(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013610
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】活動帽用防水カバー
(51)【国際特許分類】
A42B 1/18 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A42B1/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115826
(22)【出願日】2022-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】521281346
【氏名又は名称】加藤 寿賀子
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寿賀子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】活動帽を着用して街頭活動を行う警察従事者の頭部を、雨水から保護する。
【解決手段】被頭部3と、前壁部4と、鍔部5と、警察紋章6と、周壁部7と、紋章型留め具部8と、支持軸部9と、支持軸部9によって軸支される顎ベルト部10とを有し、鍔載置状態と顎係止状態とに切り替えて使用される警察活動帽2を覆う、活動帽用防水カバー1であって、被頭部3、前壁部4及び周壁部7を覆うカバー本体11と、鍔部5を覆う鍔カバー部12とを有し、カバー本体11は、外周側から警察紋章6を透過視認可能とする紋章収納部13と、周壁部7に対応する部位の下端において内周側と外周側とで互いに重なるように設けられ、互いに係脱可能に構成された内側片15及び外側片16とを備え、紋章型留め具部8及び顎ベルト部10をカバー本体11の外部に露出させつつ、顎ベルト部10を支持軸部9を中心に回動自在とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警察従事者である着用者の頭部を覆う、布製の略半球状の被頭部と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の前方に位置し、前記着用者の前頭部に沿うように立設して配置される前壁部と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、前記前壁部の下端から前方へ突出して設けられる鍔部と、
前記前壁部の前面に凸設された警察紋章と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の下部に位置し、前記着用者の後頭部に沿って巻かれるように略円弧状に延設される周壁部と、
前記略円弧状に延設される前記周壁部の左・右両側に警察紋章を模してそれぞれ設けられた左・右の紋章型留め具部と、
前記左・右の紋章型留め具部それぞれの前記着用者の側頭部側に設けられた支持軸部と、
略U字状の形状を備え、前記左・右の前記支持軸部によって前記略U字状の両端部がそれぞれ軸支される、長さ調整可能な顎ベルト部と、
を有し、
前記顎ベルト部を前記支持軸部を中心に上方へ回動させ、前記鍔部の上部へ載置した鍔載置状態と、前記顎ベルト部を前記支持軸部から略下方へ垂下させ、前記着用者の顎下に係止した顎係止状態と、に切り替えて使用される警察活動帽を覆う、活動帽用防水カバーであって、
前記被頭部、前記前壁部、及び、前記周壁部の外周側を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の前方側に一体的に設けられ、前記鍔部の上部を覆う鍔カバー部と、
を有し、
前記カバー本体は、
前記前壁部の前記前面の前記警察紋章に対応する部位に設けられ、内周側に当該警察紋章を収納するとともに外周側から当該警察紋章を透過視認可能とする、紋章収納部と、
当該カバー本体のうち前記周壁部に対応する部位の下端において内周側と外周側とで互いに重なるようにそれぞれ設けられ、互いに係脱可能に構成された内側片及び外側片と、
を備え、
前記内側片及び前記外側片が互いに離間した離脱状態で前記カバー本体内に前記警察活動帽の前記被頭部、前記前壁部、前記周壁部を収納して覆うとともに、離間した前記内側片及び前記外側片の間に前記紋章型留め具部及び前記顎ベルトを通した後、当該内側片及び当該外側片を互いに係合させて一体化することで、当該紋章型留め具部及び当該顎ベルトを前記カバー本体の外部に露出させつつ、前記顎ベルトを前記支持軸部を中心に回動自在とした
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項2】
