(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135946
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046866
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宏人
(72)【発明者】
【氏名】八太 郁佳
(72)【発明者】
【氏名】森本 樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 徹
(72)【発明者】
【氏名】井上 悦照
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 裕稔
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF25
2C057AG15
2C057AG33
2C057AG44
2C057AG68
2C057AG92
2C057AN05
2C057AR14
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】圧力付与部の発熱の影響と、圧力付与部に接続された導電部の発熱の影響とを緩和し、濃度ムラを抑制可能なインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】
インクジェットヘッドは、第1共通流路と、第1インク供給口と、複数の第1個別流路と、第2共通流路と、第2インク供給口と、複数の第2個別流路と、が形成された流路部材と、複数の第1圧力付与部と、複数の第2圧力付与部と、前記複数の第1圧力付与部を制御回路と電気的に接続する第1導電部と、前記複数の第2圧力付与部を前記制御回路と電気的に接続する第2導電部と、を備える。第1インク供給口は第1方向の一方に位置し、第2インク供給口は第1方向の他方に位置し、第1導電部の前記制御回路に近い端部は第1方向の前記他方に位置し且つ第2導電部の前記制御回路に近い端部は第1方向の前記一方に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って延在する第1共通流路と、前記第1共通流路と連通する第1インク供給口と、それぞれが前記第1共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第1個別流路と、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1共通流路と位置がずれており且つ前記第1方向に沿って延在する第2共通流路と、前記第2共通流路と連通する第2インク供給口と、それぞれが前記第2共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第2個別流路と、が形成された流路部材と、
前記第1方向に沿って並べられ且つ前記複数の第1個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成された、複数の第1圧力付与部と、
前記第1方向に沿って並べられ且つ前記複数の第2個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成された、複数の第2圧力付与部と、
前記複数の第1圧力付与部を制御回路と電気的に接続する第1導電部と、
前記複数の第2圧力付与部を前記制御回路と電気的に接続する第2導電部と、を備え、
前記第1インク供給口は、前記複数の第1個別流路に対して前記第1方向の一方に位置し、且つ、前記第2インク供給口は、前記複数の第2個別流路に対して前記第1方向の他方に位置し、
前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置し且つ前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置している、又は、前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置し且つ前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置している、インクジェットヘッド。
【請求項2】
前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置し、
前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置している、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置し、
前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置している、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記複数の第1圧力付与部は、
複数の第1個別電極と、
複数の第1低電位電極と、
前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向において、前記複数の第1個別電極と前記複数の第1低電位電極との間に位置する複数の第1高電位電極と、を備え、
前記複数の第2圧力付与部は、
複数の第2個別電極と、
複数の第2低電位電極と、
前記第3方向において、前記複数の第2個別電極と前記複数の第2低電位電極との間に位置する複数の第2高電位電極と、を備え、
前記第1導電部は、前記複数の第1高電位電極と電気的に接続された第1高電位配線であり、
前記第2導電部は、前記複数の第2高電位電極と電気的に接続された第2高電位配線である、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記複数の第1圧力付与部は、複数の第1個別電極と、複数の第1定電位電極と、を備え、
前記複数の第2圧力付与部は、複数の第2個別電極と、複数の第2定電位電極と、を備え、
前記第1導電部は、前記複数の第1個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1個別配線であり、
前記第2導電部は、前記複数の第2個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第2個別配線である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記複数の第1圧力付与部は、複数の第1個別電極と、第1定電位電極と、を備え、
前記複数の第2圧力付与部は、複数の第2個別電極と、第2定電位電極と、を備え、
前記第1導電部は前記第1定電位電極であり、
前記第2導電部は前記第2定電位電極である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記第1方向に沿って並べられた複数の第3圧力付与部と、
前記第1方向に沿って並べられた複数の第4圧力付与部と、
前記複数の第3圧力付与部を前記制御回路と電気的に接続する第3導電部と、
前記複数の第4圧力付与部を前記制御回路と電気的に接続する第4導電部と、をさらに備え、
前記流路部材には、前記第1方向に沿って並べられた複数の第3個別流路と、前記第1方向に沿って並べられた複数の第4個別流路と、がさらに形成されており、
前記第2方向において、前記複数の第3個別流路及び前記複数の第4個別流路は、前記複数の第1個別流路と前記複数の第2個別流路との間に位置し、
前記複数の第3圧力付与部は、前記複数の第3個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成されており、
前記複数の第4圧力付与部は、前記複数の第4個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成されている、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記第3導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第3圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置し、且つ、前記第4導電部の前記制御回路に近い端部は、前記複数の第4圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置している、請求項7に記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記流路部材には、前記第1方向に沿って延在する第3共通流路と、それぞれが前記第3共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第3個別流路と、前記第1方向に沿って延在する第4共通流路と、それぞれが前記第4共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第4個別流路と、がさらに形成されており、
前記第2方向において、前記複数の第3個別流路及び前記複数の第4個別流路は、前記複数の第1個別流路と前記複数の第2個別流路との間に位置し、
前記第2方向において、前記第3共通流路及び前記第4共通流路は、前記第1共通流路と前記第2共通流路との間に位置している、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記第3共通流路は前記第1インク供給口と連通し、
前記第4共通流路は前記第2インク供給口と連通している、請求項9に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにインクを供給するよう構成されたインク供給ユニットと、を備え、
前記第1インク供給口及び前記第2インク供給口は、前記インク供給ユニットと連通している、インクジェットプリンタ。
【請求項12】
前記流路部材には、前記第1共通流路と連通する第1インク排出口と、前記第2共通流路と連通する第2インク排出口と、がさらに形成されており、
前記第1インク排出口及び前記第2インク排出口は、前記インク供給ユニットと連通しており、
