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  • 特開-油路装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136007
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】油路装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20240927BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B01D35/02 E
B01D29/10 501C
B01D29/10 510E
B01D29/10 530B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046952
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】八巻 義典
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA27
4D116BB01
4D116BC25
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC77
4D116DD06
4D116FF12B
4D116GG02
4D116GG12
4D116KK04
4D116QB02
4D116QB17
4D116QB23
4D116VV05
(57)【要約】
【課題】第3平面の厚み方向の長さが第3平面から第4平面に至る厚み方向の長さより長いフィルタ装置を有する。
【解決手段】第1ボディと、セパレートプレートと、第2ボディと、フィルタ装置と、を備えた油路装置において、第1ボディの第1平面から第2平面までの厚み方向の長さが第2ボディの厚み方向の長さより長く、第1ボディは、第1ボディの第2平面側から厚み方向に第1油路に達する貫通孔を備え、フィルタ装置の厚み方向の長さは、第2ボディの第3平面から第4平面に至る厚み方向の長さより長く、フィルタ装置は、貫通孔内に位置する部分を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状の第1油路を備えた第1平面と前記第1平面の裏面となる第2平面とを備えた第1ボディと、
前記第1平面に接する第1主面と前記第1主面に対して裏面となる第2主面とを備えた板状のセパレートプレートと、
前記セパレートプレートの前記第2主面に接する第3平面に溝状の第2油路を備え、第3平面に対して裏面の第4平面を備えた第2ボディと、
フィルタ装置と、
を備えた油路装置であって、
前記第1平面から前記第2平面までの厚み方向の長さが前記第2ボディの厚み方向の長さより長く、
前記第1ボディは、前記第1ボディの前記第2平面側から厚み方向に前記第1油路に達する貫通孔を備え、
前記フィルタ装置の厚み方向の長さは、前記第3平面から前記第4平面に至る厚み方向の長さより長く、
前記フィルタ装置は、前記貫通孔内に位置する部分を備える、
油路装置。
【請求項2】
前記フィルタ装置は、前記貫通孔側に開口部を備え且つ前記第2ボディ側に底板を備える、請求項1に記載の油路装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記フィルタ装置の装着用の孔である、請求項1又は請求項2に記載の油路装置。
【請求項4】
前記フィルタ装置の前記第2ボディ側の端は、前記セパレートプレートの前記第1主面に位置する、請求項2に記載の油路装置。
【請求項5】
前記セパレートプレートは、前記フィルタ装置のための挿通孔を備え、
前記フィルタ装置は、前記挿通孔に挿通され、
前記フィルタ装置の前記第2ボディ側の端は、前記第2油路内に位置する、
請求項2に記載の油路装置。
【請求項6】
前記フィルタ装置の前記貫通孔内に位置する部分は、前記貫通孔に圧入された部分である、請求項4又は請求項5に記載の油路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、油路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される油圧作動式変速機は、変速機構を構成する複数の摩擦締結要素への締結用油圧の生成及び給排、変速機ケース内の各部への潤滑油の供給等を制御する油路装置を備えている。
【0003】
油路装置は、第1ボディと、第2ボディと、第1ボディ及び第2ボディの間に位置するセパレートプレートと、油圧回路を構成するソレノイドバルブと、を備えている。第1ボディ及び第2ボディには、ソレノイドバルブに連絡された複数の油路が設けられている。
【0004】
第2ボディには、フィルタ装置が組付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-105420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両によっては、第2ボディの油路溝を深くできない場合がある。この場合、第2ボディにおける油路溝の深さよりも第2ボディの厚み方向の長さが長いフィルタ装置は、第2ボディに組付けられない。
【0007】
