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特開2024-13604連窓方立構造および連窓の誤差調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013604
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】連窓方立構造および連窓の誤差調整方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20240125BHJP
   E04B 2/96 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115815
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(72)【発明者】
【氏名】小関 裕紀子
【テーマコード(参考)】
2E002
2E011
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB01
2E002PA01
2E002QA08
2E011BA01
(57)【要約】
【課題】建物の開口に連窓を設ける際に、施工現場で寸法の誤差調整が容易に行える連窓方立構造および連窓の誤差調整方法を提供する。
【解決手段】連窓方立構造は、枠体にパネルが支持され、幅方向に並べて配置される複数のサッシ110,120と、隣り合う前記サッシの前記枠体どうしの間に設けられ、隣り合う前記枠体を連結する方立1と、前記枠体に形成された係止片23と、前記係止片が挿入可能に前記方立の側面から突出して形成され、前記枠体の縦枠2A,2Bに対する前記方立の幅方向の位置を調整する調整部3と、を備え、前記調整部内における前記係止片の幅方向の位置によって前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置が位置決めされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体にパネルが支持され、幅方向に並べて配置される複数のサッシと、
隣り合う前記サッシの前記枠体どうしの間に設けられ、隣り合う前記枠体を連結する方立と、
前記枠体に形成された係止片と、
前記係止片が挿入可能に前記方立の側面から突出して形成され、前記枠体の縦枠に対する前記方立の幅方向の位置を調整する調整部と、を備え、
前記調整部内における前記係止片の幅方向の位置によって前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置が位置決めされる
連窓方立構造。
【請求項2】
前記調整部が前記方立の幅方向に離れた2箇所に設けられ、
隣り合う一対の前記枠体の前記係止片がそれぞれ前記調整部に係止され、
前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置がそれぞれ位置決めされる
請求項1に記載の連窓方立構造。
【請求項3】
幅方向における前記調整部の長さが前記係止片の寸法より大きい、
請求項1または請求項2に記載の連窓方立構造。
【請求項4】
前記調整部が前記方立の横側面から突出して形成され、
前記調整部は、前記方立の前記横側面と平行に延びる位置決め面を有し、幅方向における前記方立の側面と前記位置決め面との間の長さが前記係止片の寸法より大きく、
前記係止片が前記位置決め面または前記横側面に当接することによって、前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置が位置決めされる
請求項1または請求項2に記載の連窓方立構造。
【請求項5】
前記調整部の前記位置決め面の挿入端部に向かって前記調整部の幅方向の長さが長くなるように斜面を有する
請求項4に記載の連窓方立構造。
【請求項6】
前記縦枠に前記幅方向と直交する方向に延びるリブが形成され、
前記リブと前記係止片とは、前記幅方向の位置が一致する
請求項4に記載の連窓方立構造。
【請求項7】
幅方向において、前記係止片に隣接してスペーサが設けられている
請求項1に記載の連窓方立構造。
【請求項8】
枠体にパネルが支持されるサッシを方立の横に配置し、
前記枠体の縦枠に備える係止片を、前記方立に備える調整部内に配置し、
前記サッシを設置する開口の幅方向の寸法に合わせて、前記調整部内の幅方向における前記係止片の位置を調整し、
位置決めされた前記方立を前記縦枠と固定する
連窓の誤差調整方法。
【請求項9】
前記方立に前記調整部が幅方向に離れた2箇所に設けられており、
隣り合う一対の前記枠体の前記係止片をそれぞれ前記調整部内に配置し、
前記調整部の幅方向の第一端または第二端のいずれか一方に、前記係止片を当接させて、前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置がそれぞれ位置決めされる
