IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧

<>
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図1
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図2
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図3
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図4
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図5
  • 特開-流体ポート構造および試料供給装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135998
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】流体ポート構造および試料供給装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/22 20060101AFI20240927BHJP
   G01N 30/24 20060101ALI20240927BHJP
   G01N 30/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01N30/22
G01N30/24 E
G01N30/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046942
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸治
(57)【要約】
【課題】小型化かつ低コスト化することが可能な流体ポート構造および試料供給装置を提供する。
【解決手段】流体ポート構造は、チューブ13および筒状部12を含み、流体の注入を受け付ける。チューブ13は、シール性を有する。チューブ13には、流体が流れる流路13dが形成される。筒状部12には、流体が流れる軸方向に沿って延びる貫通孔12aが形成される。貫通孔12aには、チューブ13の上流端部が挿通される。筒状部12の内周面は、貫通孔12aの径が軸方向における所定の位置から上流に向かうほど漸次大きくなるテーパ面12bを有する。チューブ13は、上流端部において、筒状部12のテーパ面12bに沿って広がる広がり部13aを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の注入を受け付ける流体ポート構造であって、
シール性を有し、前記流体が流れる流路が形成されたチューブと、
前記流体が流れる軸方向に沿って延びる貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記チューブの上流端部が挿通された筒状部とを備え、
前記筒状部の内周面は、前記貫通孔の径が前記軸方向における所定の位置から上流に向かうほど漸次大きくなるテーパ面を有し、
前記チューブは、前記上流端部において、前記筒状部の前記テーパ面に沿って広がる広がり部を有する、流体ポート構造。
【請求項2】
前記チューブの前記広がり部は、前記筒状部の上流端面の少なくとも一部を被覆する被覆部を有する、請求項1記載の流体ポート構造。
【請求項3】
前記チューブは、樹脂材料により形成される、請求項1または2記載の流体ポート構造。
【請求項4】
前記チューブは、ポリエーテルエーテルケトンより形成される、請求項3記載の流体ポート構造。
【請求項5】
前記チューブの下流端部を外部に引き出しつつ前記筒状部を収容する筐体部をさらに備える、請求項1または2記載の流体ポート構造。
【請求項6】
前記筐体部に取り付けられ、前記チューブの前記上流端部の内周面を露出させつつ前記チューブおよび前記筒状部を固定するキャップをさらに備える、請求項5記載の流体ポート構造。
【請求項7】
請求項1または2記載の流体ポート構造と、
前記流体ポート構造における前記チューブの前記広がり部と接触する状態で、前記流路に流体状の試料を注入するサンプリングニードルとを備える、試料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ポート構造および試料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる物質を異なる成分ごとに分離して測定する分析装置としてクロマトグラフが知られている。クロマトグラフにおいては、オートサンプラにより分析対象の試料が分析流路に供給される。例えば、特許文献1には、サンプリング用のニードルと、配管を通して分析流路に接続された注入ポートとを有するオートサンプラが記載されている。
