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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136121
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】磁気メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240927BHJP
   H10N 50/80 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047106
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 将寿
(72)【発明者】
【氏名】李 恬
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119BB01
4M119CC05
4M119CC10
4M119DD06
4M119DD09
4M119DD17
4M119DD33
4M119DD45
4M119EE04
4M119JJ12
4M119JJ15
5F092AB06
5F092AC12
5F092AC26
5F092AD03
5F092AD23
5F092AD25
5F092BB08
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BC03
5F092BC07
5F092CA08
5F092CA20
(57)【要約】
【課題】書込み電流を低減する。
【解決手段】磁気メモリデバイスは、第1導電体層と、各々が第1方向に延び、第1導電体層と接して互いに離れて設けられる第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子と、を備える。第1導電体層は、第1方向に見て第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子のいずれとも重複しない第1部分と、第1方向に見て第1磁気抵抗効果素子の中央領域と重複する第2部分と、第1方向に見て第1磁気抵抗効果素子の縁領域と重複する第3部分と、を含む。第1部分の抵抗及び第3部分の抵抗は、第2部分の抵抗より低い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電体層と、
各々が第1方向に延び、前記第1導電体層と接して互いに離れて設けられる第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子と、
を備え、
前記第1導電体層は、
前記第1方向に見て前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子のいずれとも重複しない第1部分と、
前記第1方向に見て前記第1磁気抵抗効果素子の中央領域と重複する第2部分と、
前記第1方向に見て前記第1磁気抵抗効果素子の縁領域と重複する第3部分と、
を含み、
前記第1部分の抵抗及び前記第3部分の抵抗は、前記第2部分の抵抗より低い、
磁気メモリデバイス。
【請求項2】
前記第1部分の膜厚及び前記第3部分の膜厚は、前記第2部分の膜厚より厚い、
請求項1記載の磁気メモリデバイス。
【請求項3】
前記第1導電体層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セレン(Se)、及びポロニウム(Po)から選択される少なくとも1つの元素を含む、
請求項1記載の磁気メモリデバイス。
【請求項4】
前記第1導電体層は、単層で構成される、
請求項3記載の磁気メモリデバイス。
【請求項5】
前記第1導電体層は、複数の層が積層されて構成される、
請求項3記載の磁気メモリデバイス。
【請求項6】
前記第1磁気抵抗効果素子は、
前記第1導電体層と接する第1強磁性層と、
前記第1強磁性層に対して前記第1導電体層と反対側に位置する第2強磁性層と、
前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に位置する非磁性層と、
を含む、
請求項1記載の磁気メモリデバイス。
【請求項7】
前記第1導電体層、前記第1磁気抵抗効果素子、及び前記第2磁気抵抗効果素子が上方に設けられる基板を更に備え、
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は、前記第1導電体層に対して前記基板と反対側に位置する、
請求項1記載の磁気メモリデバイス。
【請求項8】
前記第1導電体層、前記第1磁気抵抗効果素子、及び前記第2磁気抵抗効果素子が上方に設けられる基板を更に備え、
前記第1導電体層は、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子に対して前記基板と反対側に位置する、
請求項1記載の磁気メモリデバイス。
【請求項9】
積層膜と、
前記積層膜と接して互いに離れて設けられる第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子と、
を備え、
前記積層膜は、
前記第1磁気抵抗効果素子と接する第1導電体層と、
前記第1導電体層に対して前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子と反対側で前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子の間に設けられ、前記第1導電体層と接する第2導電体層と、
を含み、
前記第2導電体層の抵抗は、前記第1導電体層の抵抗より低い、
磁気メモリデバイス。
【請求項10】
前記第1導電体層は、前記第2磁気抵抗効果素子と更に接する、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項11】
前記積層膜は、前記第2磁気抵抗効果素子と接し、かつ前記第1導電体層と離れて設けられる第3導電体層を更に含み、
