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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136112
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】保護回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047093
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岡 孝之
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038BH02
5F038BH03
5F038BH07
5F038BH12
5F038BH13
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC10
5F048CC01
5F048CC05
5F048CC09
5F048CC15
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制する。
【解決手段】実施形態に係る保護回路は、第1電源線PL1と、第2電源線PL2と、第1トランジスタ30と、第1抵抗11と、第2抵抗12と、第2トランジスタ13と、トリガ回路20と、を含む。第1トランジスタ30は、ドレインが第1電源線PL1に接続され、ソースが第2電源線PL2に接続される。第1抵抗11は、一端が第1電源線PL1に接続される。第2抵抗12は、一端が第2電源線PL2に接続される。第2トランジスタ13は、ドレインが第1電源線PL1に接続され、ソースが第1ノードN1に接続され、ゲートが第1抵抗11の他端と第2抵抗12の他端とのそれぞれに接続される。トリガ回路20は、第1ノードN1と第2電源線PL2とのそれぞれに接続され、第1ノードN1の電圧の変化に基づいて第1トランジスタ30を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源線と、
第2電源線と、
ドレインが前記第1電源線に接続され、ソースが前記第2電源線に接続された第1トランジスタと、
一端が前記第1電源線に接続された第1抵抗と、
一端が前記第2電源線に接続された第2抵抗と、
ドレインが前記第1電源線に接続され、ソースが第1ノードに接続され、ゲートが前記第1抵抗の他端と前記第2抵抗の他端とのそれぞれに接続された第2トランジスタと、
前記第1ノードと前記第2電源線とのそれぞれに接続され、前記第1ノードの電圧の変化に基づいて前記第1トランジスタを制御するトリガ回路と、
を含む、保護回路。
【請求項2】
前記トリガ回路は、
一端が前記第1ノードに接続された第3抵抗と、
一方電極が前記第2電源線に接続された第1キャパシタと、
正の電源端が前記第1ノードに接続され、負の電源端が前記第2電源線に接続され、入力端が前記第3抵抗の他端と前記第1キャパシタの他方電極とのそれぞれと接続された第1インバータと、
を含み、前記第1インバータの出力に基づいて、前記第1トランジスタを制御する、
請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記トリガ回路は、
正の電源端が前記第1ノードに接続され、負の電源端が前記第2電源線に接続され、入力端が前記第1インバータの出力端と接続された第2インバータと、
正の電源端が前記第1ノードに接続され、負の電源端が前記第2電源線に接続され、入力端が前記第2インバータの出力端と接続され、出力端が前記第1トランジスタのゲートに接続された第3インバータと、
をさらに含む、請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記第1キャパシタは、MOSFETの構造を利用したキャパシタである、請求項2に記載の保護回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保護回路と、
前記第1電源線に接続され、外部と接続可能な第1端子と、
前記第2電源線に接続され、外部と接続可能な第2端子と、
を含み、
