(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136033
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】医用情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20240927BHJP
【FI】
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046986
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】山地 圭
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】適切な人物に適切な確認作業を割り当てること。
【解決手段】 実施形態に係る医用情報処理装置は、特定部と生成部とを有する。前記特定部は、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定する。前記生成部は、前記被通知者が備える第1のスキルと、予定されている第1の確認作業のリストと、前記第1の確認作業各々の難易度とに基づいて、前記被通知者による実施が推奨される第2の確認作業を視認可能な依頼通知を生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定する特定部と、
前記被通知者が備える第1のスキルと、予定されている第1の確認作業のリストと、前記第1の確認作業各々の難易度とに基づいて、前記被通知者による実施が推奨される第2の確認作業を視認可能な依頼通知を生成する生成部と、
を具備する医用情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第1のスキルと前記第2の確認作業を含む前記第1の確認作業の前記リストと前記難易度とが映し出される前記依頼通知の表示画面を生成する、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記第1のスキルは、前記被通知者に関する確認作業の総実施件数及び/又は難易度別の実施件数に関する情報を含む、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記リストは、前記第1の確認作業の識別情報、前記第1の確認作業各々に要求されるスキル及び/又は前記第1の確認作業の発生が見込まれる時間帯を含む、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記第1のスキルと前記リストと前記難易度と推奨度とが映し出される、前記依頼通知の表示画面を生成し、
前記推奨度は、前記被通知者に対して前記第1の確認作業各々を推奨する度合いである、
請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の確認作業各々の前記難易度と、前記第1の確認作業各々の発生が見込まれる時間帯、前記被通知者の疲労度、他の被通知者が備える第2のスキル、内容把握状況及び/又は対応容易性とに基づいて、前記第1の確認作業各々の前記推奨度を決定する推奨度決定部を更に備える、請求項5記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記推奨度決定部は、前記難易度と前記第1のスキルとの乖離が小さいほど度合いが高くなるように前記推奨度を決定する、請求項6記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記推奨度決定部は、前記難易度と、前記第1のスキルに所定値を加算した値との乖離が小さいほど度合いが高くなるように前記推奨度を決定する、請求項6記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴に応じて前記難易度を決定する難易度決定部を更に備える、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴と、前記第1のスキル及び/又は当該解析結果の確信度とに基づいて、前記難易度を決定する難易度決定部を更に備える、請求項9記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記第1の確認作業のうちの前記第2の確認作業を要請するための前記依頼通知を生成する、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記第1の確認作業の前記難易度に基づいて、前記被通知者に割り当てる前記第2の確認作業を決定する割当部、を更に備える請求項11記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
推奨度決定部を更に備え、
前記割当部は、前記被通知者に対して前記第1の確認作業各々を推奨する度合いである推奨度に基づいて前記第2の確認作業を決定し、
前記推奨度決定部は、前記第1の確認作業各々の前記難易度と、前記第1の確認作業各々の発生が見込まれる時間帯、前記被通知者の疲労度、他の被通知者が備える第2のスキル、内容把握状況及び/又は対応容易性とに基づいて、前記第1の確認作業各々の前記推奨度を決定する、
請求項12記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
前記割当部は、前記第1の確認作業各々の前記難易度と前記第1のスキルとの乖離が小さくなるように、前記被通知者に前記第2の確認作業を割り当てる、請求項12記載の医用情報処理装置。
【請求項15】
前記割当部は、前記第1の確認作業のうちの、前記難易度が前記第1のスキルに比して所定値だけ上回る確認作業を、前記第2の確認作業に決定し、前記第2の確認作業を前記被通知者に割り当てる、請求項12記載の医用情報処理装置。
【請求項16】
前記割当部は、前記第1の確認作業のうちの、前記被通知者とは異なる他の被通知者である上級医又は指導医の前記推奨度が閾値に比して高い確認作業を前記第2の確認作業に決定し、前記第2の確認作業を前記被通知者に割り当てる、請求項13記載の医用情報処理装置。
【請求項17】
前記依頼通知の表示画面を前記被通知者が使用する操作端末に表示する表示制御部を更に備える、請求項1記載の医用情報処理装置。
【請求項18】
コンピュータに、
医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定させる機能と、
前記被通知者が備える第1のスキルと、予定されている第1の確認作業のリストと、前記第1の確認作業各々の難易度とに基づいて、前記被通知者による実施が推奨される第2の確認作業を視認可能な依頼通知を生成させる機能と、
