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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136096
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電解コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20240927BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01G9/012 301
H01G9/00 290Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047071
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 武志
(72)【発明者】
【氏名】根来 昇
(72)【発明者】
【氏名】半田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松谷 優汰
(57)【要約】
【課題】電解コンデンサのESRを低減する。
【解決手段】開示される電解コンデンサは、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、陽極部と電気的に接続された陽極端子と、陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する。電解コンデンサユニットにおいて、コンデンサ素子は、陽極ワイヤが突出する正面と、正面と交差する底面と、正面および前記底面と交差する一対の側面を有する。陰極端子は、コンデンサ素子の底面と対向する第1の陰極端子部と、コンデンサ素子の側面の一方と対向し、側面の一方に沿うように第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部と、を備える。導電性接着剤を介して、第1の陰極端子部とコンデンサ素子の底面とが接続され、且つ、第2の陰極端子部とコンデンサ素子の側面の一方とが接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、
前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、
前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有し、
前記電解コンデンサユニットにおいて、
前記コンデンサ素子は、前記陽極ワイヤが突出する正面と、前記正面と交差する底面と、前記正面および前記底面と交差する一対の側面を有し、
前記陰極端子は、
前記コンデンサ素子の前記底面と対向する第1の陰極端子部と、
前記コンデンサ素子の前記側面の一方と対向する第2の陰極端子部と、を備え、
前記第2の陰極端子部は、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記側面の一方に沿うように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びており、
導電性接着剤を介して、前記第1の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記底面とが接続され、且つ、前記第2の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記側面の一方とが接続されている、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記陰極端子は、前記コンデンサ素子の前記側面の他方に沿うように、前記第1の陰極端子部から屈曲して延びる第3の陰極端子部を有さない、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記陰極端子は、前記第1の陰極端子部より前記コンデンサ素子から離れる方向に延びる第4の陰極端子部をさらに備え、
前記第4の陰極端子部は前記第1の陰極端子部と屈曲部を介して一体である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記電解コンデンサユニットを被覆する外装体をさらに備え、
前記陽極端子の一部と、前記第4の陰極端子部の少なくとも一部が、前記外装体から露出している、請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
第1の電解コンデンサユニット、および、第2の電解コンデンサユニットからなる一対の前記電解コンデンサユニットを備え、
前記第1の電解コンデンサユニットの前記第2の陰極端子部と、前記第2の電解コンデンサユニットの前記第2の陰極端子部とが、導電性接着剤を介して接続されている、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットのそれぞれにおいて、前記陰極端子は、前記第1の陰極端子部より前記コンデンサ素子から離れる方向に延び、且つ、前記第1の陰極端子部と屈曲部を介して一体に形成された第4の陰極端子部をさらに備え、
前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットを被覆する外装体をさらに備え、
前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットの前記陽極端子の一部と、前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットの前記第4の陰極端子部の少なくとも一部とが、前記外装体から露出している、請求項5に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
第1の電解コンデンサユニット、および、第2の電解コンデンサユニットを少なくとも含む複数の前記電解コンデンサユニットを備え、
前記第1および前記第2の前記電解コンデンサユニットのそれぞれの前記第2の陰極端子部同士が一体に形成され、
前記第1の電解コンデンサユニットにおける前記コンデンサ素子の前記側面の前記一方は、前記第2の電解コンデンサユニットにおける前記コンデンサ素子の前記側面の他方と対向しており、
前記第1の電解コンデンサユニットにおいて、前記第2の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記側面の前記一方とが、前記導電性接着剤を介して接続され、
前記第2の電解コンデンサユニットにおいて、前記第2の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記側面の前記一方とが、前記導電性接着剤を介して接続されている、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットを被覆する外装体と、
前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットの前記第1の陰極端子部より前記コンデンサ素子から離れる方向に延びる第4の陰極端子部と、をさらに備え、
前記第4の陰極端子部の少なくとも一部が、前記外装体から露出し、
前記第4の陰極端子部は、前記第1および前記第2の電解コンデンサユニットの前記第1の陰極端子部のそれぞれと、屈曲部を介して一体である、請求項7に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記第1の電解コンデンサユニットにおける前記コンデンサ素子の前記側面の前記一方に平行な仮想面に、前記第1の電解コンデンサユニットにおける前記第2の陰極端子部、および、前記第2の電解コンデンサユニットにおける前記第2の陰極端子部を投影したとき、前記第2の陰極端子部の投影部分同士が重ならない、請求項7に記載の電解コンデンサ。