前記第1トランジスタの前記ドレインは、他のトランジスタを介することなく前記第1電源線に直接接続され、前記第1トランジスタの前記ソースは、他のトランジスタを介すること無く前記第2電源線に直接接続される、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保護回路及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ESD(Electro Static Discharge)に対する保護回路が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0072267号明細書
【特許文献2】特開2013-198126号公報
【特許文献3】特開2014-075435号公報
【特許文献4】特開2014-063854号公報
【特許文献5】特開2014-120547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造コストを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る保護回路は、第1電源線と、第2電源線と、第1トランジスタと、第1抵抗と、第2抵抗と、第2トランジスタと、トリガ回路と、を含む。第1トランジスタは、ドレインが第1電源線に接続され、ソースが第2電源線に接続される。第1抵抗は、一端が第1電源線に接続される。第2抵抗は、一端が第2電源線に接続される。第2トランジスタは、ドレインが第1電源線に接続され、ソースが第1ノードに接続され、ゲートが第1抵抗の他端と第2抵抗の他端とのそれぞれに接続される。トリガ回路は、第1ノードと第2電源線とのそれぞれに接続され、第1ノードの電圧の変化に基づいて第1トランジスタを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る保護回路を含む半導体装置の構成例を示す回路図。
図2】第1比較例に係る保護回路の構成例を示す回路図。
図3】第2比較例に係る保護回路の構成例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。説明に際し、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、以下に示す実施形態は、技術的思想を例示するものである。実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0008】
[実施形態]
実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0009】
[1]構成
[1-1]半導体装置の全体構成
図1は、実施形態に係る保護回路を含む半導体装置の構成例を示す回路図である。半導体装置ICは、外部から供給された電力を用いて、種々の動作を行う装置である。半導体装置ICは、例えば、IC(Integrated Circuit)チップである。
【0010】
半導体装置ICは、電源線PL1及びPL2、端子T1及びT2、保護回路1、並びに機能回路2を含む。
【0011】
電源線PL1及びPL2のそれぞれは、配線である。電源線PL1及びPL2のそれぞれは、半導体装置ICに含まれる各回路への電源電圧の供給に使用される。
【0012】
端子T1及びT2のそれぞれは、半導体装置ICの電源端子である。端子T1及びT2のそれぞれは、半導体装置ICの外部と接続可能に構成される。端子T1は、電源線PL1に接続される。端子T1には、例えば電源電圧VCCHが印加される。電源電圧VCCHは、例えば40Vである。端子T2は、電源線PL2に接続される。端子T2は、例えば接地電圧VSSに接地される。
【0013】
保護回路1は、電源線PL1及びPL2に接続された回路を、ESDから保護する。保護回路1は、電源線PL1及びPL2に接続される。
【0014】
機能回路2は、半導体装置ICが実行する種々の動作を実現する回路である。機能回路2は、電源線PL1及びPL2に接続される。
【0015】
[1-2]保護回路1の構成
引き続き図1を参照して、保護回路1の構成を説明する。
【0016】
保護回路1は、レギュレータ回路10、トリガ回路20、及びトランジスタ30を含む。
【0017】
レギュレータ回路10は、電源線PL1に印加された電源電圧VCCHから、電源電圧VCCHよりも低い電源電圧VCCLを生成し、ノードN1に出力する。電源電圧VCCLは、例えば4Vである。レギュレータ回路10は、電源線PL1及びPL2に接続される。
【0018】
トリガ回路20は、電源電圧VCCLの急上昇を検出して、トランジスタ30を制御する。トリガ回路20は、電源線PL2に接続される。
