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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136018
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】商品包装箱
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/16 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A45C11/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046965
(22)【出願日】2023-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】509350446
【氏名又は名称】田中 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳子
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA10
3B045EA02
3B045EA06
3B045LA10
(57)【要約】
【課題】プレゼントを受け取った際の喜びを思い出すきっかけを作り出すことができる商品包装箱を提供する。
【解決手段】商品包装箱11は、下箱体12と、下箱体12にヒンジで開閉自在に連結されて、上面に窪み61を区画する上箱体13と、窪み61の輪郭に合わせこまれて窪み61内に固定され、窪み61内に配置されるインスタントフィルムに覆い被さる透明な板材62と、窪み61の輪郭に合わせて板材62の表面を含む水平面から起立し板材62の表面上の空間を囲む壁面64aを有する囲み64とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下箱体と、
前記下箱体にヒンジで開閉自在に連結されて、上面に窪みを区画する上箱体と、
前記窪みの輪郭に合わせこまれて前記窪み内に固定され、前記窪み内に配置されるインスタントフィルムに覆い被さる透明な板材と、
前記窪みの輪郭に合わせて前記板材の表面を含む水平面から起立し前記板材の表面上の空間を囲む壁面を有する囲みと
を備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の商品包装箱において、下方から前記板材の下面に重ねられて前記板材に結合され、前記板材との間に前記インスタントフィルムを保持する補助板をさらに備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の商品包装箱において、前記上箱体に固定されて前記補助板の下方に配置される磁性体と、前記補助板に固定されて、磁力に基づき前記磁性体に固着され、前記窪み内に前記インスタントフィルムを固定する磁石とをさらに備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項4】
請求項2に記載の商品包装箱において、前記板材に固定される磁石と、前記補助板に固定されて、前記磁石の磁力に基づき前記磁石に固着され、前記板材に前記補助板を固定する第1磁性体と、前記上箱体に固定されて前記第1磁性体の下方に配置される第2磁性体とを備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項5】
請求項1に記載の商品包装箱において、前記窪みは、前記板材の外周に隣接し前記囲みの内側で開放される空間を区画することを特徴とする商品包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下箱体と、下箱体にヒンジで開閉自在に連結されて、下箱体に重なると商品を収容する上箱体とを備える商品包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
仲のよい男女の間ではしばしば男性から女性にジュエリーはプレゼントされる。男性はジュエリーの購入にあたって女性とともにジュエリーショップを訪れる。例えば特許文献1に示されるように、ジュエリーショップはジュエリーの引き渡しにあたって専用に用意された包装箱でジュエリーを梱包する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-195405号公報
【特許文献2】実用新案登録第3050705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
写真はそのときどきの場面を記録することができる。ひとは写真を見ればそのときの場面を思い出すことができる。ジュエリーの購入の場面が写真に収められれば、写真を見るたびに女性はその場の喜びをまざまざと感じることができる。しかしながら、現在のようにスマートホンで簡単に写真を撮影できる時代には、写真の画像は多くの画像データに埋もれてしまう。したがって、プレゼントを受け取った際の喜びを思い出す機会は失われる。
【0005】
本発明は、プレゼントを受け取った際の喜びを思い出すきっかけを作り出すことができる商品包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態によれば、下箱体と、前記下箱体にヒンジで開閉自在に連結されて、上面に窪みを区画する上箱体と、前記窪みの輪郭に合わせこまれて前記窪み内に固定され、前記窪み内に配置されるインスタントフィルムに覆い被さる透明な板材と、前記窪みの輪郭に合わせて前記板材の表面を含む水平面から起立し前記板材の表面上の空間を囲む壁面を有する囲みとを備える商品包装箱は提供される。
【0007】
インスタントフィルムには購入の場面がその場で現像されることができる。透明な板材は窪み内のインスタントフィルムに覆い被さる。板材は窪み内に固定されて窪み内にインスタントフィルムを保持する役割を果たす。こうして写真は簡単に商品包装箱に取り付けられることができる。観察者は透明な板材を透かしてインスタントフィルムの画像を楽しむことができる。こうして商品包装箱は購入時の感情を思い出すきっかけを作り出すことができる。商品包装箱をきっかけに例えばプレゼントを受け取った際の喜びは思い出されることができる。
