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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135948
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L29/80 E
H01L29/44 Y
H01L29/50 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046868
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】関口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
(72)【発明者】
【氏名】磯部 康裕
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB08
4M104BB09
4M104BB14
4M104BB30
4M104BB33
4M104CC01
4M104CC05
5F102FA01
5F102GA14
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ05
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安定した特性を得る半導体装置及び半導体モジュールを提供する。
【解決手段】半導体装置100は、第1半導体層11、第2半導体層12、第1~3電極21~23、絶縁領域35及び導電層50を含む。第1半導体層は、窒化物半導体を含む。第2半導体層は、第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む。第1電極は、第2半導体層の上に設けられる。第2電極は、第2半導体層の上に設けられ、第1電極と並ぶ。第3電極は、絶縁膜部31aを介して第2半導体層の上方かつ第1電極と第2電極との間に位置する。絶縁領域は、第2半導体層の上に設けられ、第1電極と第2電極との間において第1電極と隣接する。絶縁領域は、第1絶縁部分35aと、第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分35bと、を含む。導電層は、第1絶縁部分と第2絶縁部分との間に設けられ、第1電極と電気的に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1電極と並ぶ、第2電極と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極と隣接し、第1絶縁部分と、前記第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分と、を含む絶縁領域と、
前記第1絶縁部分と前記第2絶縁部分との間に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された導電層と、
を備えた、半導体装置。
【請求項2】
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1電極と並ぶ、第2電極と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第2方向において前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極と隣接し、第1絶縁部分と、前記第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分と、を含む絶縁領域と、
前記第1絶縁部分と前記第2絶縁部分との間に設けられ、回路に接続され、前記回路によって前記第2電極の電位よりも低い電位に設定される、導電層と、
を備えた、半導体装置。
【請求項3】
前記回路は、ツェナーダイオードを含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1方向と垂直な方向において前記導電層と並び、前記導電層と前記第1電極との間に設けられた第3絶縁部分をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電層は、前記第3電極の側の端部を有し、
前記端部と前記第1電極との間の前記第2方向に沿った距離は、前記端部と前記第3電極との間の前記第2方向に沿った距離よりも短い、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3電極と電気的に接続され前記第3電極を覆う導電部材をさらに備え、
前記導電層は、前記導電部材と前記第2方向において並ぶ、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1電極は、
第1電極部と、
前記第1電極部の上端部から前記第2電極側へ延びる第1延出部と、
を含み、
前記導電層の少なくとも一部は、前記第1延出部と前記第2半導体層との間に位置する、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電層の前記第2方向に沿った長さは、前記第1延出部の前記第2方向に沿った長さよりも長い、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項2または3に記載の半導体装置と、
