IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

特開2024-136036診断装置、診断方法及び診断プログラム
<>
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図1
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図2
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図3
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図4
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図5
  • 特開-診断装置、診断方法及び診断プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136036
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】診断装置、診断方法及び診断プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240927BHJP
   G05B 19/048 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G05B23/02 302Y
G05B19/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046989
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 勝
【テーマコード(参考)】
3C223
5H220
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB03
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH08
5H220AA01
5H220BB13
5H220GG14
5H220JJ06
5H220JJ12
5H220JJ26
5H220KK06
5H220LL04
(57)【要約】
【課題】迅速なトラブル対策を可能にする。
【解決手段】診断装置は、参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する診断部、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する診断部、
を備える、
診断装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記診断対象フィールド機器の操作履歴と類似する操作履歴を有する参照フィールド機器を前記診断データベースから検索し、検索によって発見した参照フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策として特定する、
請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記操作履歴は、操作量を含み、
前記類似は、前記操作量の経時変化の類似を含む、
請求項2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記操作量は、ゼロ調整量を含む、
請求項3に記載の診断装置。
【請求項5】
前記診断部は、前記診断対象フィールド機器に将来発生する可能性のあるトラブルについてのトラブル要因及びトラブル対策を特定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項6】
前記診断部は、前記トラブル要因及びトラブル対策を特定した前記診断対象フィールド機器を、新たな参照フィールド機器として前記診断データベースに追加する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項7】
前記診断部が特定した前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を含む診断結果を出力する出力部を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項8】
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定すること、
を含む、
診断方法。
【請求項9】
コンピュータに、
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する処理、
を実行させる、
診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置、診断方法及び診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィールド機器において、パラメータの設定、調整等の操作を行ったり、操作履歴を記録したりすることが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-70936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィールド機器にトラブルが発生した場合には、そのトラブル要因やトラブル対策の特定が必要になる。従来は、専門知識を有するエンジニアが過去のトラブル事例を参考にして再現テストやデータ解析の作業を行っていた。作業に時間を要することから、迅速なトラブル対策が難しいという課題がある。