【0008】
ここでは、板材の表面上の空間は窪みの輪郭に合わせて囲みで囲まれる。囲みの働きで上箱体の上面にはトレイが形成されることができる。板材上にジュエリーなどの小物は置かれることができる。囲みの働きで小物は板材上に保持されることができる。こうしたトレイは日常的に利用されることから、商品の所有者は頻繁にインスタントフィルムの画像を目にすることができる。購入時の感情は所有者の記憶に強く刷り込まれることができる。商品包装箱の観察者には商品の印象が強く植え付けられることができる。
【0009】
商品包装箱は、下方から前記板材の下面に重ねられて前記板材に結合され、前記板材との間に前記インスタントフィルムを保持する補助板をさらに備えてもよい。板材および補助板は一体になって上箱体から取り外されることができる。板材および補助板はインスタントフィルムのフォトフレームとして機能することができる。商品の所有者は、商品包装箱から切り離して単独で好きな場所にインスタントフィルムを飾ることができる。こうして所有者は好きな場所でインスタントフィルムの画像を楽しむことができる。
【0010】
さらに、商品包装箱は、前記上箱体に固定されて前記補助板の下方に配置される磁性体と、前記補助板に固定されて、磁力に基づき前記磁性体に固着され、前記窪み内に前記インスタントフィルムを固定する磁石とをさらに備えてもよい。磁力の働きで補助板は窪み内に固定されることができる。補助板および板材で形成されたフォトフレームは上箱体の開閉に拘わらず窪み内に良好に保持されることができる。磁石は補助板に取り付けられることから、フォトフレームは冷蔵庫の表面などに簡単に貼り付けられることができる。
【0011】
その他、商品包装箱は、前記板材に固定される磁石と、前記補助板に固定されて、前記磁石の磁力に基づき前記磁石に固着され、前記板材に前記補助板を固定する第1磁性体と、前記上箱体に固定されて前記第1磁性体の下方に配置される第2磁性体とを備えてもよい。磁力の働きで板材の下面に補助板は固着される。板材と、板材に重ねられる補助板との間にインスタントフィルムは挟み込まれる。磁石の磁力は第1磁性体を経て第2磁性体に作用する。こうして磁力の働きで板材および補助板は窪み内に固定されることができる。補助板および板材で形成されたフォトフレームは上箱体の開閉に拘わらず窪み内に良好に保持されることができる。第1磁性体は磁力を発揮することから、フォトフレームは冷蔵庫の表面などに簡単に貼り付けられることができる。板材および補助板では磁石および第1磁性体は入れ替えられてもよい。
【0012】
前記窪みは、前記板材の外周に隣接し前記囲みの内側で開放される空間を区画してもよい。囲みの内側で板材の外周に隣接する空間は開放される。この空間から板材の外周にアクセスは許容されることができる。板材の外周に外力を作用させることで板材は簡単に窪みから引き上げられることができる。板材は簡単に上箱体から取り外されることができる。インスタントフィルムの交換や取り外しは良好に実現されることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、プレゼントを受け取った際の喜びを思い出すきっかけを作り出すことができる商品包装箱は提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る商品包装ユニットの外観を概略的に示す斜視図である。
図2】下外箱に収容された内箱を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る内箱の外観を示す斜視図である。
図4】内箱の平面図である。
図5】上箱体が開放された際に内箱の構造を概略的に示す斜視図である。
図6】ヒンジの構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図7図3の7-7線に沿った垂直断面図である。
図8図5の8-8線に沿った垂直断面図である。
図9図3の9-9線に沿った断面に該当し、板材および補助板の断面図である。
図10】第1具体例に係る光照射回路の回路図である。
図11】音声再生ユニットの構成を概略的に示すブロック図である。
図12図8に対応し、録音スイッチおよび防護体の関係を示す図である。
図13図9に対応し、他の具体例に係る板材および補助板の断面図である。
図14図9に対応し、他の具体例に係る板材の拡大垂直断面図である。
図15】第2具体例に係る光照射回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る商品包装ユニットを概略的に示す。商品包装ユニット101は外箱102を備える。外箱102は、下外箱103と、上方から下外箱103に被さる上外箱104とで形成される。図2に示されるように、下外箱103は、四角い輪郭の底板103a、および、底板103aの4辺から垂直に立ち上がる4つの側板103bから構成される。下外箱103の内側には直方体の収容空間が区画される。収容空間には内箱(商品包装箱)11が収容される。底板103aおよび側板103bは個々に平たい紙板で形成される。底板103aおよび側板103b並びに側板103b同士は稜線で相互に結合される。下外箱103は稜線で継ぎ目なく連続する外観を有する。
【0017】
上外箱104は、四角い輪郭の天板104a、および、天板104aの4辺から垂直に下降する4つの側板104bから構成される。天板104aは下外箱103の側板103bの上端に支えられて側板103bで囲まれる下外箱103の開口105を塞ぐ。上外箱104の側板104bは下外箱103の側板103bを取り囲む。天板104aおよび側板104bは個々に平たい紙板で形成される。天板104aおよび側板104b並びに側板104b同士は稜線で相互に結合される。上外箱104の上面には例えば販売者や製造者のロゴがプリントされることができる。上外箱104は稜線で継ぎ目なく連続する外観を有する。上外箱104は全体に不透明である。その他、天板104aには透明な樹脂材が用いられてもよい。
【0018】
