、第2の多孔度よりも高い。
【0148】
なお、「多孔度(porosity)」とは、多孔質シリコン層18の中の空洞部分(void)の体積の総体積に占める割合である。例えば、多孔質シリコン層18の「多孔度」が高くなると、多孔質シリコン層18のシリコンの体積割合は低くなる。例えば、多孔度の大小関係は、多孔質シリコン層18の断面の画像をSEMにより取得して、画像中に占める空洞部分の面積割合を比較することで判定できる。
【0149】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、抵抗の低い高不純物濃度領域16yに抵抗の高い低不純物濃度領域16xよりも多くの電流が流れる。したがって、高不純物濃度領域16yの多孔質化が進み、多孔度の高い高多孔質領域18yとなる。
【0150】
多孔質シリコン層18が形成された後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0151】
次に、第3の実施形態の半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0152】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法において
図9を用いて説明したように、第3の実施形態の半導体装置の製造方法においても、多孔質シリコン層18を境界として、支持基板10と半導体基板40を分離する。例えば、メモリ層30と配線層40bとの境界に向けて側方から楔状の治具を押し付ける又は/及びウォータージェットを噴射することにより、メモリ層30と配線層40bとの境界を起点として機械的に多孔質シリコン層18を分断して、支持基板10と半導体基板40を分離する。
【0153】
支持基板10と半導体基板40を分離する際に、多孔質シリコン層18を分断するためには、多孔質シリコン層18の機械的強度が他の部分よりも低いことが要求される。例えば、多孔質シリコン層18の機械的強度は、支持基板10と半導体基板40の接合面の機械的強度よりも低いことが要求される。
【0154】
一方、支持基板10の上に多孔質シリコン層18が形成された後に、多孔質シリコン層18の上にメモリ層30が形成される。メモリ層30を形成する際には、膜形成や熱処理が行われる。膜形成や熱処理の際に、多孔質シリコン層18には応力が加わる。したがって、多孔質シリコン層18にはメモリ層30を形成する際に加わる応力で破壊されない程度の機械的強度が必要とされる。
【0155】
仮に、多孔質シリコン層18の機械的強度が高すぎると、支持基板10と半導体基板40を分離する際に、例えば、支持基板10と半導体基板40の接合面での剥離が生じ、製品の製造が継続できなくなる。また、仮に、多孔質シリコン層18の機械的強度が低すぎると、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊され、製品の製造が継続できなくなる。
【0156】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法では、支持基板10の中央部に低多孔質領域18x、支持基板10の外周部に高多孔質領域18yを設ける。高多孔質領域18yの多孔度は、低多孔質領域18xの多孔度よりも高い。多孔度の高い高多孔質領域18yの機械的強度は、多孔度の低い低多孔質領域18xのよりも機械的強度が低い。
【0157】
例えば、支持基板10と半導体基板40を分離する際に、多孔質シリコン層18に向けて楔状の治具を側方から押し付けて、多孔質シリコン層18を分断する場合を考える。第3の実施形態の半導体装置の製造方法では、支持基板10の外周部に機械的強度の低い高多孔質領域18yが存在するため、支持基板10と半導体基板40の分断が容易となる。
【0158】
一方、支持基板10の中央部に機械的強度の高い低多孔質領域18xが存在することで、多孔質シリコン層18の機械的強度が保たれ、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊されることが抑制できる。
【0159】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層18の中の多孔度の面内分布を制御することにより、多孔質シリコン層18の機械的強度の面内分布が適正化される。したがって、第3の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、支持基板10と半導体基板40とを貼り合わせて製造される半導体デバイスの製造プロセスを安定させることができる。
【0160】
(第1の変形例)
【0161】
【0162】
【0163】
第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法は、第1の多孔質領域は、第2の多孔質領域を囲む点で、第3の実施形態の製造方法と異なる。例えば、低多孔質領域18xは高多孔質領域18yを囲む点で、第3の実施形態の製造方法と異なる。
【0164】
【0165】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図21(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0166】
次に、支持基板10の外周部を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図21(c))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0167】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の中央部にイオン注入法を用いてボロン(B)をイオン注入する(
図21(d))。ボロン(B)は不純物の一例である。
【0168】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図22(a))。
図22(a)、及び、
図22(b)に示すように、多結晶シリコン層16の外周部に低不純物濃度領域16xが形成され、多結晶シリコン層16の中央部に高不純物濃度領域16yが形成される。低不純物濃度領域16xは第1の領域の一例である。また、高不純物濃度領域16yは第2の領域の一例である。
【0169】
なお、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度が所望の濃度に満たない場合には、例えば、フォトレジスト膜14を除去した後に、再度多結晶シリコン層16の中央部と外周部とにイオン注入をおこなってもよい。
【0170】
高不純物濃度領域16yの導電性不純物の不純物濃度は、低不純物濃度領域16xの導電性不純物の不純物濃度より高い。例えば、高不純物濃度領域16yのボロン(B)の濃度は、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度よりも高い。
【0171】
高不純物濃度領域16yの抵抗率は、低不純物濃度領域16xの抵抗率よりも低い。
【0172】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図23(a)、
図23(b))。
【0173】
多結晶シリコン層16が多孔質化されることで多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0174】
多孔質シリコン層18の中央部は、高多孔質領域18yとなる。また、多孔質シリコン層18の外周部は、低多孔質領域18xとなる。低多孔質領域18xは、第1の多孔質領域の一例である。高多孔質領域18yは、第2の多孔質領域の一例である。低多孔質領域18xは、高多孔質領域18yを囲む。高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xに対し、多結晶シリコン層16の表面に沿った方向に設けられる。
【0175】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、低不純物濃度領域16xが低多孔質領域18xとなる。また、高不純物濃度領域16yが高多孔質領域18yとなる。
【0176】
高多孔質領域18yは、第1の多孔度を有する。また、低多孔質領域18xは、第2の多孔度を有する。第1の多孔度は、第2の多孔度よりも高い。
【0177】
多孔質シリコン層18が形成された後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0178】
第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法では、支持基板10の中央部に高多孔質領域18y、支持基板10の外周部に低多孔質領域18xを設ける。高多孔質領域18yの多孔度は、低多孔質領域18xの多孔度よりも高い。多孔度の高い高多孔質領域18yの機械的強度は、多孔度の低い低多孔質領域18xのよりも機械的強度が低い。
【0179】
図24(a)、24(b)は、第3の実施形態の半導体装置の第1の変形例の半導体装置の製造方法の説明図である。
図24は、支持基板10と半導体基板40を分離する際の方法の一例を示す。
【0180】
図24(a)に示すように、支持基板10と半導体基板40を分離する際に、半導体基板40を第1の支持部材61に固定する。例えば、半導体基板40は、真空吸着によって第1の支持部材61に固定される。また、支持基板10を第2の支持部材62に固定する。例えば、支持基板10は、真空吸着によって第2の支持部材62に固定される。
【0181】
その後、
図24(a)に示すように、第1の支持部材61に対して、第2の支持部材62を回転させることによって、多孔質シリコン層18にせん断応力を加え、多孔質シリコン層18を分断する。
【0182】
図24(b)は、多孔質シリコン層18に加わるせん断応力の大きさの面内分布を示す模式図である。
図24(b)に示すように、多孔質シリコン層18に加わるせん断応力は、多孔質シリコン層18の外周部で大きくなる。言い換えれば、多孔質シリコン層18に加わるせん断応力は、多孔質シリコン層18の中央部で小さくなる。
【0183】
第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法では、支持基板10の中央部に機械的強度の低い高多孔質領域18yが存在するため、支持基板10の中央部の多孔質シリコン層18に加わるせん断応力が小さい場合でも、支持基板10と半導体基板40の分断が容易となる。
【0184】
一方、支持基板10の外周部に機械的強度の高い低多孔質領域18xが存在することで、多孔質シリコン層18の機械的強度が保たれ、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊されることが抑制できる。
【0185】
(第2の変形例)
【0186】
【0187】
【0188】
