(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135972
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240927BHJP
【FI】
G06T19/00 300A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046907
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397073201
【氏名又は名称】株式会社電通総研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪坂 亮
(72)【発明者】
【氏名】小山内 公希
(72)【発明者】
【氏名】大門 路人
(72)【発明者】
【氏名】中野 博之
(72)【発明者】
【氏名】柳川 栄作
(72)【発明者】
【氏名】中川 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】畔田 卓哉
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050EA12
5B050EA19
5B050FA05
5B050FA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想空間の利用性を向上させる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】仮想空間を提供する情報処理装置であって、プロセッサ10は、前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード又は前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する設定部と、前記設定部が設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える切替部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を提供する情報処理装置であって、
前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する設定部と、
前記設定部が設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える切替部と、
を有する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記観察モードは、前記仮想空間を俯瞰する視点で前記アバターの行動を観察可能にするモードである、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記観察モードは、前記仮想空間内の任意の視点で前記アバターの行動を観察可能にするモードである、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動に関する行動情報を取得する取得部と、
前記観察モードにおいて、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動として、前記取得部で取得された前記行動情報を前記仮想空間に表示させるように制御する制御部と、
を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記行動情報として、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの視線及び動線の少なくとも一方に関する情報を取得する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記アバターは、自己アバターと、他者アバターと、を含み、
前記制御部は、前記取得部で取得された前記行動情報のうち、前記他者アバターに対応する行動情報を前記仮想空間に表示させるように制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部で取得された前記行動情報を記録する記録部を更に有する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動が再生されるように、前記記録部に記録された前記行動情報を時系列で前記仮想空間に表示させるように制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記観察モードでは、前記体験モードが設定されているユーザのアバターを前記仮想空間に表示させないように制御する制御部を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記観察モードでは、前記観察モードが設定されているユーザの存在を通知する情報を前記仮想空間に表示させるように制御する制御部を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
仮想空間を提供する情報処理方法であって、
前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する工程を有し、
