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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136016
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】掘削装置及び掘削方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/26 20060101AFI20240927BHJP
   E02D 3/12 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
E21B7/26
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046963
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】513172641
【氏名又は名称】日本ジオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星加 浩一
【テーマコード(参考)】
2D040
2D129
【Fターム(参考)】
2D040AB03
2D129AA02
2D129AB21
2D129DC02
2D129DC13
(57)【要約】
【課題】掘削装置を用いて狭隘部における地盤の掘削作業を行う。
【解決手段】掘削装置1は、水平方向Hに移動可能なベースマシン10と、ベースマシン10に支持され且つ上下方向Vに延びるリーダ20と、リーダ20に支持され且つリーダ20に沿って上下方向Vに昇降するブラケット30と、ブラケット30に対して上下方向Vに延びる支持軸Xの回りに回転可能に支持されたオーガ40と、を備える。オーガ40には、掘削軸43が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移動可能なベースマシンと、
前記ベースマシンに支持され且つ上下方向に延びるリーダと、
前記リーダに支持され且つ前記リーダに沿って前記上下方向に昇降するブラケットと、
前記ブラケットに対して前記上下方向に延びる支持軸の回りに回転可能に支持されたオーガと、を備え、
前記オーガには、掘削軸が設けられている、掘削装置。
【請求項2】
前記オーガには、複数の前記掘削軸が設けられている、請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記オーガには、前記支持軸を中心とした円弧に沿って互いに間隔を空けて並んで配置された複数のピン穴が設けられており、
前記ブラケットには、前記円弧に対してピンを進退させるピン進退機構が設けられており、
前記ピン進退機構は、前記ピンを前記ブラケット側から前記オーガ側に進めることによって、前記ピンを前記ピン穴に対して差し込むとともに、前記ピンを前記オーガ側から前記ブラケット側に退けることによって、前記ピンを前記ピン穴から抜く、請求項1に記載の掘削装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の掘削装置を用いて地盤を掘削する掘削方法であって、
前記掘削軸を前記地盤における任意の掘削箇所に位置付けた状態で、前記ベースマシンを、前記オーガに対して前記支持軸の回りに回転させる、掘削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、掘削装置及び掘削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、掘削装置について種々の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-007325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の掘削装置は、水平方向に移動可能なベースマシンと、ベースマシンに支持され且つ上下方向に延びるリーダと、リーダに支持され且つリーダに沿って上下方向に昇降するオーガと、を備える。オーガには、掘削軸が設けられている。
【0005】
ところで、掘削装置を用いて地盤を掘削することがある。従来の掘削装置では、地盤における任意の掘削箇所に掘削軸を位置付けてしまうと、ベースマシンの位置は、1箇所に固定されてしまう。従来の掘削装置では、当該掘削箇所に対応するベースマシンのレイアウト自由度は、低い。
【0006】
