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特開2024-135965コンクリート型枠装置のフォームの取扱い方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135965
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コンクリート型枠装置のフォームの取扱い方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E21D11/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046896
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】315014567
【氏名又は名称】島工業HD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 実
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA05
2D155BB02
2D155CA03
2D155CA06
2D155DA08
2D155GB01
(57)【要約】
【課題】トンネルの覆工コンクリートの建設工期を短縮化すること。
【解決手段】トンネルの地面T1に設置される支持装置上のフォームによってトンネルの覆工コンクリートを成形する。コンクリート型枠装置外においてフォーム21を構成する中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212をヒンジ41によって連結する。フォーム21は、支持装置上にアーチ形状をなすように組付けられるものであって、支持装置外においてヒンジ41の回動を介して展開される。そして、展開状態のフォーム21の中央フォーム部材211を引き上げることによってフォーム21をヒンジの回動を介してアーチ形状にする。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの地面に設置される支持装置上のフォームによってトンネルの覆工コンクリートを成形するようにしたコンクリート型枠装置の構築及び解体のうちの少なくとも一方において、
前記フォームを構成する複数のフォーム部材をヒンジによって連結した状態で取扱うコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項2】
前記フォームは、前記支持装置上にアーチ形状をなすように組付けられる天フォームであって、支持装置外において前記ヒンジを介して展開される請求項1に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項3】
前記天フォームは、中央フォーム部材と、その端部側に前記ヒンジを介して連結される端部フォーム部材とよりなり、前記コンクリート型枠装置の構築に際して、展開状態の前記天フォームの中央フォーム部材を引き上げることによって前記天フォームを前記ヒンジの回動を介して前記アーチ形状にする請求項2に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項4】
前記天フォームを前記アーチ形状に固定化した後に、前記ヒンジを取外して前記天フォームを前記支持装置に組付ける請求項3に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項5】
前記天フォームの展開状態において、前記天フォームを構成するフォーム部材間にスペーサを介在させて前記展開状態を保持する請求項2に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項6】
前記ヒンジは、前記天フォームを前記アーチ形状に保持する保持部を有する請求項2に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【請求項7】
前記展開状態の前記天フォームをその長手方向がトラック荷台の前後方向に沿うように、スタンドを介して前記トラック荷台に積載して、その状態でトラック搬送する請求項5に記載のコンクリート型枠装置におけるフォームの取扱い方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内周面に対して二次覆工コンクリート(以下、覆工コンクリートという)を成形するためのフォームを有したコンクリート型枠装置に関するものである。特に、本発明はコンクリート型枠装置のフォームの取扱い方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、トンネルの覆工コンクリートを成形するためのフォームを有したコンクリート型枠装置が開示されている。このフォームは、コンクリート型枠装置の頂部に位置するアーチ形状の天フォーム、両側部に位置する円弧形状の側フォーム、その下部に位置する円弧形状のインバートフォームである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-166312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天フォームは、通常、中央フォーム部材と、その両端側の一対の端部フォーム部材とを連結して構成されている。そして、天フォームはアーチ径が大きいため、倒伏状態では、トラック荷台に納まらない。また、立てた状態では、不安定である。
