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特開2024-136120監視制御装置、監視制御方法および監視制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136120
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】監視制御装置、監視制御方法および監視制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G06F11/07 196
G06F11/07 140T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047105
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】太田 文香
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB09
5B042KK04
(57)【要約】
【課題】他の装置と通信中または通信可能な状態で、外部メモリが装着された場合の意図しない動作を行うプログラムの実行の可能性を抑制し、外部メモリの誤接続がなされた場合のフールプルーフを実現できる監視制御装置を得ること。
【解決手段】監視制御装置は、複数の通信部、外部メモリ通信部、機能処理部、機能実行管理情報記憶部および機能管理部を備える。機能処理部は、外部メモリの監視制御装置への装着時に予め決められた複数の機能を実行する。機能実行管理情報記憶部は、複数の通信部の通信状態の組み合わせに実行可能な機能を対応付けた情報であり、監視制御装置の構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を記憶する。機能管理部は、外部メモリの接続を検出すると複数の通信部から通信状態を取得し、機能実行管理情報を参照して取得した通信状態の組み合わせに対応する実行可能な機能を決定し、機能処理部で実行する機能を制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と通信回線によって接続され、監視対象からデータを取得して前記監視対象の監視を行う監視制御装置であって、
前記他の装置との間で通信を行う複数の通信部と、
着脱可能な外部メモリとの間で通信を行う外部メモリ通信部と、
前記外部メモリが前記監視制御装置に装着されたときに、予め決められた複数の機能を実行する機能処理部と、
前記複数の通信部のそれぞれの通信状態の組み合わせに対して実行可能な前記機能を対応付けた情報であり、前記監視制御装置の構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を記憶する機能実行管理情報記憶部と、
前記外部メモリの前記外部メモリ通信部との電気的な接続を検出すると、前記複数の通信部からそれぞれの前記通信状態を取得し、前記機能実行管理情報を参照して取得した前記通信状態の組み合わせに対応する前記実行可能な機能を決定し、前記機能処理部で実行する前記機能を制限する機能管理部と、
を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
前記機能管理部は、前記外部メモリの前記外部メモリ通信部との電気的な接続を検出すると、前記複数の通信部のそれぞれの通信負荷率をさらに取得し、前記通信負荷率が決められた基準値よりも高い場合に、前記機能処理部で前記複数の機能のすべてを実行させないことを特徴とする請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項3】
前記機能管理部は、前記通信負荷率が前記基準値よりも低い場合に、取得した前記通信状態の組み合わせに対応する前記実行可能な機能を決定し、前記機能処理部で実行する前記機能を制限することを特徴とする請求項2に記載の監視制御装置。
【請求項4】
前記機能実行管理情報は、前記複数の機能のそれぞれについて、前記機能の実行が前記監視制御装置に与える影響を評価値で評価した機能実行評価情報と、前記複数の通信部のそれぞれの前記通信状態の組み合わせで前記実行可能な機能を前記評価値で示した通信状態評価情報と、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の監視制御装置。
【請求項5】
前記機能実行管理情報は、
前記機能が前記監視制御装置に記憶されているデータまたはプログラムを読み出して前記外部メモリに保存する処理である場合には、前記複数の通信部の前記通信状態によらず前記機能を実行可能とし、
前記機能が前記外部メモリに記憶されているデータまたはプログラムを読み出して前記監視制御装置に書き込む処理である場合で、前記複数の通信部の前記通信状態が前記他の装置への影響を与えない場合に前記機能を実行可能とし、前記複数の通信部の前記通信状態が前記他の装置へ影響を与える場合に前記機能の実行を制限することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の監視制御装置。
【請求項6】
他の装置との間で通信回線を介して通信を行う複数の通信部と、着脱可能な外部メモリとの間で通信を行う外部メモリ通信部と、前記外部メモリが装着されたときに、予め決められた複数の機能を実行する機能処理部と、を備える監視制御装置が、監視対象からデータを取得して前記監視対象の監視を行う監視制御方法であって、
前記外部メモリの前記外部メモリ通信部との電気的な接続を検出する外部メモリ検出工程と、
前記複数の通信部からそれぞれの通信状態を取得する通信状態取得工程と、
前記複数の通信部のそれぞれの前記通信状態の組み合わせに対して実行可能な前記機能を対応付けた情報であり、前記監視制御装置の構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を参照して、取得した前記通信状態の組み合わせに対応する前記実行可能な機能を決定する実行機能決定工程と、
前記機能処理部で実行する前記機能を制限する機能管理工程と、
を含むことを特徴とする監視制御方法。
【請求項7】
前記外部メモリの前記外部メモリ通信部との電気的な接続を検出すると、前記複数の通信部のそれぞれの通信負荷率をさらに取得する通信負荷率取得工程と、
前記通信負荷率と決められた基準値とを比較する比較工程と、
をさらに含み、
前記機能管理工程では、前記通信負荷率が前記基準値よりも高い場合に、前記機能処理部で前記複数の機能のすべてを実行させないことを特徴とする請求項6に記載の監視制御方法。
【請求項8】
前記通信負荷率が前記基準値よりも低い場合に、前記実行機能決定工程および前記機能管理工程を順に行うことを特徴とする請求項7に記載の監視制御方法。
【請求項9】
前記機能実行管理情報は、前記複数の機能のそれぞれについて、前記機能の実行が前記監視制御装置に与える影響を評価値で評価した機能実行評価情報と、前記複数の通信部のそれぞれの前記通信状態の組み合わせで前記実行可能な機能を前記評価値で示した通信状態評価情報と、を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載の監視制御方法。
【請求項10】