【請求項10】
前記第1の電解コンデンサユニットにおける前記第2の陰極端子部は、前記第2の電解コンデンサユニットの前記コンデンサ素子の前記側面の他方と、前記導電性樹脂を介して接続されていない、請求項7に記載の電解コンデンサ。
【請求項11】
陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、
前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、
前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサの製造方法であって、
前記陰極端子は、第1の陰極端子部と、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記第1の陰極端子部と交差するように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部を有し、
前記電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する工程(i)と、
前記陰極端子の前記第1の陰極端子部が前記載置面と平行な状態で、前記陰極端子を前記設置台に載置する工程(ii)と、
前記陰極端子の前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部、ならびに/または、前記陰極部に導電性接着剤を塗布する工程(iii)と、
前記載置面が水平面から所定の角度で傾いた状態で、前記陰極端子の上に前記コンデンサ素子を載置し、前記コンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部と接続させる工程(iv)と、を備える、電解コンデンサの製造方法。
【請求項12】
前記工程(i)において、前記設置台は、傾いた状態の前記載置面で、前記陰極端子を載置する際に前記第1の陰極端子部と前記第2の陰極端子部との間の前記陰極端子の屈曲部分を支持するための突起部を、前記載置面に有する、請求項11に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項13】
陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、
前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、
前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサの製造方法であって、
前記陰極端子は、第1の陰極端子部と、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記第1の陰極端子部と交差するように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部と、を有し、
前記電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する工程(i)と、
前記陰極端子の前記第1の陰極端子部が前記載置面と平行な状態で、前記陰極端子を前記設置台に載置する工程(ii)と、
前記陰極端子の前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部、ならびに/または、前記陰極部に導電性接着剤を塗布する工程(iii)と、
前記陰極端子の上に前記コンデンサ素子を載置し、前記コンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部と接続させる工程(iv)と、を備え、
前記工程(iv)において、前記コンデンサ素子を、前記第1の陰極端子部が延びる方向、および、前記第2の陰極端子部が延びる方向の両方と交差する斜め方向から押圧し、前記導電性接着剤を硬化させる、電解コンデンサの製造方法。
【請求項14】
前記工程(i)において、前記設置台は、前記コンデンサ素子を前記斜め方向から押圧する際に前記第1の陰極端子部と前記第2の陰極端子部との間の前記陰極端子の屈曲部分を支持するための突起部を、前記載置面に有する、請求項13に記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項15】
前記第1の陰極端子部と、複数の前記第2の陰極端子部と、が一体に形成された前記陰極端子を準備する工程と、
第1のコンデンサ素子および第2のコンデンサ素子を少なくとも含む、複数の前記コンデンサ素子を準備する工程と、をさらに有し、
前記工程(iv)は、前記第1のコンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して、前記複数の前記第2の陰極端子部のうち一つと接続させて、第1の電解コンデンサユニットを形成する工程と、
前記第2のコンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して、前記複数の前記第2の陰極端子部の別の一つと接続させて、第2の電解コンデンサユニットを形成する工程と、を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサは、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性が優れているため、様々な電子機器に搭載されている。電解コンデンサは、通常、陽極部および陰極部を備えるコンデンサ素子を備える。陽極部は、多孔質の陽極体を含み、陽極体の表面に誘電体層が形成される。誘電体層は、電解質と接触する。電解質として、導電性高分子などの固体電解質を用いた固体電解コンデンサが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の固体電解コンデンサは、陽極ワイヤが突出し、周面に陰極引出層が形成されているコンデンサ素子と、陽極ワイヤと接続される陽極リードフレームと、陰極引出層と接続される陰極リードフレームと、コンデンサ素子を被覆する外装樹脂を有する。
【0004】
特許文献1では、陰極リードフレーム7は、外装樹脂8から露出し端子を形成する陰極端子部71と、陰極端子部71に連なり陰極端子部71よりも上方に位置する接続部72と、該接続部72の陽極リードフレーム6に対向する面の両端からコンデンサ素子1の側面に沿って延在している側面部73とからなっている(特許文献1の図1参照)。このような構成とすることで、コンデンサ素子1と陰極リードフレーム7は、接続部72と側面部73との2つの部位で接触し、コンデンサ素子1と陰極リードフレーム7との接触面積が増大し、固体電解コンデンサのESR低減効果が得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5216363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、陰極端子(陰極リードフレーム7)を、側面部を両側に有するU字形状に形成し、コンデンサ素子を両側の側面部と接触させることでESR低減を図っている。しかしながら、コンデンサ素子を側面部の間に載置するに際し、コンデンサ素子が側面部と接触することによる素子損傷を防ぐために、コンデンサ素子と側面部との間の距離を一定以上確保する必要がある。コンデンサ素子と側面部との間の距離を大きくすると、コンデンサ素子の側面部との密着性が低下し、期待するESR低減効果が得られ難くなる。加えて、コンデンサ素子の占有スペースが制限され、高容量化の妨げになる。
【0007】
