(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135949
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ロータリーキルン
(51)【国際特許分類】
F27B 7/08 20060101AFI20240927BHJP
F27B 7/18 20060101ALI20240927BHJP
F27B 7/34 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
F27B7/08
F27B7/18
F27B7/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046870
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀直
【テーマコード(参考)】
4K061
【Fターム(参考)】
4K061AA03
4K061AA08
4K061BA02
4K061BA09
4K061CA23
4K061DA09
4K061EA06
(57)【要約】
【課題】熱処理後の材料の温度を下げて排出すること
【解決手段】
ロータリーキルン10は、加熱管12の第1端12a側に設けられた材料供給部13と、第2端12b側に設けられた材料回収部14と、第2端12b側において、加熱管12の中心部に挿入された状態で支持された内筒15と、内筒15の外周面において周方向に複数設けられ、それぞれ内筒15から分岐し、かつ、加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びた分岐管と、加熱管12の外に延びた内筒15の一端に挿入された状態で、内筒15に対して相対回転可能に支持された熱風供給管17と、加熱管12を回転させる駆動機構18と、を備えている。内筒15は、加熱管12に対してバネ101を介して支持されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の加熱管と、
前記加熱管の第1端側に設けられた材料供給部と、
前記加熱管の第2端側に設けられた材料回収部と、
前記加熱管の前記第2端側において、前記加熱管の中心部に挿入された状態で支持された内筒と、
前記加熱管の中で前記内筒の外周面において周方向に複数設けられ、それぞれ前記内筒から分岐し、かつ、前記加熱管の内周面に沿って軸方向に延びた分岐管と、
前記加熱管の外に延びた前記内筒の一端に挿入された状態で、前記内筒に対して相対回転可能に支持された熱風供給管と、
前記加熱管を回転させる駆動機構と
を備え、
前記内筒は、前記加熱管にバネを介して接続されている、
ロータリーキルン。
【請求項2】
前記内筒は、前記加熱管の第2端側の端部に設けられた第1バネを介して接続されている、請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項3】
前記第1バネは、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材で構成されている、請求項2に記載されたロータリーキルン。
【請求項4】
前記第1バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記内筒から前記加熱管の径方向に沿って延びている、請求項3に記載されたロータリーキルン。
【請求項5】
前記第1バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されている、請求項4に記載されたロータリーキルン。
【請求項6】
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記マニホールドは、前記加熱管に第2バネを介して接続されている、
請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項7】
前記第2バネは、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材で構成されている、請求項6に記載されたロータリーキルン。
【請求項8】
前記第2バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記内筒から前記加熱管の径方向に沿って延びている、請求項7に記載されたロータリーキルン。
【請求項9】
前記第2バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されている、請求項8に記載されたロータリーキルン。
【請求項10】
前記内筒は、前記加熱管の第2端側の端部に設けられた第1バネを介して接続されており、
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記マニホールドは、前記加熱管に第2バネを介して接続されており、
前記第1バネは、前記第2バネよりも稼働幅が大きい、
請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項11】
前記第1バネは、前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材で構成されており、
前記第2バネは、前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材で構成されており、
前記第1バネを構成するバネ材は、前記第2バネを構成するバネ材よりも大きく湾曲している、請求項10に記載されたロータリーキルン。
【請求項12】
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記排気管は、前記加熱管の中間部に形成された貫通孔に挿通され、前記マニホールドに設けられたソケットに差し込まれている、請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項13】
前記排気管は、管状の部材であり、前記ソケットに差し込まれる前記排気管の端部は、先端に向けて細くなったテーパ形状を有する、請求項12に記載されたロータリーキルン。
【請求項14】
前記排気管が挿通された前記加熱管の前記貫通孔には、シールが設けられている、請求項12に記載されたロータリーキルン。
【請求項15】
前記複数の分岐管の内側に沿って配置されたリングと、
前記リングに設けられ、前記複数の分岐管をそれぞれ位置決めする位置決め部材と
を有する、請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項16】
前記分岐管にはブラケットが取り付けられており、
前記ブラケットは、
前記加熱管の内周面に沿って配置されるベース部と、
前記ベース部から前記加熱管の径方向に沿って立ち上がった立ち上がり部と
を有し、
前記立ち上がり部に前記分岐管が挿通される挿通孔を有する、
請求項1に記載されたロータリーキルン。
【請求項17】
前記立ち上がり部の前記挿通孔は、前記加熱管の径方向に沿って長い長孔である、
請求項16に記載されたロータリーキルン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000-246210号公報には、スクリューコンベアからの廃棄物を中空内に受け入れる横型の回転ドラムを設けるとともに、廃棄物加熱用の熱媒体としての加熱ガスを流通させる複数本の伝熱管を回転ドラムの中空内に、その回転ドラムの長手方向に沿う状態に設け、伝熱管に対する加熱ガス供給部と加熱ガス排出部と熱分解ガス・熱分解残渣排出部とを設けて構成された熱分解ドラムが開示されている。
【0003】
特開2006-57974号公報には、加熱管を配設したドラム本体の一端に加熱ガス入口ハウジングを、ドラム本体の他端に加熱ガス出口ハウジングを夫々設けた熱分解ドラムと、熱分解ガスの一部を燃焼させた燃焼排ガスを加熱ガスとして加熱ガス入口ハウジングへ供給する熱分解ガス燃焼炉とを備えた廃棄物の熱分解設備が開示されている。
【0004】
特許7125532号公報には、略円筒形の加熱管の内部に配置された内筒と、内筒から分岐した複数の分岐管と、内筒を通じて分岐管に熱風を供給する熱風供給管とを備えたロータリーキルンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-246210号公報
【特許文献2】特開2006-57974号公報
