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特開2024-136110ヘアキャッチャーおよびそれを有する洗面台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136110
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ヘアキャッチャーおよびそれを有する洗面台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/264 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E03C1/264
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047090
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】森 健太
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】清掃のしやすい形状のヘアキャッチャーおよびそれを有する洗面台を提供すること。
【解決手段】本開示技術に係るヘアキャッチャー2は、排水口に配置されて排水中の繊維状異物を捕集する用途に用いられるものである。本開示技術に係るヘアキャッチャー2は、軸部20と、軸部20から外向きに形成された、半径方向の長さが周方向の最大幅より大きい複数本の区画部22とを有している。隣り合う区画部22同士の間にはスリット23がある。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口に配置されて排水中の繊維状異物を捕集するヘアキャッチャーであって、
軸部と、
前記軸部から外向きに形成された、半径方向の長さが周方向の最大幅より大きい複数本の区画部とを有し、
隣り合う前記区画部同士の間にスリットがあるヘアキャッチャー。
【請求項2】
請求項1に記載のヘアキャッチャーであって、
隣り合う前記区画部同士を連結する連結部が、隣り合う前記区画部同士の間の少なくとも一部の箇所に設けられているヘアキャッチャー。
【請求項3】
請求項2に記載のヘアキャッチャーであって、
前記連結部と、前記連結部により連結される両前記区画部と、前記軸部とに囲まれた隙間が、半径方向の長さが周方向の最大幅より大きい形状であるヘアキャッチャー。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のヘアキャッチャーであって、
前記区画部の半径方向と交差する断面内での形状が、
上面と、
下向きに凸状の凸曲面である下面と、
前記上面の端と前記下面の端とを繋ぐ凸曲面である肩面とで構成される形状であるヘアキャッチャー。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のヘアキャッチャーであって、
前記軸部は、前記軸部と前記区画部との接続箇所である基端部から上方に突出することなく下向きに設けられているヘアキャッチャー。
【請求項6】
受けた水を排出する排水口が形成されている洗面ボウル部を有する洗面台であって、
前記排水口に、請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のヘアキャッチャーが装着されている洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、ヘアキャッチャーおよびそれを有する洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台等における水受け部の排水口には、ヘアキャッチャーが設けられる。洗面台からの排水には毛髪等の繊維状異物を含まれることがあるからである。ヘアキャッチャーを設けることによって、繊維状異物が排水とともに排水管に進入することを防止できる。従来のヘアキャッチャーとして、特許文献1に記載されているものを挙げることができる。同文献のヘアキャッチャーは、鍔状の部材に多数の孔部を形成したものである。孔部により排水を通過させつつ、繊維状異物が引っ掛かってキャッチされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-036580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアキャッチャーは使用状態で排水に接するものである。このため、キャッチした繊維状異物が蓄積してくるばかりでなく、ヘアキャッチャー自体の表面にぬめりが生じてくる等の汚染が進行していく。したがってユーザーとしては適宜の頻度で、蓄積した繊維状異物を除去するとともに、ヘアキャッチャー自体の表面の清掃を行いたいという要求がある。しかしながら前記した従来のヘアキャッチャーでは、清掃がしにくかった。多数の孔部が形成された形状であるためである。ユーザーがブラシ等の清掃部材を使用しても、清掃部材が当たりにくい部位が多いのである。