一方で、コンデンサ素子と側面部との間の距離を小さくすれば、コンデンサ素子の側面部との密着性が向上し、ESR低減効果が得られるが、製造工程においてコンデンサ素子が側面部と接触し易くなり、電解コンデンサの製造が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記を鑑み、本開示の一局面は、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有し、前記電解コンデンサユニットにおいて、前記コンデンサ素子は、前記陽極ワイヤが突出する正面と、前記正面と交差する底面と、前記正面および前記底面と交差する一対の側面を有し、前記陰極端子は、前記コンデンサ素子の前記底面と対向する第1の陰極端子部と、前記コンデンサ素子の前記側面の一方と対向する第2の陰極端子部と、を備え、前記第2の陰極端子部は、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記側面の一方に沿うように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びており、導電性接着剤を介して、前記第1の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記底面とが接続され、且つ、前記第2の陰極端子部と前記コンデンサ素子の前記側面の一方とが接続されている、電解コンデンサに関する。
【0009】
上記を鑑み、本開示の他の一局面は、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサの製造方法であって、前記陰極端子は、第1の陰極端子部と、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記第1の陰極端子部と交差するように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部を有し、前記電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する工程(i)と、前記陰極端子の前記第1の陰極端子部が前記載置面と平行な状態で、前記陰極端子を前記設置台に載置する工程(ii)と、前記陰極端子の前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部、ならびに/または、前記陰極部に導電性接着剤を塗布する工程(iii)と、前記載置面が水平面から所定の角度で傾いた状態で、前記陰極端子の上に前記コンデンサ素子を載置し、前記コンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部と接続させる工程(iv)と、を備える、電解コンデンサの製造方法に関する。
【0010】
上記を鑑み、本開示の他の一局面は、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、前記陽極部と電気的に接続された陽極端子と、前記陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサの製造方法であって、前記陰極端子は、第1の陰極端子部と、前記第1の陰極端子部と一体であり、且つ前記第1の陰極端子部と交差するように前記第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部と、を有し、前記電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する工程(i)と、前記陰極端子の前記第1の陰極端子部が前記載置面と平行な状態で、前記陰極端子を前記設置台に載置する工程(ii)と、前記陰極端子の前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部、ならびに/または、前記陰極部に導電性接着剤を塗布する工程(iii)と、前記陰極端子の上に前記コンデンサ素子を載置し、前記コンデンサ素子の前記陰極部を、前記導電性接着剤を介して前記第1の陰極端子部および前記第2の陰極端子部と接続させる工程(iv)と、を備え、前記工程(iv)において、前記コンデンサ素子を、前記第1の陰極端子部が延びる方向、および、前記第2の陰極端子部が延びる方向の両方と交差する斜め方向から押圧し、前記導電性接着剤を硬化させる、電解コンデンサの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ESRの低い電解コンデンサを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。
図2図1のX-X´方向における電解コンデンサの断面図である。
図3図2とは別の例を示す電解コンデンサの断面図である。
図4】一対の電解コンデンサユニットを備える、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。
図5A】一対の電解コンデンサユニットを備える電解コンデンサの別の例を模式的に示す断面図である。
図5B】一対の電解コンデンサユニットを備える電解コンデンサの別の例を模式的に示す上面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法を説明する模式的な断面図である。
図7A】電解コンデンサの製造方法の他の例を説明する模式的な断面図である。
図7B】電解コンデンサの製造方法の他の例を説明する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示に係る電解コンデンサの実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかとを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
また、本開示は、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項の組み合わせを包含する。つまり、技術的な矛盾が生じない限り、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項を組み合わせることができる。
【0015】
(電解コンデンサ)
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサは、電解コンデンサユニットを有する。電解コンデンサユニットは、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、陽極部と電気的に接続された陽極端子と、陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える。電解コンデンサは、固体電解質層を備える固体電解コンデンサであってもよい。
【0016】
電解コンデンサユニットにおいて、コンデンサ素子は、陽極ワイヤが突出する正面と、正面と交差する底面と、正面および底面と交差する一対の側面を有する。陰極端子は、第1の陰極端子部と、第2の陰極端子部と、を備える。通常、コンデンサ素子は、直方体の概略形状をしている。この場合、直方体の六つの面のうち、陽極ワイヤが植立する面が正面であり、正面と一辺を介して連結する一つの面が底面である。正面および底面のそれぞれと一辺を介して連結する二つの面が一対の側面を構成する。側面の一方は、側面の他方と略平行であり、かつ対向する位置にある。
【0017】
第1の陰極端子部は、コンデンサ素子の底面と対向する。第1の陰極端子部とコンデンサ素子の底面とは、導電性接着剤を介して電気的に接続されている。
【0018】
第2の陰極端子部は、第1の陰極端子部と一体であり、且つ側面の一方に沿うように第1の陰極端子部から屈曲して延びて、コンデンサ素子の側面の一方と対向する。第2の陰極端子部は、コンデンサ素子の側面の一方と、導電性接着剤を介して電気的に接続されている。これにより、ESRが低減された電解コンデンサユニットおよび電解コンデンサが得られる。
