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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136075
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】洗浄パッド、及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/00 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
B08B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047044
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 紀仁
(72)【発明者】
【氏名】越智 祐樹
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA01
3B116BA08
3B116BA23
(57)【要約】
【課題】ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための新規の洗浄パッド、及び洗浄方法を提供すること。
【解決手段】平均粒子径D50が1.0μm以上6.0μm以下であり、モース硬度が2.0以上7.0以下である粒子を含む発泡樹脂シートを備え、前記発泡樹脂シートは、ショアA硬度が25度以上であり、ショアD硬度が60度以下であり、前記粒子の前記発泡樹脂シートに対する含有量が、5.0質量%以上25質量%以下である、ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための洗浄パッド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径D50が1.0μm以上6.0μm以下であり、モース硬度が2.0以上7.0以下である粒子を含む発泡樹脂シートを備え、
前記発泡樹脂シートは、ショアA硬度が25度以上であり、ショアD硬度が60度以下であり、
前記粒子の前記発泡樹脂シートに対する含有量が、5.0質量%以上25質量%以下である、
ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための洗浄パッド。
【請求項2】
前記発泡樹脂シートが、実質的に繊維を含有しない、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項3】
前記発泡樹脂シートが、ポリウレア樹脂を含む、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項4】
前記発泡樹脂シートの平均発泡径が、40μm以上180μm以下である、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項5】
前記発泡樹脂シートの密度が、0.30g/cm3以上0.80g/cm3以下である、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項6】
前記粒子が、酸化セリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項7】
前記基板が、ガラス板、ガラス層上に導電層を備えるガラス電極、又はこれらの表面にレジスト膜を備えるレジスト膜付き基板である、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項8】
前記洗浄が、研磨砥粒を用いずに、前記洗浄パッドを前記基板の表面に接触させたまま前記洗浄パッドと前記基板とを相対的に移動させる工程を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗浄パッド。
【請求項9】
前記洗浄が、実質的に水からなる洗浄液の存在下で実施される、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗浄パッド。
【請求項10】
研磨砥粒を含まない洗浄液の存在下、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗浄パッドを用いて、ガラス層を含む基板の表面を洗浄する工程を含む、基板の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄パッド、及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル及びディスプレイパネルのようなガラス層を含む基板製品の製造方法は、通常ガラス層の洗浄工程を有する。例えば特許文献1には、ガラス基板に透明電導膜を成膜した後に、ガラス基板表面の異物を除去するための洗浄工程を含む、導電基板の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、ガラス基板上に配設された電極用膜をエッチング処理した後に洗浄を実施すること、及び必要に応じてレジスト膜の除去工程時に発生したレーザー光照射による飛散物の洗浄を実施することが開示されている。