【0005】
本開示の一側面は、迅速なトラブル対策を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る診断装置は、参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する診断部、を備える。
【0007】
一側面に係る診断方法は、参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定すること、を含む。
【0008】
一側面に係る診断プログラムは、コンピュータに、参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する処理、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、迅速なトラブル対策が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る診断システムの概略構成の例を示す図である。
図2】診断データベースの例を示す図である。
図3】診断対象フィールド機器のデータの例を示す図である。
図4】診断対象フィールド機器のデータの例を示す図である。
図5】診断に関して実行される処理(診断方法)の例を示すフローチャートである。
図6】ハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る診断システムの概略構成の例を示す図である。診断システム100は、フィールド機器1と、外部回路2と、携帯型操作用装置3と、管理装置4と、診断装置5とを含む。
【0013】
フィールド機器1は、プラント、工場等のフィールド内に設置されて用いられる計測器であり、より具体的にはその計測結果を示す信号を伝送する伝送器である。伝送器の例は、圧力伝送器、温度伝送器、流量伝送器等である。圧力は差圧を含む意味に解されてよく、圧力伝送器は差圧伝送器であってよい。図1に例示されるフィールド機器1は、2線式伝送器であり、外部回路2に接続されて用いられる。
【0014】
複数のフィールド機器1が存在し、図1には、3つのフィールド機器1が例示される。各フィールド機器1を区別できるように、フィールド機器1-1、フィールド機器1-2及びフィールド機器1-3と称し図示する。これらをとくに区別しない場合は、単にフィールド機器1と呼ぶ。
【0015】
フィールド機器1は、センサ11と、演算・操作管理部12と、DAコンバータ13と、出力回路14と、通信IF15と、操作用スイッチ16とを含む。
【0016】
センサ11は、センサ値を出力する。センサ値は、フィールド機器2の計測目的の物理量(圧力、温度、流量等)を示す電圧値、電流値等である。センサ11は、フィールド機器1が圧力伝送器の場合には圧力センサであり、より具体的には受圧部(例えばダイヤフラム部)である。フィールド機器1が温度伝送器であれば温度センサが、流量伝送器であれば流量センサが、それぞれセンサ11に相当する。
【0017】
演算・操作管理部12は、センサ11が出力したセンサ値を取得する。センサ値の取得は、周期的に行われてもよいし、指定された任意のタイミングで行われてもよい。図1に示される例では、演算・操作管理部12は、マイクロプロセッサ121と、メモリ123とを含んで構成される。マイクロプロセッサ121によるいくつかの処理について述べる。
【0018】
マイクロプロセッサ121は、センサ値を測定値に変換するための演算(計算)を実行する。測定値は、上述の計測目的の物理量、すなわち圧力値、差圧値、温度値、流量値等である。センサ値から測定値への変換の手法はとくに限定されないが、例えば、センサ値から測定値を計算するためのアルゴリズムが用いられたり、センサ値と測定値とを対応付けたテーブルが参照されたりしてよい。マイクロプロセッサ121は、演算によって得られた測定値を示すディジタル信号を生成し、DAコンバータ13に出力する。
【0019】
上述のマイクロプロセッサ121による測定値の演算には、補正が加えられてよい。補正の一例はゼロ調整であり、フィールド機器1のセンサ11への入力が無い場合の測定値がゼロになるように、演算によって得られる測定値が補正される。測定値をゼロにするための補正量を、ゼロ調整量とも称する。必要なゼロ調整量は、フィールド機器1の稼働時間とともに変化し得る。例えば、フィールド機器1の稼働時間が長くなるほど、必要なゼロ調整量も大きくなる。
【0020】
マイクロプロセッサ121は、フィールド機器1の自己診断、より具体的には、フィールド機器1の状態(機器状態)が正常状態又は異常状態のいずれであるのかを診断する。例えば、マイクロプロセッサ121は、センサ値又は測定値が予め定められた範囲内(正常範囲内)の場合、フィールド機器1が正常状態であると診断し、センサ値又は測定値がその範囲外(正常範囲外)の場合、フィールド機器1が異常状態であると診断する。
【0021】
マイクロプロセッサ121は、フィールド機器1の操作を管理する。フィールド機器1の操作は、フィールド機器1の調整を含む。調整は、例えばフィールド機器1の動作を規定するパラメータを設定したり変更したりすることによって行われる。具体的な調整の一例は、先に述べたゼロ調整である。後述するように、フィールド機器1の操作は、操作用スイッチ16、携帯型操作用装置3又は管理装置4を用いて行われる。
【0022】
マイクロプロセッサ121は、実際に行われたフィールド機器1の操作を管理する。管理に関してマイクロプロセッサ121が提供する関する機能ブロックを、操作検知部122と称し図示する。