前記回路と、
を備え、
前記半導体装置は、
前記導電層と接するコンタクト部と
前記コンタクト部と電気的に接続され、前記回路が電気的に接続される電極パッドと、
を含み、
前記第1電極又は第2電極は、外部負荷に電気的に接続される、半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置においては、例えばスイッチングの繰り返し等の動作によって、オン抵抗の増大等の特性の変化が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-069763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、安定した特性を得ることが可能な半導体装置及び半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1半導体層と、第2半導体層と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、絶縁領域と、導電層と、を含む。前記第1半導体層は、窒化物半導体を含む。前記第2半導体層は、前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む。前記第1電極は、前記第2半導体層の上に設けられる。前記第2電極は、前記第2半導体層の上に設けられる。前記第2電極は、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1電極と並ぶ。前記第3電極は、絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置する。前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する。前記絶縁領域は、前記第2半導体層の上に設けられる。前記絶縁領域は、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極と隣接する。前記絶縁領域は、第1絶縁部分と、前記第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分と、を含む。前記導電層は、前記第1絶縁部分と前記第2絶縁部分との間に設けられる。前記導電層は、前記第1電極と電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図3図3は、導電層の変形例を表す模式的平面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5図5は、実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的平面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、回路を例示する模式的回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図2は、図1に示した半導体装置100の一部の平面配置を表す。図1は、図2に示すA-A線における断面に対応する。
図1には、実施形態に係る半導体装置100の一例として、HEMT(High Electron Mobility Transistor)が例示されている。図1に表したように、半導体装置100は、半導体層10と、第1半導体層11と、第2半導体層12と、第1電極21と、第2電極22と、第3電極23と、絶縁層30と、導電層50と、を含む。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1半導体層11から第2半導体層12に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向及びY方向とする。また、説明のために、第1半導体層11から第2半導体層12に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う場合がある。これらの方向は、第1半導体層11と第2半導体層12との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
第1半導体層11は、半導体層10の上に設けられている。第1半導体層11は、窒化物半導体を含む。
【0011】
第2半導体層12は、第1半導体層11の上に設けられている。第2半導体層12は、例えば第1半導体層11と接している。第2半導体層12は、窒化物半導体を含む。第1半導体層11と第2半導体層12とは、例えばヘテロ接合を構成している。
【0012】
第1電極21は、例えばドレイン電極である。第1電極21は、第2半導体層12の一部の上に設けられている。第1電極21は、第2半導体層12と電気的に接続されており、例えば第2半導体層12の上面とオーミック接触している。
【0013】
この例では、第1電極21は、第1下部21aと、第1上部21bと、を含む。第1下部21aは、第2半導体層12と接している。第1上部21bは、第1下部21aの上に位置し、第1下部21aと接している(又は連続している)。第1下部21aの材料と第1上部21bの材料とは、互いに同じであっても良いし、異なっていてもよい。このように第1電極21は、積層構造を有していてもよいし、第1下部21aと第1上部21bとが、1つの層として一体に形成された構造を有していてもよい。