前記機能実行管理情報は、
前記機能が前記監視制御装置に記憶されているデータまたはプログラムを読み出して前記外部メモリに保存する処理である場合には、前記複数の通信部の前記通信状態によらず前記機能を実行可能とし、
前記機能が前記外部メモリに記憶されているデータまたはプログラムを読み出して前記監視制御装置に書き込む処理である場合で、前記複数の通信部の前記通信状態が前記他の装置への影響を与えない場合に前記機能を実行可能とし、前記複数の通信部の前記通信状態が前記他の装置へ影響を与える場合に前記機能の実行を制限することを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載の監視制御方法。
【請求項11】
他の装置との間で通信回線を介して通信を行う複数の通信回路と、着脱可能な外部メモリとの間で通信を行う外部メモリインタフェース回路と、前記外部メモリが前記外部メモリインタフェース回路に接続されたときに、メモリに記憶された予め決められた複数の機能を実行するプロセッサと、を備えるコンピュータに、
前記外部メモリの前記外部メモリインタフェース回路との電気的な接続を検出する外部メモリ検出ステップと、
前記複数の通信回路からそれぞれの通信状態を取得する通信状態取得ステップと、
前記複数の通信回路のそれぞれの前記通信状態の組み合わせに対して実行可能な前記機能を対応付けた情報であり、前記コンピュータの構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を参照して、取得した前記通信状態の組み合わせに対応する前記実行可能な機能を決定する実行機能決定ステップと、
前記プロセッサで実行する前記機能を制限する機能管理ステップと、
を実行させることを特徴とする監視制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設の監視および制御を遠隔で行う広域監視制御システムを実現する監視制御装置、監視制御方法および監視制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の通信装置が接続された状態にある電子機器において、通信装置の切り替えに関する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、電子機器は、複数の通信装置のうち使用すべき通信装置の優先順位を示すリンクテーブルを保持しており、各通信装置の通信状態およびリンクテーブルに基づいて、1つの通信装置が排他的に使用されるように複数の通信装置を切り替える制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-169102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、河川の管理、鉄道の管理、道路の管理などに用いられる監視制御システムは、施設に設置された各種機器の監視および制御を集中して行う事業所等に設置される親局装置として動作する監視制御装置と、現場に設置され、監視制御対象の機器を接続してデータ収集、制御などを行う子局装置として動作する監視制御装置と、を備える。親局装置と子局装置とはネットワークを介して通信可能であり、機器の監視および制御に必要なデータの送受信などがネットワークを介して行われる。このような監視制御システムを構成する監視制御装置では、モジュールの更新、ログの取得などの保守作業を実行するために、操作者が手動でファイルを転送したり、コマンド操作を実行したりしていた。このような保守作業の方法では、操作者の作業工数およびコストがかかってしまう。このため、USB(Universal Serial Bus)メモリの監視制御装置への装着時にUSBプラグアンドプレイ機能を用いて、ファイルの転送、コマンド操作等を簡略化することが望まれている。しかし、USBプラグアンドプレイ機能は、誤操作の可能性があり、また意図しない動作を行うプログラムがUSBメモリに含まれている場合には意図しない動作の可能性がある。
【0005】
一例では、監視制御装置にUSBメモリが挿入されるとUSBプラグアンドプレイ機能によって、USBメモリからの読み込み処理が実行される。USBメモリに意図しない動作を行うプログラムが含まれている場合には、読み込み処理による意図しない動作を行うプログラムの実行によって監視制御装置が誤動作し、ネットワークに接続される他の監視制御装置にまで影響が生じる可能性がある。特に、監視制御装置では、異なるネットワークに接続される他の装置との通信を行う必要があるため、複数の通信装置を有している。このため、意図しない動作を行うプログラムの実行によって生じる1台の監視制御装置の誤動作が、広範囲の他の装置に波及してしまうことを抑制することが重要となる。つまり、意図しない動作を行うプログラムの実行の可能性を低減するとともに、誤ってUSBメモリを監視制御装置に接続してしまったとしても、誤って接続したUSBメモリによって監視制御装置が誤った動作をしないようにフールプルーフを実現することが望まれていた。上記従来の電子機器では、複数の通信装置のうち1つの通信装置を排他的に使用するものであり、電子機器にUSBメモリ等の着脱可能な外部メモリが装着されたときの意図しない動作を行うプログラムの実行および外部メモリの誤接続に対する対策についてはなにも開示されていない。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、他の装置と通信中または通信可能な状態で、外部メモリが装着された場合の意図しない動作を行うプログラムの実行の可能性を抑制し、外部メモリの誤接続がなされた場合のフールプルーフを実現することができる監視制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る監視制御装置は、他の装置と通信回線によって接続され、監視対象からデータを取得して監視対象の監視を行う監視制御装置であって、複数の通信部と、外部メモリ通信部と、機能処理部と、機能実行管理情報記憶部と、機能管理部と、を備える。複数の通信部は、他の装置との間で通信を行う。外部メモリ通信部は、着脱可能な外部メモリとの間で通信を行う。機能処理部は、外部メモリが監視制御装置に装着されたときに、予め決められた複数の機能を実行する。機能実行管理情報記憶部は、複数の通信部のそれぞれの通信状態の組み合わせに対して実行可能な機能を対応付けた情報であり、監視制御装置の構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を記憶する。機能管理部は、外部メモリの外部メモリ通信部との電気的な接続を検出すると、複数の通信部からそれぞれの通信状態を取得し、機能実行管理情報を参照して取得した通信状態の組み合わせに対応する実行可能な機能を決定し、機能処理部で実行する機能を制限する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、他の装置と通信中または通信可能な状態で、外部メモリが装着された場合の意図しない動作を行うプログラムの実行の可能性を抑制し、外部メモリの誤接続がなされた場合のフールプルーフを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る監視制御装置を備える監視制御システムの構成の一例を模式的に示す図