【特許文献3】特許7125532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ロータリーキルンの各部材は、熱処理中に熱膨張する。ロータリーキルンの熱膨張に起因する歪みを小さく抑制したい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示されるロータリーキルンは、加熱管と、材料供給部と、材料回収部と、内筒と、分岐管と、駆動機構とを備えている。加熱管は、略円筒形の管である。材料供給部は、加熱管の第1端側に設けられている。材料回収部は、加熱管の第2端側に設けられている。内筒は、加熱管の第2端側において、加熱管の中心部に挿入された状態で支持されている。分岐管は、加熱管の中で内筒の外周面において周方向に複数設けられ、それぞれ内筒から分岐し、かつ、加熱管の内周面に沿って軸方向に延びている。熱風供給管は、加熱管の外に延びた内筒の一端に挿入された状態で、内筒に対して相対回転可能に支持されている。駆動機構は、加熱管を回転させる機構である。ここで、内筒は、加熱管にバネを介して接続されている。かかるロータリーキルンによれば、熱膨張によって内筒と加熱管とに、寸法差が生じた場合でも、加熱管に内筒が取り付けられている部位が相対的にずれることが許容される。このため、熱膨張に起因する歪みが小さく抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ロータリーキルン10の縦断正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された加熱管12のIV-IV断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示された加熱管12のV-V断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示された加熱管12のVI-VI断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示された加熱管12のVII-VII断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示された加熱管12のVIII-VIII断面図である。
【
図10】
図10は、ロータリーキルン10Aの縦断正面図である。
【
図11】
図11は、ロータリーキルン10Bの縦断正面図である。
【
図13】
図13は、ロータリーキルン10Cの縦断正面図である。
【
図14】
図14は、ロータリーキルン10Cの縦断正面図である。
【
図16】
図16は、内筒15と熱風供給管17との接続構造を示す縦断正面図である。
【
図18】
図18は、排気管82の取付構造を示す側面図である。
【
図19】
図19は、分岐管16の支持構造の他の形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚みなど)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0010】
《ロータリーキルン10》
図1は、ロータリーキルン10の縦断正面図である。ロータリーキルン10は、
図1に示されているように、加熱管12と、材料供給部13と、材料回収部14と、内筒15と、分岐管16と、熱風供給管17と、駆動機構18と、排気ダクト20とを備えている。
【0011】
〈加熱管12〉
図1に示された形態では、ロータリーキルン10の加熱管12は、略円筒形の管であり、軸が水平に描かれているが、実際には所定の角度の勾配が設定されている。加熱管12は、第1端12a側が第2端12b側よりも高く配置されている。加熱管12は、材料を加熱する加熱炉として、所要の長さを有しているとよい。ここで、加熱管12は、円筒形の管であるが、フランジなどが設けられていてもよく、細部において完全な円筒でなくてもよい。
【0012】
ここで、供給される材料としては、例えば、セラミック粉体、例えば、チタン酸バリウム粉体、金属粉体、例えば、フェライト粉体であり、これらの粉体状の材料の焼成に用いられる。かかる観点で、加熱管12には、加熱する材料や加熱する際の雰囲気ガスに応じて、所要の耐食性が要求される。この実施形態では、加熱管12には、ステンレス(例えば、SUS316)が用いられうる。用途によっては、加熱管12はセラミック製であってもよい。
【0013】
加熱管12は、適宜に、「炉芯管」などと称される。この実施形態では、加熱管12の第1端12a側の端部と、第2端12b側の端部にそれぞれフランジ12a1,12b1が設けられている。この実施形態では、加熱管12は、第1端12a側が第2端12b側よりも高く配置されているので、加熱管12の回転に応じて、材料が所定の速度で下方に搬送される。かかる観点で、加熱管12は、例えば、0.5度~1度程度の角度の勾配で設置されているとよい。0.5度~1度程度の角度の勾配であれば粉体状の材料が滑り落ちにくく、加熱管12の回転に応じて適切な速度で、粉体状の材料が運ばれやすい。このため、加熱管12の回転速度が調整されることによって、材料が加熱管12内に滞留する時間などが調整されうる。なお、勾配の角度については、上記に限定されず、適当な角度、例えば、0.3度~2度程度の角度が選定されてもよい。
【0014】
なお、
図1に示された形態では、第1端12a側が第2端12b側よりも高く配置されるように、加熱管12に勾配が設けられている。加熱管12は、特に言及されない限りにおいて、このように勾配が設けられた形態に限定されない。例えば、加熱管12の回転に従って第1端12a側から第2端12b側に向けて粉体状の材料が送られるように加熱管12の内周面に螺旋状に羽根が設けられていてもよい。この場合、加熱管12の回転に従って第1端12a側から第2端12b側に向けて粉体状の材料が送られるので、加熱管12に勾配がなくてもよい。このように加熱管12は、周方向回転に従って第1端12a側から第2端12b側に向けて粉体状の材料が送られるように構成されているとよい。
【0015】
〈加熱室25〉
図1に示された形態では、ロータリーキルン10は、さらにトンネル状の炉体27と、ヒータ26とを備えている。炉体27は、内部に加熱室25を有している。この実施形態では、加熱室25は、例えば、所定の形状に成形されたセラミックファイバーボードが重ねられて形成された炉壁で囲われているとよい。セラミックファイバーボードは、例えば、いわゆるバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とが添加されて板状に成形された板材である。炉壁の厚さは、加熱室25の熱が十分に断熱される程度の所要の厚さに設定されている。ヒータ26は、加熱室25において被処理物を加熱する装置である。加熱管12は、
図1に示されているように、加熱室25に挿通され、かつ、回転可能に支持されているとよい。この実施形態では、加熱室25は、加熱管12が挿通される方向において、いくつかの空間に仕切る仕切り28が設けられている。仕切り28は、加熱室25を構成する炉壁と同様にセラミックファイバーボードで構成されているとよい。このように、加熱室25がいくつかの空間に仕切られていることで、加熱管12を外から所定の温度に加熱することができる。加熱管12の温度が部分的に調整される。
【0016】
図2は、
図1のII-II側面矢視図である。
図2では、加熱管12の第1端12a側の端部が示されている。
図2に示されているように、フランジ12a1は、加熱管12の第1端12a側の端部に間欠的に設けられている。この実施形態では、フランジ12a1は、周方向に4つ均等に配置されている。フランジ12a1には、材料供給部13および分岐管16の端部を支持する支持プレート12a2が装着されている。この実施形態では、支持プレート12a2は、加熱管12の第1端12a側の端部に装着されており、加熱管12の第1端12a側の開口を閉じている。また、加熱管12の第1端12a側では、分岐管16の端部16aが、支持プレート12a2を貫通しており、加熱管12の第1端12a側から外に露出している。加熱管12の第1端12a側には、分岐管16の端部16aを覆うように排気ダクト20が設けられている。
【0017】
〈材料供給部13〉
材料供給部13は、加熱管12の第1端12a側に設けられており、処理される材料を加熱管12内に供給する部位である。この実施形態では、材料供給部13は、スクリューフィーダ40で構成されている。材料供給部13としてのスクリューフィーダ40の排出口41は、支持プレート12a2を貫通して加熱管12内に挿入されている。この実施形態では、図示は省略するが供給ホッパからスクリューフィーダ40によって材料が所定の速度で加熱管12内に供給されるように構成されている。加熱管12内には、スクリューフィーダ40を通じて材料を加熱する際の雰囲気ガスが供給されてもよい。また、加熱管12には、別途、加熱する際の雰囲気ガスを供給するためのガス供給管が設けられていてもよい。
【0018】
〈排気ダクト20〉
排気ダクト20は、加熱管12の第1端12a側を覆っている。材料供給部13を構成するスクリューフィーダ40は、排気ダクト20および支持プレート12a2を貫通して加熱管12内に到達している。ここで、スクリューフィーダ40が排気ダクト20を貫通する部位には、シール材42が装着されている。排気ダクト20は、加熱管12の第1端12a側を覆う部材である。
【0019】