請求項8に記載の連窓の誤差調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連窓方立構造および連窓の誤差調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中高層ビル等の建築物において、複数の窓サッシを並べて方立で連結した連窓が採用されている。例えば、特許文献1には、建物の躯体間に複数のカーテンウォールユニットを連結してカーテンウォールを設置し、建物の外壁を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-045617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窓サッシを取り付ける開口は、設計上の寸法と、施工現場における実際の寸法とに誤差が生じる場合がある。あるいは、窓サッシ自体や窓サッシを連結する部品において、設計寸法と、製造上の寸法との間に誤差が生じる場合がある。そのため、施工現場で寸法確認および設置位置の微調整が行われている。特許文献1では、位置調整用の部品を取り付ける作業が必要であり、手間を要する。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物の開口に連窓を設ける際に、施工現場で寸法の誤差調整が容易に行える連窓方立構造および連窓の誤差調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る連窓方立構造は、枠体にパネルが支持され、幅方向に並べて配置される複数のサッシと、隣り合う前記サッシの前記枠体どうしの間に設けられ、隣り合う前記枠体を連結する方立と、前記枠体に形成された係止片と、前記係止片が挿入可能に前記方立の側面から突出して形成され、前記枠体の縦枠に対する前記方立の幅方向の位置を調整する調整部と、を備え、前記調整部内における前記係止片の幅方向の位置によって前記縦枠に対する前記方立の幅方向の位置が位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】連窓方立構造を含む連窓の正面図。
図2】第一実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図3】第一実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図4】第一実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図5】第一実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図6】第一実施形態に係る方立の縦断面図。
図7】第二実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図8】第二実施形態に係る連窓ユニットの斜視図。
図9】第二実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図10】第二実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図11】第三実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図12】第三実施形態に係る連窓ユニットの横断面図。
図13】第四実施形態の連窓ユニットの横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一実施形態)
以下、図面を参照し、連窓ユニット100の一実施形態を説明する。図2から図13は、図1に示すA-A断面における図である。連窓ユニット100は、建物の開口に複数の窓サッシ110,120を連結して取り付ける。以下、窓サッシ110を「サッシ」と記載する。図2および図3に示すように、連窓ユニット100は、複数のサッシ110,120と、方立1とを備える。サッシ110,120は、枠体2内にパネル101,102が収められて固定されている。パネル101,102は、例えば、複層ガラスである。各パネルは、単層ガラスであっても複層ガラスであってもよい。連窓ユニット100は2以上のサッシを並べて構成され、隣り合うサッシ間に方立1が設けられている。一例として、2つのサッシ110,120が並ぶ例を図示しているが、連窓ユニット100のパネルの数は図示例に限定されない。
【0009】
以下の説明では、パネル101,102の厚さ方向を室内外方向Yと称する。室内外方向Yと直交する方向のうち、鉛直方向を縦方向Zと称し、室内外方向Yおよび縦方向Zと直交する水平方向を幅方向Xと称する。
【0010】
