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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136108
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 655A
H01L29/78 655F
H01L29/78 652L
H01L29/78 652M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047086
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】川城 史義
(57)【要約】
【課題】プリント基板への実装が容易な半導体装置、及びその半導体装置を備えた電力変換装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、半導体チップ10、ドレイン電極板11、ソース電極板12、ゲート電極板13、モールド層16、被覆膜17、及び被覆膜18を備える。半導体チップ10は、第1面にドレイン領域を有し、第1面に対向する第2面にソース領域及びゲート領域を有する。ドレイン電極板11はドレイン領域に設けられる。ソース電極板12はソース領域に設けられる。ゲート電極板13はゲート領域に設けられる。モールド層16は、半導体チップ、ソース電極板、及びゲート電極板の側面に設けられる。被覆膜17は、ドレイン電極板の下面及び側面、ソース電極板の上面、及びゲート電極板の上面に設けられる。被覆膜18は、モールド層16の上面及び側面に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面にドレイン領域を有し、前記第1面に対向する第2面にソース領域及びゲート領域を有する半導体チップと、
前記ドレイン領域に設けられたドレイン電極板と、
前記ソース領域に設けられたソース電極板と、
前記ゲート領域に設けられたゲート電極板と、
前記半導体チップ、前記ソース電極板、及び前記ゲート電極板の側面に設けられたモールド層と、
前記ドレイン電極板の下面及び側面、前記ソース電極板の上面、及び前記ゲート電極板の上面に設けられた第1被覆膜と、
前記モールド層の上面及び側面に設けられた第2被覆膜と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記ドレイン電極板、前記ソース電極板、及び前記ゲート電極板の各々は、Cuを含みかつ厚さが50μm以上である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ドレイン電極板、前記ソース電極板、及び前記ゲート電極板の各々は、Cuを含みかつ厚さが150μm以上300μm以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップの前記ドレイン領域と前記ドレイン電極板との間に設けられた第1電極層をさらに備え、
前記第1電極層は、Al、Ni、Auの積層構造、Al、Ni、Pd、Auの積層構造、Al、Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極層と前記ドレイン電極板との間に設けられた第1導電層をさらに備え、
前記第1導電層は、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップの前記ソース領域と前記ソース電極板との間に設けられた第2電極層と、前記半導体チップの前記ゲート領域と前記ゲート電極板との間に設けられた第3電極層とさらに備え、
前記第2電極層及び前記第3電極層の各々は、Al、Ni、Auの積層構造、Al、Ni、Pd、Auの積層構造、Al、Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2電極層と前記ソース電極板との間に設けられた第2導電層と、前記第3電極層と前記ゲート電極板との間に設けられた第3導電層とをさらに備え、
前記第2導電層及び前記第3導電層の各々は、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1被覆膜は、ベンゾトリアゾ-ル(BTA)を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1被覆膜は、Snを含む膜、Ni及びAuを含む膜、Ni、Pd及びAuを含む膜のいずれか1つである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ドレイン電極板、前記半導体チップ、及び前記ソース電極板の順で配置された積層構造を有し、
前記積層構造の厚さが500μm以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1絶縁板と、
前記第1絶縁板の上方に設けられた第2絶縁板と、
前記第1絶縁板と前記第2絶縁板との間に設けられた第1半導体装置と、
を具備し、
前記第1半導体装置は、
第1面にドレイン領域を有し、前記第1面に対向する第2面にソース領域及びゲート領域を有する半導体チップと、
前記ドレイン領域に設けられたドレイン電極板と、
前記ソース領域に設けられたソース電極板と、
前記ゲート領域に設けられたゲート電極板と、
を有する電力変換装置。
【請求項12】
前記第1絶縁板と前記第2絶縁板との間に設けられた第2半導体装置をさらに備え、
前記第2半導体装置は、
第1面にドレイン領域を有し、前記第1面に対向する第2面にソース領域及びゲート領域を有する半導体チップと、
前記ドレイン領域に設けられたドレイン電極板と、
前記ソース領域に設けられたソース電極板と、
前記ゲート領域に設けられたゲート電極板と、
