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特開2024-135968情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135968
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H02J13/00 301J
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046903
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松島 均
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA02
5G064AC08
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA05
(57)【要約】
【課題】蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を視覚的に提示可能な情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理方法は、サーバ装置が、電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータから、前記状態画面のグラフィックの設定に基づき、前記状態画面の画面データを作成し、前記画面データを前記クライアント装置に送信する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、クライアント装置が備える表示部に表示させる情報処理方法であって、
サーバ装置が、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、
前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、
前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、
取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、
前記画面データを前記クライアント装置に送信する、情報処理方法。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記構成データに基づき、設定対象の階層の選択肢を、階層の上位から出力し、
前記選択肢から階層の選択を受け付け、
選択された階層に対応する状態画面内での前記グラフィックの設定を受け付ける
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記設定対象の階層の選択肢を、前記クライアント装置が備える表示部に表示させ、
表示された選択肢から階層の選択を受け付ける
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面を、前記クライアント装置が備える表示部に表示させ、
前記プレビュー画面内で、前記電源関連装置、及び/又は蓄電素子に対応するグラフィックの配置を受け付ける
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記サーバ装置は、選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面に配置されたグラフィックに対する、前記階層より下位の階層の設定を受け付ける
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面に、複数のグラフィックが配置されている場合、該複数のグラフィックの識別データに、前記階層より下位の階層に含まれる複数の電源関連装置、及び/又は蓄電素子の識別データを、所定順序で割り当てる
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、表示する表示部を備えるクライアント装置と、
前記クライアント装置へ、前記情報を表示するための画面データを送信するサーバ装置と
を含み、
前記サーバ装置は、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、
前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、
前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、
取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、
前記画面データを前記クライアント装置に送信し、
前記クライアント装置が前記状態画面を前記表示部に表示する、情報処理システム。
【請求項8】
パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、クライアント装置が備える表示部に表示させるコンピュータに、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、
前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、
前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、
前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、
取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、
前記画面データを前記クライアント装置に送信する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を提示する情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)の社会への浸透と並行して、蓄電素子及び電源関連装置の遠隔監視の実現と、遠隔監視に基づく利便性の高い付加価値サービスの実現に対する期待が高まっている。
【0003】
特許文献1には、蓄電素子及び電源関連装置の遠隔監視システムにおいて、状態を視覚的に容易に把握できる状態画面を作成し、提供する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6822624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電素子を含む蓄電池システムや、蓄電素子に加えパワーコンディショナ等を含む蓄電システム(ESS:Energy Storage System)が、多くのロケーションに設置されることが見込まれている。システム提供者又はサービス提供者は、それらの蓄電システムが問題なく運用中であること、あるいは問題が起こっている場合にはその原因を、迅速に且つ視覚的に把握可能な遠隔監視の技術を求めている。
【0006】
本発明は、蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を視覚的に提示可能な情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の情報処理方法は、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、クライアント装置が備える表示部に表示させる情報処理方法であって、サーバ装置が、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、前記画面データを前記クライアント装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】遠隔監視システムの概要を示す図である。
図2】蓄電素子の階層構造及び通信デバイスの接続形態の一例を示す図である。
図3】遠隔監視システムに含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】記憶部に記憶される測定データ及び状態データの例を示す図である。
図5】遠隔監視システムに含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。