前記工程で設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ上やインターネット上に構築された3次元の仮想空間において、ユーザの分身であるアバター(自己アバター)を動作させて、他者の分身であるアバター(他者アバター)とのコミュニケーションを図る技術が注目されている(特許文献1参照)。特許文献1には、仮想空間に設けられた観察対象物を観察するために、自己アバターの視点と、他者アバターの位置や姿勢に基づいて生成された推奨視点とで、観察対象物に対する視点を切り替え可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、仮想空間において、観察対象物に対する視点を切り替えることはできるが、かかる視点は、自己アバターの視点や他者アバターの視点(仮想空間に存在するアバターの目線)に限定されることになる。一方、このような仮想空間に関する技術においては、自己アバターや他者アタバーなどの仮想空間に存在するアバターの行動や位置関係を客観的に観察することを可能にするような新たな技術も求められている。
【0005】
本発明は、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての情報処理装置は、仮想空間を提供する情報処理装置であって、前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する設定部と、前記設定部が設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える切替部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の別の側面としての情報処理方法は、仮想空間を提供する情報処理方法であって、前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する工程を有し、前記工程で設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一側面としての情報処理装置を含む情報システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】情報処理装置のプロセッサによって実現される機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図3】情報システムの処理例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】体験モードが設定されているユーザに提供される3次元の仮想空間の一例を示す図である。
【
図5】観察モードが設定されているユーザに提供される2次元の仮想空間の一例を示す図である。
【
図6】観察モードが設定されているユーザに提供される2次元の仮想空間の一例を示す図である。
【
図7】観察モードが設定されているユーザに提供される2次元の仮想空間の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一側面としての情報処理装置1を含む情報システムSYの構成を模式的に示す図である。情報システムSYは、
図1に示すように、複数のユーザUA及びUBのそれぞれが所持する表示装置DA及びDBと、情報処理装置1と、を有する。情報システムSYは、仮想空間に関するサービスを、表示装置DA及びDBを介して、複数のユーザUA及びUBに提供するためシステムである。仮想空間に関するサービスとは、基本的には、コンピュータ上やインターネット上に構築された3次元の仮想空間を、ユーザの分身であるアバターを介して疑似体験することができるサービス、所謂、バーチャルリアリティ(VR)サービスである。なお、
図1に示す情報システムSYにおいて、ユーザ(が所有する表示装置)の数は一例であって、ユーザの数を限定するものではない。
【0013】
ユーザUA及びUBは、情報システムSY(情報処理装置1)から提供されるVRサービスを利用するにあたって、例えば、VRサービスを享受可能なアプリケーションを表示装置DA及びDBにインストールする。また、ユーザUA及びUBは、表示装置DA及びDBにインストールしたアプリケーションを介して、情報処理装置1との間で各種データ(情報や信号)を送受信するための通信を確立する。なお、アプリケーションは、Webブラウザ上で起動するWebアプリケーションであってもよい。
【0014】
表示装置DA及びDBは、情報システムSYから提供されるVRサービスを享受するために、ユーザUA及びUBが所持するデバイスである。表示装置DA及びDBは、情報処理装置1などの他の装置(外部)と通信可能な通信インタフェース(I/F)を含み、ユーザUA及びUBに対して、情報処理装置1から提供される画像データに対応する画像を表示する機能を有する。また、表示装置DA及びDBは、ユーザUA及びUBに対して音声を出力する機能(スピーカ機能)やユーザUA及びUBからの音声を入力する機能(マイク機能)も有している。
【0015】
表示装置DA及びDBは、本実施形態では、情報処理装置1から提供される仮想空間、及び、かかる仮想空間に存在するアバターや各種モデル(観察対象物などの各種物品)を表示する。なお、アバターとは、上述したように、仮想空間において行動可能なユーザの分身であって、以下では、注目するユーザ(例えば、自身)の分身を自己アバターと称し、その他のユーザ(例えば、他者)の分身を他者アバターと称する。表示装置DA及びDBは、本実施形態では、ユーザUA及びUBが装着可能なウェアラブルデバイスで構成され、具体的には、頭部装着型のVRゴーグルなどのヘッドマウントディスプレイとして具現化される。従って、ユーザUA及びUBは、表示装置DA及びDBを介して(装着することで)、情報処理装置1が提供する仮想空間を、現実的な空間として擬似的に体験することができる。
【0016】
情報処理装置1は、汎用的なコンピュータで構成される。情報処理装置1は、本実施形態では、情報システムSYにおいて、仮想空間(仮想空間に存在するアバターや各種モデルを含む)を提供するサーバとして具現化される。情報処理装置1は、プロセッサ10と、メモリ20と、通信インタフェース(I/F)30と、記憶部40と、を含む。
【0017】