【0005】
そのため、従来、天フォームをトンネル建設現場に搬送する場合には、中央フォーム部材と、一対の端部フォーム部材とを分離した状態でトラック荷台に積載していた。従って、分離状態の中央フォーム部材及び端部フォーム部材は、トンネル建設現場において個々にトラック荷台から降ろされた後に、その現場で作業者によって天フォームとして結合される。そして、その天フォームが型枠装置に組付けられる。しかし、中央フォーム部材及び端部フォーム部材は、作業者にとって大きく大重量であるため、結合作業は、時間がかかるとともに、苦渋作業に近い。
【0006】
従って、従来は、トンネル建設現場における作業量が多くなるため、トンネルの建設工期が長くなる要因となった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンクリート型枠装置のフォームの取扱い方法においては、トンネルの地面に設置される支持装置上のフォームによってトンネルの覆工コンクリートを成形するようにしたコンクリート型枠装置の構築及び解体のうちの少なくとも一方において、前記フォームを構成する複数のフォーム部材をヒンジによって連結した状態で取扱うことを特徴とする。
【0008】
ここで、フォームの取扱いとは、フォームがコンクリート型枠装置に組付けられた状態における取扱いを除くものである。そして、コンクリート型枠装置の構築及び解体は、その構築及び解体のためのフォーム及びフォームを構成するフォーム部材の搬送や工程間の移動を含むものである。
【0009】
以上の方法においては、取扱い対象であるフォームが複数のフォーム部材をヒンジによって連結した状態で取扱われる。このため、トラック搬送等において複数のフォーム部材を一体的に取扱うことができるので、フォームの積み下ろしの手間等を軽減できる。従って、トンネル建設におけるコンクリート型枠装置の取扱いに要する時間を短縮化できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンクリート型枠装置の取扱いに要する時間を短縮化できるので、トンネル建設の工期を短縮できるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】覆工コンクリートの打設状態を示す正断面図。
図2】構築状態におけるフォームユニットを示す側面図。
図3】下部脚体を連結していない状態の型枠装置を示す正断面図。
図4】天フォームを示す斜視図。
図5】アーチ形状にしたフォームが地面上に設置された状態を示す斜視図。
図6】天フォームを地面上から支持装置上に組付ける状態を示す斜視図。
図7】第1実施形態において、(a)は天フォームを展開状態でトラック荷台に積載した状態を示す斜視図、(b)は端部スタンドに対する天フォームの支持構成を示す一部斜視図。
図8】同じく(a)は展開状態の天フォームを地面に設置した状態を示す斜視図、(b)は中央スタンドに対する天フォームの支持構成を示す一部斜視図。
図9】同じく天フォームの展開状態におけるヒンジ部分の斜視図。
図10】同じく天フォームをアーチ形状にした状態におけるヒンジ部分の斜視図。
図11】同じくヒンジの分解斜視図。
図12】同じくスペーサの斜視図。
図13】同じくスペーサ部分の断面図。
図14】同じくキャスタ部分の斜視図。
図15】同じく(a)は地面上における展開状態の天フォームを示す側面図、(b)は地面上におけるアーチ形状状態の天フォームを示す側面図。
図16】第2実施形態において、(a)は天フォームを展開状態でトラック荷台に積載した状態を示す斜視図、(b)は受け金具の部分を示す一部斜視図。
図17】同じく(a)は展開状態の天フォームを地面に設置した状態を示す斜視図、(b)は天フォームの吊り上げ状態を示す断面図。
図18】同じく(a)は地面上における端部フォーム部材の組付け前の状態の天フォームを示す側面図、(b)は端部フォーム部材を組付けた状態の天フォームを示す側面図、(c)は地面上におけるアーチ形状状態の天フォームを示す側面図。
図19】第3実施形態において、(a)は展開状態にした天フォームの半部を示す簡略断面図、(b)はアーチ形状状態にした天フォームの半部を示す簡略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
〈コンクリート型枠装置の構成及び構築方法〉
はじめに、コンクリート型枠装置の構成及び構築方法を主に図1図4の図面に基づいて説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、型枠装置11は、トンネルTの地面T1に設置されるガントリ形状の支持装置12と、その支持装置12上に支持された湾曲形状の複数枚のアーチ形状をなすフォームユニット13とを備えている。フォームユニット13は、トンネルTの延長方向に沿って複数並設される。この並設されたフォームユニット13により、トンネルTの内周面に覆工コンクリートCが成形される。
【0014】
図1及び図2に示すように、フォームユニット13は、型枠装置11の頂部に位置する浅いアーチ形状の天フォーム21を有する。フォームユニット13は、天フォーム21の両側に位置する円弧形状の側フォーム22,その側フォーム22の下部側に位置する円弧形状のインバートフォーム23を有する。図2及び図4に示すように、各フォーム21,22,23は、外周面に面板24(図9及び図10参照)を有している。面板24は、点検等のための開口25を有しており、その開口25には蓋板26が開口25の閉塞のために嵌め込まれる。