を有する請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第1絶縁板と前記第2絶縁板との間に設けられ、前記第1半導体装置を挟むように配置された絶縁材をさらに備える請求項11に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置(例えば、DC-DCコンバータ)に用いられるスイッチング素子として、プリント基板に表面実装されるパワーMOSFET等の半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-95515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント基板への実装が容易な半導体装置、及びその半導体装置を備えた電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1面にドレイン領域を有し、前記第1面に対向する第2面にソース領域及びゲート領域を有する半導体チップと、前記ドレイン領域に設けられたドレイン電極板と、前記ソース領域に設けられたソース電極板と、前記ゲート領域に設けられたゲート電極板と、前記半導体チップ、前記ソース電極板、及び前記ゲート電極板の側面に設けられたモールド層と、前記ドレイン電極板の下面及び側面、前記ソース電極板の上面、及び前記ゲート電極板の上面に設けられた第1被覆膜と、前記モールド層の上面及び側面に設けられた第2被覆膜とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の上面図である。
図3図2に示す半導体装置のIII-III線に沿った断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体チップと導電層を詳細に示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る半導体装置の上面図である。
図6図5に示す半導体装置のVI-VI線に沿った断面図である。
図7】第2実施形態に係る半導体チップと導電層を詳細に示す断面図である。
図8】第3実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
図9】第3実施形態に係る電力変換装置の上面図である。
図10図9に示す電力変換装置のX-X線に沿った断面図である。
図11】第4実施形態に係る電力変換装置の上面図である。
図12図11に示す電力変換装置のXII-XII線に沿った断面図である。
図13】第5実施形態に係る電力変換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。また、以下で参照される図面において、本明細書では、図を見易くするために絶縁層や被覆膜、配線やコンタクト等の構成要素が適宜省略されている。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態の半導体装置について説明する。半導体装置は、例えばスイッチング素子としてのMOS電界効果トランジスタ(以下、MOSFETと称する)を備える。第1実施形態のMOSFETは、第1面(あるいは、下面、裏面)にドレインを有し、第1面に対向する第2面(あるいは、上面、表面)にソース及びゲートを有する。MOSFETは、電力変換装置、例えば、DC-DCコンバータあるいはインバータに用いられる。なお、MOSFETを電力変換装置に適用した例は第3実施形態以降で説明する。
【0009】
図1は、第1実施形態の半導体装置の斜視図である。図2は第1実施形態の半導体装置の上面図であり、図3図2に示す半導体装置のIII-III線に沿った断面図である。これらの図を含む以降の図面において、半導体装置の第1面に平行で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とし、これらX方向及びY方向を含む面(XY面)に直交する方向をZ方向とする。なお、図1及び図2では、被腹膜及びモールド層等が省略されている。
【0010】
図1図2及び図3に示すように、半導体装置1は、半導体チップ10、ドレイン電極板(あるいは、ドレイン電極層)11、ソース電極板(あるいは、ソース電極層)12、ゲート電極板(あるいは、ゲート電極層)13、導電層14、15a、15b、モールド層16、並びに被覆膜17及び18を備える。
【0011】
半導体チップ10は、例えば、MOSFETを構成する。半導体チップ10は、Z方向に直交する第1面と、第1面に対向する第2面とを持つ。第1面は、図3に示す半導体チップ10の下面であり、第2面は、図3に示す半導体チップ10の上面である。半導体チップ10は、第1面にドレイン領域を有し、第2面にソース領域及びゲート領域を有する。
【0012】
半導体チップ10は、ドレイン電極板11と、ソース電極板12及びゲート電極板13との間に設けられる。すなわち、半導体チップ10のドレイン領域の下には、ドレイン電極板11が設けられる。半導体チップ10のソース領域上には、ソース電極板12が設けられる。さらに、半導体チップ10のゲート領域上には、ゲート電極板13が設けられる。
【0013】
ドレイン電極板11は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ドレイン電極板11の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ドレイン電極板11と同様に、ソース電極板12は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ソース電極板12の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ゲート電極板13は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ゲート電極板13の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13は、例えばCuを含む。
【0014】
以下に、半導体チップ10のソース領域、ドレイン領域及びゲート領域と導電層14、15a及び15bの構造について説明する。図4は、半導体チップ10と導電層14、15a及び15bを詳細に示す断面図である。
【0015】
半導体チップ10のドレイン領域とドレイン電極板11との間には、導電層14が設けられる。ドレイン領域Da下に電極層Dbが配置される。電極層Db下に導電層14を介してドレイン電極板11が配置される。
【0016】
ドレイン領域Daは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Dbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層14は、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層14は、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0017】
