(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135953
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240927BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E02F9/20 K
E02F9/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046877
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 裕太郎
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003BA07
2D003DA03
2D003DA04
2D015EB01
2D015GB01
2D015GB02
(57)【要約】
【課題】走行レバーを非操作位置としたときに走行モータの作動を防止する。
【解決手段】油圧ショベル1には、走行モータ8Aを制御するために運転席15の前側に走行操作装置22が設けられ、走行操作装置22は、運転席15に座ったオペレータにより待機姿勢から操作される走行レバー25と、待機姿勢にある走行レバー25を運転席15に接近した操作位置と運転席15から離間した非操作位置とに移動させるレバー移動機構26とを備える。油圧ショベル1には走行ロック装置35が設けられ、走行ロック装置35は、走行レバー25が操作位置に移動したときには走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aの作動を可能とし、走行レバー25が非操作位置に移動したときには走行レバー25に対する操作に関わらず走行モータ8Aの作動を禁止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有する自走可能な車体と、
前記車体に搭載され前記車体を走行させる走行モータと、
前記運転席の前側に設けられ前記走行モータを制御するために操作される走行操作装置とを有し、
前記走行操作装置は、操作部となる走行レバーと、前記走行レバーを前記運転席に接近した操作位置と前記運転席から離間した非操作位置とに移動させるレバー移動機構と、を備えてなる建設機械において、
前記走行レバーが前記操作位置に移動したときには前記走行レバーに対する操作に応じて前記走行モータの作動を可能とし、前記走行レバーが前記非操作位置に移動したときには前記走行レバーに対する操作に関わらず前記走行モータの作動を禁止する走行ロック装置を備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記レバー移動機構は、前記走行レバーを前記運転席に対して前記操作位置と前記非操作位置との間で回動可能に支持することを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記走行操作装置は、前記走行レバーが取付けられ、前記走行レバーの操作に応じて前記走行モータに対する制御信号を出力する走行操作バルブを有し、
前記レバー移動機構は、前記運転席の前側に固定された支持ブラケットと、前記走行操作バルブに取り付けられたバルブブラケットと、前記支持ブラケットに対して前記バルブブラケットを前後に回動可能に支持する支持軸と、前記バルブブラケットを前記支持ブラケットに対して固定し、前記走行レバーを前記操作位置で固定する操作位置固定部材と、前記走行レバーが前記操作位置にあることを検出する走行ロックスイッチと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記走行操作装置は、前記運転席の前側に固定され、前記操作位置にある前記走行レバーの操作に応じて前記走行モータに対する制御信号を出力する走行操作バルブを有し、
前記レバー移動機構は、前記走行操作バルブに設けられたレバー取付部材と、前記走行レバーに取付けられたレバーブラケットと、前記レバー取付部材に対して前記レバーブラケットを回動可能に支持する支持軸と、前記レバーブラケットを前記レバー取付部材に対して固定し、前記走行レバーを前記操作位置で固定する操作位置固定部材とを備えることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項5】
前記走行操作装置は、前記走行レバーが取付けられ、前記走行レバーの操作に応じて前記走行モータに対する制御信号を出力する走行操作バルブを有し、
前記レバー移動機構は、前記走行操作バルブが取付けられ、前記走行レバーを前記操作位置と前記非操作位置との間でスライドさせるスライド部材と、前記スライド部材を固定するスライド固定部材と、前記走行レバーが前記非操作位置にあることを検出する走行ロックスイッチと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オペレータによって操作される走行レバーが設けられた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、走行モータを備えた自走可能な下部走行体と、下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に回動可能に設けられたフロントとを含んで構成されている。上部旋回体はベースとなる旋回フレームを有し、旋回フレームの左前側には、オペレータが搭乗するキャブが設けられている。キャブ内には運転席が設けられ、運転席の前側には、走行レバーと走行操作バルブとを有する走行操作装置が配置されている。
【0003】
走行レバーは、操作が行われていない状態では待機姿勢を保持し、この待機姿勢からオペレータによって前後方向に回動操作される。走行レバーが操作されると、走行操作バルブからコントロールバルブにパイロット信号が供給され、コントロールバルブは、走行レバーに対する操作に応じて、油圧モータからなる走行モータへの作動油の給排を制御する。これにより、走行モータの回転が、走行レバーの操作方向および操作量に応じて制御され、下部走行体の走行動作が制御される。オペレータが走行レバーから手を放すと、走行レバーは自動的に待機姿勢に戻り、この待機姿勢を保持する。走行レバーが待機姿勢を保持しているときには、コントロールバルブへのパイロット信号の出力が停止され、コントロールバルブは、走行モータへの作動油の給排を停止した中立位置を保持する。
【0004】
ところで、キャブ内に形成される運転室は狭いため、オペレータが運転席に乗降するときに、待機姿勢を保持した走行レバーに触れた場合には、オペレータの意に反して走行モータが作動してしまう。このため、走行レバーの操作を行うときには、走行レバーを運転席に接近した位置(操作位置)に移動させ、運転席への乗降時などの走行レバーの操作を行う必要がないときには、走行レバーを運転席から離れた位置(非操作位置)に移動させることが考えられる。このように、走行レバーを非操作位置に移動させることにより、運転席の前側に形成されるスペースを広げることができ、オペレータは、走行レバーに触れることなく運転席に乗降することができる。
【0005】
一方、運転席に座るオペレータの体格に応じて、走行操作装置と運転席の位置調整を行えるようにした走行操作装置が提案されている。例えば特許文献1には、運転室の床板にスライド機構を介して前後方向に移動可能に設けられた可動板を備え、この可動板に走行操作装置を取付ける構成が開示されている。このため、特許文献1の走行操作装置は、運転席から離れる方向に移動させることにより、走行レバーを運転席に対して位置調整することができる。また、特許文献2には、走行レバーを、走行操作バルブに当接する部材(下側基部体)と、オペレータが操作する上側レバーとに分割し、下側基部体に対する上側レバーの取付け角度を変更できるようにした走行操作装置が提案されている。このため、特許文献2の走行操作装置は、上側レバーの取付け角度を運転席から離れる方向に変更することにより、走行レバーを運転席に対して位置調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-98584号公報