を実現させる医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像に対してAI(Artificial Intelligence)等による自動画像解析が実行されることがある。自動画像解析の結果は、ワークリストの表示画面における完了通知にて複数の読影医に知らされる。読影医は、自動画像解析の結果を確認し、必要に応じて修正する。自動画像解析の確認作業を取る順番等により、適材適所に仕事が割り当たらない場合がある。例えば、上級の医師が先に来た簡単な仕事を取ってしまい、新人の医師が難しい仕事を取らざるを得ない場合が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-181131号公報
【特許文献2】特開2017-117295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、適切な人物に適切な確認作業を割り当てることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用情報処理装置は、特定部と生成部とを有する。前記特定部は、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定する。前記生成部は、前記被通知者が備える第1のスキルと、予定されている第1の確認作業のリストと、前記第1の確認作業各々の難易度とに基づいて、前記被通知者による実施が推奨される第2の確認作業を視認可能な依頼通知を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、医用情報処理システムのネットワーク構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
【
図4】
図4は、解剖学的特徴と難易度条件との関係を定義する難易度条件テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3のステップSA6において表示される依頼通知画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のステップSB7において表示される依頼通知画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
【
図11】
図11は、
図10のステップSC8において表示される依頼通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る医用情報処理装置及びプログラムについて詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る医用情報処理システム1のネットワーク構成例を示す図である。
図1に示すように、医用情報処理システム1は、操作端末2、医用情報処理装置3、医用情報解析装置4、医用情報生成装置5、医用情報管理装置6及び医用情報記憶装置7を有するコンピュータネットワークシステムである。操作端末2、医用情報処理装置3、医用情報解析装置4、医用情報生成装置5、医用情報管理装置6及び医用情報記憶装置7は、互いに通信可能に共通のネットワークに接続されている。
【0009】
医用情報処理システム1は、医用情報の解析結果に対する確認作業を支援する。本実施形態に係る「医用情報」は、解析処理が可能であれば如何なる情報でもよく、例えば、医用画像や画像計測結果、各種生体計測値、読影レポート、電子カルテが該当する。本実施形態に係る「解析結果」は、医用情報に対する解析処理の結果を意味し、「解析処理」はAI等によるコンピュータによる自動解析のみならず人手を介した解析をも包含する。
【0010】
操作端末2は、操作者が使用するコンピュータ端末である。操作端末2は、医用情報処理装置3による確認作業の操作者への依頼通知に係るユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作端末2は、医用情報処理装置3からの各種通知を受け取り表示したり、医用情報処理装置3に対して各種指示を送信したりする。本実施形態に係る「操作者」は、確認作業を実施可能な医療従事者を想定する。なお、操作端末2は、医用情報処理システム1に複数台設置されていることを想定する。操作端末2は、プロセッサ、表示機器及び入力機器を有する。表示機器は、種々の情報を表示する。表示機器としては、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。また、表示機器は、プロジェクタでもよい。入力機器は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換してプロセッサに出力する。具体的には、入力機器は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力機器は、マイクロフォンにより収集された音声信号を指示信号に変換する音声認識装置でもよい。
【0011】
医用情報処理装置3は、医用情報処理システム1を統括的に管理するコンピュータである。医用情報処理装置3は、解析処理対象の医用情報の送信要求を医用情報管理装置6に送信し、当該送信要求に応答して医用情報管理装置6から提供された医用情報を受信する。医用情報処理装置3は、受信された医用情報を医用情報解析装置4に送信し、医用情報解析装置4から当該医用情報の解析結果を受信する。医用情報処理装置3は、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知を操作端末2に提供する。医用情報処理装置3は、確認作業の依頼先の操作端末2に、操作端末2が受諾した確認作業に対応する解析結果を提供する。医用情報処理装置3は、操作端末2から当該確認作業の確認結果を受信する。確認結果は、医用情報として医用情報管理装置6により管理される。
【0012】
医用情報解析装置4は、医用情報に対して解析処理を実施するコンピュータである。医用情報解析装置4は、医用情報処理装置3から提供された医用情報に対して解析処理を実施し、当該解析処理の解析結果を出力する。解析結果は、医用情報処理装置3に提供される。医用情報解析装置4は、医用情報処理システム1内に1台のみ設置されてもよいし、複数台設置されてもよい。
【0013】
医用情報生成装置5は、患者等の被検体に関する医用情報を生成する各種ハードウェア装置である。一例として、医用情報が医用画像である場合、医用情報生成装置5として医用画像診断装置が使用される。医用画像診断装置としては、X線診断装置やX線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、核医学診断装置等が該当する。医用画像等の医用情報は、医用情報管理装置6により管理される。医用情報生成装置5は、医用情報処理システム1内に1台のみ設置されてもよいし、複数台設置されてもよい。
【0014】
