(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135991
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】除菌剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 33/12 20060101AFI20240927BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240927BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20240927BHJP
C11D 1/18 20060101ALI20240927BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P3/00
C11D1/38
C11D1/18
C11D1/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046932
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】露崎 浩太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 吾郎
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AB23
4H003AE05
4H003DA02
4H003DA05
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003ED02
4H003FA02
4H003FA28
4H003FA30
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA02
4H011BB04
4H011BC07
4H011DA16
4H011DC05
4H011DF04
(57)【要約】
【課題】 カチオン界面活性剤の含有量が少ない場合においても高い除菌力を有し、対象の表面に均一に塗布することができる除菌剤組成物を提供すること。
【解決手段】
次の成分(A)及び(B):
(A)カチオン界面活性剤
(B)N-アシルタウリン塩
を含有する除菌剤組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)カチオン界面活性剤
(B)N-アシルタウリン塩
を含有する除菌剤組成物。
【請求項2】
成分(A)が、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩型界面活性剤である、請求項1に記載の除菌剤組成物。
(式中、R
1は、炭素数8~22の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、またはベンジル基、R
2はメチル基または炭素数6~18のアルキル基またはアルケニル基、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、X
-は一価のアニオンを表す。)
【請求項3】
成分(A)の含有量が0.001質量%以上1.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の除菌剤組成物。
【請求項4】
成分(B)の含有量が0.005質量%以上0.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の除菌剤組成物。
【請求項5】
成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)が、5.5/4.5~9.5/0.5である、請求項1又は2に記載の除菌剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌剤組成物に関するものであり、詳しくはカチオン界面活性剤の含有量が少ない場合においても高い除菌力を有し、対象の表面に均一に塗布することができる除菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生上の観点からテーブルや手指などの除菌が盛んに行われている。除菌にはエタノールなどの揮発性の殺菌性溶剤が用いられる場合が多いが、乾燥時に特有の臭いを発するという問題がある。また、乾燥後には殺菌効果が失われるため、殺菌効果が持続しないという欠点もある。一方、カチオン界面活性剤は、除菌効果が高いことに加えて、長時間除菌効果が続くため、非アルコール系の除菌成分として広く使用されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-65203号公報
【特許文献2】特開平7-109204号公報
【特許文献3】特開2009-51756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カチオン界面活性剤は皮膚に対する刺激が強く、手荒れなどを引き起こすため、低濃度でも除菌性があり、手肌に対する刺激性が低いことが求められる。
本発明は、手肌に対する刺激性が低く、カチオン界面活性剤の含有量が少ない場合においても高い除菌力を有し、対象の表面に均一に塗布することができる除菌剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カチオン界面活性剤とN-アシルタウリン塩を組み合わせることで、カチオン界面活性剤の含有量が少ない場合においても高い除菌力を有し、対象の表面に均一に塗布することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下の[1]~[5]に関するものである。
[1]次の成分(A)及び(B):
(A)カチオン界面活性剤
(B)N-アシルタウリン塩
を含有する除菌剤組成物。
[2]成分(A)が、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩型界面活性剤である、[1]に記載の除菌剤組成物。
(式中、R
1は、炭素数8~22の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、またはベンジル基、R
2はメチル基または炭素数6~18のアルキル基またはアルケニル基、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、X
-は一価のアニオンを表す。)
[3]成分(A)の含有量が0.001質量%以上1.0質量%以下である、[1]又は[2]に記載の除菌剤組成物。
[4]成分(B)の含有量が0.005質量%以上0.5質量%以下である、[1]又は[2]に記載の除菌剤組成物。