導電層14は、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ10の電極層Dbとドレイン電極板11との間を接合あるいは焼結する。ドレイン電極板11は、導電層14を介して半導体チップ10のドレイン(即ち、電極層Db及びドレイン領域Da)に電気的に接続される。
【0018】
半導体チップ10のソース領域Saとソース電極板12との間には、導電層15aが設けられる。ソース領域Sa上に電極層Sbが配置される。電極層Sb上に導電層15aを介してソース電極板12が配置される。
【0019】
ソース領域Saは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Sbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層15aは、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層15aは、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0020】
導電層15aは、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ10の電極層Sbとソース電極板12との間を接合あるいは焼結する。ソース電極板12は、導電層15aを介して半導体チップ10のソース(即ち、電極層Sb及びソース領域Sa)に電気的に接続される。
【0021】
半導体チップ10のゲート領域とゲート電極板13との間には、導電層15bが設けられる。ゲート領域Ga上に電極層Gbが配置される。電極層Gb上に導電層15bを介してゲート電極板13が配置される。
【0022】
ゲート領域Gaは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Gbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層15bは、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層15bは、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0023】
導電層15bは、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ10の電極層Gbとゲート電極板13との間を接合あるいは焼結する。ゲート電極板13は、導電層15bを介して半導体チップ10のゲート(即ち、電極層Gb及びゲート領域Ga)に電気的に接続される。
【0024】
図3に戻り、説明を続ける。ドレイン電極板11上で、かつソース電極板12及び半導体チップ10の側面に、モールド層16が設けられる。ドレイン電極板11上で、かつゲート電極板13及び半導体チップ10の側面に、モールド層16が設けられる。さらに、半導体チップ10上で、かつソース電極板12とゲート電極板13との間にも、モールド層16が設けられる。これらモールド層16は、半導体装置1内における半導体チップ10、ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13間の絶縁状態や配置を安定的に保持する。
【0025】
ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13の表面を覆うように、被覆膜17が設けられる。被覆膜17は、これらドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13の表面の全体あるいは一部分を被覆する。具体的には、被覆膜17は、ドレイン電極板11の下面及び側面、ソース電極板12の上面、及びゲート電極板13の上面に設けられる。なお、ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13の各々との接続のために、コンタクト材(あるいは、配線)が設けられる場合、これらの表面を覆う被覆膜17の一部が除去される。これにより、ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13の各々にコンタクト材を電気的に接続することが可能になる。
【0026】
半導体装置1が基板、例えばプリント配線板(あるいは、プリント基板)等に実装された際に、被覆膜17は、ドレイン電極板11、ソース電極板12、及びゲート電極板13と、これら電極板の周囲に設けられる層との密着性を向上させる。
【0027】
被覆膜17は、金属膜、例えば、SnあるいはNi/Auを含む膜、あるいはNi/Pd/Auを含む膜であっても良く、または絶縁膜、例えば、ベンゾトリアゾ-ル(BTA)などの防錆材を含んでいても良い。
【0028】
モールド層16の表面を覆うように、被覆膜18が設けられる。被覆膜18は、モールド層16の表面の全体あるいは一部分を被覆する。具体的には、被覆膜18は、モールド層16の上面及び側面に設けられる。半導体装置1が基板、例えばプリント配線板等に実装された際に、被覆膜18は、モールド層16と、これらモールド層16の周囲に設けられる層との密着性を向上させる。被覆膜18は、例えば絶縁膜を含む。
【0029】
図3に示す半導体装置1のZ方向の厚さは、例えば、500μm以下、あるいは400μm以下である。すなわち、ドレイン電極板11、半導体チップ10、及びソース電極板12の順で配置された積層構造の厚さは、例えば、500μm以下、あるいは400μm以下である。
【0030】
以下に、第1実施形態の主な効果について説明する。
【0031】
上述した第1実施形態では、半導体装置1の第1面に半導体チップ10のドレインに接続されたドレイン電極板11を設け、半導体装置1の第1面に対向する第2面に半導体チップ10のソース及びゲートにそれぞれ接続されたソース電極板12及びゲート電極板13を設ける。第1実施形態の構成によれば、半導体装置1の第1面及び第2面に電極板を設けているため、多層配線(例えば、両面配線)を有するプリント基板に半導体装置1を容易に埋め込むことができる。
【0032】
また、第1実施形態の構成では、半導体装置1の第1面及び第2面に電極板、例えばCuの薄板状(あるいは、シート状)の電極板を設けることにより、半導体装置1の放熱性を向上させることができる。例えば、ドレイン電極板11、ソース電極板12及びゲート電極板13の少なくとも1つの厚さを50μm以上(あるいは、150μm以上300μm以下)にすることにより、半導体装置1の放熱性を著しく向上させることが可能である。