図2】実施の形態1に係る監視制御装置の構成の一例を模式的に示す図
図3】実施の形態1に係る監視制御装置の機能構成の一例を模式的に示す図
図4】機能実行評価情報の一例を示す図
図5】通信状態評価情報の一例を示す図
図6】実施の形態1に係る監視制御方法の手順の一例を示すフローチャート
図7】実施の形態2に係る監視制御方法の手順の一例を示すフローチャート
図8】CPUカードを実現する専用の処理回路の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態に係る監視制御装置、監視制御方法および監視制御プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る監視制御装置を備える監視制御システムの構成の一例を模式的に示す図である。監視制御システム1は、防災、施設の管理等のために監視対象に設けられた図示しないセンサから得られる監視データを用いて監視対象を監視するシステムである。監視制御システム1は、監視制御装置20A,20B,20C,20Dと、系切替制御装置40と、監視制御端末50と、監視制御データサーバ60と、を備える。監視制御装置20A,20B,20C,20Dは、階層的に複数設けられる。図1の場合には、階層が2つである場合が示されており、階層の上位に位置する監視制御装置は、上位監視制御装置20A,20Bと称され、階層の下位に位置する監視制御装置は、下位監視制御装置20C,20Dと称される。上位監視制御装置20A,20Bは親局に対応し、下位監視制御装置20C,20Dは子局に対応する。上位監視制御装置20A,20Bおよび下位監視制御装置20C,20Dは、個々に区別されない場合には、監視制御装置20と称される。
【0012】
下位監視制御装置20C,20Dと、上位監視制御装置20A,20Bと、はLAN(Local Area Network)回線であるネットワーク70Aを介して接続される。上位監視制御装置20A,20Bと、監視制御端末50と、監視制御データサーバ60と、はLAN回線であるネットワーク70Bを介して接続される。ネットワーク70A,70Bの一例は、イーサネット(登録商標)などのIP(Internet Protocol)ネットワークである。上位監視制御装置20A,20Bと、系切替制御装置40と、は系切替制御通信用の通信線75によって接続される。
【0013】
下位監視制御装置20Cおよび下位監視制御装置20Dは、監視対象に設けられる図示しないセンサの内、地理的に近接した定められた範囲のセンサから監視データを取得する。下位監視制御装置20C,20Dは、取得した複数のセンサからの監視データを集約し、定められた加工処理を行って加工データとして上位監視制御装置20Aまたは上位監視制御装置20Bへと伝送する。センサは、設置位置における監視対象の状態を定められた収集周期で検知し、検知した結果である監視データを、下位監視制御装置20C,20Dに伝送する。センサは、下位監視制御装置20C,20Dと有線もしくは無線のネットワークまたは信号線を介して接続される。防災のために監視制御システム1が設けられる場合の監視対象の一例は、河川の流量、特定の空間の風速、排水ポンプ場またはダム水門における水位である。施設の管理のために監視制御システム1が設けられる場合の監視対象の一例は、トンネル、地下道等の設備、機場、無線中継局、ビル等の各種現場の電源設備である。センサは、これらの監視対象の1か所に設けられるものではなく、監視対象の全体にわたって複数箇所に設けられる。このため、地理的に離れた複数の位置にセンサが設けられることもある。
【0014】
上位監視制御装置20Aは、通常時に監視対象の監視を行う現用装置である。上位監視制御装置20Bは、上位監視制御装置20Aに故障等の異常が発生した場合に上位監視制御装置20Aに代わって監視対象の監視を行う予備装置である。すなわち、上位監視制御装置20Aと上位監視制御装置20Bとは、冗長構成となっており、二重系が採用されている。
【0015】
上位監視制御装置20Aおよび上位監視制御装置20Bは、ネットワーク70Aを介して接続される複数の下位監視制御装置20C,20Dから加工データを取得する。上位監視制御装置20Aは、取得した複数の下位監視制御装置20C,20Dからの監視データを含む加工データを集約し、さらに上位の装置で取り扱われる形式に加工するとともに、上位の装置との間のネットワーク70Bの通信プロトコルに応じた通信形式のデータに加工した新たな加工データを、監視制御端末50および監視制御データサーバ60に送信する。一例では、上位監視制御装置20Aは、監視制御端末50に加工データを送信する場合には、監視制御端末50のユーザが認識可能な形式の情報に加工する。他の例では、上位監視制御装置20Aは、監視制御データサーバ60に情報を送信する場合には、監視制御データサーバ60で管理可能な形式の情報に加工する。
【0016】
系切替制御装置40は、現用装置である上位監視制御装置20Aに故障等の異常が発生した場合に、上位監視制御装置20Aから予備装置である上位監視制御装置20Bへと切り替える装置である。つまり、系切替制御装置40は、下位監視制御装置20C,20Dと、監視制御端末50および監視制御データサーバ60と、の間での監視データ等のデータの処理および中継する装置を上位監視制御装置20Aと上位監視制御装置20Bとの間で切り替える。
【0017】
なお、図1では、監視制御装置20が2層で構成される場合を示したが、3層以上で構成されていてもよい。また、図1では、下層に2つの下位監視制御装置20C,20Dが示されているが、3つ以上の監視制御装置20が存在していてもよい。
【0018】
監視制御端末50は、末端のセンサから取得した監視データをユーザが認識することができる形式で表示するコンピュータシステムである。また、監視制御端末50は、ユーザからの指示に従ってあるいは監視データに基づいた制御に従って、監視対象における末端のプロセス機器を操作する。末端のプロセス機器の一例は、監視対象がダム水門の場合には、水門を開くためのゲート、モータ等であり、監視対象が排水ポンプ場である場合には、ポンプ等である。
【0019】
監視制御データサーバ60は、上位監視制御装置20Aまたは上位監視制御装置20Bから取得した加工データを定められた形式で記憶するコンピュータシステムである。監視制御データサーバ60に記憶された加工データは、監視対象についてのシミュレーション、機械学習等に用いられる。
【0020】
監視制御装置20は、1つまたは複数の機能を実現する複数のハードウェアユニットを組み合わせ、複数のハードウェアユニットのそれぞれが相互に連携して動作することで実現される。図2は、実施の形態1に係る監視制御装置の構成の一例を模式的に示す図である。監視制御装置20は、上述のハードウェアユニットに相当する、電源カード10、CPU(Central Processing Unit)カード11、ハブカード12、通信制御カード13およびIO(Input/Output)カード14を備える。なお、図2に示される電源カード10、CPUカード11、ハブカード12、通信制御カード13およびIOカード14の数は例示であり、それぞれ任意の数とすることができる。
【0021】