【0014】
さらに、この例では、第1上部21bは、第1電極部21eと、第1電極部21eの上端部からX方向に延びる第1延出部21fと、を含む。第1電極部21e及び第1延出部21fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。なお、実施形態において、第1延出部21fは、必ずしも設けられなくてもよく、適宜省略されてもよい。
【0015】
第1電極部21eは、第1下部21aの一部の上に位置する。第1下部21aは、第1電極部21eよりも第2電極22側へ延びている。言い換えれば、X方向において、第1下部21aの第2電極22側の端部21axは、第1電極部21eと、第2電極22と、の間に位置している。
【0016】
第1延出部21fは、第1下部21aよりも第2電極22へ向かって延び、第1下部21aを覆っている。言い換えれば、X方向において、第1延出部21fの第2電極22側の端部21fxは、第1下部21aの端部21axと、第2電極22と、の間に位置している。
【0017】
第2電極は、例えばソース電極である。第2電極22は、第2半導体層12の一部の上に設けられている。第2電極22は、X方向において、第1電極21と並ぶ。第2電極22は、第2半導体層12と電気的に接続されており、例えば第2半導体層12の上面とオーミック接触している。
【0018】
この例では、第2電極22は、第2下部22aと、第2上部22bと、を含む。第2下部22aは、第2半導体層12と接している。第2上部22bは、第2下部22aの上に位置し、第2下部22aと接している(又は連続している)。第2下部22aの材料と第2上部22bの材料とは、互いに同じであっても良いし、異なっていてもよい。このように第2電極22は、積層構造を有していてもよいし、第2下部22aと第2上部22bとが、1つの層として一体に形成された構造を有していてもよい。
【0019】
さらに、この例では、第2上部22bは、第2電極部22eと、第2電極部22eの上端部からX方向に延びる第2延出部22fと、を含む。第2電極部22e及び第2延出部22fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。
【0020】
第2電極部22eは、第2下部22aの一部の上に位置する。第2下部22aは、第2電極部22eよりも第1電極21側へ延びている。言い換えれば、X方向において、第2下部22aの第2電極22側の端部22axは、第2電極部22eと、第1電極21と、の間に位置している。
【0021】
第2延出部22fは、第1下部21aよりも第1電極21へ向かって延び、第2下部22aを覆っている。言い換えれば、X方向において、第2延出部22fの第1電極21側の端部22fxは、第2下部22aの端部22axと、第1電極21と、の間に位置している。
【0022】
第2延出部22fは、さらに第3電極23よりも第1電極21へ向かって延び、第3電極23、及び第1導電部材41を覆っている。言い換えれば、X方向において、第2延出部22fの端部22fxは、第3電極23と第1電極21との間に位置している。第2延出部22fは、例えばフィールドプレート電極として機能する。
【0023】
第3電極23は、例えばゲート電極である。第3電極23は、絶縁膜部31aを介して第2半導体層12の上方に位置している。つまり、第2半導体層12の上に絶縁膜部31aが設けられており、その絶縁膜部31aの上に第3電極23が設けられている。第3電極23は、絶縁膜部31aにより、第2半導体層12と絶縁されている。第3電極23は、第2電極22(第2下部22a及び第2電極部22e)と、第1電極21と、の間に位置している。
【0024】
第3電極23は、第1電極21よりも第2電極22の近くに配置されている。第3電極23と第1電極21(第1下部21a又は第1電極部21e)との間のX方向に沿った距離は、第3電極23と第2電極22(第2下部22a又は第2電極部22e)との間のX方向に沿った距離よりも長い。
【0025】
この例では、第3電極23の上方に、第1導電部材41が設けられている。第1導電部材41は、接続部41aによって、第3電極23と電気的に接続されており、第3電極23を覆っている。第1導電部材41は、例えばフィールドプレート電極として機能する。
【0026】
第3電極23は、絶縁層30によって、第1電極21及び第2電極22のそれぞれと絶縁されている。この例では、絶縁層30は、第2半導体層12の上に設けられた第1絶縁膜31と、第1絶縁膜31の上に設けられた第2絶縁膜32と、第2絶縁膜32の上に設けられた第3絶縁膜33と、を含む。このように絶縁層30は、積層構造を有していてもよい。
【0027】
第1絶縁膜31は、第1下部21aと第2下部22aとの間に設けられている。上述の絶縁膜部31aは、第1絶縁膜31の一部である。第2絶縁膜32は、第1電極部21eと第2電極部22eとの間に設けられており、第3電極23を覆っている。第1導電部材41及び導電層50は、第2絶縁膜32の上に設けられている。第3絶縁膜33は、第1電極部21eと第2電極部22eとの間に設けられており、第1導電部材41及び導電層50を覆っている。第1延出部21f及び第2延出部22fは、第3絶縁膜33の上に設けられている。
【0028】
図1に表したように、絶縁層30は、第1電極21と第2電極22との間において、第1電極21と隣接する絶縁領域35を含む。絶縁領域35は、第1電極部21eとX方向において並んでいる。絶縁領域35は、例えば、第1延出部21fの下方の領域であり、第1電極21に接している。