図6】サーバ装置が画面データに対する設定を受け付ける手順の一例を示すフローチャートである。
図7】サーバ装置が画面データに対する設定を受け付ける手順の一例を示すフローチャートである。
図8】システム選択画面の例を示す図である。
図9】階層選択画面の例を示す図である。
図10】階層選択画面の例を示す図である。
図11】設定画面の例を示す図である。
図12】設定画面の例を示す図である。
図13】設定画面の例を示す図である。
図14】設定画面の例を示す図である。
図15】設定画面の例を示す図である。
図16】設定画面の例を示す図である。
図17】設定画面の例を示す図である。
図18】設定画面の例を示す図である。
図19】設定画面の例を示す図である。
図20】作成される状態画面の表示例を示す図である。
図21】作成される状態画面の表示例を示す図である。
図22】作成される状態画面の表示例を示す図である。
図23】作成される状態画面の表示例を示す図である。
図24】作成される状態画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)情報処理方法は、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、クライアント装置が備える表示部に表示させる情報処理方法である。情報処理方法では、サーバ装置が、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、前記画面データを前記クライアント装置に送信する。
【0010】
蓄電素子は、リチウムイオン電池であっても鉛電池でもよいが、これに限定されず、他の二次電池や、一次電池、キャパシタであってもよい。
【0011】
蓄電素子は、蓄電セルであってもよいし、複数の蓄電セルを直列及び/又は並列に接続した蓄電モジュールであってもよい。蓄電素子は、複数の蓄電モジュールを直列に接続した蓄電ユニット(以下、「バンク」とも称する)であってもよい。蓄電素子は、複数の蓄電モジュール又はバンクを並列に接続した蓄電ユニット(以下、「ドメイン」とも称する)であってもよい。
【0012】
電源関連装置は、パワーコンディショナ、無停電電源装置、整流器、直流電源装置、充電器や充放電器のいずれであってもよい。
【0013】
情報処理方法では、情報の表示対象を、蓄電素子又は電源関連装置を複数含むシステムとしてもよいし、対象を、蓄電素子のみを含む蓄電システムとしてもよい。サーバ装置は、情報の表示対象を、電源関連装置のみとしてもよいし、複数の蓄電素子と、電源関連装置とを含むシステムとしてもよい。
【0014】
上記構成により、階層構造を有する電源関連装置、及び/又は蓄電素子の管理者又は保守作業者は、前記電源関連装置、及び/又は蓄電素子の状態を含む情報を視覚的に提示するための状態画面におけるグラフィックの設定を、階層別に異なるように設定できる。
【0015】
サーバ装置は、通信デバイスを介して収集した状態を含むデータを用い、階層別に異なるグラフィックの設定に基づき、階層別に異なるレイアウト画像を含む状態画面の画面データを、自動的に作成できる。数字又はアルファベットなどの文字のみならず、階層別に、異なるレイアウト画像を含む状態画面のグラフィック設定が実行されることにより、サーバ装置は、電源関連装置及び/又は蓄電素子の情報を、システム又は装置単体毎に適切な方法で、視覚的に提示できる。
【0016】
(2)上記(1)の情報処理方法において、前記サーバ装置は、前記構成データに基づき、設定対象の階層の選択肢を、階層の上位から出力し、前記選択肢から階層の選択を受け付け、選択された階層に対応する状態画面内での前記グラフィックの設定を受け付けてもよい。
【0017】
上記構成により、構成データに基づいて自動的に、階層が上位から選択肢としてサーバ装置から提示される。構成データにて記述される階層構図に応じて、自動的に、下位の階層の選択肢が絞られるので、管理者又は保守作業者は、容易な操作で階層を指定できる。これによりサーバ装置は、システム又は装置単体毎の適切な方法で、電源関連装置及び/又は蓄電素子の情報を視覚的に提示させることができる。
【0018】
(3)上記(2)の情報処理方法において、前記サーバ装置は、前記設定対象の階層の選択肢を、前記クライアント装置が備える表示部に表示させ、表示された選択肢から階層の選択を受け付けてもよい。
【0019】
上記構成により、構成データの選択は、管理者又は保守作業者が用いるクライアント装置の表示部に表示される画面上で可能である。遠隔から設定が可能となり、管理者又は保守作業者の負担を軽減しつつ、電源関連装置及び/又は蓄電素子の情報の視覚的な提示が実現される。
【0020】
(4)上記(1)から(3)の情報処理方法において、前記サーバ装置は、選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面を、前記クライアント装置が備える表示部に表示させ、前記プレビュー画面内で、前記電源関連装置、及び/又は蓄電素子に対応するグラフィックの配置を受け付けてもよい。
【0021】
上記構成により、階層毎に、管理者又は保守作業者は、クライアント装置の表示部に表示されるプレビュー画面上で、電源関連装置及び/又は蓄電素子に対応するグラフィックを直感的に配置できる。管理者又は保守作業者は、階層に応じて階層間で遷移できる状態画面の設定を、階層別に画面上で設定できる。
【0022】
(5)上記(4)の情報処理方法において、前記サーバ装置は、選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面に配置されたグラフィックに対する、前記階層より下位の階層の設定を受け付けてもよい。
【0023】
上記構成により、管理者又は保守作業者は、クライアント装置の表示部に表示されるプレビュー画面上で、選択中の階層の電源関連装置及び/又は蓄電素子のレイアウト画像中の、下位の階層の電源関連装置及び/又は蓄電素子の設定が可能である。階層間で遷移可能な各階層の状態画面におけるレイアウト画像上におけるグラフィックの下位の階層との対応関係の設定が、可能になる。これにより、状態画面におけるレイアウト画像上に配置されている異なる電源関連装置及び/又は蓄電素子それぞれに対応するグラフィックのいずれかを選択すると、当該電源関連装置及び/又は蓄電素子の状態を詳細に表示する下位の階層への遷移が可能な状態画面の作成が容易になる。
【0024】
(6)上記(5)の情報処理方法において、前記サーバ装置は、選択された階層に対応する状態画面内のレイアウト画像のプレビュー画面に、複数のグラフィックが配置されている場合、該複数のグラフィックの識別データに、前記階層より下位の階層に含まれる複数の電源関連装置、及び/又は蓄電素子の識別データを、所定順序で割り当ててもよい。
【0025】
上記構成により、状態画面におけるレイアウト画像上に、複数の電源関連装置及び/又は蓄電素子に相当するグラフィックがグループで表示されている場合、グラフィックの識別データと、個々のグラフィックが相当する電源関連装置及び/又は蓄電素子の識別データの対応付けが自動的に実現される。例えば、数百の蓄電素子にそれぞれ相当するグラフィックが配置されている場合、数百のグラフィックそれぞれに複数の蓄電素子の識別データを手動で割り当てることは操作が煩雑であって誤りを生じさせやすい。管理者又は保守作業者が、グラフィックを規則的に配置して識別データを規則的に付しておけば、サーバ装置が、複数の蓄電素子の識別データを順序に応じて各グラフィックの識別データに割り当てる。これにより、管理者又は保守作業者の作業負荷を軽減させることができる。
【0026】
(7)情報処理システムは、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、表示する表示部を備えるクライアント装置と、前記クライアント装置へ、前記情報を表示するための画面データを送信するサーバ装置とを含む。情報処理システムにおける前記サーバ装置は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、前記画面データを前記クライアント装置に送信し、前記クライアント装置が前記状態画面を前記表示部に表示する。
【0027】