【0003】
上記のような洗浄工程は、前段工程において基板上に残留したガラス屑(カレットとも呼ばれる)、薬剤、油膜、その他の飛散物のような異物を除去する。このような洗浄工程は、基板と他の部材(例えば、偏光板)とを積層する際の接合不良、及び透明電導膜の機能不良等を抑制することを目的とする。
【0004】
洗浄工程で用いられる洗浄部材について、形状としてはシート状、及びローラー状等が用いられており、材質としては樹脂スポンジ、不織布、及びブラシ等が用いられている(特許文献3、4)。また、特許文献5には、ガラス研磨工程が異物除去を兼ねる方法が開示されている。特許文献6には、ガラス基板の表面に付着した異物を除去するために、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、及びアルミナのような研磨砥粒とバインダーとを含む固定砥粒層を備える異物除去パッドを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-82580号公報
【特許文献2】特許第4220254号公報
【特許文献3】特許第7081351号公報
【特許文献4】特開2012-213746号公報
【特許文献5】特開2016-28988号公報
【特許文献6】国際公開第2011/126028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガラス層を含む基板の洗浄方法の開発は未だ限定的であり、ガラス層を含む基板を洗浄するための新たな方法、及びこれに用いられる洗浄部材が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための新規の洗浄パッド、及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、粒子を含む発泡樹脂シートを備えるパッドにおいて、発泡樹脂シートの硬度、並びに粒子の硬度及び含有量を調整することにより、有用な洗浄パッドが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
平均粒子径D50が1.0μm以上6.0μm以下であり、モース硬度が2.0以上7.0以下である粒子を含む発泡樹脂シートを備え、
前記発泡樹脂シートは、ショアA硬度が25度以上であり、ショアD硬度が60度以下であり、
前記粒子の前記発泡樹脂シートに対する含有量が、5.0質量%以上25質量%以下である、
ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための洗浄パッド。
[2]
前記発泡樹脂シートが、実質的に繊維を含有しない、[1]に記載の洗浄パッド。
[3]
前記発泡樹脂シートが、ポリウレア樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の洗浄パッド。
[4]
前記発泡樹脂シートの平均発泡径が、40μm以上180μm以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[5]
前記発泡樹脂シートの密度が、0.30g/cm3以上0.80g/cm3以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[6]
前記粒子が、酸化セリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、又はこれらの混合物である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[7]
前記基板が、ガラス板、ガラス層上に導電層を備えるガラス電極、又はこれらの表面にレジスト膜を備えるレジスト膜付き基板である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[8]
前記洗浄が、研磨砥粒を用いずに、前記洗浄パッドを前記基板の表面に接触させたまま前記洗浄パッドと前記基板とを相対的に移動させる工程を含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[9]
前記洗浄が、実質的に水からなる洗浄液の存在下で実施される、[1]~[7]のいずれか1つに記載の洗浄パッド。