任意の掘削箇所に対応するベースマシンの位置が1箇所に固定されてしまうと、面積や幅の小さな狭隘部では、ベースマシンが壁部などの干渉物に干渉してしまったり、ベースマシンが通路を塞いでしまったりすることある。従来の掘削装置では、狭隘部における地盤の掘削作業が困難となる。
【0007】
本開示の目的は、掘削装置を用いて狭隘部における地盤の掘削作業を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る掘削装置は、水平方向に移動可能なベースマシンと、前記ベースマシンに支持され且つ上下方向に延びるリーダと、前記リーダに支持され且つ前記リーダに沿って前記上下方向に昇降するブラケットと、前記ブラケットに対して前記上下方向に延びる支持軸の回りに回転可能に支持されたオーガと、を備え、前記オーガには、掘削軸が設けられている。
【0009】
かかる構成によれば、ベースマシンとオーガとは、支持軸の回りに相対回転し得る。掘削軸を地盤における任意の掘削箇所に位置付けたとしても、ベースマシンをオーガに対して支持軸の回りに回転させることによって、ベースマシンの位置を、変化させることができる。これにより、任意の掘削箇所に対応するベースマシンのレイアウト自由度を、十分に確保することができる。
【0010】
したがって、掘削装置を用いて狭隘部における地盤の掘削作業を行うことができる。
【0011】
一実施形態では、前記オーガには、複数の前記掘削軸が設けられている。
【0012】
かかる構成によれば、複数の掘削軸を複数の掘削箇所に同時に位置付けることによって、効率良く地盤を掘削することができる。複数の掘削軸を複数の掘削箇所に同時に位置付けると、ベースマシンのレイアウト自由度は、通常、制限されやすい。しかしながら、ベースマシンがオーガに対して支持軸の回りに回転し得るので、複数の掘削軸を複数の掘削箇所に同時に位置付けた場合であっても、ベースマシンのレイアウト自由度を十分に確保することができる。
【0013】
一実施形態では、前記オーガには、前記支持軸を中心とした円弧に沿って互いに間隔を空けて並んで配置された複数のピン穴が設けられており、前記ブラケットには、前記円弧に対してピンを進退させるピン進退機構が設けられており、前記ピン進退機構は、前記ピンを前記ブラケット側から前記オーガ側に進めることによって、前記ピンを前記ピン穴に対して差し込むとともに、前記ピンを前記オーガ側から前記ブラケット側に退けることによって、前記ピンを前記ピン穴から抜く。
【0014】
かかる構成によれば、複数のピン穴のうちの任意のピン穴に対してピンを差し込むことによって、オーガを、当該ピン穴に対応する(支持軸の回りの)角度位置に、保持することができる。また、ピン穴からピンを抜くことによって、オーガを、支持軸の回りに回転させることができる。
【0015】
本開示に係る掘削方法は、前記掘削装置を用いて地盤を掘削する掘削方法であって、前記掘削軸を前記地盤における掘削箇所に位置付けた状態で、前記ベースマシンを、前記オーガに対して前記支持軸の回りに回転させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、掘削装置を用いて狭隘部における地盤の掘削作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、下位置における掘削装置を側面図で示す。
図2図2は、上位置における掘削装置を側面図で示す。
図3図3は、前後位置におけるブラケットに対するオーガの支持構造を側面図で示す。
図4図4は、左右位置におけるブラケットに対するオーガの支持構造を側面図で示す。
図5図5は、前後位置におけるブラケットに対するオーガの支持構造を平面図で示す。
図6図6は、左右位置におけるブラケットに対するオーガの支持構造を平面図で示す。
図7図7は、ピン進退機構によるピンの進退を示す。
図8図8は、本実施形態に係る掘削装置を用いた狭隘部における地盤の掘削方法を模式的に示す。
図9図9は、従来例に係る図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0019】
(掘削装置)
図1,2は、本実施形態に係る掘削装置1を左側から見た側面図で示す。掘削装置1は、地盤Gを掘削するためにある。本実施形態では、掘削装置1は、主に、地盤改良機として適用されており、例えば、SMW工法やGMW工法などに用られる。
【0020】