前記第1インク排出口は、前記複数の第1個別流路に対して前記第1方向の前記他方に位置し、且つ、前記第2インク排出口は、前記複数の第2個別流路に対して前記第1方向の前記一方に位置している、請求項11に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流路ユニットと圧電アクチュエータとを備えるインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
流路ユニットには、第1ノズル列、第1マニホールド、第1インク供給口、第2ノズル列、第2マニホールド、及び第2インク供給口が形成されている。第1ノズル列及び第2ノズル列はそれぞれ、所定方向に沿って並べられた複数のノズルによって形成されている。第1マニホールドは所定方向に延び、第1ノズル列を形成する複数のノズルと連通している。第2マニホールドは所定方向に延び、第2ノズル列を形成する複数のノズルと連通している。第1インク供給口は、第1ノズル列に対して所定方向の一方側で第1マニホールドと連通している。第2インク供給口は、第2ノズル列に対して所定方向の一方側で第2マニホールドと連通している。
【0004】
圧電アクチュエータは、第1ノズル列を形成する複数のノズルにそれぞれ対応する複数の第1圧電素子と、第2ノズル列を形成する複数のノズルにそれぞれ対応する複数の第2圧電素子とを備える。複数の第1圧電素子は、所定方向に沿って並べられた複数の第1共通電極を備え、複数の第1共通電極は、所定方向に延びる第1連結部を介して制御基板と接続されている。複数の第2圧電素子は、所定方向に沿って並べられた複数の第2共通電極を備え、複数の第2共通電極は、所定方向に延びる第2連結部を介して制御基板と接続されている。そして、第1連結部の制御基板側の端部は、複数の第1圧電素子に対して所定方向の一方に位置し、第2連結部の制御基板側の端部は、複数の第2圧電素子に対して所定方向の他方に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成のインクジェットヘッドにおいて、第1インク供給口から第1マニホールドに流れ込んだインクは、第1マニホールド内を所定方向の一方から他方に流れる。また、第2インク供給口から第2マニホールドに流れ込んだインクも、第2マニホールド内を所定方向の一方から他方に流れる。このため、第1マニホールド内のインクに対する、複数の第1圧電素子で発生した熱の影響は、所定方向の他方に向かって大きくなる。つまり、複数の第1圧電素子で発生した熱の影響に着目した場合、第1マニホールド内のインクの温度は、所定方向の他方に向かって上昇する。同様に、第2マニホールド内のインクに対する、複数の第2圧電素子で発生した熱の影響も、所定方向の他方に向かって大きくなる。つまり、複数の第2圧電素子で発生した熱の影響に着目した場合、第2マニホールド内のインクの温度は、所定方向の他方に向かって上昇する。
【0007】
これに対し、複数の第1共通電極を制御基板と接続するための第1連結部では、制御基板側の端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなる。このため、第1連結部では、制御基板側の端部に近づくほど発熱量が大きくなる。ここで、第1連結部の制御基板側の端部は所定方向の一方に位置している。このため、第1連結部における発熱の影響に着目した場合、第1マニホールド内のインクの温度は、所定方向の一方に向かって上昇する。同様に、複数の第2共通電極を制御基板と接続するための第2連結部においても、制御基板側の端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなる。このため、第2連結部では、制御基板側の端部に近づくほど発熱量が大きくなる。ここで、第2連結部の制御基板側の端部は所定方向の他方に位置している。このため、第2連結部における発熱の影響に着目した場合、第2マニホールド内のインクの温度は、所定方向の他方に向かって上昇する。
【0008】
以上のことから、第1マニホールド内のインクの温度は、複数の第1圧電素子で発生した熱の影響及び第1連結部における発熱の影響により、所定方向において一定となりやすい。このため、第1マニホールド内のインクの粘度は所定方向において一定となりやすく、第1ノズル列を形成する複数のノズルから吐出されるインク滴の体積は一定となりやすい。これに対し、第2マニホールド内のインクの温度は、複数の第2圧電素子で発生した熱の影響及び第2連結部における発熱の影響により、所定方向の他方に向かって上昇する。このため、第2マニホールド内のインクの粘度は所定方向の他方に向かって低下してしまうことで、第2ノズル列を形成する複数のノズルから吐出されるインク滴の体積は、所定方向の他方に向かって大きくなる。この結果、上記構成のインクジェットヘッドによって印刷された画像では、濃度ムラが発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、圧電素子等の圧力付与部による発熱の影響と、圧力付与部に接続された導電部の発熱の影響とを緩和し、濃度ムラを抑制可能なインクジェットヘッド、及び、当該インクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に従えば、第1方向に沿って延在する第1共通流路と、前記第1共通流路と連通する第1インク供給口と、それぞれが前記第1共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第1個別流路と、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1共通流路と位置がずれており且つ前記第1方向に沿って延在する第2共通流路と、前記第2共通流路と連通する第2インク供給口と、それぞれが前記第2共通流路と接続され且つ前記第1方向に沿って並べられた複数の第2個別流路と、が形成された流路部材と、
前記第1方向に沿って並べられ且つ前記複数の第1個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成された、複数の第1圧力付与部と、
前記第1方向に沿って並べられ且つ前記複数の第2個別流路内のインクに圧力を付与するよう構成された、複数の第2圧力付与部と、
前記複数の第1圧力付与部を制御回路と電気的に接続する第1導電部と、
前記複数の第2圧力付与部を前記制御回路と電気的に接続する第2導電部と、を備え、
前記第1インク供給口は、前記複数の第1個別流路に対して前記第1方向の一方に位置し、且つ、前記第2インク供給口は、前記複数の第2個別流路に対して前記第1方向の他方に位置し、
前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置し且つ前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置している、又は、前記第1導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第1圧力付与部に対して前記第1方向の前記他方に位置し且つ前記第2導電部の前記制御回路に近い端部は前記複数の第2圧力付与部に対して前記第1方向の前記一方に位置している、インクジェットヘッドが提供される。
【0011】
本発明の第1の態様に従うインクジェットヘッドでは、第1インク供給口は、複数の第1個別流路に対して第1方向の一方に位置し、且つ、第2インク供給口は、複数の第2個別流路に対して第1方向の他方に位置している。このため、複数の第1圧力付与部の発熱の影響に着目した場合、第1共通流路内のインクの温度は、第1方向の他方に向かって高くなる。一方で、複数の第2圧力付与部の発熱の影響に着目した場合、第2共通流路内のインクの温度は、第1方向の一方に向かって高くなる。
【0012】
これに対し、第1導電部の制御回路に近い端部が第1方向の前記一方に位置し、且つ、第2導電部の制御回路に近い端部が第1方向の前記他方に位置する場合、第1共通流路内のインクの温度は第1導電部の発熱の影響により第1方向の前記一方に向かって高くなる。一方、第2共通流路内のインクの温度は第2導電部の発熱の影響により第1方向の前記他方に向かって高くなる。つまり、複数の第1圧力付与部の発熱と第1導電部の発熱の影響により、第1共通流路内のインクの温度は第1方向において一定となりやすい。同様に、複数の第2圧力付与部の発熱と第2導電部の発熱の影響により、第2共通流路内のインクの温度も第1方向において一定となりやすい。この結果、第1の態様に従うインクジェットヘッドによって印刷された画像において、濃度ムラを抑制できる。
【0013】
また、第1導電部の制御回路に近い端部が第1方向の前記他方に位置し、且つ、第2導電部の制御回路に近い端部が第1方向の前記一方に位置する場合、第1共通流路内のインクの温度は第1導電部の発熱の影響により第1方向の前記他方に向かって高くなる。一方、第2共通流路内のインクの温度は第2導電部の発熱の影響により第1方向の前記一方に向かって高くなる。つまり、複数の第1圧力付与部の発熱と第1導電部の発熱の影響により、第1共通流路内のインクの温度は第1方向の前記他方に向かって高くなる。これに対し、複数の第2圧力付与部の発熱と第2導電部の発熱の影響により、第2共通流路内のインクの温度は第1方向の前記一方に向かって高くなる。つまり、第1共通流路内のインクの第1方向における温度勾配と、第2共通流路内のインクの第1方向における温度勾配とが、逆となる。このため、複数の第1個別流路から吐出されるインク滴の体積は、第1方向の前記他方に向かって大きくなるのに対し、複数の第2個別流路から吐出されるインク滴の体積は、第1方向の前記一方に向かって大きくなる。そして、複数の第1個別流路と複数の第2個別流路とは、第2方向に並んでいる。この結果、第1の態様に従うインクジェットヘッドによって印刷された画像において、濃度ムラを抑制できる。
【0014】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様に従うインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドにインクを供給するよう構成されたインク供給ユニットと、を備え、
第1インク供給口及び第2インク供給口は、前記インク供給ユニットと連通している、インクジェットプリンタが提供される。
【0015】
本発明の第2の態様に従うインクジェットプリンタによれば、第1の態様に従うインクジェットヘッドと同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧力付与部による発熱の影響と、圧力付与部に接続された導電部の発熱の影響とを緩和し、濃度ムラを抑制可能なインクジェットヘッド、及び、当該インクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタの概略構成図である。