【0005】
本開示技術の課題とするところは、清掃のしやすい形状のヘアキャッチャーおよびそれを有する洗面台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様におけるヘアキャッチャーは、排水口に配置されて排水中の繊維状異物を捕集する部材であって、軸部と、軸部から外向きに形成された、半径方向の長さが周方向の最大幅より大きい複数本の区画部とを有し、隣り合う区画部同士の間にスリットがあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】栓体を閉状態にしたときの洗面台の斜視図である。
図2】実施の形態のヘアキャッチャーアセンブリーを上方から見た斜視図である。
図3】実施の形態のヘアキャッチャーアセンブリーを下方から見た斜視図である。
図4】実施の形態のヘアキャッチャーを上方から見た斜視図である。
図5】実施の形態のヘアキャッチャーを下方から見た斜視図である。
図6】実施の形態のヘアキャッチャーを上方から見た平面図である。
図7】実施の形態のヘアキャッチャーの断面図(図6中のA-A面)である。
図8】実施の形態のヘアキャッチャーの断面図(図6中のB-B面)である。
図9】実施の形態のヘアキャッチャーの断面図(図6中のC-C面)である。
図10】実施の形態の支持体を上方から見た斜視図である。
図11】実施の形態の支持体を下方から見た斜視図である。
図12】実施の形態の支持体を上方から見た平面図である。
図13】実施の形態の支持体の断面図(図12中のD-D面)である。
図14】支持体にヘアキャッチャーを装着している状態を上方から見た斜視図である。
図15】排水口の下部における支持体の配置状況を示す断面図である。
図16】実施の形態の栓体を上方から見た斜視図である。
図17】実施の形態の栓体を下方から見た斜視図である。
図18】実施の形態の栓体の断面図である。
図19】栓体を開状態にしたときの洗面台の斜視図である。
図20】ヘアキャッチャーを排水口に配置した状態での洗面台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本形態に係る洗面台90は図1に示すように、洗面ボウル部99、オーバーフロー口92、操作棒93、水栓98を有するものである。洗面ボウル部99には排水口91が形成されている。
【0009】
本形態の洗面台90の排水口91には、後述するヘアキャッチャー2が装着されている。排水口91に装着されているヘアキャッチャー2は、図2および図3に示されるヘアキャッチャーアセンブリー1の一部である。ヘアキャッチャーアセンブリー1は、ヘアキャッチャー2と、支持体3と、栓体4とを有している。ヘアキャッチャー2は、排水口91を通って流出していく排水中の繊維状異物を捕集するものである。支持体3は、ヘアキャッチャー2を下から支持するものである。栓体4は、ヘアキャッチャー2の上方に位置して排水口91を隠しまたは塞ぐものである。図1で排水口91の位置に見えているのは栓体4の上面である。
【0010】
単体のヘアキャッチャー2を図4図5図6、および図7に示す。ヘアキャッチャー2は、平面視で見て略円形の部材である。ヘアキャッチャー2は、軸部20とヘアキャッチ部21とを有している。軸部20は、ヘアキャッチャー2の中心に位置し上下方向に伸びた形状の部位である。本形態における軸部20は、内部が貫通孔になっている筒部である。軸部20の内面には、軸方向に複数の凸状のリブ28が形成されている。ヘアキャッチャー2は、合成樹脂の一体成形品である。
【0011】
ヘアキャッチ部21は、軸部20の上端から外向きに形成されている。ヘアキャッチ部21は、複数本の羽根部22により構成されている。各羽根部22は、ヘアキャッチ部21を複数のスリット23により周方向に区画した区画部である。各羽根部22は、平面視で見て、半径方向の長さR1が周方向の最大幅W1より大きい形状のものである。各羽根部22の根元は、軸部20の外面に繋がっている。各羽根部22が軸部20に繋がっている位置は、軸部20における上端の基端部である。このため軸部20は各羽根部22との接続箇所である基端部に対して、下向きに設けられており、上方には突出していない。各羽根部22は、断面視で見ると、軸部20の付近ではほぼ水平であり、外周付近では斜め上方に傾斜している。
【0012】