以下の説明において、水平方向Hは、互いに直交する前後方向(図1の左右方向)H1及び左右方向(図1の紙面垂直方向)H2を含む。上下方向Vは、水平方向Hにほぼ直交する。上下方向Vは、完全な鉛直方向でなくもよく、鉛直方向に対して多少斜めになってもよい(多少の水平方向Hの成分を持ってもよい)。
【0021】
掘削装置1は、ベースマシン10と、リーダ20と、ブラケット30と、オーガ40と、を備える。ベースマシン10は、クローラ式である。ベースマシン10は、前後方向H1に長手で、左右方向H2に短手である。ベースマシン10は、下部のクローラ11と、上部のマシン本体12と、で構成されている。ベースマシン10は、クローラ11の駆動によって、水平方向Hに移動可能である。マシン本体12は、クローラ11に対して旋回可能でもよい。マシン本体12の前部には、運転室12aがある。
【0022】
リーダ20は、ベースマシン10に支持されている。リーダ20は、ベースマシン10の前側に配置されている。リーダ20は、上下方向Vに延びている。低空頭の現場に対応するためには、リーダ20の上端の地盤Gからの高さは、低い方が好ましく、例えば5m以下であることが好ましい。リーダ20は、メインリーダ21と、サブリーダ22と、を含む。
【0023】
メインリーダ21は、上下方向Vに延びている。メインリーダ21は、略四角柱状に形成されている。メインリーダ21は、前方に開口し且つ上下方向Vに延びる溝部を、有する。メインリーダ21は、アーム13によって、ベースマシン10に保持されている。
【0024】
サブリーダ22は、メインリーダ21の前側に配置されている。サブリーダ22は、上下方向Vに延びている。サブリーダ22は、略四角柱状に形成されている。サブリーダ22の後部は、メインリーダ21における前側の溝部に、嵌まり込んでいる。
【0025】
メインリーダ21とサブリーダ22とは、第1油圧シリンダ機構2のピストンロッドによって、互いに連結されている。第1油圧シリンダ機構2のピストンロッドは、上下方向Vに延びている。第1油圧シリンダ機構のピストンロッドが上下方向Vに進退することによって、サブリーダ22は、メインリーダ21に沿って上下方向Vに昇降する。
【0026】
ブラケット30は、リーダ20におけるサブリーダ22に、支持されている。ブラケット30は、リーダ20(サブリーダ22)の前側に配置されている。ブラケット30は、側面視において(左右方向H2に見て)、略L字状に形成されている。ブラケット30は、上下延部31と、前延部32と、を含む。
【0027】
ブラケット30の上下延部31は、上下方向Vに延びる。上下延部31は、略四角柱状に形成されている。上下延部31は、後方に開口し且つ上下方向Vに延びる溝部を、有する。上下延部31における溝部は、サブリーダ22の前部に、嵌まり込んでいる。ブラケット30の前延部32は、上下延部31の上端部から前後方向H1の前方に延びている。前延部32は、左右方向H2及び上下方向V1よりも前後方向H1に長手である。
【0028】
ブラケット30の上下延部31とリーダ20のサブリーダ22とは、第2油圧シリンダ機構3のピストンロッドによって、互いに連結されている。第2油圧シリンダ機構3のピストンロッドは、上下方向Vに延びている。第2油圧シリンダ機構3のピストンロッドが上下方向Vに進退することによって、ブラケット30は、リーダ20のサブリーダ22に沿って上下方向Vに昇降する。図1では、ブラケット30は、下側の下位置Pv1に位置付けられている。図2では、ブラケット30は、上側の上位置Pv2に位置付けられている。
【0029】
オーガ40は、アースオーガとも呼ばれる。オーガ40は、ブラケット30の前延部32の下側に配置されている。オーガ40は、ブラケット30の前延部32に対して支持されている。オーガ40は、ブラケット30の前延部32に対して、上下方向Vに延びる支持軸Xの回りに、回転可能である。ブラケット30に対するオーガ40の支持構造については、後に詳述する。
【0030】
オーガ40は、被支持部41と、駆動部42と、掘削軸43と、モータ45と、被支持シャフト46と、プレート47と、を含む。被支持部41は、オーガ40におけるブラケット30に支持される部分である。被支持部41は、オーガ40における上下方向Vの上部から中間部を構成する。駆動部42は、オーガ40における後述する掘削軸43に連結されたロッド44を回転駆動させる部分である。駆動部42は、オーガ40における上下方向Vの中間部から下部を構成する。
【0031】