【0019】
コンデンサ素子と陰極端子との電気的接続は、例えば、後述する製造方法において示すように、コンデンサ素子の底面が第1の陰極端子部と対向するように、コンデンサ素子を導電性接着剤が形成された陰極端子の第1の陰極端子部に載置した後、コンデンサ素子を側面の他方の側から陰極端子に向かって斜め方向に押し付けることにより行うことができる。この場合、コンデンサ素子の載置が容易であるとともに、導電性接着剤を介したコンデンサ素子と第1の陰極端子部との密着性、および、導電性接着剤を介したコンデンサ素子と第2の陰極端子部との密着性が一層向上し、電気的接続性が向上する。よって、電解コンデンサユニットを備えた電解コンデンサのESRを一層低減できる。
【0020】
陰極端子は、コンデンサ素子の側面の他方に沿うように、第1の陰極端子部から屈曲して延びる部分(第3の陰極端子部)を有していてもよく、有さなくてもよい。第3の陰極端子部は、第2の陰極端子部とコンデンサ素子を挟んで対向するように設けられてもよい。第3の陰極端子部を有する場合、陽極ワイヤの延伸方向に垂直な面における陰極端子の断面は、第2の陰極端子部の高さが第3の陰極端子部よりも高いU字形状(または、J字形状)であり得る。これに対し、第3の陰極端子部を有しない場合、陽極ワイヤの延伸方向に垂直な面における陰極端子の断面は、L字形状であり得る。
【0021】
第3の陰極端子部は、コンデンサ素子を第1の陰極端子部の上に載置する際の障害となり得るため、陰極端子が第3の陰極端子部を有さないことが好ましい。しかしながら、第3の陰極端子部の底面からの高さが第2の陰極端子部の底面からの高さよりも十分に低ければ、高さの低い第3の陰極端子部は、コンデンサ素子を第1の陰極端子部の上に載置する際の障害とはなり難い。この点で、第3の陰極端子部を有する場合、第3の陰極端子部の底面からの高さhは、第2の陰極端子部の底面からの高さHの1/2以下であってもよく、高さHの1/3以下もしくは1/5以下であってもよい。
【0022】
第3の陰極端子部を有する場合、第3の陰極端子部は、コンデンサ素子の側面の他方と、導電性接着剤を介して電気的に接続されなくてもよい。
【0023】
一実施形態において、陰極端子は、コンデンサ素子の側面の一方および底面と、導電性接着剤を介して接続されている。このため、コンデンサ素子の側面の両方および底面と、導電性接着剤を介して接続される例と比較すると、陰極端子のコンデンサ素子との接触面積は小さい。しかしながら、本実施形態の電解コンデンサでは、陰極端子のコンデンサ素子との接触面における密着性を向上できるため、陰極端子がコンデンサ素子の側面の一方のみと底面と接続される場合であっても、陰極端子がコンデンサ素子の側面の両方および底面と接続される場合と同等かそれ以上のESR低減効果を実現できる。また、コンデンサ素子を陰極端子の所定位置に容易に載置することができ、製造時の安定性が向上する。また、電解コンデンサのさらなる小型化および/または大容量化が可能となる。
【0024】
陰極端子の第1の陰極端子部および第2の陰極端子部とコンデンサ素子との間に介在する導電接着剤を含む層(導電性接着層)の厚みは、200μm以下であってもよい。この場合に、電解コンデンサのESRが顕著に低減される。
【0025】
本実施形態の電解コンデンサによれば、第1の陰極端子部および第2の陰極端子部を有する陰極端子を用いて、陰極端子とコンデンサ素子との電気的接続を、コンデンサ素子の側面の一方と底面において行うことで、陰極端子とコンデンサ素子との電気的接続を、コンデンサ素子の底面および両側面において行う場合と比較して、ESRを最大で10%程度(例えば、8%)低減できる。
【0026】
陰極端子は、第1の陰極端子部と屈曲部を介して一体であり、且つ第1の陰極端子部よりコンデンサ素子から離れる方向に延びる第4の陰極端子部をさらに備えてもよい。第4の陰極端子部は、第2および第3の陰極端子部とは異なる場所で、第1の陰極端子部から屈曲して延びる。屈曲により、第4の陰極端子部はコンデンサ素子の表面(例えば、陽極ワイヤが植立する正面または正面に対向する面)に沿うことなく、コンデンサ素子から遠ざかるように延びている。
【0027】
電解コンデンサは、電解コンデンサユニットを被覆する外装体をさらに備えて構成され得る。第4の陰極端子部の少なくとも一部が、外装体から露出することにより外部陰極端子を構成していてもよい。陽極端子の一部が、外装体から露出することにより外部陽極端子を構成していてもよい。
【0028】
電解コンデンサが、複数の電解コンデンサユニットを備えてもよい。電解コンデンサは、例えば、第1の電解コンデンサユニット、および、第2の電解コンデンサユニットからなる一対の電解コンデンサユニットを備えてもよい。第1の電解コンデンサユニット、および、第2の電解コンデンサユニットは、それぞれ、上述の第2の陰極端子部を備えた陰極端子を有する電解コンデンサユニットである。
【0029】
一態様において、第1の電解コンデンサユニットの第2の陰極端子部と、第2の電解コンデンサユニットの第2の陰極端子部とが、導電性接着剤を介して接続されていてもよい。
【0030】
第1および第2の電解コンデンサユニットのそれぞれの陰極端子は、第1の陰極端子部よりコンデンサ素子から離れる方向に延び、且つ、第1の陰極端子部と屈曲部を介して一体に形成された第4の陰極端子部をさらに備えて構成され得る。前記第1および第2の電解コンデンサユニットの陽極端子の一部と、第1および第2の電解コンデンサユニットの第4の陰極端子部の少なくとも一部とが、外装体から露出し、外部端子を構成してもよい。
【0031】
また別の一態様において、第1および第2の電解コンデンサユニットのそれぞれの第2の陰極端子部同士が、一体に形成されてもよい。
【0032】
この場合、第1の電解コンデンサユニットにおけるコンデンサ素子の側面の一方を、第2の電解コンデンサユニットにおけるコンデンサ素子の側面の他方と対向するように配置してもよい。上述の通り、コンデンサ素子の側面の一方には、第2の陰極端子部が側面に沿うように延びているが、コンデンサ素子の側面の他方には、第2の陰極端子部が延びていない。よってこの場合、複数の電解コンデンサユニットにおいて、第2の陰極端子部のコンデンサ素子との接続面に垂直で、接続面から接続されるコンデンサ素子の側面の一方に向かう法線ベクトルは、それぞれのコンデンサ素子において略同じ方向を向いている。複数の電解コンデンサユニットにおいて隣接するコンデンサ素子同士は、いずれか一方の電解コンデンサユニットの第2の陰極端子部を間に挟んで対向し、離間して配置されている。
【0033】
そして、第1の電解コンデンサユニットにおいて、第2の陰極端子部とコンデンサ素子の側面の一方とが、導電性接着剤を介して接続され、第2の電解コンデンサユニットにおいて、第2の陰極端子部とコンデンサ素子の側面の一方とが、導電性接着剤を介して接続される。この場合、それぞれの電解コンデンサユニットのコンデンサ素子を、陰極端子に向かって同じ方向(側面の他方から一方に向かう方向)に押圧することで、導電性接着剤を介してコンデンサ素子を陰極端子に密着させることができ、ESRが低く、コンデンサ素子を複数備えた電解コンデンサの製造が容易となる。
【0034】
この場合、第1の電解コンデンサユニットのコンデンサ素子と、第2の電解コンデンサユニットのコンデンサ素子とで、コンデンサ素子内において第2の陰極端子部と密着するコンデンサ素子内の位置が異なってもよい。
【0035】
例えば、第1の電解コンデンサユニットにおけるコンデンサ素子の側面の一方に平行な仮想面に、第1の電解コンデンサユニットにおける第2の陰極端子部、および、第2の電解コンデンサユニットにおける第2の陰極端子部を投影したとき、第2の陰極端子部の投影部分同士が重ならなくてもよい。
【0036】
