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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136090
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047064
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 匡英
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正人
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JC08
4F206JL01
4F206JL03
4F206JL04
4F206JN03
4F206JQ86
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】コンベアを通じて排出される可塑化樹脂を分割可能な射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機は、金型の開閉及び型締を行う型締装置と、可塑化樹脂を射出する射出装置とを備える。射出装置は、可塑化樹脂を射出するノズルが先端に形成された加熱シリンダを、型締された金型のキャビティに連通させる射出位置と、金型から離間させる待機位置との間を移動する。射出成形機は、待機位置の加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、コンベアによって搬送された可塑化樹脂を溜める溜め位置、及び溜め位置で溜った可塑化樹脂を落下させる落下位置に移動可能な溜め部と、ノズルから排出された可塑化樹脂をコンベアに搬送させている間に、所定の間隔で溜め部を溜め位置から落下位置に移動させる制御装置とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の開閉及び型締を行う型締装置と、可塑化樹脂を射出する射出装置とを備えた射出成形機において、
前記射出装置は、可塑化樹脂を射出するノズルが先端に形成された加熱シリンダを、型締された前記金型のキャビティに連通させる射出位置と、前記金型から離間させる待機位置との間を移動し、
前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、前記ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送された可塑化樹脂を溜める溜め位置、及び前記溜め位置で溜った可塑化樹脂を落下させる落下位置に移動可能な溜め部と、
前記ノズルから排出された可塑化樹脂を前記コンベアに搬送させている間に、所定の間隔で前記溜め部を前記溜め位置から前記落下位置に移動させる制御装置とを備えることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記加熱シリンダ内で進退及び回転可能なスクリューを備え、
前記制御装置は、前記溜め部を前記落下位置に移動させるのと並行して、前記加熱シリンダ内で前記スクリューを後退させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記溜め部が前記溜め位置のときに、前記コンベアに第1速度で可塑化樹脂を搬送させ、
前記溜め部が前記落下位置のときに、前記コンベアに前記第1速度より速い第2速度で可塑化樹脂を搬送させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項4】
金型の開閉及び型締を行う型締装置と、可塑化樹脂を射出する射出装置とを備えた射出成形機において、
前記射出装置は、可塑化樹脂を射出するノズルが先端に形成された加熱シリンダを、型締された前記金型のキャビティに連通させる射出位置と、前記金型から離間させる待機位置との間を移動し、
前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、前記ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、
前記ノズルから排出された可塑化樹脂を前記コンベアに搬送させている間に、前記コンベアによる可塑化樹脂の搬送速度を、第1速度及び前記第1速度より速い第2速度に所定の間隔で切り替える制御装置とを備えることを特徴とする射出成形機。
【請求項5】
該射出成形機は、前記待機位置が前記射出位置の鉛直上方に位置する竪型であり、
前記コンベアは、
前記射出装置が前記待機位置に移動した後に、前記加熱シリンダの直下の前進位置に移動し、
前記射出装置が前記射出位置に移動する前に、前記加熱シリンダの移動経路から外れた退避位置に移動することを特徴とする請求項1または4に記載の射出成形機。
【請求項6】
該射出成形機は、前記射出位置と前記待機位置とが水平方向に離間した横型であり、