【0015】
図1に示すように、型枠装置11を構築する際には、トンネルTの地面T1に支持装置12が組み立てられる。そして、支持装置12上にフォームユニット13が支持される。支持装置12は、その左右両側に、脚14を有している。脚14の下側に連結される下部脚体16の下端の車輪17がトンネルTの地面T1のレール18上に支持される。図3に示すように、脚14に対して下部脚体16が連結される前は、脚14の左右両側に補助脚19が取付けられる。
【0016】
図3に示すように、脚14の上端間には梁部材15が架設される。そして、梁部材15には、図6に示すが、図1及び図3では図示を省略する各種の中間部材20などを介して、天フォーム21,側フォーム22,インバートフォーム23の順で組付けられる。天フォーム21は、下部脚体16が連結される前に支持装置12の梁部材15上に組付けられる。その後、補助脚19が取外されるとともに、図示しないジャッキによって支持装置12が上昇された状態で、下部脚体16が組付けられる。そして、天フォーム21の両端に側フォーム22が組付けられた後に、側フォーム22の下端にインバートフォーム23が組付けられる。
【0017】
〈天フォームの構成〉
図3及び図4に示すように、天フォーム21は、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212とによって構成されている。中央フォーム部材211の両端側に端部フォーム部材212が連結されている。両フォーム部材211,212は面板24の裏面両側に側板27を有している。中央フォーム部材211は面板24の裏面両端に端板28を有している。端部フォーム部材212は、面板24の両端に端板29,30を有しており、一方の端板29がボルト及びナット(以下、この組合わせを単にボルトという)31によって中央フォーム部材211の両端の端板28に連結されている。端部フォーム部材212の他方の端板30には、側フォーム22とヒンジ33(図1及び図14参照)によって連結するためのヒンジ板32が固着されている。
【0018】
〈天フォームの取扱い方法〉
次に、第1実施形態の天フォームの取扱い方法について説明する。
図4図6に示すように、型枠装置11の構築に際して、天フォーム21は、その両端が下になるようにトンネルTの地面T1上に立てられる。この状態において、そのクレーンRの索Sが天フォーム21の中央の開口25を貫通される。索Sの下端には天フォーム21の下面側に位置する吊り金具Kが着脱可能に設けられる。
【0019】
そして、図5及び図6に示すように、クレーンRによって索Sを介して吊り金具Kが上げられることにより、吊り金具Kと開口25の内縁との係合を介して、天フォーム21が吊上げられる。その状態で、クレーンRの回転にともなって天フォーム21が支持装置12まで移動されて、その支持装置12上に組付けられる。なお、通常、開口25は、蓋板26によって閉鎖されているが、天フォーム21が吊り金具Kによって吊下げられるときには、天フォーム21の中央の開口25の蓋板26が外される。そして、吊り下げ終了にともないその開口25が蓋板26によって閉鎖される。
【0020】
型枠装置11の解体にともなう天フォーム21の取外しのための取扱いに際しては、前記とは逆順の作業が実行される。すなわち、クレーンRの吊り金具Kによって天フォーム21は支持装置12上から吊り上げられて、トンネルTの地面T1上に降ろされる。
【0021】
〈天フォームの搬送方法及び搬送に用いられる部材〉
次に、天フォーム21をその工場等からトンネル建設現場へ搬送するための搬送方法を説明する。
【0022】
図7以降の図面に示すように、天フォーム21の搬送に際しては、天フォーム21に対してそれぞれ着脱可能にしたヒンジ41,スペーサ42及びキャスタ43等の部材が取付けられる。
【0023】
図7(a),図8(a)に示すように、ヒンジ41は、天フォーム21の両側において、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の間に介在される。このヒンジ41を介して中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212が相手方に対して回動可能に連結される。図9図11に示すように、ヒンジ41は、中央フォーム部材211の側板27にボルト31によって取付けられる第1部材44と、端部フォーム部材212の側板27にボルト31によって取付けられる第2部材45とよりなる。第1部材44は、それぞれ1箇所に軸孔40及びピン孔47を有する。第2部材45は1箇所に軸孔40,2箇所にピン孔47を有する。第1部材44には保持部としての押さえ板46が固着されている。
【0024】
そして、ボルト31によって第1部材44及び第2部材45がそれぞれ中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212に固着されている。また、第1部材44及び第2部材45それらの軸孔40を通るヒンジ軸51によって連結される。
【0025】
図12及び図13に示すように、スペーサ42は、それぞれ中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の端板28,29にボルト31(図示しない)によって固定される一対の取付け片49を有している。両取付け片49間にはボルト31によって連結片50が連結されている。