図3に示されるように、内箱11は、下箱体12と、下箱体12に重なって下箱体12とともに直方体を形成する上箱体13とを備える。下箱体12は、四角い輪郭の底板14a、および、底板14aの4辺から垂直に立ち上がる4つの側壁14bを有する硬質の樹脂成形体と、樹脂成形体の外面に貼り付けられて、樹脂成形体に装飾を施す貼り紙15とを有する。上箱体13は、四角い輪郭の窪み61で板材62を受け入れる天板16a、および、天板16aの4辺から下降し下端で下箱体12の側壁14bの上端に合わさって内箱11の側壁を形成する側壁16bを有する硬質の樹脂成形体と、樹脂成形体の外面に貼り付けられて、樹脂成形体に装飾を施す貼り紙17とを有する。貼り紙15、17には例えばスエード調や布模様の樹脂シートが用いられればよい。貼り紙17は窪み61の内面に覆い被さる。窪み61の内面は貼り紙17でキレイに整えられる。
【0019】
板材62は窪み61の輪郭に合わせこまれて窪み61内に固定される。板材62は窪み61にはめ込まれる。はめ込みにあたって板材62は例えば平面視の上縁および下縁で窪み61の内壁面に接触する。平面視の上縁および下縁(あるいはいずれか一方)は平面視の上下方向に板材62を位置決めする。板材62は例えば透明な硬質のアクリル板から構成されることができる。板材62の表面は平坦面63を区画する。平坦面63上の空間は囲み64で囲まれる。囲み64は、窪み61の輪郭に合わせて平坦面63を含む水平面から起立する壁面64aを有する。輪郭の辺ごとに壁面64aは1鉛直面内で窪み61の内壁面から連続する。壁面64aは鉛直方向に板材62の下降を案内することができる。こうして板材62および囲み64は上箱体13の上面に協働でトレイを形成する。板材62はトレイの底板全体を構成する。ここでは、窪み61は、板材62の外周に隣接し囲み64の内側で開放される空間65を区画する。空間65は平面視の左縁および右縁の外側に配置される。空間65は左縁または右縁のいずれかに配置されてもよい。空間65は、トレイとして利用される際に想定される小物の落下を防ぐ寸法で開口する。
【0020】
図4に示されるように、板材62は、窪み61内に配置されるインスタントフィルム66に覆い被さる。板材62の下面はインスタントフィルム66の上面に重ねられる。平面視でインスタントフィルム66の全体は板材62下に配置される。平面視でインスタントフィルム66から上側に外れた位置で板材62には第1装飾体67aが固定される。第1装飾体67aは例えば平面視の上縁に平行に帯状に平坦面63にプリントされる。第1装飾体67aには例えば不透明なインクが用いられる。同様に、平面視でインスタントフィルム66から下側に外れた位置で板材62には第2装飾体67bが固定される。第2装飾体67bは例えば平面視の下縁に平行に帯状に平坦面63にプリントされる。第2装飾体67bには例えば不透明なインクが用いられる。
【0021】
図5に示されるように、下箱体12には側壁14bで囲まれた直方体の空間に緩衝材18が嵌め込まれる。緩衝材18は、例えば、スポンジと、スポンジを包み込む布材18aとで形成される。緩衝材18にはスリット19が形成される。スリット19には例えば指輪(ジュエリー)21が差し込まれる。緩衝材18の弾性力の働きで指輪21はスリット19内に保持される。
【0022】
指輪21は、例えば指の太さに応じた径を有するプラチナ製の環部材22と、環部材22の台座に固定されるダイヤモンド粒23とを備える。ダイヤモンド粒23は1つであっても複数であってもよい。ダイヤモンド粒23はストロング以上の青色蛍光性(ストロングブルーまたはベリーストロングブルー)を有する。ダイヤモンド粒23は、可視光(例えば自然光や電灯の光)の下で透明な輝きを放つ一方で、紫外線の下では青色に輝く。こうしてダイヤモンド粒23は下箱体12に支持される。複数のダイヤモンド粒23が配置される場合には、全ての(あるいはデザイン上でまとまりある群ごとに)ダイヤモンド粒23の青色蛍光性はストロングブルーまたはベリーストロングブルーに統一されるとよい。
【0023】
上箱体13には側壁16bで囲まれた直方体の空間内に内張材24が嵌め込まれる。内張材24は、内箱11の天井面を形成する四角い輪郭の化粧天板24aと、化粧天板24aの4辺からそれぞれ連続して、4つの側壁16bに内側から重ねられる4枚の内張板24bとを備える。ここでは、4枚の内張板24bは側壁16bの内面に接着されず、内張材24は上箱体13に対して着脱自在に収容される。
【0024】
図6に示されるように、上箱体13は下箱体12にヒンジ26で開閉自在に連結される。ヒンジ26は、上箱体13の1側壁16bに内側から重ねられて固定され、複数の管体27aを有する第1羽根27と、下箱体12の側壁14bに内側から重ねられて固定され、第1羽根27の管体27aに互い違いに直列に配置される複数の管体28aを有する第2羽根28と、第1羽根27の管体27aおよび第2羽根28の管体28aに共通に挿入される1本のヒンジピン29とを備える。第1羽根27および第2羽根28はヒンジピン29回りで相対回転する。ヒンジピン29の中心軸は開閉時に上箱体13の回転軸線に相当する。
【0025】
ヒンジ26には板ばね31が接続される。図7に示されるように、板ばね31は、ヒンジピン29の軸心に平行に母線を維持する湾曲体に形成される。板ばね31の両端はヒンジピン29から離れた位置で第1羽根27および第2羽根28にそれぞれ結合される。上箱体13の下端が下箱体12の上端に合わさる閉じ位置では、第1羽根27および第2羽根28は1つの面に沿って並んで配置され、板ばね31の中間域はヒンジピン29から内側に最も遠ざかる。上箱体13が閉じ位置から開き位置にヒンジピン29回りで変位するにつれて、第1羽根27および第2羽根28の間で外側の角度は狭まっていき、板ばね31の中間域はヒンジピン29に接近する。図8に示されるように、板ばね31の中間域がヒンジピン29に接触すると、下箱体12に対してヒンジピン29回りに上箱体13の変位は規制され、上箱体13の開き位置が規定される。ヒンジピン29回りで規定の中間開度よりも開度が小さいと、板ばね31は閉じ位置に向かって上箱体13に駆動力を作用する。開度が規定の中間開度より大きいと、板ばね31は開き位置に向かって上箱体13に駆動力を作用する。ヒンジ26および板ばね31はヒンジカバー32で覆われる。ヒンジカバー32は例えば緩衝材18の布材18aと同等な素材から形成される。
【0026】