前記第2導電体層は、前記第1導電体層に対して前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子と反対側で、前記第1導電体層及び前記第3導電体層の各々と接する、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項12】
前記第1導電体層及び前記第3導電体層は、前記第2導電体層を介して電気的に接続される、
請求項11記載の磁気メモリデバイス。
【請求項13】
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は第1方向に延び、
前記第1導電体層は、
前記第1方向に見て前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2導電体層のいずれとも重複する部分を含む、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項14】
前記第1導電体層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セレン(Se)、及びポロニウム(Po)から選択される少なくとも1つの元素を含む、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項15】
前記第1導電体層は、単層で構成される、
請求項14記載の磁気メモリデバイス。
【請求項16】
前記第1導電体層は、複数の層が積層されて構成される、
請求項14記載の磁気メモリデバイス。
【請求項17】
前記第2導電体層は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含む、
請求項14記載の磁気メモリデバイス。
【請求項18】
前記第1磁気抵抗効果素子は、
前記第1導電体層と接する第1強磁性層と、
前記第1強磁性層に対して前記第1導電体層と反対側に位置する第2強磁性層と、
前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に位置する非磁性層と、
を含む、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項19】
前記積層膜、前記第1磁気抵抗効果素子、及び前記第2磁気抵抗効果素子が上方に設けられる基板を更に備え、
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は、前記積層膜に対して前記基板と反対側に位置する、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【請求項20】
前記積層膜、前記第1磁気抵抗効果素子、及び前記第2磁気抵抗効果素子が上方に設けられる基板を更に備え、
前記積層膜は、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子に対して前記基板と反対側に位置する、
請求項9記載の磁気メモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、磁気メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子を記憶素子として用いた磁気メモリデバイスが知られている。磁気抵抗効果素子へデータを書き込む方式として、種々の手法が提案されている。例えば、磁気抵抗効果素子に直接電流を流すことなくデータを書き込む方式として、スピン軌道トルク(Spin Orbit Torque)を用いた書き込み方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9105830号明細書
【特許文献2】米国特許第11289143号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0052254号明細書
【特許文献4】米国特許第11374166号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
書込み電流を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の磁気メモリデバイスは、第1導電体層と、各々が第1方向に延び、上記第1導電体層と接して互いに離れて設けられる第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子と、を備える。上記第1導電体層は、第1部分と、第2部分と、第3部分と、を含む。上記第1部分は、第1方向に見て上記第1磁気抵抗効果素子及び上記第2磁気抵抗効果素子のいずれとも重複しない。上記第2部分は、上記第1方向に見て上記第1磁気抵抗効果素子の中央領域と重複する。上記第3部分は、上記第1方向に見て上記第1磁気抵抗効果素子の縁領域と重複する。上記第1部分の抵抗及び上記第3部分の抵抗は、上記第2部分の抵抗より低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る磁気メモリデバイスの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係るメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
図4】第1実施形態に係る配線及び素子層の形状の二例を示す平面図。
図5】第1実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図6】第1実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図7】第1実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図8】第1実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図9】第1実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図10】第1実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図11】第1実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図12】第2実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