電源カード10は、監視制御装置20を構成する他のカード、すなわち、CPUカード11、ハブカード12、通信制御カード13およびIOカード14に図示しない電力供給線を介して電力を供給する。電源カード10は、電源ユニットとも称される。
【0022】
CPUカード11は、監視制御装置20全体の動作を制御する装置制御カードである。CPUカード11は、LANポート110と、USBポート111と、系切替通信ポート112と、を備える。LANポート110には、LANケーブルを介してハブカード12が接続される。USBポート111には、USBメモリが着脱可能である。系切替通信ポート112には、系切替制御装置40に接続される系切替制御通信用の通信線75が接続される。CPUカード11は、CPUユニットとも称される。
【0023】
ハブカード12は、監視制御装置20における内部ネットワークである第1内部ネットワーク81を構成し、複数のLANポート120を備える。ハブカード12が備える複数のLANポート120のそれぞれには、LANケーブルを介してCPUカード11または通信制御カード13が接続される。ハブカード12は、ハブユニットとも称される。
【0024】
通信制御カード13は、監視制御装置20を外部ネットワークに接続するためのネットワークインタフェースとして機能する。通信制御カード13は、ハブカード12に接続するためのLANポート130Aと、外部ネットワークに接続するための外部インタフェース130Bと、を備える。外部インタフェース130Bは、外部ネットワークに有線接続する構成であってもよいし無線接続する構成であってもよい。また、外部ネットワークはデジタルネットワークでもよいしアナログネットワークでもよい。図1に示す監視制御装置20の場合、複数の通信制御カード13の中の1つを使用して、ネットワーク70Aまたはネットワーク70Bに接続される。通信制御カード13は、通信制御ユニットとも称される。
【0025】
IOカード14は、機器を接続するための接続部140を有し、この接続部140に各種機器が直接接続される。IOカード14は、IOユニットとも称される。
【0026】
CPUカード11および通信制御カード13は、ハブカード12に接続される。すなわち、CPUカード11および通信制御カード13は、第1内部ネットワーク81を介して通信可能である。また、CPUカード11および通信制御カード13は、監視制御装置20の内部でのシリアル通信をサポートする第2内部ネットワーク82を介した通信も可能である。CPUカード11、ハブカード12、通信制御カード13およびIOカード14のシリアル通信ケーブルが接続される位置には、図示しないがシリアルポートが設けられている。なお、第2内部ネットワーク82にはハブカード12およびIOカード14も接続される。また、第1内部ネットワーク81および第2内部ネットワーク82がサポートする通信方式は図示したものに限定されない。CPUカード11と通信制御カード13とが2つの内部ネットワークを介して通信可能な構成を実現できるのであればどのような通信方式であってもよい。
【0027】
以上のような構成によって、監視制御装置20は、他の装置と通信回線によって接続され、監視対象からデータを取得して監視対象の監視を行うことが可能となる。
【0028】
次に、監視制御装置20の機能について説明する。図3は、実施の形態1に係る監視制御装置の機能構成の一例を模式的に示す図である。なお、図3に示される機能は、図2のCPUカード11によって実現される。
【0029】
監視制御装置20は、USB通信部21と、イーサネット通信部22と、シリアル通信部23と、系切替制御通信部24と、USBプラグアンドプレイ機能処理部25と、機能実行管理情報記憶部26と、USBプラグアンドプレイ機能管理部27と、を有する。
【0030】
USB通信部21は、監視制御装置20のUSBポート111に装着されるUSBメモリとの間で通信を行う。USB通信部21は、外部メモリ通信部に対応する。
【0031】
イーサネット通信部22は、監視制御装置20のLANポート110にLANケーブルが接続されている場合に、LANポート110を介したイーサネットによる通信を行う。イーサネット通信部22は、イーサネット通信部22の通信状態を判定する機能を有する。一例では、イーサネット通信部22は、LANポート110にLANケーブルが接続されている場合には、「接続中」と判定し、LANポート110にLANケーブルが接続されていない場合には、「非接続」と判定する。
【0032】
シリアル通信部23は、監視制御装置20のシリアルポートにシリアル通信ケーブルが接続されている場合に、シリアルポートを介したシリアル通信を行う。シリアル通信部23は、シリアル通信部23の通信状態を判定する機能を有する。一例では、シリアル通信部23は、シリアル通信ケーブルでシリアル通信を行っている場合には、「通信中」と判定し、シリアル通信を行っていない場合には、「非通信」と判定する。
【0033】
系切替制御通信部24は、監視制御装置20の系切替通信ポート112に系切替制御通信用の通信線75が接続されている場合に、系切替通信ポート112を介した通信を行う。系切替制御通信部24は、系切替制御通信部24の通信状態を判定する機能を有する。監視制御装置20が上位監視制御装置20Aである例において、系切替制御通信部24は、現用装置である上位監視制御装置20Aを使用した通信を行っている場合には、「現用系」と判定し、予備装置である上位監視制御装置20Bを使用した通信を行っている場合には、「予備系」と判定し、監視制御装置20が冗長構成を有していない場合には、「非接続」と判定する。なお、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24は、複数の通信部に対応する。
【0034】
USBプラグアンドプレイ機能処理部25は、USBメモリが監視制御装置20に装着された場合に、予め決められた複数の機能であるUSBプラグアンドプレイ機能を実行する。USBメモリが監視制御装置20に装着された場合は、一例では、USBメモリがUSB通信部21と電気的に接続されたときである。予め決められた機能には、監視制御装置20のモジュールの更新、監視制御装置20からのログデータの取得などの保守作業を実行する機能が挙げられる。このような保守作業を実行するUSBプラグアンドプレイ機能をCPUカード11に実装させることで、作業者は、USBメモリを監視制御装置20に装着するだけで、監視制御装置20の保守作業を実現することができ、ファイルの転送処理、コマンドの操作等が簡略化される。つまり、USBプラグアンドプレイ機能によって、保守作業を容易化し、かつ高速化することができる。なお、USBプラグアンドプレイ機能処理部25は、複数のUSBプラグアンドプレイ機能を有することが望ましい。USBプラグアンドプレイ機能処理部25は、機能処理部に対応する。
【0035】
機能実行管理情報記憶部26は、複数の通信部のそれぞれの通信状態の組み合わせに対して実行可能な機能を対応付けた情報であり、監視制御装置20の構成に応じて予め設定された機能実行管理情報を記憶する。機能実行管理情報は、USBプラグアンドプレイ機能の実行が監視制御装置20に与える影響および各通信部の通信状態が他の装置へ与える影響の組み合わせと、この組み合わせのときに監視制御装置20での意図しない動作の実行を抑制することが可能なUSBプラグアンドプレイ機能と、を対応付けた情報である。