上箱体13の化粧天板24aには予め決められた指向性Dvに則って紫外線を放出するLEDランプ(光源)33が埋め込まれる。LEDランプ33は、例えば長波長UV-A(最適には395nm~405nmの波長)の光線を放出する。望ましくは、LEDランプ33は可視光線以外の光線のみを放出する。望ましくは、LEDランプ33は狭い指向性Dvを有する。LEDランプ33は、照射域全域で下箱体12によって遮られる指向性Dvを有する。
【0027】
LEDランプ33には電池35が接続される。電池35は、樹脂成形体の天板16aと化粧天板24aとの間に区画される電池室34に収容される。電池35には例えば薄型のボタン電池が用いられればよい。ここでは、例えば複数のボタン電池が直列に接続される。LEDランプ33には電池35から電流が供給される。
【0028】
ヒンジ26および板ばね31には、LEDランプ33に対して電流の供給および切断を制御するスイッチ36が組み込まれる。板ばね31の中間域には、板ばね31から電気的に絶縁されながら第1接点37が固着される。ヒンジ26は、第1接点37と協働してスイッチ36を構成する第2接点として機能する。したがって、ヒンジ26は導電材から形成される。第1接点37は例えば銅といった導電材から形成される。第1接点37および板ばね31の間には例えば絶縁体が挟まれる。第1接点37は、板ばね31でヒンジピン29に向き合う面に配置される。第1接点37は、上箱体13の開き位置でヒンジ26に接触し、開き位置以外ではヒンジ26から離隔する。
【0029】
図7に示されるように、板材62の下面には下方から補助板68が重ねられる。補助板68は、板材62に結合されて板材62との間にインスタントフィルム66を保持する。インスタントフィルム66は板材62と補助板68との間に挟み込まれる。補助板68は、板材62と同様に透明な材質で形成されてもよく、不透明な材料で形成されてもよい。補助板68は板材62の輪郭に重なる輪郭を有する。
【0030】
平面視でインスタントフィルム66から上側に外れた位置で板材62と補助板68との間には第1芳香剤69aが挟み込まれる。第1芳香剤69aは例えば平面視の上縁に平行に帯状に延びる。第1芳香剤69aは例えば、帯形状の紙片と、紙片に浸透した香水とで構成されることができる。平面視で第1装飾体67aは第1芳香剤69aに覆い被さる。第1芳香剤69aは第1装飾体67aで隠される。同様に、平面視でインスタントフィルム66から下側に外れた位置で板材62と補助板68との間には第2芳香剤69bが挟み込まれる。第2芳香剤69bは例えば平面視の下縁に平行に帯状に延びる。第2芳香剤69bは例えば、帯形状の紙片と、紙片に浸透した香水とで構成されることができる。平面視で第2装飾体67bは第2芳香剤69bに覆い被さる。第2芳香剤69bは第2装飾体67bで隠される。
【0031】
補助板68には、第1芳香剤69aおよび第2芳香剤69bにそれぞれ対応する位置に開口72が形成される。開口72は鉛直方向に補助板68を貫通する。第1芳香剤69aおよび第2芳香剤69bはそれぞれ対応する開口72に露出する。個々の開口72は、補助板68の下面に接する窪み61内空間に接続される。第1芳香剤69aおよび第2芳香剤69bの香気成分は開口72から窪み61内空間に漏れ出ることができる。
【0032】
図9に示されるように、板材62には磁石73が固定される。磁石73は例えば板材62の下面に埋め込まれる。平面視で第1装飾体67aおよび第2装飾体67bは個々に対応する磁石73に覆い被さる。いずれの磁石73も第1装飾体67aまたは第2装飾体67bで隠される。いずれの磁石73も平坦面63から視覚的に認識されることはない。ここでは、例えば磁石73が透明な材質で形成されれば、第1装飾体67aおよび第2装飾体67bは省略されることができる。その他、板材62の下面には、透明な窓を残して不透明な装飾が施されてもよい。装飾の適用にあたってプリントや蒸着が用いられることができる。窓は例えばインスタントフィルム66の画像の輪郭を象ることができる。画像は窓から観察されることができる。窓の周囲で透過は遮られる。磁石73は隠されることができる。
【0033】
補助板68には、磁石73の磁力に基づき磁石73に固着される第1磁性体74が固定される。第1磁性体74は例えば補助板68の上面に埋め込まれる。第1磁性体74は、補助板68に板材62が重ね合わせられる際に磁石73に重なる輪郭を有すればよい。磁力の働きで板材62の下面に補助板68は固着される。板材62と、板材62に重ねられる補助板68との間にインスタントフィルム66は挟み込まれる。第1磁性体74に代えて磁石が用いられてもよい。このとき、補助板68の磁石は板材62の磁石73と逆の磁極で磁石73に向き合わせられればよい。板材62と補助板68とでは磁石73および第1磁性体74は入れ替えられてもよい。
【0034】
上箱体13には第2磁性体75が固定される。第2磁性体75は個々の第1磁性体74の下方に配置される。磁石73の磁力は第1磁性体74を経て第2磁性体75に作用する。こうして磁力の働きで板材62および補助板68は窪み61内に固定されることができる。第2磁性体75は水平面76から突出する。第2磁性体75は鉛直方向に水平面76から離隔した位置に補助板68を支持する。こうして水平面76と補助板68との間には開口72に接続される空間が区画される。開口72は空間65に接続されることができる。ここでは、第2磁性体75に代えて磁石が用いられてもよい。このとき、上箱体13の磁石は補助板68の磁石と逆の磁極で磁石に向き合わせられればよい。
【0035】
図10に示されるように、内箱11では、LEDランプ33、電池35およびスイッチ36を含む第1具体例に係る光照射回路38が構築される。光照射回路38では電池35に直列にLEDランプ33のLED素子が接続される。LEDランプ33には直列にタイマー限時ノーマリーオープン接点(以下「タイマー接点」)39が接続される。LEDランプ33およびタイマー接点39には並列にスイッチ36およびタイマー41が接続される。スイッチ36が導通すると、タイマー41が動作し、予め決められた時間(以下「第1時間」という)の経過後にタイマー接点39が閉じる。その結果、LEDランプ33は通電する。スイッチ36が開くと、タイマー41は復帰し、タイマー接点39が開放される。その結果、LEDランプ33は消える。
【0036】