【0023】
操作検知部122は、フィールド機器1に対して行われた操作を検知し、その操作の履歴を、操作履歴126としてメモリ123に記憶する。すでに記憶済みの操作履歴126がある場合には、その操作履歴126が更新されてよい。操作履歴126は、操作時刻、操作内容等を対応付けたデータである。操作内容は、上述のゼロ調整量等の操作量を含む。また、本実施形態では、フィールド機器1の稼働時間も、操作履歴126に含まれるものとする。稼働時間は、例えば、フィールド機器1の稼働開始時から操作履歴126の記録時までの時間(期間の長さ)を示す。
【0024】
メモリ123は、演算・操作管理部12で用いられるデータを記憶する。メモリ123に記憶されるデータとして、基本データ124、パラメータ125及び操作履歴126が例示される。操作履歴126は先に説明したので、基本データ124及びパラメータ125について述べる。
【0025】
基本データ124は、フィールド機器1の固有データである。基本データ124の例は、機器ID(Identifier)、機器タイプ、機器タグ名、ベンダ名等である。機器IDは、フィールド機器1を一意に特定する識別子である。機器タイプは、フィールド機器1の種類、例えば圧力伝送器、温度伝送器、流量伝送器等を示す。機器タグは、例えば作業者が読み易いように設定されたフィールド機器1の識別用データである。ベンダ名は、そのフィールド機器1のベンダを示す。
【0026】
パラメータ125は、フィールド機器1に対して設定され、例えばフィールド機器1の動作を規定する。パラメータ125の例は、測定値の演算等の周期(測定周期)、測定値の表示単位、自己診断によって得られたフィールド機器1の機器状態等である。
【0027】
DAコンバータ13は、マイクロプロセッサ121からのディジタル信号(測定値を示す信号)を、アナログ信号に変換して、出力回路14に出力する。
【0028】
出力回路14は、出力回路14と外部回路2との間に接続される。出力回路14は、DAコンバータ13からのアナログ信号を電流信号に変換し、外部回路2及び出力回路14を電流信号が流れるように制御する。電流信号は、測定値を示す信号、例えば測定値の大きさに応じてその電流値が4mA~20mAの範囲内で変化する電流信号として、外部回路2に現れる。
【0029】
ここで外部回路2について説明する。外部回路2は、対応するフィールド機器1に接続される。複数のフィールド機器1に対応する複数の外部回路2が存在し、図1には、フィールド機器1-1~フィールド機器1-3に対応する外部回路2-1~外部回路2-3が例示される。これらをとくに区別しない場合は、単に外部回路2と呼ぶ。
【0030】
外部回路2は、伝送線21と、直流電源22と、抵抗器23とを含む。伝送線21は、フィールド機器1の出力回路14に接続される一対の伝送線21である。直流電源22及び抵抗器23は、一対の伝送線21の間に直列に接続される。
【0031】
上述の電流信号が外部回路2を流れると、抵抗器23の両端、すなわち一対の伝送線21どうしの間に、電流信号の大きさに応じた大きさの電圧(電位差)が発生する。この電圧を検出することで、フィールド機器1で得られた測定値が取得される。このようにして、フィールド機器1で得られた測定値がフィールド機器1から外部に伝送される。
【0032】
フィールド機器1の説明に戻り、通信IF15は、外部回路2の伝送線21に接続される通信インタフェースである。通信IF15は、外部回路2の伝送線21を通信ラインとして用いることで、フィールド機器1の外部の装置、この例では携帯型操作用装置3及び管理装置4と通信する。
【0033】
操作用スイッチ16は、フィールド機器1を操作するために用いられる。例えば、操作用スイッチ16は、フィールド機器1の操作に対応する各種のスイッチを有する。作業者がスイッチを切り替えることで、対応する操作がフィールド機器1に対して行われる。
【0034】
携帯型操作用装置3も、フィールド機器1を操作するために用いられる。携帯型操作用装置3は、利用時に外部回路2の伝送線21に接続され、フィールド機器1の通信IF15と通信する。例えば、携帯型操作用装置3は、フィールド機器1の通信IF15に操作要求(操作を指示するコマンド等)を送信する。フィールド機器1では、通信IF15が受信した操作要求に従い、マイクロプロセッサ121がフィールド機器1を操作する。
【0035】
管理装置4は、フィールド機器1を管理するために用いられ、その管理には、フィールド機器1の操作も含まれる。管理装置4は、フィールド機器通信部41と、機器データ管理部42と、機器データ保存部43と、ユーザインタフェース部44と、作業報告書作成部45とを含む。
【0036】
フィールド機器通信部41は、複数の外部回路2それぞれの伝送線21に接続され、伝送線21を通信ラインとして用いることで、複数のフィールド機器1それぞれの通信IF15と通信する。
【0037】
機器データ管理部42は、管理装置4の他の要素を制御することにより、管理装置4の全体を制御する。例えば、機器データ管理部42は、フィールド機器通信部41を制御して、各フィールド機器1のデータを取得(収集)する。取得されるデータの例は、各フィールド機器1のメモリ123に記憶された基本データ124、パラメータ125及び操作履歴126等である。また、機器データ管理部42は、フィールド機器通信部41を制御して、各フィールド機器1を操作する。操作は、携帯型操作用装置3と同様に、操作要求の送信によって行われてよい。
【0038】