医用情報管理装置6は、医用情報を管理するサーバコンピュータである。医用情報管理装置6は、患者毎に医用情報と当該医用情報に対応する医療行為と当該医用情報の所在情報とを関連付けたデータベース(以下、パスウェイ・データベース)を管理している。「医療行為」は、患者に対する検査や診察、治療等を意味する。医療行為に応じて医用情報が生成される関係にある。「所在情報」は、医用情報が保管されている医用情報保管装置7及び/又はその記憶装置の識別子を意味する。医用情報管理装置6は、医用情報処理装置3からの医用情報の送信要求に応答して、当該医用情報の所在情報をパスウェイ・データベースから特定し、特定された所在情報に該当する医用情報記憶装置7に医用情報の送信要求を送信し、送信要求に応答して医用情報記憶装置7から提供された医用情報を受信し、受信された医用情報を医用情報処理装置3に提供する。
【0015】
医用情報記憶装置7は、医用情報を記憶する記憶装置を有するコンピュータである。医用情報処理装置7は、所在が異なる複数箇所に分散して設置されている。医用情報記憶装置7又はその記憶装置は、上記の通り所在情報により識別される。医用情報記憶装置7は、医用情報管理装置6からの送信要求に応答して、当該送信要求に対応する医用情報を記憶装置から読み出して医用情報管理装置6に提供する。なお医用情報処理装置7は、1箇所に設置されていてもよい。
【0016】
以下、医用情報処理装置3による、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知について、幾つかの実施形態に分けて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る医用情報処理装置3の構成例を示す図である。
図2に示すように、医用情報処理装置3は、処理回路31、通信機器32及び記憶装置33を有する。処理回路31、通信機器32及び記憶装置33は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
【0018】
処理回路31は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する。当該プロセッサが記憶装置33等にインストールされた医用情報処理プログラムを起動することにより、通知先特定機能311、スキル取得機能312、リスト管理機能313、難易度決定機能314、依頼通知生成機能315及び表示制御機能316等を実現する。各機能311~316は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが医用情報処理プログラムを実行することにより各機能311~316を実現するものとしても構わない。また、各機能311~316は、医用情報処理プログラムを構成するモジュールとして実装されてもよいし、個別のハードウェアとして実装されてもよい。
【0019】
通知先特定機能311の実現により、処理回路31は、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定する。被通知者は、確認作業を実施する者として予め登録されている医療従事者(以下、作業候補者)の中から特定される。被通知者は、複数人であることを想定するが、一人でもよい。
【0020】
スキル取得機能312の実現により、処理回路31は、通知先特定機能311により特定された被通知者が備えるスキル(以下、医療従事者スキル)に関する情報を取得する。本実施形態に係る医療従事者スキルは、当該非通知者が備える、当該確認作業に関する熟練度を意味する。
【0021】
リスト管理機能313の実現により、処理回路31は、予定されている確認作業(以下、予定作業)のリスト(以下、ワークリスト)を管理する。ワークリストは、医用情報の確認作業の進捗を管理するデータベース(以下、依頼データベース)に基づいて作成される。依頼データベースは、医用情報処理装置3等により予め作成され記憶装置33や医用情報記憶装置7等に記憶されているものとする。
【0022】
難易度決定機能314の実現により、処理回路31は、確認作業の難易度(以下、作業難易度)を決定する。作業難易度は、絶対的な難易度と相対的な難易度とに分類される。絶対的な難易度は、当該確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴のみに基づいて決定される難易度である。検査部位の解剖学的特徴は、電子カルテや読影レポート等に記録されていてもよいし、医用情報解析装置4が出力する解析結果に含まれてもよい。相対的な難易度は、当該確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴と、医療従事者スキル及び/又は解析結果の確信度とに基づいて決定される難易度である。
【0023】
依頼通知生成機能315の実現により、処理回路31は、被通知者が備えるスキル(医療従事者スキル)と、予定されている確認作業のリスト(ワークリスト)と、確認作業各々の難易度(作業難易度)とに基づいて、被通知者による実施が推奨される確認作業(以下、推奨確認作業)を視認可能な依頼通知を生成する。依頼通知は、被通知者毎に生成される。
【0024】
表示制御機能316の実現により、処理回路31は、種々の情報を操作端末2に表示する。一例として、処理回路31は、通信機器32を介して、被通知者の操作端末2に当該被通知者のための依頼通知を送信し、当該操作端末2が装備する表示機器に当該依頼通知を表示する。
【0025】
通信機器32は、LAN(Local Area Network)等を介して操作端末2、医用情報解析装置4、医用情報生成装置5、医用情報管理装置6及び医用情報記憶装置7等に接続するインタフェースである。通信機器32は、各種情報を接続先との間で送受信する。
【0026】
記憶装置33は、各種データを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。記憶装置33は、例えば、治療支援プログラム等を記憶する。記憶装置33は、上記記憶装置以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。記憶装置33は、医用情報処理装置3にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0027】
以下、第1実施形態に係る医用情報処理装置3による依頼通知処理について説明する。なお、以下の実施形態において「医用情報」は医用画像であり、「解析処理」はAIによる自動画像解析であり、「確認作業」は読影作業であるとする。
【0028】
図3は、第1実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
図3に示すように、処理回路31は、リスト管理機能313の実現により、ワークリストを取得する(ステップSA1)。処理回路31は、記憶装置33や医用情報管理装置6からワークリストを取得する。ワークリストには、医用情報解析装置4に依頼されている解析処理に対応する確認作業が登録されている。一例として、ワークリストは、確認作業の識別情報、確認作業各々に要求されるスキル(以下、必要スキル)及び/又は確認作業の発生が見込まれる時間帯(以下、作業発生時間帯)を含む。本実施例は、ワークリストには複数の確認作業が登録されているものとする。なお、本実施形態は、ワークリストに1個の確認作業のみが登録されている実施例を除外するものではない。