[10]
研磨砥粒を含まない洗浄液の存在下、[1]~[7]のいずれか1つに記載の洗浄パッドを用いて、ガラス層を含む基板の表面を洗浄する工程を含む、基板の洗浄方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス層を含む基板の表面を洗浄するための新規の洗浄パッド、及び洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0012】
[洗浄パッド]
(構成)
本実施形態の洗浄パッドは、平均粒子径D50が1.0μm以上6.0μm以下であり、モース硬度が2.0以上7.0以下である粒子を含む発泡樹脂シートを備え、発泡樹脂シートは、ショアA硬度が25度以上であり、ショアD硬度が60度以下であり、粒子の発泡樹脂シートに対する含有量が、5.0質量%以上25質量%以下であり、ガラス層を含む基板の表面を洗浄するために用いられる。本実施形態の洗浄パッドは、このような構成を有するため、洗浄工程における傷の発生を抑制しながら高い異物除去性能を実現できる。
【0013】
洗浄パッドは、発泡樹脂シートのみからなるパッドであってよく、発泡樹脂シートと1又は複数の他の層とを含むパッドであってよい。他の層としては、例えば発泡樹脂シートよりも硬度が低いクッション層、発泡樹脂シートよりも硬度が高い硬質層、及び発泡樹脂シートと他の層若しくは他の層同士を接着する、接着剤又は粘着剤を含む接着層が挙げられる。
【0014】
本実施形態の洗浄パッドは、少なくとも一部の表面が発泡樹脂シートで構成されている。すなわち、洗浄パッドは、洗浄面が発泡樹脂シートで構成されており、当該洗浄面を洗浄対象とする基板の表面に接触させたまま洗浄パッドと洗浄対象である基板とを相対的に移動させることにより洗浄を行う。洗浄パッドを基板の表面に接触させたままそれらを相対的に移動するので、その移動方向は上記表面の面内方向となる。本実施形態の洗浄パッドは、好ましくは、少なくとも片面が発泡樹脂シートにより構成されている。
【0015】
洗浄パッドの形状及び寸法は洗浄対象に応じて適宜選択すればよい。また、洗浄パッドは、必要に応じて、洗浄面(すなわち、発泡樹脂シートの表面)に溝加工、エンボス加工、及び/又は、穴加工(パンチング加工)が施されていてもよい。溝加工及びエンボス加工の形状に特に限定はなく、例えば、格子型、同心円型、及び放射型等の形状が挙げられる。
【0016】
(発泡樹脂シート)
本実施形態の洗浄パッドが備える発泡樹脂シートは、発泡樹脂及び粒子を含む。発泡樹脂シートは、発泡樹脂をマトリクスとして、粒子が樹脂中に分散している構造を有していてよい。発泡樹脂シートは、樹脂マトリクス中に、気泡(空隙)及び粒子が分散して含まれる構造を有していてよい。
【0017】
発泡樹脂シートは、好ましくは実質的に繊維を含有しない。ガラス層を含む基板の表面を洗浄する際、ブラシ及び不織布を含む洗浄パッドのような実質的に繊維からなる洗浄部材を用いる場合、一度除去した異物が洗浄部材の繊維の隙間に入り込み、当該異物が基板の表面を傷つける可能性がある。本実施形態の洗浄パッドにおいて、発泡樹脂シートが実質的に繊維を含有しないと、基板表面から除去した異物が発泡樹脂シート内部に入り込むことを防ぐことができ、除去した異物に起因する傷の発生を一層抑制することができる。実質的に繊維を含有しないとは、発泡樹脂シートがその構成要素として、繊維状の部材を含まないことを意味し、例えば発泡樹脂シートは、不織布を含まない。
【0018】
(樹脂)
発泡樹脂シートは、樹脂中に気泡(空隙)及び粒子を含むものである。発泡樹脂シートに含まれる樹脂は特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタンポリウレア樹脂、エポキシ樹脂、及びその他公知の樹脂が挙げられる。その中でも、発泡樹脂シートは、ウレア結合を有する樹脂(ポリウレア樹脂)を含むことが好ましく、ポリウレタンポリウレア樹脂を含むことがより好ましい。
【0019】
ポリウレア樹脂は、ウレア結合を有しない樹脂と比較して、水素結合が形成されやすく、湿潤状態かつ高温条件下では水素結合が切断されることで軟化する傾向にある。したがって、発泡樹脂シートがポリウレア樹脂を含むと、高圧条件で洗浄する場合でも主に洗浄面で生じる摩擦熱により洗浄面のみが軟化する。その結果、ポリウレア樹脂を含む発泡樹脂シートを備える洗浄パッドによって洗浄すると、精密な圧力管理を要せずに樹脂由来の傷の発生を抑制しつつ、表面以外の強度を一定に維持できる。また、ウレタン結合をさらに有すると、常温常圧時でも適度な弾性及び軟質性を維持し、幅広い洗浄条件下での傷の発生が抑制される傾向にある。
発泡樹脂シートは樹脂を1種単独で又は2種以上組み合わせて含んでよい。