【0033】
さらに、プリント基板に半導体装置1を実装した際に、プリント基板におけるCuを用いた配線層の形成が容易である。
【0034】
なお、第1実施形態では、半導体装置1がMOSFETを構成する例を説明したが、半導体装置1が他のスイッチング素子、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)、あるいはJFET(junction field effect transistor)を構成しても良い。半導体装置1がIGBTを構成する場合、ソース電極板12はエミッタ電極に、ドレイン電極板11はコレクタ電極にそれぞれ対応する。
【0035】
2.第2実施形態
第2実施形態の半導体装置について説明する。半導体装置は、例えば、スイッチング素子としてのMOSFETを備える。第2実施形態のMOSFETは、第1面(あるいは、下面、裏面)にソース及びゲートを有し、第1面に対向する第2面(あるいは、上面、表面)にドレインを有する。MOSFETは、電力変換装置、例えば、DC-DCコンバータあるいはインバータに用いられる。ここでは、第1実施形態で示した斜視図は省略する。第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0036】
図5は、第2実施形態の半導体装置の上面図である。図6は、図5に示す半導体装置のVI-VI線に沿った断面図である。なお、図5では、被腹膜及びモールド層等が省略されている。
【0037】
図5及び図6に示すように、半導体装置2は、半導体チップ20、ドレイン電極板21、ソース電極板22、ゲート電極板23、導電層24、25a、25b、モールド層26、並びに被覆膜27及び28を備える。
【0038】
半導体チップ20は、例えば、MOSFETを構成する。半導体チップ20は、Z方向に直交する第1面と、第1面に対向する第2面とを持つ。第1面は、図6に示す半導体チップ20の下面であり、第2面は、図6に示す半導体チップ20の上面である。半導体チップ20は、第1面にソース領域及びゲート領域を有し、第2面にドレイン領域を有する。
【0039】
半導体チップ20は、ソース電極板22及びゲート電極板23と、ドレイン電極板21との間に設けられる。すなわち、半導体チップ20のソース領域の下には、ソース電極板22が設けられる。半導体チップ20のゲート領域の下には、ゲート電極板23が設けられる。さらに、半導体チップ20のドレイン領域上には、ドレイン電極板21が設けられる。
【0040】
ソース電極板22は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ソース電極板22の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ソース電極板22と同様に、ゲート電極板23は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ゲート電極板23の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ドレイン電極板21は薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ドレイン電極板21の厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ソース電極板22、ゲート電極板23、及びドレイン電極板21は、例えばCuを含む。
【0041】
以下に、半導体チップ20のソース領域、ドレイン領域及びゲート領域と導電層24、25a及び25bの構造について説明する。図7は、半導体チップ20と導電層24、25a及び25bを詳細に示す断面図である。
【0042】
半導体チップ20のドレイン領域Daとドレイン電極板21との間には、導電層24が設けられる。ドレイン領域Da上に電極層Dbが配置される。電極層Db上に導電層24を介してドレイン電極板21が配置される。
【0043】
ドレイン領域Daは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Dbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層24は、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層24は、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0044】
導電層24は、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ20の電極層Dbとドレイン電極板21との間を接合あるいは焼結する。ドレイン電極板21は、導電層24を介して半導体チップ20のドレイン(即ち、電極層Db及びドレイン領域Da)に電気的に接続される。
【0045】
半導体チップ20のソース領域Saとソース電極板22との間には、導電層25aが設けられる。ソース領域Sa下に電極層Sbが配置される。電極層Sb下に導電層25aを介してソース電極板22が配置される。
【0046】
ソース領域Saは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Sbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層25aは、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層25aは、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0047】
導電層25aは、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ20の電極層Sbとソース電極板22との間を接合あるいは焼結する。ソース電極板22は、導電層25aを介して半導体チップ20のソース(即ち、電極層Sb及びソース領域Sa)に電気的に接続される。
【0048】
半導体チップ20のゲート領域Gaとゲート電極板23との間には、導電層25bが設けられる。ゲート領域Ga下に電極層Gbが配置される。電極層Gb下に導電層25bを介してゲート電極板23が配置される。
【0049】