【
図2】
図2はインクジェットヘッドとインク供給ユニットとの接続関係を示す概略図である。
【
図3】
図3は第1実施形態に係るインクジェットヘッドの下面図である。
【
図4】
図4は第1実施形態に係るインクジェットヘッドの上面図である。
【
図6】
図6は第1実施形態に係るインクジェットヘッドの変形例を示す上面図である。
【
図7】
図7は第1実施形態に係るインクジェットヘッドの別の変形例を示す上面図である。
【
図8】
図8は第2実施形態に係るインクジェットヘッドの上面図である。
【
図12】
図12は第2実施形態に係るインクジェットヘッドの変形例の上面図である。
【
図13】
図13は第2実施形態に係るインクジェットヘッドの別の変形例の上面図である。
【
図14】
図14はインクジェットヘッドにおける個別電極の変形例を示す上面図である。
【
図15】
図15は圧力付与部としてヒータを用いたインクジェットヘッドの別の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェットヘッド11を備えるプリンタ1について説明する。
図1において、媒体M(記録媒体)の搬送方向はプリンタ1の前後方向に対応する。また媒体Mの幅方向はプリンタ1の左右方向に対応する。また前後方向及び左右方向と直交する方向、即ち
図1における紙面に垂直な方向はプリンタ1の上下方向に対応する。なお、幅方向及び左右方向は本発明の第1方向の一例であり、搬送方向及び前後方向は本発明の第2方向の一例であり、上下方向は第3方向の一例である。
【0019】
(プリンタ1)
図1に示すように、プリンタ1は、筐体2内に収容されたプラテン3、4つのラインヘッド10、二つの搬送ローラ5A、5B、コントローラ7等を備える。プラテン3の上面には、媒体Mが載置される。4つのラインヘッド10は、プラテン3の上方において、プラテン3に対向するように位置している。4つのラインヘッド10は、前後方向に並べられている。各ラインヘッド10は、複数のインクジェットヘッド11(本実施形態では10個のインクジェットヘッド11)と、複数のインクジェットヘッド11を保持するホルダ12とを備えている。ホルダ12は、左右方向に長い矩形の板状の部材である。複数のインクジェットヘッド11は前後方向に並んだ2つのヘッド列を構成している。各ヘッド列には、それぞれ、左右方向に並ぶ5つのインクジェットヘッド11が含まれている。なお、2つのヘッド列に含まれるインクジェットヘッド11の位置は、左右方向にずれている。つまり、10個のインクジェットヘッド11は千鳥状に位置している。そして、各ラインヘッド10には、インクタンク13(
図2参照)からインクが供給される。
【0020】
二つの搬送ローラ5A、5Bは、プラテン3の前方及び後方にそれぞれ位置している。二つの搬送ローラ5A、5Bは、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上の媒体Mを搬送方向の下流(後方)へ搬送する。本実施形態において、媒体Mは、ロール状に巻かれた長尺な媒体である。ロール状に巻かれた媒体Mは搬送方向上流の搬送ローラ5Aに取り付けられる。なお、媒体Mは、これに限られず、複数枚の媒体の端部どうしがテープ等でつなぎ合わされることにより構成された長尺な媒体であってもよい。
【0021】
コントローラ7は、パーソナルコンピュータ等の外部装置9と相互にデータ通信可能に接続されている。コントローラ7は、外部装置9又は図示しない操作部からの指示に基づいて、プリンタ1の各部の動作を制御する。例えば、コントローラ7は、外部装置9からの印刷指示を受信すると、搬送ローラ5A、5Bを制御して媒体Mを搬送方向に搬送させる。また、これとともに、コントローラ7は、四つのラインヘッド10を制御して、インクジェットヘッド11から媒体Mに向けてインク滴を吐出させる。これにより、媒体Mに画像が印刷される。なお、操作部は、ユーザがプリンタ1に対して指示を入力するためのインターフェースであり、例えば、ボタンやタッチパネル等が含まれる。
【0022】
図2に示すように、各ラインヘッド10において、複数のインクジェットヘッド11の上方にはリザーバ14が位置している。リザーバ14は、インクタンク13にチューブ16を介して接続されている。チューブ16には加圧ポンプ15が位置している。リザーバ14には、インクタンク13から供給されたインクが一時的に貯留される。リザーバ14の下部は複数のインクジェットヘッド11に接続されている。複数のインクジェットヘッド11には、リザーバ14からインクが供給される。インクタンク13、リザーバ14、加圧ポンプ15、及びチューブ16は、本発明のインク供給ユニットの一例である。
【0023】
(インクジェットヘッド11)
次に、インクジェットヘッド11の構造について、
図3~5を参照しつつ説明する。
【0024】
図3に示すように、インクジェットヘッド11の下面11aには、複数のノズル27(本実施形態では12個)が開口している。12個のノズル27は、前後方向に並んだ2つのノズル列27A、27Bを形成している。2つのノズル列27A、27Bの各々は、左右方向に等間隔に並ぶ6個のノズル27によって形成されている。なお、2つのノズル列27A、27Bに含まれるノズル27の位置は、左右方向にずれている。つまり、12個のノズル27は千鳥状に形成されている。
【0025】
図4及び
図5に示すように、インクジェットヘッド11は、流路部材20とアクチュエータ部材30とを備える。
図4に示すように、流路部材20及びアクチュエータ部材30はいずれも、左右方向の長さが前後方向の長さよりも長い、矩形状である。流路部材20は、アクチュエータ部材30よりも左右方向及び前後方向のサイズが大きい。
【0026】
(流路部材20)
図4に示すように、流路部材20の上面には、2つのインク供給口41A、41Bが形成されている。2つのインク供給口41A、41Bはそれぞれ、リザーバ14と連通している。また、流路部材20には、2つのマニホールド42A、42Bと、複数の個別流路43が形成されている。なお、本実施形態の流路部材20には、12個のノズル27にそれぞれ対応する12個の個別流路43が形成されている。
【0027】
2つのマニホールド42A、42Bは前後方向に並んでおり、それぞれ、左右方向に延在している。マニホールド42Aはインク供給口41Aと連通しており、マニホールド42Bはインク供給口41Bと連通している。12個の個別流路43は、左右方向に並ぶ6個の個別流路43Aと、左右方向に並ぶ6個の個別流路43Bとを含む。6個の個別流路43Aはそれぞれマニホールド42Aに接続されており、6個の個別流路43Bはそれぞれマニホールド42Bに接続されている。6個の個別流路43Aと6個の個別流路43Bとは、左右方向にずれている。インク供給口41Aは6個の個別流路43Aに対して右方に位置する。これに対し、インク供給口41Bは6個の個別流路43Bに対して左方に位置する。
【0028】
図5に示すように、流路部材20は、上下方向に積層されたインク封止膜21、及び金属製のプレート22~26で構成されている。
【0029】
プレート22には、複数の圧力室45を画定する貫通孔が形成されている。プレート23には、圧力室45毎に設けられた連通路44、46を画定する貫通孔が形成されている。連通路44、46は、それぞれ、対応する圧力室45の前後方向の一端及び他端と上下方向に重なっている。プレート24には、連通路46毎に設けられた連通路47を画定する貫通孔が形成されている。プレート25には、連通路47毎に設けられた連通路48を画定する貫通孔が形成されている。連通路47、48は、対応する連通路46と上下方向に重なっている。ノズルプレート26には、複数のノズル27を画定する貫通孔が形成されている。各ノズル27は、連通路48と上下方向に重なっている。そして、各個別流路43は、連通路44、圧力室45、連通路46~48、及びノズル27により構成されている。
【0030】
また、プレート24には、マニホールド42A、42Bを画定する貫通孔が形成されている。6個の個別流路43Aの各々の連通路44は、マニホールド42Aと上下方向に重なっており、6個の個別流路43Bの各々の連通路44は、マニホールド42Bと上下方向に重なっている。これにより、6個の個別流路43Aはマニホールド42Aと連通し、6個の個別流路43Bはマニホールド42Bと連通している。
【0031】
なお、2つのインク供給口41A、41Bはそれぞれ、プレート22の上面の、インク封止膜21及びアクチュエータ部材30が形成されていない領域に形成されている。インク供給口41Aは、プレート22、23を貫通する貫通孔を介して、マニホールド42Aと連通している。インク供給口41Bは、プレート22、23を貫通する貫通孔を介して、マニホールド42Bと連通している。
【0032】
インク封止膜21は、例えばステンレス鋼等のインク透過性の低い材料からなり、アクチュエータ部材30と左右方向及び前後方向のサイズが略同じである。インク封止膜21はプレート22の上面に接着され、プレート22に形成された全ての圧力室45を封止する。
【0033】
以上のような構成を有する流路部材20において、リザーバ14内のインクは、インク供給口41A、41Bを介してマニホールド42A、42Bに供給される。マニホールド42Aに供給されたインクは、6個の個別流路43Aに供給され、マニホールド42Bに供給されたインクは、6個の個別流路43Bに供給される。そして後述のようにアクチュエータ部材30が駆動することにより、6個の個別流路43A内のインク及び6個の個別流路43B内のインクに圧力が付与され、12個のノズル27からインク滴が吐出される。
【0034】
(アクチュエータ部材30)
図4及び
図5に示すように、アクチュエータ部材30は、2つの圧電層31、32と、複数の個別電極34と、2つの共通電極33A、33Bとを有する。
【0035】
2つの圧電層31、32はそれぞれ、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなる。
【0036】