オーガ40には、複数の掘削軸43が設けられている。各掘削軸43は、上下方向Vに延びている。各掘削軸43は、ロッド44を含む。オーガ40は、各掘削軸43のロッド44の回転によって、地盤Gを掘削する。各掘削軸43は、水平方向Hに互いに間隔を空けて配置されている。各掘削軸43のロッド44は、オーガ40の駆動部42の下端部から下方に突出している。
【0032】
本例では、掘削軸43として、第1掘削軸43a、第2掘削軸43b及び第3掘削軸43cがある。第2掘削軸43bは、支持軸Xの近くに位置するが、支持軸Xとは若干ずれている。第1掘削軸43aと第3掘削軸43cとは、水平方向Hにおいて、第2掘削軸43bを挟んで互いに反対側に、対称配置されている。第1掘削軸43aと支持軸Xとの距離及び第3掘削軸43cと支持軸Xとの距離は、互いに等しい。第1掘削軸43aと支持軸Xとの距離及び第3掘削軸43cと支持軸Xとの距離は、第2掘削軸43bと支持軸Xとの距離よりも、大きい。
【0033】
各掘削軸43のロッド44の下端部には、掘削部材50が連結され得る(図3参照)。掘削部材50として、例えばスクリューや掘削ケーシングなどがある。
【0034】
各掘削軸43のロッド44は、モータ45によって回転する。オーガ40の駆動部42には、2つのモータ45が設けられている。一方のモータ45は、第1掘削軸43aのロッド44に直接的に連結されており、第1掘削軸43aのロッド44を直接的に駆動して回転させる。他方のモータ45は、第3掘削軸43cのロッド44に直接的に連結されており、第3掘削軸43cのロッド44を直接的に駆動して回転させる。第2掘削軸43bのロッド44は、モータ45に連結されていない。2つのモータ45は、ギア(図示せず)を介して、第2掘削軸43bのロッド44を間接的に駆動して回転させる。
【0035】
(ブラケットに対するオーガの支持構造)
図3,4は、ブラケット30に対するオーガ40の支持構造を、一部断面を用いて左側から見た側面図で示す。上述したように、オーガ40は、ブラケット30の前延部32の下側に配置されている。
【0036】
オーガ40の被支持部41の上端部には、被支持シャフト46が設けられている。被支持シャフト46は、支持軸X上を上下方向Vに延びている。被支持シャフト46は、ブラケット30の前延部32を、下側から貫通している。ブラケット30の前延部32の内部には、2つのベアリング33が固定されている。2つのベアリング33は、支持軸X上に配置されている。2つのベアリング33は、上下方向Vに間隔を空けて配置されている。2つのベアリング33は、被支持シャフト46を半径方向に支持している。2つのベアリング33は、被支持シャフト46を上下方向V(軸方向)に支持している。
【0037】
オーガ40における被支持部41の被支持シャフト46は、支持軸Xにおいて、ブラケット30における前延部32のベアリング33に対して、支持されている。これにより、オーガ40は、ブラケット30に対して、上下方向Vに延びる支持軸Xの回りに、回転可能となる。オーガ40は、ブラケット30に対して、支持軸Xの回りに360°回転することができる。
【0038】
例えば、作業者がオーガ40の側面を手動で押すことによって、オーガ40は、ブラケット30に対して支持軸Xの回りに回転し得る。
【0039】
図3は、各掘削軸43が前後方向に並ぶ前後位置Ph1を示す。図4は、各掘削軸43が左右方向に並ぶ左右位置Ph2を示す。図5は、前後位置Ph1におけるブラケット30に対するオーガ40の支持構造を、上側から見た平面図で示す。図6は、左右位置Ph2におけるブラケット30に対するオーガ40の支持構造を、上側から見た平面図で示す。
【0040】
図3,4に示すように、オーガ40の被支持部41とブラケット30の前延部32との隙間には、プレート47が配置されている。プレート47は、水平方向Hに延びている。プレート47は、上下方向Vを厚さ方向とする。プレート47は、オーガ40における被支持部41に、回転一体に固定されている。被支持シャフト46は、プレート47を上下方向Vに貫通している。
【0041】
図5,6に示すように、オーガ40におけるプレート47には、複数のピン穴48が設けられている。各ピン穴48は、プレート47の上面に設けられている。各ピン穴48は、プレート47を上下方向Vに貫通する貫通穴でもよいし、プレート47の上面に形成された凹部でもよい。複数のピン穴48は、支持軸Xを中心とした円弧Aに沿って、互いに間隔を空けて周方向Tに並んで配置されている。各ピン穴48(円弧A)は、支持軸Xに対して距離(半径)rだけ離れている。隣り合うピン穴48同士の間隔(ピッチ)tは、所定の値に設定されており、本例では22.5°である。