【0026】
図14に示すように、キャスタ43は、車輪55を有している。そして、キャスタ43は、天フォーム21の両端において、両方の端部フォーム部材212における端板30のヒンジ板32に対して軸56によって取付けられる。また、キャスタ43は端板30等に当接する複数のストッパ52によって定姿勢に保持される。
【0027】
図7(a)に示すように、天フォーム21をトラック搬送する際には、天フォーム21の両端部にキャスタ43が取付けられるとともに、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間がヒンジ41によって連結される。そして、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212がヒンジ軸51を中心にして展開される。また、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間にスペーサ42が介在されて、天フォーム21が展開状態に維持される。このとき、図9に示すように、1本のピン53は、第1部材44のピン孔47及び第2部材45のピン孔47に挿通されている。このため、ヒンジ41は開閉動作できない固定状態となって、天フォーム21は平板状の展開状態が維持される。
【0028】
この状態で、天フォーム21の中央フォーム部材211の両側に中央スタンド61が取付けられる。図8(b)に示すように、この中央スタンド61は、中央フォーム部材211の側板27にボルト31によって固定される。中央スタンド61は、その端部の連結突部62において他の中央スタンド61に上下方向に連結される。この天フォーム21と中央スタンド61とのセットが3段に連結された状態でトラック荷台TRに積載される。
【0029】
一方、図7(a)及び同図(b)に示すように、トラック荷台TRの前後位置の両側には各一対の端部スタンド63が立てられている。そして、積層状態の天フォーム21の両方の端部フォーム部材212の側板27が端部スタンド63にボルト31によって固定される。このようにして、3基の平板状の天フォーム21が重ねられた状態で積載される。そして、この状態では、天フォーム21は、トラック荷台TRの床面に接触することなく、床面から浮き上がるとともに、天フォーム21どうしが接触することなく、それらの間には間隔が形成されている。
【0030】
〈天フォームの組付け方法〉
図7(a)に示すように、この状態で、天フォーム21は、型枠装置11の構築のために、トラック搬送されて、トンネルTの建設現場に搬入される。そして、建設現場において、端部スタンド63と側板27との間のボルト31が外されるとともに、クレーンRによって上側の天フォーム21と中央スタンド61とのセットが吊り上げられる。このとき、上端の中央スタンド61がその下側の中央スタンド61から分離される。
【0031】
そして、図8及び図15(a)に示すように、天フォーム21と中央スタンド61とのセットがトンネルTの地面T1に降ろされる。このとき、前記セットは、中央スタンド61及びキャスタ43が地面T1に接しているが、天フォーム21は地面T1から浮き上がった状態である。
【0032】
次いで、クレーンRの索Sの引き上げ力の付与を維持することにより、天フォーム21を吊り上げた状態で、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間のスペーサ42を取外す。また、中央スタンド61を天フォーム21から外す。
【0033】
また、ヒンジ41のピン53を第1部材44及び第2部材45のピン孔47から抜き取る。そして、クレーンRの索Sを引き上げる。このようにすれば、図15(a)及び同図(b)に示すように、キャスタ43の車輪55が地面T1上を転動しながら、端部フォーム部材212がヒンジ軸51を中心に回動するようにして立ち上がる。従って、天フォーム21はアーチ形状に近づく。そして、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の側板27の端縁どうしと、両フォーム部材211,212の面板24の端縁どうしとが突き合わせ状態で接合された状態になる。この状態では、天フォーム21が全体としてアーチ形状になって、面板24が同一曲面上において連続する。また、ヒンジ41の押さえ板46が接合された面板24を押さえる。
【0034】
そして、第1部材44のピン孔47及び第2部材45の前記とは別のピン孔47にピン53を挿入する。このようにすれば、天フォーム21がアーチ形状をなす状態で、ヒンジ41の第1部材44と第2部材45との回動が阻止される。従って、天フォーム21が押さえ板46によって押さえられた状態で、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212とが固定化される。このとき、天フォーム21は、索Sによる吊り下げ状態に維持される。この状態で、図4に示すように、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の隣接する端板29,30を固定部材としてのボルト31で固定する。従って、天フォーム21がアーチ形状に固定化される。
【0035】
その後、天フォーム21を型枠装置11の支持装置12に組付ける場合には、ヒンジ41を取外すとともに、端部フォーム部材212からキャスタ43を取外した後に、図6に示すように、天フォーム21を支持装置12の頂部まで吊り上げながら移動させればよい。