請求項1記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記警察活動帽が前記鍔載置状態で使用される場合には、前記カバー本体の外部に露出された前記顎ベルトが、前記鍔部を覆う前記鍔カバー部の上部に載置される
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項3】
請求項2記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記内側片は外向きボタンを備え、
前記外側片は内向きボタンを備え、
前記内側片と前記外側片とが重なった状態で前記外向きボタンと前記内向きボタンとが互いに嵌め合わされることで当該内側片及び当該外側片とが係合され、
互いに嵌め合わされた前記外向きボタンと前記内向きボタンとが取り外されることで係合された前記内側片と前記外側片とが離脱する、
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項4】
請求項3記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記内側片及び前記外側片は、
互いに係合された状態において当該内側片と当該外側片との間に所定の開口部を形成し、
前記支持軸部は、前記内側片及び前記外側片が互いに係合された状態において、前記開口部を貫通する
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項5】
請求項4記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記支持軸部は、前記紋章型留め具部に一体的に設けられており、
前記支持軸部は、
前記顎ベルト部に設けられた貫通孔に対して遊嵌状態で挿入され、前記顎ベルト部が回動しても当該回動に応じて連れ回りしないように構成されており、
前記支持軸部が前記開口部を貫通することで前記カバー本体の外部に位置する前記紋章型留め具部が、前記顎ベルト部が回動しても、当該カバー本体の外部に露出した状態で所定の回転位置に維持される
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項6】
請求項5記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記カバー本体は、後方側の部位に、
前記活動帽用防水カバーを前記警察活動帽に装着した状態のままで、当該カバー本体の内側空間の径方向寸法を調整可能なサイズ調整部を備える
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動帽用防水カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨天時に警察官の制帽に装着するための、帽子用雨具について知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の
図1、段落[0002]、[0006]等には、警察官の制帽に袋状の雨覆いを装着することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
警察官の帽子の種類として、制帽以外にも活動帽が挙げられる。制帽が主に庁内勤務時に着用されるのに対し、活動帽は街頭活動時に着用されるため、雨天時の長時間の勤務に備え、専用の雨具を開発することが望ましいと考えられる。しかし、上記特許文献1には、活動帽用の雨具については記載されていない。
【0005】
本発明の目的は、活動帽を着用して街頭活動を行う警察従事者の頭部を、雨水から保護する活動帽用防水カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、警察従事者である着用者の頭部を覆う、布製の略半球状の被頭部と、前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の前方に位置し、前記着用者の前頭部に沿うように立設して配置される前壁部と、前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、前記前壁部の下端から前方へ突出して設けられる鍔部と、前記前壁部の前面に凸設された警察紋章と、前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の下部に位置し、前記着用者の後頭部に沿って巻かれるように略円弧状に延設される周壁部と、前記略円弧状に延設される前記周壁部の左・右両側に警察紋章を模してそれぞれ設けられた左・右の紋章型留め具部と、前記左・右の紋章型留め具部それぞれの前記着用者の側頭部側に設けられた支持軸部と、略U字状の形状を備え、前記左・右の前記支持軸部によって前記略U字状の両端部がそれぞれ軸支される、長さ調整可能な顎ベルト部と、を有し、前記顎ベルト部を前記支持軸部を中心に上方へ回動させ、前記鍔部の上部へ載置した鍔載置状態と、前記顎ベルト部を前記支持軸部から略下方へ垂下させ、前記着用者の顎下に係止した顎係止状態と、に切り替えて使用される警察活動帽を覆う、活動帽用防水カバーであって、前記被頭部、前記前壁部、及び、前記周壁部の外周側を覆うカバー本体と、前記カバー本体の前方側に一体的に設けられ、前記鍔部の上部を覆う鍔カバー部と、を有し、前記カバー本体は、前記前壁部の前記前面の前記警察紋章に対応する部位に設けられ、内周側に当該警察紋章を収納するとともに外周側から当該警察紋章を透過視認可能とする、紋章収納部と、当該カバー本体のうち前記周壁部に対応する部位の下端において内周側と外周側とで互いに重なるようにそれぞれ設けられ、互いに係脱可能に構成された内側片及び外側片と、を備え、前記内側片及び前記外側片が互いに離間した離脱状態で前記カバー本体内に前記警察活動帽の前記被頭部、前記前壁部、前記周壁部を収納して覆うとともに、離間した前記内側片及び前記外側片の間に前記紋章型留め具部及び前記顎ベルト部を通した後、当該内側片及び当該外側片を互いに係合させて一体化することで、当該紋章型留め具部及び当該顎ベルト部を前記カバー本体の外部に露出させつつ、前記顎ベルト部を前記支持軸部を中心に回動自在としたことを特徴としている。
【0007】
本願発明においては、活動帽用防水カバーを警察活動帽に被せたとき、顎ベルト部をカバー本体の外部に露出しかつ回動自在とすることができる。これにより、活動帽用防水カバーを警察活動帽に被せた状態のまま、顎ベルト部を鍔部の上部へ載置した鍔載置状態、顎ベルト部を着用者の顎下に係止した顎係止状態、のいずれにも切り替え可能となる。したがって、雨の日の出動時等において、活動帽用防水カバーを警察活動帽に被せっぱなしの状態でも、用途・状況に応じて上記2つの状態を適宜に切り替えることで、各種街頭活動(パトカーでのパトロール、交通取り締まり、事件事故処理、等)を自在に遂行することができる。その結果、警察活動帽を着用しての街頭活動を行う警察従事者の頭部を、雨水から確実に保護することができる。
【0008】
またその際、警察活動帽正面の警察紋章をカバー本体の紋章収納部に収納することで、活動帽用防水カバーを被せた状態でも第三者が明確に当該警察紋章を視認することができる。同様に、顎ベルトの両端部を軸支する支持軸部を裏面側に備えた紋章型留め具部が、カバー本体の外部に露出されることで、活動帽用防水カバーを被せた状態でも紋章型留め具部の警察紋章を第三者が明確に視認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、警察活動帽を着用して街頭活動を行う警察従事者の頭部を、雨水から保護する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】活動帽用防水カバーの正面図及び側面図である。
【
図5】活動帽用防水カバーを被せた警察活動帽の着用時の正面図である。
【
図6】活動帽用防水カバーを被せた警察活動帽の着用時の左側面図及び背面図である。
【
図7】活動帽用防水カバーを被せた警察活動帽の着用時の右側面図である。
【
図8】内側片と外側片との係合の構成を説明する概念図である。
【
図9】顎ベルト部回動時の紋章型留め具部の構成を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0012】
図1に着用時の警察活動帽2の正面図、
図2に着用時の警察活動帽2の上面図、
図3に着用時の警察活動帽2の側面図を示す。なお
図1(a)に示す警察活動帽2は顎係止状態にあり、
図1(b)に示す警察活動帽2は鍔載置状態にある。また、
図3(a)は顎係止状態にある警察活動帽2の着用時の左側面図であり、
図3(b)は鍔載置状態にある警察活動帽2の着用時の右側面図である。
図1に示す方角は、着用者Mから見た上下方向、左右方向、前後方向でありこれらは互いに直交する。同様の方角が
図2~
図9にも適宜適用される。
【0013】
図2及び
図3に示すように、警察活動帽2は、警察従事者である着用者Mの頭部を覆う、布製の略半球状の被頭部3を有する。警察活動帽2はまた、
図1及び
図3に示すように、被頭部3よりも硬質の材料で構成され、被頭部3の前方に位置し、着用者Mの前頭部に沿うように立設して配置される前壁部4を有する。警察活動帽2はまた、被頭部3よりも硬質の材料で構成され、前壁部4の下端から前方へ突出して設けられる鍔部5を有する。
【0014】
図1、
図2及び
