(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136080
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エキシマランプ
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01J65/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047051
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
(57)【要約】
【課題】二重管型のエキシマランプにおいて、紫外線照射効率を高めながら、安定して内側管を支持する放電容器を備えたエキシマランプを提供する。
【解決手段】外側管20と内側管30とを溶着させて放電容器15を構成するエキシマランプ10において、内側管30が、箔状の内側電極40を覆う小径部32と、外側管20との溶着部分となる鍔状の拡径部31を形成した大径部34とを有し、放電空間S内において、一体的に繋がって形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ軸方向に沿った内側管と、
前記内側管と溶着して放電空間を形成する外側管とを備え、
前記内側管が、
前記外側管と溶着する鍔状部分が設けられる大径部と、
前記大径部よりも外径が小さく、前記大径部よりも前記放電空間側に形成される小径部とを有することを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
前記小径部の厚さが、前記大径部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項3】
前記大径部が、前記鍔状部分よりも放電空間側にあって、前記放電空間に露出する露出部を有することを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項4】
前記内側管に被覆される箔状電極をさらに備え、
前記小径部が、前記箔状電極と封着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項5】
前記小径部が、前記箔状電極と給電棒との接続部分と、封着することを特徴とする請求項4に記載のエキシマランプ。
【請求項6】
前記内側管に被覆される箔状電極をさらに備え、
前記大径部が、前記箔状電極と接続する給電棒と封着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記小径部の断面が、前記箔状電極を被覆する部分において、長楕円状または長円状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項8】
前記小径部の断面が、前記大径部との接続部分において、円状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項9】
前記内側管の最大径より小さい内径の排気管が、前記外側管の一方の軸方向端部に同軸的に形成され、
前記内側管の一方の先端部が、前記排気管の内部空間を閉塞しないように、前記排気管の内面と部分的に接触することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに関し、特に、放電容器(放電管)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
二重管型のエキシマランプでは、軸方向に延びる2つの同軸円筒管によって発光部が構成され、内側管と外側管との間に形成される放電空間に対し、放電ガスが封入される。そして、誘電体である内側管内あるいは管壁に設けられた電極(内側電極)と、外側管表面側にある電極(外側電極)との間に高周波電圧を印加することによって、放電発光させる。
【0003】
二重管型のエキシマランプの製造工程では、内側管に対して径方向に突出する鍔状の部分を形成し、外側管を内側管の鍔状部分と溶着させることによって、円筒状の放電空間を形成した放電容器を成形する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、小型のエキシマランプの点灯始動性を高めるとともに、紫外線放射効率を高めるためには、ランプ軸方向に沿って形成される円筒状の放電空間に対してできるだけ電界強度が高い領域を確保する、すなわち、内側管の外径と厚さが大きくならないようにする必要がある。