【0036】
一例では、機能実行管理情報は、機能実行評価情報と、通信状態評価情報と、を有する。機能実行評価情報は、複数のUSBプラグアンドプレイ機能のそれぞれについて、USBプラグアンドプレイ機能の実行が監視制御装置20に与える影響を評価値で評価した情報である。通信状態評価情報は、複数の通信部のそれぞれの通信状態の組み合わせで実行可能なUSBプラグアンドプレイ機能を評価値で示した情報である。
【0037】
図4は、機能実行評価情報の一例を示す図である。USBプラグアンドプレイ機能には、大きく分けて、監視制御装置20に保存されているデータまたはプログラムを読み出して、USBメモリに書き込む処理であるUSBメモリへの書き込み処理と、USBメモリに保存されているデータまたはプログラムを読み出して、監視制御装置20に書き込む処理であるUSBメモリからの読み込み処理と、がある。USBメモリへの書き込み処理は、監視制御装置20に保存されているデータをUSBメモリへと書き込むだけであるので、この処理を実行したとしても、監視制御装置20が意図しない動作をする可能性は極めて低い。また、USBメモリから監視制御装置20内へと誤動作するプログラムまたはマルウェア等の悪意のあるプログラムを取り込んでしまう可能性も低い。このため、USBメモリへの書き込み処理は、意図しない動作の可能性が低いと評価することができる。このようなUSBメモリへの書き込み処理の一例には、ログファイルの読み出しがある。
【0038】
USBメモリからの読み込み処理では、USBメモリに保存されているデータを書き込む場合、あるいはUSBメモリに保存されている悪意のないあるいは動作について誤りのない正常なプログラムを読み出して監視制御装置20に書き込む場合には、この処理を実行したとしても、監視制御装置20が意図しない動作をする可能性は低い。一方、USBメモリに保存されている正常ではないプログラムを書き込む場合には、監視制御装置20が意図しない動作を実行する可能性がある。正常ではないプログラムには、悪意のあるプログラム、動作について誤りのあるプログラムがある。悪意のあるプログラムは、一例ではマルウェアと呼ばれるプログラムである。動作について誤りのあるプログラムは、プログラムに誤りが有り、誤動作するプログラムである。このように、USBメモリからの読み込み処理は、意図しない動作の可能性が高いと評価することができる。このようなUSBメモリからの読み込み処理の一例には、ソフトウェア更新がある。
【0039】
図4に示される例では、機能実行評価情報は、USBプラグアンドプレイ機能と、評価値と、を項目として有する。USBプラグアンドプレイ機能は、監視制御装置20に予め登録されたUSBプラグアンドプレイ機能の名称である。評価値は、USBプラグアンドプレイ機能の実行による監視制御装置20の意図しない動作の可能性を示す値である。ここでは、評価値が小さいほど意図しない動作の可能性が低いものとすると、図4では、USBプラグアンドプレイ機能の名称が「ログファイルの読み出し」の評価値は「1」であり、USBプラグアンドプレイ機能の名称が「ソフトウェア更新」の評価値は「2」である。つまり、ソフトウェア更新の方が意図しない動作の可能性が高いことになる。なお、ここでは、意図しない動作の可能性の評価を2段階で行っているが、3段階以上の評価で行ってもよい。また、図4では、USBプラグアンドプレイ機能が2つの場合を示したが、3つ以上であってもよく、それぞれのUSBプラグアンドプレイ機能について評価値が設定されていればよい。
【0040】
図5は、通信状態評価情報の一例を示す図である。一般的に、監視制御装置20が通信部を介して他の装置と通信中である場合には、監視制御装置20の意図しない動作が、他の装置へと拡がってしまう可能性がある。また、監視制御装置20が通信部を介して他の装置と通信中ではない場合には、監視制御装置20の意図しない動作が、他の装置へと拡がってしまうことはほとんどない。このように、各通信部の状態が他の装置へ与える影響を評価することができる。図5では、通信状態評価情報は、通信状態と、実行可能機能評価値と、を項目として有する。通信状態は、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24の各項目を含む。
【0041】
イーサネット通信部22の通信状態には、監視制御装置20にイーサネット端子であるケーブルが接続された状態またはソフトウェア的にネットワークから分離されていない状態を示す「接続中」と、監視制御装置20にケーブルが接続されていない状態を示す「非接続」と、がある。イーサネットでは、ケーブルを介して監視制御装置20が他の装置と接続されている限り、他の装置に影響が及ぶ可能性があるため、「通信中」および「非通信」で管理せずに、「接続中」および「非接続」で通信状態を管理している。イーサネット通信部22が「接続中」の場合には、他の装置と通信中ではなくても上記したように他の装置と接続されている状態であるので、監視制御装置20の意図しない動作が他の装置に及ぶ可能性がある。一方、イーサネット通信部22が「非接続」の場合には、監視制御装置20の意図しない動作が他の装置に及ぶ可能性は低い。
【0042】
シリアル通信部23の通信状態には、シリアル通信ケーブルによって通信中の状態を示す「通信中」と、通信していない状態を示す「非通信」と、がある。「通信中」はデータ更新がある場合を含み、「非通信」はデータ更新がない場合を含む。シリアル通信部23は、基本的に監視制御装置20内の通信になるので、イーサネット通信部22のような「接続中」か否かではなく、「通信中」か否かで他の装置へ与える影響の評価に利用する。
【0043】
系切替制御通信部24の通信状態には、系切替制御通信用の通信線75を介して系切替制御装置40と接続しており、監視制御装置20自身が現用系であることを示す「現用系」、および監視制御装置20自身が予備系であることを示す「予備系」と、系切替制御通信用の通信線75を介して系切替制御装置40と接続していない状態を示す「非接続」と、がある。
【0044】
実行可能機能評価値は、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24の組み合わせに対して、実行可能なUSBプラグアンドプレイ機能の評価値を示している。実行可能機能評価値に入力されている値は、機能実行評価情報の評価値に対応している。つまり、図5では、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24の組み合わせの場合には、この組み合わせに対応する実行可能機能評価値と同じ値の評価値を有する機能実行評価情報のUSBプラグアンドプレイ機能を実行可能なことが示されている。
【0045】
一例では、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24のそれぞれの通信状態が「接続中」、「通信中」および「現用系」である場合の実行可能機能評価値は「1」である。この場合、図4の機能実行評価情報の評価値が「1」であるUSBプラグアンドプレイ機能の「ログファイルの読み出し」を実行可能なことが示されている。また、評価値が「2」の「ソフトウェア更新」は実行できないことも示している。これは、イーサネット通信部22が「接続中」である場合には、上記したように、USBメモリに保存されているプログラムが意図しない動作を実行するプログラムであった場合には、監視制御装置20だけではなく他の装置にも影響を与える可能性が高いからである。