排気ダクト20の上方には、排気口21が設けられている。また、排気ダクト20の下部にはドレン22が設けられているとよい。加熱管12の第1端12a側の端部の外周面には、断熱管46が取り付けられている。排気ダクト20には、開口44が形成されている。開口44には、加熱管12の第1端12a側の端部が挿入されている。この実施形態では、加熱管12の第1端12a側の端部には、断熱管46が装着されており、断熱管46には、シール部材48が取付けられている。シール部材48は、排気ダクト20内の雰囲気が外部に漏れることを防止する部材であり、排気ダクト20の開口44と加熱管12に装着された断熱管46との間隙を塞いでいる。
【0020】
図3は、
図1のIII-III側面矢視図である。
図3では、加熱管12の第2端12b側の端部が示されている。
図3に示されているように、フランジ12b1は、加熱管12の第2端12b側の端部に間欠的に設けられている。この実施形態では、フランジ12b1は、周方向に4つ均等に配置されている。フランジ12b1には、内筒15が支持されている。
【0021】
〈内筒15〉
内筒15は、加熱管12の第2端12b側において、加熱管12の中心部に挿入された状態で支持され、かつ、加熱管12と一緒に回転する配管である。この実施形態では、内筒15は、第1内筒15aと第2内筒15bとで構成されている。第1内筒15aの外径は、加熱管12の内径よりも小さく、第1内筒15aの端部にはフランジ31が設けられており、第2内筒15bのフランジ32がカップリングによって接続されている。第2内筒15bは、第1内筒15aと同じ内径を有し、熱風供給管17が挿入される配管である。第1内筒15aはフランジ31には外径方向に延びるようにリブ33が設けられている。第1内筒15aの第2端12b側のフランジ12b1は、かかるリブ33に取り付けられている。これにより、第1内筒15aは、リブ33を介して加熱管12の中心軸に沿って延びた状態で支持されている。
図1および
図3に示されているように、加熱管12の第2端12b側の端部では、第1内筒15aの外側の間隙が開口しており、材料が排出される排出口12b2となる。また、この実施形態では、内筒15は、円筒である。このため、加熱管12の径方向において、内筒15の外周面と加熱管12の内周面との間に大凡一定の間隙が形成される。
【0022】
〈材料回収部14〉
材料回収部14は、かかる加熱管12の第2端12b側に設けられている。材料回収部14は、加熱管12の排出口12b2から排出される材料が回収される部位である。この実施形態では、材料回収部14は、加熱管12の第2端12b側の端部の外側に設けられている。材料回収部14は、ケーシング51と、ホッパ52と、内筒カバー53とを備えている。
【0023】
〈ケーシング51〉
ケーシング51は、加熱管12の第2端12b側の端部の外側を覆う略角型の容器形状を有する部材である。ケーシング51の一側面には、開口54が形成されている。開口54には、加熱管12の第2端12b側の端部が挿入されている。この実施形態では、加熱管12の第2端12b側の端部には、断熱管56が装着されており、断熱管56には、シール部材58が取付けられている。シール部材58は、ケーシング51内の雰囲気が外部に漏れることを防止する部材であり、ケーシング51の開口54と加熱管12に装着された断熱管56との間隙を塞いでいる。
【0024】
ケーシング51の開口54に対向する側面には、開口55が形成されている。開口55には、内筒カバー53が取り付けられている。内筒カバー53は、加熱管12の第2端12b側の端部から突出した第1内筒15aに接続された第2内筒15bの周りを覆う部材である。第2内筒15bは、シール付き軸受36を介して内筒カバー53の内側面に回転可能に支持されている。内筒カバー53には、熱風発生装置60の熱風供給管17が取り付けられている。熱風供給管17は、加熱管の外に延びた内筒15の一端に挿入された状態で、内筒15に対して相対回転可能に支持されている。この実施形態では、熱風供給管17は、内筒15の一部をなす第2内筒15bの一端に挿入されている。
【0025】
〈熱風発生装置60〉
ここで、熱風発生装置60は、例えば、ガスバーナやオイルバーナでありうる。また、熱風発生装置60は、外部に設けられたボイラーであってもよい。熱風供給管17は、熱風発生装置60の熱風を第2内筒15bに供給する部材である。第2内筒15bに供給された熱風は、第1内筒15aに供給される。ここで、第2内筒15bの内周面と熱風供給管17の外周面との間には、シール付き軸受37が装着されている。第2内筒15bは、シール付き軸受37によって、熱風供給管17に対して回転可能に支持されている。このため、内筒15は回転するが、熱風供給管17は回転しない。また、第2内筒15bの端部には、熱風供給管17の周りにシール38が装着されている。シール38によって、第2内筒15b内に供給される熱風の雰囲気が、ケーシング51内に漏れないように構成されている。さらに、内筒カバー53の端部にも、熱風供給管17の周りにシール39が装着されている。シール39によって、内筒カバー53を通じてケーシング51内の雰囲気が外部に漏れないように構成されている。
【0026】
〈ホッパ52〉
ホッパ52は、ケーシング51の底に設けられている。この実施形態では、ホッパ52は、ケーシング51の底に向かうにつれて間隔が狭くなるように両側が傾斜した底面を有している。加熱管12の第2端12b側の端部からケーシング51に排出された熱処理済みの材料は、ケーシング51の底に設けられたホッパ52を通じて集められて回収される。ホッパ52の底には、開閉可能な弁52aが取り付けられている。また、図示は省略するが回収容器が配置される。ホッパ52は、弁52aが適宜に開閉されてホッパ52を通じて集められた処理済みの材料が回収容器に移される。
【0027】
〈分岐管16〉
分岐管16は、加熱管12の中で内筒15の外周面において周方向に複数設けられ、かつ、それぞれ内筒15から分岐し、かつ、加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びた複数の配管で構成されている。
【0028】
ここで、
図4は、
図1に示された加熱管12のIV-IV断面図である。
図5は、
図1に示された加熱管12のV-V断面図である。
図4,
図5には、それぞれ内筒15から分岐する分岐管16の基端部が示されている。この実施形態では、内筒15は、加熱管12の第2端12b側の端部から所定の長さ加熱管12の中に延びている。加熱管12の中では、12本の分岐管16が内筒15から分岐している。12本の分岐管16は、内筒15の周りに周方向に均等に配置されており、それぞれ加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びている。
【0029】
この実施形態では、
図4に示されているように、6本の分岐管16は、加熱管12の第2端12b側の端部から所定の長さ中に入ったところで、内筒15から分岐している。この6本の分岐管16は、内筒15の周りにおいて周方向に均等に配置されており、
図1に示されているように、それぞれ加熱管12の内周面に沿って第1端12a側に向けて軸方向に延びている。他の6本の分岐管16は、
図5に示されているように、加熱管12の第2端12b側の端部からさらに所定の長さ中に入ったところで内筒15から分岐している。この6本の分岐管16は、先に分岐した6本の分岐管16の間に配置されており、それぞれ加熱管12の内周面に沿って第1端12a側に向けて軸方向に延びている。このように、この実施形態では、12本の分岐管16が、内筒15の周りにおいて周方向に均等に配置され、それぞれ加熱管12の内周面に沿って第1端12a側に向けて軸方向に延びている。
【0030】
この実施形態では、内筒15から分岐した複数の分岐管16は、内筒15の長さ方向において異なる位置で分岐している。この場合、分岐管16が分岐する部位が分散し、内筒15の強度が保たれるとともに、内筒15および分岐管16が作製し易くなる。また、この実施形態では、分岐管16は、円筒であり、断面が円形である。
【0031】
図6は、
図1に示された加熱管12のVI-VI断面図である。
図7は、
図1に示された加熱管12のVII-VII断面図である。
図6,
図7には、それぞれ内筒15から分岐する分岐管16の中間部を支持するサポート61,62が示されている。サポート61は、分岐管16の中間部において第2端側に配置されている。この実施形態では、サポート61は、12本の分岐管16のうち周方向に均等に配置された6本の分岐管16をサポートしている。サポート61は、中心部から放射状に延びたアーム61aを有しており、アーム61aの先端に分岐管16が保持されている。サポート62は、12本の分岐管16のうち周方向に均等に配置された他の6本の分岐管16をサポートしている。サポート62は、中心部から放射状に延びたアーム62aを有しており、アーム62aの先端に分岐管16が保持されている。この実施形態では、サポート61とサポート62は、加熱管12において周方向に30度ずれ、それぞれ6本の分岐管16を保持している。加熱管12の第1端12a側から第2端12b側に向かう材料は、サポート61,62のアーム61a,62aの間隙を通過する。このようなサポート61,62は、分岐管16の長さ方向において複数設けられていてもよい。