【0029】
確認作業の識別情報は、確認作業を識別可能な情報であり、一例として、当該確認作業に対応する医用情報の被検体たる患者の氏名や患者ID、確認作業又は解析処理の識別子等が該当する。必要スキルは、電子カルテや疾患データベース、治療ガイドライン等の診療情報に記録されている、被検体の検査部位や疑われる疾患種別その他の種々の要因に応じて決定される。作業発生時間帯は、予想発生時刻と予想完了時刻とにより規定される。予想発生時刻は、確認作業の実施が開始される見込の時刻を意味する。一例として、予想発生時刻は、医用情報解析装置4による解析結果の出力が見込まれる時刻に規定される。予想完了時刻は、確認作業が終了される見込の時刻を意味する。一例として、予想完了時刻は、予想発生時刻と予想解析時間とに基づいて予測される。予想解析時間は、例えば、当該確認作業の必要スキル等に応じて推定される。
【0030】
ステップSA1が行われると処理回路31は、通知先特定機能311の実現により、被通知者を特定する(ステップSA2)。一例として、処理回路31は、作業候補者が登録されたテーブル(LUT:Look Up Table)等を使用して被通知者を特定する。この際、処理回路31は、各作業候補者の当日のスケジュールに基づいて被通知者の該当又は非該当を選別してもよい。一例として、処理回路31は、作業発生時間帯に手術や診察、会議等の業務が予定されている作業候補者を被通知者から除外することが可能である。
【0031】
ステップSA3~SA7の工程は、被通知者各々について行われる。被通知者のうちのステップSA3~SA7の処理対象者を単に対象者と呼ぶ。対象者は、被通知者の中から任意の順番により選択されればよい。
【0032】
ステップSA2が行われると処理回路31は、スキル取得機能312の実現により、対象者の医療従事者スキルを取得する(ステップSA3)。医療従事者スキルは、被通知者に関する確認作業の総実施件数及び/又は難易度別の実施件数に関する情報を含む。医療従事者スキルは、スキルデータベースに登録されている。スキルデータベースは、医療従事者毎に医療従事者スキルを検索可能に関連付けたデータベースである。スキルデータベースは、一例として、医用情報管理装置6により管理されており、医用情報記憶装置7に記憶されている。スキルデータベースは、医用情報処理装置3からの送信要求に呼応して医用情報管理装置6が医用情報処理装置3に提供する。処理回路31は、スキルデータベースの中から、対象者に対応する医療従事者スキルを特定する。
【0033】
ステップSA3が行われると処理回路31は、難易度決定機能314の実現により、作業難易度を決定する(ステップSA4)。本実施例において処理回路31は、複数の確認作業各々について、当該確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴と対象者の医療従事者スキルとに基づいて相対的な作業難易度を決定する。具体的には、処理回路31は、当該確認作業に対応する医用情報の検査部位の解剖学的特徴毎に設定された難易度条件に、対象者の医療従事者スキルを当てはめることにより、作業難易度を決定する。解剖学的特徴と難易度条件との関係は、テーブル(以下、難易度条件テーブル)で定義されている。
【0034】
図4は、解剖学的特徴と難易度条件との関係を定義する難易度条件テーブルの一例を示す図である。
図4の例では、検査部位は乳房であり、解剖学的特徴は乳腺濃度である。
図4に示すように、乳腺濃度は、「極めて高濃度」、「不均一高濃度」、「乳腺散在」、「脂肪性」の4つに分類されるとする。乳腺濃度は、医用情報解析装置4によるAIを用いた自動解析(1次解析)の結果に含まれる。作業難易度は、比較的容易であることを示す「1」、中程度であることを示す「3」、比較的難解であることを示す「5」の3つに分類されるとする。
【0035】
難易度条件は、乳腺濃度の各分類と作業難易度の各分類との組合せ毎に、当該乳腺濃度の分類の読影件数により定義される。日本人は、欧米人に比べ、マンモグラフィでの診断が困難な高濃度乳腺(デンスブレスト)の割合が高いことが知られている。高濃度乳腺の中でも「極めて高濃度」に分類される事例が数%存在しており、作業難易度が比較的高い。そこで、「極めて高濃度」の場合、作業難易度を「1」に分類するための難易度条件は「なし」であり、作業難易度を「3」に分類するための難易度条件は「極めて高濃度の読影件数=100件以上」であり、作業難易度を「5」に分類するための難易度条件は「その他」である。「その他」は、作業難易度「3」の難易度条件を充足しない場合、具体的には、「極めて高濃度の読影件数=100件未満」である。「乳腺散在」や「脂肪性」は、「極めて高濃度」や「不均一高濃度」に比して作業難易度が低い。そこで、「乳腺散在」の場合、作業難易度を「1」に分類するための難易度条件は「マンモ=100件以上」であり、作業難易度を「3」に分類するための難易度条件は「その他」であり、作業難易度を「5」に分類するための難易度条件は「なし」である。「その他」は、作業難易度「1」の難易度条件を充足しない場合、具体的には、「マンモ=100件未満」である。
【0036】
上記の作業難易度の決定方法は一例である。他の例として処理回路31は、検査部位の解剖学的特徴と対象者の医療従事者スキルとに加え、自動解析の解析結果の確信度を加味して作業難易度を決定してもよい。具体的には、処理回路31は、上記実施例と同様、検査部位の解剖学的特徴と対象者の医療従事者スキルとに基づいて初期的に作業難易度を決定する。次に処理回路31は、初期的な作業難易度を確信度に応じて増減することにより、最終的な作業難易度を決定する。確信度は、医用情報解析装置4による自動解析において計算され、自動解析の解析結果と共に出力される。一例として、自動解析の結果は、確信度が比較的高いことを表す「高」、中程度であることを表す「中」、低いことを表す「低」で表現される。処理回路31は、確信度「高」の場合、初期的な作業難易度に値「+1」を加え、確信度「低」の場合、値「-1」を加え、確信度「中」の場合、何らの値も加えない又は値「0」を加える。
【0037】
作業難易度の他の決定方法として、処理回路31は、検査部位の解剖学的特徴と作業難易度とが一対一に対応付けられており、当該解剖学的特徴のみに基づいて作業難易度を決定してもよい。この作業難易度は、対象者の医療従事者スキルが考慮されていないので、絶対的な難易度を意味する。処理回路31は、上記同様、解剖学的特徴のみに基づいて決定された作業難易度を、解析結果の確信度に応じて増減してもよい。
【0038】
ステップSA4が行われると処理回路31は、依頼通知生成機能315の実現により、リスト形式の依頼通知画面を生成する(ステップSA5)。処理回路31は、ステップSA1において取得されたワークリスト、ステップSA3において取得された医療従事者スキル及びステップSA4において決定された作業難易度に基づいて、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度とが映し出される依頼通知画面を生成する。ステップSA5が行われると処理回路31は、表示制御機能316の実現により、対象者の操作端末2に、ステップSA5において生成された依頼通知画面を表示する(ステップSA6)。