【0046】
また、他の例では、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24のそれぞれの通信状態が「非接続」、「通信中」および「予備系」である場合の実行可能機能評価値は「1,2」である。この場合、図4の機能実行評価情報の評価値が「1」および「2」であるUSBプラグアンドプレイ機能の「ログファイルの読み出し」および「ソフトウェア更新」を実行可能なことが示されている。これは、イーサネット通信部22が「非接続」である場合で、系切替制御通信部24が「予備系」である場合には、上記したようにUSBメモリに保存されているプログラムが意図しない動作を実行するプログラムであったとしても、意図しない動作の影響はUSBメモリが装着された監視制御装置20にとどまり、他の装置に影響を与える可能性が低いからである。
【0047】
上記した機能実行管理情報、特に、図5の通信状態評価情報は、監視制御装置20のユーザによって設定することが可能である。図5の通信状態の組み合わせと実行可能機能評価値との対応は、監視制御装置20の構成によって変わり得るものである。一例では、図5の通信状態評価情報は、監視制御装置20が冗長構成を有しており、予備系として動作している監視制御装置20が、コールドスタンバイの状態にある場合を示している。コールドスタンバイは、完全に電源がオフにはなっていないが、省電力状態にある状態である。コールドスタンバイは、一例では、監視制御装置20を構成するプロセッサは停止し、メモリに電力が供給された状態である。イーサネット通信部22が「非接続」であり、系切替制御通信部24がコールドスタンバイの「予備系」である場合には、他の装置に影響を与える可能性が低いため、図5の例では、実行可能機能評価値は「1,2」となっている。
【0048】
もし、監視制御装置20が冗長構成を有しており、予備系として動作している監視制御装置20が、ホットスタンバイの状態にある場合で、イーサネット通信部22が「接続中」である場合またはシリアル通信部23が「通信中」である場合には、他の装置と通信することがある。このような場合には、他の装置に影響を与える可能性が高い。ホットスタンバイは、処理の実行はしていないが、何かの命令を受けるとすぐに動作可能な状態である。一例では、ホットスタンバイは、監視制御装置20を構成するプロセッサおよびメモリに電力が供給された状態にあり、プロセッサが命令を実行可能な状態である。このような場合には、イーサネット通信部22が「非接続」であり、系切替制御通信部24がホットスタンバイの「予備系」である場合で、シリアル通信部23が「通信中」には、他の装置に影響を与える可能性が高いため、実行可能機能評価値は「1」とされる。このように、監視制御装置20の通信部の構成、監視制御装置20を含む他の装置との接続関係などによって、通信状態評価情報を変更することが可能である。通信状態評価情報の変更は、図示しない入力部を介して行うことが可能である。
【0049】
一例では、機能実行管理情報は、USBプラグアンドプレイ機能が監視制御装置20に記憶されているデータまたはプログラムを読み出してUSBメモリに保存する処理である場合には、複数の通信部の通信状態によらずUSBプラグアンドプレイ機能を実行可能となるように設定される。また、機能実行管理情報は、USBプラグアンドプレイ機能がUSBメモリに記憶されているデータまたはプログラムを読み出して監視制御装置20に書き込む処理である場合で、複数の通信部の通信状態が他の装置への影響を与えない場合にUSBプラグアンドプレイ機能を実行可能とし、複数の通信部の通信状態が他の装置へ影響を与える場合にUSBプラグアンドプレイ機能の実行を制限するように設定される。
【0050】
図3に戻り、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリのUSB通信部21との電気的な接続を検出すると、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24のそれぞれの通信状態を取得し、機能実行管理情報を参照して取得した通信状態の組み合わせに対応する実行可能なUSBプラグアンドプレイ機能を決定し、USBプラグアンドプレイ機能処理部25で実行するUSBプラグアンドプレイ機能を制限する。つまり、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、決定したUSBプラグアンドプレイ機能のみをUSBプラグアンドプレイ機能処理部25に実行させる。また、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリの装着を検出したときに、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24の通信状態を取得する。USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリの装着を検出したとき以外には、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24から通信状態を取得しない。このように、実施の形態1では、USBメモリが装着されている間、定期的に通信状態を監視しないので、定期的に通信状態を監視する場合に比して、USBプラグアンドプレイ機能の処理実行時に監視制御装置20へかかる負荷を低減することが可能となる。USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、機能管理部に対応する。
【0051】
次に、このような構成の監視制御装置20における監視制御方法について説明する。図6は、実施の形態1に係る監視制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。まず、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリが監視制御装置20に装着されたかを判定する(ステップS11)。これは、一例では、USBメモリが装着され、USBメモリとUSB通信部21とが電気的に接続されたことを示すUSB通信部21からの信号をUSBプラグアンドプレイ機能管理部27が受信することによって、USBメモリの装着を判定することができる。USBメモリが装着されていない場合(ステップS11でNoの場合)には、USBメモリが装着されるまで待ち状態となる。
【0052】