図11に示されるように、内箱11には録音された音声を再生する音声再生ユニット45が組み込まれる。音声再生ユニット45は、マイクロホン46から音声信号を取得し、スピーカー47に音声信号を供給する音声回路48を備える。音声回路48には電池35が接続される。音声回路48は電池35の電圧を受けて動作する。
【0037】
マイクロホン46は音声に基づく空気の振動を検出し音声信号(電気信号)に変換する。生成された音声信号は例えばメモリー49に記録される。メモリー49には例えばEEPROMが用いられることができる。メモリー49は、一度だけ音声信号の書き込みを許容するメモリーであるとよい。マイクロホン46は上箱体13または下箱体12に支持される。ここでは、例えば天板16aと化粧天板24aとの間に区画される空間にマイクロホン46は収容される。天板16aや化粧天板24aには、マイクロホン46の位置に対応して配置されマイクロホン46に外気を接続する通孔が形成されてもよい。
【0038】
スピーカー47は音声信号に基づき空気の振動を生成し対応する音声を再生する。再生された音声は観察者の聴覚を刺激する。こうして観察者は音声を聞き取ることができる。スピーカー47は上箱体13または下箱体12に支持される。ここでは、例えば天板16aと化粧天板24aとの間に区画される空間にスピーカー47は収容される。天板16aや化粧天板24aには、スピーカー47の位置に対応して配置されスピーカー47に外気を接続する通孔が形成されてもよい。
【0039】
音声再生ユニット45には、紫外線の照射の開始から予め決められた時間(以下「第2時間」という)が経過するまで音声の再生を保留する保留回路51が接続される。保留回路51は音声回路48にスイッチ36を接続する。音声回路48と光照射回路38とで電池35およびスイッチ36は共通化される。保留回路51はスイッチ36の導通から(第1時間+第2時間)を計時する。ここでは、紫外線の照射が開始されてから予め決められた第2時間が経過すると、音声回路48は音声信号をメモリー49から取り出しスピーカー47に供給する。
【0040】
音声回路48には録音スイッチ52が接続される。録音スイッチ52が導通すると、音声回路48はマイクロホン46から音声信号を取得しメモリー49にその音声信号を格納する。図12に示されるように、録音スイッチ52のボタンは上箱体13の内壁面に設置されることができる。ここでは、ボタンが押され続ける限り、録音スイッチ52は導通する。ボタンが押し操作から解放されると、録音スイッチ52は切断される。ボタンが上箱体13の内側に配置されることで、上箱体13が閉じ位置に位置するだけで録音スイッチ52は誤操作から保護されることができる。上箱体13は、内箱11の構成体以外の物体から録音スイッチ52を保護する防護体として機能する。こうして、意図しない音声の録音(上書きに基づく音声の消去)は防止されることができる。その他、録音スイッチ52はスイッチ36の導通と連動してもよい。その結果、上箱体13が開き位置に達した状態で録音スイッチ52が操作されると、音声はメモリー49に録音されることができる。
【0041】
LEDランプ33、タイマー接点39、タイマー41、音声回路48、メモリー49および保留回路51は例えば共通のプリント基板上に実装されてもよい。スイッチ36の第1接点37やヒンジ26の第1羽根27または第2羽根28、電池35、マイクロホン46、スピーカー47などは例えばビニル被膜線といった電線でプリント基板上の配線パターンに電気的に接続されればよい。プリント基板は例えば電池室34に収容されればよい。
【0042】
次に内箱11の作用を説明する。図3に示されるように、上箱体13が閉じ位置に位置すると、上箱体13の下縁は下箱体12の上縁に合わさる。上箱体13は指輪21に覆い被さってダイヤモンド粒23を隠す。内箱11の観察者は閉じた内箱11の外観を視認する。ダイヤモンド粒23は観察者の視界から外れる。
【0043】
このとき、図7に示されるように、板ばね31の中間域はヒンジピン29から最も遠ざかる。したがって、スイッチ36の第1接点37はヒンジ26すなわち第2接点から離れる。スイッチ36は切断される。LEDランプ33は消灯状態に維持される。音声回路48の動作は停止状態に維持される。
【0044】
観察者が板ばね31の弾性力に抗してヒンジピン29回りで開き位置に向かって上箱体13を動かすと、上箱体13の下端は下箱体12の上端から離れていく。上箱体13および下箱体12の隙間からダイヤモンド粒23に向かって可視光線は差し込む。ダイヤモンド粒23は徐々に露出していく。ダイヤモンド粒23は可視光線の照射に曝される。したがって、ダイヤモンド粒23は透明な輝きを放つ。
【0045】
上箱体13の開度が規定の中間開度よりも増大すると、板ばね31は開き位置に向かって上箱体13を駆動する。その結果、上箱体13は最大開度の開き位置に到達する。板ばね31の弾性力に応じて上箱体13は最大開度の開き位置に保持される。上箱体13の平坦面63は回転軸線から遠ざかるほど高い位置に位置する。図5に示されるように、上箱体13に遮られずに観察者はダイヤモンド粒23を視認することができる。ダイヤモンド粒23は可視光(自然光や電灯の光)の下で透明な輝きを放つ。
【0046】
上箱体13が開き位置に到達すると、図8に示されるように、板ばね31の弾性力を受けて板ばね31の中間域はヒンジピン29に押し当てられる。こうして第1接点37はヒンジ26すなわち第2接点に接触する。スイッチ36は導通する。スイッチ36の導通(オン動作)から第1時間が経過すると、LEDランプ33は点灯する。LEDランプ33はダイヤモンド粒23に紫外線を照射し始める。ダイヤモンド粒23は青色に輝く。
【0047】
上箱体13の開放後しばし透明に輝くダイヤモンド粒23が観察された後に、ダイヤモンド粒23は透明から青色に変色する。こうして上箱体13の開放動作に応じて光の演出効果は作り出される。板ばね31は、開き位置に上箱体13を位置させる駆動力を発揮するので、閉じ位置および開き位置の中間位置でダイヤモンド粒23が変色し始めることは防止され、観察者は確実にダイヤモンド粒23の変色を目撃することができる。
【0048】