【0006】
しかしながら、内側管と外側管との溶着部分によって構成される放電容器の構造では、内側管の支持部分にあたる鍔状部分付近に大きな負荷がかかり、ランプ破損を招く恐れがある。
【0007】
したがって、二重管型のエキシマランプにおいて、点灯始動性や紫外線放射効率を高めながら、内側管を安定して支持する放電容器の構造が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエキシマランプは、ランプ軸方向に沿った内側管と、内側管と溶着して放電空間を形成する外側管とを備える。内側管、外側管は、例えば石英ガラスなど溶着可能な素材で構成することができる。内側管は、電極として箔状電極を被覆するように構成することが可能であり、また、箔状電極と封着するように構成することができる。
【0009】
本発明では、内側管が、外側管と溶着する鍔状部分が設けられる大径部と、大径部よりも外径が小さく、大径部よりも放電空間側に形成される小径部とを備える。これは、点灯始動性や紫外線放射効率を高め、また、内側管を安定して支持する構造を提供する。小径部と大径部は、例えば、放電空間内で一体的に繋がるように構成することができる。
【0010】
例えば、小径部が箔状電極と封着するように構成することができる。ここで、「封着」とは、箔状電極と小径部との間に隙間が生じないように内側管が箔状電極全体に密接して着くことを表す。管軸(ランプ軸)に沿って箔状電極全体と封着するように構成することが可能である。小径部は、管軸に沿って箔状電極よりも長くなるように構成することが可能である。
【0011】
また、大径部は、箔状電極と接続する給電棒と封着するように構成することができる。ここで、小径部は、箔状電極と給電棒との接続部分と封着するように構成することができる。
【0012】
小径部の厚さ(肉厚)は、大径部の厚さよりも小さくするように構成することが可能である。また、大径部は、鍔状部分よりも放電空間側にあって、放電空間に露出する露出部を設けるように構成することができる。
【0013】
小径部の断面形状は、様々な断面形状を適用することが可能であり、例えば、箔状電極を被覆する部分において、長楕円状または長円状にすることができる。また、小径部の断面が、大径部との接続部分では、円状にすることができる。
【0014】
内側管の最大径より小さい内径の排気管を、外側管の一方の軸方向端部に同軸的に形成することができる。この場合、内側管の一方の先端部が、排気管の内部空間を閉塞しないように、排気管の内面と部分的に接触するように構成することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、二重管型のエキシマランプにおいて、点灯始動性や紫外線放射効率を高めながら、安定して内側管を支持する放電容器を備えたエキシマランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態であるエキシマランプの概略的断面図である。
【
図2】
図1の断面方向と直交する方向に沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【
図3】
図1のIII-IIIに沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して本実施形態であるエキシマランプについて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態であるエキシマランプの概略的断面図である。
図2は、
図1の断面方向と直交する方向に沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
図1のIII-IIIに沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【0019】
エキシマランプ10は、二重管型エキシマランプとして構成され、石英ガラスなどの誘電材料から成る外側管20および内側管30を溶着させた管状の放電容器(放電管)15を備える。放電容器15を構成する外側管20は、ここでは管径(ランプ径)方向に沿った断面が中空円状に形成されている。外側管20内の円筒状の放電空間Sには、キセノンガスなどの希ガス、あるいはこれらの混合ガスが、放電ガスとして封入されている。