【0019】
トランジスタ30は、N型のMOSFETである。トランジスタ30は、トリガ回路20によって制御され、半導体装置ICにESDが印加された際にオン状態となり、放電経路として機能する。トランジスタ30のドレインは、電源線PL1に接続される。より詳細には、トランジスタ30のドレインは、他のトランジスタを介すること無く電源線PL1に直接接続される。トランジスタ30のソースは、電源線PL2に接続される。より詳細には、トランジスタ30のソースは、他のトランジスタを介すること無く電源線PL2に直接接続される。トランジスタ30のボディは、電源線PL2に接続される。トランジスタ30のゲートは、トリガ回路20に接続される。
【0020】
レギュレータ回路10は、抵抗11及び12、並びにトランジスタ13を含む。抵抗11の抵抗値は、例えば、700kΩである。抵抗12の抵抗値は、例えば、100kΩである。トランジスタ13は、N型のMOSFETである。トランジスタ13の閾値電圧は、例えば、1Vである。抵抗11の一端は、電源線PL1に接続される。抵抗12の一端は、電源線PL2に接続される。トランジスタ13のゲートは、抵抗11の他端と抵抗12の他端とのそれぞれに接続される。トランジスタ13のドレインは、電源線PL1に接続される。トランジスタ13のソースは、ノードN1に接続される。トランジスタ13のボディは、ノードN1に接続される。
【0021】
電源線PL1とPL2との間に直列接続されている抵抗11及び12は、電源電圧VCCHを分圧する。電源電圧VCCHが40Vの場合、トランジスタ13のゲートには抵抗11の700kΩと抵抗12の100kΩとで分圧された5Vが印加される。トランジスタ13はノードN1に、トランジスタ13のゲート電圧5Vよりも閾値電圧1Vだけ低い4Vを、電源電圧VCCLとして出力する。
【0022】
トリガ回路20は、抵抗21及び26、トランジスタ22、並びにインバータ23乃至25を含む。トランジスタ22は、N型のMOSFETである。抵抗21の一端は、ノードN1に接続される。トランジスタ22のゲートは、抵抗21の他端に接続される。トランジスタ22のドレインは、電源線PL2に接続される。トランジスタ22のソースは、電源線PL2に接続される。トランジスタ22のボディは、電源線PL2に接続される。インバータ23の入力端は、抵抗21の他端とトランジスタ22のゲートとのそれぞれと接続される。インバータ24の入力端は、インバータ23の出力端と接続される。インバータ25の入力端は、インバータ24の出力端と接続される。インバータ25の出力端は、トランジスタ30のゲートと接続される。インバータ23乃至25それぞれの正の電源端は、ノードN1に接続される。インバータ23乃至25それぞれの負の電源端は、電源線PL2に接続される。抵抗26の一端は、インバータ25の出力端とトランジスタ30のゲートとのそれぞれに接続される。抵抗26の他端は、電源線PL2に接続される。
【0023】
トランジスタ22は、N型のMOSFETである。トランジスタ22は、トランジスタの構造を利用したキャパシタとして用いられている。言い換えると、トランジスタ22のゲートは、キャパシタの一方電極である。トランジスタ22のドレイン、ソース、及びボディは、キャパシタの他方電極である。
【0024】
抵抗21の他端とトランジスタ22のゲートとが接続されたノードの電圧は、ノードN1の電圧が変化した際に、RC時定数だけ遅れて変化する。抵抗21の抵抗値と、トランジスタ22で構成されたキャパシタの容量値とから、RC時定数が定まる。実施形態において、抵抗21の抵抗値と、トランジスタ22で構成されたキャパシタの容量値とは、RC時定数が、ESDで生じる瞬間的な電流流入の時間よりも十分長くなるような値に定められる。言い換えると、ESDによる瞬間的な電流流入が生じている間、抵抗21の他端とトランジスタ22のゲートとが接続されたノードの電圧は、略一定に保たれる。
【0025】
[2]動作
実施形態に係る保護回路1は、条件に応じて異なる動作を行う。本明細書では、半導体装置IC単体に対してESDが印加された場合と、半導体装置ICに電源電圧が印加され通常動作している場合との2つの状態を例に、保護回路1の動作について説明する。
【0026】
まず、半導体装置IC単体に対してESDが印加された場合について説明する。半導体装置ICが単体で存在している場合、電源電圧は印加されていないため、回路は動作しておらず、トランジスタ22で構成されたキャパシタは十分に放電されている。