枠体2は、一対の縦枠2A,2Bと、上枠2C、および下枠2Dとを備える。図1に示すように、枠体2は、一対の縦枠2A,2B、上枠2Cおよび下枠2Dが矩形に形成されている。枠体2は例えば、アルミニウム合金型等の金属材料からなる型材である。上枠2Cおよび下枠2Dを横枠2C,2Dと記載する場合がある。
【0011】
横枠2C,2Dは、一対の縦枠2A,2Bの間に配置されている。横枠2C,2Dの長手方向の両端部が一対の縦枠2A,2Bに取り付けられている。
【0012】
以下の説明において、一対の縦枠2A,2Bのうち、室内I側から室外O側に向かってサッシ110,120を見たとき、パネル101の左側の縦枠を第一縦枠2Aと記載し、右側の縦枠を第二縦枠2Bと記載する。第一縦枠2Aおよび第二縦枠2Bは、幅方向Xに並んで配置されている。
【0013】
縦枠2A,2Bは、中空部21と、パネル支持部22と、係止片23と、被固定部24と、を備える。中空部21は、水平断面形状が略矩形であり、室外O側に配置される。パネル支持部22は、中空部21の幅方向Xの側面211から突出して形成されている。パネル支持部22は、パネル101,102の幅方向Xの端部が挿入されて保持可能な形状を有する。
【0014】
係止片23は、中空部21の室内O側の面212から室内O側に向かって突出している板状片である。係止片23は、室内外方向Yに沿って延びている。係止片23は、パネル支持部22側の第一面231と、第一面231と幅方向Xの反対側の第二面232とを有する。第二面232は、方立1の側面11と対向配置される面である。
【0015】
被固定部24は、縦枠2A,2Bを方立1にねじ90で固定する部位である。被固定部24は、縦枠2A,2Bの室内I側の端部から幅方向Xに延びる平板部である。被固定部24にねじ孔を有する。
【0016】
被固定部24の近傍に、室内外方向Yに突出して延びるリブ25が形成されている。リブ25は、係止片23と幅方向Xの位置が略等しい。リブ25は、係止片23と同様に縦枠2A,2Bの方立1に対する位置を案内可能である。係止片23とリブ25との間は室内外方向Yに隙間を有する。リブ25は必須の構成ではない。
【0017】
中空部21の室内O側端部に当接部213が設けられている。当接部213は中空部21から幅方向Xに沿って延びる。当接部213は必須の構成ではない。
【0018】
方立1は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料からなる型材である。方立1は、縦方向Zに沿って配置される長尺部材である。方立1は、本体4と、調整部3と、固定部6と、カバー係止部7と、を備える。本体4は、略矩形の中空部である。本体4は、中空部が隔壁45によって室内外方向Yに2つに区切られている。本体4は、室内外方向Yに内本体4aと外本体4bとが並んで設けられている。本体4は、方立1の長さ方向である縦方向Zの略全長に亘って形成されている。外本体4bは、パネル101,102の間に配置される。内本体4aは、パネル101,102よりも室内I側に突出した位置に配置される。
【0019】
外本体4bの幅方向Xの両側の側面を横側面11と称する。横側面11は、室内外方向Yに沿う平面である。室外O側に配置される外本体4bの外面15は、幅方向Xに沿う平面である。
【0020】
調整部3は、横側面11に設けられている。本実施形態では、外本体4bの2つの横側面11に一対の調整部3が設けられている。一対の調整部3は、方立1の幅方向Xの中心線を中心に線対称となるように設けられている。
【0021】
調整部3は、例えば、図2および図3に示すように、水平断面形状が略L字形状を有する。調整部3は、支持部31と位置決め部32とを含む。支持部31は、横側面11から幅方向Xに突出している。位置決め部32は、支持部31の突出端311から室内外方向Yに沿って室外O側に延びている。図5に示すように、調整部3は、縦枠2A,2Bの係止片23の端部235が当接する底面33を有する。底面33は、幅方向Xに沿う平面である。例えば、調整部3は、水平断面形状が略U字形状の溝である。幅方向Xにおける内面321と横側面11との間の寸法L31は、係止片23の厚さT23よりも長い。そのため、係止片23が調整部3内に配置された状態で、係止片23は内面321と横側面11との間を幅方向Xに移動可能な隙間が形成される。この隙間は施工時の誤差調整用の隙間である。支持部31には、係止片23の端部が当接する。支持部31は、係止片23を支持する。内面321は、位置決め面の一例である。
【0022】
調整部3は、一例として略L字形状の例を示しているが、この形状に限定されない。位置決め部32は、少なくとも横側面11に対向する内面321が室内外方向Yに沿う平面であればよい。位置決め部32は、係止片23が挿入可能であり、室内外方向Yに沿って開口する溝が形成されていればよい。
【0023】