本開示の技術は、上記事実に鑑み成されたもので、厚み方向の長さが第2ボディの厚み方向の長さより長いフィルタ装置を有することができる油路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本開示の技術の第1の態様は、溝状の第1油路を備えた第1平面と前記第1平面の裏面となる第2平面とを備えた第1ボディと、前記第1平面に接する第1主面と前記第1主面に対して裏面となる第2主面とを備えた板状のセパレートプレートと、前記セパレートプレートの前記第2主面に接する第3平面に溝状の第2油路を備え、第3平面に対して裏面の第4平面を備えた第2ボディと、フィルタ装置と、を備えた油路装置であって、前記第1平面から前記第2平面までの厚み方向の長さが前記第2ボディの厚み方向の長さより長く、前記第1ボディは、前記第1ボディの前記第2平面側から厚み方向に前記第1油路に達する貫通孔を備え、前記フィルタ装置の前記第3平面の厚み方向の長さは、前記第3平面から第4平面に至る厚み方向の長さより長く、前記フィルタ装置は、前記貫通孔内に位置する部分を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術の第1の態様は、厚み方向の長さが第2ボディの厚み方向の長さより長いフィルタ装置を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る油圧作動式変速機の油路装置を示す側面模式図である。
図2図2は、第1の実施形態の油路装置のフィルタ装置を含む領域の断面図である。
図3図3は、第1の実施形態のフィルタ装置の斜視図である。
図4図4は、第2の実施形態の油路装置のフィルタ装置を含む領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の技術の実施形態に係る油路装置について図面を参照して説明する。
【0012】
以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸とを含むXY平面が水平、Z軸が鉛直である。例えば、X軸方向は、後述する油路装置100の幅方向である。Y軸方向は、油路装置100の奥行方向である。Z方向は、油路装置100の高さ方向である。
また、Z軸方向は「軸M方向」である。「軸M方向」とは、後述するフィルタ装置50の底面51に直交してフィルタ装置50の中心を通る仮想軸の一方の方向および他方の方向を総称したものである。軸Mを中心とする径方向を「径方向」と言い、軸Mを中心とする周方向を「周方向C」と言う。
そして、Z軸方向正側が「軸M方向一方側」に対応し、Z軸方向負側が「軸M方向他方側」に対応する。
本明細書中において、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対的な位置関係を説明するために使用する用語である。したがって、各部の実際の位置関係等は、これらの用語で示される位置関係等と異なっていてもよい。
【0013】
[第1の実施形態]
(構成)
図1図3を参照して、本開示の技術の第1の実施形態に係る油圧作動式変速機の油路装置の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る油圧作動式変速機の油路装置を示す側面模式図である。図2は、第1の実施形態の油路装置のフィルタ装置を含む領域の断面図である。図3は、第1の実施形態のフィルタ装置の斜視図である。
【0014】
詳細には後述するが、第1ボディ10及び第2ボディ30は扁平な形状であり、セパレートプレート20は板状の形状であり、第1ボディ10、セパレートプレート20、及び第2ボディ30は、積層されている。第2ボディ30から、セパレートプレート20及び第1ボディ10が積層される方向は、高さ方向、即ち、Z軸の正側の方向である。第1ボディ10、セパレートプレート20、及び第2ボディ30の各々の厚み方向は、同一の方向であり、高さ方向である。
【0015】
また、詳細には後述するが、円筒状に形成されるフィルタ装置50の軸M(図3も参照)方向は、上記のようにZ軸方向である。フィルタ装置50の厚み方向は、Z軸方向(高さ方向)である。
【0016】
図1に示すように、油路装置100は、変速機構を構成する複数の摩擦締結要素への締結用油圧の生成及び給排、変速機ケース(図示せず)内の各部への潤滑油の供給等を制御する。油路装置100は、バルブボディでもある。油路装置100は、変速機ケースに取り付けられる。
【0017】
油路装置100は、第1ボディ10と、セパレートプレート20と、第2ボディ30と、を備える。第1ボディ10及び第2ボディ30は、扁平な形状を有する金属製部材である。第1ボディ10及び第2ボディ30は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金用いたダイキャスト成形品である。セパレートプレート20は、板状の形状を有し、例えば、鉄等の金属で構成される。
【0018】
図2に示すように、第1ボディ10は、溝状の第1油路18を備える第1平面12と第1平面12の裏面となる第2平面14とを備える。
【0019】
セパレートプレート20は、第1平面12に接する第1主面22と第1主面22に対して裏面となる第2主面24とを備える。
【0020】
第2ボディ30は、セパレートプレート20の第2主面24に接する第3平面32に溝状の第2油路36を備え、第3平面32に対して裏面の第4平面34を備える。
【0021】
第1平面12から第2平面14までの厚み方向の長さが第2ボディ30の厚み方向の長さより長い。この厚み方向は、Z軸方向である。
【0022】
油路装置100は、第1油路18中にフィルタ装置50を備える。
【0023】
第1ボディ10は、第1ボディ10の第2平面14側から厚み方向に第1油路18に達する貫通孔15を備える。貫通孔15は、フィルタ装置50の装着用の孔である。
【0024】
フィルタ装置50の第2ボディ30の厚み方向(即ち、Z軸方向)の長さは、第2ボディ30の第3平面32から第4平面34に至る厚み方向(即ち、Z軸方向)の長さより長い。