情報処理装置1の処理(動作)は、例えば、プロセッサ10がメモリ20や記憶部40などのコンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することで実現される。通信I/F30は、ユーザUA及びUBが所持する表示装置DA及びDBなどの他の装置(外部)と通信可能なインタフェースである。記憶部40は、仮想空間の提供を含むVRサービスを実現するためのプログラムやデータなどを記憶する。
【0018】
通信ネットワークNWは、情報処理装置1と表示装置DA及びDBとを互いに通信可能に接続する。通信ネットワークNWは、例えば、インターネットや携帯電話網などの通信網を含み、情報処理装置1と表示装置DA及びDBとの間でデータを送受信(伝送)する。但し、通信ネットワークNWは、必ずしも必要ではなく、情報処理装置1と表示装置DA及びDBとの間で直接無線通信を確立して通信を行ってもよい。
【0019】
本実施形態では、情報システムSY(情報処理装置1)が提供するVRサービス(仮想空間)の利用性を向上させるような新たな技術、例えば、仮想空間におけるユーザUA及びUB(の分身であるアバター)の行動の理解を促進させることが可能な技術を提供する。本実施形態では、情報処理装置1が仮想空間をユーザUA及びUBに提供するモードとして、体験モード及び観察モードの2つのモードのうちいずれかのモードを提供することで、仮想空間におけるユーザUA及びUBの行動の理解を促進させる。ここで、体験モードとは、ユーザに3次元の仮想空間を提供し、かかる仮想空間でアバターを行動させることで仮想空間を体験可能にするモードである。観察モードとは、体験モードにおける仮想空間でのアバター(ユーザ)の行動を観察可能にするモードである。
【0020】
本実施形態において、上述した技術を実現するために、情報処理装置1、詳細には、プロセッサ10は、
図2に示すように、機能ブロックとして、生成部110と、設定部120と、切替部130と、提供部140と、取得部150と、記録部160と、を含む。なお、以下で説明する機能(ブロック)のそれぞれは、統合又は分離されていてもよく、説明する機能が別のブロックで実現されていてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されていてもよく、その逆であってもよい。
図2は、情報処理装置1のプロセッサ10によって実現される機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【0021】
生成部110は、ユーザUA及びUBの用途、例えば、医療分野、調理現場、工事現場、スポーツ分野、ゲーム分野などに応じて、表示装置DA及びDBに表示させる仮想空間に対応する画像データを生成する。具体的には、ユーザUA及びUBの用途が医療分野である場合には、生成部110は、診察室、病室又は手術室を表現する仮想空間に対応する画像データを生成する。ユーザUA及びUBの用途が調理現場である場合には、生成部110は、厨房を表現する仮想空間に対応する画像データを生成する。かかる仮想空間には、その空間に存在する(と考えられる)各種モデル、例えば、診察室では診察台、病室ではベッド、手術室では手術台、厨房ではコンロ台なども含まれている。生成部110が仮想空間を生成するために必要となる情報は、実際の空間をモデル化した空間モデル情報として予め記憶されている。
【0022】
また、生成部110は、仮想空間において行動可能なユーザUAの分身であるアバターに対応する画像データ、及び、仮想空間において行動可能なユーザUBの分身であるアバターに対応する画像データを生成する。ユーザUA及びUBのそれぞれのアバターに対応する画像データは、本実施形態では、ユーザUA及びUBが装着した表示装置DA及びDBから提供(入力)されるユーザUA及びUBの位置や姿勢に関する情報からリアルタイムに生成される。
【0023】
このような仮想空間に対応する空間画像データ及びアバターに対応するアバター画像データのそれぞれについて、本実施形態では、生成部110において、少なくとも、2種類の画像データが生成される。例えば、生成部110は、空間画像データとして、仮想空間を3次元的に表示するための3次元空間画像データと、仮想空間を2次元的に表示するための2次元空間画像データと、を生成する。同様に、生成部110は、アバター画像データとして、アバターを3次元的に表示するための3次元アバター画像データと、アバターを2次元的に表示するための2次元アバター画像データと、を生成する。生成部110で生成された空間画像データ(2次元空間画像データや3次元空間画像データ)及びアバター画像データ(2次元アバター画像データや3次元アバター画像データ)は、提供部140に出力される。
【0024】
設定部120は、ユーザUA及びUBのそれぞれに対して、仮想空間を提供するモードとして、体験モード又は観察モードを設定し、その設定情報を提供部140に提供する。設定情報は、例えば、各ユーザ(各ユーザを識別するためのユーザ識別情報)と、仮想空間を提供するモード(体験モードであるか観察モードであるかを特定するためのモード特定情報)とを対応付けた情報である。
【0025】
切替部130は、設定部120が設定するモードを、ユーザ操作に応じて、体験モード又は観察モードに切り替える。ここで、ユーザ操作とは、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを体験モード又は観察モードに指定(変更)するために、例えば、表示装置DA及びDBに備えられているモード指定ボタンなどをユーザDA及びDBが操作することである。切替部130が設定部120により設定されるモードを切り替えることで、設定情報が更新され、各ユーザと仮想空間を提供するモードとを対応付けが変更される。換言すれば、ユーザUA及びUBのそれぞれに対する仮想空間を提供するモードを、体験モードから観察モードに、或いは、観察モードから体験モードに変更することができる。