【特許文献2】特開平8-53858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術による位置調整機構を有する走行操作装置を利用して、オペレータが運転席に乗降するときに、走行レバーを運転席から離れた非操作位置に配置したとしても、運転席への乗降時にオペレータが誤って走行レバーに触れた場合には、オペレータの意に反して走行モータが作動してしまう。
【0008】
本発明の目的は、オペレータが運転席に乗降するときの誤操作による走行モータの作動を防止することができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、運転席を有する自走可能な車体と、前記車体に搭載され前記車体を走行させる走行モータと、前記運転席の前側に設けられ前記走行モータを制御するために操作される走行操作装置とを有し、前記走行操作装置は、操作部となる走行レバーと、前記走行レバーを前記運転席に接近した操作位置と前記運転席から離間した非操作位置とに移動させるレバー移動機構と、を備えてなる建設機械において、前記走行レバーが前記操作位置に移動したときには前記走行レバーに対する操作に応じて前記走行モータの作動を可能とし、前記走行レバーが前記非操作位置に移動したときには前記走行レバーに対する操作に関わらず前記走行モータの作動を禁止する走行ロック装置を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走行レバーを非操作位置に移動させた状態では、走行ロック装置によって走行モータの作動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態が適用された油圧ショベルを示す左側面図である。
【
図2】
図1中のキャブの内部を一部破断にして示す左側面図である。
【
図3】第1の実施形態による走行操作装置を、走行レバーを操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図4】走行操作装置を、走行レバーを非操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図5】走行操作装置を、
図3中の矢示V-V方向から見た矢示図である。
【
図6】
図3中のレバー移動機構、操作位置固定部材等を示す一部破断の拡大図である。
【
図7】
図4中のレバー移動機構、操作位置固定部材等を示す一部破断の拡大図である。
【
図8】走行操作バルブ、コントロールバルブ、走行ロックバルブ等を含む油圧回路を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態による走行操作装置を、走行レバーを操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図10】走行操作装置を、走行レバーを非操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図11】走行操作装置を、
図9中の矢示XI-XI方向から見た矢示図である。
【
図12】
図9中のレバー移動機構、操作位置固定部材等を示す拡大図である。
【
図13】
図10中のレバー移動機構、操作位置固定部材等を示す拡大図である。
【
図14】第3の実施形態による走行操作装置を、走行レバーを操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図15】走行操作装置を、走行レバーを非操作位置とした状態で示す左側面図である。
【
図16】走行操作装置を、
図14中の矢示XVI-XVI方向から見た矢示図である。
【
図19】第3の実施形態による操作位置固定部材を、
図16中の矢示XIX-XIX方向から見た断面図である。
【
図20】操作位置固定部材を、スライド部材を移動可能とした状態で示す
図19と同様位置の断面図である。
【
図21】走行操作バルブ、コントロールバルブ、走行ロックバルブ等を含む油圧回路の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、
図1ないし
図20を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1ないし
図8は本発明の第1の実施形態を示している。
図1において、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に回動可能に設けられたフロント(作業装置)4とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成し、上部旋回体3には、油圧モータからなる旋回モータ3Aが設けられている。
【0014】
下部走行体2は、センタフレーム5と、センタフレーム5を挟んで左,右両側に配置された左右のサイドフレーム6(左側のみ図示)とを有している。左右のサイドフレーム6には、それぞれ遊動輪7と駆動輪8とが設けられ、遊動輪7と駆動輪8には履帯9が巻回されている。駆動輪8は、油圧モータからなる走行モータ8Aを有し、走行モータ8Aは、後述する走行操作装置22の操作に応じて回転駆動されることにより駆動輪8を介して履帯9を周回させ、油圧ショベル1を走行させる。
【0015】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム10と、旋回フレーム10の左前側に設けられた後述のキャブ13と、旋回フレーム10の後端に設けられたカウンタウエイト11と、カウンタウエイト11の前側に設けられた外装カバー12とを含んで構成されている。カウンタウエイト11は、旋回フレーム10の前側に設けられたフロント4との重量バランスを保っている。外装カバー12は、旋回フレーム10に搭載された原動機、油圧ポンプ、コントロールバルブ等の搭載機器(いずれも図示せず)を覆っている。
【0016】
フロント4は、旋回フレーム10の前側に取付けられたブーム4Aと、ブーム4Aの先端に取付けられたアーム4Bと、アーム4Bの先端に取付けられたバケット4Cとを有している。旋回フレーム10とブーム4Aとの間にはブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケットシリンダ4Fが設けられている。これらブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fは、後述する操作レバー装置16の操作に応じて伸縮し、ブーム4A、アーム4B、バケット4Cを回動させる。
【0017】
キャブ13は、旋回フレーム10の左前側に設けられ、オペレータが搭乗する運転室を形成している。キャブ13は、前面13A、後面13B、左側面13C、右側面(図示せず)、上面13Dによって囲まれた有蓋の箱状に形成されている。キャブ13の左側面13Cには、キャブ13に乗降するための乗降口13Eと、乗降口13Eを開閉するドア13Fが設けられている。
図2に示すように、キャブ13の内部には、フロア部材14、運転席15、操作レバー装置16、後述する走行操作装置22等が設けられている。
【0018】
フロア部材14は、キャブ13の底部を構成している。運転室は、キャブ13とフロア部材14とに囲まれた空間によって形成されている。フロア部材14は、キャブ13に搭乗したオペレータの足場を形成し、フロア部材14には、運転席15、走行操作装置22等が設けられている。
【0019】
運転席15は、キャブ13の中央部に位置してフロア部材14上に設けられている。オペレータは、運転席15に座った状態で油圧ショベル1を操縦する。運転席15の左右両側には、操作レバー装置16がそれぞれ設けられている(左側のみ図示)。
【0020】
ここで、
図8に示すように、油圧ショベル1にはコントロールバルブ17が搭載されている。コントロールバルブ17は、下部走行体2に設けられた走行モータ8A、上部旋回体3に設けられた旋回モータ3A、フロント4に設けられた各種シリンダ4D,4E,4Fに対する作動油の給排を制御する。コントロールバルブ17には、操作レバー装置16に設けられたフロント・旋回操作バルブ18からのパイロット信号、および後述する走行操作バルブ23からのパイロット信号が供給される。フロント・旋回操作バルブ18は、パイロットポンプ19に油路19Aを介して接続され、後述する走行操作バルブ23は、油路19Aから分岐した油路19Bを介してパイロットポンプ19に接続されている。