【0036】
型枠装置11の解体に際して、天フォーム21に対しては組付け時とは逆順の取扱いが実行される。すなわち、アーチ形状の天フォーム21がクレーンRによって支持装置12から外されて、地面T1の近くまで降下される。そして、索Sによって天フォーム21に吊り上げ力が作用した降下位置において端部フォーム部材212にキャスタ43が取付けられる。次いで、天フォーム21にヒンジ41が取付けられる。このとき、ヒンジ41がヒンジ軸51及びピン53によって連結される。このようにすれば、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の面板24がヒンジ41の押さえ板46によって押さえられる。そして、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間のボルト31が取外された後に、ヒンジ41のピン53が抜かれる。
【0037】
次いで、索Sの降下によって天フォーム21はヒンジ軸51を中心に回動して広がる展開状態にされる。この状態で、ヒンジ41の第1部材44のピン孔47及び第2部材45の前記アーチ状態の場合とは別のピン孔47にピン53が挿入される。次いで、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間にスペーサ42が介在される。なお、スペーサ42が介在された後に、ヒンジ41のピン孔47にピン53が挿入されてもよい。そして、中央フォーム部材211の両側に中央スタンド61が取付けられる。
【0038】
引き続き、展開状態の天フォーム21が吊り上げられて、3段になるようにトラック荷台TRに積載される。最後に、端部フォーム部材212の側板27が端部スタンド63に固定される。このようにして、型枠装置11の解体に際して型枠装置11から天フォーム21が取外された後に、トンネル建設現場から搬出される。
【0039】
以上のようにして、トンネル建設現場への搬入,型枠装置11の構築及び解体,トンネル建設現場からの搬出,構築及び解体作業内のクレーンRを用いた工程等の天フォーム21の一連の取扱いが実行される。
【0040】
(第1実施形態の効果)
本実施形態においては以下の効果がある。
(1)型枠装置11の構築及び解体において、天フォーム21を構成する天フォーム21の中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212がヒンジ41によって連結された一体化の状態で取扱われる。従って、トラック荷台TRに対する積み下ろし等において中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212を単独で取扱う必要がないため、それらの取扱いを短時間で行うことができる。また、トンネルTの建設現場において天フォーム21の組付けや分解を行う必要がない。このように、型枠装置11の構築や解体における作業数を少なくできるため、トンネル建設の工期を短くできる。
【0041】
(2)支持装置12上においてアーチ形状をなすように組付けられる天フォーム21は、支持装置12外においてヒンジ41を介して展開される。つまり、天フォーム21は展開によって平板状になるため、嵩張ることなく、安定してトラック搬送を実行できる。
【0042】
(3)型枠装置11の構築に際して、ヒンジ41を取付けた後の展開状態の天フォーム21を地面上で引き上げれば、天フォーム21をアーチ形状にすることができる。そして、ボルト31によってそのアーチ形状を固定にできる。従って、その後におけるヒンジ41の取外しにおいて天フォーム21を安定させることができるため、その取り外し作業を能率よく実行できる。
【0043】
(4)展開状態の天フォーム21のフォーム部材211,212間にスペーサ42が介在されて、天フォーム21が展開状態に保持される。従って、展開状態の天フォーム21を剛体にちかい構造体として取扱うことができるため、トラック荷台TRに対する積み下ろし等においてその取扱いが容易になる。
【0044】
(5)展開状態の天フォーム21をその長手方向がトラック荷台TRの前後方向に沿うように、中央スタンド61及び端部スタンド63を介してトラック荷台TRに積載して搬送することができる。従って、天フォーム21をトラック荷台TRに収まり良く積載して、かつ安定してトラック搬送できる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図16図18に従って第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
本実施形態は、大型の型枠装置11に使用されるため、大型に形成された天フォーム21を取扱う場合や、トラック荷台TRの長さが短い場合に好適に実施されるものである。
図16(a),(b)及び図17(a),(b)に示すように、天フォーム21がトラック搬送される場合、天フォーム21は、中央フォーム部材211と、一方の端部フォーム部材212とで構成される。このとき、第1実施形態と同様に、中央フォーム部材211が中央スタンド61で支持されるとともに、端部フォーム部材212が端部スタンド63で支持される。他方の端部フォーム部材212は図示しない別のトラックで搬送される。また、このとき、中央フォーム部材211と一方の端部フォーム部材212とは、第1実施形態のように、ヒンジ軸51及びピン53を介したヒンジ41で連結される。さらに、中央フォーム部材211と一方の端部フォーム部材212との間には、スペーサ42が介在されるとともに、一方の端部フォーム部材212にはキャスタ43が取付けられる。