固定部6は、被固定部24を固定する部位である。固定部6には、室内外方向Yに貫通する挿入孔61が形成されている。挿入孔61は、ねじ90が挿入可能な大きさを有する。図6は、図2に示すC6-C6線における方立1の部分断面図である。図6に示すように、挿入孔61は、幅方向Xに長い長孔である。挿入孔61の幅方向Xの開口寸法は寸法L31の長さ以上である。挿入孔61が長孔である結果、施工後にも調整が可能である。固定部6の幅方向Xの端部にカバー係止部7が設けられている。カバー係止部7は、被固定部の幅方向Xの端部から室内I側に室内外方向Yに沿って突出している。
【0024】
連窓ユニット100の構造について説明する。連窓ユニット100は、建物の開口を塞ぐように設置される。図2および図3に示すように、幅方向Xに隣り合う2以上のサッシ110,120の間に方立1が設けられる。外本体4bを一対の縦枠2A,2Bが挟むように配置される。方立1の固定部6に縦枠2A,2Bの被固定部24が当接し、調整部3に係止片23が係止されている。係止片23の端部235が底面33に当接している。外面15に縦枠2A,2Bの当接部213が当接している。
【0025】
方立1の固定部6と縦枠2A,2Bの被固定部24とが接触した状態で、ねじ90が厚さ方向に貫通することによって、方立1と縦枠2A,2Bとが固定されている。方立1の内本体4aは室内O側から方立カバー8によって覆われている。方立カバー8はカバー係止部7に方立カバー8の係止端81が係止されることによって取り付けられている。
【0026】
次に、連窓方立構造および連窓の誤差調整方法について説明する。連窓ユニット100は、所定のピッチで設置できるように製造されている。しかし、建物の開口の寸法、サッシ110,120の寸法は、製造上の寸法誤差や、施工現場の開口寸法等によって設計上の寸法と僅かに異なる場合がある。そのため、施工現場において、実際の開口寸法と、連窓ユニット100の寸法とが合致するように、微調整を行う。微調整は、施工現場で床等の平面上に連窓ユニット100を並べて組み立てた後、建物の開口寸法に合わせて微調整を行う場合や、開口に仮設置しながら微調整する場合がある。方立1は、サッシ110,120の幅方向Xの寸法を微調整できる。
【0027】
まず、連窓の取り付け時には、平置きで数窓をつなげた後に建物の開口に仮設置をする。仮設置後に寸法を再計測し正しい寸法になっているかを確認する。その時に寸法がずれている場合には取り外して施工をやり直すこともある。挿入孔61が長孔であることによって建物の開口への仮設置後も、長孔の長さの範囲で容易に微調整が可能になる。縦枠2A,2Bを方立1の横に配置し、係止片23を調整部3に挿入する。このとき、リブ25が横側面11に接触して縦枠2A,2Bを方立1に円滑に取り付けられる。係止片23を調整部3内に挿入すると、被固定部24が固定部6に当接し、縦枠2A,2Bは方立1に仮係止される。次に、施工現場の開口の幅方向Xの寸法に合わせて、縦枠2A,2Bに対する方立1の幅方向Xの位置を調整する。具体的には、方立1を幅方向Xに移動させて、調整部3内の幅方向Xにおける係止片23の位置を調整する。
【0028】
具体的には、図5に示すように、位置決め部32と横側面11との間の寸法L31は、係止片23の厚さ、すなわち、幅方向Xの寸法T23に基づき設定されている。係止片23が調整部3内に配置されて係止された状態で、調整部3の溝内に隙間Sが生じる。例えば、位置決め部32を調整部3に挿入したとき、調整部3内の隙間Sが1.0mmとなるように設定される。すなわち、寸法L31は、係止片23の厚さ寸法T23より1.0mm大きい。縦枠2A,2Bの係止片23を方立1の調整部3に挿入後、係止片23を調整部3の位置決め部32または本体4の横側面11に当接させる。調整部3内の係止片23の位置に応じて、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を多段階に調整可能である。例えば、図2に示すように、一対の係止片23の第一面231がそれぞれ位置決め部32の内面321に当接している場合、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法が最も長い。図3に示すように、一対の係止片23の第二面232がそれぞれ横側面11に当接に当接している場合、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法が最も短い。図4に示すように、第一縦枠2Aの係止片23の第二面232を横側面11に当接させ、且つ、第二縦枠2Bの係止片23の第一面231を内面321に当接させると、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法は、図3に示す長さに比べて1.0mm長くできる。第二縦枠2Bの係止片23の第二面232を横側面11に当接させ、且つ第一縦枠2Aの係止片23の第一面231を内面321に当接させてもよい。横側面11および内面321は調整部の第一端および第二端の一例である。
【0029】