機器データ保存部43は、機器データ管理部42が取得したフィールド機器1のデータを整理して、機器データ431として保存して管理するデータベースである。図1に示される例では、フィールド機器1ごとの機器データ431が管理され、各機器データ431は、対応するフィールド機器1の基本データ124、パラメータ125、操作履歴126及び添付データ127を関連付ける。なお、添付データ127は、作業者がそのフィールド機器1に関して任意に作成した付加的なデータ(メモ、画像等)である。
【0039】
ユーザインタフェース部44は、機器データ431を表示したり、各フィールド機器1の操作を受け付けたりする。図1に示される例では、ユーザインタフェース部44は、接続機器用表示設定部441と、保存機器データ用表示設定部442とを含む。接続機器用表示設定部441は、接続中(通信確立中)のフィールド機器1から取得したデータを表示したり、そのフィールド機器1の操作を受け付けたりする。保存機器データ用表示設定部442は、機器データ保存部43に保存されている任意のフィールド機器1の機器データ431を表示したり、そのフィールド機器1の操作を受け付けたりする。
【0040】
作業報告書作成部45は、機器データ431の少なくとも一部を所定のフォーマット(テンプレート)に従って記述する作業報告書を生成する。例えばフィールド機器1の操作前後それぞれの作業報告書を生成することで、操作前後のフィールド機器1のデータを報告書の形で残すことができる。
【0041】
診断装置5について説明する前に、従来技術の課題について述べる。フィールド機器1にトラブルが発生する(異常状態になる)ことがある。従来は、専門知識を有するエンジニアが、トラブル要因を特定したり、適切なトラブル対策を特定したりするための診断作業を行っていた。具体的に、エンジニアは、携帯型操作用装置3又は管理装置4を用いて、そのフィールド機器1の操作履歴126等のデータを取得し、過去にトラブルが発生した他のフィールド機器1の事例等も参考にして、再現テストやデータ解析等の診断作業を行っていた。このような診断作業を経てトラブル要因やトラブル対策を特定したうえで、トラブル対策がフィールド機器1のユーザに提供されることになる。診断作業に多くの時間を費やす必要があることから、迅速なトラブル対策が難しいという課題がある。
【0042】
本実施形態によれば、この後で説明するように、トラブル要因及びトラブル対策の特定を含むフィールド機器1の診断作業が診断装置5によって自動化され、それによって迅速なトラブル対策が可能になる。
【0043】
具体的に、診断装置5は、複数のフィールド機器1のうちの診断対象のフィールド機器1を診断する。診断対象のフィールド機器1を、「診断対象フィールド機器」とも称する。なお、図1に示される例では、診断装置5は、ネットワークNを介して管理装置4と通信可能構成される。診断装置5は、フィールド機器1及び管理装置4から離れた場所に配置されたサーバ装置(クラウド装置)であってもよいし、それらの近くに配置されたオンプレミス装置であってもよい。診断装置5は、記憶部51と、診断部52と、出力部53とを含む。
【0044】
記憶部51は、診断装置5で用いられるデータを記憶する。記憶部51に記憶されるデータとして、診断データベース511及び診断プログラム512が例示される。
【0045】
診断データベース511は、過去にトラブルが発生し、そのトラブル要因及びトラブル対策が特定されたフィールド機器1のデータを含む。このようなフィールド機器1を、「参照フィールド機器」とも称する。診断データベース511について、図2を参照して説明する。
【0046】
図2は、診断データベースの例を示す図である。診断データベース511は、参照フィールド機器の基本データ124と、パラメータ125と、トラブル要因と、トラブル対策と、操作履歴126とを対応付けて管理する。この例では、フィールド機器1-1及びフィールド機器1-2が「参照フィールド機器」であり、以降では参照フィールド機器1-1及び参照フィールド機器1-2とも称する。
【0047】
データIDは、データを一意に特定する識別子である。図1には、データID=1~14の14個のデータが例示される。
【0048】
基本データ124は、フィールド機器1を一意に特定する機器管理データとして用いられる。例えば、基本データ124に含まれる機器ID、又は、機器タイプ及び機器タグ名の組合せが、機器管理データとなり得る。図1には、参照フィールド機器1-1の機器管理データが、機器管理データA000001として模式的に示される。参照フィールド機器1-2の機器管理データが、機器管理データA000002として模式的に示される。
【0049】
パラメータ125は、より具体的にここでは機器状態である。この例では、参照フィールド機器1-1の機器状態は、データID=1~5において正常状態であり、データID=6において異常状態である。参照フィールド機器1-2の機器状態は、データID=7~13において正常状態であり、データID=14において異常状態である。
【0050】
トラブル要因は、参照フィールド機器1-1、参照フィールド機器1-2にトラブルが発生した要因であり、換言するとそれらが異常状態になった要因である。1つの異常状態に対して複数のトラブル要因が存在してよく、トラブル要因1、トラブル要因2・・・として分けて記述される。
【0051】
この例では、データID=6において、トラブル要因1=水素透過となっている。水素透過は、圧力伝送器の受圧部(例えば金属製のダイヤフラム部)で発生する水素イオンの封入液への浸透現象である。この現象は、流体に含まれる水素に起因して発生し、測定誤差につながる。
【0052】