【0029】
絶縁領域35は、第1絶縁部分35aと、第1絶縁部分35aの上方に位置する第2絶縁部分35bと、を含む。この例では、第1絶縁部分35aは、第2絶縁膜32の一部であり、第2絶縁部分35bは、第3絶縁膜33の一部である。第1絶縁部分35aは、第1電極部21eと接している。第2絶縁部分35bは、第1電極部21e及び第1延出部21fと接している。
【0030】
導電層50は、第1絶縁部分35aと第2絶縁部分35bとの間に設けられている。例えば、導電層50は、第1延出部21fの下方に設けられた部分を有する。導電層50は、第1電極部21eの中間部21ecとX方向において並んでいる。なお、中間部21ecは、第1電極部21eの上端部と、第1電極部21eの下端部と、の間の部分である。導電層50は、第1電極部21eとはZ方向において重ならなくてよい。
【0031】
なお、導電層50のY方向の長さは、第1電極21のY方向の長さや第2電極22のY方向の長さと同じでも良いし、異なっていてもよい。例えば、図2に表したように、導電層50のY方向における端部50eは、X方向において第1電極21(第1電極部21e)と並ばなくてもよい。また、導電層50のY方向における端部50fは、X方向において第2電極22(第2電極部22e)と並ばなくてもよい。
【0032】
この例では、絶縁層30は、Z方向と垂直な方向(例えばX方向)において導電層50と並ぶ第3絶縁部分35cを含む。第3絶縁部分35cは、導電層50と第1電極部21eとの間に設けられている。つまり、導電層50の少なくとも一部は、第1電極21からX方向に離れている。例えば、導電層50は、第1電極21と直接接しない。なお、第3絶縁部分35cは、例えば、絶縁領域35の一部であり、第3絶縁膜33の一部でよい。第3絶縁部分35cは、第1電極部21eと接している。
【0033】
図1に表したように、第1電極21、第2電極22及び絶縁層30の上には、さらに絶縁層37が設けられている。
【0034】
導電層50は、第1電極21と電気的に接続される。導電層50の電位は、第1電極21の電位と実質的に同電位でよい。1つの例として、導電層50は、図1に模式的回路図として表した接続部44によって第1電極21と電気的に接続される。接続部44は、例えば絶縁層30内に設けられた導電部であり、導電層50の一部(例えば上面の一部)と、第1電極21(例えば第1延出部21f)と、に接している。これに限らず、接続部44は、導電層50の一部と第1電極21の一部とに接触する適宜の配置及び形状でよい。
例えば、図2に表したように、接続部44は、導電層50のY方向における端部に設けられてもよい。
【0035】
あるいは、導電層50は、第1電極21と直接接してもよい。例えば、図1に表したように、導電層50は、X方向における両端部(第3電極23側の端部50p、及び、第1電極21側の端部50q)を有する。端部50qは、端部50pと第1電極21との間に位置する。1つの例として、導電層50の端部50qが第1電極21に接するように、図1において導電層50の一部をX方向に延長してもよい。この場合、接続部44及び第3絶縁部分35cは、適宜省略可能である。
【0036】
図3は、導電層の変形例を表す模式的平面図である。
図3に表したように、導電層50の一部50rは、第1電極21に接触し、導電層50の当該一部50rとY方向に並ぶ導電層50の別の一部50sは、X方向において第1電極21から離れていてもよい。
【0037】
導電層50を第1電極21と電気的に接続する方法は、上記に限らない。例えば、外部の回路を介して、導電層50と第1電極21とを実質的に同電位とすることも可能である。
【0038】
半導体装置100の各要素の材料の一例について説明する。
半導体層10は、例えば半導体基板(不図示)の上に設けられたバッファ層である。半導体基板は、例えばシリコン、炭化シリコン、サファイア及び窒化ガリウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。半導体層10は、窒化物半導体を含む。
第1半導体層11は、例えばAlx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層11におけるAlの組成比x1は、例えば、0以上0.01以下である。第1半導体層11は、例えばGaNでよい。
第2半導体層12は、例えばAlx2Ga1-x2N(x1<x2<1)を含む。第2半導体層12におけるAlの組成比x2は、例えば、0.1以上0.4以下である。
絶縁層30(第1絶縁膜31、第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33のそれぞれ)、絶縁層37は、窒化シリコン及び酸化シリコンの少なくともいずれかを含む。
第1電極21の第1下部21aは、例えば、Ti及びAlの少なくともいずれかを含む。第1電極21の第1上部21bは、例えば、Ti及びAlの少なくともいずれかを含む。
第2電極22の第2下部22aは、例えば、Ti及びAlの少なくともいずれかを含む。第2上部22bは、例えば、Ti及びAlの少なくともいずれかを含む。
第3電極53は、例えば、TiN、TiW、WN、Pt、Ni及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第1導電部材41は、例えば、Al、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