【0032】
ここで、加熱管12に配置される分岐管16について説明したが、分岐管16の構成は、この実施形態に限定されない。この実施形態では、複数の分岐管16は、12本であるが、分岐管の数は12本に限定されない。また、上述した実施形態では、複数の分岐管16は、周方向において均等に配置されているが、必ずしも均等に配置されていなくてもよい。分岐管16の中間部を支持するサポートは、加熱管12や分岐管16が短い場合などでは、必ずしも取付けられていなくてもよい。
【0033】
〈駆動機構18〉
駆動機構18は、加熱管12を回転させる機構である。加熱管12は、第1端12a側の端部に断熱管46が装着されており、第2端12b側の端部に断熱管56が装着されている。第1端12a側の断熱管46の外側には、チェーンスプロケット18aと、タイヤ18bとが装着されている。第2端12b側の断熱管56の外側には、タイヤ18cが装着されている。タイヤ18b,18cは、それぞれローラ18d,18eで支持されている。これにより、タイヤ18b,18cを介して加熱管12の両端が回転可能に支持されている。
【0034】
図8は、
図1に示された加熱管12のVIII-VIII断面図である。
図8では、加熱管12の外周に取り付けられたチェーンスプロケット18aが図示されている。この実施形態では、チェーンスプロケット18aは、
図8に示されているように、加熱管12の第1端12a側に設けられた断熱管46の外側に取り付けられている。チェーンスプロケット18aには、
図8に示されているように、チェーン18fが巻き掛けられている。チェーン18fは、図示されていない駆動装置から駆動力を得てチェーンスプロケット18aを回転させて加熱管12を回転させる。この実施形態では、加熱管12と内筒15と分岐管16とは繋がっており、加熱管12が回転すると、加熱管12と内筒15と分岐管16とが一体的に回転する。チェーンスプロケット18aは、半割型の部材であり、加熱管12の外周において断熱管46の外側に取付けられている。なお、
図8では、分岐管16など、加熱管12の内部の図示は適宜省略されている。
【0035】
図1に示されたロータリーキルン10では、材料は加熱管12の第1端12a側に取付けられたスクリューフィーダ40から加熱管12に供給される。材料は、所定の速度でスクリューフィーダ40から加熱管12内に送られる。
図9は、加熱管12の断面図である。
図9では、加熱管12に供給された材料M1が示されている。加熱管12は、上述のように、第1端12a側が第2端12b側よりも高くなるように勾配がつけられている。加熱管12は、駆動機構18によって所定の速度で回転する。スクリューフィーダ40から加熱管12内に供給された材料は、
図9に示されているように、加熱管12が回転することで均され、加熱管12の下部に所定の深さで溜まりつつ第2端12b側に徐々に流れていく。
【0036】
この実施形態では、内筒15は円筒であり、加熱管12の径方向において、内筒15の外周面と加熱管12の内周面との間に大凡一定の間隙が形成されている。材料M1は、例えば、内筒15の外周面に当たらない程度の深さで供給されるとよい。これにより、材料M1が内筒15に直接触れず、内筒15から材料M1への伝熱が抑えられる。加熱管12の中には、上述のように複数の分岐管16が加熱管の内周面に沿って軸方向に延びている。分岐管16は、加熱管12の中で加熱管12と一体となって回転する。このため、加熱管12の材料は、加熱管12の下方に貯まっているが、加熱管12が回転する際に、分岐管16によって持ち上げられては落とされることが繰り返される。このため、加熱管12内に供給された材料は、加熱管12内で徐々に第2端12b側に流れていくに従って次第に混ぜられていく。この実施形態では、分岐管16が円筒であるので、材料M1は、滑らかに分岐管16から滑り落ちる。このため、材料M1が加熱管12の中で飛散しにくい。
【0037】
他方で、分岐管16には、第1端12a側に設けられた内筒15から分岐している。内筒15には、熱風供給管17が接続されており、内筒15に熱風が供給される。内筒15および分岐管16は、加熱管12と同様に第1端12a側が高くなるように勾配が付いている。このため、内筒15に供給された熱風は、内筒15から分岐管16に向けて上昇していく。分岐管16は、加熱管12の第2端12b側に配置された支持プレート12a2を貫通しており、排気ダクト20内に開口している。このため、熱風雰囲気は、排気ダクト20に放出される。
【0038】
排気ダクト20内のガスは、加熱室25に流入しないように構成されているとよい。この実施形態では、排気口21の下流に排気ファン21aが設けられている。これにより、排気ダクト20内は、加熱室25内に対して低い圧力に維持され、排気ダクト20内から加熱室25へのガスの流入が抑止されている。また、この実施形態では、分岐管16が加熱管12の第1端12a側から加熱管12の外に延びており、加熱管12の第1端12a側の外に分岐管16の出口を覆う排気ダクト20を有する。このため、分岐管16を通って排気される熱気が排気ダクト20を通じて排気される。排気ダクト20内では、加熱室25内の雰囲気ガスと燃焼ガスとが混ざりうる。しかし、混合されたガスは、加熱室25内に流入しにくい。また、加熱管12内では、分岐管16によって熱風雰囲気の流路が分かれている。このため、加熱管12内の雰囲気ガスと分岐管16を通る熱風雰囲気とは加熱室25内で混ざりにくく、加熱管12内の粉体材料を適切な雰囲気で加熱することができる。なお、ドレン22には、蓋またはバルブが設けられているとよく、通常運転時において、ドレン22から排気ダクト20内に外気が流入しないように構成されているとよい。
【0039】
材料M1は、加熱管12が回転する際に、分岐管16によって持ち上げられては落とされることが繰り返されつつ、第2端12b側に流れていく。この際、分岐管16から熱を受けて徐々に加熱されていく。また、分岐管16は、加熱管12の中で内筒15の外周面において周方向に複数設けられ、それぞれ内筒15から分岐し、かつ、加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びている。このため、加熱管12を流通する材料M1と分岐管16との接触面積が大きく、材料M1が短時間で加熱される。例えば、材料M1の乾燥に用いられる場合には、乾燥に要する時間が短縮される。
【0040】
また、この実施形態では、ヒータ26が配置されたトンネル状の炉体27を有する加熱室25を備え、加熱管12は、炉体27を貫通し、回転可能に支持されている。このため、加熱管12の外側の温度が安定する。例えば、この実施形態では、トンネル状の炉体27には、仕切り28が設けられている。炉体27の中は、仕切り28によって、挿通された方向において3つの空間A1~A3に仕切られている。
【0041】
さらに、加熱管12の第1端12a側は、加熱室25からはみ出て外側に延びている。分岐管16に流通する熱風の温度は、第2端12b側から第1端12a側に向けて徐々に下がっていく。このため、加熱管12の第1端12a側で加熱室25からはみ出て外側に延びた部分A4では、加熱室25内の他の部分よりも温度が低い。また、当該部分A4は、スクリューフィーダ40から材料が投入される部分であり、スクリューフィーダ40から投入された材料が徐々に加熱される予熱領域となりうる。
【0042】
材料は、加熱室25内の3つの空間A1~A3で、加熱管12内で加熱される。当該空間A1~A3に配置された部位では、加熱管12の外が炉体27に設けられたヒータ26で温められる。このため、加熱管12内の温度が適切な温度に調整されやすい。しがたって、材料は、加熱室25内の3つの空間A1~A3で、段階的に所定の温度に調整されつつ、熱処理される。さらに、加熱管12の第2端12b側は、加熱室25からはみ出て外側に延びている。この実施形態では、分岐管16は、第2端12b側から見て加熱管12が炉体27に入るところで、内筒15から分岐している。このため、加熱管12の第2端12b側で加熱室25からはみ出た部分A5では、材料M1は、内筒15からの熱を受ける程度である。このため、材料M1の温度が徐々に冷めていく。このため、材料回収部14で加熱管12からケーシング51に排出される材料は、炉体27内よりも冷めており、後工程で処理しやすい温度になっている。なお、この実施形態では、加熱管12の外側に加熱室25が設けられているが、加熱室25は、特段、言及されない限りにおいて設けられていなくてもよい。
【0043】