前記コンベアは、前記待機位置における前記加熱シリンダの前記ノズルの直下に固定されていることを特徴とする請求項1または4に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化樹脂を金型内に射出して射出成形品を製造する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機では、加熱シリンダ内の可塑化樹脂の品質を維持するために、所定のタイミングで可塑化樹脂を排出するパージ動作が実行される。従来のパージ動作では、ノズルの直下のロケート部にセットした受け皿に向けて、加熱シリンダから可塑化樹脂を排出するのが一般的である。
【0003】
これに対して、パージ動作の度に受け皿をセットする作業者の負担を軽減するために、加熱シリンダから排出された可塑化樹脂を射出成形機の外部に搬送するコンベアを備える射出成形機が開発されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-116747号公報
【特許文献2】特開2021-049649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の射出成形機では、加熱シリンダから排出された可塑化樹脂が、コンベア上で途切れずに搬送される。その結果、連なった状態で射出成形機の外部に排出された可塑化樹脂の取り扱いが煩雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンベアを通じて排出される可塑化樹脂を分割することが可能な射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、金型の開閉及び型締を行う型締装置と、可塑化樹脂を射出する射出装置とを備えた射出成形機において、前記射出装置は、可塑化樹脂を射出するノズルが先端に形成された加熱シリンダを、型締された前記金型のキャビティに連通させる射出位置と、前記金型から離間させる待機位置との間を移動し、前記待機位置の前記加熱シリンダからの可塑化樹脂の排出経路上に配置されて、前記ノズルから排出される可塑化樹脂を該射出成形機の外部へ搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送された可塑化樹脂を溜める溜め位置、及び前記溜め位置で溜った可塑化樹脂を落下させる落下位置に移動可能な溜め部と、前記ノズルから排出された可塑化樹脂を前記コンベアに搬送させている間に、所定の間隔で前記溜め部を前記溜め位置から前記落下位置に移動させる制御装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、コンベアを通じて排出される可塑化樹脂を分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る竪型の射出成形機の正面図である。
図2】射出装置の拡大模式図である。
図3】射出成形機のハードウエアブロック図である。
図4】パージ制御処理のフローチャートである。
図5】パージ制御処理における可塑化樹脂の状態を示す図である。
図6】第2実施形態に係る横型の射出成形機の側面図である。
図7】加熱シリンダを先端側から見た正面図である。
【0010】
以下、本発明に係る射出成形機10を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る射出成形機10の正面図である。図2は、射出装置30の拡大模式図である。図3は、射出成形機10のハードウエアブロック図である。射出成形機10は、金型内に可塑化樹脂を射出して、射出成形品を成形する装置である。第1実施形態に係る射出成形機10は、所謂「竪型」である。図1図3に示すように、射出成形機10は、型締装置20と、射出装置30と、表示入力装置40と、制御装置50とを主に備える。
【0012】
型締装置20は、金型21の開閉及び型締めを行う。具体的には、型締装置20は、固定側金型22を支持する固定ダイプレート23と、固定側金型22の直上で可動側金型24を支持する可動ダイプレート25と、可動ダイプレート25を上下方向に移動させる型開閉モータ61とを主に備える。
【0013】
型開閉モータ61は、可動ダイプレート25を上下方向に移動させるサーボモータである。型開閉モータ61の駆動力は、例えば、トグルリンク機構(図示省略)を通じて可動ダイプレート25に伝達される。図1に示すように、可動ダイプレート25が上昇すると、固定側金型22と可動側金型24とが離間する。一方、可動ダイプレート25が降下すると、固定側金型22と可動側金型24とが当接して、金型21の内部にキャビティ(内部空間)が形成される。そして、可動ダイプレート25にさらに下向きの圧力が加わると、固定側金型22及び可動側金型24が型締めされる。
【0014】
射出装置30は、ホッパ(図示省略)から供給された樹脂を、可塑化し、計量し、射出する。第1実施形態に係る射出装置30は、型締装置20の上方に配置されている。射出装置30は、加熱シリンダ31と、スクリュー32と、コンベア33と、溜め皿34(溜め部)と、ノズルタッチモータ62と、計量モータ63と、射出モータ64と、コンベア進退モータ65と、コンベア駆動モータ66と、溜め皿シリンダ67とを主に備える。
【0015】