【0020】
発泡樹脂シートに含まれる気泡は、連通気泡であってよく、独立気泡であってもよいが、好ましくは連通気泡を含む。発泡樹脂シートの気泡が連通気泡を含むと、基板洗浄の際に洗浄液をより効率的に利用できる傾向にある。
【0021】
発泡樹脂シートの平均発泡径は特に限定されないが、好ましくは40μm以上180μm以下であり、より好ましくは45μm以上160μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上150μm以下である。平均発泡径が上記の範囲内であることにより、発泡樹脂シートの弾性及び軟質性が洗浄パッドでの用途においてより好適な範囲となる傾向にある。
【0022】
発泡樹脂シートの平均発泡径は、発泡樹脂シートの表面(洗浄面)又は厚さ方向における断面において観察される気泡の円相当直径の平均値であってよい。また、平均値は、少なくとも1mm四方の範囲における気泡の円相当直径を測定した結果の相加平均であってよい。平均値の計算に用いる気泡は、円相当直径が10μm以上のものであってよい。すなわち、気泡の円相当直径のカットオフ値を10μmに設定してよい。平均発泡径は、例えば、発泡剤及び/又は整泡剤の種類及び/又は添加量を調整することにより制御することができる。
【0023】
(粒子)
本実施形態の洗浄パッドでは、発泡樹脂シートが、平均粒子径D50が1.0μm以上6.0μm以下であり、モース硬度が2.0以上7.0以下である粒子を特定の含有量で含む。これにより、基板表面を洗浄する際の傷や摩耗の発生を抑制しつつ、高い異物除去性能を実現することができる。その結果、基板表面の傷、摩耗、及び/又は異物に起因する、基板と他の部材(例えば、偏光板)とを積層する際の接合不良、及び透明電導膜の機能不良等を抑制することができる。発泡樹脂シートにおいて、その面内方向及び厚み方向に略均一に粒子が分散することが好ましい。
【0024】
かかる粒子の平均粒子径D50(メディアン径)は、上記の範囲で、好ましくは1.1μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは1.2μm以上4.5μm以下であり、さらにより好ましくは1.3μm以上4.2μm以下である。粒子の平均粒子径D50が上記の範囲内にあることにより、粒子の分散性を一層向上させると共に、異物除去性能をより高めることができ、また、粒子に起因する傷の発生をより確実に抑制することができる。
【0025】
粒子の平均粒子径D50は、例えば、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、MT3300)を用いて、レーザー回折法により測定することができる。
【0026】
粒子のモース硬度は、上記の範囲で、好ましくは2.5以上6.5以下であり、より好ましくは3.0以上6.0以下である。粒子のモース硬度が上記の範囲内にあることにより、傷の発生をより抑制しつつ、より高い異物除去性能を実現することができる。
【0027】
粒子の材質としては、上記の特性を有する限り特に限定されないが、例えば酸化セリウム、及び炭酸カルシウムが挙げられる。発泡樹脂シートは、上記の粒子として、酸化セリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、又はこれらの混合物を含んでいてよい。酸化セリウム、及び炭酸カルシウムは、耐薬品性が高いため、粒子としてこれらの粒子を用いると、洗浄パッドはより耐薬品性が高くなる傾向にある。
【0028】
かかる粒子は、発泡樹脂シートにおいて、5.0質量%以上25質量%以下の含有量で含まれる。発泡樹脂シートにおける粒子の含有量は、好ましくは6.0質量%以上22質量%以下であり、より好ましくは7.0質量%以上20質量%以下である。粒子の含有量が上記の範囲内にあることにより、傷の発生をより抑制することができる。また、粒子の含有量が上記の範囲内にあると、樹脂シートが適度に脆性を有することで表面が自己崩壊しやすく、目詰まりをより抑制することができる。その結果、より高い異物除去性能を実現することができる。発泡樹脂シートにおける粒子の含有量は、発泡樹脂シート全体を100質量%としたときの値として算出される。
【0029】
以上、発泡樹脂シートに含まれる成分について詳述したが、発泡樹脂シートは、上記の成分以外に、添加剤に由来する成分を含有していてもよい。そのような添加剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、触媒、発泡剤、整泡剤、染料、顔料、難燃剤、親水化剤、疎水化剤、耐光剤、酸化防止剤、及び帯電防止剤等が挙げられる。
【0030】
(発泡樹脂シートの物性)