【0003】
注入ポートにおいては、ニードルシールが配管の上面に押圧されることにより、配管とニードルシールとの間の液密が保持される。また、試料の供給時には、ニードルの先端部がニードルシールに接触されることにより、ニードルとニードルシールとの間が液密に流体連通される。この状態で、ニードルから試料が吐出されることにより、試料が配管を通して分析流路に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7156395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニードルシールおよびその接続部材は比較的大きい厚みを有するため、注入ポートのサイズが大きくなる。また、ニードルシールの加工手順は複雑であるため、注入ポートのコストが大きくなる。そのため、注入ポートを小型化かつ低コスト化することが求められる。
【0006】
本発明の目的は、小型化かつ低コスト化することが可能な流体ポート構造および試料供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、流体の注入を受け付ける流体ポート構造であって、シール性を有し、前記流体が流れる流路が形成されたチューブと、前記流体が流れる軸方向に沿って延びる貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記チューブの上流端部が挿通された筒状部とを備え、前記筒状部の内周面は、前記貫通孔の径が前記軸方向における所定の位置から上流に向かうほど漸次大きくなるテーパ面を有し、前記チューブは、前記上流端部において、前記筒状部の前記テーパ面に沿って広がる広がり部を有する、流体ポート構造に関する。
【0008】
本発明の他の態様は、上記の流体ポート構造と、前記流体ポート構造における前記チューブの前記広がり部と接触する状態で、前記流路に流体状の試料を注入するサンプリングニードルとを備える、試料供給装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流体ポート構造および試料供給装置を小型化かつ低コスト化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る試料供給装置を含むクロマトグラフの構成を示すブロック図である。
図2】試料供給装置の構成を説明するためのクロマトグラフのブロック図である。
図3】吸引動作時の試料供給装置を示す図である。
図4】注入動作時の試料供給装置を示す図である。
図5】注入ポートの流体ポート構造を示す縦断面図である。
図6】注入動作時の注入ポートを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)クロマトグラフの構成
以下、本発明の実施の形態に係る流体ポート構造および試料供給装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る試料供給装置を含むクロマトグラフの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本例では、クロマトグラフ200は、液体クロマトグラフであり、試料供給装置100、移動相供給部110、計量部120、廃液部130、分離カラム140、検出器150および処理部160を備える。
【0012】
移動相供給部110は、脱気装置、送液ポンプまたはミキサ等を含む。移動相供給部110は、図示しない1以上の移動相容器から液体状の移動相を吸引し、吸引された移動相を供給する。計量部120は、例えばシリンジまたはポンプ等を含む。廃液部130は、例えばドレインであり、不要な液は廃液部130に廃棄される。
【0013】
試料供給装置100は、吸引動作および注入動作を順次実行する。吸引動作時には、試料供給装置100は、計量部120が動作することにより、分析対象の試料を吸引する。注入動作時には、試料供給装置100は、吸引された試料を移動相供給部110により供給された移動相とともに分離カラム140に供給する。試料供給装置100の詳細については後述する。
【0014】
分離カラム140は、図示しないカラムオーブンに収容され、所定の一定温度に維持される。分離カラム140は、試料供給装置100により供給された試料を化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離する。検出器150は、分離カラム140により分離された試料の成分を検出し、検出強度を示す検出信号をする。処理部160は、検出器150により出力された検出信号に基づいて、試料の各成分の保持時間と検出強度との関係を示すクロマトグラムを生成する。
【0015】