【0039】
図5は、ステップSA6において表示される依頼通知画面I1の一例を示す図である。依頼通知画面I1には、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度とが映し出されている。依頼通知画面I1は、被通知者による実施が推奨される推奨確認作業を視認可能な依頼通知である。具体的には、依頼通知画面I1には、リストI11、他者スキルI12、対象者スキルI13、メッセージI14及び現時刻I15等が表示される。リストI11は、確認作業毎に、当該確認作業の識別子である患者名と、必要スキルと、作業難易度と、作業発生時間帯を構成する予想発生時刻及び予想完了時刻と、実施者とを含んでいる。患者名と必要スキルと予想発生時刻及び予想完了時刻とがワークリストを構成する。予想発生時刻及び予想完了時刻各々のフィールドには当該時刻を表す文字列が表示される。発生済み又は完了済みである場合、「済」等のその旨のメッセージや記号等が表示される。実施者のフィールドには、当該確認作業を予約した医療従事者の氏名が表示される。まだ予約されていない確認作業の場合、実施者のフィールドには何も表示されない、又は予約が可能である旨のメッセージや記号等の情報が表示される。例えば、患者「二宮二葉」の確認作業は、必要スキル「なし」、作業難易度「低」、予想発生時刻「15:14」、予想完了時刻「15:24」、実施者「E」である。他の例として、患者「佐藤みつ」の確認作業は、必要スキル「不均一高濃度もしくは極めて高濃度=読影経験20件以上」、作業難易度「中」、予想発生時刻「15:15」、予想完了時刻「15:30」、実施者「 」である。
【0040】
リストI11に表示されている各確認作業は、操作端末2を介して選択可能に表示される。操作者は、実施を希望する確認作業を選択することができる。選択された確認作業の実施者のフィールドには、当該確認作業を選択した対象者の氏名が表示される。
【0041】
他者スキルI12としては、ステップSA2において特定された被通知者のうちの対象者以外の医療従事者の医療従事者スキルが表示される。
図5の例では、対象者は読影医Aであるとし、対象者以外の医療従事者として、読影医B、読影医C、読影医D及び読影医Eが表示されている。具体的には、医療従事者スキルとして、総読影件数と着目する乳腺濃度の読影件数とが表示される。
図5の例の場合、着目する乳腺濃度の読影件数は、極めて高濃度及び不均一高濃度である。
【0042】
対象者スキルI13としては、対象者の医療従事者スキルが表示される。対象者スキルI13でも、他者スキルI12と同様、総読影件数と着目する乳腺濃度の読影件数とが表示されるとよい。メッセージI14としては、「実施する確認作業を選択して下さい」等の対象者に帯する確認事項等が表示される。現時刻I15としては、「15:12」等の現在時刻を示す数字や文字列が表示される。
【0043】
ワークリストを含むリストI11が操作端末2に表示されることにより、対象者は、予定されている確認作業を、当該確認作業の必要スキルや作業難易度、予想発生時刻、予想完了時刻と合わせて知ることができるので、現時点で発生している確認作業と現時点以後に発生する確認作業とを見比べて自己に推奨される確認作業(推奨確認作業)を視認することができる。他者スキルI12及び対象者スキルI13が表示されることにより、対象者は、他の医療従事者の医療従事者スキルを加味して自己が行う確認作業を選択することができる。例えば、
図5の場合、対象者(読影医A)は比較的高い医療従事者スキルを備えているので、簡易な確認作業「一ノ瀬一子」を医療従事者スキルの低い読影医BやC、Eに任せ、比較的難解な確認作業「佐藤みつ」又は「吉田志希」を選択することができる。この場合、確認作業「佐藤みつ」又は「吉田志希」が推奨確認作業を意味する。
【0044】
ステップSA6が行われると処理回路31は、全ての被通知者に依頼通知がなされたか否かを判定する(ステップSA7)。全ての被通知者に依頼通知がなされていないと判定された場合(ステップSA7:NO)、処理回路31は、ステップSA2において特定された被通知者のうちの依頼通知がなされていない被通知者に対してステップSA3~SA6を繰り返す。ステップSA2において全ての被通知者に依頼通知がなされたと判定されるまで対象者を順次変更してステップSA3~SA7が繰り返される。
【0045】
そして、ステップSA7において全ての被通知者に依頼通知がなされたと判定された場合(ステップSA7:YES)、処理回路31は、依頼通知処理を終了する。
【0046】
図3に示す依頼通知処理の処理手順は一例であり、種々の変更が可能である。一例として、ワークリストの取得工程(SA1)と被通知者の特定工程(SA2)とは、順番が逆でもよいし、並列に行われてもよい。他の例として、医療従事者スキルの取得工程(SA3)と作業難易度の決定工程(SA4)とは、順番が逆でもよいし、並列に行われてもよい。
【0047】
上記実施形態の通り、医用情報処理装置3は、処理回路31を有する。処理回路31は、医用情報の解析結果に対する確認作業の依頼通知先である被通知者を特定する。処理回路31は、被通知者が備える医療従事者スキルと、予定作業のワークリストと、予定業各々の作業難易度とに基づいて、被通知者による実施が推奨される推奨確認作業を視認可能な依頼通知を生成する。上記の構成によれば、被通知者による実施が推奨される推奨確認作業を視認可能な依頼通知が生成されるので、適切な人物に適切な確認作業を割り当てることが可能になる。
【0048】
第1実施形態によれば、処理回路31は、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度とが映し出される依頼通知画面を生成し、操作端末2に表示する。対象者は、依頼通知画面を見ることにより、予定作業の中から自身に最適な推奨確認作業を把握することが可能になる。具体的に、上級医が新人医に先んじてワークリストを見ている状況下において、予定作業に簡単な作業と難解な作業とが含まれている場合を想定する。依頼通知画面にはワークリストの他、医療従事者スキルと作業難易度とが映し出されているので、簡単な作業を新人医に任せ、自身は難解な作業を実施する、というような割り振りを行うことが可能になる。これにより、適切な人物に適切な確認作業を割り当てることが可能になる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る医用情報処理装置3は、確認作業の対象者への推奨度に基づき依頼通知を実施する。以下、第2実施形態に係る医用情報処理装置3について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0050】
図6は、第2実施形態に係る医用情報処理装置3の構成例を示す図である。
図6に示すように、第2実施形態に係る医用情報処理装置3の処理回路31は、医用情報処理プログラムを起動することにより、機能311~316に加え、推奨度決定機能317を実現する。