加熱シリンダ31は、上下方向に延びる円筒形状の部材である。加熱シリンダ31には、可塑化樹脂を射出するノズル36のノズル孔36aが先端(下端)に形成され、ホッパから樹脂の供給を受ける供給口(図示省略)が基端(上端)側に形成されている。そして、加熱シリンダ31の内部には、供給口からノズル36に至る直線状の内部空間が形成されている。また、加熱シリンダ31の外周面には、加熱シリンダ31を加熱するバンドヒータ(図示省略)が取り付けられていてもよい。
【0016】
ノズルタッチモータ62は、射出装置30を上下方向に移動させるサーボモータである。射出装置30は、ノズルタッチモータ62の駆動力が伝達されて、射出位置(図2(A))と、待機位置(図2(B)~(D))との間を上下方向に移動する。射出位置は、加熱シリンダ31先端のノズル36が可動ダイプレート25に設けられた開口(図示省略)に進入して、加熱シリンダ31の内部空間と金型21のキャビティとが連通する位置である。待機位置は、加熱シリンダ31先端のノズル36が可動ダイプレート25の開口から退出して、加熱シリンダ31と金型21とが離間する位置である。第1実施形態に係る待機位置は、射出位置より鉛直上方の位置である。
【0017】
スクリュー32は、外周面に螺旋溝が形成された長尺棒状の部材である。スクリュー32は、進退及び回転可能な状態で、加熱シリンダ31の内部空間に収容されている。計量モータ63は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を回転させるサーボモータである。射出モータ64は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を進退(前進及び後退)させるサーボモータである。射出装置30は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を進退或いは回転させることによって、計量動作、射出動作、及びパージ動作を行う。
【0018】
計量動作は、スクリュー32を回転させることによって、加熱シリンダ31の先端側(ノズル36側)に所定量の可塑化樹脂を計量させる動作である。このとき、加熱シリンダ31に供給された樹脂は、加熱シリンダ31及びスクリュー32の間に生じる摩擦熱や剪断熱、及びバンドヒータが発生させる熱によって可塑化される。また、可塑化樹脂は、スクリュー32の螺旋溝に沿って加熱シリンダ31の先端側に移動して、加熱シリンダ31の先端側に溜まる。その結果、スクリュー32は、加熱シリンダ31内を回転しながら後退する。
【0019】
射出動作は、射出装置30が射出位置のときにスクリュー32を前進させることによって、加熱シリンダ31の先端側に計量された可塑化樹脂を、ノズル36を通じて加熱シリンダ31から射出する動作である。これにより、ノズル36から射出された可塑化樹脂が金型21のキャビティ内に充填される。
【0020】
パージ動作は、射出装置30が待機位置のときに、加熱シリンダ31から可塑化樹脂を排出する動作である。パージ動作は、例えば、スクリュー32をノズル36に最も近い位置(以下、「最前進位置」と表記する。)に配置した状態で、可塑化樹脂をノズル36側に移動させる向きにスクリュー32を回転させる動作である。パージ動作では、スクリュー32を最前進位置に保持するために、射出モータ64によってスクリュー32に背圧を付加する。但し、パージ動作は、加熱シリンダ31内でスクリュー32を前進させることによって、加熱シリンダ31の先端側に計量された可塑化樹脂を、ノズル36を通じて加熱シリンダ31から排出することによって実現されてもよい。
【0021】
コンベア33は、射出装置30が待機位置のときに加熱シリンダ31から排出された可塑化樹脂を、射出成形機10の外部に搬送する役割を担う。すなわち、コンベア33は、待機位置の加熱シリンダ31からの可塑化樹脂の排出経路上(ノズル孔36aの直下)に配置される。また、コンベア33の表面は、可塑化樹脂との接触面積を小さくするために、メッシュ状になっている。
【0022】
コンベア33は、コンベア進退モータ65の駆動力が伝達されて、前進位置(図2(C)、(D))と、退避位置(図2(A)、(B))との間を進退する。前進位置は、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)の直下に、コンベア33の搬送面(上面)が配置される位置である。退避位置は、加熱シリンダ31の移動経路からコンベア33が外れた位置である。前進位置及び退避位置は、コンベア33による可塑化樹脂の搬送方向(すなわち、図2の左右方向)に離間した位置である。すなわち、コンベア33は、可塑化樹脂の搬送方向に沿って進退する。
【0023】
コンベア33が前進位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)から排出される可塑化樹脂はコンベア33の搬送面に到達し、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置から射出位置に移動できない。一方、コンベア33が退避位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31先端のノズル36(ノズル孔36a)から排出される可塑化樹脂はコンベア33の搬送面に到達せず、射出装置30(加熱シリンダ31)は射出位置と待機位置との間を移動できる。