図2は、試料供給装置100の構成を説明するためのクロマトグラフ200のブロック図である。図2に示すように、試料供給装置100は、注入ポート10、サンプリングニードル20、サンプルループ30および切替バルブ40を含む。注入ポート10は、試料の注入を受け付ける流体ポート構造を有する。注入ポート10の詳細については後述する。
【0016】
サンプリングニードル20は、注入ポート10の流路に流体を注入するための注入部材であり、サンプルループ30の一端部に接続される。図2に点線で示すように、サンプリングニードル20は、図示しない搬送装置により注入ポート10と、試料が収容されたバイアル1との間で移動可能である。
【0017】
切替バルブ40は、例えば高圧バルブであり、6つのポート41~46を有する。ポート41は、廃液部130に接続される。ポート42は、注入ポート10に接続される。ポート43は、分離カラム140に接続される。ポート44は、移動相供給部110に接続される。ポート45は、サンプルループ30の他端部に接続される。ポート46は、計量部120に接続される。
【0018】
切替バルブ40は、第1の接続状態と第2の接続状態とで切り替え可能に構成される。第1の接続状態においては、ポート41,42間が接続され、ポート43,44間が接続され、ポート45,46間が接続される。第2の接続状態においては、ポート42,43間が接続され、ポート44,45間が接続され、ポート46,41間が接続される。
【0019】
図3は、吸引動作時の試料供給装置100を示す図である。図3に示すように、吸引動作時には、切替バルブ40が第1の接続状態に切り替えられる。この場合、注入ポート10と廃液部130とが接続され、移動相供給部110と分離カラム140とが接続され、サンプルループ30の他端部と計量部120とが接続される。また、サンプリングニードル20の先端がバイアル内に侵入される。この状態で、計量部120が駆動することにより、バイアル1内の所定容量の試料がサンプリングニードル20により吸引される。吸引された試料は、サンプルループ30に一時的に保持される。
【0020】
図4は、注入動作時の試料供給装置100を示す図である。図4に示すように、注入動作時には、切替バルブ40が第2の接続状態に切り替えられる。この場合、計量部120と廃液部130とが接続され、移動相供給部110とサンプルループ30の他端部とが接続され、注入ポート10と分離カラム140とが接続される。また、サンプリングニードル20の先端が注入ポート10内に侵入される。この状態で、移動相供給部110により移動相が供給されることにより、サンプルループ30に保持された試料が、移動相とともに注入ポート10に注入され、分離カラム140に供給される。
【0021】
(2)注入ポート
図5は、注入ポート10の流体ポート構造を示す縦断面図である。図5に示すように、注入ポート10は、筐体部11、筒状部12、チューブ13およびキャップ14を含む。以下の説明では、注入ポート10において、移動相が通過する方向に平行な方向を軸方向と呼ぶ。また、移動相が流れる方向を下流と呼び、その反対方向を上流と呼ぶ。
【0022】
筐体部11は、例えば金属材料により形成される。筐体部11は、軸方向に延びる円筒形状の周壁部11aと、周壁部11aの下流端部を閉塞する円形状の底面部11bとからなる有底の円筒形状を有する。周壁部11aの上流端部の外周面には、ネジ11cが形成される。底面部11bの中央には、貫通孔11dが形成される。
【0023】
筒状部12は、例えば金属材料により形成される。本例では、筒状部12は、軸方向に延びる円筒形状を有する。したがって、筒状部12の中心には、軸方向に延びる貫通孔12aが形成される。筒状部12の外径は、筐体部11の周壁部11aの内径よりもわずかに小さい。筒状部12は、筐体部11に収容される。図5の例では、筒状部12の上流端面は周壁部11aの上流端面よりも低いが、実施の形態はこれに限定されない。
【0024】
筒状部12の上流端面の近傍において、筒状部12の内周面は、外側に広がるテーパ面12bを有する。そのため、筒状部12の下流端面から上流端面に向かって一定の範囲においては、貫通孔12aの径は一定である。一方、筒状部12の上流端面の近傍においては、貫通孔12aの径は、上記の一定部分から上流端面に向かうほど漸次大きくなる。筐体部11内において、底面部11bの貫通孔11dと、筒状部12の貫通孔12aとは連通する。図5の例では、貫通孔12aは貫通孔11dより小さいが、実施の形態はこれに限定されない。
【0025】
チューブ13は、シール性を有する部材により形成される。チューブ13は、樹脂材料等の柔軟性を有する部材により形成されてもよい。本例では、チューブ13は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)により形成される。チューブ13は、筒状部12の貫通孔12aおよび筐体部11の貫通孔11dに挿通される。チューブ13の下流端部は、図2の切替バルブ40のポート42に接続される。チューブ13の内部が、移動相および試料が流れる流路13dとなる。