【0051】
推奨度決定機能317の実現により、処理回路31は、被通知者について推奨度を決定する。推奨度は、確認作業各々を当該被通知者に推奨する度合いである。推奨度は、確認作業各々の作業難易度を基本にして種々の要素を勘案して決定される。一例として処理回路31は、確認作業各々の作業難易度と、確認作業各々の発生が見込まれる作業発生時間帯、被通知者の疲労度、他の被通知者が備える医療従事者スキル、内容把握状況及び/又は対応容易性とに基づいて推奨度を決定する。
【0052】
以下、第2実施形態に係る医用情報処理装置3による依頼通知処理について説明する。なお、以下の実施形態は、第1実施形態と同様、「医用情報」は医用画像であり、「解析処理」はAIによる自動画像解析であり、「確認作業」は読影作業であるとする。
【0053】
図7は、第2実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
図7に示すステップSB1~SB4、SB8は、それぞれ
図3に示すステップSA1~SA4、SA7と同一なので、説明を省略する。
【0054】
ステップSB4が行われると処理回路31は、推奨度決定機能317の実現により、推奨度を決定する(ステップSB5)。一例として、処理回路31は、確認作業各々の作業難易度と、確認作業各々の発生が見込まれる作業発生時間帯及び他の被通知者が備える医療従事者スキルとに基づいて推奨度を決定する。ここで、推奨度の決定処理について詳細に説明する。なお、推奨度は、数値が高いほど推奨する度合いが高くなるように設計されているものとする。
【0055】
まず、処理回路31は、ステップSB4において決定された作業難易度を推奨度の初期値に設定する(工程1)。なお初期値は、必ずしも作業難易度と同一値に設定されなくてもよく、作業難易度に任意値だけ加算、減算、乗算、除算その他の任意の演算を施した値に設定されてもよい。
【0056】
次に処理回路31は、予定作業の中から、被通知者の医療従事者スキルにより作業難易度が異なる確認作業(以下、特殊作業)を抽出する(工程2)。特殊作業は、一例として、「極めて高濃度」の読影件数が100件以上の被通知者と100件未満の被通知者とがいる場合における、「極めて高濃度」の確認作業を意味する。ここで、ある特殊作業について読影件数が比較的多い読影医をベテラン医師、少ない読影医を新人医師と呼ぶ。当該確認作業は、ベテラン医師にとっては難易度「3」に相当し、新人医師にとっては難易度「5」に相当する。「ベテラン医師」及び「新人医師」は、あくまで当該特殊作業に対しての経験が豊富か否かを示す種別である。例えば、勤続20年以上の経験がないと難しい、非常に高難度の確認作業がある場合、当該確認作業に対しては、勤続10年の読影医でも定義上は「新人医師」になり得る。
【0057】
工程2において処理回路31は、予定作業各々について、当該予定作業の必要スキルと被通知者各々の医療従事者スキルとを難易度条件に当てはめて被通知者各々の作業難易度を決定し、作業難易度が異なる被通知者が存在する場合、当該予定作業を特殊作業として抽出する。特殊作業としては、「極めて高濃度」や「不均一高濃度」等の比較的難しい確認作業が該当すると想定される。なお、「難しい確認作業」は、読影医の医療従事者スキルに応じて作業難易度が「高」になる確認作業を意味する。1回読影すれば作業難易度が「中」になるような易しい確認作業であっても、読影医の資格(ロール)を有する人達でも1回も読影したことが無い人物が一人でもいれば難しい確認作業という分類になる。
【0058】
次に処理回路31は、被通知者のうちの、特殊作業に対する医療従事者スキルが高いベテラン医師に対し、当該特殊作業の推奨度を第1設定値だけ増加する(工程3)。第1設定値は、例えば、+2など任意の正値に設定可能である。次に処理回路31は、予定作業の中から、特殊作業に作業発生時間帯が重複し且つ特殊作業に比して必要スキルが低い確認作業(以下、簡易作業)を抽出する(工程4)。処理回路31は、簡易作業について、ベテラン医師の推奨度を、第2設定値だけ加算する(工程5)。第2設定値は、-1など任意の負値に設定可能である。一方、処理回路31は、当該簡易作業について、新人医師の推奨度を、第3設定値だけ加算する(工程6)。第3設定値は、+1など任意の正値に設定可能である。以上により推奨度が決定される。
【0059】
なお、推奨度の決定方法は、上記方法のみに限定されない。一例として、処理回路31は、対象者の疲労度に基づいて推奨度を変更してもよい。対象者の疲労度は、当該対象者が実施済み又は選択済みの確認作業の件数及び/又は種類に応じて推定可能である。具体的には、疲労度は、当該対象者が実施済み又は選択済みの確認作業の件数が多いほど高く、当該対象者が実施済み又は選択済みの確認作業の作業難易度や必要スキルが高いほど高くなると仮定する。処理回路31は、当該仮定に応じて対象者の疲労度を推定し、疲労度に応じて推奨度を増減するとよい。
【0060】
他の例として、処理回路31は、対象者の各予定作業の内容の把握状況に応じて推奨度を変更してもよい。例えば、当該確認作業は標準的な作業であり誰でも把握容易な場合、推奨度を上げるとよい。当該確認作業が標準的な作業でない場合、当該確認作業に適した対象者の推奨度を上げるとよい。例えば、前工程で標準からの逸脱があったが、当該対象者が逸脱させたのであれば、当該対象者の推奨度を上げるとよい。あるいは、同じ逸脱例を経験した対象者がいれば、当該対象者の推奨度を上げてもよい。
【0061】
他の例として、処理回路31は、対象者の各予定作業に対する対応容易性に応じて推奨度を変更してもよい。対応容易性は、各予定作業の作業発生時間帯に予定されている対象者の別作業の有無及び/又は当該別作業の内容に応じて決定される。例えば、別作業として手術が予定されている場合、対応容易性は著しく低く、例えば、値「不可」を取る。この場合、処理回路31は、推奨度を下げる。別作業として会議が予定されている場合、対応容易性は比較的低く、例えば、値「条件付きで可」を取る。この場合、処理回路31は、確認作業が緊急作業である場合に限定して推奨度を維持又は上げ、他の確認作業の推奨度を下げるとよい。別作業として自身の作業が予定されている場合、対応容易性は比較的高く、例えば、値「可」を取る。この場合、処理回路31は、推奨度を上げるとよい。
【0062】
ステップSB5が行われると処理回路31は、依頼通知生成機能315の実現により、リスト形式の依頼通知画面を生成する(ステップSB6)。処理回路31は、ステップSB1において取得されたワークリスト、ステップSB3において取得された医療従事者スキル、ステップSB4において決定された作業難易度及びステップSB5において決定された推奨度に基づいて、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度と推奨度とが映し出された依頼通知画面を生成する。ステップSB6が行われると処理回路31は、表示制御機能316の実現により、対象者の操作端末2に、ステップSB6において生成された依頼通知画面を表示する(ステップSB7)。