図13】第2実施形態に係る配線及び素子層の形状の二例を示す平面図。
図14】第2実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
図15】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
図16】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図17】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図18】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図19】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図20】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図21】第3実施形態に係るメモリストリングの一部の製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
図22】第4実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
図23】第4実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照していくつかの実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に添え字を付して区別する。なお、複数の構成要素について特に区別を要さない場合、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみが付され、添え字は付さない。添え字は、下付き文字や上付き文字に限らず、例えば、参照符号の末尾に添加される小文字のアルファベット、記号、及び配列を意味するインデックス等を含む。
【0008】
本明細書において、磁気メモリデバイスは、例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)である。磁気メモリデバイスは、記憶素子として磁気抵抗効果素子を含む。磁気抵抗効果素子は、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)によってトンネル磁気抵抗効果(Magnetoresistance effect)を有する抵抗変化素子である。この磁気抵抗効果素子は、MTJ素子とも称する。
【0009】
1.第1実施形態
第1実施形態について説明する。
【0010】
1.1 構成
まず、第1実施形態に係る磁気メモリデバイスの構成について説明する。
【0011】
1.1.1 磁気メモリデバイス
図1は、第1実施形態に係る磁気メモリデバイスの構成の一例を示すブロック図である。磁気メモリデバイス1は、メモリセルアレイ10、ロウ選択回路11、カラム選択回路12、デコード回路13、書込み回路14、読出し回路15、電圧生成回路16、入出力回路17、及び制御回路18を備える。
【0012】
メモリセルアレイ10は、磁気メモリデバイス1におけるデータの記憶部である。メモリセルアレイ10は、複数のメモリセルMCを備える。複数のメモリセルMCの各々は、行(row)及び列(column)の組に対応付けられる。同一行にあるメモリセルMCは、同一のワード線WLに対応付けられる。同一列にあるメモリセルMCは、同一の読出しビット線RBLに対応付けられる。
【0013】
ロウ選択回路11は、メモリセルアレイ10の行を選択する回路である。ロウ選択回路11は、ワード線WLを介してメモリセルアレイ10と接続される。ロウ選択回路11には、デコード回路13からのアドレスADDのデコード結果(ロウアドレス)が供給される。ロウ選択回路11は、アドレスADDのデコード結果に基づいた行に対応するワード線WLを選択する。以下において、選択されたワード線WLは、選択ワード線WLと言う。また、選択ワード線WL以外のワード線WLは、非選択ワード線WLと言う。
【0014】
カラム選択回路12は、メモリセルアレイ10の列を選択する回路である。カラム選択回路12は、読出しビット線RBLを介してメモリセルアレイ10と接続される。カラム選択回路12には、デコード回路13からのアドレスADDのデコード結果(カラムアドレス)が供給される。カラム選択回路12は、アドレスADDのデコード結果に基づいた列に対応する読出しビット線RBLを選択する。以下において、選択された読出しビット線RBLは、選択ビット線RBLと言う。また、選択ビット線RBL以外の読出しビット線RBLは、非選択ビット線RBLと言う。
【0015】
デコード回路13は、入出力回路17からのアドレスADDをデコードするデコーダである。デコード回路13は、アドレスADDのデコード結果を、ロウ選択回路11、及びカラム選択回路12に供給する。アドレスADDは、カラムアドレス及びロウアドレスを含む。
【0016】
書込み回路14は、例えば、書込みドライバ(図示せず)を含む。書込み回路14は、メモリセルMCへのデータの書込みを行う。
【0017】
読出し回路15は、例えば、センスアンプ(図示せず)を含む。読出し回路15は、メモリセルMCからのデータの読出しを行う。
【0018】