第1の電解コンデンサユニットにおける第2の陰極端子部は、第1の電解コンデンサユニットのコンデンサ素子の側面の一方と、導電性樹脂を介して接続される。しかしながら、第2の電解コンデンサユニットのコンデンサ素子の側面の他方とは、導電性樹脂を介して接続されず、コンデンサ素子の側面の他方と第2の陰極端子部との間に空間を有する。
【0037】
陰極端子には、上述の通り、外部陰極端子を構成するための第4の陰極端子部が設けられ得る。複数の電解コンデンサユニットを備える電解コンデンサにおいて、複数の電解コンデンサユニットに対して1つの第4の陰極端子部が共通に用いられてもよい。その場合、第4の陰極端子部は、第1および第2の電解コンデンサユニットの第1の陰極端子部のそれぞれと、屈曲部を介して一体に形成され得る。第4の陰極端子部は、第1および第2の電解コンデンサユニットの第1の陰極端子部よりコンデンサ素子から離れる方向に延びて、その少なくとも一部が、外装体から露出する。
【0038】
(電解コンデンサの構成の例)
本実施形態に係る電解コンデンサの構成および構成要素の例について以下に説明する。なお、本実施形態に係る電解コンデンサの構成および構成要素は、以下の例に限定されない。本実施形態に係る電解コンデンサの一例は、コンデンサ素子、陽極端子(陽極リードフレーム)、陰極端子(陰極リードフレーム)、および外装体(外装樹脂)を含む。それらについて、以下に説明する。
【0039】
(コンデンサ素子)
コンデンサ素子は、陽極部、誘電体層、および陰極部を含む。コンデンサ素子に特に限定はなく、公知の電解コンデンサに用いられているコンデンサ素子を用いてもよい。
【0040】
陽極部は、陽極体と陽極ワイヤとを含む。陽極体は、多孔質焼結体であってもよいし、表面が多孔質化された金属箔であってもよい。誘電体層は、陽極体の表面に形成される。陰極部は、電解質層(固体電解質層)と陰極層とを含む。電解質層は、陽極体の表面に形成された誘電体層と陰極層との間に配置されている。これらの構成要素に特に限定はなく、公知の電解コンデンサに用いられる構成要素を適用してもよい。これらの構成要素の例について、以下に説明する。
【0041】
(陽極体)
陽極体は、材料となる粒子を焼結することによって形成してもよい。材料となる粒子の例には、弁作用金属の粒子、弁作用金属を含有する合金の粒子、および弁作用金属を含有する化合物の粒子が含まれる。これらの粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。あるいは、陽極体として、弁作用を有する金属の箔を用いてもよい。弁作用金属の例には、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)などが含まれる。焼結体である陽極体の好ましい一例は、タンタルの焼結体である。金属箔である陽極体の好ましい一例は、アルミニウム箔である。
【0042】
陽極体の表面に形成される誘電体層に特に限定はなく、公知の方法で形成してもよい。例えば、陽極体の表面を陽極酸化することによって、誘電体層を形成してもよい。
【0043】
(陽極ワイヤ)
陽極ワイヤには、金属からなるワイヤを用いることができる。陽極ワイヤの材料の例には、上記の弁作用金属、銅、アルミニウム合金などが含まれる。陽極ワイヤの一部は陽極体に埋設され、残りの部分は陽極体の端面から突き出している。陽極ワイヤの断面形状は、特に限定されないが、円、楕円、多角形(例えば、正方形および長方形)、円または楕円と直線との組み合わせ(例えば、トラック形状)などが挙げられる。
【0044】
(電解質層)
電解質層は、固体電解質層であってもよい。
電解質層(固体電解質層)に特に限定はなく、公知の固体電解コンデンサに用いられている固体電解質層を適用してもよい。電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように配置される。電解質層は、マンガン化合物や導電性高分子を用いて形成してもよい。導電性高分子の例には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体などが含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。なお、導電性高分子の誘導体とは、導電性高分子を基本骨格とする高分子を意味する。例えば、ポリチオフェンの誘導体の例には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
【0045】
導電性高分子にはドーパントが添加されていることが好ましい。ドーパントは、導電性高分子に応じて選択でき、公知のドーパント(例えば高分子ドーパント)を用いてもよい。ドーパントの例には、ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩などが含まれる。一例の電解質層は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を用いて形成される。
【0046】
導電性高分子を含む電解質層は、原料であるモノマーを誘電体層上で重合することによって形成してもよい。あるいは、導電性高分子(および必要に応じてドーパント)を含んだ液体を、誘電体層上に配置した後に乾燥させることによって形成してもよい。
【0047】
(陰極層)
陰極層は、導電性を有する層であり、電解質層の少なくとも一部を覆うように配置されている。陰極層は、導電性を有する陰極引出層を含む。陰極層は、電解質層と陰極引出層との間に配置された他の導電層(例えばカーボン層)を含んでもよい。例えば、陰極層は、電解質層上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成された陰極引出層とを含んでもよい。陰極引出層は、金属粒子(例えば銀粒子)と樹脂とを含む金属ペースト(例えば銀ペースト)によって形成されてもよく、公知の銀ペーストによって形成されてもよい。カーボン層は、カーボンを含む層であり、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂とによって形成されてもよい。
【0048】
(陽極端子および陰極端子)
陽極端子(陽極リードフレーム)および陰極端子(陰極リードフレーム)は、基材を含む。基材は、金属(銅、銅合金など)からなる。基材の厚さに特に限定はなく、25μm~200μmの範囲(例えば25μm~100μmの範囲)にあってもよい。リードフレームは、基材と基材上に形成されたメッキ層とを含んでもよい。
【0049】
メッキ層は、ニッケル、金、パラジウム、錫、銅などの金属(合金を含む)で形成され、ニッケル層、金層、パラジウム層、錫層、銅層などを含んでもよい。例えば、基材上に、ニッケル層、金層、およびパラジウム層の順で、メッキ層を積層してもよい。メッキ層は、公知のメッキ法で形成できる。
【0050】
陽極端子は、陽極部に電気的に接続されている。陽極端子は、外装体内に埋設されている埋設部と、外装体から露出している露出部とを含む。埋設部と陽極部とは、溶接などによって接続されてもよい。露出部の少なくとも一部は、外部端子として機能する。外部端子は、半田付けなどが行われる部分である。
【0051】
陰極端子は、上述した第1の陰極端子部および第2の陰極端子部を有し、陰極部に電気的に接続されている。陰極端子は、外装体内に埋設されている埋設部と、外装体から露出している露出部(上述の例では、第4の陰極端子部の一部)とを含む。埋設部と陰極部とは、導電性接着層によって接続される。露出部の少なくとも一部は、外部端子として機能する。外部端子は、半田付けなどが行われる部分である。
【0052】
(導電性接着層)
導電性接着層は、導電性接着剤を含み、陰極端子の埋設部と陰極部とを接続する。導電性接着層は、第1の陰極端子部と陰極部とを接続し、第2の陰極端子部と陰極部とを接続する。導電性接着剤は、導電性粒子と樹脂とを含む導電性ペースト(例えば銀ペースト)を用いて形成することができる。導電性粒子の例には、金属粒子(例えば銀粒子)が含まれる。