圧電層31は、流路部材20に形成された全ての個別流路43を覆うように、インク封止膜21の上面に形成されている。圧電層31の上面には、前後方向に並ぶ2つの共通電極33A、33Bが形成されている。2つの共通電極33A、33Bはそれぞれ、左右方向に長い矩形状である。共通電極33Aは、マニホールド42Aと連通する6個の圧力室45と上下方向に重なるように位置している。共通電極33Bは、マニホールド42Bと連通する6個の圧力室45と上下方向に重なるように位置している。2つの共通電極33A、33Bの上面、及び圧電層31の上面の、2つの共通電極33A、33Bが形成されていない領域には、圧電層32が形成されている。そして、圧電層32の上面には、複数の個別電極34が形成されている。
【0037】
図4に示すように、複数の個別電極34はそれぞれ、複数の圧力室45と上下方向に重なるように位置している。つまり、本実施形態において、アクチュエータ部材30は、12個の圧力室45にそれぞれ対応する12個の個別電極34を有する。12個の個別電極34は、前後方向に並ぶ2列の個別電極列を形成している。前方の個別電極列は左右方向に並ぶ6個の個別電極34によって形成されており、後方の個別電極列も左右方向に並ぶ6個の個別電極34によって形成されている。前方の6個の個別電極34と、後方の6個の個別電極34とは、左右方向にずれている。
【0038】
図4に示すように、各個別電極34は、主部34aと突出部34bとを有する。主部34aは、対応する圧力室45の左右方向の中央部と上下方向に重なっている。前方の各個別電極34において、突出部34bは主部34aの前端から前方に突出している。一方、後方の各個別電極34において、突出部34bは主部34aの後端から後方に突出している。各突出部34bは、対応する圧力室45とは上下方向に重なっていない。突出部34bには、FPC(Flexible Printed Circuit)(図示略)と電気的に接続される接点が位置している。FPCに実装されたドライバIC50は、コントローラ7の制御に基づき、FPCの配線を介して各個別電極34に対して、駆動電位及びグランド電位のいずれかを選択的に付与する。
【0039】
図4に示すように、共通電極33Aの左端部は、圧電層32を上下方向に貫通する貫通電極36Aを介して、FPCと電気的に接続されている。FPCに実装されたドライバIC50は、FPCの配線及び貫通電極36Aを介して共通電極33Aをグランド電位に維持する。一方、共通電極33Bの右端部は、圧電層32を上下方向に貫通する貫通電極36Bを介して、FPCと電気的に接続されている。FPCに実装されたドライバIC50は、FPCの配線及び貫通電極36Bを介して共通電極33Bをグランド電位に維持する。
【0040】
共通電極33Aと、前方の6個の個別電極34と、共通電極33A及び前方の6個の個別電極34で挟まれた6個の活性部32aとは、左右方向に並ぶ6個の圧電素子37Aを形成する。同様に、共通電極33Bと、後方の6個の個別電極34と、共通電極33B及び後方の6個の個別電極34で挟まれた6個の活性部32aとは、左右方向に並ぶ6個の圧電素子37Bを形成する。そして、共通電極33Aの左端部は6個の圧電素子37Aに対して左方に位置し、共通電極33Bの右端部は6個の圧電素子37Bに対して右方に位置する。
【0041】
ここで、前方の一つのノズル27からインク滴を吐出させる場合を例にとり、当該ノズル27に対応する圧電素子37Aの動作について説明する。
【0042】
プリンタ1が記録動作を開始する前は、個別電極34に駆動電位が付与されている。このとき、個別電極34と共通電極33Aとの電位差によって、圧電層32の個別電極34と共通電極33Aとに挟まれた活性部32aに、上下方向下向きの電界が作用する。このとき、活性部32aの分極方向(上下方向下向き)と電界の方向が一致し、活性部32aは、圧電層32の厚み方向(上下方向)に伸び、圧電層32の面方向に収縮する。活性部32aの収縮変形に伴い、圧電層31及びインク封止膜21の圧力室45と上下方向に重なる部分が、圧力室45に向かって(下向きに)凸となるように変形する。このとき圧力室45は、圧電層31及びインク封止膜21がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0043】
プリンタ1が記録動作を開始し、当該ノズル27からインクを吐出させる際には、先ず、当該ノズル27に対応する個別電極34の電位が駆動電位からグランド電位に切り替えられる。このとき、個別電極34と共通電極33Aとの電位差が小さくなることで、活性部32aの収縮が解消する。これにより、圧電層31及びインク封止膜21における圧力室45と上下方向に重なる部分がフラットな状態となる。これにより、圧力室45の容積が大きくなり、マニホールド42Aから圧力室45内にインクが引き込まれる。
【0044】
その後、当該ノズル27に対応する個別電極34の電位がグランド電位から駆動電位に切り替えられる。このとき、個別電極34と共通電極33Aとの電位差によって、活性部32aにその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、活性部32aが圧電層32の面方向に収縮する。これにより、圧電層31及びインク封止膜21における圧力室45と上下方向に重なる部分が、圧力室45に向かって(下向きに)凸となるように変形する。このとき、圧力室45の容積が大きく減少することにより、圧力室45内のインクに大きな圧力が付与され、圧力室45に引き込まれたインクが当該ノズル27からインク滴として吐出される。
【0045】
本実施形態において、ドライバIC50は制御回路の一例であり、共通電極33Aは第1導電部の一例であり、共通電極33Bは第2導電部の一例である。また、共通電極33Aの左端部は第1導電部の制御回路に近い端部の一例であり、共通電極33Bの右端部は第2導電部の制御回路に近い端部の一例である。圧電素子37Aは第1圧力付与部の一例であり、圧電素子37Bは第2圧力付与部の一例である。
【0046】
なお、本実施形態において、インクジェットヘッド11は個別流路43及び圧電素子を12個ずつ有していたが、個別流路43及び圧電素子の個数は12個より少なくてもよく、多くてもよい。また、例えば、インクジェットヘッド11が、インクの吐出に寄与しないダミー流路と、ダミー流路に対応する圧電素子とを有しているような場合、個別流路43の個数と圧電素子の個数とは同じでなくてもよい。
【0047】
本実施形態のインクジェットヘッド11において、インク供給口41Aは6個の個別流路43Aに対して右方に位置しており、インク供給口41Aからマニホールド42Aに流れ込んだインクは、マニホールド42A内を右から左に向かって流れる。ここで、各圧電素子に通電する際、当該圧電素子に与えられる電気エネルギーの全てが物理変形に使われるわけではない。つまり、エネルギーの損失が生じており、当該エネルギーの損失分が当該圧電素子からの発熱となる。そして、マニホールド42A内のインクが進む方向には、6個の圧電素子が並んでいる。このため、マニホールド42A内のインクは、左に進むにつれて圧電素子から貰う熱が増加し、温度が高くなる。また、共通電極33Aは、左端部においてドライバIC50と接続されている。ここで、共通電極33Aにおいては、左に進むにつれて、共通電極33Aと対向する個別電極34の数が増える。このため、共通電極33Aでは、左端部に近づくほど個別電極34の増加分だけ電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。この結果、マニホールド42A内のインクは、共通電極33Aの発熱の影響により、左に進むにつれて一層温度が高くなる。
【0048】
一方、インク供給口41Bは6個の個別流路43Bに対して左方に位置しており、インク供給口41Bからマニホールド42Bに流れ込んだインクは、マニホールド42B内を左から右に向かって流れる。ここで、各圧電素子に通電する際、当該圧電素子に与えられる電気エネルギーの全てが物理変形に使われるわけではない。つまり、エネルギーの損失が生じており、当該エネルギーの損失分が当該圧電素子からの発熱となる。そして、マニホールド42B内のインクが進む方向には、6個の圧電素子が並んでいる。このため、マニホールド42B内のインクは、右に進むにつれて圧電素子から貰う熱が増加し、温度が高くなる。また、共通電極33Bは、右端部においてドライバIC50と接続されている。ここで、共通電極33Bにおいては、右に進むにつれて、共通電極33Bと対向する個別電極34の数が増える。このため、共通電極33Bでは、右端部に近づくほど個別電極34の増加分だけ電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。この結果、マニホールド42B内のインクは、共通電極33Bの発熱の影響により、右に進むにつれて一層温度が高くなる。
【0049】
つまり、マニホールド42A内のインクの温度勾配は右から左に向かって高くなるのに対し、マニホールド42B内のインクの温度勾配は左から右に向かって高くなっており、温度勾配が逆となっている。このため、インクジェットヘッド11全体で見た場合、温度勾配が相殺される。つまり、インクジェットヘッド11全体における温度勾配が発生しづらくなり、インクジェットヘッド11内のノズル27から吐出されるインク滴の大きさの差が小さくなる。この結果、本実施形態のインクジェットヘッド11によって印刷された画像において、濃度ムラを抑制できる。
【0050】
(変形例1)
第1実施形態のインクジェットヘッド11では、共通電極33Aの左端部が貫通電極36Aを介してドライバIC50と接続されており、共通電極33Bの右端部が貫通電極36Bを介してドライバIC50と接続されていたが、これには限られない。例えば、
図6に示されるように、共通電極33Aの右端部が貫通電極36Aを介してドライバIC50と接続されてもよく、共通電極33Bの左端部が貫通電極36Bを介してドライバIC50と接続されてもよい。
【0051】
この場合、共通電極33Aでは、第1実施形態において既に説明したように、右端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、共通電極33Aの発熱の影響に着目した場合、マニホールド42A内のインクは右に向かって温度が高くなる。これに対し、圧電素子の発熱の影響に着目すると、第1実施形態において既に説明したように、マニホールド42A内のインクは左に向かって温度が高くなる。つまり、共通電極33Aの発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなるのに対し、圧電素子の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド42A内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0052】