【0042】
ブラケット30の前延部32には、ピン進退機構34が設けられている。ピン進退機構34は、2つある(図5,6参照)。ピン進退機構34は、油圧シリンダ機構で構成されている。ピン進退機構34は、ブラケット30の前延部32を、上下方向Vに貫通している。ピン進退機構34は、支持軸Xを中心とした円弧A上にある。ピン進退機構34は、プレート47よりも上側にある。すなわち、オーガ40をブラケット30に対して支持軸Xの回りに回転させることによって、プレート47における円弧A上に設けられた複数のピン穴48のうちの任意のピン穴48を、ピン進退機構34の真下に位置付けることができる。
【0043】
ピン進退機構34は、シリンダ34aと、ピストン(図示せず)と、進退ロッド34bと、を含む。ピン進退機構34のシリンダ34aは、ブラケット30の前延部32に固定されている。シリンダ34aの上端部は、前延部32の上端部よりも上側に位置する。シリンダ34aの下端部は、前延部32の内部における上下方向Vの中間部に位置する。ピストンは、シリンダ34a内に配置されている。進退ロッド34bは、ピストンの下部に連結されており、シリンダ34aの下端部から下方に突出している。
【0044】
ピン進退機構34の進退ロッド34bの下端部には、ピン35が連結されている。ピン35は、円弧A上にある。ピン35は、ピン穴48よりも上側にある。ピン35の外径は、進退ロッド34bの外径よりも大きい。ピン35の外径は、ピン穴48の内径よりもやや小さい。ピン35は、ピン穴48に嵌合するのが好ましい。
【0045】
ピン進退機構34を駆動させると、進退ロッド34bに連結されたピン35は、円弧AS上にて、上下方向Vに進退する。すなわち、ピン進退機構34は、円弧Aに対して、ピン35を、上下方向Vに進退させる。詳細には、ピン進退機構34は、ピン穴48よりも上側にて、ピン35を、円弧Aに対して上下方向Vに進退させる。
【0046】
図7は、ピン進退機構34によるピン35の進退を示す。図7の上図に示すように、ピン進退機構34は、ピン35をブラケット30における前延部32側からオーガ40におけるプレート47側に下方へ進めることによって、ピン35をピン穴48に対して差し込む。
【0047】
図7の下図に示すように、ピン進退機構34は、ピン35をオーガ40におけるプレート47側からブラケット30における前延部32側に上方へ退けることによって、ピン35をピン穴48から抜く。
【0048】
ピン穴48に対してピン35を差し込むと、オーガ40は、ブラケット30に対して固定されて、支持軸Xの回りに回転できなくなる。ピン穴48からピン35が抜かれると、オーガ40は、ブラケット30に対する固定が解除されて、支持軸Xの回りに回転できるようになる。
【0049】
隣り合うピン穴48同士の間隔(ピッチ)tが22.5°なので、ブラケット30に対するオーガ40の角度位置は、22.5°毎に、断続的に調整され得る。
【0050】
(狭隘部における地盤の掘削方法)
図9は、従来例に係る掘削装置1’を用いて狭隘部60における地盤Gを掘削するための掘削方法S’を、模式的に示す。狭隘部60とは、面積や幅が狭い場所をいう。狭隘部60では、互いに対向する壁部61同士の幅Bが狭い。狭隘部60における地盤Gでは、例えば、幅Bに直交する長さ方向Lに一直線上に、複数の掘削箇所Jが並んでいる。複数の掘削箇所Jは、長さ方向Lに、互いに間隔を空けている。狭隘部60における地盤Gでは、例えば、複数の掘削箇所Jは、幅方向Bにおける片側の壁部61の近傍に偏在している。
【0051】
従来例に係る掘削装置1’を用いた掘削方法S’は、掘削部材50が連結された掘削軸43’を、地盤Gにおける任意の掘削箇所Jに位置付ける。なお、掘削軸43’を地盤Gにおける掘削箇所Jに位置付けた状態で、掘削軸43’及び掘削部材50を回転させると、地盤Gにおける掘削箇所Jが掘削されて、掘削部材50が掘削箇所Jの地中に入っていく。
【0052】
従来例に係る掘削装置1’では、掘削軸43’を掘削箇所Jに位置付けてしまうと、ベースマシン10’の位置は、1箇所に固定されてしまう。従来例に係る掘削装置1’では、掘削箇所Jに対応するベースマシン10’のレイアウト自由度は、低い。従来例に係る掘削装置1’では、狭隘部60において、ベースマシン10’が壁部61などの干渉物に干渉したり、ベースマシン10が幅Bのうちの大部分を占めて通路を塞いでしまったりしやすい。従来例に係る掘削装置1’では、狭隘部60における地盤Gの掘削作業が困難となる。