【0053】
(外装体)
外装体は、電解コンデンサの表面にコンデンサ素子が露出しないように、コンデンサ素子の周囲に配置される。さらに、外装体は、陽極リードフレームの埋設部と陰極リードフレームの埋設部とを覆うように配置される。外装体は、通常、樹脂(絶縁性樹脂)と絶縁性フィラーとを含む。
【0054】
外装体は、絶縁性の樹脂と、絶縁性フィラー(例えば無機フィラー)とを含む樹脂組成物で形成できる。樹脂組成物は、絶縁性の樹脂および絶縁性フィラーに加えて、硬化剤、重合開始剤、および/または触媒などを含んでもよい。絶縁性の樹脂の例には、絶縁性の熱硬化性樹脂、および絶縁性の熱可塑性樹脂が含まれる。具体的には、絶縁性の樹脂の例には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが含まれる。
【0055】
絶縁性フィラーの例には、絶縁性の粒子、絶縁性の繊維などが含まれる。絶縁性フィラーを構成する絶縁性材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの絶縁性の化合物(酸化物など)、ガラス、鉱物材料(タルク、マイカ、クレーなど)などが挙げられる。外装体に含まれる絶縁性フィラーは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0056】
(電解コンデンサの製造方法)
本開示の一実施形態の電解コンデンサを製造するための方法について、以下に例を挙げて説明する。ただし、電解コンデンサは、以下で説明する製造方法以外の方法で製造してもよい。本実施形態の電解コンデンサについて既に説明した事項は、以下の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の製造方法で説明した事項は、本実施形態の電解コンデンサに適用してもよい。
【0057】
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法は、陽極ワイヤを有する陽極部、および、陰極部を備えたコンデンサ素子と、陽極部と電気的に接続された陽極端子と、陰極部と電気的に接続された陰極端子と、を備える電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサの製造方法であって、陰極端子は、第1の陰極端子部と、第1の陰極端子部と一体であり、且つ第1の陰極端子部と交差するように第1の陰極端子部から屈曲して延びる第2の陰極端子部と、を有する。製造方法は、電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する工程(i)と、陰極端子の第1の陰極端子部が載置面と平行な状態で、陰極端子を設置台に載置する工程(ii)と、陰極端子の第1の陰極端子部および第2の陰極端子部、ならびに/または、陰極部に導電性接着剤を塗布する工程(iii)と、陰極端子の上にコンデンサ素子を載置し、コンデンサ素子の陰極部を、導電性接着剤を介して第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と接続させる工程(iv)と、を備える。電解コンデンサの製造方法は、固体電解コンデンサの製造方法であってもよい。
【0058】
工程(i)では、、電解コンデンサユニットを載置するための載置面を有する設置台を準備する。設置台については、特に限定されず、公知の構成を利用できる。
【0059】
工程(i)において、載置面が水平面から所定の角度で傾いた状態の設置台を準備してもよい。これにより、コンデンサ素子の陰極端子への載置が容易となり、ESRが低減された電解コンデンサユニットおよび電解コンデンサの製造が容易となる。載置面が初めから傾いている設置台を使用してもよく、載置面が水平の設置台を傾けて使用してもよい。載置面の傾き角θ(図6参照)は、例えば、水平面に対して5~30°である。
【0060】
次に、工程(ii)では、陰極端子を設置台に載置する。陰極端子は、一枚の板材(通常、銅板などの金属板)を所定形状に裁断し、その一部を必要に応じて屈曲させることによって、所定の立体形状を有するように形成される。陰極端子の一部を第1の陰極端子部に対して交差する方向に屈曲させることで、第1および第2の陰極端子部を有する陰極端子が準備すされる。なお、工程(ii)と同時または並行して、陽極端子が設置台に載置され得る。
【0061】
陰極端子は、第1の陰極端子部が設置台の載置面と平行な状態で、設置台に載置される。よって、設置台の載置面が水平面から傾いた状態では、陰極端子が設置台に載置されたとき、第2の陰極端子部が水平面から斜めに突出している。
【0062】
陽極端子および陰極端子は、一方向(ここでは、第1方向とする)に延伸した形状であり、第1方向の一方の端部に埋設部が設けられる。通常、第1方向における特定位置を境に、埋設部と埋設部以外の部分(露出部または非埋設部)とが区分される。ここで、埋設部から露出部に向かう方向(すなわち、製造後の電解コンデンサにおいて、外装体の内から外に向かう方向)を第1方向とする。第1方向における位置が、特定位置よりも第1方向側にある部分が露出部であり、特定位置よりも第1方向と反対側にある部分は埋設部である。
【0063】
埋設部内には、コンデンサ素子の陽極部または陰極部と電気的に接続するための接続領域が設けられる。陰極端子の接続領域は、第1の陰極端子部および第2の陰極端子部を含む。陽極端子および陰極端子において、第1方向において埋設部と反対側に位置する他方の端部は、製造後の電解コンデンサの外部端子を構成し、外部との電気的接続に使用される。
【0064】
次に、工程(iii)では、陰極端子の第1の陰極端子部および第2の陰極端子部、ならびに/または、コンデンサ素子の陰極部に導電性接着剤を塗布する。導電性接着剤は、陰極端子および/またはコンデンサ素子の陰極部の所定領域に塗布される。導電性接着剤は、陰極端子およびコンデンサ素子の陰極部の両方に塗布してもよく、いずれか一方に塗布してもよい。陰極端子に導電性接着剤を塗布する場合、第1の陰極端子部に塗布される導電性接着剤と、第2の陰極端子部に塗布される導電性接着剤は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0065】
続いて、工程(iv)では、陰極端子の上にコンデンサ素子を載置し、コンデンサ素子の陰極部を、導電性接着剤を介して第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と接続させる。導電性接着剤を硬化させることにより、導電性接着層が形成される。コンデンサ素子は、その底面が第1の陰極端子部と対向し、側面の一方が第2の陰極端子部と対向するように、陰極端子上に載置される。
【0066】
工程(iv)と同時または並行して、陽極端子とコンデンサ素子の陽極部との電気的接続が行われる。これにより、電解コンデンサユニットが形成される。陽極端子と陽極部との接続方法に特に限定はなく、公知の接続方法を用いてよい。例えば、陽極端子を、溶接によって陽極部と接続させてもよい。
【0067】
工程(i)で載置面が水平面から傾いた状態の設置台を用いる場合、工程(ii)において、陰極端子は第2の陰極端子部が下方に位置するように(例えば、第1の陰極端子部と第2の陰極端子部との間の屈曲部分が最も下方に位置するように)、設置台に載置される(図6参照)。この場合、工程(iv)において、第2の陰極端子部は、陰極端子の上にコンデンサ素子を載置する際の障害となり難く、且つ、コンデンサ素子の陰極部が導電性接着剤を介して第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と接触した状態が、重力により安定的に実現される。結果、簡便な方法で、コンデンサ素子の陰極部を、第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と電気的に接続させることが容易に可能となる。