一方、共通電極33Bでは、第1実施形態において既に説明したように、左端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、共通電極33Bの発熱の影響に着目した場合、マニホールド42B内のインクは左に向かって温度が高くなる。これに対し、圧電素子の発熱の影響に着目すると、第1実施形態において既に説明したように、マニホールド42B内のインクは右に向かって温度が高くなる。つまり、共通電極33Bの発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなるのに対し、圧電素子の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド42B内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0053】
つまり、変形例1の構成によれば、マニホールド42A内のインクと、マニホールド42B内のインクとは、左右方向において温度が一定となりやすい。このため、インクジェットヘッド11全体における温度勾配も発生しづらくなり、インクジェットヘッド11内のノズル27から吐出されるインク滴の大きさの差が小さくなる。この結果、印刷された画像において濃度ムラを抑制できる。
【0054】
(変形例2)
また、
図7に示されるように、変形例1の構成において、流路部材20の上面には、2つのインク排出口41C、41Dが形成されてもよい。インク排出口41Cは、マニホールド42Aの左端部と上下方向に重なる位置に形成されてもよく、インク排出口41Dは、マニホールド42Bの右端部と上下方向に重なる位置に形成されてもよい。そして、インク排出口41C、41Dから排出されたインクは、回収用タンク(図示略)に回収された後、ポンプ(図示略)によってインクタンク13に回収されてもよい。
【0055】
変形例2の構成によれば、インク排出口41C、41Dからマニホールド42A、42B内のインクを回収することにより、マニホールド42A、42B内のインクの流速を高めることができる。このため、マニホールド42A、42B内のインクは圧電素子の発熱の影響を受けにくく、左右方向において温度がより一定となりやすい。また、仮にノズル27からの単位時間あたりの吐出量が多くなり、マニホールド42A、42B内のインクの流速が低下したとしても、変形例1と同様のメカニズムにより、印刷された画像の濃度ムラを抑制できる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、
図8~
図11を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のインクジェットヘッド111は、上述した変形例2のインクジェットヘッド11におけるアクチュエータ部材30の構造が異なる。このため、以下では変形例2と相違する構造について説明し、共通する構造についての説明は省略する。
【0057】
(アクチュエータ部材130)
図8及び
図9に示すように、アクチュエータ部材130は、3つの圧電層131~133と、複数(本実施形態では12個)の個別電極134と、高電位電極部135A、135Bと、低電位電極部136とを有する。
【0058】
3つの圧電層131~133はそれぞれ、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなり、上下方向に積層されている。圧電層131は、インク封止膜21の上面に接着剤で接着されている。
【0059】
複数の個別電極134、高電位電極部135A、135B及び低電位電極部136は、圧電層131に対してインク封止膜21と反対側に位置している。
【0060】
各個別電極134は、
図9に示すように、圧電層133の上面に、圧力室45に対応して形成されている。個別電極134は、主部134aと、突出部134bとを有する。主部134aは、対応する圧力室45の略全域と上下方向に重なっている。突出部134bは、主部134aから前方又は後方に突出し、対応する圧力室45と上下方向に重なっていない。突出部134bには、FPCと電気的に接続される接点が位置している。FPCに実装されたドライバIC50は、コントローラ7の制御により、FPCの配線を介して各個別電極134に対して、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)のいずれかを選択的に付与する。
【0061】
高電位電極部135A、135Bは、圧電層132の上面に形成され、前後方向に並んでいる。
図8に示すように、高電位電極部135Aは、高電位配線135A1と、6個の高電位電極135A2とからなる。高電位配線135A1はアクチュエータ部材130の前端部において左右方向に延びており、6個の高電位電極135A2はそれぞれ高電位配線135A1から後方に延びている。6個の高電位電極135A2はそれぞれ、前方の6個の圧力室45及び前方の6個の個別電極134に対応している。各高電位電極135A2は、対応する圧力室45の左右方向の中央部分及び対応する個別電極134と、上下方向に重なる。高電位電極部135Bは、高電位配線135B1と、6個の高電位電極135B2とからなる。高電位配線135B1はアクチュエータ部材130の後端部において左右方向に延びており、6個の高電位電極135B2はそれぞれ高電位配線135B1から前方に延びている。6個の高電位電極135B2はそれぞれ、後方の6個の圧力室45及び後方の6個の個別電極134に対応している。各高電位電極135B2は、対応する圧力室45の左右方向の中央部分及び対応する個別電極134と、上下方向に重なる。
【0062】
そして、高電位配線135A1の右端部は、圧電層133を上下方向に貫通する貫通電極137Aを介して、FPCと電気的に接続されている。FPCに実装されたドライバIC50は、FPCの配線、貫通電極137A、及び高電位配線135A1を介して高電位電極135A2に、VDD電位よりもやや高い定電位(VCOM電位)を付与する。一方、高電位配線135B1の左端部は、圧電層133を上下方向に貫通する貫通電極137Bを介して、FPCと電気的に接続されている。FPCに実装されたドライバIC50は、FPCの配線、貫通電極137B、及び高電位配線135B1を介して高電位電極135B2に、VDD電位よりもやや高い定電位(VCOM電位)を付与する。
【0063】
低電位電極部136は、圧電層131の上面に形成されている。低電位電極部136は、低電位配線136Aと、14個の低電位電極136Bとからなる。低電位配線136Aは、アクチュエータ部材130の前後方向の中央部において前後方向に延びている。14個の低電位電極136Bのうち、7個の低電位電極136Bは低電位配線136Aから前方に延びており、別の7個の低電位電極136Bは低電位配線136Aから後方に延びている。前方の各低電位電極136Bは、左右両端に位置する低電位電極136Bを除き、左右に隣接する2つの圧力室45に跨り、当該2つの圧力室45と上下方向に重なる部分を有する。そして、左端に位置する低電位電極136Bは、左端に位置する圧力室45の左端部と上下方向に重なる部分を有し、右端に位置する低電位電極136Bは、右端に位置する圧力室45の右端部と上下方向に重なる部分を有する。同様に、後方の各低電位電極136Bも、左右両端に位置する低電位電極136Bを除き、左右に隣接する2つの圧力室45に跨り、当該2つの圧力室45と上下方向に重なる部分を有する。そして、左端に位置する低電位電極136Bは、左端に位置する圧力室45の左端部と上下方向に重なる部分を有し、右端に位置する低電位電極136Bは、右端に位置する圧力室45の右端部と上下方向に重なる部分を有する。
【0064】
そして、低電位配線136Aの左端部は、圧電層132、133を上下方向に貫通する貫通電極137Cを介して、FPCと電気的に接続されている。FPCに実装されたドライバIC50は、FPCの配線、貫通電極137C、及び低電位配線136Aを介して低電位電極136Bに低電位(GND電位)を付与する。
【0065】
図9に示すように、圧電層133のうち、上下方向において個別電極134と高電位電極135A2とに挟まれた部分を、第1活性部138という。同様に、圧電層133のうち、上下方向において個別電極134と高電位電極135B2とに挟まれた部分も、第1活性部138という。圧電層132、133のうち、上下方向において個別電極134と低電位電極136Bとに挟まれた部分を、第2活性部139という。第1活性部138は主に上向きに分極され、第2活性部139は主に下向きに分極されている。アクチュエータ部材130は、圧力室45毎に、圧力付与部140を有する。各圧力付与部140は、1つの第1活性部138と、左右方向に第1活性部138を挟む2つの第2活性部139とを含む。
【0066】
ここで、
図10及び
図11を参照し、前方の1つのノズル27からインク滴を吐出させる場合を例にとり、当該ノズル27に対応する圧力付与部140の動作について説明する。
【0067】
プリンタ1が記録動作を開始する前は、
図10に示すように、各個別電極134に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、個別電極134と高電位電極135A2との電位差によって、第1活性部138にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部138が面方向(左右方向及び前後方向に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電層131~133からなる積層体における圧力室45と上下方向に重なる部分が、圧力室45に向かって(下向きに)凸となるように撓んでいる。このとき圧力室45は、上記積層体がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0068】
プリンタ1が記録動作を開始し、当該ノズル27からインクを吐出させる際には、先ず、