【0020】
内側管30に被覆された電極(以下、内側電極という)40は、ここでは、管軸(以下、ランプ軸という)Cに沿って延びる箔状の電極として構成されている。内側電極40は、放電空間Sに露出せず、そのランプ軸C方向に沿った一方の端部40T付近には、給電棒(給電線)70が接続されている。給電棒70は、外部に設置された電源部(図示せず)と接続している。内側管30は、径方向に突出する鍔状部分(以下、拡径部という)31において外側管20と溶着し、これによって放電容器15が構成される。
【0021】
拡径部31と溶着する端部とは反対側の外側管20の端部には、突起状部分(以下、排気管という)22が形成されている。排気管22は、ランプ製造工程で形成される部分であり、ここでは、外側管の素材であるガラス管先端側を加熱変形して縮径し、ガラス管よりも小型のチップ管を溶着することにより、排気管22が一体的に成形される。
【0022】
内側電極40、外側電極50は、ここではその極性が陽極、陰極に定められている。そして、高周波(例えば、数kHz~数十MHzの範囲)、高電圧(例えば、数kV~十数kVの範囲)が、給電棒70を介してエキシマランプ10に対して供給される。これにより、放電空間Sにおいて誘電体バリア放電が生じ、所定スペクトル(例えば、波長172nm)のエキシマ光が、放電空間Sから放射される。
【0023】
本実施形態のエキシマランプ10は、小型のエキシマランプとして構成される。例えば、放電容器の軸方向長さ(発光長)は、20mm~400mmの範囲に定めることができる。また、外側管20の外径は、5mm~30mmの範囲、好ましくは8mm~25mmの範囲に定めることができる。
【0024】
外側管20の肉厚は、エキシマ光による放電管劣化の防止、および放電開始電圧の上昇を抑えることを考慮し、例えば、0.8mm~1.5mmの範囲に定めることができる。また、外側管20の内径は、長い放電距離による放電不安定、短い放電距離による照度不足を抑制することを考慮し、例えば、4mm~28mmの範囲、好ましくは23mmに定められる。
【0025】
放電距離、すなわち内側管30の外表面と外側管20の内径との距離間隔は、放電空間の狭域化による照度不足の防止、放電距離拡大による放電の不安定化防止などを考慮し、2mm~12mmの範囲に定めることが可能である。
【0026】
箔状の内側電極40は、内側管30の中心位置にその幅方向および厚さ方向の中心位置を合わせた状態で同軸的に配置されている。また、内側管30は、外側管20に対して同軸的に配置されている。したがって、内側電極40は、外側管20に対し同軸的な位置に配置され、管軸Cに関して対称的な位置に配置されている。ここでは、内側電極40の幅方向をY方向、それに直交する方向(厚さ方向)をX方向として定めている(
図3参照)。
【0027】
内側電極40は、
図3に示すように、厚さ略一定の平坦部42を有し、平坦部42の幅方向両端から内側電極40の幅方向両端E1、E2までクサビ形に先が薄くなるクサビ形状になっている。ただし、電極幅方向に沿って中央から滑らかに内側電極の幅方向両端E1、E2に向けて傾斜させた断面をもつナイフエッジ形状としてもよい。
【0028】
本実施形態の内側管30は、管軸(ランプ軸)C方向に沿って径の異なる断面形状を有する。具体的には、内側管30は、放電空間S内で内側電極40を被覆する部分(以下、小径部という)32と放電空間S内外で給電棒70を被覆する部分(以下、大径部という)34から構成される。
【0029】
大径部34には、給電棒70を被覆する部分を含めて管軸(ランプ軸)Cに沿って形成されている範囲L2において、外側管20と溶着する拡径部31が設けられている。さらに大径部34には、拡径部31よりも放電空間S内側に入り込んで、放電空間に露出している部分(以下、露出部という)36と、外側管20を超えて放電容器15から放電空間S外側に延伸している部分(以下、延伸部という)37が設けられている。
【0030】
小径部32は、内側電極40を被覆する部分も含めて管軸(ランプ軸)Cに沿って形成されている範囲L1において、その径方向断面の形状が略一定であり、内側電極40と給電棒70の接続部分付近も被覆して、内側電極40の端部40T付近にまで渡って延びている。そして、
図3に示すように、管軸Cに沿って小径部32の内側電極40を被覆する部分の径方向断面形状は、円状ではなく、長楕円状または長円状になっている。
【0031】