第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法は、第1の多孔質領域と第2の多孔質領域は、チェッカーボードパターンを有する点で、第3の実施形態の製造方法と異なる。例えば、低多孔質領域18xと高多孔質領域18yは、チェッカーボードパターンを有する点で、第3の実施形態の製造方法と異なる。
【0189】
【0190】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図25(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0191】
次に、支持基板10の上に、フォトレジスト膜14を形成する(
図25(c))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。フォトレジスト膜14は、チェッカーボードパターンを有する。
【0192】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10にイオン注入法を用いてボロン(B)をイオン注入する(
図25(d))。ボロン(B)は不純物の一例である。
【0193】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図26(a))。
図26(a)、及び、
図26(b)に示すように、多結晶シリコン層16に低不純物濃度領域16xと高不純物濃度領域16yが形成される。低不純物濃度領域16xと高不純物濃度領域16yは、チェッカーボードパターンを有する。低不純物濃度領域16xは第1の領域の一例である。また、高不純物濃度領域16yは第2の領域の一例である。
【0194】
なお、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度が所望の濃度に満たない場合には、例えば、フォトレジスト膜14を除去した後に、再度多結晶シリコン層16の中央部と外周部とにイオン注入をおこなってもよい。
【0195】
高不純物濃度領域16yの導電性不純物の不純物濃度は、低不純物濃度領域16xの導電性不純物の不純物濃度より高い。例えば、高不純物濃度領域16yのボロン(B)の濃度は、低不純物濃度領域16xのボロン(B)の濃度よりも高い。
【0196】
高不純物濃度領域16yの抵抗率は、低不純物濃度領域16xの抵抗率よりも低い。
【0197】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図27(a)、
図27(b))。
【0198】
多結晶シリコン層16が多孔質化されることで多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0199】
多孔質シリコン層18には、チェッカーボードパターンを有する低多孔質領域18xと高多孔質領域18yが形成される。低多孔質領域18xは、第1の多孔質領域の一例である。高多孔質領域18yは、第2の多孔質領域の一例である。低多孔質領域18xは、高多孔質領域18yを囲む。高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xに対し、多孔質シリコン層18の表面に沿った方向に設けられる。
【0200】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、低不純物濃度領域16xが低多孔質領域18xとなる。また、高不純物濃度領域16yが高多孔質領域18yとなる。
【0201】
高多孔質領域18yは、第1の多孔度を有する。また、低多孔質領域18xは、第2の多孔度を有する。第1の多孔度は、第2の多孔度よりも高い。
【0202】
多孔質シリコン層18が形成された後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0203】
第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法では、支持基板10の多孔質シリコン層18に、チェッカーボードパターンを有する低多孔質領域18xと高多孔質領域18yが設けられる。高多孔質領域18yの多孔度は、低多孔質領域18xの多孔度よりも高い。多孔度の高い高多孔質領域18yの機械的強度は、多孔度の低い低多孔質領域18xのよりも機械的強度が低い。
【0204】
第3の実施形態の第2の変形例の半導体装置の製造方法では、支持基板10の多孔質シリコン層18に、機械的強度の低い高多孔質領域18yと機械的強度の低い低多孔質領域18xが、平均的に配置される。したがって、例えば、支持基板10と半導体基板40の分断が容易となり、かつ、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊されることが抑制できる。
【0205】
また、第3の実施形態の半導体装置の製造方法や、第3の実施形態の第1の変形例の半導体装置の製造方法に比べて、物性の異なる低多孔質領域18xと高多孔質領域18yとが平均的に配置されることで、例えば、支持基板10の反りが抑制できる。
【0206】
なお、実施形態及び変形例では、シリコン層にイオン注入される導電性不純物としてボロン(B)を例に説明したが、導電性不純物はボロン(B)に限定されない。例えば、導電性不純物としてリン(P)又はヒ素(As)を用いることも可能である。
【0207】
例えば、支持基板10がp型のシリコン基板の場合、シリコン層にイオン注入される導電性不純物は、p型の導電性不純物であるボロン(B)であることが好ましい。また、例えば、支持基板10がn形のシリコン基板の場合、シリコン層にイオン注入される導電性不純物は、n形の導電性不純物であるリン(P)又はヒ素(As)であることが好ましい。