隣り合う羽根部22同士の間には、スリット23がある。排水はスリット23を通って、上方から下方へと流れることができる。排水中の繊維状異物は羽根部22に引っ掛かって捕集される。隣り合う羽根部22同士は、連結部24によって連結されている。連結部24は、羽根部22の半径方向の長さR1のうち外側端付近の位置で羽根部22同士を連結している。この位置は、軸部20の周方向の幅が最大(W1)である辺りの位置である。ヘアキャッチャー2では、連結部24によって羽根部22同士が連結されているので、傘状のヘアキャッチ部21全体として十分な強度を有している。
【0013】
各スリット23は平面視で見ると、両隣の羽根部22と、軸部20と、連結部24とに囲まれた形状である。各スリット23は、平面視で見て、半径方向の長さR2が周方向の最大幅W2より大きい形状に形成されている。このためヘアキャッチ部21全体として見ると、中心付近から外周付近まで、半径方向の広い範囲にわたってスリット23が存在している。また、各羽根部22が前述の半径方向に長い形状であるため、周方向には多数のスリット23が存在している。このことによってヘアキャッチャー2では、排水の流路抵抗が低い。特に本形態では、各スリット23が、軸部20の外面に達して形成されている。このため流路抵抗がさらに低い。
【0014】
本形態では、スリット23および羽根部22の具体的形状を、次のように設定している。スリット23の周方向のサイズである幅を、1mm以上2.3mm以下の範囲内としている。最大幅W2はその最大値である。ヘアキャッチ部21におけるある半径位置での全周に対して、スリット23の幅が約20%を占めている。スリット23の幅は、スリット23の半径方向の長さR2のうち内寄りの3分の1ほどの区間では、ほぼ一定である。スリット23の半径方向の長さR2のうちそれより外側では、内寄りの部分と比べて幅が大きい。羽根部22については、その幅が、軸部20への付け根から外側へ向かって徐々に広がり、最大値(W1)となった位置より外側では再び小さくなる形状である。ただし、スリット23の形状、羽根部22の形状ともに、上記は一例である。スリット23の幅を、全体でほぼ一定のものとすることもできる。また、スリット23の幅を、内側から外側に向かって一様に広がっていくものとすることもできる。
【0015】
羽根部22の半径方向と交差する断面内での断面形状について図8図9により説明する。図8に示されるように外周付近の位置での羽根部22の断面は、上面25と下面26と肩面27とで構成されている。上面25は、羽根部22の上方側を構成する面である。下面26は、羽根部22の下方側を構成する面である。図8中での下面26は、下向きに凸状の凸曲面である。肩面27は、上面25の一方の端と下面26の一方の端とを繋ぐ部分である。図8中での肩面27は、外向きに凸状の凸曲面である。
【0016】
図9に示されるように半径方向に中腹辺りの位置での羽根部22の断面も、上面25と下面26と肩面27とで構成されている。半径方向に中腹辺りの位置での羽根部22の下面26も、外周付近の位置での下面26ほどではないが下向きに凸状の凸曲面である。図9中での肩面27も、外向きに凸状の凸曲面である。上面25は、図8中に示される外周付近の位置でも図9中に示される半径方向に中腹辺りの位置でも、ほぼ平面状である。これより羽根部22の外面は、そのほぼ全体が凸曲面および平面で構成されている。羽根部22には、明白に凹状になっている箇所、明白に稜線状になっている箇所はいずれもほとんど存在しない。
【0017】
ヘアキャッチ部21の上記のような形状は、ヘアキャッチャー2の清掃を容易なものとしている。ヘアキャッチャー2は、排水に触れるものであるから表面が汚染される傾向がある。このためユーザーは、ヘアキャッチャー2の清掃を行う場合がある。ユーザーによるヘアキャッチャー2の清掃には、ヘアキャッチ部21に溜まっている繊維状異物の除去と、ヘアキャッチ部21の表面に生じているぬめりの除去とが含まれる。繊維状異物の除去は、溜まっている繊維状異物をユーザーが指でつまんで上方に引っ張ることによって容易に行うことができる。
【0018】
ぬめりの除去は、繊維状異物が除去された後のヘアキャッチ部21の表面に、ユーザーがブラシ等の清掃具をこすりつけることによって行うことができる。清掃具としては、歯ブラシ等で十分である。清掃の際には、ユーザーは清掃具を、ヘアキャッチ部21の表面に押し付けつつ、ヘアキャッチ部21の半径方向に往復移動させる。この動作を、ヘアキャッチ部21の周方向の各箇所において、表側と裏側との両方から行う。この動作によってユーザーは、ヘアキャッチ部21の表面のぬめりを良好に除去することができる。
【0019】