例えば、図3に示すように、第一縦枠2Aおよび第二縦枠2Bそれぞれの係止片23の第二面232を横側面11に当接させた場合に、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法が標準モジュールと同寸法に設定する。施工現場の開口の測定寸法が標準モジュールより僅かに大きい場合、図4に示すように、第一縦枠2Aの係止片23の第二面232を横側面11に当接させ、且つ、第二縦枠2Bの係止片23の第一面231を内面321に当接させると、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法が1.0mm長くできる。あるいは、図2に示すように、第一縦枠2Aおよび第二縦枠2Bそれぞれの係止片23の第一面231を内面321に当接させると、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を標準モジュールよりも2.0mm長くできる。例えば、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法が最も長い長さを標準モジュールに設定し、施工現場では幅方向Xの寸法を短くするように調整可能な構成であってもよい。固定部6の挿入孔61は長孔であるため、位置決めの際、ねじ90を被固定部24のねじ孔に軽くねじ込んだ状態で、固定部6と被固定部24との幅方向Xの相対位置を調整できる。
【0030】
第一縦枠2Aおよび第二縦枠2Bをそれぞれ位置調整した後、固定部6と被固定部24とをねじ90で固定し、縦枠2A,2Bを方立1に固定する。位置調整および固定によって、縦枠2A,2Bの幅方向Xの距離L2が所定の長さで位置決めされる。3以上のサッシを備える場合、上記方法を順次繰り返す。
【0031】
本実施形態に係る連窓ユニット100および連窓方立構造によれば、縦枠2A,2Bの係止片23を調整部3と横側面11との間に挿入し、係止片23のいずれか一方の面を内面321または横側面11に当接させることによって、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を容易に調節できる。
【0032】
本実施形態に係る連窓ユニット100および連窓方立構造によれば、方立1に2つの調整部3を備え、一対の縦枠2A,2Bの幅方向Xの位置がそれぞれ位置決め可能である。この結果、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を多段階に調整できる。
【0033】
本実施形態に係る連窓ユニット100および連窓方立構造によれば、方立1に調整部3を備えているため、縦枠2A,2Bと方立1との接合部のいずれの箇所でも幅方向Xの位置を調整できる。複数の方立1を備える連窓ユニット100の場合、連窓ユニット100の幅方向Xの長さを調整可能な範囲が大きくなる。
【0034】
(第二実施形態)
図7から図10を参照して、第二実施形態に係る連窓ユニット100Aおよび連窓方立構造を説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る連窓ユニット100Aは、方立1Aの形状が第一実施形態と異なる。
【0035】
方立1Aは、調整部3の位置決め部32の室外O側の端部34に傾斜面341が形成されている。具体的には、内面321の室外O側の端部34に、位置決め部32の幅方向Xの厚さが端部34に向かって薄くなるように傾斜面341が形成されている。端部34は挿入端部の一例である。
【0036】
方立1Aは、さらに補強部29を有する。補強部29は、方立1Aの剛性を補強するために設けられている。縦枠2A,2Bを方立1Aに取り付ける方法および位置決方法は第一実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態に係る連窓ユニット100Aおよび連窓方立構造によれば、縦枠2A,2Bの係止片23を調整部3の位置決め部32と横側面11との間に配置し、係止片23のいずれか一方の面を内面321または横側面11に当接させることによって、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を容易に調節できる。
【0038】
本実施形態に係る連窓ユニット100Aおよび連窓方立構造によれば、係止片23の第一面231または第二面232を方立1Aに当接させることによって、縦枠2A,2Bに対する方立1Aの幅方向Xの位置を容易に調整できる。さらに、位置決め部32の内面321に傾斜面が形成されているため、端部34では寸法L31が大きくなり、係止片23を挿入しやすい。