USBメモリが装着された場合(ステップS11でYesの場合)には、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24から通信状態を取得する(ステップS12)。次いで、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、通信状態評価情報を参照して、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24の通信状態の組み合わせに対応する実行可能機能評価値を取得する(ステップS13)。また、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、機能実行評価情報を参照して、実行可能機能評価値と同じ評価値を有するUSBプラグアンドプレイ機能を、実行するUSBプラグアンドプレイ機能として決定する(ステップS14)。USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、決定したUSBプラグアンドプレイ機能をUSBプラグアンドプレイ機能処理部25に通知し(ステップS15)、USBプラグアンドプレイ機能処理部25は、決定したUSBプラグアンドプレイ機能を実行する(ステップS16)。以上で処理が終了する。
【0053】
実施の形態1の監視制御装置20は、監視制御装置20での保守作業を処理ごとにUSBプラグアンドプレイ機能として登録し、登録したプラグアンドプレイ機能を実行するUSBプラグアンドプレイ機能処理部25と、各通信部の通信状態の組み合わせに応じて実行するUSBプラグアンドプレイ機能を規定した機能実行管理情報を記憶する機能実行管理情報記憶部26と、USBメモリの装着時に各通信部の通信状態を取得し、機能実行管理情報を参照して取得した通信状態の組み合わせに対応するUSBプラグアンドプレイ機能を決定し、決定したUSBプラグアンドプレイ機能のみを実行するようにUSBプラグアンドプレイ機能処理部25の機能を制限するUSBプラグアンドプレイ機能管理部27と、を備える。これによって、監視制御装置20の保守作業を従来に比して容易化および高速化するとともに、監視制御装置20の通信状態に応じて実行可能なUSBプラグアンドプレイ機能が制限されるため、USBメモリに含まれるプログラムの実行による意図しない動作の発生を抑制し、意図しない動作の影響が他の装置に波及してしまうことを抑制することができる。また、監視制御装置20のUSBポート111に誤ってUSBメモリが装着された場合に、通信状態によって、USBメモリに含まれるプログラムの実行がされない状態となるため、USBメモリの誤接続による意図しない動作を行うプログラムの実行を抑えるフールプルーフを実現することができるという効果も有する。特に、監視制御装置20のいずれかの通信部が他の装置と通信中または通信可能な場合で、誤ってUSBメモリがUSBポート111に接続されてしまった場合に、USBメモリの誤接続による意図しない動作を行うプログラムの実行を抑えるフールプルーフを実現することができる。
【0054】
また、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリが装着されたことを検出したときのみ、各通信部の通信状態を取得するようにした。これによって、各通信部の通信状態を常時取得する場合に比して、監視制御装置20にかかる負荷を低減させることができるという効果も有する。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態1では、USB装着時における各通信部の通信状態とUSBプラグアンドプレイ機能とに基づいて、実行させるUSBプラグアンドプレイ機能を決定し、決定したUSBプラグアンドプレイ機能をUSBプラグアンドプレイ機能処理部25に実行させていた。しかし、実施の形態1では、監視制御装置20の負荷状態については考慮しておらず、監視制御装置20に高負荷がかかっている状態でも、USBメモリが装着されるとUSBプラグアンドプレイ機能を実行していた。このため、高負荷状態のときにUSBプラグアンドプレイ機能を実行すると、監視制御装置20にさらに負荷がかかってしまい、監視制御装置20の主機能の性能が低下してしまう。そこで、実施の形態2では、主機能の性能の低下を抑制することができる監視制御装置20および監視制御方法について説明する。
【0056】
実施の形態2に係る監視制御装置20の構成は、実施の形態1と同様である。ただし、イーサネット通信部22、シリアル通信部23およびUSBプラグアンドプレイ機能管理部27の機能が実施の形態1とは異なる。
【0057】
イーサネット通信部22は、通信状態が「接続中」である場合に、イーサネット通信部22における通信負荷率を取得する機能をさらに有する。シリアル通信部23は、通信状態が「通信中」である場合に、シリアル通信部23における通信負荷率を取得する機能をさらに有する。イーサネット通信部22およびシリアル通信部23での通信負荷率の測定機能は、監視制御装置20に搭載されているオペレーティングシステムの機能を使用することができる。
【0058】
USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、USBメモリが監視制御装置20のUSBポート111に装着されたことを検出したときに、イーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24から通信状態を取得するとともに、イーサネット通信部22およびシリアル通信部23から負荷状態である通信負荷率を取得する。USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が定められた基準値よりも高い場合には、USBプラグアンドプレイ機能のすべてを実行せず、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値よりも低い場合には、実施の形態1で説明したように、機能実行管理情報を参照して、USBメモリの装着時における各通信部の通信状態の組み合わせに対応する実行可能なUSBプラグアンドプレイ機能を決定し、USBプラグアンドプレイ機能処理部25で実行するUSBプラグアンドプレイ機能を制限する。なお、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値と等しい場合には、すべてのUSBプラグアンドプレイ機能を実行しないようにしてもよいし、実施の形態1で説明した処理を実行するようにしてもよい。また、基準値は、監視制御装置20にこれ以上の負荷がかかった場合に、主機能の性能が定められた値以上低下してしまう通信負荷率とすることができる。これは、予め通信負荷率と主機能の性能との関係を求めておくことで、算出することができる。また、主機能は、監視制御装置20が本来行う監視対象の監視を行う処理である。
【0059】
イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が定められた基準値よりも高い場合に、USBプラグアンドプレイ機能を実行させないようにするのは、通信負荷率が監視制御装置20の主機能の稼働率とほぼ同じである、あるいは通信負荷率が監視制御装置20の主機能の稼働率と比例関係にあると考えられるからである。つまり、実施の形態2では、監視制御装置20の負荷状態を、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率を用いて推測している。
【0060】