【0024】
また、コンベア33は、コンベア駆動モータ66の駆動力が伝達されて、搬送面に到達した可塑化樹脂を、射出成形機10の外部に排出する方向(図2の反時計回り)に回転する。また、コンベア33は、搬送速度を切り替え可能に構成されていてもよい。第1実施形態に係るコンベア33は、少なくとも第1速度(低速)及び第2速度(高速)に切り替え可能である。第2速度は、第1速度より速い速度である。
【0025】
溜め皿34は、コンベア33によって射出成形機10の外部に排出された可塑化樹脂を一時的に溜める役割を担う。また、溜め皿34は、一時的に溜めた可塑化樹脂を重力を利用して落下させる役割を担う。溜め皿34の具体的な形状は特に限定されないが、例えば、可塑化樹脂を溜める部分は平板形状である。
【0026】
溜め皿34は、コンベア33の搬送方向の下流側(後述する箱体37から露出した側)の直下に配置されている。また、溜め皿34は、前進位置及び退避位置の間を移動するコンベア33と共に移動する。さらに、溜め皿34は、溜め皿シリンダ67の駆動力が伝達されて、溜め位置(図2(A)、(B)、(C))と、落下位置(図2(D))との間を移動(回動)する。なお、溜め皿34を移動させる駆動源の具体例は、エアシリンダに限定されず、電動モータ等でもよい。
【0027】
溜め位置は、コンベア33によって搬送された(より詳細には、コンベア33の搬送方向の下流側端部から零れ落ちた)可塑化樹脂を溜めることができる位置である。すなわち、溜め位置の溜め皿34は、図2(A)~図2(C)に示すように、コンベア33の搬送方向の下流側端部の直下において、水平に保持されている。落下位置は、溜め位置の溜め皿34に溜まった可塑化樹脂を落下させる位置である。また、落下位置は、コンベア33から零れ落ちる可塑化樹脂の経路から外れた位置である。すなわち、落下位置の溜め皿34は、図2(D)に示すように、コンベア33から零れ落ちる可塑化樹脂の経路から外れた位置において、先端が下を向くように下り傾斜している。
【0028】
図2に示すように、射出装置30は、加熱シリンダ31及びコンベア33を収容する箱体37を備える。箱体37は、加熱シリンダ31及びコンベア33それぞれが挿通されるスリット37a、37bを有する。すなわち、加熱シリンダ31及びコンベア33は、スリット37a、37bを通じて、箱体37の内部空間に対して進退する。
【0029】
なお、加熱シリンダ31先端のノズル36は、常に箱体37の内部空間に位置する。これにより、ノズル36から射出される可塑化樹脂にオペレータが触れることを防止できる。但し、箱体37は、メンテナンスのために内部空間を露出させる扉(図示省略)などを有していてもよい。また、コンベア33は、可塑化樹脂の搬送方向の上流側の一部が箱体37の内部に配置され、可塑化樹脂の搬送方向の下流側の一部が箱体37の外部に配置されている。
【0030】
表示入力装置40は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ、及びオペレータによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、ダイヤルなどを備えるユーザインタフェースである。また、表示入力装置40は、ディスプレイに重畳されたタッチパネルを備えてもよい。表示入力装置40は、例えば、射出動作の開始を指示するオペレータの操作と、パージ動作の開始を指示するオペレータの操作とを受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御装置50に出力する。
【0031】
制御装置50は、射出成形機10全体の動作を制御する。制御装置50は、表示入力装置40から出力される操作信号、各モータ61~66のエンコーダ(図示省略)から出力されるエンコード信号を取得する。そして、制御装置50は、取得した各種信号に基づいて、各モータ61~66及び溜め皿シリンダ67を駆動させる。
【0032】
制御装置50は、例えば、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)51、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)52、及び演算手段の作業領域となるRAM(Random Access Memory)53を備える。そして、ROM52に記憶されたプログラムをCPU51が読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。
【0033】
但し、制御装置50の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0034】
次に、図4及び図5を参照して、第1実施形態に係る射出成形機10の動作を説明する。図4は、パージ制御処理のフローチャートである。図5は、パージ制御処理における可塑化樹脂の状態を示す図である。パージ制御処理は、例えば、射出成形が終了したタイミングで開始される。図2(A)に示すように、パージ制御処理の開始時点において、射出装置30(加熱シリンダ31)は射出位置に配置され、スクリュー32は最前進位置に配置され、コンベア33は退避位置に配置され、溜め皿34は溜め位置に配置されている。