内筒15および分岐管16を通じて加熱管12の第2端12b側から熱風が供給される。熱風の温度は、加熱管12の第2端12b側から第1端12a側に向かうにつれて徐々に下がっていく。これに対して、材料は、第1端12a側に供給され、徐々に第2端12b側に向けて流れていく。材料は、第1端12a側に供給され、分岐管16に触れて第2端12b側に向かうにつれて徐々に加熱されていく。例えば、加熱管12内で材料M1を350℃にしたい場合には、加熱管12内で分岐管16が所定の温度になるように設定されているとよい。材料M1は、加熱管12内において分岐管16に直接触れて加熱されるので、比較的短時間に所定の温度に加熱される。このため、加熱管12内での滞留時間を短縮できる。また、加熱管12の第2端12b側では、材料M1が分岐管16に直接触れない部分A5があり、当該部分では、材料は冷めやすい。このため、材料M1は、炉体27内よりも冷めた状態で排出されるので、後工程で扱いやすくなる。
【0044】
このように、この実施形態では、加熱管12と、材料供給部13と、材料回収部14と、内筒15と、分岐管16と、熱風供給管17と、駆動機構18とを備えている。ここで、加熱管12は、第1端12a側が第2端12b側よりも高く配置された略円筒形の管である。材料供給部13は、加熱管12の第1端12a側に設けられている。材料回収部14は、加熱管12の第2端12b側に設けられている。内筒15は、加熱管12の第2端12b側において、加熱管12の中心部に挿入された状態で加熱管12に支持された筒である。分岐管16は、加熱管12の中で内筒15の外周面において周方向に複数設けられている。分岐管16は、それぞれ内筒15から分岐しており、かつ、加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びている。熱風供給管17は、加熱管12の外に延びた内筒15の一端に挿入された状態で、内筒15に対して相対回転可能に支持されている。駆動機構18は、加熱管12と内筒15と分岐管16とを一体的に回転させる。
【0045】
かかるロータリーキルン10によれば、材料供給部13から加熱管12の第1端12a側に供給された材料M1は、
図9に示されているように、加熱管12内を第2端12b側に流れながら分岐管16と接触し、混ぜられつつ、加熱される。このため、材料M1への伝熱効率がよく、材料M1を短時間で乾燥させたり、焼成させたりすることができる。また、熱風は、内筒15および分岐管16を通り、加熱管12内の雰囲気ガスと混ざらない。そして、加熱管12内では、材料M1の熱処理に適した雰囲気(例えば、N
2雰囲気)を作ることができる。また、分岐管16が分岐した位置よりも第2端12b側では、材料M1の加熱が抑制される。このため、材料M1の温度が少し下がって排出される。
【0046】
また、分岐管16には円筒が用いられているとよい。これにより、加熱管12内で、材料M1が飛散するのが抑制される。また、内筒15は、円筒が用いられているとよい。これにより、加熱管12の内周面と内筒15との間に所定の深さの空間が形成される。かかる空間を材料M1が流れる深さを調整することによって、内筒15に接触させずに材料M1を流すことができる。これにより、分岐管16が分岐した位置よりも第2端12b側で、材料M1の加熱がより確実に抑制される。
【0047】
図10は、ロータリーキルン10Aの縦断正面図である。この実施形態では、ロータリーキルン10Aでは、分岐管16は、加熱管12の中間部において加熱管12の外に延びている。排気ダクト20Aは、加熱管12の外に延びた分岐管16の出口を覆うように加熱管12の中間部に配置されている。
図10に示された形態では、排気ダクト20Aは、加熱管12の中間部において周方向に連続した環状のダクトである。排気ダクト20Aの上部には、回収された熱風雰囲気を排気する排気口21Aが設けられている。
図10に示された形態では、分岐管16の先端部を支持するサポート63,64が設けられている。サポート63,64は、それぞれ上述したサポート61,62(
図6,
図7参照)と同様に加熱管12の中心部から放射状に延びたアームを有しているとよい。この場合、分岐管16が加熱管12の中間部まで延びているが、それよりも第1端12a側では、加熱管12には、分岐管16がない。第1端12a側の予熱領域A4では、スクリューフィーダ40から供給された材料が分岐管16に当たる前にゆっくりと温められる。
【0048】
また、
図10に示された形態では、加熱管12の中間部で分岐管16が外に出ているので、分岐管16を流れる熱風雰囲気が加熱管12内に入り込む余地がない。また、分岐管16は、加熱管12の中間部に置いて、加熱管12の気密性が維持される状態で加熱管12を貫通し、加熱管12の外に延びているとよい。この場合、加熱管12内の雰囲気ガスに熱風雰囲気が混ざらないので、加熱管12内の雰囲気ガスを安定させやすい。さらに、
図10に示された形態では、加熱管12の第1端12a側の排気ダクト20から回収される加熱管12内の雰囲気ガスと、排気ダクト20Aで回収される分岐管16から排出される熱風雰囲気とを、それぞれ熱交換器70に送り熱交換させてもよい。そして、熱交換器70で温められた雰囲気ガスを第2端12b側から加熱管12に供給してもよい。また、熱交換器70で廃熱された熱風雰囲気を再度、熱風発生装置60に供給して、内筒15から分岐管16に供給するようにしてもよい。これにより、ロータリーキルン10Aの熱効率を向上させてもよい。
【0049】
図11は、ロータリーキルン10Bの縦断正面図である。
図12は、
図11のXII-XII断面図である。この実施形態では、ロータリーキルン10Bは、加熱管12の中心部に配置され、分岐管16が接続されたマニホールド81と、マニホールド81から加熱管12の外に延びた少なくとも1つの排気管82とを有している。この実施形態では、マニホールド81は、両端が閉じられた円筒形の筒体であり、加熱管12の内周面に沿って軸方向に延びた分岐管16がマニホールド81の内部に繋がるように、分岐管16が内径側に曲げられてマニホールド81の外周面に接続されている。この実施形態では、
図12に示されているように、マニホールド81には、4本の排気管82が設けられている。4本の排気管82は、マニホールド81の周方向において均等に配置されており、それぞれマニホールド81の外径方向に延び、加熱管12を貫通している。排気管82の先端は、加熱管12の回転方向とは反対方向に曲げられて開口している。例えば、
図12では、加熱管12は、反時計回り(左回り)に回転するのに対して、排気管82の先端は右側に曲げられている。これにより、加熱管12の回転に応じて、排気管82からスムーズに熱風が排気される。
【0050】
排気ダクト20Bは、かかる加熱管12の外側で排気管82の先端を覆うように、加熱管12の中間部において周方向に連続した環状のダクトで構成されている。排気ダクト20Bの上部には、回収された熱風雰囲気を排気する排気口21Bが設けられている。この場合も、第1端12a側の予熱領域A4では、スクリューフィーダ40から供給された材料が分岐管16に当たる前にゆっくりと温められる。また、マニホールド81が設けられているので、分岐管16に熱風が供給されることによって、分岐管16に生じるビビりなどが抑制されうる。
【0051】
ところで、上記のようなロータリーキルン10では、運転中、各部材の温度にばらつきが大きくなる。例えば、加熱管12は、炉体27内に配置される部位が、外側からヒータ26で加熱される。このため、炉体27内に配置される部位は、炉体27の外に配置される部位よりも温度が高くなる。また、加熱管12の内側では、内筒15および分岐管16に熱風が流通しており、それぞれ熱風によって加熱される。マニホールド81や排気管82なども、それぞれ流通する熱風によって加熱される。また、内筒15および分岐管16は、流れる熱風雰囲気の温度が徐々に下がっていく。このように、加熱管12、内筒15、分岐管16などは、運転中、それぞれ使用環境に応じて温度が変動する。このため、運転中は、加熱管12、内筒15および分岐管16が、それぞれの部位の使用環境に応じて、熱膨張する。加熱管12、内筒15および分岐管16は、それぞれ管構造であるため、熱膨張によって径方向および長さ方向に伸びる。
【0052】
このように、運転中は、ロータリーキルン10の各部材は、使用前に比べて部材の長さや径が異なりうる。ロータリーキルン10のサイズが大きくなればなるほど、熱膨張による寸法変化が大きくなる。このような事情において、ロータリーキルン10の各部材を、溶接などで固定してしまうと、熱膨張による各部材の伸びの差を吸収できず、接合部などに歪みが溜まり、故障の原因になりうる。以下、各部材の熱膨張を考慮したロータリーキルン10の構造を例示する。
【0053】
例えば、ロータリーキルン10の内筒15は、加熱管12に対してバネを介して支持されているとよい。この場合、熱膨張によって内筒15と加熱管12とに、寸法差が生じた場合でも、内筒15は、加熱管12に対してバネ101を介して支持されているので、加熱管12に内筒15が取り付けられている部位が相対的にずれることが許容される。内筒15が、加熱管12に対してバネ101を介して支持される構造には、種々の構造が採用されうる。
【0054】
図13および
図14は、ロータリーキルン10Cの縦断正面図である。このうち、