紫外線の照射開始から第2時間が経過すると、音声回路48は録音された音声を再生する。例えばプレゼントであれば、観察者には贈り主の音声(例えば「結婚してください」とか「これからいっしょにいよう」とか)が届けられることができる。音声の再生はダイヤモンド粒23の視覚効果から遅延することから、ダイヤモンド粒23の視覚効果および音声の演出効果は順番に観察者に作用する。観察者はダイヤモンド粒23の視覚効果を意識した後に音声の聴覚効果(言語処理を含む)を意識することができる。音声の演出効果は視覚効果に上積みされる。本発明者の気づきによれば、ひとは同時に複数の感覚を意識することができないことから、音声の演出効果が視覚効果と同時に進行する場合に比べて、音声の再生が視覚効果からずれることで視覚および音声の相乗効果は強められることができる。この演出効果で内箱11の観察者は他では味わえない感動を体験することができる。
【0049】
スイッチ36が切断されると、LEDランプ33は消える。音声回路48は音声信号の供給を終了する。音声の再生は終了する。
【0050】
プレゼントに先立って贈り主の音声は予め内箱11に録音される。録音にあたって上箱体13は開き位置に位置づけられる。贈り主は録音スイッチ52を押しながらマイクロホン46に向かって音声(例えば「結婚してください」とか「これからいっしょにいよう」とか)を発する。録音スイッチ52の導通に応じて音声回路48は動作する。音声はマイクロホン46で音声信号に変換される。音声信号はメモリー49に格納される。録音スイッチ52のボタンから指が離れると、音声の録音は終了する。
【0051】
ここでは、緩衝材18の布材18aは黒色や濃紺色といった色に着色されるとよい。こうした着色によれば、LEDランプ33の光線に紫外線域に隣接する可視光線が微妙に混入しても布材18aに照らされる可視光線は目立たない。LEDランプ33の光線は観察者の視覚から除外されることができる。
【0052】
例えばジュエリーショップでは購入の場面がインスタントカメラで撮像されることができる。インスタントフィルム66には購入の場面がその場で現像されることができる。透明な板材62は窪み61内のインスタントフィルム66に覆い被さる。板材62は窪み61内に固定されて窪み61内にインスタントフィルム66を保持する役割を果たす。こうして写真は簡単に内箱11に取り付けられることができる。観察者は透明な板材62を透かしてインスタントフィルム66の画像を楽しむことができる。指輪21の所有者は内箱11を取り出すたびにインスタントフィルム66の画像を目にすることができる。こうして商品包装ユニット101は購入時の感情を思い出すきっかけを作り出すことができる。商品包装ユニット101をきっかけに例えばプレゼントを受け取った際の喜びは思い出されることができる。ここでは、インスタントフィルム66は不透明な上外箱104内で暗所に保管されることができる。日光への暴露は回避されることから、インスタントフィルム66(画像)の劣化は抑制されることができる。
【0053】
板材62の表面上の空間は窪み61の輪郭に合わせて囲み64で囲まれる。囲み64の働きで上箱体13の上面にはトレイが形成されることができる。板材62上に指輪21やキーホルダーなどの小物は置かれることができる。囲み64の働きで小物は板材62上に保持されることができる。こうしたトレイは日常的に利用されることから、指輪21の所有者は頻繁にインスタントフィルム66の画像を目にすることができる。購入時の感情は所有者の記憶に強く刷り込まれることができる。内箱11の観察者には指輪21やブランド、購入時のジュエリーショップの印象が強く植え付けられることができる。
【0054】
磁石73の磁力で板材62の下面に補助板68は固着される。板材62と、板材62に重ねられる補助板68との間にインスタントフィルム66は挟み込まれる。板材62と補助板68とは磁力に抗して引き離されることができることから、板材62および補助板68で形成されたフォトフレームでインスタントフィルム66は簡単に交換されることができる。磁石73の磁力は第1磁性体74を経て第2磁性体75に作用する。こうして磁力の働きで板材62および補助板68は窪み61内に固定されることができる。補助板68および板材62で形成されたフォトフレームは上箱体13の開閉に拘わらず窪み61内に良好に保持されることができる。磁石73の影響で第1磁性体74は磁力を発揮することから、フォトフレームは冷蔵庫の表面などに簡単に貼り付けられることができる。補助板68の固着にあたって板材62にインスタントフィルム66を受け入れる凹みが形成されてもよい。補助板68は板材62の凹みにはめ込まれればよい。こうしてインスタントフィルム66は板材62および補助板68に挟まれることができる。その他、板材62および補助板68では磁石73および第1磁性体74は相互に入れ替えられてもよい。
【0055】
本実施形態では、窪み61は、板材62の外周に隣接し囲み64の内側で開放される空間65を区画する。囲み64の内側で板材62の外周に隣接する空間65は開放される。この空間65から板材62の外周にアクセスは許容されることができる。板材62の外周に外力を作用させることで板材62は簡単に窪み61から引き上げられることができる。板材62は簡単に上箱体13から取り外されることができる。インスタントフィルム66の交換や取り外しは良好に実現されることができる。空間65は板材62の左縁や右縁に沿って細く延びて例えば指輪21の差し込みを受け入れる大きさに形成されることができる。この場合には、板材62および補助板68の取り外しにあたって空間65には硬質体の工具が差し込まれればよい。空間65は指先が補助板68に届く大きさに形成されてもよい。
【0056】
本実施形態では、板材62および補助板68の間に第1芳香剤69aおよび第2芳香剤69bは挟み込まれる。第1芳香剤69aおよび第2芳香剤69bの香気成分は補助板68の開口72から窪み61内空間に漏れ出る。香気成分は補助板68の下方を通って空間65から上箱体13の上方に向かって放散されることができる。こうして内箱11の周囲には香りが放出されることができる。指輪21のブランドに特有の香りやジュエリーショップに固有の香りが用いられれば、内箱11の観察者には指輪21やブランド、購入時のジュエリーショップの印象が強く植え付けられることができる。
【0057】