【0047】
図16(a),(b)及び図17(a)に示すように、他方の端部フォーム部材212が連結されていない天フォーム21にはボルト31によって受け金具81が取付けられる。受け金具81の取付け位置は、天フォーム21の重心に対応した位置における中央フォーム部材211の両側である。受け金具81には、複数の掛止孔82が設けられている。
【0048】
そして、トンネルTの建設現場において、図17(b)に示すように、クレーンRの索Sの先端における一対のフックRFが受け金具81の掛止孔82に掛けられる。なお、フックRFは、索Sの先端に着脱可能に設けられた支持具SPに支持される。
【0049】
次いで、図18(a)~(c)に示すように、天フォーム21が中央スタンド61及び端部スタンド63とともに地面T1上に展開状態で降ろされるとともに、フックRFが外される。この状態で、中央フォーム部材211に他方の端部フォーム部材212がヒンジ軸51及びピン53を有するヒンジ41を用いて組付けられる。この場合、中央フォーム部材211と他方の端部フォーム部材212との間にスペーサ42は介在されない。
【0050】
そして、中央フォーム部材211と一方の端部フォーム部材212との間のスペーサ42が取外されるとともに、ヒンジ41のピン53が抜き取られる。その後は、索Sによって天フォーム21が中央の開口25の部分において第1実施形態と同様に吊り上げられる。この吊り上げによって、図18(b)に示すように、天フォーム21がアーチ状にされる。中央スタンド61及び端部スタンド63は、天フォーム21を吊り上げる前に取り外される。また、受け金具81は、フックRFが外された後と、天フォーム21が吊り上げられる前との間のタイミングで取り外される。そして、天フォーム21は、第1実施形態と同様にして、型枠装置11に組付けられる。このように、天フォーム21が取扱われて型枠装置11が構築される。
【0051】
型枠装置11の解体に際して、天フォーム21の型枠装置11からの取外しや搬送等において、天フォーム21の取扱いは、型枠装置11の構築時と逆順に進行する。
以上のように、本実施形態においては、中央フォーム部材211と一方の端部フォーム部材212とのユニットを第1実施形態と同様に取扱うことができる。このため、天フォーム21が大型のものであっても、トラック荷台TRが小さめのものであっても、トンネル建設の工期短縮に寄与できる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図19(a)及び同図(b)に従って第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
本実施形態においては、中央フォーム部材211及び端部フォーム部材212の端板28,29に取付け片71が固定されるとともに、その取付け片71には、ヒンジ片72が軸73を介して支持されている。両ヒンジ片72は、軸74によって互いに連結されている。この取付け片71,ヒンジ片72等によって中央フォーム部材211と端部フォーム部材212との間のヒンジ70が構成されている。
【0054】
そして、型枠装置11の構築や解体に際して、天フォーム21が展開されるときに、前記第1実施形態と同様にスペーサ42(本実施形態では図示しない)が用いられる。このとき、端板28,29間が離間されるが、ヒンジ片72が直線状になることによって離間距離が規定される。従って、中央フォーム部材211と端部フォーム部材212とが平板状になるとともに、それ以上の回動が阻止される。その結果、スペーサ42(図19では図示していない)との協働によって天フォーム21が展開状態に維持される。
【0055】
天フォーム21がアーチ形状にされるときには、スペーサ42が取外されるとともに、図示しない金具等を用いて、そのアーチ状態に保持される。そして、図4に示すように、ボルト31により中央フォーム部材211と端部フォーム部材212とが固定される。それ以外の取扱いは前記実施形態と同様である。
【0056】
(変更例)
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。そして、実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・前記実施形態では、本発明を型枠装置11の構築及び解体の双方において実施したが、本発明を型枠装置11の構築及び解体のいずれか一方において実施すること。つまり、型枠装置11の構築において本発明を実施するが、解体に際しては、フォーム部材間のヒンジによる連結を行わないこと。あるいは、型枠装置11の解体において本発明を実施するが、構築に際しては、フォーム部材間のヒンジによる連結を行わないこと。
【0058】
・側フォーム22やインバートフォーム23が複数のフォーム部材によって構成される場合、本発明を適用すること。
【符号の説明】
【0059】
11…型枠装置
12…支持装置
21…天フォーム
41…ヒンジ
42…スペーサ
211…中央フォーム部材
212…端部フォーム部材
C…覆工コンクリート
T…トンネル
T1…地面
TR…トラック荷台
図1
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