図3に示すように、警察活動帽2は、前壁部4の前面に凸設された警察紋章6を有する。
図3に示すように、警察活動帽2は、被頭部3よりも硬質の材料で構成され、被頭部3の下部に位置し、着用者Mの後頭部に沿って巻かれるように略円弧状に延設される周壁部7を有する。
図3に示すように、警察活動帽2は、略円弧状に延設される周壁部7の左・右両側に警察紋章6を模してそれぞれ設けられた左・右の紋章型留め具部8を有する。
【0015】
図2に示すように、警察活動帽2は、左・右の紋章型留め具部8それぞれの着用者Mの側頭部側に設けられた支持軸部9を有する。この例では、支持軸部9は、紋章型留め具部8に一体的に設けられている。支持軸部9は、周壁部7に貫通し、警察活動帽2の内側で係止されている。
【0016】
図1及び
図3に示すように、警察活動帽2は、略U字状の形状を備え、左・右の支持軸部9によって略U字状の両端部がそれぞれ軸支される、長さ調整可能な顎ベルト部10を有する。顎ベルト部10はプラスチック等の防水性の素材で構成される。顎ベルト部10は、顎ベルトの長さを調節するバックル17を適宜の個数、備えていてもよい。
【0017】
警察活動帽2は、顎ベルト部10を支持軸部9を中心に上方へ回動させ、鍔部の上部へ載置した鍔載置状態と、顎ベルト部10を支持軸部9から略下方へ垂下させ、着用者Mの顎下に係止した顎係止状態と、に切り替えて使用される。顎係止状態において、顎ベルト部10は、強風又は混雑時の業務により警察活動帽2が脱げ、又は紛失することを防止する。
【0018】
図4(a)に活動帽用防水カバー1の正面図、
図4(b)に活動帽用防水カバー1の側面図を示す。
図5に活動帽用防水カバーを被せた警察活動帽2の着用時の正面図を示す。なお、
図5(a)に示す警察活動帽2は顎係止状態にあり、
図5(b)に示す警察活動帽2は鍔載置状態にある。
図6(a)及び
図6(b)にそれぞれ活動帽用防水カバー1を被せた警察活動帽2の着用時の左側面図及び背面図を示す。
【0019】
図4に示すように、活動帽用防水カバー1はカバー本体11と、鍔カバー部12とを有する。
図6(a)に示すように、カバー本体11は警察活動帽2の被頭部3、前壁部4、及び周壁部7の外周側を覆い、鍔カバー部12は、カバー本体11の前方側に一体的に設けられ、鍔部5の上部を覆うように、警察活動帽子2に被せて装着される。
【0020】
カバー本体11及び鍔カバー部12は柔軟性を持つ透明な樹脂素材、例えばビニール等で構成される。カバー本体11及び鍔カバー部12は、警察活動帽2の表面形状に沿った立体的形状となるように、複数の樹脂素材を接着又は縫製して形成されるが、この図では、煩雑の防止のため、接着部位や縫製部位については適宜図示を省略する。このような樹脂素材は、特に限定されるものではないものの、例えば0.05~2ミリメートル程度の厚みを有し、活動帽用防水カバー1を使用しない際には折り畳むことができ、かつ、使い捨ての袋状ビニール等のように即座に破断可能なものでなく、一定以上の期間の使用に耐えうる程度の強度を有し、しわがよりにくいものであることが、好ましい。
【0021】
なお、上記接着部位又は縫製部位については透明でない部分があってもかまわない。また、
図4に示すように、鍔カバー部12は、縁部に、鍔部5に被せて固定するための固定部14を備える。固定部14には、例えば、塩化ビニルやゴム等の素材で構成された半透明のU字状のパッキン部材が配置され、U字状の溝に鍔部5の縁部を挟み込むと、鍔部5に圧力が加わり固定されるようになっている。
【0022】
図4、
図5、及び
図6に示すように、カバー本体11は、前壁部4の前面の警察紋章6に対応する部位に設けられ、内周側に警察紋章6を収納するとともに外周側から警察紋章6を透過視認可能とする、紋章収納部13を有する。
図6(a)では、紋章収納部13は警察紋章6をより視認させやすくするため、警察紋章6に対し略平行となるように後方向に適宜の寸法だけ凹んだ形状となっているが、特に凹みを設けなくてもかまわない。ここでは、カバー本体11が透明な素材で形成されるため、その一部領域である紋章収納部13も透明であり、警察紋章6が透過視認可能となっている。このとき、紋章収納部13には、上述した、接着部位や縫製部位を含む、不透明又は半透明となる部位が配置されないように、構成されている。
【0023】
図4(b)、
図6(a)及び
図7に示すように、カバー本体11は、周壁部7に対応する部位の下端において内周側と外周側とで互いに重なるようにそれぞれ設けられ、互いに係脱可能に構成された内側片15及び外側片16を備える。
【0024】
内側片15は外向きボタン18を備え、外側片16は内向きボタン19を備える。内側片15と外側片16とは、外向きボタン18と、内向きボタン19とにより係合可能となっている。