【0027】
ここで、端子T1に対してESDが印加されると、流入した電流によって電源線PL1の電圧が上昇する。電源線PL1の電圧が上昇すると、レギュレータ回路10が動作を開始し、ノードN1の電圧が上昇する。ノードN1の電圧が上昇すると、トリガ回路20が動作を開始する。
【0028】
抵抗21の抵抗値と、トランジスタ22で構成されたキャパシタの容量値とで定められるRC時定数は、ESDで生じる瞬間的な電流流入の時間よりも十分長い。このため、抵抗21の他端とトランジスタ22のゲートとが接続されたノードの論理レベルは、インバータ23から“L”レベルと判定される。
【0029】
インバータ23は“L”レベルを反転させ、“H”レベルをインバータ24へ出力する。インバータ24は“H”レベルを反転させ、“L”レベルをインバータ25へ出力する。インバータ25は“L”レベルを反転させ、“H”レベルをトランジスタ30のゲートへ出力する。よって、トランジスタ30はオン状態となる。オン状態となったトランジスタ30によって、電源線PL1と電源線PL2とが短絡され、ESDによって流入した電荷が放電される。
【0030】
このように、半導体装置IC単体に対してESDが印加されると、トランジスタ30がオン状態となり、電源線PL1と電源線PL2とを短絡することで、ESDから半導体装置ICを保護する。
【0031】
続いて、半導体装置ICに電源電圧が印加され通常動作している場合について説明する。半導体装置ICに電源電圧が印加され通常動作している場合、レギュレータ回路10はノードN1に電圧を出力し、トランジスタ22で構成されたキャパシタは十分に充電されている。このため、抵抗21の他端とトランジスタ22のゲートとが接続されたノードの論理レベルは、インバータ23から“H”レベルと判定される。
【0032】
インバータ23は“H”レベルを反転させ、“L”レベルをインバータ24へ出力する。インバータ24は“L”レベルを反転させ、“H”レベルをインバータ25へ出力する。インバータ25は“H”レベルを反転させ、“L”レベルをトランジスタ30のゲートへ出力する。よって、トランジスタ30はオフ状態となる。トランジスタ30はオフ状態であるから、電源線PL1と電源線PL2とを短絡しない。
【0033】
このように、半導体装置ICに電源電圧が印加され通常動作している場合、トランジスタ30はオフ状態となり、半導体装置ICの通常動作を妨げない。
【0034】
[3]効果
以上で説明した実施形態に係る保護回路1によれば、製造コストを抑制できる。以下に、実施形態に係る保護回路1の詳細な効果について説明する。
【0035】
半導体装置には、ESDが印加される可能性がある。このため、ESDから半導体装置を保護するために、半導体装置内部に保護回路が設けられる。
【0036】
保護回路の耐圧は、通常使用時に保護回路を含む半導体装置に印加される電圧に合わせて設定される。通常使用時に半導体装置に印加される電圧が高い場合、保護回路も十分高い耐圧が得られるように構成される。
【0037】
高耐圧の素子は、低耐圧の素子に比べて、サイズが大きい。このため、高耐圧を実現するために保護回路を高耐圧の素子で構成すると、保護回路の面積が広くなり得る。製造コストの観点から、保護回路の面積は狭いことが好ましい。
【0038】
実施形態に係る保護回路1は、電源線PL1と、電源線PL2と、ドレインが電源線PL1に接続され、ソースが電源線PL2に接続されたトランジスタ30と、一端が電源線PL1に接続された抵抗11と、一端が電源線PL2に接続された抵抗12と、ドレインが電源線PL1に接続され、ソースがノードN1に接続され、ゲートが抵抗11の他端と、抵抗12の他端とのそれぞれに接続されたトランジスタ13と、ノードN1と電源線PL2とのそれぞれに接続され、ノードN1の電圧の変化に基づいてトランジスタ30を制御するトリガ回路20と、を含む。
【0039】
実施形態に係る保護回路1では、抵抗11と抵抗12とトランジスタ13とが、すなわちレギュレータ回路10が、ノードN1に電源電圧VCCLを出力する。トリガ回路20は、電源電圧VCCLを用いて動作する。電源電圧VCCLは、電源電圧VCCHよりも低い。よって、トリガ回路20を低耐圧の素子で構成することができる。これにより、保護回路の面積を抑制できる。
【0040】