発泡樹脂シートは、ショアA硬度が25度以上であり、ショアD硬度が60度以下である。本明細書において、ショア硬度は日本産業規格(JIS K 7311-1995)に従い測定する。したがって、発泡樹脂シートのショア硬度を測定する際、原則ショアA硬度が95度以上のときにショアD硬度を測定する。また、ショアD硬度が20度以下の場合はショアA硬度を測定してよい。
【0031】
発泡樹脂シートの硬度は、好ましくはショアA硬度が28度以上、ショアD硬度が58度以下であり、より好ましくはショアA硬度が30度以上、ショアD硬度が55度以下である。発泡樹脂シートのショアA硬度は、35度以上、40度以上、50度以上、60度以上、又は70度以上であってよい。発泡樹脂シートのショアD硬度は、50度以下、45度以下、又は40度以下であってよい。発泡樹脂シートの硬度が上記の範囲内にあることにより、傷及び研磨の発生をより抑制しつつ、より高い異物除去性能を実現することができる。
【0032】
発泡樹脂シートの硬度は、発泡樹脂シートの密度、樹脂の種類等を制御することにより上記の範囲内に制御することができる。
【0033】
発泡樹脂シートの密度は特に限定されないが、好ましくは0.30g/cm3以上0.80g/cm3以下であり、より好ましくは0.35g/cm3以上0.79g/cm3以下である。発泡樹脂シートの密度は、0.40g/cm3以上、又は0.45g/cm3以上であってもよく、0.70g/cm3以下、0.60g/cm3以下、又は0.55g/cm3以下であってもよい。発泡樹脂シートの密度が上記の範囲内にあることにより、発泡樹脂シートの硬度がより好ましい範囲となる傾向にある。
【0034】
発泡樹脂シートの密度は、従来公知の方法により測定することができ、例えば、樹脂シート片の質量、及び体積を通常の方法により測定し、得られた値から密度を求めればよい。発泡樹脂シートの密度は気泡の割合を変化させたり、樹脂の種類を変更したりすることで制御することができる。
【0035】
(用途)
本実施形態の洗浄パッドは、ガラス層を含む基板の表面を洗浄するために用いられる。本実施形態の洗浄パッドは、上記の特徴を有するため、ガラス層を含む基板の表面を洗浄する際、傷の発生を抑制しながら高い異物除去性能を実現できる。
【0036】
洗浄対象である基板は、ガラス層を含む基板であれば特に限定されないが、好ましくはガラス表面を有する基板であり、より好ましくはガラス基板、又はガラス基板上にガラスと異なる材料からなる層が形成された基板である。そのような基板としては、例えば、ガラス基板、ガラス層上に導電層を備えるガラス電極(透明電極)、又はこれらの表面にレジスト膜を備えるレジスト膜付き基板(すなわち、レジスト膜付きガラス基板、及びレジスト膜付きガラス電極)が挙げられる。上記の導電層、及びレジスト膜は例えば膜厚が1μm以下、又は500nm以下のものであってよい。当該膜厚は、0nm超、1nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってよい。ガラス電極(透明電極)としては、例えば、ガラス基板上に酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、グラフェン、フッ素添加酸化スズ(FTO)、及び導電性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種からなる層が形成された基板が挙げられる。
【0037】
本実施形態の洗浄パッドは、上記のとおり、基板表面を洗浄する際の傷の発生を抑制しつつ、高い異物除去性能を実現する構成を有する。したがって、本実施形態の洗浄パッドは、研磨砥粒を用いずに、洗浄パッドを基板の表面に接触させたまま洗浄パッドと基板とを相対的に移動させることで基板表面を洗浄する工程に用いられることが好ましい。洗浄パッドは基板の表面(好ましくはガラス表面)と接触していればよく、洗浄パッドを基板に押し当てながら洗浄してもよいし、ほとんど洗浄パッドから基板に圧力をかけずに洗浄してもよい。
【0038】
また、本実施形態の洗浄パッドは、耐薬品性が高い傾向にあるため、多様な洗浄液を用いた洗浄工程に用いることができる。洗浄液としては、水、酸、アルカリ、酸化剤、還元剤等が挙げられる。また、酸、アルカリ、酸化剤、又は還元剤を洗浄液として用いる場合、耐薬品性を向上させる観点から、洗浄パッドはポリウレア樹脂を含むことが好ましい。
【0039】
本実施形態の洗浄パッドは、上記の特徴を有することにより、従来の洗浄部材と比較して異物除去性能が高いため、実質的に水からなる洗浄液を用いる場合でも、高い異物除去性能を実現できる。したがって、本実施形態の洗浄パッドは、水からなるか、実質的に水からなる洗浄液の存在下で基板表面を洗浄する工程に用いられることも好ましい。実質的に水からなる洗浄液は、例えば95質量%以上、97質量%以上、又は99質量%以上が水であってよい。当該洗浄液の温度は、特に限定されないが、好ましくは10℃以上80℃以下であり、より好ましくは20℃以上70℃以下であり、さらに好ましくは30℃以上60℃以下である。