図11に示すように、当該ノズル27に対応する個別電極134の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、個別電極134と高電位電極135A2との電位差が小さくなることで、第1活性部138の収縮が小さくなる。一方、個別電極134と低電位電極136Bとの電位差によって、2つの第2活性部139にその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、2つの第2活性部139が面方向に収縮する。これにより、圧電層131~133からなる積層体における圧力室45と上下方向に重なる部分が、圧力室45から離れる方向に(上向きに)凸となるように撓む。これにより、圧力室45の容積は、
図10に比べて大きくなり、圧力室45にマニホールド42Aからインクが引き込まれる。
【0069】
その後、
図10に示すように、当該ノズル27に対応する個別電極134の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、個別電極134と低電位電極136Bとの電位差がなくなることで、第2活性部139の収縮が解消される。一方、個別電極134と高電位電極135A2との電位差によって、第1活性部138にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部138が面方向に収縮する。これにより、圧電層131~133からなる積層体における圧力室45と上下方向に重なる部分が、圧力室45に向かって(下向きに)凸となるように撓む。このとき、圧力室45の容積が大きく減少することにより、圧力室45内のインクに大きな圧力が付与され、圧力室45に引き込まれたインクが当該ノズル27からインク滴として吐出される。
【0070】
本実施形態において、ドライバIC50は制御回路の一例であり、高電位配線135A1は第1導電部の一例であり、高電位配線135B1は第2導電部の一例である。また、高電位配線135A1の右端部は第1導電部の制御回路に近い端部の一例であり、高電位配線135B1の左端部は第2導電部の制御回路に近い端部の一例である。前方の6個の圧力付与部140は第1圧力付与部の一例であり、後方の6個の圧力付与部140は第2圧力付与部の一例である。
【0071】
本実施形態において、インクジェットヘッド111は個別流路43及び圧電素子を12個ずつ有していたが、個別流路43及び圧電素子の個数は12個より少なくてもよく、多くてもよい。また、例えば、インクジェットヘッド111が、インクの吐出に寄与しないダミー流路と、ダミー流路に対応する圧電素子とを有しているような場合、個別流路43の個数と圧電素子の個数とは同じでなくてもよい。
【0072】
本実施形態の構成によれば、高電位配線135A1では、右に進むにつれて接続されている第1活性部138の数が増える。このため、高電位配線135A1では、右端部に近づくほど第1活性部138の増加分だけ電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、高電位配線135A1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド42A内のインクは右に向かって温度が高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第1実施形態において既に説明したように、マニホールド42A内のインクは左に向かって温度が高くなる。つまり、高電位配線135A1の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなるのに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド42A内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0073】
一方、高電位配線135B1では、左に進むにつれて接続されている第1活性部138の数が増える。このため、高電位配線135B1では、左端部に近づくほど第1活性部138の増加分だけ電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、高電位配線135B1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド42B内のインクは左に向かって温度が高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第1実施形態において既に説明したように、マニホールド42B内のインクは右に向かって温度が高くなる。つまり、高電位配線135B1の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなるのに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド42B内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0074】
つまり、本実施形態の構成によれば、マニホールド42A内のインクと、マニホールド42B内のインクとは、左右方向において温度が一定となりやすいため、印刷された画像において濃度ムラを抑制できる。また、インク排出口41C、41Dからマニホールド42A、42B内のインクを回収することにより、マニホールド42A、42B内のインクの流速を高めることができる。このため、マニホールド42A、42B内のインクは圧力付与部の発熱の影響を受けにくく、左右方向において温度がより一定となりやすい。また、仮にノズル27からの単位時間あたりの吐出量が多くなり、マニホールド42A、42B内のインクの流速が低下したとしても、インクジェットヘッド111全体における温度勾配が発生しづらくなっているため、インクジェットヘッド111内のノズル27から吐出されるインク滴の大きさの差が小さくなる。この結果、印刷された画像の濃度ムラをより抑制できる。
【0075】
(変形例3)
次に、第2実施形態の変形例(変形例3)について、
図12を参照しつつ説明する。変形例3のインクジェットヘッド211と、上述した第2実施形態のインクジェットヘッド111とは、流路部材及びアクチュエータ部材の構造が異なる。具体的には、流路部材におけるマニホールドの構造、並びにアクチュエータ部材における高電位電極部及び低電位電極部の構造が異なる。一方、変形例3のインクジェットヘッド211における各個別流路の構造及び各圧力付与部の構造は、第2実施形態と共通する。このため、以下では第2実施形態と相違する構造について説明し、共通する構造についての説明は省略する。
【0076】
図12に示すように、変形例3のインクジェットヘッド211の流路部材220は、それぞれが左右方向に延びる4本のマニホールド242A1、242A2、242B1、242B2と、それぞれが前後方向に延びる4本の連結流路242A3、242A4、242B3、242B4とを有する。マニホールド242A1の右端及びマニホールド242A2の右端はそれぞれ、連結流路242A3の前端及び後端に接続されている。マニホールド242A1の左端及びマニホールド242A2の左端はそれぞれ、連結流路242A4の前端及び後端に接続されている。マニホールド242B1の右端及びマニホールド242B2の右端はそれぞれ、連結流路242B4の前端及び後端に接続されている。マニホールド242B1の左端及びマニホールド242B2の左端はそれぞれ、連結流路242B3の前端及び後端に接続されている。そして、インク供給口241Aは連結流路242A3と連通しており、インク排出口241Cは連結流路242A4と連通している。また、インク供給口241Bは連結流路242B3と連通しており、インク排出口241Dは連結流路242B4と連通している。
【0077】
インクタンク13からインク供給口241Aを介して連結流路242A3に流れ込んだインクは前後方向に進み、マニホールド242A1及びマニホールド242A2内を、左向きに流れる。そして、マニホールド242A1及びマニホールド242A2を流れるインクは、マニホールド242A1及びマニホールド242A2とそれぞれ連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド242A1及びマニホールド242A2の左端において連結流路242A4に流入し、インク排出口241Cを介してインクタンクに13に回収される。
【0078】
一方、インクタンク13からインク供給口241Bを介して連結流路242B3に流れ込んだインクは前後方向に進み、マニホールド242B1及びマニホールド242B2内を、右向きに流れる。そして、マニホールド242B1及びマニホールド242B2を流れるインクは、マニホールド242B1及びマニホールド242B2とそれぞれ連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド242B1及びマニホールド242B2の右端において連結流路242B4に流入し、インク排出口241Dを介してインクタンクに13に回収される。
【0079】
また、アクチュエータ部材230は、2つの高電位電極部235A、235Bを有する。2つの高電位電極部235A、235Bは、前後方向に並んでいる。
【0080】
高電位電極部235Aは、2本の高電位配線235A1と、複数の高電位電極235A2と、連結部235A3とからなる。2本の高電位配線235A1は前後方向に並んでおり、それぞれ左右方向に延びている。複数の高電位電極235A2は、各高電位配線235A1から前方又は後方に延びている。連結部235A3は、各高電位配線235A1の右端部に接続されている。連結部235A3は前後方向に延びており、連結部235A3の前端は左方に突出している。そして、連結部235A3の左方に突出した先端部は、圧電層133を貫通する貫通電極237Aを介してFPCと電気的に接続されている。
【0081】
高電位電極部235Bは、2本の高電位配線235B1と、複数の高電位電極235B2と、連結部235B3とからなる。2本の高電位配線235B1は前後方向に並んでおり、それぞれ左右方向に延びている。複数の高電位電極235B2は、各高電位配線235B1から前方又は後方に延びている。連結部235B3は、各高電位配線235B1の左端部に接続されている。連結部235B3は前後方向に延びており、連結部235B3の後端は右方に突出している。そして、連結部235B3の右方に突出した先端部は、圧電層133を貫通する貫通電極237Bを介してFPCと電気的に接続されている。