ゲート領域Gaは、例えばn型半導体層、すなわちn型拡散層である。電極層Gbは、例えば、Al/Ni/Auの積層構造、Al/Ni/Pd/Auの積層構造、Al/Cuの積層構造、あるいはCu単層構造のいずれか1つを含む。導電層25bは、導電性金属材料あるいは焼結材料(例えば、ハンダ材あるいはAgの焼結材)を含む。詳細には、導電層25bは、例えば、Ag、Cu、CuSn、AgSn、AuSn、PbSnの少なくともいずれか1つを含む。
【0050】
導電層25bは、加圧された状態あるいは無加圧の状態で加熱されることにより、半導体チップ20の電極層Gbとゲート電極板23との間を接合あるいは焼結する。ゲート電極板23は、導電層25bを介して半導体チップ20のゲート(即ち、電極層Gb及びゲート領域Ga)に電気的に接続される。
【0051】
図6に戻り、説明を続ける。ソース電極板22上で、かつドレイン電極板21及び半導体チップ20の側面に、モールド層26が設けられる。ゲート電極板23、半導体チップ20及びドレイン電極板21の側面に、モールド層26が設けられる。これらモールド層16は、半導体装置1内における半導体チップ20、ドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23間の絶縁状態や配置を安定的に保持する。
【0052】
ドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23の表面を覆うように、被覆膜27が設けられる。被覆膜27は、これらドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23の表面の全体あるいは一部分を被覆する。なお、ドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23の各々との接続のために、コンタクト材(あるいは、配線)が設けられる場合、これらの表面を覆う被覆膜27の一部が除去される。これにより、ドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23の各々にコンタクト材を電気的に接続することが可能になる。
【0053】
半導体装置1が基板、例えばプリント配線板等に実装された際に、被覆膜27は、ドレイン電極板21、ソース電極板22、及びゲート電極板23と、これら電極板の周囲に設けられる層との密着性を向上させる。
【0054】
被覆膜27は、金属膜、例えば、SnあるいはNi/Auの積層膜あるいはNi/Pd/Auの積層膜を含んでいても良く、または絶縁膜、例えば、ベンゾトリアゾ-ル(BTA)などの防錆材を含んでいても良い。
【0055】
モールド層26の表面を覆うように、被覆膜28が設けられる。被覆膜28は、モールド層26の表面の全体あるいは一部分を被覆する。半導体装置1が基板、例えばプリント配線板等に実装された際に、被覆膜28は、モールド層26と、これらモールド層26の周囲に設けられる層との密着性を向上させる。被覆膜28は、例えば絶縁膜を含む。
【0056】
図6に示す半導体装置1のZ方向の厚さは、例えば、500μm以下、あるいは400μm以下である。
【0057】
以下に、第2実施形態の主な効果について説明する。
【0058】
上述した第2実施形態では、半導体装置2の第1面に半導体チップ20のソース及びゲートにそれぞれ接続されたソース電極板22及びゲート電極板23を設け、半導体装置2の第1面に対向する第2面に半導体チップ20のドレインに接続されたドレイン電極板21を設ける。第2実施形態の構成によれば、半導体装置2の第1面及び第2面に電極板を設けているため、多層配線(例えば、両面配線)を有するプリント基板に半導体装置2を容易に埋め込むことができる。
【0059】
また、第2実施形態の構成では、半導体装置2の第1面及び第2面に電極板、例えばCuの薄板状(あるいは、シート状)の電極板を設けることにより、半導体装置2の放熱性を向上させることができる。例えば、ドレイン電極板21、ソース電極板22及びゲート電極板23の少なくとも1つの厚さを50μm以上(あるいは、150μm以上300μm以下)にすることにより、半導体装置2の放熱性を著しく向上させることが可能である。
【0060】
さらに、プリント基板に半導体装置2を実装した際に、プリント基板におけるCuを用いた配線層の形成が容易である。
【0061】
なお、第2実施形態では、半導体装置2がMOSFETを構成する例を説明したが、半導体装置2が他のスイッチング素子、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)、あるいはJFET(junction field effect transistor)を構成しても良い。
【0062】
3.第3実施形態
第3実施形態の電力変換装置について説明する。第3実施形態では、第1実施形態の半導体装置を複数備えた電力変換装置について説明する。ここでは、電力変換装置としてDC-DCコンバータを例に示す。第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0063】
先ず、第3実施形態の電力変換装置の回路構成について説明する。図8は、第3実施形態の電力変換装置の回路図である。
【0064】
電力変換装置3は、複数の半導体装置1a及び1b、インダクタL1、コンデンサC1及びC2を備える。半導体装置1a及び1bの各々は、第1実施形態の半導体装置1に相当し、MOSFETを含む。
【0065】
以下に、電力変換装置3を構成する回路素子の接続関係について説明する。入力端子TINは、半導体装置1aのドレインに接続される。入力端子TINは、またコンデンサC1を介して電圧VSSノードに接続される。電圧VSSノードには、接地電圧VSSが供給される。
【0066】
半導体装置1aのソースは、半導体装置1bのドレイン及びインダクタL1の第1端に接続される。半導体装置1bのソースは電圧VSSノードに接続される。半導体装置1a及び1bのゲートには、ゲートドライバGDが接続される。
【0067】
インダクタL1の第2端は、出力端子TOUTに接続される。インダクタL1の第2端は、またコンデンサC2を介して電圧VSSノードに接続される。
【0068】
次に、第3実施形態の電力変換装置3の平面レイアウト及び断面構造について説明する。図9は、第3実施形態の電力変換装置の上面図である。図10は、図9に示す電力変換装置のX-X線に沿った断面図である。なお、図10に示す断面図には、断面に見える構造だけでなく、断面から透過して見えるスルーホールや配線層等の構造も記載している。電力変換装置3は、半導体装置1a及び1bがプリント配線板30に埋め込まれた構造を備える。プリント配線板30は、複数の配線層、複数の絶縁板(あるいは、絶縁層)、及びコア材を有する多層配線板(例えば、両面配線板)である。