具体的には、内側管30は、電極厚さ方向(X方向)に扁平し、中央部付近では、電極幅方向(Y方向)に沿って延びる外表面を有し、内側電極40の幅方向両端E1、E2付近から外側では、径方向断面の輪郭線が半楕円状または半円状になっている。以下では、電極幅方向(Y方向)に沿った内側管30の径(外径)を符号「W11」で表し、肉厚となる厚さ、すなわち内側電極40と外表面との距離を符号「T11」で表す。同様に、電極厚さ方向(X方向)に沿った径(外径)を符号「W21」で表し、厚さを符号「T21」で表す。
【0032】
このように、内側電極40を覆う内側管30の小径部32を電極幅方向(Y方向)と電極厚さ方向(X方向)とで径(外径)が異なる断面長楕円状または断面長円状にすることにより、放電空間内における放電のランプ周方向に対する偏りを抑えることができる。
【0033】
大径部34は、断面円状であり、電極幅方向(Y方向)と電極厚さ方向(X方向)にそれぞれ沿った径(外径)W12、W22は等しく、また、電極幅方向(Y方向)と電極厚さ方向(X方向)にそれぞれ沿った厚さ(肉厚)、すなわち給電線70から大径部34表面までの距離T12、T22は等しい(
図1、2参照)。大形部34の径W12(=W22)は、電極幅方向(Y方向)に沿った小径部32の径W11よりも大きく(
図1参照)、また、電極厚さ方向(X方向)に沿った小径部32の径W21よりも大きい(
図2参照)。
【0034】
大径部34の露出部36は、小径部32と連続的に繋がり、鍔状の拡径部31までの管軸C方向に沿った区間において、その外表面が放電空間Sに露出している。また、露出部36は、ランプ中央側に向けて径が小さくなるテーパー形状となっている。小径部32と大径部34との接続部分35付近(
図1参照)では、電極幅方向(Y方向)に沿った断面が、連続的な曲線形状となり、滑らかで段差のある形状になっている。大径部34の径W12(=W22)と厚さT12(=T22)は、延伸部37において略一定である。
【0035】
排気管22の内径の大きさは、内側管30が排気管22の中に部分的に入り込み、保持されるように定められている。具体的には、排気管22の内径が、内側管30の電極幅方向の外径W11よりも小さく、電極厚さ方向(X方向)の外径W21よりも大きい。これにより、内側管30の先端部30Tは、排気管22の内面と電極幅方向(Y方向)に沿った部分で接触し、外側管20によって同軸的に保持されることで、十分な沿面距離を確保することが可能となり、内側電極40の管軸C方向の先端を起点とする先端部30T付近での沿面放電を防ぐことができる。
【0036】
このように本実施形態によれば、外側管20と内側管30とを溶着させて放電容器15を構成するエキシマランプ10において、内側管30が、箔状の内側電極40を覆う小径部32と、外側管20との溶着部分となる鍔状の拡径部31を形成した大径部34とを有し、放電空間S内において、一体的に繋がって形成されている。
【0037】
小径部32が内側電極40を覆う区間を含めて管軸Cに沿った範囲L1に応じて形成されることにより、電極幅方向(Y方向)に沿った放電距離D1(
図1)、電極厚さ方向(X方向)に沿った放電距離D2(
図2)を、ランプ外径に対して比較的長い距離に定めることが可能となる。また、小径部32の電極幅方向(Y方向)、電極厚さ方向(X方向)に沿った内側電極40からの厚さ(距離)T11、T21を、これらに応じた放電距離D1、D2に対して比較的短く定めることが可能となる。
【0038】
その結果、小型のエキシマランプ10においても、円筒状の放電空間Sに対して十分なスペースを確保することが可能となり、点灯始動性を高めるとともに、紫外線放射効率を高めることができる。
【0039】
一方、大径部34が、内側管30と給電棒70を支持するとともに、外側管20と溶着する拡径部31から小径部32までを露出部36によって連続的に繋げる構造であるため、比較的長尺の小型のエキシマランプ10を構成する場合においても、安定した支持構造をもつ二重管構造の放電容器15を形成することが可能となり、ランプ破損を抑制することができる。
【0040】
内側管30の小径部32は、上述したように径(外径)も厚さも小さい断面長楕円状になっているため、大径部34に対し、電極厚さ方向(X方向)に対して相対的に大きく曲げる方向に応力がかかる。しかしながら、大径部34と小径部32との接続部分(内側電極40の一端40Tを被覆する部分)35付近(