【0026】
提供部140は、生成部110から入力される空間画像データとアバター画像データとを合成して合成画像データを生成し、かかる合成画像データを、通信ネットワークNWを介して、表示装置DA及びDBのそれぞれに提供する。本実施形態において、提供部140は、2次元空間画像データと2次元アバター画像とを合成することで2次元合成画像データを生成し、3次元空間画像データと3次元アバター画像データとを合成することで3次元画像データを生成する。提供部140は、設定部120から提供される設定情報に基づいて、表示装置DA及びDBのそれぞれに対して、2次元合成画像データ、又は、3次元画像データを提供する。具体的には、提供部140は、設定情報から、体験モードが設定されているユーザ、例えば、ユーザUAと、観察モードが設定されているユーザ、例えば、ユーザUBと、を特定する。そして、提供部140は、体験モードが設定されているユーザUAが所持する表示装置DAに対しては、3次元画像データを提供し、観察モードが設定されているユーザUBが所持する表示装置DBに対しては、2次元画像データを提供する。
【0027】
取得部150は、設定部120から提供される設定情報と、表示装置DA及びDBから入力されるユーザUA及びUBの位置や姿勢に関する情報とに基づいて、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を取得する。具体的には、取得部150は、設定情報から、体験モードが設定されているユーザ、例えば、ユーザUAを特定する。そして、提供部140は、ユーザUAが所持する表示装置DAから入力されるユーザUAの位置や姿勢に関する情報を解析することで、体験モードにおける仮想空間でのユーザUAのアバターの行動に関する行動情報を取得する。ここで、行動情報は、仮想空間で行動している、体験モードが設定されているユーザのアバターの視線及び動線の少なくとも一方の情報を含む。
【0028】
記録部160は、取得部150で取得された、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を記録する。
【0029】
以下、
図3を参照して、情報システムSYの処理例、即ち、VRサービスを提供する処理例について説明する。ここでは、主に、情報処理装置1と表示装置DA及びDBとの間の処理に注目して説明する。かかる処理は、情報処理装置1において、プロセッサ10によって実行される。なお、本実施形態において、プロセッサ10は、後述するように、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を仮想空間に表示させるように制御する制御部として機能する。
【0030】
S302において、提供部140は、ユーザに対して設定されている仮想空間を提供するモードに応じて、仮想空間を表示するための画像データを、ユーザが所持(装着)している表示装置に提供する。具体的には、提供部140は、設定部120から提供される設定情報を参照し、体験モードが設定されているユーザと、観察モードが設定されているユーザとを特定する。ここでは、設定部120からデフォルトの設定情報が提供されているものとし、ユーザUA及びUBのそれぞれに対して体験モードが設定されているものとする。従って、提供部140は、体験モードが設定されているユーザUA及びUBのそれぞれが所持している表示装置DA及びDBに対して、仮想空間を3次元的に表示するための3次元画像データを提供する。かかる3次元画像データは、上述することで、生成部110から入力される3次元空間画像データと3次元アバター画像データとを合成することで生成する。表示装置DA及びDBでは、
図4に示すように、情報処理装置1から提供された3次元画像データに対応する画像である仮想空間が3次元的に表示される。この際、仮想空間には、かかる仮想空間に存在するアバター、即ち、ユーザUA及びUBのそれぞれのアバターも3次元的に表示される。従って、ユーザUA及びUBは、情報処理装置1が提供する仮想空間に存在するアバターを行動させることで、かかる仮想空間を現実的な空間として擬似的に体験することができる。
図4は、体験モードが設定されているユーザに提供される仮想空間(3次元の仮想空間)の一例を示す図である。
【0031】
なお、
図4では、仮想空間に存在する注目するユーザ、例えば、ユーザUAの自己アバターのみが表示されているが、実際には、体験モードが設定されている他のユーザ、例えば、ユーザUBの他社アバターも表示されてもよい。換言すれば、仮想空間には、かかる仮想空間に存在する、体験モードが設定されている複数のユーザのアバターを表示することが可能である。
【0032】
S304において、取得部150は、S302で画像データの提供が開始されからの、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を取得する。ここでは、ユーザUA及びUBのそれぞれに対して体験モードが設定されているため、取得部150は、ユーザUA及びUBのそれぞれが所持する表示装置DA及びDBから入力されるユーザUA及びUBの位置や姿勢に関する情報を解析する。これにより、体験モードが設定されているユーザUA及びUBのそれぞれについて、仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報が取得される。また、取得部150は、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を、例えば、所定のサンプリング周期で継続的に取得する。
【0033】