【0026】
チューブ13は、上流端部において、筒状部12のテーパ面12bに沿って広がる広がり部13aを有する。したがって、チューブ13の広がり部13aの内周面は、外側に広がるテーパ面13bを有する。また、広がり部13aは、筒状部12の上流端面の少なくとも一部を被覆する被覆部13cを有する。本例では、チューブ13を筒状部12に挿通した状態で、チューブ13の上流部分に熱処理を行うことにより、広がり部13aが形成される。
【0027】
キャップ14は、例えば金属材料により形成される。キャップ14は、周壁部14aと、端面部14bと、突出部14cとを有する。周壁部14aは、軸方向に延びる円筒形状を有する。周壁部14aの内周面には、筐体部11のネジ11cに対応するネジ14dが形成される。端面部14bは、周壁部14aの上流端面を閉塞する円形状の板状部材である。端面部14bの中央には、軸方向に延びる貫通孔14eが形成される。貫通孔14eの径は、サンプリングニードル20の外径よりも大きい。突出部14cは、貫通孔14eを取り囲むように、端面部14bの下流端面から下流に突出する。
【0028】
キャップ14のネジ14dが筐体部11のネジ11cに螺合されることにより、キャップ14が筐体部11に取り付けられる。この場合、チューブ13の広がり部13aの被覆部13cおよび筒状部12の上流端面が突出部14cの下流端部により押圧される。これにより、筒状部12が筐体部11内で固定されるとともに、チューブ13の広がり部13aが筒状部12の上流端面に固定される。この状態において、チューブ13の広がり部13aのテーパ面13bは、キャップ14の貫通孔14e内で露出する。
【0029】
図6は、注入動作時の注入ポート10を示す縦断面図である。図6に示すように、注入動作時には、サンプリングニードル20の先端がキャップ14の貫通孔14eから注入ポート10内に侵入される。この場合、液密性が維持されつつ、サンプリングニードル20の先端がチューブ13の広がり部13aのテーパ面13bと接触する。この状態で、図2の移動相供給部110が動作することにより、移動相とともに試料がチューブ13内に注入される。これにより、試料が図2の分離カラム140に供給される。
【0030】
(3)効果
本実施の形態に係る注入ポート10においては、流体を流路13dに注入するためのサンプリングニードル20がチューブ13の広がり部13aに接触されることにより、サンプリングニードル20とチューブ13との間の液密性が維持される。そのため、サンプリングニードル20と流路13dとの間の維持を維持するためのニードルシール等の部材を設ける必要がない。これにより、注入ポート10を構成するための部品点数が削減される。この結果、注入ポート10および試料供給装置100を小型化かつ低コスト化することができる。
【0031】
また、ニードルシールとチューブ13とを接続する場合には、当該接続部分に試料が残りやすく、今回の分析で用いられた試料が次回の分析でも検出されるキャリーオーバが発生する可能性が高くなる。これに対して、上記の構成においては、注入ポート10にニードルシールとチューブ13とを接続する部分が設けられることがない。これにより、キャリーオーバの発生を防止することができる。
【0032】
チューブ13の広がり部13aは、筒状部12の上流端面の少なくとも一部を被覆する被覆部13cを有する。この場合、チューブ13に広がり部13aを容易に形成することができる。また、チューブ13を筒状部12に対して容易に位置決めすることができる。
【0033】
本例では、チューブ13は、PEEKにより形成される。この場合、熱処理等によりチューブ13に広がり部13aを容易に形成することができる。また、サンプリングニードル20と流路13dとの間の液密性を容易に大きくすることができる。
【0034】
チューブ13の下流端部が外部に引き出されつつ、筒状部12が筐体部11に収容される。この場合、筒状部12を保護しつつ注入ポート10を任意の設置箇所に容易に設置することができる。また、筐体部11にキャップ14が取り付けられる。チューブ13の上流端部の内周面がキャップ14から露出しつつ、チューブ13および筒状部12がキャップ14により固定される。これにより、チューブ13および筒状部12を容易に固定することができる。
【0035】
(4)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、チューブ13はPEEKにより形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。サンプリングニードル20とチューブ13との間の液密性が十分に大きい場合には、チューブ13はPEEKにより形成されなくてもよい。また、チューブ13に広がり部13aを形成可能である限り、チューブ13は樹脂材料により形成されなくてもよい。