導電層50は、例えば、Al、Cu、Au、Ag、及びSi(例えばポリシリコン)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電層50は、例えば金属層である。導電層50の材料は、例えば、第1電極21(第1下部21a、第1上部21b)の材料と異なっていてよい。導電層50には、第1電極21と同じ材料を用いてもよい。
【0039】
半導体装置100の動作について説明する。
第1電極21には、第2電極22に対して正の電圧が印加される。例えば、第1半導体層11内の第1半導体層11と第2半導体層12との界面付近には、2次元電子ガス(2DEG)が発生する。第2電極22の電圧を基準として、第3電極23の電圧を制御することにより、第3電極23の下方における2次元電子ガスのキャリア濃度を制御することができる。例えば、第3電極23の電圧が閾値以上(例えば0V)の場合には、第3電極23の下方において2次元電子ガスが発生している。これにより、電子が第2電極22から第1半導体層11を介して第1電極21へ流れるオン状態が得られる。第3電極23の電圧が閾値よりも小さい場合(例えばマイナス)には、第3電極23の下方における2次元電子ガスの濃度が低下し、例えば第3電極23の下方においては2次元電子ガスが実質的に発生しない。これにより、電子が第2電極22から第1半導体層11を介して第1電極21へ実質的に流れないオフ状態が得られる。なお、この例では、第3電極23が0Vの場合にオン状態が得られるノーマリオンの装置を例示したが、実施形態は、第3電極23が0Vの場合にオフ状態が得られるノーマリオフの装置であってもよい。
【0040】
実施形態の効果について説明する。
図4(a)及び図4(b)は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4(a)は、参考例の半導体装置190の第1電極21付近を表し、図4(b)は、図1に関して説明した半導体装置100の第1電極21付近を表している。参考例の半導体装置190は、導電層50が設けられない点において、半導体装置100と異なる。
【0041】
例えばオフ状態において、第1電極21に電圧が印加されると、ホットエレクトロンや絶縁層30中の可動イオンが第1電極21付近に移動する。その結果、図4(a)等に模式的に表したように、絶縁層30内の第1電極21の近傍の領域30Aに、マイナス電荷がトラップされる恐れがある。トラップされたマイナス電荷によって生じる電界Eの影響により、領域30Aの下方における、第1半導体層11と第2半導体層12との界面付近の2次元電子ガスGの電子密度が低減し、オン抵抗が増大する可能性がある。
【0042】
これに対して、実施形態においては、図4(b)に表したように、導電層50が設けられている。これにより、例えば、領域30Aにトラップされたマイナス電荷によって生じる電界Eが遮蔽される。領域30Aにトラップされたマイナス電荷が2次元電子ガスGに及ぼす電界を緩和することができ、2次元電子ガスGの電子密度の低減を抑制することができる。これにより、オン抵抗の増大を抑制し、安定した特性を得ることができる。例えば、電流コラプスを抑制することができる。上述したように、この例では、導電層50は、第1電極21と電気的に接続されている。これにより、例えば、導電層50に電荷が蓄積されることを抑制でき、2次元電子ガスGに与える影響を抑制することができる。
【0043】
導電層50は、第1電極21に近接して設けられることが望ましい。例えば、導電層50と第1電極21との間の距離は、導電層50と第3電極23との間の距離よりも短い。例えば、図1に表したように、導電層50の端部50pと第1電極21との間のX方向に沿った距離L1は、導電層50の端部50pと第3電極23との間のX方向に沿った距離L2よりも短い。例えば、第3絶縁部分35cのX方向に沿った長さL4は、導電層50のX方向に沿った長さL3よりも短い。例えば、導電層50の端部50qは、第1電極21の第1下部21aの直上に位置してもよい。このように、導電層50を第1電極21に近づけて設けることにより、第1電極21の近傍の領域30Aにトラップされたマイナス電荷によって生じる電界が、2次元電子ガスGに与える影響をより抑制することができる。導電層50を第3電極23から比較的離して配置することにより、導電層50がデバイス特性(例えば第3電極23の周辺における電界分布)に与える影響を抑制することができる。距離L2は、長さL3と長さL4との和よりも長くてもよい。
【0044】
導電層50の少なくとも一部は、第1電極21の第1延出部21fと第2半導体層12との間に位置する。すなわち、導電層50の少なくとも一部は、Z方向において第1延出部21fと重なっている。例えば、導電層50は、第1延出部21fよりも第2電極22側へ延びている。言い換えれば、図1に表したように、導電層50の端部50pのX方向における位置は、第1延出部21fの端部21fxのX方向における位置と、第3電極23のX方向における位置と、の間である。また、例えば、図1に表したように、導電層50の第2方向に沿った長さL3は、第1延出部21fの第2方向に沿った長さL5よりも長くてもよい。このように導電層50を広く形成することにより、第1電極21の近傍の領域30Aにトラップされたマイナス電荷によって生じる電界が、2次元電子ガスGに与える影響をより抑制することができる。導電層50のX方向に沿った長さは、例えば、第3電極23のX方向に沿った長さよりも長くてもよい。