【0021】
フロント・旋回操作バルブ18は、油路19Aを通じて供給されたパイロットポンプ19からのパイロット信号(パイロット圧)を、操作レバー装置16の操作に応じて減圧した状態でコントロールバルブ17に供給する。コントロールバルブ17は、フロント・旋回操作バルブ18からのパイロット信号に応じて、旋回モータ3A、フロント4の各種シリンダ4D,4E,4Fに対する作動油の給排を制御する。これにより、操作レバー装置16の操作に応じて、上部旋回体3の旋回動作、フロント4の動作が制御される。一方、走行操作バルブ23は、油路19Bを通じて供給されたパイロットポンプ19からのパイロット信号を、走行レバー25の操作に応じて減圧した状態でコントロールバルブ17に供給する。コントロールバルブ17は、走行操作バルブ23からのパイロット信号に応じて、走行モータ8Aに対する作動油の給排を制御する。これにより、走行レバー25の操作に応じて、下部走行体2の走行動作が制御される。
【0022】
左側の操作レバー装置16には、ゲートロックレバー20が設けられている。ゲートロックレバー20は、運転席15に座ったオペレータによって、
図2中の実線で示すロック解除位置と二点鎖線で示すロック位置とに切換え操作される。
図8に示すように、油路19Aには、油路19Bとの接続部19Cよりもパイロットポンプ19側に位置してゲートロックバルブ21が設けられている。ゲートロックバルブ21は、ゲートロックレバー20の動作に連動し、例えばゲートロックレバー20がロック位置に切換えられたときには、油路19Aを遮断する。
【0023】
これにより、ゲートロックレバー20がロック位置に切換えられたときには、操作レバー装置16に対する操作に関わらず、上部旋回体3の旋回動作、およびフロント4の動作が禁止され、走行レバー25に対する操作に関わらず、油圧ショベル1の走行動作が禁止される。一方、ゲートロックレバー20がロック解除位置に切換えられたときには、油路19Aが開放され、操作レバー装置16に対する操作に応じて、上部旋回体3の旋回動作、およびフロント4の動作が可能となる。
【0024】
走行操作装置22は、キャブ13内に位置して運転席15の前側に設けられている。走行操作装置22は、下部走行体2に設けられた走行モータ8Aを制御するため、運転席15に座ったオペレータにより操作される。走行操作装置22は、運転席15の左右方向の中心線上に配置され、
図3ないし
図7に示すように、走行操作バルブ23と、走行レバー25と、レバー移動機構26と、走行ロック装置35とを含んで構成されている。
【0025】
走行操作バルブ23は、運転席15の前側に配置され、レバー移動機構26を介してフロア部材14上に取付けられている。走行操作バルブ23は、油圧パイロット式の操作バルブからなり、操作位置にある走行レバー25の操作に応じて、左右の走行モータ8Aに対する圧油の給排を制御するためのパイロット信号をコントロールバルブ17に供給する。走行操作バルブ23は、バルブ本体部23Aと、バルブ本体部23Aの左側面に設けられた左走行操作部23Bと、バルブ本体部23Aの右側面に設けられた右走行操作部23Cとを有している。
【0026】
ここで、右走行操作部23Cは、左走行操作部23Bと同一の構成を有し、バルブ本体部23Aを挟んで左右対称に配置されている。このため、左走行操作部23Bについて説明し、右走行操作部23Cのうち左走行操作部23Bと同一の構成要素については、左走行操作部23Bと同一符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
左走行操作部23Bは、軸中心が左右方向に延びる回動軸23Dを有し、回動軸23Dは、バルブ本体部23Aに対して前後方向に回動する。回動軸23Dには、四角形のレバー取付板24が取付けられ、レバー取付板24が回動軸23Dと一体に回動することにより、走行操作バルブ23が操作される。
【0028】
走行レバー25は、レバー取付板24を介して走行操作バルブ23の左走行操作部23Bに取付けられ、オペレータによって手動操作される操作部を構成している。走行レバー25は、パイプ材等に曲げ加工を施すことにより、全体として上下方向に延びる棒状体として形成されている。走行レバー25の基端(下端)には平板状の取付部25Aが設けられ、取付部25Aは、複数のボルト25Bを用いてレバー取付板24に固定されている。走行レバー25の先端(上端)には、オペレータが把持するグリップ25Cが設けられている。走行レバー25は、レバー取付板24を介して左走行操作部23Bに一体的に取付けられ、左走行操作部23Bの回動軸23Dを回動支点として前後方向に回動操作される。なお、左走行操作部23Bには、オペレータによって踏込み操作される走行ペダル(図示せず)が、走行レバー25と共に取付けられる。
【0029】
走行レバー25に対する操作が行われていない状態では、走行レバー25は、走行操作バルブ23に対して一定の姿勢となる待機姿勢を保持する。走行レバー25が待機姿勢を保持している状態では、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17にパイロット信号が出力されず、コントロールバルブ17のうち走行モータ8Aに対応するバルブは中立位置を保持する。
【0030】
待機姿勢にある走行レバー25が、回動軸23Dを回動支点として前進方向(前方)に回動操作された場合には、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17にパイロット信号が出力される。これにより、コントロールバルブ17のうち走行モータ8Aに対応するバルブは、油圧ポンプ(図示せず)から吐出した圧油を走行モータ8Aの前進側に供給し、走行モータ8Aは前進側に回転する。一方、待機姿勢にある走行レバー25が、回動軸23Dを回動支点として後進方向(後方)に回動操作された場合には、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17にパイロット信号が出力される。これにより、コントロールバルブ17のうち走行モータ8Aに対応するバルブは、油圧ポンプから吐出した圧油を走行モータ8Aの後進側に供給し、走行モータ8Aは後進側に回転する。オペレータが走行レバー25から手を離すと、走行レバー25は自動的に待機姿勢に復帰する。
【0031】
このように、走行レバー25は、オペレータによる操作が行われていない状態では待機姿勢を保持し、この待機姿勢から前後方向に回動操作される。走行レバー25が操作されると、走行モータ8Aへの作動油の給排を制御するコントロールバルブ17にパイロット信号が出力され、走行レバー25の操作方向および操作量に応じて、走行モータ8Aの回転が制御される。
【0032】
ここで、運転席15に座ったオペレータは、待機姿勢を保持した走行レバー25のグリップ25Cを把持し、走行レバー25を前後方向に回動操作する。このため、本実施形態では、運転席15に座ったオペレータが、無理のない姿勢で走行レバー25を操作することができるように、レバー移動機構26を備えている。
【0033】
レバー移動機構26は、フロア部材14と走行操作バルブ23との間に設けられている。レバー移動機構26は、待機姿勢を保持した走行レバー25を、運転席15に接近した操作位置(
図3の位置)と、運転席15から前方に離間した非操作位置(
図4の位置)とに移動させる。レバー移動機構26は、支持ブラケット27と、支持軸28と、バルブブラケット29と、操作位置固定部材31とを含んで構成されている。
【0034】
支持ブラケット27は、運転席15の前側に位置してフロア部材14に固定されている。支持ブラケット27は、左右方向で一定の間隔をもって対向する2枚(一対)の板体により構成されている。支持ブラケット27は、ボルト27Aを用いてフロア部材14に固定された基板27Bと、基板27Bに対して直角に屈曲しフロア部材14から鉛直上方に突出した突出板27Cとを有している。2枚の突出板27Cの前後方向の前側には、支持軸28の軸方向の両端が取付けられている。2枚の突出板27Cの前後方向の後側(運転席15側)には、係合ピン27Dがそれぞれ設けられている。係合ピン27Dは、2枚の突出板27Cの互いに対向する内側面27Eに設けられ、互いに接近する方向に突出している。また、2枚の突出板27Cの内側面27Eには、それぞれ支持軸28よりも前側に位置してストッパ27Fが突設されている。