【0036】
(b)上記実施の形態において、注入ポート10は筐体部11およびキャップ14を有するが、実施の形態はこれに限定されない。筒状部12およびチューブ13を適切に固定可能である限り、注入ポート10はキャップ14を有しなくてもよい。また、注入ポート10を任意の設置箇所に設置可能である限り、注入ポート10は筐体部11を有しなくてもよい。
【0037】
(c)上記実施の形態において、チューブ13の広がり部13aは被覆部13cを有するが、実施の形態はこれに限定されない。チューブ13の広がり部13aは被覆部13cを有しなくてもよい。
【0038】
(5)態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0039】
(第1項)一態様に係る流体ポート構造は、
流体の注入を受け付ける流体ポート構造であって、
シール性を有し、前記流体が流れる流路が形成されたチューブと、
前記流体が流れる軸方向に沿って延びる貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記チューブの上流端部が挿通された筒状部とを備え、
前記筒状部の内周面は、前記貫通孔の径が前記軸方向における所定の位置から上流に向かうほど漸次大きくなるテーパ面を有し、
前記チューブは、前記上流端部において、前記筒状部の前記テーパ面に沿って広がる広がり部を有してもよい。
【0040】
この流体ポート構造においては、流体を流路に注入するための注入部材がチューブの広がり部に接触されることにより、注入部材とチューブとの間の液密性が維持される。そのため、注入部材と流路との間の維持を維持するためのニードルシール等の部材を設ける必要がない。これにより、流体ポート構造を構成するための部品点数が削減される。この結果、流体ポート構造を小型化かつ低コスト化することができる。
【0041】
(第2項)第1項に記載の流体ポート構造において、
前記チューブの前記広がり部は、前記筒状部の上流端面の少なくとも一部を被覆する被覆部を有してもよい。
【0042】
この場合、チューブに広がり部を容易に形成することができる。また、チューブを筒状部に対して容易に位置決めすることができる。
【0043】
(第3項)第1項または第2項に記載の流体ポート構造において、
前記チューブは、樹脂材料により形成されてもよい。
【0044】
この場合、熱処理等によりチューブに広がり部を容易に形成することができる。
【0045】
(第4項)第3項に記載の流体ポート構造において、
前記チューブは、ポリエーテルエーテルケトンより形成されてもよい。
【0046】
この場合、注入部材とチューブとの間の液密性を容易に大きくすることができる。
【0047】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載の流体ポート構造は、
前記チューブの下流端部を外部に引き出しつつ前記筒状部を収容する筐体部をさらに備えてもよい。
【0048】
この場合、筒状部を保護しつつ流体ポート構造を任意の設置箇所に容易に設置することができる。
【0049】
(第6項)第5項に記載の流体ポート構造は、
前記筐体部に取り付けられ、前記チューブの前記上流端部の内周面を露出させつつ前記チューブおよび前記筒状部を固定するキャップをさらに備えてもよい。
【0050】
この場合、チューブおよび筒状部を容易に固定することができる。
【0051】
(第7項)他の態様に係る試料供給装置は、
第1項~第6項のいずれか一項に記載の流体ポート構造と、
前記流体ポート構造における前記チューブの前記広がり部と接触する状態で、前記流路に流体状の試料を注入するサンプリングニードルとを備えてもよい。
【0052】
この試料供給装置においては、サンプリングニードルと流路との間の維持を維持するためのニードルシール等の部材を設ける必要がない。これにより、試料供給装置を小型化かつ低コスト化することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…バイアル,10…注入ポート,11…筐体部,11a,14a…周壁部,11b…底面部,11c,14d…ネジ,11d,12a,14e…貫通孔,12…筒状部,12b,13b…テーパ面,13…チューブ,13a…広がり部,13c…被覆部,13d…流路,14…キャップ,14b…端面部,14c…突出部,20…サンプリングニードル,30…サンプルループ,40…切替バルブ,41~46…ポート,100…試料供給装置,110…移動相供給部,120…計量部,130…廃液部,140…分離カラム,150…検出器,160…処理部,200…クロマトグラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6