【0208】
実施形態及び変形例では、支持基板10の表面の多結晶シリコン層16を多孔質化する方法を例に説明したが、支持基板10がシリコン基板であり、支持基板10の表層部の単結晶シリコン層を多孔質化する方法であっても構わない。
【0209】
実施形態及び変形例では、1回のイオン注入を行う方法を例に説明したが、例えば、複数回のドーズ量の異なるイオン注入を異なる領域に行う方法であっても構わない。
【0210】
以上、第3の実施形態及び変形例の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層の中の多孔度の面内分布を制御することにより、多孔質シリコン層の機械的強度の面内分布が適正化される。したがって、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することができる。
【0211】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、多孔質シリコン層を形成する際に、第1のステップと第2のステップを有し、第1のステップではシリコン層が電解液に接する部分を第1の領域に限定する第1の基板ホルダを用い、第2のステップではシリコン層が電解液に接する部分を第1の領域の内側の第2の領域に限定する第2の基板ホルダを用い、第2の領域が第2の多孔質領域となり、第2の領域の外側の第1の領域が第1の多孔質領域となる点で、第3の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。
【0212】
第4の実施形態の半導体層装置の製造方法は、第1の基板に多孔質シリコン層を形成するプロセスが異なる点で、第1の実施形態及び第3の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態及び第3の実施形態の半導体装置の製造方法と重複する内容については、記述を省略する場合がある。
【0213】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、2つの基板を貼り合わせて、半導体デバイスを製造する方法である。半導体デバイスは、例えば、半導体メモリである。半導体メモリは、例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリである。
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
支持基板10は、導電体である。支持基板10は、例えば、半導体である。例えば、支持基板10は、例えば、単結晶シリコンである。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。
【0218】
支持基板10の直径は、例えば、150mm以上300mm以下である。
【0219】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図28(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0220】
多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。多結晶シリコン層16の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0221】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する。例えば、第1の実施形態の
図4に示した、陽極化成装置20と同様の装置を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する。多結晶シリコン層16を多孔質化することで、多孔質シリコン層18が形成される。
【0222】
陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する際に、第1のステップ、第2のステップ、及び、第3のステップを行う。
【0223】
第1のステップでは、多結晶シリコン層16に外周多孔質領域18aが形成される(
図28(c))。第1のステップでは、陽極化成法により多結晶シリコン層16を形成する際に、第1の基板ホルダ22xを用いる。外周多孔質領域18aは、第1の多孔質領域の一例である。
【0224】
第2のステップでは、多結晶シリコン層16に中間多孔質領域18bが形成される(
図28(d))。第2のステップでは、陽極化成法により多結晶シリコン層16を形成する際に、第2の基板ホルダ22yを用いる。中間多孔質領域18bは、第2の多孔質領域の一例である。
【0225】
中間多孔質領域18bは、外周多孔質領域18aの内側に形成される。中間多孔質領域18bは、外周多孔質領域18aに対し、多結晶シリコン層16の表面に沿った方向に設けられる。
【0226】
中間多孔質領域18bの多孔度は、外周多孔質領域18aの多孔度よりも高い。
【0227】
第3ステップでは、多結晶シリコン層16に中央多孔質領域18c形成される(
図28(e))。第3のステップでは、陽極化成法により多結晶シリコン層16を形成する際に、第3の基板ホルダ22zを用いる。
【0228】
中央多孔質領域18cは、中間多孔質領域18bの内側に形成される。中央多孔質領域18cは、中間多孔質領域18bに対し、多結晶シリコン層16の表面に沿った方向に設けられる。