[5]成分(A)と成分(B)のモル比(A)/(B)が、5.5/4.5~9.5/0.5である、[1]又は[2]に記載の除菌剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の除菌剤組成物は、手肌に対する刺激性が低く、高い除菌力を有し、対象の表面に均一に塗布することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の除菌剤組成物について詳述する。
成分(A)のカチオン界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩型界面活性剤を好ましく使用することができる。
(式中、R
1は、炭素数8~22の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、またはベンジル基、R
2はメチル基または炭素数6~18のアルキル基またはアルケニル基、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、X
-は一価のアニオンを表す。)
第4級アンモニウム塩型界面活性剤を構成するアルキル基またはアルケニル基の炭素数は、除菌性の観点から、好ましくは8~22であり、より好ましくは10~18、さらに好ましくは12~16、特に好ましくは12~14である。
X
-は一価のアニオンであれば特に限定されない。無機もしくは有機のカルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ハロゲンイオンが挙げられ、ハロゲンイオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオンがより好ましい。
【0009】
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルハイドロキシアンモニウム塩、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、エチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩及びベンゼトニウム塩等が挙げられる。
【0010】
成分(A)の除菌剤組成物中の含有量は特に限定されるものではないが、除菌性の観点から、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、そして、手肌への刺激性の観点から1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0011】
(B)N-アシルタウリン塩としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
R5CONR6CH2CH2SO3M (2)
(式中、R5は炭素数7~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウムを示す)
N-アシルタウリン塩を構成するアシル基の炭素数は、除菌成分の濡れ広がり性の観点から、好ましくは8~22であり、より好ましくは10~18であり、さらに好ましくは12~16であり、特に好ましくは12~14である。
【0012】
N-アシルタウリン塩としては、具体的には、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0013】
本発明の除菌剤組成物は、(B)成分を、濡れ広がり性や手肌への刺激性の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、そして、除菌性の観点から、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下含有する。
【0014】
本発明の除菌剤組成物において、(A)成分と(B)成分の合計含有量は、除菌性と手肌への刺激性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
また、(A)成分と(B)成分のモル比は、除菌性や手肌への刺激性の観点から、(A)/(B)=5.5/4.5~9.5/0.5の範囲が好ましく、6.0/4.0~8.0/2.0がより好ましい。
【0015】
本発明の作用メカニズムは明確ではないが、(A)成分と(B)成分が会合体を形成して臨界ミセル濃度が低下し、非常に低い濃度であっても固液界面の表面張力を低下させる作用を有するため、対象表面に均一に塗布することができると考えられる。また、同符号イオンの反発が抑制されて細菌の表面に吸着されやすくなるとともに、会合体を形成して遊離のカチオン界面活性剤が減少するため皮膚への刺激性が低くなり、カチオン界面活性剤の含有量が少ない場合においても高い除菌効果を発揮することができると考えられる。
【0016】
本発明の除菌剤組成物には、上述の成分に加えて、更に当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、有機酸、無機酸、溶剤、界面活性剤、キレート剤、防腐剤等が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられ、有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ギ酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。
溶剤としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、ヘキサン、アセトニトリル、トルエン等の有機溶剤やエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、トリポリリン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸又はそれらの塩等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、例えば安息香酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルやパラオキシ安息香酸ベンジル等のパラベン類、フェノキシエタノール、エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
【0017】
本発明の除菌剤組成物は、水を含有することができる。すなわち、前記(A)、(B)成分及び任意成分以外の残部が水である。本発明の除菌剤組成物は、水を、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、そして、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.8質量%以下、更に好ましくは99.7質量%以下含有する。水としては、蒸留水、精製水イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
【0018】