【0069】
図9及び図10に示すように、電力変換装置3は、複数の半導体装置1a及び1b、コア材(あるいは、絶縁材)31、絶縁板(あるいは、絶縁層)32及び33、スルーホール34a、34b、34c、34d、及び34e、配線層35a、35b、36a、36b、36c、36d、37a、37b、及び37c、入力端子TIN、出力端子TOUT、ゲート端子TG1、TG2、及び接地端子TVSS(即ち、電圧VSSノード)、インダクタL1、及びコンデンサC1及びC2を有する。なお、コンデンサC1及びC2は図示しない位置に設けられる。絶縁板32及び33の各々は、例えば、シート状を有し、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁材料である。
【0070】
半導体装置1aは、図10に示すように、Z方向において絶縁板32と絶縁板33との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材31間に設けられる。同様に、半導体装置1bは、Z方向において絶縁板32と絶縁板33との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材31間に設けられる。
【0071】
言い換えると、絶縁板32上には、半導体装置1a及び1bが離隔して設けられる。半導体装置1a及び1b上には、絶縁板33が設けられる。半導体装置1a及び1bの側面にはコア材31が設けられる。すなわち、コア材31が半導体装置1aの側面を覆うように設けられる。同様に、コア材31が半導体装置1bの側面を覆うように設けられる。
【0072】
絶縁板33上には、入力端子TIN、出力端子TOUT、ゲート端子TG1、TG2、及び接地端子TVSSが設けられる。
【0073】
絶縁板33及びコア材31内には、スルーホール34a及び34bが設けられる。スルーホール34a及び34bの各々は、絶縁板33及びコア材31内をZ方向に延伸している。絶縁板33内には、スルーホール34c、34d、及び34eが設けられる。スルーホール34c、34d、及び34eは、絶縁板33内をZ方向に延伸している。
【0074】
半導体装置1aのドレイン電極板11と絶縁板32との間には、配線層35aが設けられる。配線層35aは、X方向及びY方向に対して斜めに延伸している。半導体装置1aのソース電極板12と絶縁板33との間には、配線層36aが設けられる。配線層36aはX方向に延伸している。
【0075】
半導体装置1bのドレイン電極板11と絶縁板32との間には、配線層35bが設けられる。配線層35bはX方向及びY方向に延伸している。半導体装置1bのソース電極板12と絶縁板33との間には、配線層36bが設けられる。配線層36bはX方向に延伸している。さらに、絶縁板33上には、配線層37a、37b、及び37cが設けられる。配線層37a、37b、及び37cはX方向あるいはY方向に延伸している。
【0076】
入力端子TINは、スルーホール34aに接続される。スルーホール34aは配線層35aに接続される。さらに、配線層35aは半導体装置1aのドレイン電極板11に接続される。
【0077】
半導体装置1aのソース電極板12は、配線層36aに接続される。配線層36aは、スルーホール34bに接続される。スルーホール34bは配線層35bに接続される。さらに、配線層35bは半導体装置1bのドレイン電極板11に接続される。スルーホール34bは、また配線層37aを介してインダクタLIの第1端に接続される。インダクタLIの第2端は、配線層37bを介して出力端子TOUTに接続される。インダクタL1は、例えば、プリント配線板30上に表面実装される。
【0078】
半導体装置1bのソース電極板12は、配線層36bに接続される。配線層36bは、スルーホール34eに接続される。スルーホール34eは端子TVSSに接続される。
【0079】
半導体装置1aのゲート電極板13は、配線層36cを介してスルーホール34cに接続される。スルーホール34cは、ゲート端子TG1に接続される。半導体装置1bのゲート電極板13は、配線層36dを介してスルーホール34dに接続される。スルーホール34dは、配線層37cを介してゲート端子TG2に接続される。ゲート端子TG1及びTG2には、ゲートドライバGDが接続される。
【0080】
以下に、第3実施形態の主な効果について説明する。
【0081】
上述した第3実施形態の構成によれば、プリント基板に半導体装置1a及び1bを容易に埋め込むように実装することができ、電力変換装置、例えばDC-DCコンバータを少ない面積で形成することが可能である。その他の効果は第1実施形態と同様である。
【0082】
4.第4実施形態
第4実施形態の電力変換装置について説明する。第4実施形態は、第1及び第2実施形態の半導体装置を複数備えた電力変換装置について説明する。ここでは、第3実施形態と同様に、DC-DCコンバータを例に示す。第4実施形態では、主に第1~第3実施形態と異なる点について説明する。
【0083】
第4実施形態の電力変換装置は、第3実施形態における半導体装置1bに代えて半導体装置2aを有する。その他の回路構成は、図8に示した第3実施形態と同様である。
【0084】
以下に、第4実施形態の電力変換装置の平面レイアウト及び断面構造について説明する。図11は、第4実施形態の電力変換装置の上面図である。図12は、図11に示す電力変換装置のX-X線に沿った断面図である。なお、図12に示す断面図には、断面に見える構造だけでなく、断面から透過して見えるスルーホールや配線層等の構造も記載している。電力変換装置4は、半導体装置1a及び2aがプリント配線板40に埋め込まれた構造を備える。プリント配線板40は、複数の配線層、複数の絶縁板(あるいは、絶縁層)、及びコア材を有する多層配線板である。
【0085】
図11及び図12に示すように、電力変換装置4は、複数の半導体装置1a及び2a、コア材(あるいは、絶縁材)41、絶縁板(あるいは、絶縁層)42及び43、スルーホール44a、44b、44c、44d、及び44e、配線層45a、45b、45c、46a、46b、47a、及び47b、入力端子TIN、出力端子TOUT、ゲート端子TG1及びTG2、及び接地端子TVSS(即ち、電圧VSSノード)、インダクタL1、及びコンデンサC1及びC2を有する。なお、コンデンサC1及びC2は図示しない位置に設けられる。絶縁板42及び43の各々は、例えば、シート状を有し、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁材料である。