【0068】
設置台の載置面が傾いた状態でコンデンサの載置を行う代わりに、工程(iv)において、コンデンサ素子を、第1の陰極端子部が延びる方向、および、第2の陰極端子部が延びる方向の両方と交差する斜め方向から押圧するとともに、導電性接着剤を硬化させてもよい(図7B参照)。この場合、コンデンサ素子の陰極部が導電性接着剤を介して第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と接触し、密着した状態が、押圧力により安定的に実現され、コンデンサ素子の陰極部を、第1の陰極端子部および第2の陰極端子部と電気的に接続させることが容易に可能となる。
【0069】
工程(iv)において、設置台の置面が水平面から傾いた状態でコンデンサ素子を載置し、且つ、コンデンサ素子を斜め方向から押圧してもよい。この場合、工程(iv)において、コンデンサ素子を、鉛直方向に、下方向に向かって押圧してもよい。
【0070】
工程(i)において準備される設置台の載置面には、突起部が設けられてもよい。突起部は、工程(ii)で陰極端子を設置台に載置する際に、第1の陰極端子部と第2の陰極端子部との間の陰極端子の屈曲部分を支持するとともに、陰極端子が載置される位置を固定する。また、突起部は、コンデンサ素子を斜め方向から押圧する場合はその押圧力によりコンデンサ素子が設置台から滑り移動するのを防止し、および/または、載置面が傾いた状態の設置台を用いる場合はその自重により陰極端子およびコンデンサ素子が設置台から滑り落ちるのを防止する。
【0071】
複数の電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサを製造する場合、製造方法は、第1の陰極端子部と、複数の第2の陰極端子部と、が一体に形成された陰極端子を準備する工程と、第1のコンデンサ素子および第2のコンデンサ素子を少なくとも含む、複数のコンデンサ素子を準備する工程と、をさらに有してもよい。
【0072】
工程(iv)は、第1のコンデンサ素子の陰極部を、導電性接着剤を介して、複数の第2の陰極端子部のうち一つと接続させて、第1の電解コンデンサユニットを形成する工程と、第2のコンデンサ素子の陰極部を、導電性接着剤を介して、複数の第2の陰極端子部の別の一つと接続させて、第2の電解コンデンサユニットを形成する工程と、を含んでもよい。これにより、第1および第2の電解コンデンサユニットを有する電解コンデンサを製造できる。
【0073】
工程(iv)の後、陰極端子および陽極端子の埋設部およびコンデンサ素子を外装体で覆う工程が行われる。外装体で覆う工程は、公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、外装体となる樹脂組成物で埋設部およびコンデンサ素子を被覆した後に樹脂組成物を硬化させる。外装体には、樹脂(絶縁性樹脂)と絶縁性フィラーとを含む外装体を用いることができる。
【0074】
以下では、本開示に係る電解コンデンサおよびその製造方法の例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する例のコンデンサの構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する例のコンデンサは、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。また、以下で説明する実施形態において、本開示に係る電解コンデンサに必須ではない構成要素は省略してもよい。
【0075】
図1は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。図2は、図1のX-X´方向における電解コンデンサの断面図である。ただし、図2では、外装体140の記載を省略している。
【0076】
図1に示す電解コンデンサ100は、コンデンサ素子110、リード端子200、導電性接着層130、および外装体140を含む。リード端子200は、陽極端子210と陰極端子220とを含む。
【0077】
コンデンサ素子110は、陽極部111、誘電体層114、および陰極部115を含む。陽極部111は、陽極体113と、陽極ワイヤ112とを含む。陽極体113は、直方体状の多孔質焼結体であり、表面に誘電体層114が形成されている。
【0078】
陽極ワイヤ112の一部は、陽極体113の1つの端面から、電解コンデンサ100の前面100fに向かって突き出している。陽極ワイヤ112の他の部分は陽極体113に埋設されている。陽極ワイヤ112は、陽極体113の長手方向に沿って延びている。陰極部115は、誘電体層114の少なくとも一部を覆うように配置された電解質層116と、電解質層116の少なくとも一部を覆うように形成された陰極層117とを含む。
【0079】
陽極端子210は、陽極ワイヤ112と接続している。陽極端子210の一部は、外装体140から露出している。陽極端子210の外装体140からの露出部分は、電解コンデンサ100の底面100bに沿うように屈曲して延びており、陽極側の外部端子として機能する。
【0080】
陰極端子220は、導電性接着層130を介して、陰極部115を構成する陰極層117と接続している。陰極端子220は、第1の陰極端子部221、第2の陰極端子部222(図1では不図示、図2参照)、および、第4の陰極端子部224を有する。第1の陰極端子部221は、コンデンサ素子110の底面110bに沿って延びており、導電性接着層130を介して陰極層117と接続している。陰極端子220の一部は、第1の陰極端子部221から、さらにコンデンサ素子110から離れるように屈曲しながら延びて、外装体140から露出している。陰極端子220の外装体140からの露出部分が、第4の陰極端子部224であり、陽極端子210と反対側を、電解コンデンサ100の底面100bに沿うように延びている。第4の陰極端子部224は、陰極側の外部端子として機能する。
【0081】
なお、電解コンデンサ100の底面100bと対向する面を、電解コンデンサ100の上面100tと称する。電解コンデンサ100の前面100fと対向する面を、電解コンデンサ100の後面100rと称する。
【0082】
第2の陰極端子部222は、図2に示すように、第1の陰極端子部221から、さらにコンデンサ素子110の一方の側面110xに沿うように屈曲しながら延びている。このため、陰極端子220の第1の陰極端子部221および第2の陰極端子部222を横切る面における断面形状は、図2に示すように、L字形状である。第2の陰極端子部222は、一方の側面110xと、導電性接着層130を介して接続している。
【0083】
図2の例では、第2の陰極端子部222とコンデンサ素子110の一方の側面110xとを接続する導電性接着層は、第1の陰極端子部221とコンデンサ素子110の底面110bとを接続する導電性接着層と連続しており、一体である。しかしながら、第2の陰極端子部222とコンデンサ素子110の一方の側面110xとを接続する導電性接着層は、第1の陰極端子部221とコンデンサ素子110の底面110bとを接続する導電性接着層と分離されていてもよい。第2の陰極端子部222とコンデンサ素子110の一方の側面110xとを接続する導電性接着層は、第1の陰極端子部221とコンデンサ素子110の底面110bとを接続する導電性接着層と、含まれる材料および/または組成が異なってもよい。
【0084】
図3は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサについて、図2とは別の例を示す断面図であり、図2と同様、外装体140の記載を省略している。
【0085】