上記の動作によってヘアキャッチ部21を良好に清掃できる理由は、ヘアキャッチ部21を構成する羽根部22の形状にある。羽根部22が半径方向に長い形状であるため、清掃具は半径方向には引っ掛かりなくスムーズに往復移動することができる。この往復移動により、羽根部22の表面全体に清掃具が接触する。このため、ヘアキャッチ部21の表面のぬめりが羽根部22の表面全体にわたって除去される。羽根部22がほぼ凸面のみで構成されていることも、ぬめりの残留の発生をしにくくしている。
【0020】
もし、ヘアキャッチ部が他の形状のもの、例えばメッシュ状の部材で構成されていると、清掃具による清掃は必ずしも容易ではない。第1に、清掃具をヘアキャッチ部に押し付けながらの往復移動自体が、高抵抗だからである。第2に、ヘアキャッチ部の形状の細部に、清掃具が接触しにくい箇所が存在しうるからである。このため汚れを除去できない箇所が発生してしまう。
【0021】
本形態のヘアキャッチャー2では清掃具の移動の抵抗が小さく、清掃具が接触しにくい部分もないため、ユーザーによる清掃を容易にかつ良好に行うことができる。本形態のヘアキャッチャー2では、軸部20が上方には突出していないことも、清掃のしやすさに貢献している。軸部が上方に突出している形状であると、ヘアキャッチ部の表側の中央付近に清掃具を当てにくいことがある。しかし本形態のヘアキャッチャー2では、ヘアキャッチ部21の中心付近にも確実に清掃具を接触させることができる。ヘアキャッチャー2では、清掃具による清掃を繰り返しても、羽根部22が軸部20からちぎれてしまうようなことは起こりにくい。連結部24によってヘアキャッチ部21が補強されているからである。
【0022】
単体の支持体3を図10図11図12、および図13に示す。支持体3は、環状部30と、主軸31と、スポーク32とを有している。環状部30は、ヘアキャッチャー2より下方に位置する環状の部材である。環状部30は、後述する支持突起50のような外部の部材から昇降操作を受ける支持部である。主軸31は、環状部30の中心軸上に位置する上下方向の柱状の部材である。スポーク32は、環状部30と主軸31とを繋ぐ部位である。支持体3は合成樹脂製でも金属製でもよい。
【0023】
環状部30は、平面視で円形であり、前述のヘアキャッチ部21よりもやや小径のものである。環状部30の内側のうちスポーク32以外の部分は、上下方向に貫通状の孔部33である。ヘアキャッチ部21を通過した排水は、孔部33を通ってさらに下方に流れていく。主軸31は、ヘアキャッチャーアセンブリー1の状態では、ヘアキャッチャー2よりより上方に突き出た状態となる。この状態では主軸31は、筒状の軸部20の中を通っている。主軸31の側面には何らかの突起形状はない。さらに、主軸31と軸部20の内面との間の摩擦は小さい。前述のリブ28により、主軸31と軸部20の内面との接触面積が小さいからである。このためユーザーは、主軸31にヘアキャッチャー2を装着すること、および主軸31からヘアキャッチャー2を取り外すことが容易にできる。
【0024】
主軸31の上端面34には、穴35が設けられている。穴35は、図14に示されるように、主軸31にヘアキャッチャー2を装着している状態でも見ることができる。穴35は、主軸31に栓体4を取り付けるための取り付け形状部である。穴35の壁面には、Oリング溝36が形成されている。
【0025】
支持体3およびヘアキャッチャー2の排水口91への取り付け状況を図15により説明する。図15に示されるように、排水口91の下には下部管94が繋がっている。下部管94は、洗面ボウル部99からの排水を下水管へ導く管である。下部管94における排水口91のすぐ下には傾斜部95が設けられている。排水口91の縁辺には傾斜部96が設けられている。
【0026】
支持体3は下部管94の中に配置される。支持体3は、環状部30の外面が下部管94の内面とほぼ接触するように配置される。ヘアキャッチャー2は、ヘアキャッチ部21の縁辺部が傾斜部95に支えられるように位置している。ヘアキャッチャー2の軸部20に主軸31が下方から挿入されている。軸部20の上端34がヘアキャッチャー2の上方に突出している。
【0027】
下部管94の外面側には、昇降機構5が取り付けられる。昇降機構5は、下部管94の内面の支持突起50の高さ方向の位置を変位させるものである。環状部30は支持突起50の上に載っている。支持突起50の高さ位置が変化すると支持体3も昇降移動する。昇降機構5は、操作棒93と繋がっている。ユーザーが操作棒93を操作することによって、支持体3を昇降移動させることができるものである。支持体3を昇降移動させても、ヘアキャッチャー2の位置は、ヘアキャッチ部21が傾斜部95に支えられる位のまま変化しない。
【0028】