S306において、記録部160は、S304で取得された体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を記録する。上述したように、S304では、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報が継続的に取得されるため、記録部160は、これらの行動情報を順次記録する。従って、ユーザUA及びUBのそれぞれについて、体験モードが設定されている期間における仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報が蓄積されることになる。
【0034】
S308において、プロセッサ10は、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを体験モード又は観察モードに指定(変更)するためのユーザ操作が行われたかどうかを判定する。ユーザ操作が行われていない場合には、S302に移行する。一方、ユーザ操作が行われた場合には、S310に移行する。ここでは、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを体験モードから観察モードに変更するためのユーザ操作を、ユーザUAが行い、ユーザUBが行わない場合を仮定する。この場合、ユーザUBについては、処理がS302に移行し、ユーザUBが所持している表示装置DBに対する3次元画像データの提供(S302)、仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報の取得(S304)及び記録(S306)が継続される。一方、ユーザUAについては、処理がS310に移行する。
【0035】
S310において、切替部130は、ユーザ操作に応じて、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを切り替える。ここでは、上述したように、ユーザUAが、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを体験モードから観察モードに変更するためのユーザ操作を行った場合を仮定している。従って、切替部130は、ユーザUAについて、設定部120が設定するモードを、体験モードから観察モードに切り替える。
【0036】
S312において、設定部120は、S310でのモードの切り替えに応じて、情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを設定して設定情報を更新する。ここでは、ユーザUAに対して情報処理装置1が仮想空間を提供するモードを体験モードから観察モードに切り替えている。従って、設定部120は、ユーザUAに対応付けられる仮想空間を提供するモードを体験モードから観察モードに変更するように、設定情報を更新する。
【0037】
S314において、提供部140は、S312で設定情報が更新されたユーザに対して、かかるユーザに対して設定されている仮想空間を提供するモードに応じて、仮想空間を表示するための画像データを、ユーザが所持している表示装置に提供する。具体的には、提供部140は、設定部120から提供される設定情報を参照し、設定情報が更新されたユーザについて、体験モードが設定されているユーザと、観察モードが設定されているユーザとを特定する。なお、設定情報が更新されたユーザは、以前の設定情報や更新フラグなどを参照することで選定することが可能である。ここでは、提供部140は、更新情報が更新されたユーザUAを、観察モードが設定されているユーザと特定する。従って、提供部140は、観察モードが設定されているユーザUAが所持している表示装置DAに対して、仮想空間を2次元的に表示するための2次元画像データを提供する。かかる2次元画像データは、上述することで、生成部110から入力される2次元空間画像データと2次元アバター画像データとを合成することで生成する。表示装置DA及びDBでは、
図5に示すように、情報処理装置1から提供された2次元画像データに対応する画像である仮想空間が2次元的に表示される。この際、仮想空間には、かかる仮想空間に存在する、体験モードが設定されているアバター、即ち、ユーザUBのアバターが2次元的に表示される。また、本実施形態では、仮想空間を俯瞰する視点(平面視)で表示することで、仮想空間の全体において、ユーザUBの行動を観察することが可能となる。従って、ユーザUAは、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザUBのアバターの行動を観察して、その行動を理解することができる。
図5は、観察モードが設定されているユーザに提供される仮想空間(2次元の仮想空間)の一例を示す図である。
【0038】
また、上述したように、本実施形態では、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を取得部150で取得している。従って、2次元の仮想空間には、
図6に示すように、取得部150で取得した行動情報を表示させることも可能である。
図6では、体験モードが設定されているアバターであるユーザUBの行動に関連する行動情報として、ユーザUBの視線が表示されている。この場合、生成部110は、2次元アバター画像データとして、取得部150で取得した行動情報から、ユーザUBの視線を2次元的に表示するための画像データを生成すればよい。このように、観察モードでは、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動として、取得部150で取得した行動情報を仮想空間に表示させるように制御することが可能である。これにより、ユーザUAは、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザUBのアバターが仮想空間のどの箇所に注視しているかなど、アバターの行動をより詳細に理解することができる。