【0035】
支持軸28は、2枚の支持ブラケット27の突出板27Cに着脱可能に取付けられている。支持軸28は左右方向に延びる棒状体からなり、支持軸28の軸方向の両端は、2枚の突出板27Cにそれぞれ取付けられ、止め輪等(図示せず)を用いて軸方向に抜け止めされている。支持軸28は、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25を、
図3に示す操作位置と、
図4に示す非操作位置との間で回動変位させるため、支持ブラケット27に対してバルブブラケット29を前後に回動可能に支持している。
【0036】
バルブブラケット29は、左右方向で一定の間隔をもって対向する2枚(一対)の板体により構成されている。バルブブラケット29は、ボルト29Aを用いて走行操作バルブ23に固定された固定板29Bと、固定板29Bに対して直角に屈曲し固定板29Bから下方に延びた垂下板29Cとを有している。2枚のバルブブラケット29を構成する垂下板29Cの前後方向の後側(運転席15側)には、それぞれ支持軸28が挿通されている。これにより、バルブブラケット29は、支持ブラケット27に対し支持軸28を中心として前後方向に回動可能な状態で、支持軸28に支持されている。
【0037】
2枚のバルブブラケット29を構成する垂下板29Cの前後方向の後側(運転席15側)には、係合溝29Dがそれぞれ設けられている。係合溝29Dは、支持ブラケット27に設けられた係合ピン27Dに係合するもので、支持軸28の軸中心を中心として係合ピン27Dの中心を通る円弧状に形成されている。そして、バルブブラケット29が支持軸28を中心として回動し、係合溝29Dの溝底部が支持ブラケット27の係合ピン27Dに当接することにより、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25が、
図3の操作位置に固定される。一方、バルブブラケット29が支持軸28を中心として回動し、垂下板29Cの前端縁が、支持ブラケット27のストッパ27Fに当接することにより、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25が、
図4の非操作位置に固定される。
【0038】
ねじりコイルばね30は、支持軸28の外周側に配置されている。ねじりコイルばね30は、コイル部を支持軸28に挿通した状態で支持軸28に支持されている。ねじりコイルばね30の一端30Aは、支持ブラケット27の内側面27Eに突設されたばね受け27Gに掛け止めされ、ねじりコイルばね30の他端30Bは、2枚のバルブブラケット29を構成する垂下板29Cの互いに対向する内側面29Eに突設されたばね受け29Fに掛け止めされている。ねじりコイルばね30は、支持軸28を中心として回動可能なバルブブラケット29を、垂下板29Cの前端縁が支持ブラケット27のストッパ27Fに当接する方向に付勢する。このように、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25は、ねじりコイルばね30によって自動的に
図4の非操作位置に復帰し、この非操作位置を保持することができる。
【0039】
操作位置固定部材31は、バルブブラケット29に設けられている。操作位置固定部材31は、バルブブラケット29を支持ブラケット27に対して固定することにより、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25を操作位置に固定する。操作位置固定部材31は、ロックアーム32と、戻しばね33と、ロック解除レバー34とを含んで構成されている。
【0040】
ロックアーム32は、バルブブラケット29の内側面29Eのうち係合溝29Dに隣接した位置に設けられている。ロックアーム32は、上下方向に延びる細長い板体からなり、ロックアーム32の基端(上端)は、ピン32Aを介してバルブブラケット29に取付けられ、ピン32Aを中心として前後方向に回動可能となっている。ロックアーム32の先端には、係合溝29D側に突出するフック32Bが設けられ、フック32Bの下側には傾斜部32Cが設けられている。戻しばね33によってロックアーム32が
図6および
図7に示す初期位置を保持しているときには、傾斜部32Cは、係合溝29D内に配置されている。ロックアーム32の長さ方向の中間部(ピン32Aとフック32Bとの間)には、係止ピン32Dが突設されている。
【0041】
戻しばね33は、引張りコイルばねにより形成され、バルブブラケット29とロックアーム32との間に設けられている。戻しばね33の一端は、バルブブラケット29の内側面29Eに突設された係止ピン29Gに掛け止めされ、戻しばね33の他端は、ロックアーム32の係止ピン32Dに掛け止めされている。これにより、戻しばね33は、ロックアーム32を初期位置(
図6および
図7の位置)に向けて付勢し、ロックアーム32のフック32Bは、係合溝29D内に突出している。
【0042】
ロック解除レバー34は、ロックアーム32の基端側に取付けられている。ロック解除レバー34は直線状の棒状体からなり、ロック解除レバー34の基端はピン32Aに隣接した位置でロックアーム32に固定されている。ロック解除レバー34の先端は、バルブブラケット29の外部に突出している。ロックアーム32が、戻しばね33によって初期位置に付勢された状態で、ロック解除レバー34はバルブブラケット29の固定板29Bに当接し、ロックアーム32は初期位置を保持する。
【0043】
操作位置に固定された走行レバー25を、非操作位置に移動させるときには、ロック解除レバー34を下方に押圧する。これにより、ロックアーム32が、ピン32Aを中心として回動し、フック32Bが係合ピン27Dから離脱する。このため、バルブブラケット29は、ねじりコイルばね30により支持軸28を中心として回動し、垂下板29Cの後端縁がストッパ27Fに当接する。これにより、走行操作装置22の走行レバー25は、非操作位置へと自動的に移動し、この非操作位置を保持する。
【0044】
一方、走行レバー25を、非操作位置から操作位置に移動させるときには、走行レバー25のグリップ25Cを、運転席15側に引き寄せる。これにより、バルブブラケット29は、支持軸28を中心として、ねじりコイルばね30に抗して係合ピン27D側に回動する。このとき、ロックアーム32の傾斜部32Cが係合ピン27Dに当接することにより、ロックアーム32は、戻しばね33に抗してピン32Aを中心として回動し、傾斜部32Cは係合ピン27Dに沿って係合溝29Dから離れていく。そして、係合溝29Dの溝底部が、係合ピン27Dに当接した位置で、ロックアーム32のフック32Bが係合ピン27Dに係合することにより、走行操作装置22の走行レバー25は操作位置に固定される。
【0045】
走行ロック装置35は、走行ロックスイッチ36と走行ロックバルブ37とにより構成されている。走行ロック装置35は、待機姿勢を保持した走行レバー25が、
図3の操作位置に移動したときには、走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aを作動可能とし、
図4に示す非操作位置に移動したときには、走行レバー25に対する操作に関わらず走行モータ8Aの作動を禁止する。
【0046】
走行ロックスイッチ36は、支持ブラケット27の内側面27Eのうち支持軸28に隣接した位置に設けられ、走行レバー25が操作位置にあることを検出する。走行ロックスイッチ36は操作部36Aを有し、操作部36Aは、走行レバー25が操作位置に移動したときに、バルブブラケット29を構成する垂下板29Cの下端縁により押圧される。走行ロックスイッチ36は、操作部36Aが押圧されたときには、走行レバー25が操作位置に移動したことを示す検出信号を走行ロックバルブ37に出力する。一方、走行ロックスイッチ36は、操作部36Aが押圧されていないときには、走行レバー25が非操作位置に移動したことを示す検出信号を走行ロックバルブ37に出力する。