図3の例では、陰極端子220は、第3の陰極端子部223をさらに有する。第3の陰極端子部223は、第1の陰極端子部221から、さらに、コンデンサ素子110の側面110xとは反対側の他方の側面110yに沿うように屈曲しながら延びている。ただし、第3の陰極端子部223の底面110bからの高さは、第2の陰極端子部222の底面110bからの高さはよりも低い。このため、陰極端子220の断面形状は、図3に示すように、第2の陰極端子部222の高さが第3の陰極端子部223よりも高いU字形状(または、J字形状)である。第3の陰極端子部223は、他方の側面110yと、導電性接着層130を介して接続されず、第3の陰極端子部223と他方の側面110yとの間に空間を有する。
【0086】
なお、リード端子200(陽極端子210および陰極端子220)の全体的な形状や配置、および、リード端子200と陽極部111および陰極部115との接続位置は、図1に示す例に限定されない。例えば、陰極端子220は、底面100b側ではない部分(例えば上面100t側の部分や後面100r側の部分)において陰極部115と接続されてもよい。
【0087】
図4は、一対の電解コンデンサユニットを備える、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図であり、図1のX-X´方向における断面図に相当する。図4に示す電解コンデンサ101は、第1の電解コンデンサユニット100A、および、第2の電解コンデンサユニット100Bを有する。第1の電解コンデンサユニット100Aおよび第2の電解コンデンサユニット100Bは、それぞれ、図1および図2に示す電解コンデンサ100と同様の構造を有する。
【0088】
第1の電解コンデンサユニット100Aの第2の陰極端子部222Aと、第2の電解コンデンサユニット100Bの第2の陰極端子部222Bと、が導電性接着層130Cを介して接続され、全体で一つの電解コンデンサが構成されている。
【0089】
図5Aは、一対の電解コンデンサユニットを備える電解コンデンサの図4とは別の例を模式的に示す断面図であり、図1のX-X´方向における断面図に相当する。図5Bは、図5Aの電解コンデンサを上面から見た図であり、外装体140の記載を省略している。
【0090】
図5Aおよび図5Bに示す電解コンデンサ102では、陰極端子220は、第1の陰極端子部221を介して一体に形成された2つの第2の陰極端子部222A、222Bを有する。第2の陰極端子部222Aは、第1の電解コンデンサユニット100Aの第1のコンデンサ素子110Aと導電性接着層130Aを介して接続されている。第1のコンデンサ素子110Aは、側面110Axおよび110Ayを有し、一方の側面110Axが第2の陰極端子部222Aと対向している。第2の陰極端子部222Bは、第2の電解コンデンサユニット100Bの第2のコンデンサ素子110Bと導電性接着層130Bを介して接続されている。第2のコンデンサ素子110Bは、側面110Bxおよび110Byを有し、一方の側面110Bxが第2の陰極端子部222Bと対向している。第2の陰極端子部222Aが接続する第1のコンデンサ素子110Aの一方の側面110Axは、第2の陰極端子部222Aを挟んで、第2のコンデンサ素子110Bの第2の陰極端子部222Bと接続しない他方の側面110Byと対向している。
【0091】
第2の陰極端子部222A、222Bは、1枚の板状の陰極端子220の一部を折り曲げて第1の陰極端子部221に対して略垂直に立ち上げることにより形成され得る。このため、第1のコンデンサ素子110Aにおいて、第2の陰極端子部222Aと接続する領域と、第2のコンデンサ素子110Bにおいて、第2の陰極端子部222Bと接続する領域とは、コンデンサ素子内における相対位置が異なる。
【0092】
図6は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の工程(iv)に関連して、第2の陰極端子部を有する陰極端子に、コンデンサ素子を載置し密着させる方法を説明する模式的な断面図である。図6は、コンデンサ素子を陰極端子の上に載置する工程を説明する断面図である。陰極端子220は、載置面が水平面から傾いた状態の設置台300に載置されている。
【0093】
第2の陰極端子部222は、載置面301が水平面から傾いていることにより、鉛直方向に対して斜め方向に突出している。この場合、第2の陰極端子部222は、コンデンサ素子110を陰極端子220の上に載置する際の妨げとなり難く、コンデンサ素子110の陰極部115を、第1の陰極端子部221および第2の陰極端子部222と、導電性接着剤130を介して容易に接触させることができる。設置台300の載置面301には、陰極端子220およびコンデンサ素子110が載置面301から自重により滑り落ちるのを防止するための突起部302が設けられている。
【0094】
図7Aおよび図7Bは、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の工程(iv)に関連して、第2の陰極端子部を有する陰極端子に、コンデンサ素子を載置し密着させる方法の他の例を説明する模式的な断面図である。図7Aは、コンデンサ素子を陰極端子の上に載置する工程を説明する断面図である。図7Bは、コンデンサ素子を陰極端子の上に載置後、コンデンサ素子を導電性接着剤にて陰極端子に密着させる工程を説明する断面図である。
【0095】
図7Aおよび図7Bの例では、設置台300の載置面301は水平であり、第2の陰極端子部222は鉛直方向に突出している。しかしながら、コンデンサ素子110を、第2の陰極端子部222と反対側(図7Aの右方向)から設置台300の上方へ搬送し、陰極端子の上に載置するようにすれば、第2の陰極端子部222は載置の妨げとなり難い。
【0096】
コンデンサ素子110を載置した後、図7Bに示すように、コンデンサ素子を、第1の陰極端子部221が延びる方向、および、第2の陰極端子部222が延びる方向の両方と交差する斜め方向から押圧してもよい。これにより、コンデンサ素子110の陰極部115を、第1の陰極端子部221および第2の陰極端子部222のそれぞれと、導電性接着剤を介して強固に密着させることができる。設置台300の載置面301には、陰極端子220およびコンデンサ素子110が載置面301から押圧力によって滑り移動するのを防止するための突起部302が設けられている。
【0097】
図7Bと同様、図6においても、コンデンサ素子110を載置した後、コンデンサ素子110を、第1の陰極端子部221が延びる方向および第2の陰極端子部222が延びる方向の両方と交差する斜め方向から押圧してもよい。図6の場合、載置面301が水平から傾いているので、押圧の方向である斜め方向は、鉛直方向の下方向であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本開示は、電解コンデンサおよびその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0099】
100、101、102 電解コンデンサ
100A 第1の電解コンデンサユニット
100B 第2の電解コンデンサユニット
110、110A、110B コンデンサ素子
111 陽極部
112 陽極ワイヤ
113 陽極体
114 誘電体層
115 陰極部
116 電解質層
117 陰極層
130、130A~130C 導電性接着層
140 外装体
200 リード端子
210 陽極端子
220 陰極端子
221、221A、221B 第1の陰極端子部
222、222A、222B 第2の陰極端子部
223 第3の陰極端子部
224、224A、224B 第4の陰極端子部
300 設置台
301 載置面
302 突起部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B