図6は、観察モードが設定されているユーザに提供される仮想空間(2次元の仮想空間)の一例を示す図である。
【0039】
また、本実施形態では、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動に関する行動情報を記録部160に記録している。従って、2次元の仮想空間には、
図7に示すように、記録部160に記録された行動情報を時系列で表示させることも可能である。
図7では、体験モードが設定されているアバターであるユーザUBの行動に関連する行動情報として、ユーザUBの動線が表示されている。この場合、生成部110は、2次元アバター画像データとして、記録部160に記録された行動情報から、ユーザUBの動線(ユーザUBの行動(動き)の履歴)を2次元的に表示するための画像データを生成すればよい。このように、観察モードでは、体験モードにおける仮想空間でのアバターの行動として、記録部160に記録された行動情報を仮想空間に表示させるように制御することが可能である。これにより、ユーザUAは、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザUBのアバターが仮想空間でどのように動いているかなど、アバターの行動をより詳細に理解することができる。
図7は、観察モードが設定されているユーザに提供される仮想空間(2次元の仮想空間)の一例を示す図である。
【0040】
また、記録部160に記録された行動情報を仮想空間に表示させる際には、アバターの行動が再生されるように、かかる行動情報を時系列で仮想空間に表示させてもよい。これにより、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザのアバターの行動を動的に視認することが可能となり、アバターの行動を更に詳細に理解することができる。
【0041】
図3に戻って、S314で仮想空間を表示するための画像データを提供したら、ユーザ操作が行われたどうかを判定(モニタ)するために、S308に移行する。
【0042】
このように、本実施形態によれば、体験モードと観察モードとをユーザ操作(任意のタイミング)で切り替え可能にすることで、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させ、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することができる。
【0043】
また、観察モードが設定されているユーザのアバターが仮想空間に表示されていると、体験モードが設定されているユーザの混乱を招く可能性がある。これは、観察モードが設定されているユーザは、仮想空間に存在する他のユーザのアバターの行動を観察しているため、そのアバターが仮想空間で行動せず、例えば、静止したままでいると考えられるからである。そこで、観察モードが設定されているユーザのアバターについては、仮想空間に表示させないようにするとよい。これにより、観察モードが設定されているユーザに起因する体験モードが設定されているユーザの混乱を抑制することができる。
【0044】
なお、観察モードが設定されているユーザのアバターを仮想空間に表示させないと、かかるユーザがどこにいるのかなど、体験モードが設定されているユーザの混乱を招く可能性がある。そこで、観察モードが設定されているユーザの存在を通知する情報、具体的には、「XXさんに観察モードが設定されています」などを表示させるとよい。これにより、観察モードが設定されているユーザに起因する体験モードが設定されているユーザの混乱を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、観察モードが設定されているユーザに対して、
図5、
図6及び
図7に示したように、仮想空間を俯瞰する視点(平面視)で表示しているが、これに限定されるものではない。例えば、観察モードが設定されているユーザに対して、仮想空間内の任意の視点で仮想空間を表示してもよい。この場合であっても、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させ、仮想空間の利用性を向上させることができる。
【0046】
<実施形態のまとめ>
1. 上述の実施形態の情報処理装置は、
仮想空間を提供する情報処理装置(例えば、1)であって、
前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する設定部(例えば、120)と、
前記設定部が設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える切替部(例えば、130)と、
を有する、ことを特徴とする。
【0047】
この実施形態によれば、体験モードと観察モードとをユーザ操作(任意のタイミング)で切り替え可能にすることで、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させ、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することができる。
【0048】
2. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記観察モードは、前記仮想空間を俯瞰する視点で前記アバターの行動を観察可能にするモードである、ことを特徴とする。
【0049】
この実施形態によれば、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させることができる。
【0050】
3. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記観察モードは、前記仮想空間内の任意の視点で前記アバターの行動を観察可能にするモードである、ことを特徴とする。
【0051】
この実施形態によれば、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させることができる。
【0052】
4. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動に関する行動情報を取得する取得部(例えば、150)と、
前記観察モードにおいて、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動として、前記取得部で取得された前記行動情報を前記仮想空間に表示させるように制御する制御部(例えば、10)と、
を更に有する、ことを特徴とする。
【0053】
この実施形態によれば、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザのアバターが仮想空間でどのように動いているかなど、アバターの行動をより詳細に理解することができる。
【0054】
5. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記取得部(例えば、150)は、前記行動情報として、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの視線及び動線の少なくとも一方に関する情報を取得する、ことを特徴とする。
【0055】
この実施形態によれば、アバターの行動をより詳細に理解することができる。
【0056】
6. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記アバターは、自己アバターと、他者アバターと、を含み、
前記制御部(例えば、10)は、前記取得部で取得された前記行動情報のうち、前記他者アバターに対応する行動情報を前記仮想空間に表示させるように制御する、ことを特徴とする。
【0057】
この実施形態によれば、他者アバターの行動を詳細に理解することができる。
【0058】
7. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記取得部(例えば、150)で取得された前記行動情報を記録する記録部(例えば、160)を更に有する、ことを特徴とする。
【0059】
この実施形態によれば、仮想空間におけるアバターの行動に関する行動情報を記録することができる。
【0060】
8. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記制御部(例えば、10)は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動が再生されるように、前記記録部(例えば、160)に記録された前記行動情報を時系列で前記仮想空間に表示させるように制御する、ことを特徴とする。
【0061】
この実施形態によれば、体験モードにおける仮想空間に存在するユーザのアバターの行動を動的に視認することが可能となり、アバターの行動を更に詳細に理解することができる。
【0062】
9. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記観察モードでは、前記体験モードが設定されているユーザのアバターを前記仮想空間に表示させないように制御する制御部(例えば、10)を更に有する、ことを特徴とする。
【0063】
この実施形態によれば、観察モードが設定されているユーザに起因する体験モードが設定されているユーザの混乱を抑制することができる。
【0064】
10. 上述の情報処理装置(例えば、1)では、
前記観察モードでは、前記観察モードが設定されているユーザの存在を通知する情報を前記仮想空間に表示させるように制御する制御部(例えば、10)を更に有する、ことを特徴とする
この実施形態によれば、観察モードが設定されているユーザに起因する体験モードが設定されているユーザの混乱を抑制することができる。
【0065】
11. 上述の実施形態の情報処理方法は、
仮想空間を提供する情報処理方法であって、
前記仮想空間をユーザに提供するモードとして、前記仮想空間でアバターを行動させることで前記仮想空間を体験可能にする体験モード、又は、前記体験モードにおける前記仮想空間での前記アバターの行動を観察可能にする観察モードを設定する工程を有し、
前記工程で設定するモードを、ユーザ操作に応じて、前記体験モード又は前記観察モードに切り替える、
ことを特徴とする。
【0066】
この実施形態によれば、体験モードと観察モードとをユーザ操作(任意のタイミング)で切り替え可能にすることで、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させ、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することができる。
【0067】
12. 上述の実施形態のプログラムは、
上述の情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0068】
この実施形態によれば、体験モードと観察モードとをユーザ操作(任意のタイミング)で切り替え可能にすることで、仮想空間におけるユーザの行動の理解を促進させ、仮想空間の利用性を向上させるような新たな技術を提供することができる。
【0069】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:情報処理装置 10:プロセッサ 110:生成部 120:設定部 130:切替部 140:提供部 150:取得部 160:記録部 SY:情報システム