【0229】
中央多孔質領域18cの多孔度は、中間多孔質領域18bの多孔度よりも高い。
【0230】
第1のステップ、第2のステップ、及び、第3のステップの各ステップの間では、例えば、基板を一度、処理槽21から引き上げて、基板ホルダ22を交換した後、次のステップに移行する。
【0231】
図29(a)は第1のステップで用いられる第1の基板ホルダ22x、
図29(b)は第2のステップで用いられる第2の基板ホルダ22y、
図29(c)、は第3のステップで用いられる第3の基板ホルダ22zを示す。また、
図29(a)、
図29(b)、及び
図29(c)は、支持基板10を陽極化成装置20に搬入し、多結晶シリコン層16の多孔質化を開始する前の図である。すなわち、第1電極23と第2電極24との間に電圧を印加する前の図である。
【0232】
第1の基板ホルダ22xは、第1の基板ホルダの一例である。第2の基板ホルダ22yは、第2の基板ホルダの一例である。
【0233】
第1の基板ホルダ22xに支持基板10を保持した場合、
図29(a)に示すように、多結晶シリコン層16が電解液25に接する部分は、シール部22bによって第1の領域に限定される。第1の基板ホルダ22xを用いる場合、例えば、多結晶シリコン層16が第2電極24(
図4)の側の電解液25に接する部分は、第1の領域に限定される。また、例えば、多結晶シリコン層16が陰極側の電解液25に接する部分は、第1の領域に限定される。
【0234】
第2の基板ホルダ22yに支持基板10を保持した場合、
図29(b)に示すように、多結晶シリコン層16が電解液25に接する部分は、シール部22bによって第2の領域に限定される。第2の領域は、第1の領域よりも内側である。
【0235】
第2の基板ホルダ22yを用いる場合、例えば、多結晶シリコン層16が第2電極24(
図4)の側の電解液25に接する部分は、第2の領域に限定される。また、例えば、多結晶シリコン層16が陰極側の電解液25に接する部分は、第2の領域に限定される。
【0236】
第3の基板ホルダ22zに支持基板10を保持した場合、
図29(c)に示すように、多結晶シリコン層16が電解液25に接する部分は、シール部22bによって第3の領域に限定される。第3の領域は、第2の領域よりも内側である。
【0237】
第3の基板ホルダ22zを用いる場合、例えば、多結晶シリコン層16が第2電極24(
図4)の側の電解液25に接する部分は、第3の領域に限定される。また、例えば、多結晶シリコン層16が陰極側の電解液25に接する部分は、第3の領域に限定される。
【0238】
図30(a)、
図30(b)、及び
図30(c)は、多結晶シリコン層16の多孔質化の説明図である。
図30(a)は第1のステップ、
図30(b)は第2のステップ、
図30(c)は第3のステップの場合を示す。
図29(a)、
図29(b)、及び
図29(c)は、支持基板10を陽極化成装置20に搬入し、それぞれのステップにおいて、多結晶シリコン層16の多孔質化が終了した後の図である。
【0239】
第1のステップでは、
図30(a)に示すように、シール部22bの内側の第1の領域の多結晶シリコン層16が多孔質化され、外周多孔質領域18aが形成される。第2のステップでは、
図30(b)に示すように、シール部22bの内側の第2の領域の多結晶シリコン層16の多孔質化が更に進み、中間多孔質領域18bが形成される。第3のステップでは、
図30(c)に示すように、シール部22bの内側の第3の領域の多結晶シリコン層16の多孔質化が更に進み、中央多孔質領域18cが形成される。
【0240】
図31(a)、
図31(b)は、陽極化成法により、多孔質シリコン層18を形成した直後の模式図である。
図31(a)、
図31(b)に示すように、中間多孔質領域18bは、外周多孔質領域18aに囲まれ、中央多孔質領域18cは、中間多孔質領域18bに囲まれる。多孔質シリコン層18の多孔度は、多孔質シリコン層18の外側から内側に向かって高くなる。
【0241】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法では、陽極化成装置20の基板ホルダ22のシール部22bの位置をステップ毎に変更することにより、多孔質化する領域を変更している。
【0242】
多孔質シリコン層18が形成された後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0243】
例えば、支持基板10と半導体基板40を分離する際に、例えば、第3の実施形態で説明したように、第1の支持部材61に対して、第2の支持部材62を回転させることによって、多孔質シリコン層18にせん断応力を加え、多孔質シリコン層18を分断する場合を考える。第4の実施形態の半導体装置の製造方法では、支持基板10の中央部に機械的強度の低い中央多孔質領域18cが存在するため、支持基板10の中央部の多孔質シリコン層18に加わるせん断応力が小さい場合でも、支持基板10と半導体基板40の分断が容易となる。
【0244】
一方、支持基板10の外周部には、機械的強度の高い外周多孔質領域18aが存在することで、多孔質シリコン層18の機械的強度が保たれ、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊されることが抑制できる。
【0245】
また、支持基板10の中間部には、機械的強度の中程度の、中間多孔質領域18bが存在することで、多孔質シリコン層18の物性の面内方向の急激な変化を抑制している。したがって、例えば、支持基板10の反りが緩和される。