高耐圧素子と低耐圧素子の具体例について、キャパシタを例に説明する。高耐圧素子として、例えばMOM(Metal Oxide Metal)キャパシタが用いられる。MOMキャパシタは、半導体基板より上層の配線構造を活用して設けられる。MOMキャパシタは配線構造を活用しているため、静電容量に影響を与えないように、MOMキャパシタの周囲や上層に他の配線やパッドを配置することは避けられる。また、MOMキャパシタは電極間の距離が離れているため、容量当たりの面積が大きい。対して、低耐圧素子として、例えばMOSキャパシタが用いられる。MOSキャパシタは、MOSFETの構造を活用して設けられる。MOSキャパシタは電極間の距離が近いため、容量当たりの面積が小さい。このように、高耐圧素子のMOMキャパシタを用いずに、低耐圧素子のMOSキャパシタを用いることで、保護回路の面積を抑制できる。
【0041】
また、実施形態に係る保護回路1では、ドレインが電源線PL1に接続され、ソースが電源線PL2に接続されたトランジスタ30、すなわち電源線PL1と電源線PL2とを直接短絡できるトランジスタ30を含む。このトランジスタ30により、ESDによって流入した電荷を早く放電することができ、かつ保護回路の面積を抑制できる。
【0042】
トランジスタ30の効果について説明するために、2つの比較例を参照する。図2は、第1比較例に係る保護回路の構成例を示す回路図である。第1比較例に係る保護回路1aは、実施形態に係る保護回路1に対して、トリガ回路20がトリガ回路40に、トランジスタ30がトランジスタ50にそれぞれ置き換えられている。トリガ回路40は、電源電圧VCCLの急上昇を検出して、トランジスタ50を制御する。トランジスタ50は、N型のMOSFETである。トリガ回路40は、キャパシタ41と、抵抗42とを含む。キャパシタ41の一方電極は、ノードN1に接続される。抵抗42の一端は、電源線PL2に接続される。キャパシタ41の他方電極と、抵抗42の他端と、トランジスタ50のゲートとが接続される。トランジスタ50のドレインは、ノードN1に接続される。トランジスタ50のソースは、電源線PL2に接続される。トランジスタ50のボディは、電源線PL2に接続される。
【0043】
第1比較例に係る保護回路1aでは、ESDによって流入した電荷を放電するためのトランジスタ50が、ノードN1と電源線PL2との間に設けられている。このため、電源線PL1と電源線PL2との間で放電を行う際には、トランジスタ13とトランジスタ50とを介する経路が用いられる。トランジスタ13のゲートには、抵抗11及び抵抗12によって分圧された電圧が印加される。このため、トランジスタ13はESDに対する応答性が低く、ESDが印加された際に十分にオンしない。放電経路であるトランジスタ13が、ESDが印加された際に十分にオンしないため、第1比較例に係る保護回路1aの放電能力は、実施形態に係る保護回路1よりも低い。このため、第1比較例に係る保護回路1aは、ESDが印加された際に電源線PL1に生じる電圧の高さが高くなり得る。
【0044】
図3は、第2比較例に係る保護回路の構成例を示す回路図である。第2比較例に係る保護回路1bは、実施形態に係る保護回路1に対して、トリガ回路20がトリガ回路60に、トランジスタ30がトランジスタ50にそれぞれ置き換えられ、プルアップ回路70をさらに含む。トリガ回路60は、電源電圧VCCLの急上昇を検出して、トランジスタ50を制御する。トランジスタ50は、N型のMOSFETである。プルアップ回路70は、トリガ回路60の動作に基づいて、トランジスタ13のゲートをプルアップする。トリガ回路60は、抵抗61と、キャパシタ62と、インバータ63とを含む。抵抗61の一端は、ノードN1に接続される。キャパシタ62の一方電極は、電源線PL2に接続される。抵抗61の他端と、キャパシタ62の他方電極と、インバータ63の入力端とが接続される。インバータ63の正の電源端は、ノードN1に接続される。インバータ63の負の電源端は、電源線PL2に接続される。インバータ63の出力端は、トランジスタ50のゲートと接続される。トランジスタ50のドレインは、ノードN1に接続される。トランジスタ50のソースは、電源線PL2に接続される。トランジスタ50のボディは、電源線PL2に接続される。
【0045】