図13には、加熱管12の第1端12a側の端部の構造が示されている。
図14は、加熱管12の第2端12b側の端部の構造が示されている。
図15は、
図14中のXV-XV矢視図である。
図15は、加熱管12の第1端12a側の端部を示している。
【0055】
〈第1バネ101〉
この実施形態では、内筒15は、
図14および
図15に示されているように、加熱管12の第2端12b側の端部に設けられた第1バネ101を介して支持されている。第1バネ101は、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材101aで構成されている。この実施形態では、複数のバネ材101aは、それぞれ内筒15から加熱管12の径方向に沿って延びている。具体的には、内筒15の外周にブラケット104が取り付けられている。ブラケット104には、複数のバネ材101aの一端を取り付けるための取り付け部が設けられている。この実施形態では、8個のバネ材101aが、周方向に均等に配置されている。バネ材101aは、それぞれ板バネで構成されている。バネ材101aは、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に向けられ、かつ、加熱管12の径方向に沿って配置されている。バネ材101aの長さ方向の中間部101a1は湾曲している。
【0056】
加熱管12に対して内筒15の位置がずれ、バネ材101aが取り付けられた距離が伸びると、かかるバネ材101aは、湾曲した中間部が延びる。また、加熱管12に対して内筒15の位置がずれ、バネ材101aが取り付けられた距離が短くなると、中間部が湾曲し、元の形状に戻る。
【0057】
加熱管12の第2端12b側の端部は、熱膨張によって加熱管12と内筒15とに寸法変化が生じた場合に、内筒15に対してずれる。例えば、熱膨張で加熱管12が伸びた場合に、加熱管12の第2端12b側の端部は、内筒15に対して軸方向にずれ、熱膨張が大きくなればなるほどずれが大きくなる。この実施形態では、内筒15は、加熱管12の第2端12b側の端部に設けられた第1バネ101を介して接続されている。このため、使用中、熱膨張によって加熱管12と内筒15とに寸法変化が生じ、接続部位にずれが生じても、内筒15と加熱管12とが接続された状態で維持される。また、内筒15は、加熱管12の第2端12b側の端部に設けられた第1バネ101を介して接続されているので、内筒15と加熱管12との接続部位に大きな歪が生じにくい。
【0058】
この実施形態では、さらに加熱管12に対して内筒15が、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材101aによって接続されている。このため、使用中、内筒15が加熱管12の中心に維持されやすい。さらに、この実施形態では、複数のバネ材101aは、それぞれ内筒15から加熱管12の径方向に沿って延びている。このため、使用中、内筒15が周方向においてバネ材101aからそれぞれ弾性反力を受け、上手くバランスが取られることによって加熱管12の中心部に維持される。さらに、この実施形態では、複数のバネ材101aは、それぞれ径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されているとよい。湾曲した中間部が伸びたり縮んだりすることで、熱膨張によって加熱管12に対して内筒15の位置がずれた場合でもずれが吸収される。かかる観点で、加熱管12と内筒15とを繋ぐバネ材101aは、所要の剛性(弾性)を備えているとよい。また、バネ材101aは、加熱管12内で使用されるため、所要の耐熱性、および、加熱管12内の雰囲気に対して所要の耐食性を有しているとよい。
【0059】
この実施形態では、熱膨張によって加熱管12に対して内筒15の位置がずれた場合でも、内筒15が加熱管12の中心に維持される。このため、例えば、加熱管12の中心軸に沿って固定的に配置される熱風供給管17に対して内筒15がずれにくい。
【0060】
図16は、内筒15と熱風供給管17との接続構造を示す縦断正面図である。この実施形態では、
図16に示されているように、内筒15は、材料回収部14の開口55に設けられた管部110に挿通されている。管部110は、フレキシブルパイプで構成されているとよい。また、内筒15の外周には、断熱管112が取り付けられている。管部110と断熱管112の接続部には、グランドシール113が取り付けられている。また、断熱管112は、カムフォロア114を介して管部110に取り付けられている。カムフォロア114によって、内筒15および断熱管112は、材料回収部14の管部110に対して回転可能に支持されている。また、管部110は、フレキシブルパイプで構成されているので、熱膨張によって、材料回収部14の開口55に対して内筒15が伸びても、その接続位置のずれが吸収される。
【0061】
内筒15の端部には、フランジ115が設けられており、筒状の第1カバー121が取り付けられている。他方で、内筒15に挿通される熱風供給管17には、筒状の第2カバー122が取り付けられている。第2カバー122は、内筒15の端部に取り付けられた第1カバー121よりも外径が小さく、第1カバー121の内側に挿通されている。第1カバー121と第2カバー122との間には、グランドシール123が取り付けられている。熱風供給管17の基端部にはフランジ126が設けられている。フランジ126にはフレキシブルパイプ127が取り付けられている。第2カバー122の端部には、フランジ122aが設けられており、フレキシブルパイプ127が連結されている。第2カバー122と熱風供給管17とが、フレキシブルパイプ127を介して連結されていることによって、熱膨張によって、内筒15が伸び、第2カバー122が熱風供給管17に対して内筒15の端部がずれても、そのずれが吸収される。
【0062】
第2カバー122のフランジ122aには、軸方向に沿って第1カバー121の外側に延びたシャフト128が取り付けられている。シャフト128は、周方向に間欠的に取り付けられており、シャフト128の先端にカムフォロア129が取り付けられている。カムフォロア129は、第1カバー121の外周に当たり、第1カバー121を回転可能に支持している。第1カバー121と第2カバー122との接合部の周りには、ダクト130が設けられている。
【0063】
ロータリーキルン10Cは、
図13に示されているように、加熱管12の第1端12a側において、分岐管16の端部がそれぞれ接続されたマニホールド81を備えている。マニホールド81は、加熱管12の中心部に配置されている。この実施形態では、マニホールド81は、2重の管構造を有する部材である。マニホールド81の内側の管81aと外側の管81bとの間には、分岐管16が接続される排気用の空間81cを有している。マニホールド81の前後の端部が閉じられている。マニホールド81の外側の管81bからは、径方向に伸びる排気管82が設けられている。排気管82は、加熱管12に形成された貫通孔を通して加熱管12の外に延びている。
図17は、
図13中のXVII-XVII矢視図である。換言すると、
図17は、加熱管12の第1端12a側から加熱管12の軸方向に沿ってマニホールド81の端部を見た左側面図である。排気管82は、周方向に複数(
図17に示された例では、6つ)設けられている。このように、マニホールド81は、マニホールド81から加熱管12の外に延びた少なくとも1つの排気管82を有しているとよい。
【0064】
図17に示されているように、この実施形態では、マニホールド81は、加熱管12に第2バネ102を介して支持されている。第2バネ102は、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材102aで構成されている。
図17に示された形態では、6個のバネ材102aが、マニホールド81の周方向に均等に配置されている。第2バネ102を構成する6個のバネ材102aは、それぞれ内筒15から加熱管12の径方向に沿って延びている。また、バネ材102aは、それぞれ径方向に沿った長さ方向の中間部102a1が湾曲した板バネで構成されている。バネ材102aは、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に向けられている。また、この実施形態では、バネ材102aの一端は、マニホールド81の第1端側の端部に取り付けられている。6個のバネ材102aは、マニホールド81の周方向において、6つの排気管82の間に配置されている。バネ材102aの端部は、例えば、ボルトナットなどの締結部材で取り付けられているとよい。また、ボルトナットが採用される場合には、緩み止め機能を備えたボルトナットが採用されるとよい。また、バネ材102aの端部は、ボルトナットによって締結され、ボルトナットが緩まないように、ボルトとナットがそれぞれ溶接されていてもよい。
【0065】
図13および