【0025】
図4(b)に示すように、内側片15と外側片16は、互いに係合された状態において内側片15と外側片16との間に所定の開口部20を形成するような形状に構成されている。開口部20は、内側片15と外側片16とが係合した状態で、カバー本体11の内側に配置される警察活動帽2の支持軸部9を貫通させ、紋章型留め具部8及び顎ベルト部10を活動帽用防水カバー1の外部に露出させることができるような形状に構成される。開口部20の形状は限定されるものではないが、ここでは、前後方向を長辺とする略長方形状となっており、その前方端部は、前記略長方形の短辺より半径の大きな略円形状を備えるものとなるように、構成されている。
【0026】
図5(a),
図6(a)及び
図7(a)に示すように、警察活動帽2が顎係止状態で使用される場合には、カバー本体11の外部に露出された顎ベルト部10が、紋章型留め具部8に一体的に設けられた支持軸部9(図示なし)から略下方へ垂下される。
【0027】
図5(b)及び
図7(b)に示すように、警察活動帽2が鍔載置状態で使用される場合には、カバー本体11の外部に露出された顎ベルト部10が、鍔部2を覆う鍔カバー部12の上部に載置される。
【0028】
図8に内側片15と外側片16との係合の構成を説明する概念図を示す。
図8(a)は、外向きボタン18と内向きボタン19とを互いに取り外して内側片15と外側片16とを離脱させ、離間した内側片15と外側片16との間の空間に支持軸部9(図示なし)を通して活動帽用防水カバー1の内側から警察活動帽2の顎ベルト部10と紋章型留め具部8を外部に露出させている。この図では、構成をわかりやすく示すため、外側片16をめくり、外側片16の内側に配置された内向きボタン19の内側を見せている。また内側片15の外側を下方向にひねって見せている。またこのとき、カバー本体11内に警察活動帽2の被頭部3、前壁部4、周壁部7が収納され覆われている。
【0029】
図8(b)では、外側片16と内側片15とを近づけ、
図8(c)では、外側片16と内側片15とを互いに重ね合わせて、外側片16の内側に配置された内向きボタン19と、内側片15の外側に配置された外向きボタン18とを、嵌め合わせて係合する直前の状態を表している。
【0030】
着用者Mは、雨天時に警察活動帽子2に活動帽用防水カバー1を装着する際には、内側片15と外側片16とを離脱させて顎ベルト部10と紋章型留め具部8を外部に露出させたのち、内側片15と外側片16とを係合してする。これにより、開口部20に支持軸部9が貫通し、警察活動帽2と活動帽用防水カバー1とは互いに固定される。
【0031】
図9に顎ベルト部10回動時の紋章型留め具部8の構成を説明する概念図を示す。なお、この図の紋章収納部13は凹ませた形状としていない。上述のようにして、警察活動帽2に活動帽用防水カバー1を固定したとき、外部に露出した顎ベルト部10は支持軸部9を中心に回動自在となっている。
図9(a)は顎ベルト部10を下方向に垂らした状態で、
図9(b)は顎ベルト部10を後方に回動させた状態、
図9(c)は前方に回動させた状態である。
【0032】
この例では、支持軸部9は顎ベルト部10に設けられた貫通孔(図示なし)に対して遊嵌状態で挿入されている。そのため、顎ベルト部10をどの方向に回動させても、紋章型留め具部8の位置は当該回動に応じて連れ回りしないようになっている。カバー本体11の外部に露出させた状態においても、紋章型留め具部8は顎ベルト部10の回動に連れ回りせず、所定の回転位置を維持するようになっている。すなわち顎ベルト部10の位置に関わらず紋章型留め具部8に形成された紋章の見え方は実質的に変わらないようになっている。
【0033】
図6(b)に示すように、カバー本体11は、後方側の部位に、活動帽用防水カバー1を警察活動帽2に装着した状態のままで、カバー本体11の内側空間の径方向寸法を調整可能なサイズ調整部20を備える。サイズ調整部20は、公知の構成を用いることができ、例えば、予め配置された複数の被係合部(ボタンやホック等)の中から1つを選んで係合部と係合させ、着用者の頭のサイズに合わせてカバー本体11の径方向寸法を調整可能となっている。
【0034】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、活動帽用防水カバー1を警察活動帽2に被せたとき、顎ベルト部10をカバー本体11の外部に露出しかつ回動自在とすることができる。これにより、活動帽用防水カバー1を警察活動帽2に被せた状態のまま、顎ベルト部10を鍔部5の上部へ載置した鍔載置状態、顎ベルト部10を着用者Mの顎下に係止した顎係止状態、のいずれにも切り替え可能となる。したがって、雨の日の出動時等において、活動帽用防水カバー1を警察活動帽2に被せっぱなしの状態でも、用途・状況に応じて上記2つの状態を適宜に切り替えることで、各種街頭活動(パトカーでのパトロール、交通取り締まり、事件事故処理、等)を自在に遂行することができる。その結果、警察活動帽2を着用しての街頭活動を行う警察従事者の頭部を、雨水から確実に保護することができる。