【0035】
まず、制御装置50は、ノズルタッチモータ62を駆動して、射出装置30(加熱シリンダ31)を射出位置から待機位置に上昇させる(S11)。これにより、図2(B)に示すように、加熱シリンダ31が上昇して金型21から離間し、ノズル36のノズル孔36aが露出される。
【0036】
次に、制御装置50は、コンベア進退モータ65を駆動して、コンベア33を退避位置から前進位置に前進させる(S12)。これにより、図2(C)に示すように、待機位置の加熱シリンダ31の直下に、コンベア33が配置される。すなわち、制御装置50は、射出装置30(加熱シリンダ31)を待機位置に移動させた後に、コンベア33を前進位置に移動させる。また、制御装置50は、コンベア駆動モータ66を駆動して、コンベア33を第1速度で回転させる(S13)。
【0037】
次に、制御装置50は、パージ動作を実行する(S14)。すなわち、制御装置50は、計量モータ63を駆動することによって、加熱シリンダ31内でスクリュー32を回転させる。そして、制御装置50は、パージ動作を開始してから所定の時間が経過するまで(S15:No)、スクリュー32の回転を継続する。なお、制御装置50は、ステップS15において、タイマによって時間を監視してもよいし、スクリュー32の回転数が閾値に達したか否かを判定してもよい。
【0038】
これにより、図5(A)に太線で示すように、加熱シリンダ31から排出された可塑化樹脂は、途中で途切れることなく連なった状態で、第1速度で回転するコンベア33によって箱体37(射出成形機10)の外部に搬送される。そして、コンベア33の下流側の端部から零れ落ちた可塑化樹脂は、溜め位置の溜め皿34上に溜まる。
【0039】
次に、制御装置50は、パージ動作を開始してから所定の時間が経過した(または、スクリュー32の回転数が閾値に達した)ことに応じて(S15:Yes)、溜め皿シリンダ67を駆動して、溜め皿34を溜め位置から落下位置に移動させる(S16)。これにより、図5(B)に示すように、溜め皿34に溜まった可塑化樹脂の塊が自重によって落下する。また、コンベア33上の可塑化樹脂は、溜め皿34に溜まった可塑化樹脂の塊に引っ張られる。その結果、連なった可塑化樹脂がノズル孔36aの位置で途切れる。
【0040】
また、制御装置50は、溜め皿34を落下位置に移動させるのと並行して、スクリュー32をサックバックさせる(S17)。「サックバック」とは、射出モータ64を駆動することによって、加熱シリンダ31内でスクリュー32を後退(ノズル36から遠ざかる向きに移動)させる処理である。これにより、スクリュー32の先端よりノズル36側の空間が負圧になって、ノズル36からの可塑化樹脂の排出が停止する。
【0041】
さらに、制御装置50は、溜め皿34を落下位置に移動させるのと並行して、コンベア33の搬送速度を、第1速度から第2速度に増速する(S18)。これにより、コンベア33上の可塑化樹脂が引っ張られて、連なった可塑化樹脂がノズル孔36aの位置で途切れる。すなわち、制御装置50は、溜め皿34が溜め位置のときに、コンベア33に第1速度で可塑化樹脂を搬送させる。また、制御装置50は、溜め皿34が落下位置のときに、コンベア33に第2速度で可塑化樹脂を搬送させる。
【0042】
次に、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したか否かを判定する(S19)。そして、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を未だ排出していないと判定した場合に(S19:No)、溜め皿シリンダ67を駆動して、溜め皿34を落下位置から溜め位置に移動させる(S20)。また、制御装置50は、射出モータ64を駆動することによって、加熱シリンダ31内でスクリュー32を最前進位置まで前進させる(S21)。さらに、制御装置50は、ステップS13以降の処理を再び実行する。
【0043】
すなわち、制御装置50は、繰り返し実行するステップS13~S21の処理の間(すなわち、ノズル36から排出された可塑化樹脂をコンベア33に搬送させている間)において、所定の間隔でステップS16~S18の処理を実行する。換言すれば、パージ動作でノズル36から連続して排出される可塑化樹脂は、所定の間隔で分割されて排出される。そして、制御装置50は、予め定められた量の可塑化樹脂を排出したと判定した場合に(S19:Yes)、コンベア33を停止して(S22)、パージ制御処理を終了する。
【0044】
第1実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0045】
第1実施形態によれば、パージ動作中に所定の間隔で溜め皿34を溜め位置から落下位置に移動させることによって、コンベア33上を連なって排出される可塑化樹脂を所定の間隔で分割することができる。また、溜め皿34に溜まった可塑化樹脂の重さ(すなわち、重力)を利用して分割するので、可塑化樹脂を切断するカッタ等を搭載するのと比較して、シンプルな構成で前述の作用効果を実現することができる。