【0040】
本実施形態の洗浄パッドは、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、導電基板、表示パネル用基板、積層ガラス基板等の製造過程においてガラス層を含む基板の表面を洗浄するために好適に用いられる。これらの製造過程にいては、基板表面の異物が残留することにより、基板を積層した際の接合不良、及び電極の機能不良が生じる場合がある。本実施形態の洗浄パッドは、これらの製造過程において生じる、油、有機物、薬剤、チリ、ホコリ、ガラスカレット、その他の飛散物等の異物を好適に取り除くことができるため、上記のような接合不良及び機能不良の発生を抑制することができる。
【0041】
[洗浄パッドの製造方法]
本実施形態の洗浄パッドは、従来公知の方法、例えばモールド成形、スラブ成形等の製造法より製造できる。例えば、プレポリマーと硬化剤と上述の粒子と必要に応じて添加剤とを含む混合液を硬化させて発泡樹脂体を製造し、発泡樹脂体をスライス等によりシート状とすることで発泡樹脂シートを作製してよい。また、得られた発泡樹脂シートはそのまま洗浄パッドとしてもよいし、支持体等に接着層及び/又は他の層を介して貼り合わせることによって洗浄パッドとしてもよい。
【0042】
プレポリマー、硬化剤、及び添加剤は、特に限定されない。添加剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、触媒、発泡剤、整泡剤、染料、顔料、難燃剤、親水化剤、疎水化剤、耐光剤、酸化防止剤、及び帯電防止剤等が挙げられる。発泡樹脂体の製造において、混合液に水、及び微小中空球体等の発泡剤を添加することで発泡を形成できる。微小中空球体は、熱可塑性樹脂からなる外殻(ポリマー殻)と、外殻に内包される低沸点炭化水素とからなる未発泡の加熱膨張性微小球状体をいう。ポリマー殻としては、例えば、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体等が挙げられる。低沸点炭化水素としては、例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、石油エーテル等が挙げられる。連通気泡を形成する観点から、発泡剤として水を用いることが好ましい。
【0043】
硬化剤の使用量の合計は、プレポリマーが有する官能基の数を1としたときの、硬化剤に存在する活性水素基(アミノ基及び水酸基)の当量比であるR値により規定される。硬化剤の使用量の合計は、R値が例えば0.7以上1.0以下になるように調整されることが好ましい。
添加剤の使用量は、それぞれ独立に、0.0質量%以上3.0質量%以下であってよい。添加剤の使用量は、それぞれ独立に、2.0質量%以下、1.0質量%以下、又は0.5質量%以下であってよい。
【0044】
以下、ポリウレタンポリウレア樹脂を含む発泡樹脂体の製造を例にして、発泡樹脂体の製造方法を詳述する。ただし、本実施形態の洗浄パッドの製造方法は下記の方法に限定されない。
【0045】
ポリウレタンポリウレア樹脂を含む発泡樹脂体は、ウレタン結合含有イソシアネート化合物、アミン系硬化剤成分、粒子、及び発泡剤を含む混合物を調製し、当該混合物を硬化させることによって製造することができる。かかる混合物は、例えば、ウレタン結合含有イソシアネート化合物を含む第1液と、アミン系硬化剤成分、粒子及び発泡剤を含む第2液とを混合して調製してよい。その他の成分(例えば製泡剤、触媒等)を第1又は第2液に添加してもよいし、その他の成分(例えば分散剤、製泡剤、触媒等)及び第2液の一部の成分(例えば、発泡剤等)を含む第3液をさらに混合してもよい。分散剤としては、後述のポリオール成分が挙げられる。
得られた混合液を型枠に注型し、加熱して硬化することで発泡樹脂体を得ることができる。得られた発泡樹脂体は、30~70℃でさらにキュアリングしてもよい。
【0046】
ウレタン結合含有イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応により調製されるウレタンプレポリマーであってよい。かかるウレタンプレポリマーは未反応のイソシアネート基を含む。
【0047】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、及びエチリジンジイソチオシアネート等が挙げられる。
【0048】
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール;
ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール;エチレングリコールとアジピン酸との反応物、及びブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;並びにポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0049】
アミン系硬化剤成分としては、例えば、ジアミン等のポリアミンが挙げられる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂肪族環を有するジアミン;3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス-o-クロロアニリン(MOCA))等の芳香族環を有するジアミン;並びに、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン(特にヒドロキシアルキルアルキレンジアミン)等が挙げられる。3官能のトリアミン化合物、4官能以上のポリアミン化合物も使用可能である。
【0050】
[洗浄方法]
本実施形態の基板の洗浄方法は、上述した本実施形態の洗浄パッドを用いて、研磨砥粒を含まない洗浄液の存在下で、ガラス層を含む基板の表面を洗浄する工程を含む。当該工程は、洗浄パッドを基板の表面に接触させたまま洗浄パッドと基板とを相対的に移動させることを含んでいてよい。当該工程は、基板のガラス表面を洗浄する工程であってよい。洗浄パッドと基板とを相対的に移動させる際、例えば、基板を固定しながら洗浄パッドを移動させてもよく、洗浄パッドを固定しながら基板を移動させてもよく、基板及び洗浄パッドの両方を移動させてもよい。洗浄の際、洗浄パッドは回転させてもよく、平行移動させてもよく、回転させながら平行移動させてもよい。
【0051】
本実施形態の洗浄方法における、洗浄対象である基板、洗浄パッドに印加する圧力、洗浄液、及び洗浄により取り除く異物の例示及び好ましい態様等は、本実施形態の洗浄パッドの用途において上述したとおりである。
【0052】
本実施形態の洗浄方法は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、導電基板、表示パネル用基板、積層ガラス基板等の製造過程において含まれていてよい。本実施形態の洗浄方法は、本実施形態の洗浄パッドを用いて基板の表面を洗浄する工程以外に、別の洗浄部材を用いて基板の表面を洗浄する工程や、洗浄部材を用いずに洗浄液のみを用いて基板の表面を洗浄する工程を含んでいてよい。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0054】
[材料]
以下の例で使用した材料を列挙する。
・ウレタンプレポリマーA: 2,4-トルエンジイソシアネートを主成分とするNCO当量408のウレタンプレポリマー
・ウレタンプレポリマーB: 2,4-トルエンジイソシアネートを主成分とするNCO当量637のウレタンプレポリマー
・ウレタンプレポリマーC: 2,4-トルエンジイソシアネートを主成分とするNCO当量131のウレタンプレポリマー
・MOCA-A: 3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(別名:メチレンビス-o-クロロアニリン)(NH2当量134)
・MOCA-B: 3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(別名:メチレンビス-o-クロロアニリン)とその多量体の混合物(粗製MOCA)(NH2当量190)
・粒子:
炭酸カルシウム(平均粒子径D50: 4.2μm、モース硬度: 3)
酸化セリウム(平均粒子径D50: 1.3μm、モース硬度: 6)
ケイ酸ジルコニウム(平均粒子径D50: 0.8μm、モース硬度: 7.5)
【0055】
[実施例1]
第1成分として、60.1質量部のウレタンプレポリマーAを、第2成分として、硬化剤であるMOCA-B 19.6質量部、酸化セリウム粒子20.0質量部、イオン交換水0.1質量部、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)0.1質量部、及びシリコーン系界面活性剤(SH-193、東レ・ダウコーニング社製)0.1質量部の混合物を、それぞれ準備した。
【0056】
第1成分、及び第2成分をそれぞれ別々に撹拌・混合した。第1成分、及び第2成分をそれぞれ別々に減圧脱泡した後、混合機に供給し、第1成分及び第2成分の混合液を得た。
【0057】