本実施形態に係る内箱11は、透明から青色蛍光にダイヤモンド粒23の変色を演出する。指輪21の所有者はダイヤモンド粒23の変色を楽しむ際に内箱11を利用する。こうして内箱11は指輪21といっしょに所有され続ける。内箱11が取り出される機会は増加する。インスタントフィルム66の画像を目にする機会は増加する。一般の商品では、その商品が利用され始めるとしばしば包装箱は捨てられてしまう。
【0058】
同様に、本実施形態に係る内箱11は、録音された音声を再生する。こうして音声の演出効果は実現されることから、指輪21の所有者は内箱11を捨てずに保持し音声の演出効果を楽しむ。こうして内箱11は指輪21といっしょに所有され続ける。内箱11が取り出される機会はさらに増加する。インスタントフィルム66の画像を目にする機会はさらに増加する。
【0059】
図13に示されるように、上箱体13には、第2磁性体75に代えて、補助板68の下方に配置される磁性体78が固定されてもよい。磁性体78は、例えば平面視の上縁および下縁で窪み61の内壁面に接触する。磁性体78は例えば窪み61の輪郭まで広がるステンレス鋼板から構成されることができる。この場合には、補助板68は不透明な材料から成形される。補助板68は、磁性体78に規定される水平面76全面に覆い被さる。このとき、補助板68には、磁力に基づき磁性体78に固着される磁石79が固定される。磁石79は窪み61内にインスタントフィルム66を固定する。磁石79は鉛直方向に水平面76から離隔した位置に補助板68を支持する。こうして水平面76と補助板68との間には開口72に接続される空間が区画される。開口72は空間65に接続されることができる。磁力の働きで補助板68は窪み61内に固定されることができる。補助板68および板材62で形成されたフォトフレームは上箱体13の開閉に拘わらず窪み61内に良好に保持されることができる。磁石79は補助板68に取り付けられることから、フォトフレームは冷蔵庫の表面などに簡単に貼り付けられることができる。磁性体78は完全に窪み61の底を覆ってもよい。この場合には、磁性体78は窪み61の輪郭まで途切れなく広がる貼り紙17で覆われて空間65内に広がってもよい。空間65の底は貼り紙17で視覚的に整えられることができる。
【0060】
図14は第2具体例に係る上箱体13の構造を概略的に示す。板材62は、窪み61の輪郭に合わせこまれて窪み61内に固定される。板材62は例えば平面視の上縁および下縁で窪み61の内壁面に接触する。板材62は例えば透明な硬質のアクリル板から構成されることができる。板材62の表面は平坦面63を区画する。平坦面63上の空間は囲み64で囲まれる。囲み64は、窪み61の輪郭に合わせて平坦面63を含む水平面から起立する壁面64aを有する。輪郭の辺ごとに壁面64aは1鉛直面内で窪み61の内壁面から連続する。壁面64aは鉛直方向に板材62の下降を案内することができる。こうして板材62および囲み64は上箱体13の上面に協働でトレイを形成する。窪み61は、前述と同様に、板材62の外周に隣接し囲み64の内側で開放される空間65を区画する。空間65は平面視の左縁および右縁の外側に配置される。
【0061】
インスタントフィルム66は窪み61の底に重ねられる。窪み61の底は窪み61の輪郭で仕切られる水平面76を形成する。板材62はインスタントフィルム66に覆い被さる。このとき、板材62には磁石73が固定される。磁石73は例えば板材62の下面に埋め込まれる。平面視で第1装飾体67aおよび第2装飾体67bは個々に対応する磁石73に覆い被さる。いずれの磁石73も第1装飾体67aまたは第2装飾体67bで隠される。いずれの磁石73も平坦面63から視覚的に認識されることはない。ここでは、例えば磁石73が透明な材質で形成されれば、第1装飾体67aおよび第2装飾体67bは省略されることができる。その一方で、上箱体13には磁性体81が固定される。磁性体81は個々の磁石73の下方に配置される。磁石73の磁力は磁性体81に作用する。こうして磁力の働きで板材62は窪み61内に固定されることができる。ここでは、補助板68や第1芳香剤69a、第2芳香剤69bは省略されることができる。磁性体81に代えて磁石が用いられてもよい。このとき、上箱体13の磁石は板材62の磁石73と逆の磁極で磁石73に向き合わせられればよい。
【0062】
図15は第2具体例に係る光照射回路の構成を概略的に示す。光照射回路43は、電池35に接続されるNPNトランジスターTR1を備える。電池35のプラス端子とNPNトランジスターTR1のコレクターCとの間にLEDランプ33のLED素子は接続される。電池35のプラス端子とNPNトランジスターTR1のベースBとの間にはスイッチ36および第1抵抗R1が直列に接続される。NPNトランジスターTR1のベースBと電池35のマイナス端子との間にはキャパシターC1が接続される。第1抵抗R1およびキャパシターC1と並列に第2抵抗R2は接続される。NPNトランジスターTR1のエミッターEは電池35のマイナス端子に接続される。この光照射回路43では、スイッチ36が導通すると、時定数回路R1、C1の働きでNPNトランジスターTR1のベースBに印加される電圧は徐々に上昇する。電圧の上昇中にNPNトランジスターTR1のベースBで電圧が規定値に達すると、コレクターCに電流は流入する。その後、規定の時間が経過すると、NPNトランジスターTR1のベースBに印加される電圧は一定に維持される。スイッチ36が切断されると、キャパシターC1の電荷は第2抵抗R2を通じて放電される。
【0063】
音声再生ユニット45の保留回路51は、紫外線が最大光量に達した後に予め決められた時間(以下「第3時間」という)が経過するまで音声の再生を保留する。音声回路48と光照射回路43とで電池35およびスイッチ36は共通化される。保留回路51は、スイッチ36の導通から紫外線が最大光量に達する時間(以下「漸増時間」という)、および、第3時間を計時する。漸増時間は光照射回路43の電圧特性で特定されることができる。漸増時間は、スイッチ36の導通から、NPNトランジスターTR1のベースBに印加される電圧が最大値で維持され始める時間に相当する。ここでは、紫外線が最大光量に達した時点から予め決められた第3時間が経過すると、音声回路48は音声信号をメモリー49から取り出しスピーカー47に供給する。
【0064】