【0046】
また、第1実施形態によれば、溜め皿34を落下位置に移動させるのと並行して、スクリュー32をサックバックさせることによって、より確実に可塑化樹脂を分割することができる。
【0047】
さらに、第1実施形態によれば、溜め皿34を落下位置に移動させるのと並行して、コンベア33による可塑化樹脂の搬送速度を一時的に上昇させることによって、より確実に可塑化樹脂を分割することができる。
【0048】
なお、図4のステップS16~S18の処理の一部は省略可能である。より詳細には、パージ制御処理では、ステップS16、S18の少なくとも一方が実行されればよい。一例として、制御装置50は、ノズル36から排出された可塑化樹脂をコンベア33に搬送させている間に、所定の間隔で溜め皿34を溜め位置から落下位置に移動させればよい。他の例として、制御装置50は、ノズル36から排出された可塑化樹脂をコンベア33に搬送させている間に、コンベア33による可塑化樹脂の搬送速度を、第1速度及び第2速度に所定の間隔で切り替えればよい。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態に係る射出成形機10Aを説明する。図6は、射出成形機10Aの概略構成を示す側面図である。図7は、加熱シリンダ31の先端側から見た正面図である。なお、第1実施形態と共通の機能を担う構成部品には、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0050】
第2実施形態に係る射出成形機10Aは、水平方向に離間した射出位置と待機位置との間を、射出装置30(加熱シリンダ31)が水平方向に移動する所謂「横型」である。すなわち、第2実施形態に係る射出成形機10Aは、主な構成要素22~25、31~32の位置関係が90°反転している点で、第1実施形態に係る射出成形機10と異なる。
【0051】
また、第2実施形態に係る射出成形機10Aは、ガイド板38を備える。ガイド板38は、パージ動作で加熱シリンダ31から排出された可塑化樹脂を、コンベア33の搬送面に案内する役割を担う。ガイド板38は、ガイド板進退モータ(図示省略)の駆動力が伝達されて、退避位置(図7(A))と、ガイド位置(図7(B))との間を移動する。
【0052】
退避位置は、加熱シリンダ31の移動経路から外れた位置である。ガイド位置は、加熱シリンダ31の移動経路上の位置である。すなわち、ガイド板38が退避位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31から排出される可塑化樹脂はガイド板38に到達せず、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置及び射出位置の間を移動できる。一方、ガイド板38がガイド位置のとき、待機位置の加熱シリンダ31から排出される可塑化樹脂はガイド板38に到達し、射出装置30(加熱シリンダ31)は待機位置から射出位置に移動できない。
【0053】
さらに、第2実施形態に係るコンベア33は、待機位置における加熱シリンダ31先端のノズル36の直下で、且つガイド位置のガイド板38の直下に固定されている。すなわち、待機位置の加熱シリンダ31から少しずつ漏れ出る可塑化樹脂、及び待機位置の加熱シリンダ31から勢いよく排出されてガイド板38に到達した可塑化樹脂の両方は、コンベア33の搬送面に到達して、射出成形機10Aの外部に搬送される。
【0054】
第2実施形態に係る射出成形機10Aは、図4に示すパージ制御処理を実行する。但し、また、第2実施形態に係る制御装置50は、射出装置30(加熱シリンダ31)を射出位置から待機位置に移動させた後に、ガイド板38を退避位置からガイド位置に移動させる。さらに、第2実施形態に係る制御装置50は、射出装置30(加熱シリンダ31)を待機位置から射出位置に移動させる前に、ガイド板38をガイド位置から退避位置に移動させる。
【0055】
第2実施形態によれば、パージ動作によって加熱シリンダ31先端のノズル36から勢いよく排出された可塑化樹脂が、ガイド位置のガイド板38に当たってコンベア33の搬送面に導かれる。その結果、横型の射出成形機10Aにおいて、パージ動作によって排出される可塑化樹脂を、コンベア33を通じて確実且つ効率的に射出成形機10Aの外部に排出できる。
【符号の説明】
【0056】
10,10A…射出成形機、20…型締装置、21…金型、22…固定側金型、23…固定ダイプレート、24…可動側金型、25…可動ダイプレート、30…射出装置、31…加熱シリンダ、32…スクリュー、33…コンベア、34…溜め皿、36…ノズル、36a…ノズル孔、37…箱体、37a,37b…スリット、38…ガイド板、40…表示入力装置、50…制御装置、51…CPU、52…ROM、53…RAM、61…型開閉モータ、62…ノズルタッチモータ、63…計量モータ、64…射出モータ、65…コンベア進退モータ、66…コンベア駆動モータ、67…溜め皿シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7