【0047】
図8に示すように、走行ロックバルブ37は油路19Bに設けられている。走行ロックバルブ37は、走行ロックスイッチ36の操作部36Aが押圧されたとき(走行レバー25が操作位置のとき)には、油路19Bを開放し、走行ロックスイッチ36の操作部36Aが押圧されていないとき(走行レバー25が非操作位置のとき)には、油路19Bを遮断する。従って、ゲートロックレバー20がロック解除位置に切換えられてゲートロックバルブ21が油路19Aを開放した状態においても、走行レバー25が非操作位置に移動しているときには、走行ロックバルブ37が油路19Bを遮断することにより、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が停止する。従って、走行レバー25が非操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作の有無に関わらず、走行モータ8Aの動作が禁止される。
【0048】
一方、ゲートロックバルブ21が油路19Aを開放した状態において、走行レバー25が操作位置に移動しているときには、走行ロックバルブ37が油路19Bを開放することにより、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が可能となる。従って、走行レバー25が操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aの動作が可能となり、下部走行体2の走行動作を制御することができる。
【0049】
第1の実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き走行操作装置22を有するもので、油圧ショベル1を走行させるときには、走行操作装置22の走行レバー25を、
図4に示す非操作位置から
図3に示す操作位置に移動させる。
【0050】
この場合には、走行レバー25のグリップ25Cを運転席15側に引き寄せ、バルブブラケット29を走行操作バルブ23と共に、支持軸28を中心としてねじりコイルばね30に抗して係合ピン27D側に回動させる。バルブブラケット29の回動動作により、ロックアーム32の傾斜部32Cが係合ピン27Dに当接し、ロックアーム32は、ピン32Aを中心として係合溝29Dから離れる方向に回動する。そして、係合溝29Dの溝底部が、係合ピン27Dに当接した位置で、ロックアーム32のフック32Bが係合ピン27Dに係合する。このように、待機姿勢となった走行操作装置22の走行レバー25は、非操作位置から操作位置へと移動し、操作位置固定部材31によって操作位置(
図3の位置)に固定される。
【0051】
走行レバー25が操作位置に固定された状態では、走行ロックスイッチ36の操作部36Aは、バルブブラケット29の垂下板29Cによって押圧される。これにより、走行ロックスイッチ36は、走行レバー25が操作位置に移動したことを示す検出信号を走行ロックバルブ37に出力し、走行ロックバルブ37は油路19Bを開放する。従って、ゲートロックレバー20がロック解除位置に切換えられ、ゲートロックバルブ21が油路19Aを開放した状態では、パイロットポンプ19からのパイロット信号(パイロット圧)が走行操作バルブ23に供給される。
【0052】
走行操作バルブ23は、パイロットポンプ19からのパイロット信号を、走行レバー25の操作に応じて減圧した状態でコントロールバルブ17に供給し、コントロールバルブ17は、走行操作バルブ23からのパイロット信号に応じて走行モータ8Aに対する作動油の給排を制御する。この結果、走行レバー25の操作方向および操作量に応じて走行モータ8Aの回転が制御され、下部走行体2の走行動作を制御することができる。
【0053】
しかも、走行レバー25が
図3の操作位置に固定された状態では、
図4の非操作位置に比較して、走行レバー25のグリップ25Cを、運転席15に接近した位置に配置することができる。このため、運転席15に座ったオペレータは、姿勢を前傾させることなく、背筋が上方に伸びた安定した姿勢を保った状態でグリップ25Cを把持することができ、走行レバー25の操作性を高めることができる。
【0054】
次に、例えば油圧ショベル1の作業を中断し、オペレータがキャブ13から降りるときには、走行操作装置22の走行レバー25を、操作位置から非操作位置に移動させる。
【0055】
この場合には、ロック解除レバー34を下方に押圧することにより、ロックアーム32をピン32Aを中心として回動させ、フック32Bを係合ピン27Dから離脱させる。これにより、バルブブラケット29は走行操作バルブ23と共に、ねじりコイルばね30により支持軸28を中心として回動する。そして、バルブブラケット29を構成する垂下板29Cの前端縁が、支持ブラケット27のストッパ27Fに当接することにより、バルブブラケット29の回動動作が停止する。このように、待機姿勢となった走行操作装置22の走行レバー25は、操作位置から非操作位置へと移動し、ねじりコイルばね30のばね力により、非操作位置(
図4の位置)に固定される。
【0056】
走行レバー25が非操作位置に固定された状態では、走行ロックスイッチ36の操作部36Aは押圧されない状態を保持する。これにより、走行ロックスイッチ36は、走行レバー25が非操作位置に移動したことを示す検出信号を走行ロックバルブ37に出力し、走行ロックバルブ37は油路19Bを遮断する。従って、仮にゲートロックレバー20がロック解除位置を保持し、ゲートロックバルブ21が油路19Aを開放していたとしても、パイロットポンプ19からのパイロット信号が走行操作バルブ23に供給されることはない。この結果、走行レバー25が非操作位置に移動している状態では、走行レバー25に対する操作の有無に関わらず、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が遮断される。従って、走行レバー25を非操作位置に移動させた状態では、オペレータ等が誤って走行レバー25に触れたとしても、オペレータの意に反して走行モータ8Aが作動するのを防止することができる。
【0057】
しかも、走行レバー25が
図4の非操作位置に固定された状態では、
図3の操作位置に比較して、走行レバー25のグリップ25Cを、運転席15から前方に離れた位置に配置することができる。このため、運転席15の前側に大きなスペースを確保することができ、運転席15に対する乗降動作を迅速、かつ容易に行うことができる。
【0058】
かくして、実施形態では、運転席15を有する自走可能な車体と、前記車体(下部走行体2)に搭載され前記車体を走行させる走行モータ8Aと、運転席15の前側に設けられ走行モータ8Aを制御するために操作される走行操作装置22とを有し、走行操作装置22は、操作部となる走行レバー25と、走行レバー25を運転席15に接近した操作位置と運転席15から離間した非操作位置とに移動させるレバー移動機構26と、を備えてなる建設機械において、走行レバー25が操作位置に移動したときには走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aの作動を可能とし、走行レバー25が非操作位置に移動したときには走行レバー25に対する操作に関わらず走行モータ8Aの作動を禁止する走行ロック装置35を備えている。
【0059】
この構成によれば、走行レバー25を非操作位置に移動させた状態では、走行ロック装置35によって走行モータ8Aの作動を禁止することができる。従って、走行レバー25を非操作位置に移動させた状態では、オペレータ等が誤って走行レバー25に触れたとしても、オペレータの意に反して走行モータ8Aが作動するのを防止することができる。
【0060】
実施形態では、レバー移動機構26は、走行レバー25を運転席15に対して操作位置と非操作位置との間で回動可能に支持する。この構成によれば、レバー移動機構26に支持された走行レバー25を回動させるだけで、走行レバー25を操作位置と非操作位置とに移動させることができる。
【0061】