図15では、支持体3に栓体4が取り付けられていない状況が描かれている。実際の洗面台90の使用状況では、支持体3に栓体4が取り付けられている。その場合、栓体4は傾斜部96の辺りに位置する。図15の支持突起50の位置は下降した位置であり、栓体4の閉状態に相当する。支持突起50を上昇位置にすると栓体4を開状態にすることができる。図15中には、オーバーフロー管97も現れている。オーバーフロー管97は、オーバーフロー口92と繋がっている。
【0029】
単体の栓体4を図16図17、および図18に示す。栓体4は、副軸40と、蓋体41とを有している。副軸40は、主軸31に着脱可能に取り付けられる柱状の部材である。蓋体41は、副軸40の上端に配置された盤状の部材である。蓋体41は、排水口91を隠しまたは塞ぐものである。図1で排水口91の位置に見えているのは蓋体41の上面である。栓体4は、後述するOリング44およびパッキン45を除いて、合成樹脂製でも金属製でもよい。
【0030】
副軸40は、主軸31と蓋体41とを接続するものである。蓋体41の裏面の中央には凹部46が形成されている。凹部46に副軸40の上端部47が挿入されている。これにより副軸40と蓋体41とは固定的に取り付けられている。これにより副軸40と蓋体41とは栓体4を構成している。副軸40と主軸31とは、取り外しが可能である。副軸40の長さは、ヘアキャッチャーアセンブリー1の全体の高さ方向寸法に対して半分くらいしかない。ヘアキャッチャーアセンブリー1の全体の高さ方向寸法が、主軸31と蓋体41とに二分されているためである。
【0031】
副軸40の下端部42は、凸部状であり、主軸31の穴35に着脱可能に取り付けられる被取り付け形状部である。下端部42にはOリング溝43が形成されている。図16中、図17中では省略しているが、図18に示されるようにOリング溝43にはOリング44が装着される。Oリング44は、主軸31と副軸40とを連結した状態では、Oリング溝36とOリング溝43と挟まれて位置する。副軸40は、連結状態では主軸31と同軸上に位置する。蓋体41の縁辺には、パッキン45が取り付けられている。
【0032】
図2および図3に示した本形態に係るヘアキャッチャーアセンブリー1は、上記のヘアキャッチャー2、支持体3、および栓体4を組み付けたものである。ヘアキャッチャーアセンブリー1では、ユーザーが支持体3の穴35から栓体4の下端部42を引き抜くことによって、栓体4を取り外すことができる。栓体4の取り外しは、Oリング44の摩擦が唯一の抵抗要因であり、特に困難性はない。ユーザーは、栓体4を取り外せば、ヘアキャッチャー2も支持体3から取り外すことができる。ヘアキャッチャー2の取り外しについては、Oリングのような摩擦要因すらなく、栓体4の取り外しよりさらに容易である。
【0033】
ヘアキャッチャーアセンブリー1は通常の状態では、ヘアキャッチャー2も栓体4も付いた状態で排水口91に配置されている。さらに、昇降機構5による支持体3の高さ位置を上昇位置にした状態で、ユーザーは洗面台90を使用する。この状態では図19に示すように、栓体4、より詳細には蓋体41と排水口91との間に隙間がある。この状態でも蓋体41の下方では、ヘアキャッチャー2の縁辺部が傾斜部95に接している。この状態でユーザーが洗面台90を使用すると、排水が排水口91へ流れ込む。そこに含まれる繊維状異物はヘアキャッチ部21に捕集される。
【0034】
ユーザーが操作棒93を操作して昇降機構5を下降状態にすると、図1に示した状態となる。図1の状態では図19の状態と比較して、蓋体41の位置が下降している。このため、蓋体41と排水口91とが密着している。より詳細には、パッキン45と図15中の傾斜部96とが密着している。この状態でユーザーは、洗面台90に水を溜めることができる。水位がオーバーフロー口92に達すると、それ以上の水はオーバーフロー口92から図15中のオーバーフロー管97を経由して排出される。
【0035】
ユーザーがヘアキャッチャー2の清掃をしようとする場合には、洗面台90を図19の通常状態とする。この状態でユーザーは、蓋体41に指を掛けてつまみ上げる。これにより、ヘアキャッチャーアセンブリー1の全体が排水口91から引き出される。ユーザーは、引き出したヘアキャッチャーアセンブリー1から前述のようにして栓体4を取り外す。ユーザーは、取り外した栓体4の副軸40をオーバーフロー口92に差し込んでおくことができる。副軸40は、前述のようにさほど長いものではないので、オーバーフロー口92への差し込みに特段の不都合はない。
【0036】
ユーザーはさらに、ヘアキャッチャー2と支持体3とを分離する。ユーザーは、分離した支持体3を、洗面台90における洗面ボウル部99の外の平坦なカウンター部分に置く。このときユーザーは、単体のヘアキャッチャー2を手にしている。したがってユーザーは、ヘアキャッチャー2の清掃を前述の方法で行うことができる。ユーザーは、ヘアキャッチ部21の表面および裏面を清掃具で容易に清掃することができる。この時点でのヘアキャッチャー2が単体の状態であるためである。ヘアキャッチ部21の表側に蓋体41が存在しておらず、裏側にも環状部30が存在していないからである。ヘアキャッチ部21の形状そのものが清掃しやすい形状であることは、前述の通りである。