(8)コンピュータプログラムは、パワーコンディショナ、無停電電源装置、及び整流器の少なくともいずれか1つである電源関連装置の情報、及び/又は蓄電素子の情報を、クライアント装置が備える表示部に表示させるコンピュータに、以下の処理を実行させる。コンピュータは、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の階層構造を記述した構成データを記憶媒体に記憶し、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を階層別に示す状態画面中に表示するグラフィックの設定を、前記構成データに基づき、前記階層別に受け付け、前記状態画面は、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の配置を示すレイアウト画像を階層別に含む画面であり、前記蓄電素子及び前記電源関連装置の状態を含むデータを、各々に設けられた通信デバイスから、通信により取得し、取得したデータを、前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子を夫々識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある前記電源関連装置、及び/又は前記蓄電素子の状態を含むデータと、前記状態画面のグラフィックの設定とに基づき、前記状態画面の画面データを作成し、前記画面データを前記クライアント装置に送信する。
【0028】
本発明をその実施形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1は、遠隔監視システム100の概要を示す。遠隔監視システム100は、メガソーラー発電システムS、火力発電システムF、風力発電システムWに含まれる蓄電素子及び電源関連装置に関する情報への遠隔からのアクセスを可能とする。無停電電源装置(UPS)U、安定化電源システム等に配設される整流器(直流電源装置)Dなどの電源関連装置が単体で遠隔監視されてもよい。
【0030】
メガソーラー発電システムS、火力発電システムF及び風力発電システムWには、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)P及び蓄電システム101が並設されている。蓄電システム101は、蓄電モジュール群Lを収容したコンテナCを複数並設して構成されていてもよい。蓄電システム101は、蓄電モジュール群L及びパワーコンディショナPは、建物(蓄電室)内に配置されてもよい。蓄電モジュール群Lは、複数の蓄電素子を含む。蓄電素子は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであること、あるいは、再充電可能なものの集合体であることが好ましい。蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。パワーコンディショナは、V2XシステムやV2Hシステムなどをその意味に含む。
【0031】
遠隔監視システム100では、監視対象となるシステムS,F,Wにおける蓄電システム101、又は電源関連装置(P,U,Dおよび後述の管理装置M)それぞれに、通信デバイス1が搭載又は接続される。遠隔監視システム100は、通信デバイス1と、通信デバイス1から情報を収集するサーバ装置2と、収集された情報を閲覧するためのクライアント装置3と、装置間の通信媒体であるネットワークNとを含む。
【0032】
通信デバイス1は、蓄電素子に備えられる電池管理装置(BMU)と通信して蓄電素子の情報を受信する端末装置(計測モニタ)であってもよいし、 ECHONET/ECHONETLite (登録商標)対応のコントローラであってもよい。通信デバイス1は、独立したデバイスであってもよいし、パワーコンディショナPや蓄電モジュール群Lに搭載可能なネットワークカード型のデバイスであってもよい。通信デバイス1は例えば、鉛蓄電池である蓄電素子の内部抵抗、電圧、電流、温度等を測定する子機から測定データを無線通信により収集するように設置される独立した通信装置である。通信デバイス1は例えば、リチウムイオン電池を直列に接続させた蓄電装置(蓄電モジュール)に組み込まれ、蓄電装置の制御基板に接続されるネットワークカード型のデバイスである。
【0033】
通信デバイス1は、蓄電システム101における蓄電モジュール群Lの情報を取得すべく、複数の蓄電モジュールからなるグループ毎に1つずつ設けられている。通信デバイス1は、複数台のパワーコンディショナP群の代表のパワーコンディショナPの制御ユニットに接続されていてもよい。この場合、複数台のパワーコンディショナPは、シリアル通信が可能にリング状に接続されている。通信デバイス1は、複数台のパワーコンディショナPそれぞれの異常/正常、出力を含む状態等の情報を取得してもよい。
【0034】
サーバ装置2は、Webサーバ機能を含み、監視対象の蓄電素子及び各電源関連装置P,U,Dの情報を、クライアント装置3からのアクセスに応じて提示する。サーバ装置2は、クライアント装置3へ能動的に情報を出力してもよい。監視対象の蓄電素子又は各電源関連装置P,U,Dの情報は、蓄電素子の管理装置M及び各装置に搭載又は接続された通信デバイス1から得られる。
【0035】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。公衆通信網N1は、一般光回線を含み、ネットワークNは、サーバ装置2が接続する専用線を含む。ネットワークNは、ECHONET/ECHONETLite 対応のネットワークを含んでもよい。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれる。クライアント装置3が通信端末である場合、クライアント装置3は、基地局BSからネットワークNを介してサーバ装置2と通信できる。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されている。クライアント装置3が通信端末である場合、クライアント装置3は、アクセスポイントAPからネットワークNを介してサーバ装置2との間で情報を送受信できる。システムS,F,Wや、独立した電源関連装置P,U,Dに搭載又は接続されている通信デバイス1は、システム内のネットワークから公衆通信網N1を経てネットワークNを介してサーバ装置2又はクライアント装置3と通信接続できる。
【0036】
本実施形態の蓄電素子は、階層構造を有している。蓄電システム101の蓄電モジュール群Lは、階層構造を有する。通信デバイス1は、蓄電モジュール群Lに設けられた管理装置Mから、蓄電モジュール群Lの情報、及び/又は、各蓄電モジュールに含まれる蓄電セル(セルとも称する)の情報を取得する。図2は、蓄電素子の階層構造及び通信デバイス1の接続形態の一例を示す。図2の蓄電システム101の蓄電モジュール群Lは、蓄電セルを複数直列に接続したバンクと、バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造にて構成されている。
【0037】
図2の例では番号(#)1~Nのバンクそれぞれと、バンクを並列に接続したドメインとに1つずつ、管理装置Mが設けられている。バンク毎に設けられている管理装置Mは、蓄電モジュールの内部にそれぞれ内蔵されている通信機能付きの制御基板(CMU:Cell Monitoring Unit)とシリアル通信によって通信する。バンクの管理装置Mは、CMUから、蓄電モジュール内部の蓄電セルの測定データ(電流、電圧、温度、内部抵抗等)を取得する。バンクの管理装置Mは、蓄電モジュール内でのCMUとの通信異常の検知、各蓄電セルの電圧異常の検知等の管理処理を実行する。バンクの管理装置Mはそれぞれ、上位のドメインに設けられている管理装置Mへ、バンク内の蓄電モジュールから得られた測定データを送信する。ドメインの管理装置Mは、そのドメインに所属する下位のバンクの管理装置Mから得られる測定データ、検知された異常等の情報を集約する。図2の例では、通信デバイス1は、ドメインの管理装置Mに接続されている。代替的に、通信デバイス1は、ドメインの管理装置Mとバンクの管理装置Mとのそれぞれに接続されていてもよい。
【0038】