データID=14において、トラブル要因1=操作ミスとなっている。操作ミスは、作業者がフィールド機器1を操作する際に生じたミスである。操作ミスの例は、参照フィールド機器1-2の調整手順を間違ったこと、圧力をかけ過ぎたこと等である。
【0053】
トラブル対策は、参照フィールド機器1-1、参照フィールド機器1-2に対して施された対策であり、換言すると、それらを正常状態に戻すための対策である。1つ異常状態に対して複数のトラブル対策が施されてよく、トラブル対策1、トラブル対策2・・・として分けて記述される。
【0054】
この例では、データID=6において、トラブル対策1=機器交換となっている。機器交換は、その名のとおりであり、参照フィールド機器1-1を交換したことを意味する。
【0055】
データID=14において、トラブル対策1=機器交換、トラブル対策2=操作教育となっている。操作教育は、同じ操作ミスによるトラブル再発を防ぐために、操作ミスを行った作業者に対して操作に関する教育(訓練)を行ったことを意味する。
【0056】
操作履歴126は、より具体的にここでは稼働時間及び操作量である。参照フィールド機器1-1の稼働時間は、データID=1~6の順に長くなる。参照フィールド機器1-2の稼働時間は、データID=7~14の順に長くなる。操作量は、例えば先に述べたゼロ調整量等であり、その数値が模式的に示される。この例では、参照フィールド機器1-1の操作量は、稼働時間が長くなるにつれて徐々に大きくなっている。参照フィールド機器1-2の操作量は、稼働時間が長くなっても変化はないが、操作ミスに起因して急激に大きくなっている。
【0057】
例えば上記のような診断データベース511が予め生成され、記憶部51に記憶される。生成の具体的な手順はとくに限定されず、例えばフィールド機器1の作業者、エンジニア等による作業が介在してもよい。
【0058】
図1に戻り、記憶部51に記憶された診断プログラム512は、コンピュータを診断装置5として機能させるためのプログラム(ソフトウェア、アプリケーションプログラム)である。
【0059】
診断部52は、診断データベース511と、診断対象フィールド機器のデータとに基づいて、診断対象フィールド機器を診断する。診断対象フィールド機器のデータについて、図3も参照して説明する。
【0060】
図3は、診断対象フィールド機器のデータの例を示す図である。このデータは、診断対象フィールド機器のデータIDと、基本データ124(より具体的には機器管理データ)と、パラメータ125(より具体的には機器状態)と、操作履歴126(より具体的には稼働時間及び操作量)とを対応付けたデータである。この例では、フィールド機器1-3が、「診断対象フィールド機器」であり、以降では診断対象フィールド機器1-3とも称する。診断対象フィールド機器1-3の機器状態は、データID=101~105において正常状態であり、データID=106において異常状態である。
【0061】
例えば上記のような診断対象フィールド機器1-3のデータが、管理装置4から取得される。
【0062】
図1に戻り、診断部52は、診断データベース511と、診断対象フィールド機器1-3のデータ(操作履歴126等)とに基づいて、診断対象フィールド機器1-3を診断する。診断は、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策の特定を含む。
【0063】
まず、診断部52は、診断対象フィールド機器の操作履歴126と類似する操作履歴126を有する参照フィールド機器(例えば参照フィールド機器1-1又は参照フィールド機器1-2)を、診断データベース511から検索する。類似は同一を含む意味に解されてよい。
【0064】
類似の一例は、操作量(例えばゼロ調整量)の経時変化の類似である。その場合の診断部52は、診断対象フィールド機器1-3の操作量経時変化と類似する操作量経時変化を有する参照フィールド機器を、診断データベース511から検索する。
【0065】
例えば、診断部52は、診断対象フィールド機器1-3の稼働時間及び操作量から、経時的な操作量変化を算出し、算出結果を示す操作量変化データを生成する。操作量変化データは、操作量を稼働時間で微分(離散化して微分)したデータともいえる。同様に、診断部52は、診断データベース511中の各参照フィールド機器の稼働時間及び操作量から、それらの操作量変化データを生成する。そして、診断部52は、診断対象フィールド機器1-3の操作量変換データに類似する操作量変化データを有する参照フィールド機器を、診断データベース511から検索する。類似判断については種々の公知の手法が用いられてよい。
【0066】
先に説明した図2及び図3の例では、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126と、参照フィールド機器1-1の操作履歴126とが互いに類似している。診断部52は、診断データベース511を検索し、参照フィールド機器1-2を発見する。そして、診断部52は、参照フィールド機器1-1のトラブル要因及びトラブル対策、すなわち水素透過及び機器交換を、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策として特定する。
【0067】
一実施形態において、診断部52は、未だトラブルが発生していない診断対象フィールド機器1-3について、トラブルの傾向の有無を診断してよい。その場合、診断部52は、診断対象フィールド機器1-3に将来発生する可能性のあるトラブルについてのトラブル要因及びトラブル対策を特定してよい。一例について、図4も参照して説明する。