【0086】
半導体装置1aは、図12に示すように、Z方向において絶縁板42と絶縁板43との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材41間に設けられる。同様に、半導体装置2aは、Z方向において絶縁板42と絶縁板43との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材41間に設けられる。
【0087】
言い換えると、絶縁板42上には、半導体装置1a及び2aが離隔して設けられる。半導体装置1a及び2a上には、絶縁板43が設けられる。半導体装置1a及び2aの側面にはコア材41が設けられる。すなわち、コア材41が半導体装置1aの側面を覆うように設けられる。同様に、コア材41が半導体装置2aの側面を覆うように設けられる。
【0088】
絶縁板43上には、入力端子TIN、出力端子TOUT、ゲート端子TG1、TG2、及び接地端子TVSSが設けられる。
【0089】
絶縁板43及びコア材41内には、スルーホール44a、44b、44c、及び44dが設けられる。スルーホール44a、44b、44c、及び44dの各々は、絶縁板43及びコア材41内をZ方向に延伸している。絶縁板43内には、スルーホール44eが設けられる。スルーホール44eは、絶縁板43内をZ方向に延伸している。
【0090】
半導体装置1aのドレイン電極板11と絶縁板42との間には、配線層45aが設けられる。配線層45aはX方向及びY方向に対して斜めに延伸している。半導体装置1aのソース電極板12と絶縁板43との間には、配線層46aが設けられる。配線層46aはX方向に延伸している。半導体装置1aのゲート電極板13と絶縁板43との間には、配線層46bが設けられる。配線層46bはY方向に延伸している。
【0091】
半導体装置2aのソース電極板12と絶縁板42との間には、配線層45bが設けられる。配線層45bはX方向に延伸している。半導体装置2aのゲート電極板13と絶縁板42との間には、配線層45cが設けられる。配線層45cはX方向及びY方向に延伸している。半導体装置2aのドレイン電極板11と絶縁板43との間には、配線層46aが設けられる。さらに、絶縁板43上には、配線層47a及び47bが設けられる。配線層47a及び47bはX方向に延伸している。
【0092】
入力端子TINは、スルーホール44aに接続される。スルーホール44aは配線層45aに接続される。さらに、配線層45aは半導体装置1aのドレイン電極板11に接続される。
【0093】
半導体装置1aのソース電極板12は、配線層46aに接続される。配線層46aは、スルーホール44cに接続される。スルーホール44cは、配線層47aを介してインダクタLIの第1端に接続される。さらに、配線層46aは半導体装置2aのドレイン電極板11に接続される。インダクタLIの第2端は、配線層47bを介して出力端子TOUTに接続される。
【0094】
半導体装置1bのソース電極板12は、配線層45aに接続される。配線層45aは、スルーホール44dに接続される。スルーホール44dは端子TVSSに接続される。
【0095】
半導体装置1aのゲート電極板13は、配線層46bを介してスルーホール44eに接続される。スルーホール44eは、ゲート端子TG1に接続される。半導体装置2aのゲート電極板13は、配線層45cを介してスルーホール44bに接続される。スルーホール44bは、ゲート端子TG2に接続される。ゲート端子TG1及びTG2には、ゲートドライバGDが接続される。
【0096】
以下に、第4実施形態の主な効果について説明する。
【0097】
上述した第4実施形態の構成によれば、プリント基板に半導体装置1a及び1bを容易に埋め込むように実装することができ、電力変換装置、例えばDC-DCコンバータを少ない面積で形成することが可能である。その他の効果は第1実施形態と同様である。
【0098】
5.第5実施形態
第5実施形態の電力変換装置について説明する。第5実施形態では、表面実装型の半導体装置、例えばQFN(quad flat non-leaded package)型の半導体装置を複数備えた電力変換装置について説明する。第5実施形態では、主に第3実施形態と異なる点について説明する。
【0099】
以下に、第5実施形態の電力変換装置の断面構造について説明する。図13は、第5実施形態の電力変換装置の断面図である。なお、図13に示す断面図には、断面に見える構造だけでなく、断面から透過して見えるスルーホールや配線層等の構造も記載している。電力変換装置5は、半導体装置6a及び6bがプリント配線板50に埋め込まれた構造を備える。プリント配線板50は、片面の配線層、複数の絶縁板(あるいは、絶縁層)、及びコア材を有する片面配線板である。
【0100】
図13に示すように、電力変換装置5は、複数の半導体装置6a及び6b、コア材(あるいは、絶縁材)51、絶縁板(あるいは、絶縁層)52及び53、スルーホール54a、54b、及び54c、配線層55a、55b、及び55c、ドレイン端子56a、ソース端子56b、及びゲート端子56cを有する。なお、ここではインダクタやコンデンサ等の受動素子の記載は省略する。絶縁板52及び53の各々は、例えば、シート状を有し、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁材料である。
【0101】
半導体装置6a及び6bの各々は、図13に示すように、半導体チップ10、ドレイン電極層11a、ソース電極層12a、ゲート電極層13a、導電層14及び15、並びにモールド層16を備える。
【0102】
半導体チップ10は、例えば、MOSFETを構成する。半導体チップ10は、Z方向に直交する第1面と、第1面に対向する第2面とを持つ。第1面は、図13に示す半導体チップ10の下面であり、第2面は、図13に示す半導体チップ10の上面である。半導体チップ10は、第1面にドレイン領域を有し、第2面にソース領域及びゲート領域を有する。
【0103】
半導体チップ10は、ドレイン電極層11aと、ソース電極層12a及びゲート電極層13aとの間に設けられる。すなわち、半導体チップ10のドレイン領域の下には、ドレイン電極層11aが設けられる。半導体チップ10のソース領域上には、ソース電極層12aが設けられる。さらに、半導体チップ10のゲート領域上には、ゲート電極層13aが設けられる。