【0246】
なお、多結晶シリコン層16を多孔質化する際に、第1のステップ、第2のステップ、及び、第3のステップの順番は、入れ替わっても同様の作用及び効果を得ることができる。
【0247】
また、第4の実施形態の半導体装置の製造方法において、基板ホルダ22やシール部22bの構成は、
図29(a)、
図29(b)、
図29(c)の構成に限定されない。ステップ毎に多結晶シリコン層16が多孔質化される領域を変更できる構成であれば構わない。
【0248】
実施形態では、支持基板10の表面に形成された多結晶シリコン層16を多孔質化する方法を例に説明したが、支持基板10がシリコン基板であり、支持基板10の表層部の単結晶シリコン層を多孔質化する方法であっても構わない。
【0249】
以上、第4の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層の中の多孔度の面内分布を制御することにより、多孔質シリコン層の機械的強度の面内分布が適正化される。したがって、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することができる。
【0250】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置の製造方法は、多孔質シリコン層を形成する前に、シリコン層の表面に第1の絶縁膜を有する第1の領域と、第1の絶縁膜の膜厚より膜厚の薄い第2の絶縁膜を有するか、又は、絶縁膜を有しない第2の領域と、を形成し、シリコン層を多孔質化する際に、第1の領域が第1の多孔質領域となり、第2の領域が第2の多孔質領域となる点で、第3の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。
【0251】
第5の実施形態の半導体層装置の製造方法は、第1の基板に多孔質シリコン層を形成するプロセスが異なる点で、第1の実施形態及び第3の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態及び第3の実施形態半導体装置の製造方法と重複する内容については、記述を省略する場合がある。
【0252】
第5の実施形態の半導体装置の製造方法は、2つの基板を貼り合わせて、半導体デバイスを製造する方法である。半導体デバイスは、例えば、半導体メモリである。半導体メモリは、例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリである。
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
支持基板10は、導電体である。支持基板10は、例えば、半導体である。例えば、支持基板10は、例えば、単結晶シリコンである。支持基板10は、例えば、シリコン基板である。
【0257】
支持基板10の直径は、例えば、150mm以上300mm以下である。
【0258】
次に、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を形成する(
図32(b))。多結晶シリコン層16はシリコン層の一例である。表面に多結晶シリコン層16が形成された支持基板10は、第1の基板の一例である。
【0259】
多結晶シリコン層16は、例えば、CVD法を用いて形成される。多結晶シリコン層16の厚さは、例えば、100nm以上10μm以下である。
【0260】
次に、多結晶シリコン層16の表面に、絶縁膜71を形成する(
図32(c))。絶縁膜71は、例えば、CVD法を用いて形成する。
【0261】
絶縁膜71は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物である。絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、窒素添加炭化珪素である。
【0262】
絶縁膜71の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下である。
【0263】
次に、多結晶シリコン層16の中央部を覆うように、フォトレジスト膜14を形成する(
図32(d))。フォトレジスト膜14は、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより形成される。
【0264】
次に、パターニングされたフォトレジスト膜14をマスクに、支持基板10の外周部の絶縁膜71を除去する(
図33(a))。絶縁膜71は、例えば、ウェットエッチング法により除去される。
【0265】
次に、フォトレジスト膜14を除去する(
図33(b))。
【0266】
次に、多結晶シリコン層16及び絶縁膜71の表面に、絶縁膜72を形成する(
図33(c))。絶縁膜72は、例えば、CVD法を用いて形成する。
【0267】
絶縁膜72の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下である。
【0268】
多結晶シリコン層16の表面の、絶縁膜71と絶縁膜72が積層された領域が第1の領域の一例となる。絶縁膜71と絶縁膜72が積層された積層膜73が第1の絶縁膜の一例となる。多結晶シリコン層16の表面の、絶縁膜72のみが積層された領域が第2の領域の一例となる。第2の領域の上に形成された絶縁膜72が第2の絶縁膜の一例となる。
【0269】
絶縁膜72の膜厚は、絶縁膜71と絶縁膜72が積層された積層膜73の膜厚よりも薄い。
【0270】