【0039】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る連窓ユニット100Bおよび連窓方立構造について、図11および図12を参照して説明する。調整部3は、方立1に少なくとも1つ設けられていればよい。図11および図12に示すように、調整部3が本体4の一方の横側面11にのみ設けられていても、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を調整できる。本実施形態の場合、図11に示すように、係止片23の第一面231を位置決め部32の内面321に当接させた位置と、図12に示すように、係止片23の第二面232を横側面11に当接させた位置との二段階で幅方向Xの寸法を調整できる。
【0040】
本実施形態に係る連窓ユニット100Bおよび連窓方立構造によれば、縦枠2A,2Bの係止片23を調整部3の位置決め部32と横側面11との間に挿入し、係止片23のいずれか一方の面を内面321または横側面11に当接させることによって、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を容易に調節できる。
【0041】
(第四実施形態)
第四実施形態に係る連窓ユニット100Cおよび連窓方立構造について、図13を参照して説明する。連窓ユニット100は、さらにスペーサ5を設けてもよい。図13に示すように、本実施形態では、予め係止片23の一方の面にスペーサ5が貼り付けられている。スペーサ5は平板部材である。スペーサ5の厚さは、係止片23の厚さとの合計が寸法L31と略等しい寸法に設定する。係止片23の第一面231が位置決め部32の内面321と当接した位置が標準的なモジュールに適合する寸法である。設置場所の開口寸法が標準モジュールと一致する場合、スペーサ5を備える結果、係止片23を挿入すれば係止片23がスペーサ5を介して内面321に当接し、調整作業を行うことなく標準モジュールに適合する連窓ユニット100を組み立てられる。一方、建物の開口の幅方向Xの寸法が標準モジュールよりも小さい場合、施工現場でスペーサ5を一つまたは両方を剥離し、第一実施形態と同様の方法で幅方向Xの寸法を調節できる。スペーサ5は係止片23に隣接して設けられている。スペーサ23は、位置決め部32に設けられていてもよい。
【0042】
図13に示す例では、リブ25および補強部29にもスペーサ5が貼り付けられている。リブ25および補強部29にもスペーサ5を設けることにより、方立1と縦枠2A,2Bとを係止する時、容易に位置合わせできる。施工時、係止片23のスペーサ5を取り外した場合は、リブ25および補強部29のスペーサ5も取り外す。
【0043】
本実施形態に係る連窓ユニット100C、連窓方立構造および連窓の誤差調整方法によれば、標準モジュールの連窓ユニット100を容易に組み立てられる。加えて、スペーサ5を取り外せば、第一実施形態と同様に、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を容易に調整できる。
【0044】
スペーサ5は、方立1の横側面11のうちの調整部3と対向する位置に貼り付けられていてもよい。スペーサは、位置決め部32の内面321に貼り付けられていてもよい。スペーサ5は上記例の3箇所全てに設ける例に限定されない。例えば、係止片23、リブ25、および補強部29のうちの少なくとも1か所に設けてもよい。
【0045】
例えば、調整部3内における係止片23の調整可能寸法に対して、スペーサ5の厚さを調整することによって、連窓ユニット100Aの幅方向Xの寸法をさらに多段階で調整できる。例えば、調整部3内における係止片23の位置に応じて、連窓ユニット100Bの幅方向Xの寸法が1.0mm単位で調整できる場合に、スペーサの厚さを0.5mmにすることによって、スペーサ5の着脱により、さらに幅方向Xの寸法を多段階に調整可能である。
【0046】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100、100A,100B,100Cおよび連窓方立構造によれば、方立1の横側面11から突出する調整部3を備え、縦枠2A,2Bに備える係止片23を調整部3に挿入すると、調整部3内に隙間Sが生じる。このため、方立1を幅方向Xに移動させることによって、縦枠2A,2Bに対する方立1の幅方向Xの位置を容易に調整できる。係止片23の一方の面を横側面11または内面321に当接させることによって、縦枠2A,2Bに対する方立1の幅方向Xの位置を調整できる。係止片23を調整部3の内面321に当接させたときと、横側面11に当接させた時とで、幅方向Xの位置を所定の長さで変えることができる。このため、施工現場でミリ単位の位置合わせ作業を行うことなく、簡便な操作で位置決めでき、作業性が向上する。
【0047】
上記実施形態に係る連窓ユニット100,100A,100B,100Cおよび連窓方立構造によれば、方立1に2つの調整部3を備え、一対の縦枠2A,2Bの幅方向Xの位置がそれぞれ位置決め可能である。この結果、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を多段階に調整できる。