【0063】
図8は、ステップSB7において表示される依頼通知画面I2の一例を示す図である。
図8に示すように、依頼通知画面I2には、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度と推奨度とが映し出されている。依頼通知画面I2は、被通知者による実施が推奨される推奨確認作業を視認可能な依頼通知である。具体的には、依頼通知画面I2には、リストI21、他者スキルI22、対象者スキルI23、メッセージI24及び現時刻I25等が表示されている。他者スキルI22、対象者スキルI23、メッセージI24及び現時刻I25は、それぞれ
図5に示す他者スキルI12、対象者スキルI13、メッセージI14及び現時刻I15と同様である。
【0064】
リストI21としては、確認作業毎に、当該確認作業の識別子である患者名と、必要スキルと、作業難易度と、推奨度と、作業発生時間帯を構成する予想発生時刻及び予想完了時刻と、実施者とのリストが表示される。作業難易度としては、「低(1)」のような難易度を表す種別「低」と数値「1」とが併記されるとよい。推奨度としては、「3」や「5」のような推奨度を表す数値が表示されるとよい。推奨度が表示されることにより、対象者は、作業発生時間帯、疲労度及び/又は他の被通知者が備える医療従事者スキル等を考慮したうえでの推奨度合いを知ることができ、当該要素を考慮した適切な確認作業を選択することが可能になる。また、作業難易度と推奨度とを並べることにより作業難易度から推奨度への変化度合いを知ることができる。なお、作業難易度としては種別と数値との何れか一方が表示されてもよいし、推奨度として数値の他に種別が表示されてもよいし、種別と数値とが併記されてもよい。
【0065】
以上により、第2実施形態に係る依頼通知処理の説明を終了する。
【0066】
図7に示す依頼通知処理の処理手順は一例であり、種々の変更が可能である。一例として、ワークリストの取得工程(SB1)と被通知者の特定工程(SB2)とは、順番が逆でもよいし、並列に行われてもよい。他の例として、医療従事者スキルの取得工程(SB3)と作業難易度の決定工程(SB4)とは、順番が逆でもよいし、並列に行われてもよい。
【0067】
他の例として、ステップSB5において処理回路31は、予定作業各々の作業難易度と医療従事者スキルとの乖離が小さいほど度合いが高くなるように、各対象者の推奨度を決定してもよい。このような割当方法によれば、被通知者全体に亘り最適な推奨度の決定を行うことが可能になる。
【0068】
他の例として、ステップSB5において処理回路31は、予定作業各々の作業難易度と医療従事者スキルに所定値を加算した値との乖離が小さいほど度合いが高くなるように、各対象者の推奨度を決定してもよい。これにより対象者のスキルアップを図ることができる。なお、当該所定値は、「+1」等の小さい値であることを想定するが、任意の値に設定可能である。
【0069】
第2実施形態によれば、処理回路31は、医療従事者スキルと推奨確認作業を含む予定作業のワークリストと作業難易度と推奨度とが映し出された依頼通知画面を生成して操作端末2に表示する。推奨度は、作業難易度をベースにして種々の要素に応じて対象者毎に決定される。対象者は、依頼通知画面を見ることにより、予定作業各々の作業難易度と推奨度とを確認できるので、より自己及び/又は他者に適切な確認作業を割り当てることが可能になる。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る医用情報処理装置3は、各対象者に適切な確認作業を割り当てる。以下、第3実施形態に係る医用情報処理装置3について説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0071】
図9は、第3実施形態に係る医用情報処理装置3の構成例を示す図である。
図9に示すように、第3実施形態に係る医用情報処理装置3の処理回路31は、医用情報処理プログラムを起動することにより、機能311~317に加え、割当機能318を実現する。割当機能318の実現により、処理回路31は、予定作業各々の作業難易度に基づいて、被通知者に割り当てる推奨確認作業を決定する。処理回路31は、確認作業の推奨度に基づいて推奨確認作業を決定してもよい。依頼通知生成機能315の実現により、処理回路31は、予定作業のうちの、割当機能318により決定された推奨確認作業を被通知者に要請するための依頼通知を生成する。
【0072】
以下、第3実施形態に係る医用情報処理装置3による依頼通知処理について説明する。なお、以下の実施形態は、第1及び第2実施形態と同様、「医用情報」は医用画像であり、「解析処理」はAIによる自動画像解析であり、「確認作業」は読影作業であるとする。
【0073】
図10は、第3実施形態に係る依頼通知処理の処理手順例を示す図である。
図10に示すステップSC1~SC5、SC9は、それぞれ
図7に示すステップSB1~SB5、SB8と同一なので、説明を省略する。
【0074】
ステップSC5が行われると処理回路31は、割当機能318の実現により、対象者に確認作業(推奨確認作業)を割り当てる(ステップSC6)。一例として、処理回路31は、ステップSC5において決定された推奨度に基づいて推奨確認作業を決定する。一例として、処理回路31は、実施者未定の複数の予定作業のうちの最も推奨度が高い確認作業を推奨確認作業として決定する。推奨度を利用することにより、当該対象者に適した推奨確認作業を当該対象者に割り当てることが可能になる。
【0075】
最も推奨度が高い確認作業が複数個ある場合、任意の基準に従い複数個の確認作業の中から推奨確認作業が決定されればよい。一例として、最も推奨度が高い複数個の確認作業のうちの、予想発生時刻又は予想完了時刻が最も早い確認作業が推奨確認作業として決定されるとよい。あるいは、最も推奨度が高い複数個の確認作業のうちの、作業難易度が最も高い確認作業が推奨確認作業として決定されてもよい。上記基準を採用しても1個に絞り込めない場合、これら複数個の確認作業の中からランダムに推奨確認作業が決定されてもよい。あるいは、上記基準を採用せず、最も推奨度が高い確認作業の中からランダムに推奨確認作業が決定されてもよい。
【0076】
ステップSC6が行われると処理回路31は、依頼通知生成機能315の実現により、割当形式の依頼通知画面を生成する(ステップSC7)。処理回路31は、ステップSC6において決定された推奨確認作業に基づいて、対象者のための依頼通知画面を生成する。ステップSC7が行われると処理回路31は、表示制御機能316の実現により、対象者の操作端末2に、ステップSC7において生成された依頼通知画面を表示する(ステップSC8)。
【0077】
図11は、ステップSC8において表示される依頼通知画面I3の一例を示す図である。
図11に示すように、依頼通知画面I3は、予定作業のうちの推奨確認作業を要請するための依頼通知である。具体的には、依頼通知画面I3は、推奨確認作業I31、対象者スキルI32、メッセージI33、実施ボタンI34、拒否ボタンI35及び現時刻I36等を含んでいる。対象者スキルI32及び現時刻I36は、それぞれ