遠隔監視システム100では、サーバ装置2が、各装置に搭載/接続された通信デバイス1を利用し、蓄電システム101における各階層の蓄電素子のSOC、SOH(State Of Health)等の状態情報を収集する。サーバ装置2は、蓄電システム101に含まれる電源関連装置自身で検知した異常、通信デバイス1で検知した異常、といった状態情報も収集する。サーバ装置2は、収集された状態情報に基づき、検知された異常等の状態を提示することができる。サーバ装置2は、蓄積されている測定データに基づき、蓄電素子の各階層におけるSOC、SOH、異常等の状態、監視対象の電源関連装置の異常等の状態を、各システムや装置に適したアルゴリズムで導出して提示できる。
【0039】
サーバ装置2は、パワーコンディショナP、無停電電源装置U、直流電源装置Dを単体で監視対象とする場合も、パワーコンディショナP全体の状態と、パワーコンディショナPに含まれる回路や構成部の状態とを、階層に応じて提示できる。
【0040】
図3は、遠隔監視システム100に含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。図3は、通信デバイス1及びサーバ装置2の内部構成を示す。通信デバイス1は、制御部10、記憶部11、第1通信部12及び第2通信部13を備える。制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0041】
記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部11には、制御部10が読み出して実行するデバイスプログラム1Pが記憶されている。デバイスプログラムP1には、SSH(Secure Shell)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等に準じた通信用プログラムが含まれる。記憶部11には、制御部10の処理によって収集された情報、イベントログ等の情報が記憶される。記憶部11に記憶された情報は、通信デバイス1の筐体に端子が露出するUSB等の通信インタフェースを介して読み出すこともできる。記憶部11に記憶されるデバイスプログラムP1は、記録媒体4に記憶してあるデバイスプログラムP4を制御部10が読み出して記憶部11に複製したものであってもよい。
【0042】
第1通信部12は、通信デバイス1が搭載/接続されている監視対象装置との通信を実現する通信インタフェースである。第1通信部12は例えば、RS232C又はRS485に準拠したシリアル通信インタフェースである。例えばパワーコンディショナP等の電源関連装置は、RS485に準拠したシリアル通信機能を有する制御ユニットを備えており、第1通信部12はその制御ユニットと通信する。蓄電モジュール群Lに備えられている制御基板が、CAN(Controller Area Network)バスにより相互に接続されて制御基板間の通信をCAN通信で実現する場合、第1通信部12は、CANプロトコルに基づく通信インタフェースである。第1通信部12は、 ECHONET/ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0043】
第2通信部13は、ネットワークNを介した通信を実現するインタフェースである。第2通信部13は、例えばEthernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースである。制御部10は、第2通信部13を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。第2通信部13は、 ECHONET/ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0044】
このように構成される通信デバイス1では、制御部10が第1通信部12を介して、通信デバイス1が搭載/接続されている装置にて得られる蓄電素子の測定データを取得する。制御部10は、通信デバイス1が搭載/接続されている装置にて、機器の異常状態、蓄電素子のSOC、異常等の状態が検知されている場合、その状態データを取得する。制御部10は、SNMP用プログラムを読み出して実行することにより、SNMPエージェントとして機能し、サーバ装置2からの情報要求に対して応答することで、測定データを送信できる。制御部10は、サーバ装置2からの要求に応じて、又は、自律的に、異常又は注意状態が検知されている場合には状態データをサーバ装置2へ送信してもよい。
【0045】
サーバ装置2はサーバコンピュータを用いる。サーバ装置2は、制御部20、記憶部21、及び通信部22を備える。本実施形態においてサーバ装置2は、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理を分散させてもよい。
【0046】
制御部20は、CPU又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。制御部20は、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、記憶部21に記憶されているサーバプログラムP21に基づく通信及び情報処理を実行する。サーバプログラムP21には、Webサーバプログラムが含まれ、制御部20は、クライアント装置3へのWebページの提供を実行するWebサーバとして機能する。制御部20は、サーバプログラムP21に基づき、SNMP用サーバとして通信デバイス1から情報を収集する。
【0047】
通信部22は、ネットワークNを介して通信接続と、情報の送受信とを実現するデバイスである。具体的には、通信部22は、ネットワークNに対応したネットワークカードである。
【0048】
記憶部21は、制御部20の処理によって収集される監視対象となる蓄電システム101に含まれる蓄電素子に対する測定データ及び状態データを記憶する。監視対象となるシステムに電源関連装置(パワーコンディショナP、整流器D、無停電電源装置U等)が含まれる場合、記憶部21は、それらの測定データも記憶する。記憶部21は、測定データを、監視対象のシステム又は装置を識別する識別情報と対応付けて記憶する。記憶部21は、蓄電素子の測定データをその階層構造に応じて記憶する。記憶部21は、例えば、蓄電モジュール群Lの測定データを、ドメイン、バンク、モジュール、又はセルといった階層構造に応じて記憶する(図4参照)。記憶部21は、電源関連装置の測定データについても、階層構造に応じて記憶する。
【0049】
図4は、記憶部21に記憶される測定データ及び状態データの例を示す。図4のデータは、図2に示した蓄電モジュール群Lの例に対応する。後述の構成データに基づき、1つ目のドメインに対応するディレクトリ(パス、フォルダ名)「00N5B」の下層に、#1から#Nまでのバンクに対応するディレクトリ「B0001」、「B0002」、…、「B000N」が含まれる。各バンクに、蓄電モジュールが16個含まれる場合、各バンクに対応するディレクトリには、蓄電モジュールに対応するデータ名「M001」、「M002」、…、「M016」が含まれる。各蓄電モジュールに対応するディレクトリは、モジュールに含まれるセルの測定データを含む。各セルのデータは、例えば#1のセルの電圧データは00N5B/B0001/M003/C001_V.dat、電流データは00N5B/B0001/M003/C001_A.dat、温度データは00N5B/B0001/M003/C001_T.datのようにデータ名が振られて記憶部21に記憶される。測定データの名称には、タイムスタンプが付けられてもよい。
【0050】
記憶部21は、監視対象のシステムにおける蓄電モジュール群L(ドメイン、バンク、モジュール、セル)、及び/又は電源関連装置P,U,Dの階層構造を示す構成データを記憶する。遠隔監視システム100の監視対象のシステム、又は、監視対象の装置は、多数の蓄電素子を含む蓄電システム101、パワーコンディショナP、無停電電源装置U及び整流器Dのうちのいずれか1つ又は複数で構成されている。記憶部21は、階層構造を示す構成データを、予め、システム又は装置毎に記憶してもよい。構成データは、通信デバイス1から、親子関係、即ち階層の上下関係が対応付けられて送信されるデータから、サーバ装置2が作成するデータであってもよい。監視対象が、単体で使用される電源関連装置P,U,Dである場合、記憶部21は、その監視対象の装置が単体で使用されていることを示す構成データを記憶する。
【0051】