実施形態では、走行操作装置22は、走行レバー25が取付けられ、走行レバー25の操作に応じて走行モータ8Aに対する制御信号を出力する走行操作バルブ23を有し、レバー移動機構26は、運転席15の前側に固定された支持ブラケット27と、走行操作バルブ23に取り付けられたバルブブラケット29と、支持ブラケット27に対してバルブブラケット29を前後に回動可能に支持する支持軸28と、バルブブラケット29を支持ブラケット27に対して固定し、走行レバー25を操作位置で固定する操作位置固定部材31と、走行レバー25が操作位置にあることを検出する走行ロックスイッチ36とを備える。この構成によれば、バルブブラケット29は、支持ブラケット27に対し、支持軸28を中心として操作位置と非操作位置とに回動変位する。そして、操作位置固定部材31によってバルブブラケット29を固定することにより、バルブブラケット29に取付けられた走行操作バルブ23の走行レバー25を、操作位置に固定することができる。また、走行レバー25が操作位置に変位したことを、走行ロックスイッチ36によって検出することができる。
【0062】
次に、
図9ないし
図13は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、運転席の前側に走行操作バルブが固定され、レバー移動機構は、走行操作バルブに設けられたレバー取付部材と、走行レバーに取付けられたレバーブラケットと、レバー取付部材に対してレバーブラケットを回動可能に支持する支持軸とを含んで構成されていることにある。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
図中、走行操作装置41は、第1の実施形態による走行操作装置22と同様に、走行操作バルブ23と、走行レバー25と、走行ロック装置35と、後述するレバー移動機構42とを含んで構成されている。しかし、レバー移動機構42の構成が、第1の実施形態によるレバー移動機構26とは異なっている。
【0064】
レバー移動機構42は、フロア部材14と走行操作バルブ23との間に設けられている。レバー移動機構42は、待機姿勢を保持した走行レバー25を、運転席15に接近した操作位置(
図9の位置)と、運転席15から前方に離間した非操作位置(
図10の位置)とに移動させる。レバー移動機構42は、走行操作バルブ23の左走行操作部23Bと右走行操作部23Cとにそれぞれ設けられ、同一の構成を有している。このため、左走行操作部23Bに設けられたレバー移動機構42について説明し、右走行操作部23Cに設けられたレバー移動機構42についての説明は省略する。レバー移動機構42は、レバー取付板43と、支持軸44と、レバーブラケット45と、操作位置固定部材47とを含んで構成されている。
【0065】
レバー取付部材としてのレバー取付板43は、走行操作バルブ23を構成する左走行操作部23Bの回動軸23Dに取付けられている。レバー取付板43は、四角形の平板によって形成され、回動軸23Dと一体に回動することにより、走行操作バルブ23が操作される。レバー取付板43の後側(運転席15側)には、左右方向に延びる係合ピン43Aが設けられ、係合ピン43Aは、レバー取付板43のうち走行操作バルブ23とは反対側となる外側面43Bから左側方に突出している。レバー取付板43には、支持軸44に隣接して棒状のブラケットストッパ43Cが設けられ、ブラケットストッパ43Cは、レバー取付板43の外側面43Bから左側方に突出している。また、レバー取付板43の外側面43Bには、ブラケットストッパ43Cに隣接して、走行ロック装置35を構成する走行ロックスイッチ36が取付けられている。
【0066】
支持軸44は、係合ピン43Aよりも前側に位置してレバー取付板43に設けられている。支持軸44は左右方向に延びる棒状体からなり、レバー取付板43の外側面43Bから左側方に突出している。支持軸44は、待機姿勢にある走行操作装置22の走行レバー25を、
図9に示す操作位置と、
図10に示す非操作位置との間で回動変位させるため、レバー取付板43に対してレバーブラケット45を前後に回動可能に支持している。
【0067】
レバーブラケット45は、支持軸44を介してレバー取付板43に取付けられている。レバーブラケット45は、四角形の平板によって形成され、走行レバー25が固定されている。レバーブラケット45の下端45A側には、支持軸44が挿通され、レバーブラケット45は、レバー取付板43の外側面43Bに当接した状態で支持軸44を中心として回動可能となっている。レバーブラケット45には、支持軸44よりも後側に位置して係合溝45Bが設けられている。係合溝45Bは、レバー取付板43に設けられた係合ピン43Aに係合するもので、支持軸44の軸中心を中心として係合ピン43Aの中心を通る円弧状に形成されている。
【0068】
レバーブラケット45が支持軸44を中心として回動し、係合溝45Bの溝底部がレバー取付板43の係合ピン43Aに当接することにより、待機姿勢にある走行操作装置41の走行レバー25が、
図9の操作位置に固定される。一方、レバーブラケット45が支持軸44を中心として回動し、レバーブラケット45の下端45Aが、レバー取付板43のブラケットストッパ43Cに当接することにより、待機姿勢にある走行操作装置41の走行レバー25が、
図10の非操作位置に固定される。
【0069】
また、レバーブラケット45のうちレバー取付板43とは反対側に位置する外側面45Cには、ばね受け45Dと、アームストッパ45Eと、係止ピン45Fとが設けられている。ばね受け45Dは、支持軸44に隣接した位置に突設され、後述するねじりコイルばね46の他端46Bを掛け止めする。アームストッパ45Eは、係合溝45Bに隣接した位置に突設され、後述するロックアーム48が当接する。係止ピン45Fは、アームストッパ45Eに隣接した位置に突設され、後述する戻しばね49の一端を掛止めする。
【0070】
ねじりコイルばね46は、支持軸44の外周側に配置されている。ねじりコイルばね46は、コイル部を支持軸44に挿通した状態で支持軸44に支持されている。ねじりコイルばね46の一端46Aは、レバー取付板43に突設されたブラケットストッパ43Cに掛け止めされ、ねじりコイルばね46の他端46Bは、レバーブラケット45に突設されたばね受け45Dに掛け止めされている。ねじりコイルばね46は、支持軸44を中心として回動可能なレバーブラケット44を、レバー取付板43のブラケットストッパ43Cに当接する方向に付勢する。このように、待機姿勢にある走行操作装置41の走行レバー25は、ねじりコイルばね46によって自動的に
図10の非操作位置に復帰し、この非操作位置を保持することができる。
【0071】
操作位置固定部材47は、レバーブラケット45に設けられている。操作位置固定部材47は、レバーブラケット45をレバー取付板43に対して固定することにより、待機姿勢にある走行操作装置41の走行レバー25を操作位置に固定する。操作位置固定部材47は、ロックアーム48と、戻しばね49と、ロック解除レバー50とを含んで構成されている。
【0072】
ロックアーム48は、レバーブラケット45のうち係合溝45Bに隣接した位置に設けられている。ロックアーム48は、上下方向に延びる細長い板体からなり、ロックアーム48の基端(上端)は、ピン48Aを介してレバーブラケット45に回動可能に取付けられている。ロックアーム48の先端には、係合溝45B側に突出するフック48Bが設けられ、フック48Bの下側には傾斜部48Cが設けられている。ロックアーム48は、レバーブラケット45に突設されたアームストッパ45Eに当接した状態が初期位置(
図12および
図13の位置)となり、ロックアーム48が初期位置を保持している状態で、傾斜部48Cは、係合溝45B内に配置されている。ロックアーム48の長さ方向の中間部(ピン48Aとフック48Bとの間)には、係止ピン48Dが突設されている。
【0073】
戻しばね49は、引張りコイルばねにより形成され、レバーブラケット45とロックアーム48との間に設けられている。戻しばね49の一端は、レバーブラケット45の係止ピン45Fに掛け止めされ、戻しばね49の他端は、ロックアーム48の係止ピン48Dに掛け止めされている。これにより、戻しばね49は、ロックアーム48を初期位置に向けて付勢し、ロックアーム48のフック48Bは、係合溝45B内に突出している。