図8に示す対象者スキルI23及び現時刻I25と同様である。
【0078】
推奨確認作業I31としては、ステップSC6において割り当てた推奨確認作業に関する患者名、必要スキル、作業難易度、推奨度、予想発生時刻及び予想完了時刻が表示される。推奨確認作業I31が表示されることにより、対象者は推奨確認作業の内容を把握することが可能になる。
【0079】
メッセージI33としては、対象者に対する任意のメッセージを表示可能である。一例として、推奨確認作業I31を実施できるか否かを確認する旨の「Aさま 下記の確認作業が割り当てられました。実施ボタン又は拒否ボタンを押下してください」等のメッセージI33が表示されるとよい。
【0080】
実施ボタンI34は、推奨確認作業I31を実施する意向を表明するためのGUI(Graphical User Interface)ボタンである。実施ボタンI34が押下された場合、対象者が推奨確認作業I31を選択した事を表す信号(選択信号)が、操作端末2から医用情報処理装置3に供給される。この場合、処理回路31は、当該推奨確認作業I31を実施予定の確認作業として管理する。拒否ボタンI35は、推奨確認作業I31を実施しない意向を表明するためのGUIボタンである。拒否ボタンI35が押下された場合、対象者が推奨確認作業I31を拒否した事を表す信号(拒否信号)が、操作端末2から医用情報処理装置3に供給される。この場合、処理回路31は、予定作業のうちの、拒否された推奨確認作業I31とは異なる確認作業を新たな推奨確認作業として対象者に割り当て、依頼通知画面I3にて対象者に通知をしてもよい。
【0081】
以上により、第3実施形態に係る依頼通知処理の説明を終了する。
【0082】
なお、
図10に示す依頼通知処理の処理手順は一例であり、種々の変更が可能である。一例として、ステップSC6において処理回路31は、予定作業各々の作業難易度と医療従事者スキルとの乖離が小さくなるように、各対象者に推奨確認作業を割り当ててもよい。具体的には、処理回路31は、予定作業各々の作業難易度と対象者の医療従事者スキルとの乖離が小さいほど度合いが高くなるように当該対象者の推奨度を決定し、決定された推奨度に基づいて各対象者に対する推奨確認作業を決定する。このような割当方法によれば、被通知者全体に亘り最適な確認作業の割当てを行うことが可能になる。
【0083】
他の例として、ステップSC6において処理回路31は、予定作業のうちの、作業難易度が医療従事者スキルに比して所定値だけ上回る確認作業を推奨確認作業に決定し、決定された推奨確認作業を対象者に割り当ててもよい。これにより対象者のスキルアップを図ることができる。なお、当該所定値は、「+1」等の小さい値であることを想定するが、任意の値に設定可能である。
【0084】
他の例として、ステップSC6において処理回路31は、予定作業のうちの、対象者とは異なる他の被通知者の推奨度が所定値に比して高い確認作業を推奨確認作業に決定し、決定された推奨確認作業を対象者に割り当ててもよい。処理回路31は、推奨確認作業の依頼を要請する依頼通知を対象者の操作端末2に送信する。
【0085】
本実施例では、「対象者」が比較的読影経験の少ない若手医師であり、「他の被通知者」が当該対象者(若手医師)を指導・管理している上級医や指導医であることを想定する。この場合、対象者の推奨度が低い確認作業であっても、上級医や指導医の推奨度が当該所定値に比して高い場合に限定して、当該対象者に当該確認作業が割り当てられることとなる。これにより、当該確認作業に適した上級医や指導医の指導・管理のもとに、対象者が当該確認作業を実施することにより、当該対象者のスキルアップを図ることができる。なお、当該所定値は、任意の値に設定可能である。
【0086】
対象者の操作端末2への依頼通知の送信に並行して、処理回路31は、当該対象者の指導医の操作端末2に、当該対象者のサポートを要請するための通知を送信してもよい。あるいは、処理回路31は、他の確認作業と同様に、複数の上級医各々操作端末2に、当該上級医に対して当該対象者のサポートを要請するための通知を送信してもよい。これにより指導医や上級医にサポートの必要性を知らせることが可能になる。
【0087】
他の例として、処理回路31は、状況の変化に応じて、既に選択済みの確認作業の交換を、当該確認作業を選択した被通知者に提案してもよい。例えば、緊急度の高い確認作業(以下、緊急作業)が発生した場合を想定する。緊急作業には緊急である旨を知らせるフラグが付帯されており、処理回路31は緊急作業が発生した場合、緊急である旨を認識可能である。処理回路31は、緊急作業が発生した場合、緊急作業の推奨度が所定値以上の被通知者(以下、提案候補者)を特定し、特定された提案候補者各々の、現時点から所定時間以内に実施が予定されている確認作業の有無を確認する。予定されている確認作業が無い提案候補者がいる場合、処理回路31は、当該被通知者に緊急作業を割り当てる。予定されている確認作業が無い提案候補者がいない場合、処理回路31は、任意の提案候補者を提案対象者に選択し、提案対象者に先約の確認作業の解放を提案する。具体的には、処理回路31は、提案対象者の操作端末2に、先約の確認作業の解放を提案する表示画面を表示する。提案対象者が解放に応じた場合、処理回路31は、先約の確認作業を解放し、当該提案対象者に緊急作業を割り当てるとよい。提案対象者が解放に応じない場合、処理回路31は、他の提案候補者を提案対象者に選択して同様の処理を繰り返す。
【0088】
第3実施形態によれば、処理回路31は、推奨確認作業を被通知者に要請するための依頼通知を生成して操作端末2に表示する。依頼通知が表示されることにより、対象者は推奨確認作業の内容を把握することが可能になる。推奨確認作業は、割当機能318により対象者に割り当てられており、被通知者が備える医療従事者スキルと予定作業のワークリストと予定作業各々の作業難易度とを勘案して対象者に適切であることが担保されている。したがって第3実施形態によれば、適切な人物に適切な確認作業を割り当てることができる。
【0089】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、適切な人物に適切な確認作業を割り当てることができる。
【0090】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1~
図2、
図6及び
図9における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1 医用情報処理システム
2 操作端末
3 医用情報処理装置
4 医用情報解析装置
5 医用情報生成装置
6 医用情報管理装置
7 医用情報記憶装置
31 処理回路
32 通信機器
33 記憶装置
311 通知先特定機能
312 スキル取得機能
313 リスト管理機能
314 難易度決定機能
315 依頼通知生成機能
316 表示制御機能
317 推奨度決定機能
318 割当機能