次に、このような構成の監視制御装置20における監視制御方法について説明する。図7は、実施の形態2に係る監視制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6と同一の処理には同一のステップ番号を付して、その説明を省略している。
【0061】
ステップS12の後、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、イーサネット通信部22およびシリアル通信部23から通信負荷率を取得する(ステップS31)。次いで、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値以上であるかを判定する(ステップS32)。イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値以上ではない場合(ステップS32でNoの場合)には、処理がステップS13に移る。一方、イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値以上である場合(ステップS32でYesの場合)には、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、すべてのUSBプラグアンドプレイ機能を実行せずに、処理が終了する。
【0062】
実施の形態2の監視制御装置20では、USBプラグアンドプレイ機能管理部27は、イーサネット通信部22およびシリアル通信部23の負荷状態を示す通信負荷率をさらに取得する。イーサネット通信部22またはシリアル通信部23の通信負荷率が基準値よりも低い場合には、実施の形態1で説明したように、通信状態に応じて決定したUSBプラグアンドプレイ機能を実行し、通信負荷率が基準値よりも高い場合には、すべてのUSBプラグアンドプレイ機能を実行しない。監視制御装置20の主機能の稼働率は、通信負荷率とほぼ同じであるかあるいは比例関係にあると考えられる。また、USBプラグアンドプレイ機能は、監視制御装置20の保守目的の主機能ではない従属的な機能であることがほとんどであり、USBプラグアンドプレイ機能を実行しないとしても監視制御装置20に大きな影響を与える可能性は低いと考えられる。これらの理由のため、USBプラグアンドプレイ機能を実行することによる監視制御装置20の主機能の低下を抑制することができるという効果を有する。
【0063】
なお、上記した説明では、USBメモリを監視制御装置20に装着した場合を例に挙げたが、USBメモリだけではなく、メモリカード、USBメモリ型のSSD(Solid State Drive)等でもよく、携帯可能で監視制御装置20に着脱可能な外部メモリであればよい。メモリカードの一例は、SDカード、microSDカードである。この場合には、外部メモリを監視制御装置20に装着した場合に実行する機能を予めプログラムとして監視制御装置20に実装しておけばよい。実施の形態1の場合には、各通信部の通信状態の組み合わせに応じて決定される機能を、USBプラグアンドプレイ機能処理部25に対応する機能処理部が実行するようにUSBプラグアンドプレイ機能管理部27に対応する機能管理部が制限する。実施の形態2の場合には、各通信部の通信負荷率が基準値よりも高い場合には、すべての機能が実行されないように機能管理部が機能処理部の機能を制限し、通信負荷率が基準値よりも低い場合には、各通信部の通信状態の組み合わせに応じて決定される機能を機能処理部が実行するように機能管理部が制限する。
【0064】
ここで、実施の形態1,2の監視制御装置20を構成するCPUカード11のハードウェア構成について説明する。CPUカード11は、専用の処理回路により実現される。図8は、CPUカードを実現する専用の処理回路の一例を示すブロック図である。図8に示した専用の処理回路は、プロセッサ551、メモリ552、通信回路553および外部メモリインタフェース回路554を備える。
【0065】
演算装置であるプロセッサ551は、一例では、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはDSP(Digital Signal Processor)等である。記憶部であるメモリ552は、一例では、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク等が該当する。通信回路553は、通信を行うことが可能な送受信機である。外部メモリインタフェース回路554は、メモリカード、USBメモリ、USBメモリ型のSSD等の携帯可能な外部メモリとの間で、通信をする際のインタフェースとなる回路である。外部メモリインタフェース回路554は、外部メモリとの電気的な接続によって外部メモリへのアクセスが可能となる。なお、図8は、一例であり、専用の処理回路の構成は図8の例に限定されない。
【0066】
監視制御装置20は、監視制御装置20が実行する処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより実現される。具体的には、プログラムがメモリ552にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、メモリ552から読み出されたプログラムがメモリ552の一次記憶領域に格納される。この状態で、プロセッサ551は、メモリ552に格納されたプログラムに従って、実施の形態1,2に係る監視制御装置20としての処理を実行する。なお、上記プログラムは記録媒体により提供されてもよいし、通信回路553を経由して伝送媒体により提供されてもよい。
【0067】
図3に示した監視制御装置20のUSBプラグアンドプレイ機能処理部25およびUSBプラグアンドプレイ機能管理部27は、図8に示したメモリ552に記憶されたプログラムがプロセッサ551によって実行されることにより実現される。また、USBプラグアンドプレイ機能処理部25およびUSBプラグアンドプレイ機能管理部27の実現にはメモリ552も用いられる。図3に示したイーサネット通信部22、シリアル通信部23および系切替制御通信部24は、図8に示した通信回路553によって実現される。図3に示した機能実行管理情報記憶部26は、メモリ552によって実現される。図3に示したUSB通信部21は、図8に示した外部メモリインタフェース回路554によって実現される。
【0068】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 監視制御システム、10 電源カード、11 CPUカード、12 ハブカード、13 通信制御カード、14 IOカード、20 監視制御装置、20A,20B 上位監視制御装置、20C,20D 下位監視制御装置、21 USB通信部、22 イーサネット通信部、23 シリアル通信部、24 系切替制御通信部、25 USBプラグアンドプレイ機能処理部、26 機能実行管理情報記憶部、27 USBプラグアンドプレイ機能管理部、40 系切替制御装置、50 監視制御端末、60 監視制御データサーバ、70A,70B ネットワーク、75 通信線、81 第1内部ネットワーク、82 第2内部ネットワーク、110,120,130A LANポート、111 USBポート、112 系切替通信ポート、130B 外部インタフェース、140 接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8