【0045】
前述したように、導電層50、第1導電部材41は、第2絶縁膜32の上に設けられているため、導電層50は、第1導電部材41とX方向において並ぶ。これにより、例えば、導電層50を形成する製造工程の複雑化を抑制することができる。これに限らず、実施形態においては、導電層50は、第1絶縁膜31の上に設けられてもよい。この場合には、導電層50は、第3電極23とX方向において並ぶ。また、導電層50は、第3電極23や第1導電部材41とは異なる高さに配置されても良い。例えば、図4(b)に表したように、第1延出部21fと導電層50との間のZ方向に沿った長さL6は、導電層50と第2半導体層12との間のZ方向に沿った長さL7よりも長い。例えば、導電層50の厚さT50は、長さL7より薄い。
【0046】
図5は、実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6は、実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的平面図である。
図6は、図5に示した半導体装置101の一部の平面配置を表す。図5は、図6に示すB-B線における断面に対応する。
図5及び図6に表したように、実施形態に係る半導体装置101においては、導電層50は、回路90と電気的に接続される。半導体装置101においては、導電層50は、第1電極21とは電気的に接続されていない。例えば、導電層50は、第1電極21に接することなく、絶縁層30によって第1電極21と絶縁されている。
【0047】
回路90は、導電層50の電位を第1電極21の電位よりも低い電位に設定可能である。回路90は、例えば導電層50に蓄積される電荷を放電する放電回路として機能する。これにより、例えば、導電層50に電荷が蓄積されることを抑制でき、2次元電子ガスGに影響を与えることを抑制できる。
【0048】
なお、「回路90に接続され」とは、回路90に接続されていること、または、回路90に接続可能であること、を含む。
【0049】
半導体装置101は、例えば、図5に模式的な回路図として表した接続部45、46、47、48を有する。接続部45は、導電層50と回路90とを電気的に接続する。具体的には、接続部45は、電極パッド63(又は端子)と、導電層50に接する導電性のコンタクト部61と、コンタクト部61と電極パッド63とを電気的に接続する配線62と、を含む。
【0050】
同様に、第1電極21には接続部46が接続され、第2電極22には接続部47が接続されている。接続部46は、例えば、電極パッド66(又は端子)と、第1電極21に接する導電性のコンタクト部64と、コンタクト部64と電極パッド66とを電気的に接続する配線65と、を含む。接続部47は、例えば、電極パッド69(又は端子)と、第2電極22に接する導電性のコンタクト部67と、コンタクト部67と電極パッド69とを電気的に接続する配線68と、を含む。接続部48は、例えば、電極パッド72(又は端子)と、第3電極23に接する導電性のコンタクト部70と、コンタクト部70と電極パッド72とを電気的に接続する配線71と、を含む。各電極パッドは、例えば、半導体装置101の表面に露出し、外部の回路を接続可能に構成されている。
【0051】
例えば、半導体装置101と回路90とによって、半導体モジュール200(パワーモジュール)が構成される。半導体モジュール200において、電極パッド63は、回路90に電気的に接続され、第1電極21(電極パッド66)は、負荷80に接続される。負荷80は、電気抵抗、インダクタ及びキャパシタの少なくともいずれかを含む外部負荷(外部素子)である。外部負荷は、第2電極22(電極パッド69)に接続されてもよい。
例えば、半導体モジュール200は、複数の半導体装置101を含んでもよい。複数の半導体装置101(トランジスタ)によって、ブリッジ回路が構成されてもよい。例えば、外部負荷は、1つの半導体装置101の第1電極21と接続され、別の半導体装置101の第2電極と接続されてもよい。配線や電極パッドは、複数の半導体装置101において、適宜、共通化してもよい。言い換えれば、例えば1つの電極パッドが複数のトランジスタと電気的に接続されてもよい。電極パッドは、外部端子でもよい。各接続部は、例えば金属部である。各接続部には、例えば、Al、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを用いることができる。
【0052】
図7(a)及び図7(b)は、回路を例示する模式的回路図である。
図7(a)に表した例では、回路90は、ツェナーダイオード91を有し、電源部92と接続される。電源部92は、第1電極21(電極パッド66)と、第2電極22(電極パッド69)と、の間に接続される。これにより、第2電極22の電位を基準(例えばグランドGND)として、第1電極21に正の電圧が印加される。ツェナーダイオード91のアノード91aは、導電層50(電極パッド63)と電気的に接続される。ツェナーダイオード91のカソード91cは、第1電極21と電気的に接続される。これにより、導電層50の電圧は、ツェナーダイオード91によって定まる所定の電圧だけ、第1電極21よりも低い電圧となる。導電層50と第1電極21との電位差は、導電層50と第1電極21との位置関係や、第1電極21の電位に応じて適宜定めればよいが、例えば0Vより大きく100V以下程度である。