【0068】
図4は、診断対象フィールド機器のデータの例を示す図である。先に説明した図3と比較して、データID=106のデータを含まない点において相違する。診断対象フィールド機器1-3の機器状態は正常状態であり、トラブルは発生していない。
【0069】
この場合でも、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126と、参照フィールド機器1-1の操作履歴126(図2)とが互いに類似するので、診断部52は、診断データベース511を検索し、参照フィールド機器1-1が発見する。そして、診断部52は、参照フィールド機器1-1のトラブル要因、すなわち水素透過によるトラブルが診断対象フィールド機器1-3に発生すると予測する。また、参照フィールド機器1-1のトラブル対策、すなわち機器交換を、診断対象フィールド機器1-3のトラブル対策として特定する。
【0070】
図1に戻り、診断部52は、診断対象フィールド機器1-3の診断結果を示すデータを生成する。診断結果は、特定した診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126(稼働時間、操作量等)、トラブル要因及びトラブル対策を含む。他にも、診断対象フィールド機器1-3の基本データ124、パラメータ125、添付データ127等が診断結果に含まれてよい。
【0071】
出力部53は、診断部52が生成した診断結果を出力する。例えば、出力部53は、ディスプレイ、データ出力ポート等を含んで構成され、診断結果を表示したり、データ出力したりする。診断結果が出力されることで、関係者、例えばフィールド機器1のユーザ、作業者、エンジニア等に診断結果が知らされる。
【0072】
例えば以上のようにして、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策の特定を含む診断対象フィールド機器1-3の診断が行われ、その診断結果が出力される。診断装置5が診断対象フィールド機器1-3を自動的に診断するので、必ずしも専門知識を有するエンジニアが時間をかけて解析等の作業を行う必要は無い。解析を行う頻度を減らしたり、また、解析を行う場合でもその解析時間を短縮したりすることができる。結果として、迅速なトラブル対策が可能になる。診断部52がトラブル発生前の診断対象フィールド機器1-3のトラブルの傾向の有無を診断する場合には、その診断結果が出力されることで、トラブルを未然に回避することもできる。
【0073】
診断部52による診断のタイミングはとくに限定されない。例えば、診断部52が、管理装置4の機器データ保存部43の機器データ431にアクセスして各フィールド機器1の機器状態を監視し、機器状態が異常状態になっている(トラブルが発生している)フィールド機器1を診断対象フィールド機器として選定してよい。トラブルが発見されるとすぐに診断が行われる。機器状態が正常状態になっている(トラブルが発生していない)フィールド機器1も選択対象に含めるようにすれば、トラブルを未然に回避するための診断も適時行うことができる。当然ながら、作業者、エンジニア等が診断装置5を操作して手動で診断対象フィールド機器を選定してもよい。
【0074】
診断結果を活用して診断データベース511をアップデートしてもよい。例えば、診断部52は、診断した診断対象フィールド機器1-3、すなわちトラブル要因及びトラブル対策を特定した診断対象フィールド機器1-3を、新たな参照フィールド機器として診断データベース511に追加してよい。追加される具体的なデータは、先に説明した図2に示されるとおりである。より多くの参照フィールド機器のデータを診断データベース511に蓄積することで、次回以降の他の診断対象フィールド機器の診断の精度向上等に役立てることができる。
【0075】
図5は、診断に関して実行される処理(診断方法)の例を示すフローチャートである。これまでと重複する内容については説明を適宜省略する。
【0076】
ステップS1において、診断データベース511を準備する。診断データベース511は、診断装置5の記憶部51に記憶される。
【0077】
ステップS2において、診断装置5の診断部52は、診断対象フィールド機器の操作履歴を取得する。例えば、管理装置4の機器データ保存部43に記憶された機器データ431に含まれる診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126が取得される。診断対象フィールド機器1-3の基本データ124やパラメータ125も取得されてよい。
【0078】
ステップS3において、診断装置5の診断部52は、診断対象フィールド機器と操作履歴が類似する参照フィールド機器を診断データベース511から検索する。例えば、診断対象フィールド機器1-3と操作履歴126が類似する参照フィールド機器1-1が、検索により発見される。
【0079】
ステップS4において、診断装置5の診断部52は、発見した参照フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を、診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策として特定する。例えば、参照フィールド機器1-1のトラブル要因及びトラブル対策、すなわち水素透過及び機器交換が、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策として特定される。
【0080】
ステップS5において、診断装置5の出力部53は、診断結果を出力する。先のステップS4で特定されたトラブル要因及びトラブル対策を含む診断結果が表示等される。