【0035】
またその際、警察活動帽2正面の警察紋章6をカバー本体11の紋章収納部13に収納することで、活動帽用防水カバー1を被せた状態でも第三者が明確に当該警察紋章6を視認することができる。同様に、顎ベルト部10の両端部を軸支する支持軸部9を裏面側に備えた紋章型留め具部8が、カバー本体11の外部に露出されることで、活動帽用防水カバー1を被せた状態でも紋章型留め具部8の警察紋章を第三者が明確に視認することができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、顎ベルト部10を鍔カバー部12の上に載置可能とすることで、鍔載置状態において警察活動帽2を円滑に使用することができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、ボタンを嵌め合わせたり取り外したりするだけの簡単な操作で、内側片15と外側片16との係合状態及び離脱状態を実現できる。これにより、活動帽用防水カバー1を警察活動帽2に取り付けたり、警察活動帽2から取り外すのを容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では特に、内側片15と外側片16とが係合した状態でそれらの間に形成される開口部20を、顎ベルト部10を支持する支持軸部9が貫通する。このような貫通構造により、活動帽用防水カバー1が警察活動帽2から外れて落ちてしまうのを防止できるとともに、開口部20の大きさや形状を適宜に工夫することで、活動帽用防水カバー1と警察活動帽2との位置ずれが起こるのも抑制できる。
【0039】
また、本実施形態では特に、活動帽用防水カバー1を被せた状態で顎ベルト部10をどのような回動状態とした場合であっても紋章型留め具部8の警察紋章は回転せずに一定位置に維持されるので、紋章型留め具部8の警察紋章を第三者が確実に明確に視認することができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、サイズ調整部20を備えるので、警察活動帽2の大きさに合わせて活動帽用防水カバー1の内部空間の大きさを微調整し、警察活動帽2に活動帽用防水カバー1をフィットさせることができる。この作業は、着用者が先に警察活動帽2を頭部に着用し後からその警察活動帽2に活動帽用防水カバー1を被せた状態でも行うことができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の活動帽用防水カバー1によれば、顎ベルト部10を露出した状態で警察活動帽子2に固定でき、紋章収納部13にしわもよらないため、従来のような袋状の雨具を使用する場合と比較して街頭活動時の業務効率が向上する。また、その他の従来の雨具、例えば、レインコートに付属されるフードのような形状の雨具によれば、強風で外れたり、周囲の音を遮断したり、視界を遮ることにより、業務の妨げとなる可能性があるが、本実施形態の活動帽用防水カバー1は警察活動帽2の表面形状に沿った立体的形状となるように構成され、警察活動帽子2に固定されているため、着用者Mの街頭活動を妨げることがない。
【0042】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0043】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 活動帽用防水カバー
2 警察活動帽
3 被頭部
4 前壁部
5 鍔部
6 警察紋章
7 周壁部
8 紋章型留め具部
9 支持軸部
10 顎ベルト部
11 カバー本体
12 鍔カバー部
13 紋章収納部
14 固定部
15 内側片
16 外側片
17 バックル
18 外向きボタン
19 内向きボタン
20 サイズ調整部
【手続補正書】
【提出日】2022-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警察従事者である着用者の頭部を覆う、布製の略半球状の被頭部と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の前方に位置し、前記着用者の前頭部に沿うように立設して配置される前壁部と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、前記前壁部の下端から前方へ突出して設けられる鍔部と、