次に、陽極化成法を用いて、多結晶シリコン層16を多孔質化する(
図33(d))。なお、用いられる陽極化成法は、第1の実施形態の製造方法で用いられる陽極化成法と同様である。
【0271】
多結晶シリコン層16が多孔質化されることで多孔質シリコン層18が形成される。多孔質シリコン層18は、内部に空洞部分を有する。
【0272】
次に、絶縁膜71及び絶縁膜72を除去する(
図34(a)、
図34(b))。
【0273】
多孔質シリコン層18の中央部は、低多孔質領域18xとなる。また、多孔質シリコン層18の外周部は、高多孔質領域18yとなる。低多孔質領域18xは、第1の多孔質領域の一例である。高多孔質領域18yは、第2の多孔質領域の一例である。高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xを囲む。高多孔質領域18yは、低多孔質領域18xに対し、多結晶シリコン層16の表面に沿った方向に設けられる。
【0274】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、積層膜73が積層された領域が低多孔質領域18xとなる。また、絶縁膜72のみが形成された領域が高多孔質領域18yとなる。
【0275】
高多孔質領域18yは、第1の多孔度を有する。また、低多孔質領域18xは、第2の多孔度を有する。第1の多孔度は、第2の多孔度よりも高い。
【0276】
陽極化成法により多孔質シリコン層18を形成する際に、絶縁膜の膜厚が薄い領域に、絶縁膜の膜厚が厚い領域よりも多くの電流が流れる。したがって、積層膜73が形成された領域が低多孔質領域18xとなる。また、絶縁膜72のみが積層された領域が高多孔質領域18yとなる。
【0277】
多孔質シリコン層18が形成された後、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様の方法で、3次元NANDフラッシュメモリが製造される。
【0278】
第5の実施形態の半導体装置の製造方法では、支持基板10の中央部に低多孔質領域18x、支持基板10の外周部に高多孔質領域18yを設ける。高多孔質領域18yの多孔度は、低多孔質領域18xの多孔度よりも高い。多孔度の高い高多孔質領域18yの機械的強度は、多孔度の低い低多孔質領域18xのよりも機械的強度が低い。
【0279】
例えば、支持基板10と半導体基板40を分離する際に、多孔質シリコン層18に向けて楔状の治具を側方から押し付けて、多孔質シリコン層18を分断する場合を考える。第5の実施形態の半導体装置の製造方法では、支持基板10の外周部に機械的強度の低い高多孔質領域18yが存在するため、支持基板10と半導体基板40の分断が容易となる。
【0280】
一方、支持基板10の中央部に機械的強度の高い低多孔質領域18xが存在することで、多孔質シリコン層18の機械的強度が保たれ、メモリ層30の形成中に多孔質シリコン層18が破壊されることが抑制できる。
【0281】
実施形態では、支持基板10の表面に多結晶シリコン層16を多孔質化する方法を例に説明したが、支持基板10がシリコン基板であり、支持基板10の表層部の単結晶シリコン層を多孔質化する方法であっても構わない。
【0282】
実施形態では、第1の領域と第2の領域のいずれにも絶縁膜が形成される方法を例に説明したが、例えば、第2の領域には絶縁膜を設けない方法とすることも可能である。
【0283】
また、実施形態では、絶縁膜の膜厚が異なる2つの領域を設ける方法を例に説明したが、それぞれの絶縁膜の膜厚が異なる3つ以上の領域を設ける方法であっても構わない。
【0284】
また、実施形態では、高多孔質領域18yが低多孔質領域18xを囲むパターンを例に説明したが、その他のパターンを形成することも可能である。
【0285】
以上、第5の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、多孔質シリコン層の中の多孔度の面内分布を制御することにより、多孔質シリコン層の機械的強度の面内分布が適正化される。したがって、2つの基板を貼り合わせて半導体デバイスを製造する際に、安定した製造プロセスを実現することができる。
【0286】
第1の実施形態ないし第5の実施形態において、製造される半導体デバイスの一例として3次元NANDフラッシュメモリ、第1の電子回路の一例としてのメモリセルアレイ、第2の電子回路の一例として、メモリセルアレイの動作を制御する制御回路を示した。しかし、製造される半導体デバイス、第1の電子回路、及び第2の半導体回路は、上記の例に限定されるものではない。例えば、製造される半導体デバイスが光センサ、電子回路が受光部、半導体回路が受光部の制御回路であっても構わない。
【0287】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0288】
10 支持基板(第1の基板、シリコン層)
12 絶縁膜
16 多結晶シリコン層(シリコン層)
16x 低不純物濃度領域(第1の領域)
16y 高不純物濃度領域(第2の領域)
17 単結晶シリコン層(シリコン層)
18 多孔質シリコン層
18a 外周多孔質領域(第1の多孔質領域)
18b 中間多孔質領域(第2の多孔質領域)
18x 低多孔質領域(第1の多孔質領域)
18y 高多孔質領域(第2の多孔質領域)
22x 第1の基板ホルダ
22y 第2の基板ホルダ
30x メモリセルアレイ(第1の電子回路)
40 半導体基板(第2の基板)
40x 制御回路(第2の電子回路)
72 絶縁膜(第2の絶縁膜)
73 積層膜(第1の絶縁膜)