【0037】
ユーザーは、清掃後のヘアキャッチャー2を再び支持体3に組み付ける。具体的には、軸部20に下方から主軸31を差し込む。さらにユーザーは、オーバーフロー口92に差してある栓体4を手にとって主軸31に取り付ける。これにより、ヘアキャッチャーアセンブリー1の全体が一体化する。ユーザーは、一体化したヘアキャッチャーアセンブリー1を、栓体4が上向きである姿勢にして排水口91に戻す。このとき昇降機構5は上昇位置のままである。これにより洗面台90は図19の通常状態となる。
【0038】
ユーザーは、清掃後のヘアキャッチャー2を支持体3に組み付け、栓体4を取り付けずにそのまま排水口91に戻すこともできる。その際には支持体3が下向き、ヘアキャッチ部21が上向きである姿勢とする。これにより洗面台90は図20の状態となる。図20の状態では排水口91の位置に、ヘアキャッチ部21が見えている。さらに、ヘアキャッチ部21の中心に主軸31が突出している状態も見えている。
【0039】
ユーザーは、図20の状態のままで洗面台90を使用することができる。ユーザーは、図20の状態で洗面台90を使用することにより、ヘアキャッチャー2の清掃をすぐに行うことができるという利点がある。ユーザーはまた、この状態のままヘアキャッチ部21から繊維状異物を除去することもできる。図19の通常状態では、ヘアキャッチ部21に溜まった繊維状異物が蓋体41に隠されユーザーの目に目立たない、という別の利点がある。
【0040】
ユーザーは図20の状態から、オーバーフロー口92に差してある栓体4を手にとって主軸31に取り付けることができる。これにより洗面台90は、図19の通常状態となる。図20の状態での栓体4の主軸31への取り付けは容易である。主軸31がヘアキャッチ部21より上方へ突出しているからである。
【0041】
以上詳細に説明したように本実施の形態では、90の排水口91での排水からの繊維状異物の捕集を行うヘアキャッチャー2を、軸部20から外向きに形成されスリット23により区画された複数本の羽根部22を有する形状のものとしている。これにより、清掃具による拭き取り清掃がしやすいヘアキャッチャー2、およびそれを装着した洗面台90が実現されている。
【0042】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、前記形態では、各羽根部22間のすべての箇所に連結部24を設けている。しかしこのことは必須ではなく、連結部24のない箇所があってもよい。つまり、スリット23がヘアキャッチ部21の外周に及んでいてもよい。羽根部22の軸部20への付け根部分の強度が十分であれば、連結部24がなくてもよい。羽根部22の形状は、単純にヘアキャッチ部21にスリット23を形成して掃除しやすくしたものであってもよい。スリット23が半径方向に対して傾斜していてもよい。
【0043】
前記形態では、すべてのスリット23が軸部20の外面にまで切れ込んで形成されているものとしている。このことも必須ではなく、切れ込みの浅い隙間が存在してもよい。言い替えると、羽根部22の形状として、半径方向の外周寄りの部分で周方向に枝分かれしているものがあってもよい。前記形態の図7では、羽根部22の厚みについては半径方向で特に差を付けていない。これに対して、羽根部22の厚みについては半径方向で差を設けることも考えられる。例えば、羽根部22のうち半径方向の内寄りの部分、すなわち軸部20への付け根部分で、外周寄りの部分よりも肉厚のものとすることができる。これによって、連結部24に頼らずに羽根部22の軸部20からのちぎれが生じにくいものとすることもできる。
【0044】
[予備請求項1]
請求項4に記載のヘアキャッチャーであって、
前記軸部は、前記区画部の付け根から上方に突出することなく下向きに設けられているヘアキャッチャー。
【0045】
[予備請求項2]
受けた水を排出する排水口が形成されている洗面ボウル部を有する洗面台であって、
前記排水口に、請求項4、請求項5、予備請求項1のいずれか1つに記載のヘアキャッチャーが装着されている洗面台。
【符号の説明】
【0046】
2……ヘアキャッチャー、20……軸部、21……ヘアキャッチ部、22……羽根部、
23……スリット、24……連結部、25……上面、26……下面、27……肩面、
90……洗面台、91……排水口、99……洗面ボウル部
図1
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