【0053】
図8は、本実施形態に係る掘削装置1を用いて狭隘部60における地盤Gを掘削するための掘削方法Sを、模式的に示す。
【0054】
本実施形態に係る掘削装置1を用いた掘削方法Sでは、掘削部材50が連結された掘削軸43を地盤Gにおける任意の掘削箇所Jに位置付けた状態で、ベースマシン10を、オーガ40に対して支持軸Xの回りに回転させる。なお、掘削軸43を地盤Gにおける掘削箇所Jに位置付けた状態で、掘削軸43及び掘削部材50を回転させると、地盤Gにおける掘削箇所Jが掘削されて、掘削部材50が掘削箇所Jの地中へ入っていく。
【0055】
本実施形態に係る掘削装置1では、ベースマシン10とオーガ40とは、上下方向Vに延びる支持軸Xの回りに相対回転し得る。本実施形態に係る掘削装置1では、掘削軸43を地盤Gにおける任意の掘削箇所Jに位置付けたとしても、ベースマシン10をオーガ40に対して支持軸Xの回りに回転させることによって、ベースマシン10の位置を、変化させることができる。本実施形態に係る掘削装置1では、任意の掘削箇所Jに対応するベースマシン10のレイアウト自由度を、十分に確保することができる。
【0056】
本実施形態に係る掘削装置1では、掘削軸43を地盤Gにおける任意の掘削箇所Jに位置付けたとしても、ベースマシン10をオーガ40に対して支持軸Xの回りに回転させることによって、ベースマシン10の長手方向(前後方向H1)の向きを、狭隘部60における幅方向Bからほぼ長さ方向Lまでに、変更することができる。
【0057】
本実施形態に係る掘削装置1では、狭隘部60においてベースマシン10が壁部61などの干渉物に干渉することを抑制することができるとともに、狭隘部60においてベースマシン10が通路を塞いでしまうことを抑制することができる。
【0058】
本実施形態に係る掘削装置1では、複数の掘削軸43(第1掘削軸43a、第2掘削軸43b及び第3掘削軸43c)を複数の掘削箇所Jに同時に位置付けることによって、効率良く地盤Gを掘削することができる。
【0059】
例えば、複数の掘削軸43を、狭隘部60において複数の掘削箇所Jが一直線上に並んだ長さ方向Lに、並べる。これにより、複数の掘削軸43を複数の掘削箇所Jに同時に位置付けて、効率良く地盤Gを掘削することができる。
【0060】
ここで、複数の掘削軸43を複数の掘削箇所Jに同時に位置付けると、ベースマシン10のレイアウト自由度は、通常、制限されやすい。しかしながら、ベースマシン10がオーガ40に対して支持軸Xの回りに回転し得るので、複数の掘削軸43を複数の掘削箇所Jに同時に位置付けた場合であっても、ベースマシン10のレイアウト自由度を十分に確保することができる。
【0061】
複数のピン穴48のうちの任意のピン穴48に対してピン35を差し込むことによって、オーガ40を、ピン35の差し込まれたピン穴48に対応する(支持軸Xの回りの)角度位置に、固定することができる。また、ピン穴48からピン35を抜くことによって、オーガ40を、支持軸Xの回りに回転させることができる。
【0062】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0063】
掘削装置1は、地盤改良機の他に、杭打機や杭抜機などにも適用され得る。掘削軸43は、1つでもよい。
【0064】
地盤Gにおける複数の掘削箇所Jは、一直線上に並んで配置されるのではなく、例えば、円周上に並んで配置されたり、角周上に並んで配置されたりしてもよい。掘削箇所は、1つでもよい。
【0065】
ピン進退機構34は、油圧シリンダ機構に限定されず、例えば、電動シリンダ機構などでもよい。ピン進退機構34は、無くてもよい。
【0066】
掘削装置1は、狭隘部60における地盤Gの掘削作業に好適に適用されるが、狭隘部60以外の現場における地盤Gの掘削作業に適用されても、もちろん差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、掘削装置及び掘削方法に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0068】
H 水平方向
V 上下方向
X 支持軸
A 円弧
G 地盤
J 掘削箇所
1 掘削装置
S 掘削方法
10 ベースマシン
20 リーダ
30 ブラケット
34 ピン進退機構
35 ピン
40 オーガ
43 掘削軸
48 ピン穴
50 掘削部材
60 狭隘部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9