プルアップ回路70は、トランジスタ71乃至73と、抵抗74とを含む。トランジスタ71及び72は、N型のMOSFETである。トランジスタ73は、P型のMOSFETである。トランジスタ71のゲートと、インバータ63の出力端と、トランジスタ50のゲートとが接続される。トランジスタ71のソースは、電源線PL2に接続される。トランジスタ71のボディは、電源線PL2に接続される。トランジスタ71のドレインと、トランジスタ72のソースと、トランジスタ72のボディとが接続される。トランジスタ72のゲートと、トランジスタ73のドレインと、抵抗11の他端と、抵抗12の他端と、トランジスタ13のゲートとが接続される。トランジスタ72のドレインと、トランジスタ73のゲートと、抵抗74の一端とが接続される。トランジスタ73のソースは、電源線PL1に接続される。トランジスタ73のボディは、電源線PL1に接続される。抵抗74の他端が、電源線PL2に接続される。
【0046】
第2比較例に係る保護回路1bは、プルアップ回路70を含む。プルアップ回路70は、トリガ回路60のインバータ63が“H”レベルを出力した際に、すなわちESDによる電圧の急上昇が検出された際に、レギュレータ回路10のトランジスタ13のゲートをプルアップする。これにより、第2比較例に係る保護回路1bは、保護回路1bにESDが印加された際に、トランジスタ13を十分にオンさせることができる。よって、第2比較例に係る保護回路1bは、第1比較例に係る保護回路1aよりも、放電能力が高い。
【0047】
このように、レギュレータ回路10の出力であるノードN1に、放電用のトランジスタ50が接続される場合であっても、レギュレータ回路10にプルアップ回路70を加えることで、放電能力を確保することができる。しかし、プルアップ回路70を設ける分、保護回路の面積が大きくなり得る。
【0048】
また、第1比較例及び第2比較例のように、放電経路に複数のトランジスタが含まれる場合、放電経路の抵抗値は、放電経路に含まれる各トランジスタの抵抗値の合計となる。放電経路の抵抗値を低くするために、放電経路に含まれる各トランジスタのサイズを大きくすると、保護回路の面積が大きくなり得る。
【0049】
実施形態に係る保護回路1では、ドレインが他のトランジスタを介すること無く電源線PL1に直接接続され、ソースが他のトランジスタを介すること無く電源線PL2に直接接続されたトランジスタ30が設けられる。つまり、放電経路が1つのトランジスタで構成される。このため、実施形態に係る保護回路1は、放電経路が複数のトランジスタで構成される場合と比べて、面積を抑制できる。
【0050】
[4]変形例等
上記実施形態では、トリガ回路20が、トランジスタの構造を利用したキャパシタである、トランジスタ22を含む場合を例に説明した。トリガ回路20は、トランジスタ22の代わりに、トランジスタの構造を利用していないキャパシタを含んでもよい。
【0051】
上記実施形態では、トリガ回路20が、直列に接続されたインバータ23乃至25、すなわち直列に接続された3つのインバータを含む場合を例に説明した。トリガ回路20が含む直列に接続されたインバータの数は、奇数であればよく、例えば1つでも5つでもよい。1つの場合について具体的に説明すると、トリガ回路20から、インバータ23及び25を省略し、インバータ23の出力端をトランジスタ30のゲートと接続し、インバータ23の出力端と電源線PL2との間に抵抗26を設けるように変形すればよい。このようにトリガ回路を構成した場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。また、“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していても良い。また、明細書において“オン状態”とは、対応するトランジスタのゲートに当該トランジスタの閾値電圧以上の電圧が印加されていることを示している。“オフ状態”とは、対応するトランジスタのゲートに当該トランジスタの閾値電圧未満の電圧が印加されていることを示し、例えばトランジスタのリーク電流のような微少な電流が流れることを除外しない。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1,1a,1b…保護回路、2…機能回路、10…レギュレータ回路、11,12,21,26,42,61,74…抵抗、13,22,30,50,71,72,73…トランジスタ、20,40,60…トリガ回路、23,24,25,63…インバータ、41,62…キャパシタ、70…プルアップ回路、IC…半導体装置、PL1,PL2…電源線、T1,T2…端子。
図1
図2
図3