【0074】
ロック解除レバー50は、ロックアーム48の基端側に取付けられている。ロック解除レバー50の基端はピン48Aに隣接した位置でロックアーム48に固定されている。ロック解除レバー50の先端は、レバーブラケット45の外部に突出している。操作位置に固定された走行レバー25を、非操作位置に移動させるときには、ロック解除レバー50を下方に押圧することにより、ロックアーム48のフック48Bを係合ピン43Aから離脱させる。これにより、レバーブラケット45は、戻しばね49により支持軸44を中心として回動し、下端45Aがレバー取付板43のブラケットストッパ43Cに当接する。これにより、待機姿勢となった走行操作装置41の走行レバー25は、非操作位置へと自動的に移動し、この非操作位置を保持する。
【0075】
走行操作装置41の走行レバー25が、非操作位置に移動したときには、レバー取付板43に取付けられた走行ロックスイッチ36の操作部36Aは押圧されない(
図13参照)。このとき、走行ロックスイッチ36は、走行ロックバルブ37に対し、走行レバー25が非操作位置に移動したことを示す検出信号を出力する。これにより、走行ロックバルブ37が油路19Bを遮断し、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が停止する。従って、走行レバー25が非操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作に関わらず、走行モータ8Aの動作が禁止される。
【0076】
一方、走行レバー25を、非操作位置から操作位置に移動させるときには、例えば走行レバー25のグリップ25Cを、運転席15側に引き寄せる。これにより、レバーブラケット45は、支持軸44を中心として、ねじりコイルばね46に抗して係合ピン43A側に回動する。ロックアーム48は、レバー取付板43の係合ピン43Aに当接することによりピン48Aを中心として回動する。そして、係合溝45Bの溝底部が係合ピン43Aに当接した位置で、ロックアーム48のフック48Bが係合ピン43Aに係合することにより、待機姿勢となった走行操作装置41の走行レバー25は、操作位置に固定される。
【0077】
走行操作装置41の走行レバー25が、操作位置に移動したときには、レバーブラケット45の下端45Aが、レバー取付板43に取付けられた走行ロックスイッチ36の操作部36Aを押圧する(
図12参照)。このとき、走行ロックスイッチ36は、走行ロックバルブ37に対し、走行レバー25が操作位置に移動したことを示す検出信号を出力する。これにより、走行ロックバルブ37が油路19Bを開放し、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が可能となる。従って、走行レバー25が操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aの動作が可能となり、下部走行体2の走行動作を制御することができる。
【0078】
第2の実施形態による走行操作装置41は、上述の如き構成を有するもので、本実施形態においても、待機姿勢となった走行操作装置41の走行レバー25が非操作位置に移動したときには、走行ロック装置35により、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が停止される。この結果、走行レバー25が非操作位置に移動した状態では、誤って走行レバー25に触れたとしても、オペレータの意に反して走行モータ8Aが作動する事態を防止することができる。
【0079】
しかも、第2の実施形態による走行操作装置41は、走行操作バルブ23がフロア部材14に固定されている。そして、走行操作バルブ23に取付けられたレバー取付板43に対し、走行レバー25が固定されたレバーブラケット45が、支持軸44を中心として回動することにより、走行レバー25が操作位置と非操作位置とに移動する。このため、走行レバー25の移動に伴って走行操作バルブ23が移動することがなく、走行操作バルブ23に接続された複数の油圧ホース(図示せず)も移動することがない。この結果、走行操作バルブ23に接続された複数の油圧ホースが互いに擦れて損傷するのを抑えることができ、かつ、複数の油圧ホースを配策するときに弛みを考慮する必要がなく、配策作業の作業性を高めることができる。
【0080】
次に、
図14ないし
図20は本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、レバー移動機構は、走行操作バルブが取付けられ運転席に対して接近、離間するスライド部材と、走行レバーが操作位置に移動したときにスライド部材を固定する操作位置固定部材とを含んで構成されていることにある。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
図中、走行操作装置51は、第1の実施形態による走行操作装置22と同様に、走行操作バルブ23と、走行レバー25と、走行ロック装置35と、後述するレバー移動機構52とを含んで構成されている。しかし、レバー移動機構52の構成が、第1の実施形態によるレバー移動機構26とは異なっている。
【0082】
レバー移動機構52は、フロア部材14と走行操作バルブ23との間に設けられている。レバー移動機構52は、待機姿勢を保持した走行レバー25を、運転席15に接近した操作位置(
図14の位置)と、運転席15から前方に離間した非操作位置(
図15の位置)とに移動させる。レバー移動機構52は、バルブ支持部材53,54と、スライド部材55,56と、操作位置固定部材57とを含んで構成されている。
【0083】
図16に示すように、バルブ支持部材53,54は、走行操作バルブ23を挟んで左右両側に設けられ、スライド部材55に対して走行操作バルブ23を支持している。一方のバルブ支持部材53は、前後方向に延びる長方形状をなす上側横板53Aおよび下側横板53Bと、上側横板53Aと下側横板53Bとの間を鉛直方向に延び両者間を連結する縦板53Cとを有している。上側横板53Aは、走行操作バルブ23のバルブ本体部23Aに固定され、下側横板53Bは、スライド部材55の可動体55Cに固定されている。
【0084】
他方のバルブ支持部材54は、バルブ支持部材53と同様に、上側横板54Aおよび下側横板54Bと、縦板54Cとを有している。上側横板54Aは、走行操作バルブ23のバルブ本体部23Aに固定され、下側横板54Bは、スライド部材56の可動体56Cに固定されている。バルブ支持部材53の縦板53Cの上下方向の高さ寸法は、後述するストッパ板58(取付板部58A)の板厚分だけ、バルブ支持部材54の縦板54Cの上下方向の高さ寸法よりも小さく設定されている。
【0085】
スライド部材55は、フロア部材14とバルブ支持部材53との間に設けられ、スライド部材56は、フロア部材14とバルブ支持部材54との間に設けられている。これらスライド部材55,56は、走行操作バルブ23を挟んで左右方向で対をなし、走行操作バルブ23を、運転席15に対して接近、離間する方向(前後方向)に移動可能に支持することにより、走行レバー25を操作位置と非操作位置との間でスライドさせる。
【0086】
図17および
図18に示すように、一方のスライド部材55は、後述するストッパ板58の取付板部58Aを介してフロア部材14に固定され、前後方向に延びる固定レール55Aと、複数のボール55Bを介して固定レール55Aに移動可能に取付けられた可動体55Cとを有している。可動体55Cには、バルブ支持部材53の下側横板53Bが固定されている。他方のスライド部材56は、スライド部材55と同様に、固定レール56Aと、複数のボール56Bを介して固定レール56Aに移動可能に取付けられた可動体56Cとを有している。可動体56Cには、バルブ支持部材54の下側横板54Bが固定されている。
【0087】
これにより、走行操作バルブ23の左走行操作部23Bおよび右走行操作部23Cにレバー取付板24を介して取付けられた走行レバー25は、待機姿勢を保持した状態で、運転席15に接近した