本発明の除菌剤組成物は、弱酸性から中性付近であっても良好な除菌効果が得られる。本発明の除菌剤組成物は、20℃におけるpHが、取扱いの容易さ及び手肌への刺激性の観点から、4.0以上、そして、9.0以下、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下である。pHの調整には、pH調整剤を用いることができる。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、有機酸など酸剤を用いることができる。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることができる。
【0019】
本発明の除菌剤組成物には、必要に応じて更に、保湿剤、エモリエント剤、色素、他の除菌剤、消泡剤、香料、金属腐食抑制剤、酸化防止剤、天然抽出物、増粘剤、酵素等を配合することができる。
【0020】
除菌処理は、除菌剤を対象物に噴霧したり、除菌剤に対象物を浸漬したりする方法を採用することができるが、噴霧時間や浸漬時間は、微生物の種類や量、有機汚れあるいは無機汚れの種類や量、除菌剤の濃度等によって適宜選択することができる。
また、本発明の除菌剤組成物を基材シートに含浸させ、ウェットシートとして対象物を拭くために用いることもできる。対象物を拭いて該対象物に薬液を付与した後、該対象物を洗い流さず、該薬液が該対象物に残留するように用いられるタイプのものや、対象物を拭いて該対象物に薬液を付与した後、該対象物を洗い流し、該薬液を除去するタイプのものがあり、そのどちらのタイプを使用するかは適宜選択することができる。
【0021】
本発明の除菌剤組成物は、例えば、プラスチック、ゴム、金属、タイル、レンガ、コンクリート、セメント、ガラス、木等からなる床、階段、壁等の固定物のほか、それらからなる各種器械、器具、道具、家具、食器等の人が接触するもの全般に使用することができる。具体的には、トイレ、風呂、洗面台、台所、リビングなどに存在する硬質表面に適用することができる。本発明の除菌剤組成物は、台所まわり用除菌剤、浴室用除菌剤、床用除菌剤、食器用除菌剤、台所、洗面所、リビングの小物の除菌剤等として使用することができる。
【実施例0022】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、%は質量%を示す。
【0023】
下記の配合成分を用いて表1に示す除菌剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1に示す。表1の除菌剤組成物は、イオン交換水に(A)成分と(B)成分を表中の濃度で添加し、室温(25℃)で溶解させた。なお、粘度はB型粘度計、pHはガラス電極法で測定した。
【0024】
<配合成分>
(A)成分
・ベンザルコニウムクロリド:カチナールMB-50A(東邦化学工業(株)製)、一般式(1)中、R1がベンジル基、R2が炭素数12/14/16=58/34/7のモル比で混在する混合アルキル基、R3、R4がメチル基、X-が塩化物イオンである化合物。
・ラウリルトリモニウムクロリド:カチナールLTC-35A(東邦化学工業(株)製)、一般式(1)中、R1が炭素数12/14/16/18=48/22/11/11のモル比で混在する混合アルキル基、R2、R3、R4がメチル基、X-が塩化物イオンである化合物。
【0025】
(B)成分
・ココイルメチルタウリンナトリウム:ネオスコープCN-30-SF(東邦化学工業(株)製)、一般式(2)中、R5が炭素数12/14/16=54/24/6のモル比で混在する混合アルキル基、R6がメチル基、M+がナトリウムイオンである化合物。
【0026】
(1)最小発育阻止濃度(MIC)測定法[日本化学療法学会法引用]
表1に示す除菌剤組成物について、希釈液※1を用いて10,000、5,000、2,500、…、15.6μg/mlの希釈溶液を調製し、シャーレに2mlずつ分注した。次に、ミューラー・ヒントン寒天培地を上述のシャーレに18mlずつ流し込み、よく攪拌した後、静置して固化させ、1,000、500、250、…、1.6μg/mlの試料を含む平板培地を作製した。作製した培地に接種用菌液※2を一白金ずつ塗抹し、36±2℃に設定した恒温槽にて、24時間培養した。培養後、菌の生育が認められない最小濃度をMIC値とした。なお、試験は2回(N=2)行い、得られた値の最大値を決定値として表記した。
※1:希釈液
蒸留水を121℃(圧力103kPa相当)、20分間オートクレーブにて滅菌したもの。
※2:試験菌
・Escherichia coli NBRC 3972(大腸菌)、Staphylococcus aureus NBRC 13276(黄色ブドウ球菌)、Cutibacterium acnes subsp NBRC 107605(アクネ菌)
【0027】
(2)硬質表面濡れ性
表1の除菌剤組成物0.5mlを、キムワイプ(登録商標)を用いて硬質表面上に塗り広げた際の濡れ性を、下記の基準で評価した。硬質表面の材質はガラス、ステンレススチール、木片をそれぞれ用いて行い、結果の合計を表1に示す。本評価では4点以上が合格であり、4点以上であれば硬質表面上で撥水した部分が少ないため、(A)成分が対象物に均一に濡れ広がり、高い除菌・抗菌効果が得られる。
2 : 全体的によく濡れる
1 : 一部撥水している部分があるが濡れる
0 : 表面上で液が弾く
【0028】
(3)皮膚刺激性(タンパク質変性率)試験法
高速液体クロマトグラフ法(宮澤等;J.Soc.Cosmet.Chem.Japan,vol.18,No.2)に準拠し、卵白アルブミン0.025重量%濃度のpH7緩衝溶液を用いて、試料濃度が100mMとなるように界面活性剤混合物を加え、220nmの吸収ピークの高さを測定し、次式によりタンパク質変性率を算出した。
タンパク質変性率(%)=[(H0-HS)/H0]×100
H0:試料未添加のときの吸収ピークの高さ
HS:試料を添加したときの吸収ピークの高さ
(タンパク質変性率試験の評価基準)
◎・・・タンパク質変性率30%未満
○・・・タンパク質変性率30%以上60%未満
△・・・タンパク質変性率60%以上80%未満
×・・・タンパク質変性率80%以上
【0029】
【0030】
実施例1及び2の評価結果に示されているように、成分(A)と成分(B)を配合した除菌剤組成物は、タンパク質変性率が低く、カチオン界面活性剤が低濃度でも高い除菌力を有し、また対象の表面に均一に塗布することができる。
一方、成分(A)のみを配合した比較例1と2の除菌剤組成物は、タンパク質変性率が高く、また対象の表面に均一に塗布することができなかった。また、成分(B)のみを配合した比較例3の除菌剤組成物には除菌効果はなく、また対象の表面に均一に塗布することができなかった。
【0031】
以下に本発明の除菌剤組成物の処方例を挙げる。
(配合量は質量%)
【0032】
実施例3
<除菌剤組成物>
ベンザルコニウムクロリド 0.07
ココイルメチルタウリンNa 0.03
プロピレングリコール 0.02
グリセリン 0.01
クエン酸 適量
精製水 残量
【0033】
実施例4
<除菌剤組成物>
ラウリルトリモニウムクロリド 0.06
ココイルメチルタウリンNa 0.04
プロピレングリコール 0.02
グリセリン 0.01
クエン酸 適量
精製水 残量