【0025】
図3を参照して、フィルタ装置50を更に詳細に説明する。
【0026】
フィルタ装置50は、貫通孔15内に位置する部分50Uを備える。フィルタ装置50は、円筒状に形成され、貫通孔15側に、開口部50Hを備えると共に、第2ボディ30側に底板51を備える。
【0027】
上記のように、フィルタ装置50の第2ボディ30の厚み方向(即ち、Z軸方向)の長さは、第2ボディ30の第3平面32から第4平面34に至る厚み方向(即ち、Z軸方向)の長さより長い。よって、フィルタ装置50は、第2ボディ30における第3平面32と第4平面34との間には収容されない。第1の実施形態では、フィルタ装置50の第2ボディ30側の端は、セパレートプレート20の第1主面22に位置する(図2も参照)。
【0028】
フィルタ装置50は、貫通孔15内に位置する部分50Uと底部51との間に、複数(例えば、4本)の柱状部53と、側面に取り付けられた網目状部54と、を備える。
【0029】
フィルタ装置50の網目状部54以外の部分は、例えば樹脂材料で構成される。網目状部54は、例えばナイロン網あるいはステンレス網で構成される。
【0030】
フィルタ装置50の各柱状部53の上方向の端側は、径方向外側に突出する突出部53p1~53p4を有する。4個の突出部53p1~53p4は、フィルタ装置50の中心軸Mに直交する水平面上の第1の線L1に位置する2つの突出部53p1、53p3と、フィルタ装置50の中心軸Mを通る水平面上の第1の線L1と直交する第2の線L2に位置する2つの突出部53p2、53p4と、を備える。第1の線L1と第2の線L2とは、フィルタ装置50の中心軸Mが上記水平面と交差する点Cで直交する。第1の線L1は、X軸方向と平行であり、第2の線L2は、Y軸方向と平行である。
【0031】
2つの突出部53p2、53p4の間の距離及び2つの突出部53p2、53p4の間の距離の各々は、同じで且つ貫通孔15のこれらの突出部53p1~53p4が位置する内径よりも大きい。
【0032】
よって、フィルタ装置50は、底板51側から第1ボディ10の貫通孔15を介して、第1ボディ10に挿入されると、突出部53p1~53p4は、貫通孔15内に、圧入された状態で嵌る。突出部53p1~53p4は、貫通孔15内に圧入された部分である。
【0033】
作動油は、開口部50Hに導かれた後、網目状部54を通過して、第1油路18へ流れ込む。したがって、本実施形態の油路装置1では、フィルタ装置50内に導かれた作動油の異物は網目状部54によって捕集され、異物が除去された作動油が第1油路18を流れる。
【0034】
(効果)
このように第1の実施の形態では、第1ボディは、第1ボディの第2平面側から厚み方向に第1油路に達する貫通孔を備え、フィルタ装置は、貫通孔内に位置する部分を備える。よって、第1の実施の形態の油路装置は、厚み方向の長さが第2ボディの厚み方向の長さより長いフィルタ装置を備えることができる。
【0035】
[第2の実施形態]
(構成)
本開示の技術の第2の実施形態に係る油圧作動式変速機の油路装置の構成を説明する。第2の実施形態の油路装置の構成は、第1の実施の形態の油路装置と同一の部分を有するので、同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0036】
図4は、第2の実施形態の油路装置200のフィルタ装置50を含む領域の断面図である。図4に示すように、第2の実施形態の油路装置200では、セパレートプレート20は、フィルタ装置50のための挿通孔25を備える。フィルタ装置50は、挿通孔25に挿通される。フィルタ装置50の第2ボディ30側の端は、第2油路36内に位置する。
【0037】
フィルタ装置50は、底板51側から第1ボディ10の貫通孔15を介して、第1ボディ10に挿入されると、突出部53p1~53p4は、第1油路18内に位置し、部分50Uは、貫通孔15内に圧入され、スナップフィットで嵌る。部分50Uは、貫通孔15内に圧入された部分である。
【0038】
(効果)
このように第2の実施の形態では、第1ボディは、第1ボディの第2平面側から厚み方向に第1油路に達する貫通孔を備え、フィルタ装置は、貫通孔内に位置する部分を備える。フィルタ装置は、セパレートプレートの挿通孔に挿通され、フィルタ装置の第2ボディ側の端は、第2油路内に位置する。よって、第2の実施の形態の油路装置は、第1の実施の形態の油路装置は、厚み方向の長さが第2ボディの厚み方向の長さより長いフィルタ装置を備えることができる。
[変形例]
上記各実施の形態では、油路装置は、第1ボディと第2ボディとを各1個備えるが、本開示の技術はこれに限定されない。各々が第1ボディと第2ボディとを備える複数の層を備えるようにしてもよい。
【0039】
上記各実施の形態では、フィルタ装置は円筒状であるが、本開示の技術はこれに限定されない。フィルタ装置の断面は、楕円形やハニカム状であってもよい。
【0040】
上記各実施の形態では、フィルタ装置は、4個の突出部を備えるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、3個、5個、6個等の突出部を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100 油路装置
10 第1ボディ
12 第1平面
14 第2平面
15 貫通孔
18 第1油路
20 セパレートプレート
22 第1主面
24 第2主面
25 挿通孔
30 第2ボディ
32 第3主面
34 第4主面
36 第2油路
50 フィルタ装置
図1
図2
図3
図4