図14に示す操作位置と、運転席15から前方に離れた
図15に示す非操作位置の間を直線的に移動する。なお、フロア部材14には、走行レバー25が走行操作バルブ23と共に操作位置と非操作位置との間で移動するときに走行操作バルブ23が移動できるスリット(図示せず)が、前後方向に延びて形成されている。
【0088】
操作位置固定部材57は、一方のスライド部材55とフロア部材14との間に設けられ、走行レバー25が操作位置に移動したときにスライド部材55を固定する。操作位置固定部材57は、ストッパ板58と、ロックアーム59と、アーム操作レバー60とを含んで構成されている。
【0089】
ストッパ板58は、一方のスライド部材55を構成する固定レール55Aとフロア部材14との間に固定されている。ストッパ板58は、L字型の断面形状を有する板体からなり、固定レール55Aと等しい長さ寸法を有している。ストッパ板58は、固定レール55Aとフロア部材14との間に固定された取付板部58Aと、取付板部58Aから鉛直方向に立上り、長さ方向(前後方向)の全域にわたって一定の間隔で櫛歯状の凹凸が連続する櫛状板部58Bとを有している。櫛状板部58Bは、一方のバルブ支持部材53の縦板53Cと一定の間隔をもって左右方向で対向している。
【0090】
ロックアーム59は、バルブ支持部材53の縦板53Cのうち走行操作バルブ23と対向する面に設けられている。ロックアーム59は、前後方向に延びる細長い板体からなり、ロックアーム59の基端(後端)は、ピン59Aを介して縦板53Cに回動可能に支持されている。ロックアーム59の先端には、ストッパ板58の櫛状板部58B側に突出するフック59Bが設けられ、ロックアーム59の先端がピン59Aを中心として回動することにより、フック59Bが櫛状板部58Bの凹部に対して係合、離脱する。従って、ロックアーム59のフック59Bが、連続する櫛状板部58Bの凹部のいずれかに係合することにより、スライド部材55を運転席15に対して任意の位置に固定することができる。
【0091】
アーム操作レバー60は、バルブ支持部材53の縦板53Cを挟んで走行操作バルブ23とは反対側に配置され、ロックアーム59のピン59Aを介して縦板53Cに回動可能に支持されている。アーム操作レバー60は、L字型に屈曲した板体からなり、アーム操作レバー60の基端(後端)は、ロックアーム59のピン59Aに一体的に取付けられている。アーム操作レバー60の先端は操作部60Aとなり、運転席15に向けて斜め上向きに延びている。従って、アーム操作レバー60の操作部60Aを上下方向に操作することにより、ロックアーム59はピン59Aを中心として回動する。
【0092】
ロックアーム59のフック59Bが、ストッパ板58の櫛状板部58Bの凹部に係合することにより、スライド部材55の固定レール55Aに対して可動体55Cが固定され、スライド部材55,56に支持された走行操作バルブ23の移動が停止する。従って、走行操作バルブ23に取付けられた走行レバー25が、待機姿勢を保持した状態で
図15の非操作位置に移動したときに、アーム操作レバー60によって、ロックアーム59のフック59Bを櫛状板部58Bの凹部に係合させることにより、走行レバー25を非操作位置に固定することができる。
【0093】
走行ロック装置35を構成する走行ロックスイッチ36は、ストッパ板58の前端58C側に、ブラケット61を介して取付けられている。走行レバー25が非操作位置に移動したときには、走行ロックスイッチ36の操作部36Aが、バルブ支持部材53の縦板53Cによって押圧され、走行ロックスイッチ36は、走行ロックバルブ37に対し、走行レバー25が非操作位置に移動したことを示す検出信号を出力する。これにより、走行ロックバルブ37が油路19Bを遮断し、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が停止する。従って、走行レバー25が非操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作に関わらず、走行モータ8Aの動作が禁止される。
【0094】
一方、走行レバー25が操作位置に移動したときには、走行ロックスイッチ36の操作部36Aは押圧されず、走行ロックスイッチ36は、走行ロックバルブ37に対し、走行レバー25が操作位置に移動したことを示す検出信号を出力する。これにより、走行ロックバルブ37が油路19Bを開放し、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が可能となる。従って、走行レバー25が操作位置に移動した状態では、走行レバー25に対する操作に応じて走行モータ8Aの動作が可能となり、下部走行体2の走行動作を制御することができる。
【0095】
第3の実施形態による走行操作装置51は、上述の如き構成を有するもので、本実施形態においても、待機姿勢となった走行操作装置51の走行レバー25が、非操作位置に移動したときには、走行ロック装置35により、走行操作バルブ23からコントロールバルブ17へのパイロット信号の供給が停止される。この結果、走行レバー25が非操作位置に移動した状態では、誤って走行レバー25に触れたとしても、オペレータの意に反して走行モータ8Aが作動する事態を防止することができる。
【0096】
しかも、第3の実施形態による走行操作装置51は、操作位置固定部材57のストッパ板58が、前後方向に連続する櫛状板部58Bを有し、スライド部材55に設けられたロックアーム59のフック59Bが、連続する櫛状板部58Bの凹部のいずれかに係合することにより、走行操作バルブ23を運転席15に対して任意の位置に固定することができる。従って、運転席15に座るオペレータの体格に応じて、走行操作バルブ23の走行レバー25の操作位置を適宜に変更することができ、走行レバー25の操作性を向上させることができる。
【0097】
なお、実施形態では、
図8に示すように、パイロットポンプ19からのパイロット信号が、ゲートロックバルブ21を通過した後に、油路19Bを通じて走行ロックバルブ37に供給される構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図21に示す変形例のように、パイロットポンプ19からのパイロット信号が、ゲートロックバルブ21を通過することなく、油路19Bを通じて直接的に走行ロックバルブ37に供給される構成としてもよい。この構成によれば、例えば走行モータ8A以外のアクチュエータの動作をゲートロックバルブ21によって禁止した状態で、下部走行体2の走行動作のみを制御することができる。
【0098】
また、実施形態では、油圧パイロット式の走行操作バルブ23を用いた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば走行レバー25を備えた電磁パイロット式の走行操作バルブを用いても良い。
【0099】
また、第3の実施形態では、操作位置固定部材57のストッパ板58が、一定の間隔で櫛歯状の凹凸が連続する櫛状板部58Bを有し、この櫛状板部58Bの凹部にロックアーム59のフック59Bが係合する構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば一定の間隔で連続する多数の穴が形成された板体を備え、この連続する穴のいずれかにロックアーム59のフック59Bが係合する構成としても良い。
【0100】
さらに、実施形態では、クローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、クローラ式作業車両等の走行レバーを備えた建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 駆動輪
8A 走行モータ
14 フロア部材
15 運転席
22,41,51 走行操作装置
23 走行操作バルブ
26,42,52 レバー移動機構
27 支持ブラケット
28,44 支持軸
29 バルブブラケット
31,47,57 操作位置固定部材
35 走行ロック装置
36 走行ロックスイッチ
37 走行ロックバルブ
43 レバー取付板(レバー取付部材)
45 レバーブラケット
55,56 スライド部材