LEDランプ33、NPNトランジスターTR1、キャパシターC1、第1および第2抵抗R1、R2、音声回路48、メモリー49および保留回路51は例えば共通のプリント基板上に実装されてもよい。スイッチ36の第1接点37やヒンジ26の第1羽根27または第2羽根28、電池35、マイクロホン46、スピーカー47などは例えばビニル被膜線といった電線でプリント基板上の配線パターンに電気的に接続されればよい。プリント基板は例えば電池室34に収容されればよい。
【0065】
第2具体例に係る光照射回路43では、上箱体13が開き位置に到達してスイッチ36が導通してから、スイッチ36の導通(オン動作)後、第1時間の経過を待って電池35からNPNトランジスターTR1のベースBに規定値の電圧が印加される。NPNトランジスターTR1のコレクターCに電流が流入し、LEDランプ33は点灯し始める。したがって、内箱11の観察者は、上箱体13の開放後しばし透明に輝くダイヤモンド粒23を観察することができる。
【0066】
時定数回路R1、C1の働きでNPNトランジスターTR1のベースBに印加される電圧は徐々に上昇する。LEDランプ33に流通する電流量は徐々に増加していく。LEDランプ33からダイヤモンド粒23に照射される紫外線の光量は増加していく。ダイヤモンド粒23は徐々に透明から青色に変色していく。こうして上箱体13の開放動作に応じて光の演出効果は作り出される。板ばね31は、開き位置に上箱体13を位置させる駆動力を発揮するので、閉じ位置および開き位置の中間位置でダイヤモンド粒23が変色し始めることは防止され、観察者は確実にダイヤモンド粒23の変色を目撃することができる。
【0067】
紫外線の照射開始から第2時間が経過すると、すなわち、ダイヤモンド粒23が最大限に青く輝き始めてから第3時間が経過すると、音声回路48は録音された音声を再生する。例えばプレゼントであれば、観察者には贈り主の音声(例えば「結婚してください」とか「これからいっしょにいよう」とか)が届けられることができる。音声の再生はダイヤモンド粒23の視覚効果から遅延することから、ダイヤモンド粒23の視覚効果および音声の演出効果は順番に観察者に作用する。観察者はダイヤモンド粒23の視覚効果を意識した後に音声の聴覚効果(言語処理を含む)を意識することができる。音声の演出効果は視覚効果に上積みされる。本発明者の気づきによれば、ひとは同時に複数の感覚を意識することができないことから、音声の演出効果が視覚効果と同時に進行する場合に比べて、音声の再生が視覚効果からずれることで視覚および音声の相乗効果は強められることができる。この演出効果で内箱11の観察者は他では味わえない感動を体験することができる。
【0068】
スイッチ36が切断されると、LEDランプ33は消える。音声回路48は音声信号の供給を終了する。音声の再生は終了する。キャパシターC1の電荷は第2抵抗R2を通じて放電される。
【0069】
なお、LEDランプ33は上箱体13に代わって下箱体12に支持されてもよい。その他、ダイヤモンド粒23は、ネックレスのチェーンを形成する複数の台座に搭載されてもよい。台座は例えばプラチナや金といった金属材から成形される。個々の台座には1個のダイヤモンド粒23が固定されてもよく複数のダイヤモンド粒23が固定されてもよい。その他、ダイヤモンド粒23は、ペンダントやブレスレット、ピアス、リング、アンクレット上にあしらわれてもよい。ダイヤモンド粒は均一な大きさでもよく大小混ぜ込まれてもよい。
【0070】
前述の内箱11では、スイッチ36に、上箱体13が開き位置に達すると上箱体13によって押し下げられるプランジャーを有するタクトスイッチが用いられてもよい。第1具体例に係る光照射回路38や第2具体例に係る光照射回路43は前述と同様な機能を実現する限り他の構成の電子回路に置き換えられてもよい。また、スイッチ36の動作は、前述のように開き位置に位置する上箱体13に連動するだけでなく、閉じ位置に位置する上箱体13に連動してもよい。その他、光照射回路38、43や音声回路48、保留回路51の機能はマイクロプロセッサー(MPU)で実行されるソフトウェアで実現されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
11…商品包装箱(内箱)、12…下箱体、13…上箱体、26…ヒンジ、61…窪み、62…板材、63…水平面(平坦面)、64…囲み、64a…壁面、65…(板材の外周に隣接する)空間、66…インスタントフィルム、68…補助板、73…磁石、74…第1磁性体、75…第2磁性体、81…磁性体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下箱体と、
前記下箱体にヒンジで開閉自在に連結されて、上面に窪みを区画する上箱体と、
前記窪みの輪郭に合わせこまれて上方から前記窪みに受け入れられ前記窪み内に着脱自在に固定され、前記窪み内に配置されるインスタントフィルムに覆い被さる透明な板材と、
前記窪みの輪郭に合わせて前記板材の表面を含む水平面から起立し前記板材の表面上の空間を囲む壁面を有する囲みと
を備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の商品包装箱において、下方から前記板材の下面に重ねられて前記板材に結合され、前記板材との間に前記インスタントフィルムを保持する補助板をさらに備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の商品包装箱において、前記上箱体に固定されて前記補助板の下方に配置される磁性体と、前記補助板に固定されて、磁力に基づき前記磁性体に固着され、前記窪み内に前記インスタントフィルムを固定する磁石とをさらに備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項4】
請求項2に記載の商品包装箱において、前記板材に固定される磁石と、前記補助板に固定されて、前記磁石の磁力に基づき前記磁石に固着され、前記板材に前記補助板を固定する第1磁性体と、前記上箱体に固定されて前記第1磁性体の下方に配置される第2磁性体とを備えることを特徴とする商品包装箱。
【請求項5】
請求項1に記載の商品包装箱において、前記窪みは、前記板材の外周に隣接し前記囲みの内側で開放される空間を区画することを特徴とする商品包装箱。