記憶部21に記憶される構成データは例えば、以下である。以下に示す構成データは、図2に示した例に対応する。構成データは、ツリー構造を表すデータである。構成データは例えば、以下のように各階層の識別データを、セル、モジュール、バンク、ドメインの順で遡れるように並べたデータである。図2に示すように、1つのドメイン(00N5B)に、バンクが#1から#Nまで含まれている場合、各バンクを識別する識別データは、例えば00N5B-B0001から00N5B-B000N(Nは数字)である。#1のバンクに、モジュールが16個含まれる場合、各モジュールの識別データは、00N5B-B0001-M001から00N5B-B0001-M016である。#2のバンクに、モジュールが16個含まれる場合、各モジュールの識別データは、00N5B-B0002-M001から00N5B-B0002-M016である。#1のバンクの1つ目のモジュールに、セルが12個含まれる場合、各セルの識別データは、00N5B-B0001-M001-C001から00N5B-B0001-M001-C012である。#1のバンクの3つ目のモジュールのセルの識別データは、00N5B-B0001-M003-C001から00N5B-B0001-M003-C012である。このような識別データの集合が構成データの一例である。構成データの他の例は、ディレクトリを記述する00N5B/B0001/M003/C001といった形式であってもよい。ディレクトリを記述する形式である場合、実際に00N5B/B0001/M003/C001/202212010900V.datのように、記憶部21は、数値を記述したデータを、ディレクトリ及びタイムスタンプに基づくファイル名で記憶できる(図4参照)。ディレクトリのroot側は、システム又は装置の識別データであるとよい。構成データは、ツリー構造を示す構造体を用いた形式であってもよい。
【0052】
記憶部21に記憶される構成データは、監視対象が、単体で使用される電源関連装置P,U,Dであって、階層が無い場合、装置の識別データのみで記述される。監視対象が、単体で使用される電源関連装置P,U,Dであっても、全体と、全体に含まれるインバータ及び蓄電池、などの階層に応じて状態を表示する必要がある場合、記憶部21は、上述の蓄電システム101と同様に、階層に応じた識別データを記憶する。
【0053】
記憶部21は、監視対象の蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの状態を、その配置を示すグラフィックを表示するための画像データと、画像を表示するための設定データとを記憶する。画像データは、特定の形状、特定の模様、特定の絵柄、又は特定の色で描画されている素材データである。画像データは例えば、アイコン、マーク又はイラスト、写真、地図、線図であってもよい。画像データは、アニメーション画像を含んでもよい。設定データは、後述するようにその素材データの配置位置を示す座標データを含む。設定データは、画像が拡縮された場合には拡縮率を含む。
【0054】
記憶部21は、後述する処理によって作成される状態画面を表示するための画面データを、監視対象のシステム又は装置の識別データに対応付けて記憶する。状態画面は、後述するように、監視対象のシステム又は装置の階層構造に対応した構造で作成される。記憶部21は、状態画面の各階層でグラフィックを表示するための画面データを記憶する。画面データの作成方法、画面データの詳細については後述する。
【0055】
図5は、遠隔監視システム100に含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。図5は、クライアント装置3の構成を示すブロック図である。クライアント装置3は、発電システムS,F,Wの蓄電システム101の管理者又は保守作業者等のオペレータが使用するコンピュータである。クライアント装置3は、デスクトップ型もしくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、及び操作部34を備える。
【0056】
制御部30は、CPU又はGPUを用いたプロセッサである。制御部30は、制御部30は、記憶部31に記憶されているクライアントプログラムP3に基づき、サーバ装置2により提供されるWebページを表示部33に表示させる。クライアントプログラムP3は、サーバ装置2のWebサーバ機能により提供されるWebページに組み込まれ、クライアント装置3で一時的に記憶されるスクリプトとWebブラウザプログラムとを含んでもよい。Webブラウザプログラム及びスクリプトは、サーバ装置2における動作と、Webページに対するオペレータの操作に基づいてWebベースの画面を表示させるためのプログラムである。
【0057】
記憶部31は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部31には、クライアントプログラムP3を含む各種プログラムが記憶される。クライアントプログラムP3は、記録媒体6に記憶してあるクライアントプログラムP6を制御部30が読み出して記憶部31に複製したものであってもよい。
【0058】
通信部32は、有線通信用のネットワークカード、基地局BS(図1参照)に接続する移動通信用の無線通信デバイスを用いる。通信部32は、アクセスポイントAP(図1参照)への接続に対応する無線通信デバイスを用いてもよい。制御部30は、通信部32により、ネットワークNを介してサーバ装置2又は各装置に搭載/接続された通信デバイス1との間で通信接続できるか、又は、情報を送受信できる。
【0059】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部33は、制御部30のクライアントプログラムP3に基づく処理により、サーバ装置2により提供されるWebページのイメージを表示する。表示部33は、タッチパネル内蔵型ディスプレイであってもよいし、タッチパネル非内蔵型ディスプレイであってもよい。
【0060】
操作部34は、制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、もしくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部34は、表示部33のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部34は、ユーザによる操作情報を制御部30へ通知する。
【0061】
このように構成される遠隔監視システム100では、サーバ装置2が、データ処理プログラムP22に基づいて監視対象のシステム又は監視対象装置の状態データ及び測定データを通信デバイス1から定期的に取得し、記憶部21に記憶する。状態データ及び測定データの階層構造に応じた記憶については、上述の通りである。サーバ装置2は、監視対象のシステムにおける蓄電モジュール群L(ドメイン、バンク、モジュール、セル)、及び/又は電源関連装置P,U,Dの階層構造に応じて各階層における状態を視覚的に示す状態画面の画面データを作成する。画面データは、システムの管理者又は保守作業者が視覚的に把握しやすいように設定可能である。サーバ装置2は、クライアント装置3からのリクエストに応じて、設定に基づき作成した画面データをクライアント装置3へ送信し、クライアント装置3で情報を提示できる。
【0062】
管理者又は保守作業者がクライアント装置3を利用して画面データを作成するための設定を受け付ける手順について説明する。図6及び図7は、サーバ装置2が画面データに対する設定を受け付ける手順の一例を示すフローチャートである。サーバ装置2は、クライアント装置3にてWebブラウザによってログインし、設定のメニューが選択されると、以下の処理を開始する。
【0063】
サーバ装置2の制御部20は、システム又は装置の一覧から、設定の対象を選択するためのシステム選択画面をクライアント装置3へ送信する(ステップS201)。システム選択画面は、ログインによって通信接続されているクライアント装置3を使用する管理者又は保守作業者が権限を有するシステム又は装置の一覧を含む。
【0064】
クライアント装置3の制御部30は、サーバ装置2から送信されたシステム選択画面をクライアントプログラムP3に基づき受信し(ステップS301)、システム選択画面を表示部33に表示する(ステップS302)。制御部30は、システム選択画面で、設定対象のシステム又は装置の選択を受け付ける(ステップS303)。制御部30の処理により、選択されたシステム又は装置の識別データがサーバ装置2へ送信される(ステップS304)。ステップS304を含むクライアント装置3とサーバ装置2との間のデータの送受信処理は、システム選択画面の表示中のバックグラウンドで、クライアントプログラムP3に含まれるWebブラウザで動作するスクリプトにより実行される。