【0048】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100,100A,100B,100Cによれば、調整部3の幅方向Xの長さが係止片23の幅方向Xの厚さT23より大きい。このため、係止片23が調整部3に挿入された状態で内面321と横側面11との間に隙間Sが形成される。したがって、調整部3内の係止片23の幅方向Xの位置を調整できる。
【0049】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100,100A,100B,100Cおよび連窓方立構造によれば、調整部3が方立1の横側面11から突出して形成され、調整部3は、横側面11と平行に延びる位置決め面である内面321を有し、横側面11と内面321との間に係止片23が配置される。幅方向Xの横側面11と内面321との長さが係止片23の幅方向Xの寸法より大きく、係止片23が調整部3に配置された状態で調整部3の内側に隙間Sが形成される。したがって、調整部3内の係止片23の幅方向Xの位置を調整できる。係止片23が内面321または横側面11に当接することによって、縦枠2A,2Bに対する方立1の幅方向Xの位置が位置決めされる。この結果、施工現場でミリ単位の位置合わせ作業を行うことなく、簡便な操作で位置決めでき、作業性が向上する。
【0050】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100Aおよび連窓方立構造によれば、調整部3の端部34に傾斜面341を有するため、係止片23を調整部3内に挿入しやすく、施工性が向上する。特に、縦枠2A,2Bを方立1に対して傾けた位置から近付けて取り付ける場合に係止片23が調整部3に接触し難く円滑に挿入できる。
【0051】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100,100A,100B,100Cおよび連窓方立構造によれば、縦枠2A,2Bに、調整部3にの内面321と幅方向Xの位置が一致するリブ25を備えるため、縦枠2A,2Bを方立1に対して近付けて取り付ける際、係止片23による位置決めをリブ25でガイドできる。方立1に対して縦枠2A,2Bを位置決めする際や固定する際に、縦枠2A,2Bのがたつきを抑えて、円滑に組み立て作業を行うことができる。
【0052】
上記各実施形態に係る連窓ユニット100Cおよび連窓方立構造によれば、スペーサ5を取り外せば、連窓ユニット100の幅方向Xの寸法を容易に調整できる。調整部3内における係止片23の調整可能寸法に対して、スペーサ5の厚さを調整することによって、連窓ユニット100Aの幅方向Xの寸法をさらに多段階で調整できる。
【0053】
上記各実施形態では、調整部3が横側面11から幅方向Xに突出して形成される例を示したが、調整部3の位置は方立1の横側面11に限定されない。例えば、外本体4bの室外O側の外面15に調整部3を設けてもよい。具体的には、上記各実施形態の断面形状がL字形状の調整部3に代えて、外面15から室外O側に突出し、平行に延びる一対の位置決め部を設けてスリット状の溝を形成し、溝内に縦枠2A,2Bの係止片を挿入し、係止片の一方の面を位置決め部内で当接させて縦枠2A,2Bの幅方向Xの位置決めを行ってもよい。
【0054】
上記各実施形態では、水平断面形状が略L字形状の調整部3の例を示したが、調整部の形状はこれに限定されない。調整部は、方立1の側面から突出し、かつ、室内外方向Yい沿って延びる位置決め部を備えればよい。例えば、調整部は、縦方向Zの断面形状が略L字形状であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、調整部3と係止片23との隙間Sを統一した例を示したが、この例に限定されない。例えば、隙間Sの寸法を、方立1の各調整部3で異なる寸法に設定し、さらに微調整できるように構成してもよい。例えば、一方の調整部3の隙間Sの大きさが1.0mm、他方の調整部3の隙間Sの大きさが1.5mmとなるように、各調整部3の寸法L31を設定してもよい。この場合、さらに連窓ユニット100の幅方向Xの寸法の微調整の幅が広がる。
【0056】
上述の実施形態は、例示であり、上記開示の範囲に限定されない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1,1A.1B.1C・・・方立、2・・・枠体、2A、2B・・・縦枠、3・・・調整部、5・・・スペーサ、11・・・横側面(側面)、15・・・外面(側面)、23・・・係止片、25・・・リブ、34・・・端部(挿入端部)、100、100A、100B、100C・・・連窓ユニット、101、102・・・パネル、110、120・・・サッシ、321・・・内面(位置決め面)、341・・・傾斜面
図1
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