【0104】
ドレイン電極層11aは薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ドレイン電極層11aの厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ドレイン電極層11aと同様に、ソース電極層12aは薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ソース電極層12aの厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ゲート電極層13aは薄板状を有し、例えば、リードフレームを含む。ゲート電極層13aの厚さは、例えば、50μm以上、あるいは150μm以上300μm以下である。ドレイン電極層11a、ソース電極層12a、及びゲート電極層13aは、例えばCuを含む。
【0105】
半導体装置6aは、図13に示すように、Z方向において絶縁板52と絶縁板53との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材51間に設けられる。同様に、半導体装置6bは、Z方向において絶縁板52と絶縁板53との間に設けられ、X方向及びY方向においてコア材51間に設けられる。
【0106】
言い換えると、絶縁板52上には、半導体装置6a及び6bが離隔して設けられる。半導体装置6a及び6b上には、絶縁板53が設けられる。半導体装置6a及び6bの側面にはコア材51が設けられる。すなわち、コア材51が半導体装置6aの側面を覆うように設けられる。同様に、コア材51が半導体装置6bの側面を覆うように設けられる。
【0107】
絶縁板52の下面には、ドレイン端子56a、ソース端子56b、及びゲート端子56cが設けられる。
【0108】
絶縁板52内には、スルーホール54a、54b、及び54cが設けられる。スルーホール54a、54b、及び54cの各々は、絶縁板52内をZ方向に延伸している。
【0109】
半導体装置6aのドレイン電極層11aと絶縁板52との間には、配線層55aが設けられる。配線層55aは、X方向あるいはY方向に延伸している。半導体装置6aのソース電極層12aは、導電層により半導体装置6aの下面に引き出されている。ソース電極層12aの導電層と絶縁板52との間には、配線層55bが設けられる。配線層55bはX方向あるいはY方向に延伸している。半導体装置6aのゲート電極層13aは、導電層により半導体装置6aの下面に引き出されている。ゲート電極層13aの導電層と絶縁板52との間には、配線層55cが設けられる。配線層55cはX方向あるいはY方向に延伸している。
【0110】
半導体装置6aのドレイン電極層11aは、配線層55aに接続される。配線層55aは、スルーホール54aを介してドレイン端子56aに接続される。半導体装置6aのソース電極層12aは、導電層を介して配線層55bに接続される。配線層55bは、スルーホール54bを介してソース端子56bに接続される。さらに、半導体装置6aのゲート電極層13aは、導電層を介して配線層55cに接続される。配線層55cは、スルーホール54cを介してゲート端子56cに接続される。
【0111】
半導体装置6bの第1面、第2面及び側面に設けられた部材を含む構成は、半導体装置6aの構成と同様であるため記載を省略する。
【0112】
上述した第5実施形態の構成によれば、半導体装置1a及び2aをプリント基板に埋め込み、ソース、ドレイン及びゲートの配線を1つの配線層に引き出すことにより、使用する配線層を減らすことができる。すなわち、半導体装置1a及び2aを片面配線のプリント基板に埋め込むことが可能である。その他の効果は第1実施形態と同様である。
【0113】
6.その他
上記実施形態では電力変換装置としてDC-DCコンバータを例に説明したが、DC-DCコンバータに限らず、インバータ等のその他の電力変換装置にも適用できる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1…半導体装置、1a…半導体装置、1b…半導体装置、2…半導体装置、2a…半導体装置、3…電力変換装置、4…電力変換装置、5…電力変換装置、6a…半導体装置、6b…半導体装置、10…半導体チップ、11…ドレイン電極板、11a…ドレイン電極層、12…ソース電極板、12a…ソース電極層、13…ゲート電極板、13a…ゲート電極層、14…導電層、15a…導電層、15b…導電層、16…モールド層、17…被覆膜、18…被覆膜、20…半導体チップ、21…ドレイン電極板、22…ソース電極板、23…ゲート電極板、24…導電層、25a…導電層、25b…導電層、26…モールド層、27…被覆膜、28…被覆膜、30…プリント配線板、31…コア材、32…絶縁板、33…絶縁板、34a…スルーホール、34b…スルーホール、34c…スルーホール、34d…スルーホール、34e…スルーホール、35a…配線層、35b…配線層、36a…配線層、36b…配線層、36c…配線層、36d…配線層、37a…配線層、37b…配線層、37c…配線層、40…プリント配線板、41…コア材、42…絶縁板、43…絶縁板、44a…スルーホール、44b…スルーホール、44c…スルーホール、44d…スルーホール、44e…スルーホール、45a…配線層、45b…配線層、45c…配線層、46a…配線層、46b…配線層、47a…配線層、47b…配線層、50…プリント配線板、51…コア材、52…絶縁板、53…絶縁板、54a…スルーホール、54b…スルーホール、54c…スルーホール、55a…配線層、55b…配線層、55c…配線層、56a…ドレイン端子、56b…ソース端子、56c…ゲート端子、C1…コンデンサ、C2…コンデンサ、L1…インダクタ、TG1…ゲート端子、TG2…ゲート端子。
図1
図2
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図5
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図8
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図11
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図13