前記前壁部の前面に凸設された警察紋章と、
前記被頭部よりも硬質の材料で構成され、当該被頭部の下部に位置し、前記着用者の後頭部に沿って巻かれるように略円弧状に延設される周壁部と、
前記略円弧状に延設される前記周壁部の左・右両側に警察紋章を模してそれぞれ設けられた左・右の紋章型留め具部と、
前記左・右の紋章型留め具部それぞれの前記着用者の側頭部側に設けられた支持軸部と、
略U字状の形状を備え、前記左・右の前記支持軸部によって前記略U字状の両端部がそれぞれ軸支される、長さ調整可能な顎ベルト部と、
を有し、
前記顎ベルト部を前記支持軸部を中心に上方へ回動させ、前記鍔部の上部へ載置した鍔載置状態と、前記顎ベルト部を前記支持軸部から略下方へ垂下させ、前記着用者の顎下に係止した顎係止状態と、に切り替えて使用される警察活動帽を覆う、活動帽用防水カバーであって、
前記被頭部、前記前壁部、及び、前記周壁部の外周側を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の前方側に一体的に設けられ、前記鍔部の上部を覆う鍔カバー部と、
を有し、
前記カバー本体は、
前記前壁部の前記前面の前記警察紋章に対応する部位に設けられ、内周側に当該警察紋章を収納するとともに外周側から当該警察紋章を透過視認可能とする、紋章収納部と、
当該カバー本体のうち前記周壁部に対応する部位の下端において内周側と外周側とで互いに重なるようにそれぞれ設けられ、互いに係脱可能に構成された内側片及び外側片と、
を備え、
前記内側片及び前記外側片が互いに離間した離脱状態で前記カバー本体内に前記警察活動帽の前記被頭部、前記前壁部、前記周壁部を収納して覆うとともに、離間した前記内側片及び前記外側片の間に前記紋章型留め具部及び前記顎ベルト部を通した後、当該内側片及び当該外側片を互いに係合させて一体化することで、当該紋章型留め具部及び当該顎ベルト部を前記カバー本体の外部に露出させつつ、前記顎ベルト部を前記支持軸部を中心に回動自在とした
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項2】
請求項1記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記警察活動帽が前記鍔載置状態で使用される場合には、前記カバー本体の外部に露出された前記顎ベルト部が、前記鍔部を覆う前記鍔カバー部の上部に載置される
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項3】
請求項2記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記内側片は外向きボタンを備え、
前記外側片は内向きボタンを備え、
前記内側片と前記外側片とが重なった状態で前記外向きボタンと前記内向きボタンとが互いに嵌め合わされることで当該内側片及び当該外側片とが係合され、
互いに嵌め合わされた前記外向きボタンと前記内向きボタンとが取り外されることで係合された前記内側片と前記外側片とが離脱する、
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項4】
請求項3記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記内側片及び前記外側片は、
互いに係合された状態において当該内側片と当該外側片との間に所定の開口部を形成し、
前記支持軸部は、前記内側片及び前記外側片が互いに係合された状態において、前記開口部を貫通する
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項5】
請求項4記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記支持軸部は、前記紋章型留め具部に一体的に設けられており、
前記支持軸部は、
前記顎ベルト部に設けられた貫通孔に対して遊嵌状態で挿入され、前記顎ベルト部が回動しても当該回動に応じて連れ回りしないように構成されており、
前記支持軸部が前記開口部を貫通することで前記カバー本体の外部に位置する前記紋章型留め具部が、前記顎ベルト部が回動しても、当該カバー本体の外部に露出した状態で所定の回転位置に維持される
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。
【請求項6】
請求項5記載の活動帽用防水カバーにおいて、
前記カバー本体は、後方側の部位に、
前記活動帽用防水カバーを前記警察活動帽に装着した状態のままで、当該カバー本体の内側空間の径方向寸法を調整可能なサイズ調整部を備える
ことを特徴とする活動帽用防水カバー。