【0065】
サーバ装置2の制御部20は、選択されたシステム又は装置の識別データを受信し(ステップS202)、識別データに対応付けて記憶されている対象システム又は対象装置の構成データを読み出す(ステップS203)。制御部20は、読み出した構成データをクライアント装置3へ送信する(ステップS204)。
【0066】
クライアント装置3の制御部30は、構成データを受信し(ステップS305)、一時記憶しておく(ステップS306)。制御部30は、設定対象のシステム又は設定対象の装置の構成データに基づき、階層選択画面を表示する(ステップS307)。制御部30は、階層選択画面にて、対象のシステム又は装置における階層のうち、配置(MAP)を設定する対象の階層の選択を受け付ける(ステップS308)。ステップS308において制御部30は、システム又は装置の構成データの上位階層から順に選択を受けつける(図9参照)。制御部30は、選択された階層を示す識別データをサーバ装置2へ送信する(ステップS309)
【0067】
サーバ装置2の制御部20は、選択された階層を示す識別データを受信し(ステップS205)、識別データに対応付けて記憶されている対象の階層の状態画面に対する設定を、設定データから読み出す(ステップS206)。ステップS206において制御部20は、設定がされていない場合、未設定であること、設定がないこと等を読み出す。制御部20は、読み出した設定と、記憶部21に記憶してある画像データのうち、素材データをクライアント装置3へ送信する(ステップS207)。
【0068】
クライアント装置3の制御部30は、選択された階層に対する設定及び素材データを受信し(ステップS310)、受信したデータに基づき、設定内容を反映した設定画面を表示する(ステップS311)。制御部30は、設定画面上で、状態画面に対するグラフィックの設定を受け付ける(ステップS312)。
【0069】
ステップS312において制御部30は、素材データの一覧からドラッグアンドドロップで、設定画面上に画像の配置(MAP)の作成・編集を受け付ける。制御部30は、素材データそれぞれを識別する識別データと、その素材データが配置された画面上の位置(画面内の相対位置)とを設定として、選択されている階層の識別データと対応付けて記憶する。素材データは、予めサーバ装置2の記憶部21に記憶されているものに加えて、管理者又は保守者業者によってクライアント装置3からアップロードされるデータも含んでよい。素材データは、後述するように、グループ化されて部品化されて記憶されていてもよい。ステップS312における設定の手順については後述する。
【0070】
制御部30は、受け付けた設定を、選択されている階層の識別データに対応付けてサーバ装置2へ送信する(ステップS313)。
【0071】
サーバ装置2の制御部20は、設定と、階層の識別データとを受信し(ステップS208)、記憶部21に記憶する(ステップS209)。
【0072】
制御部30は、選択中のシステム又は装置についての設定の終了操作がされたか否かを判断する(ステップS314)。制御部30は、終了操作がされたと判断された場合(S314:YES)、設定終了をサーバ装置2へ通知し(ステップS315)、設定処理を終了する。この場合、クライアント装置3では、設定のメニュー以外の画面が表示される。
【0073】
制御部30は、終了操作がされていないと判断された場合(S314:NO)、処理をステップS307へ処理を戻す。
【0074】
サーバ装置2の制御部20は、設定終了の通知を受信したか否かを判断する(ステップS210)。制御部20は、設定終了の通知を受信していないと判断した場合(S210:NO)、処理をステップS205へ戻す。制御部20は、設定終了の通知を受信したと判断した場合(S210:YES)、設定処理を終了する。
【0075】
図8図18は、クライアント装置3で表示される画面例を示す。図8は、システム選択画面330の例を示す。システム選択画面330は、クライアント装置3の制御部30のクライアントプログラムP3に基づく処理によって、Webブラウザ上に表示される。
【0076】
システム選択画面330は、クライアント装置3を使用する管理者又は保守作業者が権限を有するシステム又は装置の一覧を選択可能に含む。図8のシステム選択画面330は、図1に示したメガソーラー発電システムSの名称「XY市メガソーラーシステム」、風力発電システムWの名称「WZ発電所システム」、他のシステム「K鉄道システム」、「X工場UPS」、「W工場蓄電システム」等を一覧に含む。
【0077】
図8のシステム選択画面330は、監視対象のシステム及び監視対象の装置それぞれについて、「設定」の項目を含む。システム選択画面330は、「設定」の項目について、「画面設定」のアイコン331を含む。「画面設定」のアイコン331は、状態画面におけるシステム又は装置の配置(MAP)を設定するためのインタフェースである。システム選択画面330は、「画面設定」のアイコン331以外に、グラフ表示用の設定や、上述した構成データの設定のためのインタフェースを含んでもよい。
【0078】
図8のシステム選択画面330は、各システム又は装置に対し、「反映」のアイコン332を含む。アイコン332は、設定内容を反映して、管理者又は保守作業者以外の、遠隔監視を利用する顧客が確認できるようにするためのインタフェースである。
【0079】
図9及び図10は、階層選択画面333の例を示す。階層選択画面333は、システム選択画面330と同様に、Webブラウザ上に表示される。階層選択画面333は、システム選択画面330内の対象のシステム又は装置に対応するアイコン331が選択された場合に表示される。図9に示す階層選択画面333は、図8のシステム選択画面330の「XY市メガソーラーシステム」の「画面設定」のアイコン331が選択された場合に表示される。
【0080】
階層選択画面333は、対象のシステム又は装置の名称若しくは識別データの選択メニュー334を含む。制御部30は、対象のシステム又は装置の構成データに基づき、階層選択画面333にて階層の選択を上位から受け付ける。制御部30は、階層選択画面333にて、階層が選択されると、選択された階層に所属する下位の階層の選択画面(選択メニュー334)を表示する。図9に示す階層選択画面333の例では、最上位の「階層1」に対し、「全体」が選択されている。「全体」が選択されると、階層選択画面333の「階層2」の選択画面には、構成データに基づき、「XY市メガソーラーシステム」を構成する蓄電システム101が設置された建物の選択肢が表示される。
【0081】
例示する「XY市メガソーラーシステム」を構成する蓄電システム101は、「A棟」及び「B棟」という2つの建物に分けて蓄電モジュール群Lを含む。「XY市メガソーラーシステム」では、「A棟」及び「B棟」にはそれぞれ「蓄電室」が4つ設けられている。「蓄電室」はそれぞれ、ドメインに相当する「蓄電池盤」を数百含む。蓄電池盤は、複数のグループで「ユニット」を構成している。蓄電池盤は、3つのバンクを含む。バンクはそれぞれモジュールを16含み、各モジュールはセルを16含む。事前に設定又は自動作成される構成データは、例えば、以下のように記述される。
全体/建物/蓄電室/ユニット/蓄電池盤/モジュール/セル
12345/A/A1/00N1/A01/B0001/M001/C001~12345/A/A1/00N1/A01/B0001/M001/C016
12345/A/A1/00N1/A01/B0001/M002/C001~12345/A/A1/00N1/A01/B0001/M002/C016

12345/B/B4/00S8/B18/B0003/M015/C001~12345/B/B4/00S8/B18/B0003/M015/C016
12345/B/B4/00S8/B18/B0003/M016/C001~12345/B/B4/00S8/B18/B0003/M016/C016
【0082】