【0081】
ステップS6において、診断装置5の診断部52は、診断データベース511を更新する。例えば、先のステップS4でトラブル要因及びトラブル対策を特定した診断対象フィールド機器1-3が、新たな参照フィールド機器として診断データベース511に追加される。その後、ステップS2に処理が戻される。
【0082】
ステップS6の処理が完了した後、ステップS2に処理が戻される。ステップS2~ステップS6の処理が繰り返し実行されることで、実際にトラブルが発生した診断対象のフィールド機器、又は、トラブル発生前ではあるがトラブルの傾向のある診断対象フィールド機器の診断が適時自動的に行われ、それらの診断結果が得られる。
【0083】
<変形例>
開示される技術は上記の実施形態に限定されない。例えば、操作量は、ゼロ調整量に限定されるものではない。フィールド機器1のトラブルと相関関係を有するあらゆる操作量が用いられてよい。さまざまな操作量に関するデータを診断データベース511に蓄積することで、多くの種類のトラブルに対処することができる。
【0084】
フィールド機器1に関するあらゆるデータ、例えば基本データ124、パラメータ125及び操作履歴126(さらには添付データ127)のすべてのデータが、診断データベース511に保存されてもよい。フィールド機器1の機種や測定対象、使用環境、トラブル事例・対策等の過去データを利用して、新規購入の際の機器の仕様決定要素としてユーザに提案することができる。例えば、水素透過によるトラブル発生の可能性がある場合には、通常の金属膜の受圧部(ダイヤフラム部)ではなく、水素透過を生じにくくするように金メッキされた受圧部を有する圧力伝送器を提案することができる。
【0085】
<ハードウェア構成の例>
図6は、ハードウェア構成の例を示す図である。例示されるようなコンピュータ9を含んで構成された装置等が、これまで説明したフィールド機器1、携帯型操作用装置3、管理装置4又は診断装置5として機能する。コンピュータ9のハードウェア構成として、バス等で相互に接続される通信装置91、表示装置92、記憶装置93、メモリ94及びプロセッサ95が例示される。
【0086】
通信装置91は、ネットワークインタフェースカード等であり、他の装置との通信を可能にする。通信装置91は、例えばこれまで説明した通信IF15、フィールド機器通信部41等に相当し得る。表示装置92は、例えばこれまで説明した出力部53等に相当し得る。
【0087】
記憶装置93及びメモリ94には、各種のデータが記憶される。記憶装置93の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。メモリ94は、記憶装置93の一部であってもよい。記憶装置93に記憶されるデータとして、プログラム931が例示される。プログラム931は、コンピュータ9を、フィールド機器1、携帯型操作用装置3、管理装置4又は診断装置5として機能させるプログラム(ソフトウェア)である。プログラム931の一例は、先に述べた診断プログラム512であり、診断部52による処理をコンピュータ9に実行させる。
【0088】
プロセッサ95は、各種の処理を実行する。例えば、プロセッサ95は、記憶装置93からプログラム931を読み込んで(読み出して)メモリ94に展開することで、フィールド機器1、携帯型操作用装置3、管理装置4又は診断装置5において実行される各種の処理をコンピュータ9に実行させる。
【0089】
プログラム931は、インターネット等のネットワークを介してまとめて又は別々に配布することができる。また、プログラム931は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体にまとめて又は別々に記録され、コンピュータ9によって記録媒体から読み込まれることによって実行することができる。
【0090】
以上で説明した技術は、例えば次のように特定される。開示される技術の1つは、診断装置5である。図1図4等を参照して説明したように、診断装置5は、参照フィールド機器1-1、参照フィールド機器1-2等の操作履歴126、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベース511と、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126とに基づいて、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策を特定する診断部52を備える。この診断装置5によれば、診断データベース511を活用して、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策の特定を含む診断対象フィールド機器1-3の診断を自動的に行うことができる。従って、迅速なトラブル対策が可能になる。
【0091】
診断部52は、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126と類似する操作履歴126を有する参照フィールド機器1-1を診断データベース511から検索し、検索によって発見した参照フィールド機器1-1のトラブル要因及びトラブル対策(例えば水素透過及び機器交換)を、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策として特定してよい。操作履歴126は、操作量(例えばゼロ調整量)を含み、類似は、操作量126の経時変化の類似を含んでよい。例えばこのような類似検索とともに診断データベース511を活用して、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策を特定することができる。