【0082】
さらに、アクチュエータ部材230は、2つの低電位電極部236A、236Bを有する。2つの低電位電極部236A、236Bは、前後方向に並んでいる。
【0083】
低電位電極部236Aは、2本の低電位配線236A1と、複数の低電位電極236A2と、連結部236A3とからなる。2本の低電位配線236A1は前後方向に並んでおり、それぞれ左右方向に延びている。複数の低電位電極236A2は、各低電位配線236A1から前方又は後方に延びている。連結部236A3は、各低電位配線236A1の左端部に接続されている。前方の低電位配線236A1の前端部は、圧電層132、133を貫通する貫通電極237Cを介してFPCと電気的に接続されている。
【0084】
低電位電極部236Bは、3本の低電位配線236B1と、複数の低電位電極236B2と、連結部236B3とからなる。3本の低電位配線236B1は前後方向に並んでおり、それぞれ左右方向に延びている。複数の低電位電極236B2は、各低電位配線236B1から前方又は後方に延びている。連結部236B3は、各低電位配線236B1の右端部に接続されている。最も後方の低電位配線236B1の後端部は、圧電層132、133を貫通する貫通電極237Dを介してFPCと電気的に接続されている。
【0085】
変形例3において、前方の高電位配線235A1は第1導電部の一例であり、後方の高電位配線235A1は第3導電部の一例であり、前方の高電位配線235B1は第4導電部の一例であり、後方の高電位配線235B1は第2導電部の一例である。前方の高電位配線235A1の右端部は第1導電部の制御回路に近い端部の一例であり、後方の高電位配線235A1の右端部は第3導電部の制御回路に近い端部一例である。前方の高電位配線235B1の左端部は第4導電部の制御回路に近い端部の一例であり、後方の高電位配線235B1の左端部は第2導電部の制御回路に近い端部の一例である。また、マニホールド242A1は第1共通流路の一例であり、マニホールド242A2は第3共通流路の一例であり、マニホールド242B1は第4共通流路の一例であり、マニホールド242B2は第2共通流路の一例である。インク供給口241Aは第1インク供給口の一例であり、インク供給口241Bは第2インク供給口の一例であり、インク排出口241Cは第1インク排出口の一例であり、インク排出口241Dは第2インク排出口の一例である。
【0086】
変形例3において、各高電位配線235A1では、第2実施形態において既に説明したように、右端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、各高電位配線235A1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド242A1、242A2内のインクは右に向かって温度が高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第2実施形態において既に説明したように、マニホールド242A1、242A2内のインクは左に向かって温度が高くなる。つまり、各高電位配線235A1の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなるのに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド242A1、242A2内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0087】
一方、各高電位配線235B1では、第2実施形態において既に説明したように、左端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、各高電位配線235B1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド242B1、242B2内のインクは左に向かって温度が高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第2実施形態において既に説明したように、マニホールド242B1、242B2内のインクは右に向かって温度が高くなる。つまり、各高電位配線235B1の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなるのに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなっており、温度勾配が逆になっている。この結果温度勾配が相殺され、マニホールド242B1、242B2内のインクは、左右方向において温度が一定となりやすい。
【0088】
さらに、変形例3においても、第2実施形態と同様にインク排出口241C、241Dが設けられているため、マニホールド242A1、242A2、242B1、242B2内のインクの流速を高めることができる。また、仮にノズル27からの単位時間あたりの吐出量が多くなり、マニホールド242A1、242A2、242B1、242B2内のインクの流速が低下したとしても、インクジェットヘッド211全体における温度勾配が発生しづらくなっている。このため、インクジェットヘッド211内のノズル27から吐出されるインク滴の大きさの差が小さくなる。
【0089】
以上のことから、変形例3の構成においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(変形例4)
次に、第2実施形態の別の変形例(変形例4)について、
図13を参照しつつ説明する。変形例4のインクジェットヘッド311と、上述した変形例3のインクジェットヘッド211とは、マニホールドの構造が異なるが、その他の構造は共通する。このため、以下では変形例3と相違する構造について説明し、共通する構造についての説明は省略する。
【0091】
図13に示すように、変形例4のインクジェットヘッド311の流路部材320は、それぞれが左右方向に延びる4本のマニホールド342A1、342A2、342B1、342B2と、4つのインク供給口341A、341B、341E、341Fと、4つのインク排出口341C、341D、341G、341Hとを有する。マニホールド342A1の右端及び左端はそれぞれ、インク供給口341A及びインク排出口341Cと連通している。マニホールド342A2の左端及び右端はそれぞれ、インク供給口341E及びインク排出口341Gと連通している。マニホールド342B1の右端及び左端はそれぞれ、インク供給口341F及びインク排出口341Hと連通している。マニホールド342B2の左端及び右端はそれぞれ、インク供給口341B及びインク排出口341Dと連通している。
【0092】
インクタンク13からインク供給口341Aを介してマニホールド342A1に流れ込んだインクは、マニホールド342A1内を、左向きに流れる。そして、マニホールド342A1を流れるインクは、マニホールド342A1と連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド342A1の左端において、インク排出口341Cを介してインクタンクに13に回収される。
【0093】
インクタンク13からインク供給口341Eを介してマニホールド342A2に流れ込んだインクは、マニホールド342A2内を、右向きに流れる。そして、マニホールド342A2を流れるインクは、マニホールド342A2と連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド342A2の右端において、インク排出口341Gを介してインクタンクに13に回収される。
【0094】
インクタンク13からインク供給口341Fを介してマニホールド342B1に流れ込んだインクは、マニホールド342B1内を、左向きに流れる。そして、マニホールド342B1を流れるインクは、マニホールド342B1と連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド342B1の左端において、インク排出口341Hを介してインクタンクに13に回収される。
【0095】
インクタンク13からインク供給口341Bを介してマニホールド342B2に流れ込んだインクは、マニホールド342B2内を、右向きに流れる。そして、マニホールド342B2を流れるインクは、マニホールド342B2と連通する複数の個別流路43に流入する。複数の個別流路43に流入しなかったインクは、マニホールド342B2の右端において、インク排出口341Dを介してインクタンクに13に回収される。
【0096】
変形例4において、マニホールド342A1は第1共通流路の一例であり、マニホールド342A2は第3共通流路の一例であり、マニホールド342B1は第4共通流路の一例であり、マニホールド342B2は第2共通流路の一例である。
【0097】
変形例4において、各高電位配線235A1では、第2実施形態において既に説明したように、右端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、各高電位配線235A1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド342A1、342A2内のインクは右に向かって温度が高くなる。一方、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第2実施形態において既に説明したように、マニホールド342A1内のインクは左に向かって温度が高くなるのに対し、マニホールド342A2内のインクは右に向かって温度が高くなる。つまり、各高電位配線235A1の発熱による温度勾配は左から右に向かって高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は、マニホールド342A1では右から左に向かって高くなり、マニホールド342A2では左から右に向かって高くなる。この結果、マニホールド342A1では温度勾配が相殺され、マニホールド342A1内のインクは左右方向において温度が一定となりやすい。一方、マニホールド342A2では温度勾配が重畳し、マニホールド342A2内のインクは右に向かって温度が高くなる。
【0098】