クライアント装置3の制御部30は、構成データに基づき、最上位の識別データ「12345」の直下の階層には、「A」及び「B」の2つが含まれることを識別できる(12345/A,12345/B)。各階層の識別データ「12345」には「全体」、「A」には「A棟」の名称、「B」には「B棟」等の階層名称が、予め登録されている。図9に示すように、階層の選択肢には、階層名称が使用されている。構成データの記述方法は上述の方法には限られないことは勿論であり、複数の方法がある。例えば、建物と蓄電室とを同一の階層とし、ユニットと蓄電池とを同一の階層で扱ってもよい。
【0083】
図10に示す階層選択画面333は、図9の階層選択画面333における「階層2」の選択メニュー334にて、「B棟」という建物が選択されたことに応じて更新された結果を示す。図10の階層選択画面333では、「階層2」の「B棟」に含まれる「蓄電室」の選択肢が表示されている。図10に示す階層選択画面333は、4つの蓄電室からいずれを選択するかの選択を受け付ける選択画面を含む。階層選択画面333は、各選択肢に対応する階層の配置を示す画面(MAP)の設定画面へ遷移するための「設定」アイコン335を含む。階層選択画面333には、システム又は装置に付されているマイナIDが表示されている。階層選択画面333は、構成データの設定用のインタフェースを含む。
【0084】
図11から図19は、設定画面336の例を示す。設定画面336は、対象となっている階層に対する設定が反映された状態画面の編集画面337と、状態画面へ配置するグラフィック338のリスト339とを含む。設定画面336は、グラフィック338に対応付ける下位の階層の選択メニュー340を含む。設定画面336は、背景(下絵)の設定を受け付ける設定ボタン341と、リスト339へのグラフィック追加を受け付ける設定ボタン342とを含む。
【0085】
図11の設定画面336は、図10の階層選択画面333にて、「XY市メガソーラーシステム」の「B棟」の蓄電室「B2」の「設定」アイコン335が選択された場合に表示される。編集画面337は、プレビュー画面としても機能する。「B棟」の蓄電室「B2」の階層には、図11に示すように、編集画面337は、白紙状態である。つまり、図11の設定画面336は、蓄電室「B2」の階層に対してグラフィックが未設定な状態を示す。
【0086】
編集画面337は、傍らのリスト339に含まれるグラフィック338のリスト339からのドラッグアンドドロップを受け付ける。図12は、図11に示した蓄電室「B2」の階層に対する設定画面336にて、リスト339からグラフィック338がドラッグされる過程を破線で示す。図12は、ドラッグされたグラフィック338がドロップされた後の状態を実線で示す。
【0087】
クライアント装置3の制御部30は、クライアントプログラムP3に基づき、グラフィック338が配置された編集画面337内の相対位置を決定する。制御部30は、選択中の階層(蓄電室「B2」)の識別データ(12345/B/B2)に対応付けて、ドロップされたグラフィック338を階層内で識別するための識別データ(例えば12345/B/B2/G01等)を記憶する。制御部30は、グラフィック338の識別データに対応付けて、グラフィック338の種別を識別する種別識別データ(例えばicon_1)と、そのグラフィック338の相対位置の座標データ(例えば、図12中のx:30%, y:22%, w:11%, h:18%)とを記憶する。制御部30は、グラフィック338と、各階層の識別データとの対応付けや、座標データとの対応付けの結果を含む設定内容を、逐次サーバ装置2へ送信し(S313)、サーバ装置2の制御部20は、記憶部21に記憶する。
【0088】
制御部30は、グラフィック338と、対象の階層における下位の階層に相当する装置又は装置の集合との対応関係の設定を受け付ける。制御部30は例えば、グラフィック338の識別データ(例えば12345/B/B2/G01)に対応付けて、そのグラフィック338が、対象の階層(蓄電室「B2」)内における下位の階層に相当する蓄電池盤の集合であるユニットのうちのいずれかを受け付ける。制御部30は、図12の編集画面337内で、太線で囲むように選択されているグラフィック338と、選択メニュー340にて下位の階層の名称の選択を受け付ける。制御部30は、選択中の階層(蓄電室「B2」)の識別データ(12345/B/B2)に対し、下位の階層の「ユニット」の識別データ(12345/B/B2/00N1~12345/B/B2/00N8,12345/B/B2/00S1~12345/B/B2/00S8)から選択を受け付ける。制御部30は、「ユニット」を構成する各蓄電池盤の識別データ(12345/B/B2/00N1/A01~12345/B/B2/00N8/B18,12345/B/B2/00S1/A01~12345/B/B2/00S8/B18)からグラフィック338毎に識別データを受け付けてもよい。
【0089】
設定画面336は、編集画面337内においてグラフィック338を選択すると、対応する下位の階層の名称又は識別データを選択する選択メニュー340が表示される構成としてもよい。
【0090】
制御部30は例えば、図12中の太線で囲まれているグラフィック338の識別データ(例えば12345/B/B2/G01)に対応付けて、そのグラフィック338の配置に対応するユニットの識別データ(例えば12345/B/B2/00N1:北側の1列目のユニット)を記憶する。対応関係に基づき、制御部30は、「12345/B/B2/G01」で識別されるグラフィック338が状態画面内に選択された場合に、下位の階層であるユニット「12345/B/B2/00N1」の状態を示す画面へ遷移できる。
【0091】
制御部30は、設定画面336にて背景の設定を受け付ける設定ボタン341が選択された場合、対象の階層(蓄電室「B2」)の状態画面の背景画像の設定を受け付ける(図示を省略)。制御部30は、背景画像として、予めリスト339に含まれるグラフィック338の画像データを受け付けてもよいし、クライアント装置3の記憶部31に記憶されている画像データからアップロードを受け付けてもよい。制御部30は、背景画像について、配置された画像データの識別データ(ABC.JPG, ABC.PNG等)と、状態画面における座標データ(相対位置及び範囲を示すデータ)を記憶する。制御部30は、これらの画像データの識別データや、座標データを含む設定内容を、逐次サーバ装置2へ送信し(S313)、サーバ装置2の制御部20は、記憶部21に記憶する。
【0092】
制御部30は、設定画面336にてグラフィック追加を受け付ける設定ボタン342が選択された場合、グラフィック追加画面を表示する。図13は、グラフィック追加画面420の例を示す。グラフィック追加画面420は、グラフィック338の集合を部品として登録を受け付けるための画面である。グラフィック追加画面420は、編集画面421と、グラフィック338のリスト422と、設定ボタン423とを含む。制御部30は、編集画面421は、リスト422に含まれるグラフィック338のドラッグアンドドロップを受け付ける。図14は、図13に示したグラフィック追加画面420にて、複数のグラフィック338がドロップされた後の状態を示す。
【0093】
制御部30は、グラフィック追加画面420にて、設定ボタン423が選択されると、編集画面421内にドロップされたグラフィック338を、ひとまとめにした1つのグラフィック338として記憶する。これにより、グラフィック338のグループを1つのグラフィック338として扱うことが可能になる。図14の例では、36個(18個×2)のグラフィック338がグループとして使用可能となる。制御部30は、追加されたグループのグラフィック338の画像データ、識別データ等も、Webブラウザ上のスクリプトに基づいて逐次、サーバ装置2へ送信する。サーバ装置2では、追加されたグラフィック338について、他のシステムや、他の管理者又は保守作業者でも使用できるように記憶部21に記憶する。
【0094】
図15は、グラフィック追加画面420にてグラフィック338のグループが追加された後の設定画面336を示す。図15のリスト339に、追加されたグラフィック338が、「グループ3」の識別名を付して追加されている。図15では、追加されたグラフィック338が、編集画面337内に配置されている。制御部30は、編集画面337に配置された18個のグラフィック338を含む「グループ3」のグラフィック338群に対し、下位の階層のユニット「N1」の選択を選択メニュー340で受け付け、対応付けて記憶する。