図1参照)では、断面円状に形成されている。そのため、内側管30の小径部32を安定して支持することができる。
【0041】
上述したように、小径部32と大径部34との接続部分35付近においては、断面が連続的な曲線形状となり、滑らかなテーパー状の段差が設けられている。そして、拡径部31に向けて拡がるテーパー状の露出部36が、鍔状の拡径部31まで形成されている。これにより、十分な沿面距離を確保することが可能となり、内側電極40の管軸C方向の一端40Tを起点とする沿面放電を防ぐことができる。
【0042】
特に、厚さが相対的に小さい小径部32が、内側電極40および給電棒70との接続部分までを覆う構成であるため、放電空間S全体に渡って紫外線放射効率を高めるとともに、点灯始動性を高めながら、沿面放電を確実に抑えることができる。
【0043】
このようなエキシマランプ10は、例えば、以下に説明する製造方法によって製造することができる。
【0044】
まず、内側管の大径部を構成し、外側管と一体となって気密封止する円筒状のガラス管(以下、封止管という)に対し、拡径部を形成する。このとき、大径部には、給電棒が挿入できる内径の中空部分を設けた。また、内側管の小径部を構成し、箔電極と一体となって封着する円筒状のガラス管(以下、封着管という)を、封止管と同軸状に溶着させる。このとき、小径部には、箔電極が挿入できる内径の中空部分を設け、封着管を、封止管よりも外径と厚さを小さく、内径を大きくする。なお、ガラス管を切削加工する工程を代わりに行っても良い。
【0045】
箔電極に給電棒(給電線)を抵抗溶接などによって一体的に接続した後、大径部と小径部とが一体に形成された内側管に挿入する。箔電極と給電棒を挿入した内側管内を真空引きして密封し、内側管を外側から加熱し、内側管の小径部を箔電極に封着させるとともに、大径部を給電線に封着させる。このとき、小径部の断面形状が長楕円状となるように、加熱調整を行う。
【0046】
例えば、ガラス管を回転させながらバーナ等により加熱することで、ガラス管の内表面が箔電極の両端(クサビ形状部)と接触するまで周方向に均一に収縮(縮径)させて、箔電極の両端(クサビ形状部)に接触した部分の間のガラス管を箔電極の厚さ方向に沿って収縮させて平坦部と一体化させるという工程をすることにより、ガラス管を断面長楕円状または断面長円状にして箔電極に溶着させることが可能である。なお、ガラス管をコーティングする工程を代わりに行っても良い。
【0047】
そして、一方の端に排気管、他方の端に挿入口を設けた石英ガラスなどの外側管を形成し、箔電極と給電棒を封着した内側管を外側管内に挿入し、外側管の挿入口を内側管の大径部の拡径部と溶着させる。外側管は、内側管の拡径部の外径に対応する内径を有する。
【0048】
放電容器全体を加熱しながら、排気管を通じた真空引きを行い、不純物を除去する。そして、放電ガスを封入した後に排気管を封止し、外側管の外面に外側電極を配設する。
【0049】
内側管30の小径部32に関しては、断面長円状にする必要はなく、断面円状であってもよい。また、内側管30は、管軸(ランプ軸)Cに沿って全体的に同一断面形状とせず、スケールが異なる、あるいは断面形状が相違する外観形状をもたせるようにしてもよい。例えば、内側管30の先端部30Tに向けて、電極幅方向(Y方向)に沿った外径W11、あるいは厚さT11が、段階的あるいは連続的に小さくなる外観形状にしてもよい。小径部32と大径部34との接続部分35付近に関しても、小径部32から大径部34側に向けて、段階的や連続的に径が大きくなる外観形状であってもよい。
【0050】
また、内側管30の先端部30Tが外側管20の排気管(突起状部分)22の内面と接触しない構成にすることも可能であり、内側管30(小径部32)の管軸C方向長さL1を、排気管22にまで達しない長さに定めてもよい。このような構成でも、内側管30の大径部34が小径部32を安定して支持することができる。
【0051】
内側電極40は、箔電極以外の電極として構成することが可能であり、例えば、断面円状の電極で構成してもよい。また、内側電極が給電棒と接続せず、放電容器外部まで延びる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 エキシマランプ
15 放電容器
20 外側管
30 内側管
31 拡径部(鍔状部分)
32 小径部(封着管)
34 大径部(封止管)
40 内側電極
50 外側電極
70 給電棒(給電線)