【0092】
診断部52は、診断対象フィールド機器1-3に将来発生する可能性のあるトラブルについてのトラブル要因及びトラブル対策を特定してよい。これにより、診断対象フィールド機器1-3のトラブルを未然に回避することができる。
【0093】
診断部52は、トラブル要因及びトラブル対策を特定した診断対象フィールド機器1-3を、新たな参照フィールド機器として診断データベース511に追加してよい。より多くの参照フィールド機器のデータを診断データベース511に蓄積し、次回以降の他の診断対象フィールド機器の診断に役立てることができる。
【0094】
診断装置5は、診断部52が特定した診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策を含む診断結果を出力する出力部53を備えてよい。診断結果を関係者に知らせることで、迅速なトラブル対策に資することができる。
【0095】
図1図5等を参照して説明した診断方法も、開示される技術の1つである。診断方法は、診断データベース511と、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126とに基づいて、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策を特定すること(ステップS2~ステップS4)を含む。このような診断方法によっても、これまで説明したように、迅速なトラブル対策が可能になる。
【0096】
図1図6等を参照して説明した診断プログラム512も、開示される技術の1つである。診断プログラム512は、コンピュータ9に、診断データベース511と、診断対象フィールド機器1-3の操作履歴126とに基づいて、診断対象フィールド機器1-3のトラブル要因及びトラブル対策を特定する処理(ステップS2~ステップS4)を実行させる。このような診断プログラム512によっても、これまで説明したように、迅速なトラブル対策が可能になる。診断プログラム512が記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、開示される技術の1つである。
【0097】
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
(1)
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する診断部、
を備える、
診断装置。
(2)
前記診断部は、前記診断対象フィールド機器の操作履歴と類似する操作履歴を有する参照フィールド機器を前記診断データベースから検索し、検索によって発見した参照フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策として特定する、
(1)に記載の診断装置。
(3)
前記操作履歴は、操作量を含み、
前記類似は、前記操作量の経時変化の類似を含む、
(2)に記載の診断装置。
(4)
前記操作量は、ゼロ調整量を含む、
(3)に記載の診断装置。
(5)
前記診断部は、前記診断対象フィールド機器に将来発生する可能性のあるトラブルについてのトラブル要因及びトラブル対策を特定する、
(1)~(4)のいずれかに記載の診断装置。
(6)
前記診断部は、前記トラブル要因及びトラブル対策を特定した前記診断対象フィールド機器を、新たな参照フィールド機器として前記診断データベースに追加する、
(1)~(5)のいずれかに記載の診断装置。
(7)
前記診断部が特定した前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を含む診断結果を出力する出力部を備える、
(1)~(6)のいずれかに記載の診断装置。
(8)
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定すること、
を含む、
診断方法。
(9)
コンピュータに、
参照フィールド機器の操作履歴、トラブル要因、及びトラブル対策を対応付けて管理する診断データベースと、診断対象フィールド機器の操作履歴とに基づいて、前記診断対象フィールド機器のトラブル要因及びトラブル対策を特定する処理、
を実行させる、
診断プログラム。
【符号の説明】
【0098】
100 診断システム
1 フィールド機器
1-1 参照フィールド機器
1-2 参照フィールド機器
1-3 診断対象フィールド機器
11 センサ
12 演算・操作管理部
121 マイクロプロセッサ
122 操作検知部
123 メモリ
124 基本データ
125 パラメータ
126 操作履歴
127 添付データ
13 DAコンバータ
14 出力回路
15 通信IF
16 操作用スイッチ
2 外部回路
21 伝送線
22 直流電源
23 抵抗器
3 携帯型操作用装置
4 管理装置
41 フィールド機器通信部
42 機器データ管理部
43 機器データ保存部
431 機器データ
44 ユーザインタフェース部
441 接続機器用表示設定部
442 保存機器データ用表示設定部
45 作業報告書作成部
5 診断装置
51 記憶部
511 診断データベース
512 診断プログラム
52 診断部
53 出力部
9 コンピュータ
91 通信装置
92 表示装置
93 記憶装置
931 プログラム
94 メモリ
95 プロセッサ
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6