【0053】
図7(b)は、回路90の別の例を表す。図7(b)においては、回路90は、さらに抵抗93を有する。抵抗93は、第1電極21と導電層50との間に、ツェナーダイオード91と並列に接続される。ツェナーダイオード91を含む回路90によって、導電層50の電位を第1電極21の電位よりも低い電位に設定可能である。
【0054】
実施形態によれば、安定した特性を得ることが可能な半導体装置が提供できる。
【0055】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1電極と並ぶ、第2電極と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極と隣接し、第1絶縁部分と、前記第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分と、を含む絶縁領域と、
前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された導電層と、
を備えた、半導体装置。
(構成2)
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1電極と並ぶ、第2電極と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第2方向において前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間において前記第1電極と隣接し、第1絶縁部分と、前記第1絶縁部分の上方に位置する第2絶縁部分と、を含む絶縁領域と、
前記第1絶縁部分と前記第2絶縁部分との間に設けられ、回路に接続され、前記回路によって前記第2電極の電位よりも低い電位に設定される、導電層と、
を備えた、半導体装置。
(構成3)
前記回路は、ツェナーダイオードを含む、構成2に記載の半導体装置。
(構成4)
前記第1方向と垂直な方向において前記導電層と並び、前記導電層と前記第1電極との間に設けられた第3絶縁部分をさらに備えた、構成1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成5)
前記導電層は、前記第3電極側の端部を有し、
前記端部と前記第1電極との間の前記第2方向に沿った距離は、前記端部と前記第3電極との間の前記第2方向に沿った距離よりも短い、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成6)
前記第3電極と電気的に接続され前記第3電極を覆う導電部材をさらに備え、
前記導電層は、前記導電部材と前記第2方向において並ぶ、構成1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成7)
前記第1電極は、
第1電極部と、
前記第1電極部の上端部から前記第2電極側へ延びる第1延出部と、
を含み、
前記導電層の少なくとも一部は、前記第1延出部と前記第2半導体層との間に位置する、構成1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成8)
前記導電層の前記第2方向に沿った長さは、前記第1延出部の前記第2方向に沿った長さよりも長い、構成7に記載の半導体装置。
(構成9)
構成2または3に記載の半導体装置と、
前記回路と、
を備え、
前記半導体装置は、
前記導電層と接するコンタクト部と
前記コンタクト部と電気的に接続され、前記回路が電気的に接続される電極パッドと、
を含み、
前記第1電極又は第2電極は、外部負荷に電気的に接続される、半導体モジュール。
【0056】
本願明細書において、「電気的に接続」には、直接接触して接続される場合の他に、他の導電性部材などを介して接続される場合も含む。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
10:半導体層
11:第1半導体層
12:第2半導体層
21:第1電極
21a:第1下部
21ax:端部
21b:第1上部
21e:第1電極部
21ec:中間部
21f:第1延出部
21fx:端部
22:第2電極
22a:第2下部
22ax:端部
22b:第2上部
22e:第2電極部
22f:第2延出部
22fx:端部
23:第3電極
30:絶縁層
30A:領域
31:第1絶縁膜
31a:絶縁膜部
32:第2絶縁膜
33:第3絶縁膜
35:絶縁領域
35a:第1絶縁部分
35b:第2絶縁部分
35c:第3絶縁部分
37:絶縁層
41:第1導電部材
41a:接続部
44~48:接続部
50:導電層
50e、50f、50p、50q:端部
50r、50s:一部
53:第3電極
61:コンタクト部
62:配線
63:電極パッド
64:コンタクト部
65:配線
66:電極パッド
67:コンタクト部
68:配線
69:電極パッド
70:コンタクト部
71:配線
72:電極パッド
80:負荷
90:回路
91:ツェナーダイオード
91a:アノード
91c:カソード
92:電源部
93:抵抗
100、101、190:半導体装置
200:半導体モジュール
E:電界
G:2次元電子ガス
GND:グランド
L1、L2:距離
L3~L7:長さ
T50:厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7