図17に示されているように、分岐管16は、マニホールド81に接続されているとよい。また、マニホールド81は、加熱管12に第2バネ102を介して接続されているとよい。マニホールド81が、加熱管12に第2バネ102を介して接続されている。このため、使用中、熱膨張によって加熱管12とマニホールド81とに寸法変化が生じ、接続部位にずれが生じても、マニホールド81と加熱管12とが接続された状態で維持される。また、マニホールド81は、加熱管12に設けられた第2バネ102を介して接続されているので、マニホールド81と加熱管12との接続部位に大きな歪が生じにくい。
【0066】
この実施形態では、さらに加熱管12に対してマニホールド81が、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材102aによって接続されている。このため、使用中、マニホールド81が加熱管12の中心に維持されやすい。さらに、この実施形態では、複数のバネ材102aは、それぞれマニホールド81から加熱管12の径方向に沿って延びている。このため、使用中、マニホールド81が周方向においてバネ材102aからそれぞれ弾性反力を受け、上手くバランスが取られることによって加熱管12の中心部に維持される。さらに、この実施形態では、複数のバネ材101aは、それぞれ径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されているとよい。湾曲した中間部が伸びたり縮んだりすることで、熱膨張によって加熱管12に対してマニホールド81の位置がずれた場合でもずれが吸収される。かかる観点で、加熱管12とマニホールド81とを繋ぐバネ材102aは、所要の剛性(弾性)を備えているとよい。また、バネ材102aは、加熱管12内で使用されるため、所要の耐熱性、および、加熱管12内の雰囲気に対して所要の耐食性を有しているとよい。
【0067】
この実施形態では、内筒15は、加熱管12の第2端側の端部に設けられた第1バネ101を介して接続されている。マニホールド81は、加熱管12に第2バネ102を介して接続されている。第1バネ101は、第2バネ102よりも稼働幅が大きい。この実施形態では、第1バネ101は、加熱管12の径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材101aで構成されている。第2バネ102は、加熱管12の径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材102aで構成されている。そして、第1バネ101を構成するバネ材101aは、第2バネ102を構成するバネ材102aよりも大きく湾曲している。これによって、マニホールド81の端部が接続された加熱管12の第1端側の接続部位よりも、加熱管12の第2端側の端部が動くことで、加熱管12の熱膨張が吸収される。換言すると、加熱管12に対するマニホールド81の端部の動きが小さく抑えられる。このため、加熱管12に挿通された排気管82の動きが小さく抑えられ、排気管82が挿通された部位に生じる歪みが小さく抑えられる。
【0068】
この実施形態では、加熱管12の端部に取り付けられたバネ材101aは、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に向けられている。また、マニホールド81の端部に取り付けられたバネ材102aについても、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に向けられている。このため、加熱管12が回転する際に、加熱管12の中の被焼成材料は、バネ材101aおよびバネ材102aによって、掻き上げられにくい。これに対して、敢えて、加熱管12が回転する際に、加熱管12の中の被焼成材料が、バネ材101aおよびバネ材102aによって掻き上げられるように、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に対して傾けてもよい。加熱管12の中の被焼成材料を掻き上げるとの観点では、バネ材101aおよびバネ材102a、板バネの平坦な面が加熱管12の軸方向に沿うように向けられてもよい。これにより、必要に応じて、加熱管12の中で、被焼成材料が巻き上げられ、被焼成材料の焼成が均一になりやすい。バネ材101aおよびバネ材102aの向きは、それぞれ異なっていてもよい。バネ材101aおよびバネ材102aは、ここでは湾曲した板バネが例示されているが、バネ材101aおよびバネ材102aは、加熱管12に対して内筒15やマニホールド81を弾性的に支持するものであればよい。かかる観点で、バネ材101aおよびバネ材102aは、上述した板バネの形態に限定されない。
【0069】
〈排気管82〉
図18は、排気管82の取付構造を示す側面図である。なお、
図18では、マニホールド81は、排気管82が差し込まれる部位は、部分的に断面が描かれている。この実施形態では、排気管82は、加熱管12の中間部に形成された貫通孔12cに挿通されている。また、マニホールド81には、排気管82が差し込まれるソケット81dを有する。ソケット81dは、マニホールド81の空間81cに繋がっている。排気管82は、マニホールド81に設けられたソケット81dに差し込まれている。排気管82は、マニホールド81のソケット81dに差し込まれている状態であり、加熱管12に対しては貫通孔12cに挿通されている。このため、排気管82は、熱膨張によって伸びても、加熱管12に干渉しない。
【0070】
また、この実施形態では、排気管82は、管状の部材である。ソケット81dに差し込まれる排気管82の端部82aは、外周面にねじが形成されており、また、ソケット81dの内周面にもねじが形成されている。排気管82の端部82aは、ソケット81dにねじ構造で接続されている。排気管82が熱膨張によって伸びる場合、排気管82はマニホールド81の径方向に伸びる。このため、排気管82とマニホールド81との接続部位で歪が生じにくい。排気管82は、排気ダクト20Cで覆われている。排気ダクト20Cの上部には、排気口21Cが設けられている。排気口21Cには、吸引管が取り付けられ、排気ダクト20C内が負圧で維持される。排気ダクト20Cによって、排気管82からの排気を回収できるように構成されている。
【0071】
この実施形態では、排気管82が挿通された加熱管12の貫通孔12cには、シール140が設けられている。シール140は、排気管82が熱膨張で貫通孔12cに対してずれることを許容でき、かつ、排気管82と貫通孔12cとの間隙から漏れる加熱管12内の雰囲気が外部に漏れるのを防止しうる機能を有しているとよい。また、ソケット81dに対する抜け止めは、かかるシール140の構造に併せて設けられていてもよい。この実施形態では、シール140には、例えば、メカニカルシールやグランドパッキンなどと称される種々の構造が採用されうる。このため、加熱管12内の雰囲気が、排気ダクト20Cに漏れるのが防止されている。シール140によって、マニホールド81に対する径方向への排気管82の熱膨張が許容される。また、シール140によって、貫通孔12cの内と外とで、加熱管12内の粉状の焼成物や雰囲気ガスが、移動するのが抑止される。かかるシール140により、排気管82内に、加熱管12内の粉状の焼成物や雰囲気ガスが入り込まず、排気管82内のガスは、排気ダクト20Cを通じて排気される。
【0072】
さらに、排気管82は、ベローズ141を介して外筒142が取り付けられているとよい。ベローズ141は、排気管82よりも径が大きく、加熱管12の貫通孔12cの周りを覆っている。このため、ベローズ141は、加熱管12の貫通孔12cから露出した排気管82の周りを囲っている。外筒142は、かかるベローズ141の先端に取り付けられている。排気管82は、熱膨張で伸びても、加熱管12の貫通孔12cを貫通しているので、加熱管12の外側に伸びることが許容されている。排気管82は、ベローズ141で囲われており、ベローズ141を介して外筒142が取り付けられているので、排気管82が伸びても、排気ダクト20C内で、干渉しない。このように、ロータリーキルン10は、熱膨張による排気管82の伸びや、外径の寸法変化が許容される構造を有するとよい。
【0073】
この実施形態では、排気管82の端部が、ベローズ141で囲まれているが、ベローズ141はなく、加熱管12の貫通孔12cにシール140を介して挿通されていてもよい。
【0074】
図19は、分岐管16の支持構造の他の形態を示す側面図である。分岐管16の支持構造160は、
図19に示されているように、リング161と、位置決め部材162とを備えている。リング161は、複数の分岐管16の内側に沿って配置された環状の部材である。位置決め部材162は、リング161に設けられ、複数の分岐管16をそれぞれ位置決めする部材である。かかる支持構造160は、分岐管16の長さ方向において間欠的に取り付けられているとよい。これにより、加熱管12内で各分岐管16の位置が維持される。分岐管16が加熱管12の内側に大きく撓むことなどが防止されうる。かかる支持構造160において、リング161は所要の剛性を備えているとよい。リング161は、例えば、短い円筒状の管材であるとよい。