【0095】
制御部30は、構成データに基づき、選択中の階層(蓄電室「B2」)の下位の階層として蓄電池盤が576(=18(01~18)×2( A及びB )×8(1~8)×2( N及びS ))個、存在することを認識できる。制御部30は、ユニット「N1」が選択メニュー340で選択されると、構成データに基づき、12345/B/B2/00N1/A01~12345/B/B2/00N1/A18,12345/B/B2/00N1/B01~12345/B/B2/00N1/B18の識別データが付された蓄電池盤のグループを抽出できる。制御部30は、抽出されたグループの識別データと、グラフィックの識別データとを、各々の識別データに含まれる数字及びアルファベットの昇順又は降順で自動的に対応付ける。これにより、配置された図15に示すグラフィック338には、選択中の階層(蓄電室「B2」)に対し、「N1」の名称が付された「ユニット」の更に下位の階層(例えば、蓄電池盤12345/B/B2/00N1/A01~12345/B/B2/00N1/A18,12345/B/B2/00N1/B01~12345/B/B2/00N1/B18の集合)が対応付けられる。
【0096】
図15の設定画面336に示すグラフィック338では、選択中の階層(蓄電室「B2」)の直下の「ユニット」のみならず、更に下位の階層の蓄電池盤のグラフィック338についても細かな矩形で識別可能である。図15に示した設定は、蓄電室の階層の状態画面は、蓄電池盤(ドメイン)全体の状態を、個々のグラフィック338で表示することを可能とする。「ユニット」は蓄電池盤の集合であるため、構成データは、蓄電室の階層の直下の階層は「蓄電池盤」としたものでもよい。
【0097】
図15に示したようなグラフィック338のグループ化により、蓄電池盤に対応するグラフィック338を1つずつ設定するよりも、構成データに基づいて、多数の蓄電素子を含む場合でも簡易に対応付けられる。
【0098】
図16は、設定画面336の他の例を示す。図16は、「XY市メガソーラーシステム」の「B棟」の蓄電室「B2」の階層に対してグラフィック338が設定された状態を示す。図16に示すように、編集画面337には、蓄電室「B2」に設置される蓄電池盤の集合である「ユニット」に対応するグラフィック338と、各ユニットに対してSOCのアイコンに対応するグラフィック338とが配置されている。図16の設定画面336には、文字情報で状態を表すテキストボックスに相当するグラフィック338が、編集画面337内に配置されている。図16の編集画面337に多数配されているグラフィック338には、選択中の蓄電室「B2」の中の、いずれの識別データで識別されるユニット、蓄電池盤、あるいはその他の蓄電素子又は電源関連装置P,U,Bであるのかが対応付けられる。
【0099】
図17は、更に下位の階層に対するグラフィック338の設定方法を示す。図17の設定画面336は、ユニット「N1」の階層が選択された場合に表示される状態画面のプレビューを示す。図17の設定画面336は、グラフィック338の設定対象として、「XY市メガソーラーシステム」の「B棟」の蓄電室「B2」のユニット「N1」の「設定」アイコン335が選択された場合に表示される。図17の設定画面336にて、ユニットを構成する蓄電池盤に対応するグラフィック338と、ユニットに含まれる蓄電池盤それぞれの識別データとの対応関係を確認できる。図17の例では、管理者又は保守作業者は、蓄電室「B2」のユニット「N1」中の太線で囲まれた蓄電池盤に対応するグラフィック338と、「B08」の識別名称とが対応することを確認できる。
【0100】
「XY市メガソーラーシステム」の例では、制御部30は、図17の設定画面336に対して下位の階層の「蓄電池盤」を選択した場合の状態画面に対する設定画面336で、グラフィック338の設定を受け付ける。制御部30は、更に下位の階層の「蓄電モジュール」、「蓄電セル」を選択した場合の状態画面に対する設定画面336で、同様にグラフィック338の設定を受け付ける。
【0101】
図18は、設定画面336の他の例を示す。図18は、図8に示したシステム選択画面330にて、対象を「X工場UPS」と選択した場合の設定画面336を示す。「X工場UPS」は、蓄電素子を内蔵しているが、監視対象としては単体の電源関連装置である。図18の設定画面336では、グラフィック338の設定対象として全体(最上位層)が選択されている。図18には、背景を設定するための設定ボタン341を選択して表示された画面上で受け付けられた系統図が、背景画像として表示されている。
【0102】
図18の設定画面336では、矩形状のグラフィック338が配置されている。グラフィック338が配置されている箇所は、背景画像における系統図で蓄電池に相当している。グラフィック338には、予め設定された構成データに基づき、選択中の「X工場UPS」の階層の下位の階層に相当する「インバータ」、「整流器」、「蓄電池1」、「蓄電池2」のうち、「蓄電池2」が、選択メニュー340にて選択されている。
【0103】
図19は、対象を「X工場UPS」、その下位の「蓄電池2」の階層を選択した場合の設定画面336を示す。設定画面336には、蓄電池2に含まれる蓄電モジュールに対応するグラフィック338が配置されている。制御部30は、これらのグラフィック338に対し、蓄電モジュールの識別データの選択を受け付け、グラフィック338の識別データと対応付ける。
【0104】
図8図19に示した画面上で、管理者又は保守作業者は、1つのシステム又は、電源関連装置について、各階層のいずれかを選択しつつグラフィック338を設定し、設定したグラフィック338に対して下位の階層の識別データを、簡易な操作で直感的に対応付ける。多数の蓄電素子を含むESSであっても、構成データに基づき、制御部30が各階層にて下位の階層を認識できるため、管理者又は保守作業者は、下位の階層から容易に選択操作を行ない、状態画面を作成できる。サーバ装置2は、設定に基づき、各階層の電源関連装置又は蓄電素子の配置を含む状態画面を表示するための画面データを作成し、作成した画面データをクライアント装置3へ送信する。これにより、クライアント装置3は、階層毎の状態画面を表示し、遠隔監視対象のシステム又は電源関連装置単体の状態を提示できる。
【0105】
図8図19に示した設定画面336によって設定された状態画面を用いた情報提示の手順について説明する。図20から図24は、作成される状態画面の表示例を示す。図20から図22は、「XY市メガソーラーシステム」の階層に対応して遷移する画面の変化例を示す。図23及び図24は、「X工場UPS」の階層に対応して遷移する画面の変化例を示す。
【0106】
図20は、「XY市メガソーラーシステム」の全体(最上位層)の状態画面345を示す。図21は、図20の状態画面345で、特定の建物「B棟」の蓄電室「B2」に対応するグラフィック338が選択された場合に表示される状態画面345を示す。図22は、図21の状態画面345で、蓄電室「B2」内のユニット「N1」に対応するグラフィック338が選択された場合に表示される状態画面345を示す。これらの状態画面345は、クライアント装置3にて設定画面336で受け付けられた設定がサーバ装置2で記憶され、サーバ装置2の設定に基づく処理によって作成され、クライアント装置3に送信され、表示されている。状態画面345は、図20から図22に示したように、階層に応じた画面遷移で表示されるので、これを視認する顧客は、蓄電素子及び/又は電源関連装置を含むシステム、装置単体の構成を把握しながら状態を確認できる。上述した設定画面336における各階層に対するグラフィック338の設定により、多数の蓄電素子及び/又は電源関連装置を含むシステムの状態画面345も、管理者又は保守作業者の負担を低減して作成することが可能になる。
【0107】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0108】
100 遠隔監視システム
1 通信デバイス
2 サーバ装置
20 制御部
21 記憶部
P2 情報処理プログラム
3 クライアント装置
30 制御部
336 設定画面
337 編集画面
338 グラフィック
P3 クライアントプログラム
図1
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