一方、各高電位配線235B1では、第2実施形態において既に説明したように、左端部に近づくほど電荷の移動量が大きくなり、発熱量が大きくなる。このため、各高電位配線235B1の発熱の影響に着目した場合、マニホールド342B1、342B2内のインクは左に向かって温度が高くなる。一方、圧力付与部140の発熱の影響に着目すると、第2実施形態において既に説明したように、マニホールド342B1内のインクは左に向かって温度が高くなるのに対し、マニホールド342B2内のインクは右に向かって温度が高くなる。つまり、各高電位配線235B1の発熱による温度勾配は右から左に向かって高くなる。これに対し、圧力付与部140の発熱による温度勾配は、マニホールド342B1では右から左に向かって高くなり、マニホールド342B2では左から右に向かって高くなる。この結果、マニホールド342B2では温度勾配が相殺され、マニホールド342B2内のインクは左右方向において温度が一定となりやすい。一方、マニホールド342B1では温度勾配が重畳し、マニホールド342B1内のインクは左に向かって温度が高くなる。
【0099】
つまり、マニホールド342A2内のインクとマニホールド342B1内のインクとは温度勾配が逆になっており、マニホールド342A2とマニホールド342B1とは前後方向に隣接している。また、マニホールド342A1内のインクとマニホールド342B2内のインクとは左右方向において温度が一定となりやすい。このため、変形例4のインクジェットヘッド311によって印刷された画像において、濃度ムラを抑制できる。
【0100】
さらに、変形例4においても、インク排出口341C、341G、341H、341Dが設けられているため、マニホールド342A1、342A2、342B1、342B2内のインクの流速を高めることができる。また、仮にノズル27からの単位時間あたりの吐出量が多くなり、マニホールド342A1、342A2、342B1、342B2内のインクの流速が低下したとしても、インクジェットヘッド311全体における温度勾配が発生しづらくなっている。このため、インクジェットヘッド311内のノズル27から吐出されるインク滴の大きさの差が小さくなる。
【0101】
以上のことから、変形例4の構成においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(その他の変形例)
第1実施形態のアクチュエータ部材30では、各個別電極34は圧電層32の上面に位置していた。加えて、各個別電極34は主部34aと突出部34bとからなり、突出部34bにFPCとの接点が位置していたが、これに限られない。例えば、
図14に示すように、各個別電極34a´の前端又は後端から個別配線34b´が延びており、個別配線34b´の個別電極34a´とは反対側の端部に、FPCとの接点34c´が位置していてもよい。具体的には、各個別電極34a´及び各個別配線34b´は、圧電層32の上面に位置している。前方の各個別電極34a´から延びる個別配線34b´は、当該個別電極34a´の前端から前方に引き出された引き出し部34b1と、引き出し部34b1の前端から左方に延びる延在部34b2とからなる。そして、延在部34b2の左端部に、FPCとの接点34c´が位置している。一方、後方の各個別電極34a´から延びる個別配線34b´は、当該個別電極34a´の後端から後方に引き出された引き出し部34b1と、引き出し部34b1の後端から右方に延びる延在部34b2とからなる。そして、延在部34b2の右端部に、FPCとの接点34c´が位置している。
【0103】
本変形例において、前方の6個の個別電極34a´からそれぞれ延びる6本の個別配線36b´は、第1導電部の一例であり、後方の6個の個別電極34a´からそれぞれ延びる6本の個別配線36b´は、第2導電部の一例である。
【0104】
本変形例の構成によれば、インク供給口41Aは6個の個別流路43Aに対して右方に位置しており、インク供給口41Aからマニホールド42Aに流れ込んだインクは、マニホールド42A内を右から左に向かって流れる。このため、マニホールド42A内のインクは、左に進むにつれて圧電素子の発熱の影響を受けて温度が高くなる。また、圧電層32上において、前方の6個の個別電極34a´の左の領域には6本の個別配線36b´が集中している。このため、当該領域では発熱量が大きくなる。この結果、前方のマニホールド42A内のインクは、6本の個別配線36b´の発熱の影響により、左に進むにつれて、一層温度が高くなる。
【0105】
一方、インク供給口41Bは6個の個別流路43Bに対して左方に位置しており、インク供給口41Bからマニホールド42Bに流れ込んだインクは、マニホールド42B内を左から右に向かって流れる。このため、マニホールド42B内のインクは、右に進むにつれて圧電素子の発熱の影響を受けて温度が高くなる。また、圧電層32上において、後方の6個の個別電極34a´の右の領域には6本の個別配線36b´が集中している。このため、当該領域では発熱量が大きくなる。この結果、後方のマニホールド42B内のインクは、6本の個別配線36b´の発熱の影響により、右に進むにつれて、一層温度が高くなる。
【0106】
つまり、マニホールド42A内のインクの左右方向における温度勾配と、マニホールド42B内のインクの左右方向における温度勾配とが、逆となる。この結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
また、第1実施形態及び第2実施形態、並びにそれらの変形例において、アクチュエータ部材30は複数の圧電素子を有していたが、これに限られない。例えば、
図15に示すように、インク封止膜21の上面において、12個のヒータHtが位置していてもよい。12個のヒータHtはそれぞれ12個の圧力室45と上下方向に対向するように、左右方向に千鳥状に位置している。さらに、インク封止膜21の上面には、12本の個別配線Itと、2本の共通配線Ctとが位置している。12本の個別配線Itはそれぞれ、12個のヒータHtに接続されている。これに対し、1本の共通配線Ctは前方の6個のヒータHtに共通に接続されており、別の1本の共通配線Ctは後方の6個のヒータHtに共通に接続されている。
【0108】
前方の各ヒータHtに接続される個別配線Itは、当該ヒータHtの前端から前方に引き出された引き出し部It1と、引き出し部It1の前端から左方に延びる延在部It2とからなる。そして、延在部It2の左端はFPCと電気的に接続される。これに対し、前方の全てのヒータHtの後端には、後方に延びる引き出し部を介して、左右方向に延在する共通配線Ctが接続されている。共通配線Ctの左端は、FPCと電気的に接続される。一方、後方の各ヒータHtに接続される個別配線Itは、当該ヒータHtの後端から後方に引き出された引き出し部It1と、引き出し部It1の後端から右方に延びる延在部It2とからなる。そして、延在部It2の右端はFPCと電気的に接続される。これに対し、後方の全てのヒータHtの前端には、前方に延びる引き出し部を介して、左右方向に延在する共通配線Ctが接続されている。共通配線Ctの右端は、FPCと電気的に接続される。
【0109】
そして、各ヒータHtは共通配線Ctを介してヒータ電源に接続されるとともに、個別配線Itを介してFPCの駆動回路と接続されている。駆動回路から個別配線Itを介して駆動信号が付与されることにより、当該個別配線Itに接続されたヒータHtが発熱する。これにより、発熱したヒータHtと対向する圧力室45内のインクが加熱されて発泡する。そしてその圧力によって、当該圧力室45と連通するノズル27からインク滴が吐出される。
【0110】
本変形例の構成によれば、インク供給口41Aは前方の6個のヒータHtに対して右方に位置しており、インク供給口41Aからマニホールド42Aに流れ込んだインクは、マニホールド42A内を右から左に向かって流れる。このため、マニホールド42A内のインクは、左に進むにつれてヒータHtの発熱の影響を受けて温度が高くなる。また、インク封止膜21の上面において、前方の6個のヒータHtに対して左の領域には、前方の6個のヒータHtに接続された6本の個別配線Itが集中している。また、前方の6個のヒータHtに共通に接続された共通配線Ctの左端部も、前方の6個のヒータHtの左の領域に位置している。このため、当該領域では発熱量が大きくなる。この結果、前方のマニホールド42A内のインクは、共通配線Ct及び6本の個別配線Itの発熱の影響により、左に進むにつれて一層温度が高くなる。
【0111】
一方、インク供給口41Bは6個のヒータHtに対して左方に位置しており、インク供給口41Bからマニホールド42Bに流れ込んだインクは、マニホールド42B内を左から右に向かって流れる。このため、マニホールド42B内のインクは、右に進むにつれてヒータHtの発熱の影響を受けて温度が高くなる。また、インク封止膜21の上面において、後方の6個のヒータHtに対して右の領域には、後方の6個のヒータHtに接続された6本の個別配線Itが集中している。また、後方の6個のヒータHtに共通に接続された共通配線Ctの右端部も、後方の6個のヒータHtの右の領域に位置している。このため、当該領域では発熱量が大きくなる。この結果、後方のマニホールド42A内のインクは、共通配線Ct及び複数の個別配線Itの発熱の影響により、右に進むにつれて一層温度が高くなる。
【0112】
つまり、マニホールド42A内のインクの左右方向における温度勾配と、マニホールド42B内のインクの左右方向における温度勾配とが、逆となる。この結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能である。
【0114】
上記の実施形態及び変形例において、プリンタ1は、プリンタ1に対して固定された幅方向に長いラインヘッド10からインクを吐出する所謂ラインヘッド方式で、媒体Mへの印刷を行う。しかし、プリンタ1は、キャリッジによってインクジェットヘッド11をシート幅方向に移動させる所謂シリアルヘッド方式で、媒体Mへの印刷を行ってもよい。
【0115】
上記の実施形態及び変形例では、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ノズルからインク以外の液体を吐出する、インクジェットヘッド以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 プリンタ
10 ラインヘッド
11、111、211、311 インクジェットヘッド
20 流路部材
30、130、230 アクチュエータ部材