得られた混合液を50℃に加熱した型枠に注型し、30分加熱し硬化させた後、形成された発泡樹脂体を型枠から抜き出し、その後50℃で8時間キュアリングした。この発泡樹脂体を2.0mm厚にスライスしてポリウレタンポリウレア樹脂シートを作製することで洗浄パッドを得た。
【0058】
[実施例2]
第1成分として、69.2質量部のウレタンプレポリマーAを、第2成分として、硬化剤であるMOCA-A 16.8質量部、及び炭酸カルシウム粒子8.0質量部の混合物を、第3成分として、ポリテトラメチレングリコール(OH当量:329)2.8質量部、ポリオキシプロピレングリコール(OH当量:1007)2.8質量部、イオン交換水0.1質量部、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)0.1質量部、及びシリコーン系界面活性剤(SH-193、東レ・ダウコーニング社製)0.2質量部の混合物を、それぞれ準備した。
【0059】
第1成分、第2成分及び第3成分をそれぞれ別々に撹拌・混合した。第1成分、第2成分、及び第3成分をそれぞれ別々に減圧脱泡した後、混合機に供給し、第1成分、第2成分、及び第3成分の混合液を得た。混合液を以上のようにして調製したこと以外は実施例1と同様にして洗浄パッドを得た。
【0060】
[実施例3~4;比較例1~4]
実施例1又は2と同様にして、表1に記載の配合で各成分を混合して発泡樹脂体を作製し、洗浄パッドを作製した。各例の粒子として、表2に記載の粒子を用いた。
なお、ポリテトラメチレングリコール(OH当量:329)、及びポリオキシプロピレングリコール(OH当量:1007)を配合する例では実施例2と同様にして混合液を調製した。この場合、プレポリマーA~Cは第1成分であり、MOCA-A、及び粒子は第2成分であり、ポリテトラメチレングリコール(OH当量:329)、ポリオキシプロピレングリコール(OH当量:1007)、製泡剤(シリコーン系界面活性剤(SH-193、東レ・ダウコーニング社製))、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、及び水(イオン交換水)は第3成分である。
ポリテトラメチレングリコール(OH当量:329)、及びポリオキシプロピレングリコール(OH当量:1007)を配合しない例では実施例1と同様にして混合液を調製した。この場合、プレポリマーA~Cは第1成分であり、MOCA-B、粒子、製泡剤(シリコーン系界面活性剤(SH-193、東レ・ダウコーニング社製))、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、及び水(イオン交換水)は第2成分である。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
[物性測定方法]
上記で製造した各例の洗浄パッドにおける、発泡樹脂シートの硬度、密度、及び平均発泡径を以下のようにして測定した。
【0064】
(硬度)
ショア硬度を日本産業規格(JIS K 7311-1995)に従い測定した。ただし、ショアA硬度は95度まで測定し、95度を超えた場合にショアD硬度を測定した。結果を表3に示す。
【0065】
(密度)
発泡樹脂シートから切り出したサンプルの体積と重量から密度を算出した。結果を表3に示す。
【0066】
(平均発泡径)
マイクロスコープ(VH-6300、KEYENCE製)で発泡樹脂シート表面の約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3、ニコン製)により二値化処理して気泡を確認し、各々の開孔の面積から円相当径を求め、それらの相加平均を平均発泡径(μm)とした。このとき、開孔径のカットオフ値(下限)を10μmとすることで、10μm以上の開孔径の平均値として平均発泡径を得た。結果を表3に示す。
【0067】
[基板の洗浄]
上記のように製造した各例の洗浄パッドを用いてガラス基板の洗浄を行い、各例の洗浄パッドの洗浄性能を評価した。洗浄工程は、40℃の水を洗浄液とし、洗浄パッドの洗浄面とガラス基板とを低圧で当接させ、洗浄パッドとガラス基板とを相対的に移動させることにより行った。
【0068】
(洗浄に起因する傷の評価)
市販の光学検査装置を用いて洗浄後のガラス基板の表面の傷の有無を評価した。明確な傷が認められなかった場合に、傷の抑制性能が良好であると判断した。結果を表3に示す。
【0069】
(異物除去性能の評価)
油、有機物、チリ、ホコリ、ガラスカレット等の異物が洗浄により除去されるかどうかを確認するために、洗浄前のガラス基板の表面にインクで印をつけ、洗浄により当該印が消えるかどうかを確認した。洗浄後にインクが目視で確認できなかった場合に、異物除去性能が良好であると判断した。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】