【0075】
また、分岐管16にはブラケット170が取り付けられている。ブラケット170は、ベース部171と、立ち上がり部172とを有している。ベース部171は、加熱管12の内周面に沿って配置される部位である。立ち上がり部172は、ベース部171から加熱管12の径方向に沿って立ち上がる部位である。立ち上がり部172は、分岐管16が挿通される挿通孔173を有しているとよい。分岐管16は、かかるブラケット170の挿通孔173に挿通された状態で加熱管12に取り付けられているとよい。立ち上がり部172の挿通孔173は、加熱管12の径方向に沿って長い長孔である。ブラケット170のベース部171は、加熱管12の内周面に溶接されている。ブラケット170は、複数の分岐管16のうちいくつかの分岐管16に取り付けられているとよい。
【0076】
この実施形態では、複数の分岐管16の周方向の間隔は、上述したリング161および位置決め部材162によって維持されている。また、複数の分岐管16のうちいくつかの分岐管16がブラケット170を介して加熱管12に取り付けられている。加熱管12の中で分岐管16が安定した位置で回転する。また、分岐管16が挿通される、ブラケット170の挿通孔173が、加熱管12の径方向に沿って長い長孔である。ブラケット170の挿通孔173が、長孔であることによって、加熱管12と分岐管16の作製過程での寸法誤差を組立時に吸収でき、ロータリーキルン10が組立易くなる。
【0077】
以上、ここで開示される発明の詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。また、ここでの開示は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0078】
以上の通り、本明細書には、以下の各項に記載の開示が含まれている。
項1:
略円筒形の加熱管と、
前記加熱管の第1端側に設けられた材料供給部と、
前記加熱管の第2端側に設けられた材料回収部と、
前記加熱管の前記第2端側において、前記加熱管の中心部に挿入された状態で支持された内筒と、
前記加熱管の中で前記内筒の外周面において周方向に複数設けられ、それぞれ前記内筒から分岐し、かつ、前記加熱管の内周面に沿って軸方向に延びた分岐管と、
前記加熱管の外に延びた前記内筒の一端に挿入された状態で、前記内筒に対して相対回転可能に支持された熱風供給管と、
前記加熱管を回転させる駆動機構と
を備え、
前記内筒は、前記加熱管にバネを介して接続されている、
ロータリーキルン。
【0079】
項2:
前記内筒は、前記加熱管の第2端側の端部に設けられた第1バネを介して接続されている、項1に記載されたロータリーキルン。
【0080】
項3:
前記第1バネは、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材で構成されている、項2に記載されたロータリーキルン。
【0081】
項4:
前記第1バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記内筒から前記加熱管の径方向に沿って延びている、項3に記載されたロータリーキルン。
【0082】
項5:
前記第1バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されている、項4に記載されたロータリーキルン。
【0083】
項6:
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記マニホールドは、前記加熱管に第2バネを介して接続されている、
項1から5までの何れか一項に記載されたロータリーキルン。
【0084】
項7:
前記第2バネは、周方向に複数間欠的に配置された複数のバネ材で構成されている、項6に記載されたロータリーキルン。
【0085】
項8:
前記第2バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記内筒から前記加熱管の径方向に沿って延びている、項7に記載されたロータリーキルン。
【0086】
項9:
前記第2バネを構成する前記複数のバネ材は、それぞれ前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲した板バネで構成されている、項8に記載されたロータリーキルン。
【0087】
項10:
前記内筒は、前記加熱管の第2端側の端部に設けられた第1バネを介して接続されており、
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記マニホールドは、前記加熱管に第2バネを介して接続されており、
前記第1バネは、前記第2バネよりも稼働幅が大きい、
項1から9までの何れか一項に記載されたロータリーキルン。
【0088】
項11:
前記第1バネは、前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材で構成されており、
前記第2バネは、前記径方向に沿った長さ方向の中間部が湾曲したバネ材で構成されており、
前記第1バネを構成するバネ材は、前記第2バネを構成するバネ材よりも大きく湾曲している、項10に記載されたロータリーキルン。
【0089】
項12:
前記加熱管の中心部に配置され、前記分岐管が接続されたマニホールドと、前記マニホールドから前記加熱管の外に延びた少なくとも1つの排気管とを有し、
前記排気管は、前記加熱管の中間部に形成された貫通孔に挿通され、前記マニホールドに設けられたソケットに差し込まれている、項1から11までの何れか一項に記載されたロータリーキルン。
【0090】
項13:
前記排気管は、管状の部材であり、前記ソケットに差し込まれる前記排気管の端部は、先端に向けて細くなったテーパ形状を有する、項12に記載されたロータリーキルン。
【0091】
項14:
前記排気管が挿通された前記加熱管の前記貫通孔には、シールが設けられている、項12または13に記載されたロータリーキルン。
【0092】
項15:
前記複数の分岐管の内側に沿って配置されたリングと、
前記リングに設けられ、前記複数の分岐管をそれぞれ位置決めする位置決め部材と
を有する、項1から14までの何れか一項に記載されたロータリーキルン。
【0093】
項16:
前記分岐管にはブラケットが取り付けられており、
前記ブラケットは、
前記加熱管の内周面に沿って配置されるベース部と、
前記ベース部から前記加熱管の径方向に沿って立ち上がった立ち上がり部と
を有し、
前記立ち上がり部に前記分岐管が挿通される挿通孔を有する、
項1から15までの何れか一項に記載されたロータリーキルン。
【0094】
項17:
前記立ち上がり部の前記挿通孔は、前記加熱管の径方向に沿って長い長孔である、
項16に記載されたロータリーキルン。
【符号の説明】
【0095】
10,10A,10B,10C ロータリーキルン
12 加熱管
12a 第1端
12a1 フランジ
12a2 支持プレート
12b 第2端
12b1 フランジ
12b2 排出口
13 材料供給部
14 材料回収部
15 内筒
15a 第1内筒
15b 第2内筒
16 分岐管
16a 分岐管16の端部
17 熱風供給管
18 駆動機構
18a チェーンスプロケット
18f チェーン
20,20A,20B,20C 排気ダクト
21,21A,21B,21C 排気口
22 ドレン
25 加熱室
26 ヒータ
27 炉体
28 仕切り
31 フランジ
32 フランジ
33 リブ
36 軸受
37 軸受
38 シール
39 シール
40 スクリューフィーダ
41 排出口
42 シール材
44 開口
46 断熱管
48 シール部材
51 ケーシング
52 ホッパ
52a 弁
53 内筒カバー
54 開口
55 開口
56 断熱管
58 シール部材
60 熱風発生装置
61,62 サポート
61a,62a アーム
63,64 サポート
70 熱交換器
81 マニホールド
81a マニホールド81の内側の管
81b マニホールド81の外側の管
81c マニホールド81の排気用の空間
81d ソケット
82 排気管
82a 排気管82の端部
101 第1バネ
101a バネ材
101a1 バネ材101aの中間部
102 第2バネ
102a バネ材
102a1 バネ材102aの中間部
104 ブラケット
110 管部
112 断熱管
113 グランドシール
114 カムフォロア
115 内筒15の端部のフランジ
122a 第2カバー122のフランジ
123 グランドシール
126 熱風供給管17のフランジ
127 フレキシブルパイプ
128 シャフト
129 カムフォロア
130 ダクト
131 ダクト130の吸引口
140 シール
141 ベローズ
142 外筒
160 分岐管16の支持構造
161 リング
162 位置決め部材
170 ブラケット
171 ベース部
172 立ち上がり部
173 挿通孔
M1 材料