電圧生成回路16は、磁気メモリデバイス1の外部(図示せず)から提供された電源電圧を用いて、メモリセルアレイ10の各種の動作のための電圧を生成する。例えば、電圧生成回路16は、書込み動作の際に必要な種々の電圧を生成し、書込み回路14に出力する。また、例えば、電圧生成回路16は、読出し動作の際に必要な種々の電圧を生成し、読出し回路15に出力する。
【0019】
入出力回路17は、磁気メモリデバイス1の外部との通信を司る。入出力回路17は、磁気メモリデバイス1の外部からのアドレスADDを、デコード回路13に転送する。入出力回路17は、磁気メモリデバイス1の外部からのコマンドCMDを、制御回路18に転送する。入出力回路17は、種々の制御信号CNTを、磁気メモリデバイス1の外部と、制御回路18と、の間で送受信する。入出力回路17は、磁気メモリデバイス1の外部からのデータDATを書込み回路14に転送し、読出し回路15から転送されたデータDATを磁気メモリデバイス1の外部に出力する。
【0020】
制御回路18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含む。制御回路18は、制御信号CNT及びコマンドCMDに基づいて、磁気メモリデバイス1内のロウ選択回路11、カラム選択回路12、デコード回路13、書込み回路14、読出し回路15、電圧生成回路16、及び入出力回路17の動作を制御する。
【0021】
1.1.2 メモリセルアレイ
次に、第1実施形態に係る磁気メモリデバイスのメモリセルアレイの構成について説明する。
【0022】
図2は、第1実施形態に係るメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図である。図2では、ワード線WL及び読出しビット線RBLの各々が、インデックス(“<>”)を含む添え字によって分類されて示される。
【0023】
メモリセルアレイ10は、複数のワード線WL、複数の読出しビット線RBL、書込みビット線WBL、ソース線SL、及び複数のメモリストリングMSを含む。複数のワード線WLは、(M+1)本のワード線WL<0>、…、WL<m>、…、及びWL<M>を含む。Mは、1以上の整数である(0≦m≦M)。なお、図2の例では、Mが1以上の整数である場合について示したが、これに限られない。例えば、Mは、0であってもよい。複数の読出しビット線RBLは、(N+1)本の読出しビット線RBL<0>、…、RBL<n>、…、及びRBL<N>を含む。Nは、1以上の整数である(0≦n≦N)。
【0024】
複数のメモリストリングMSは、(M+1)個のメモリストリングMS<0>、…、MS<m>、…、及びMS<M>を含む。メモリストリングMS<0>~MS<M>はそれぞれ、ワード線WL<0>~WL<M>に対応付けられる。メモリストリングMS<0>~MS<M>の各々は、同等の構成を有する。以下では、メモリストリングMS<m>を例にして説明する。
【0025】
メモリストリングMS<m>は、スイッチング素子SEL1<m>、配線SOTL<m>、及び(N+1)個のメモリセルMC<m,0>、…、MC<m,n>、…、及びMC<m,N>を含む。
【0026】
スイッチング素子SEL1<m>は、例えばMOSFETのような、3端子型のスイッチング素子である。具体的には、スイッチング素子SEL1<m>は、配線SOTL<m>に接続される第1端と、書込みビット線WBLに接続される第2端と、ワード線WL<m>に接続される制御端と、を有する。
【0027】
配線SOTL<m>は、スイッチング素子SEL1<m>の第1端に接続される第1端と、ソース線SLに接続される第2端と、両端の間の中央部と、を有する。配線SOTL<m>の中央部には、(N+1)個のメモリセルMC<m,0>、…、MC<m,n>、…、及びMC<m,N>が互いに離れて接続される。以下では、配線SOTL<m>の中央部のうち、メモリセルMC<m,0>~MC<m,N>のうちのいずれかと接続される部分を“セル部”とも呼ぶ。配線SOTL<m>の中央部のうち、隣り合う2個のセル部の間の部分を“配線部”とも呼ぶ。配線SOTL<m>の各セル部は、スイッチング素子SEL1<m>を介して書込みビット線WBLに接続される第1端と、ソース線SLに接続される第2端と、を有する。
【0028】
メモリセルMC<m,0>~MC<m,N>はそれぞれ、読出しビット線RBL<0>~RBL<N>に対応づけられる。メモリセルMC<m,0>~MC<m,N>の各々は、同等の構成を有する。以下では、メモリセルMC<m,n>を例にして説明する。
【0029】
メモリセルMC<m,n>は、配線SOTL<m>のうちメモリセルMC<m,n>に対応するセル部、スイッチング素子SEL2<m,n>、及び磁気抵抗効果素子MTJ<m,n>を含む。
【0030】
スイッチング素子SEL2<m,n>は、例えば、MOSFETのような3端子型のスイッチング素子である。スイッチング素子SEL2<m,n>は、磁気抵抗効果素子MTJ<m,n>に接続される第1端と、読出しビット線RBL<n>に接続される第2端と、制御端と、を有する。
【0031】
磁気抵抗効果素子MTJ<m,n>は、スイッチング素子SEL2<m,n>と、配線SOTL<m>のうちメモリセルMC<m,n>に対応するセル部と、の間を直列に接続する。磁気抵抗効果素子MTJ<m,n>は、抵抗変化素子である。磁気抵抗効果素子MTJ<m,n>は、その抵抗状態の変化によってデータを不揮発に記憶する記憶素子として機能する。
【0032】
以上のように、各メモリストリングMSは、1本の配線SOTLに接続される(N+1)個のメモリセルMCを含む。このため、メモリセルアレイ10は、(M+1)個のメモリストリングMSを有することにより、(M+1)×(N+1)個のメモリセルMC<0,0>、…、MC<0,n>、…、MC<0,N>、…、MC<m,0>、…、MC<m,n>、…、MC<m,N>、…、MC<M,0>、…、MC<M,n>、…、及びMC<M,N>を含む構成となる。
【0033】
1.1.3 メモリストリング
次に、第1実施形態に係る磁気メモリデバイスのメモリストリングの構成について説明する。以下では、メモリセルアレイ10が設けられる基板の表面に平行な面をXY平面とする。基板表面に対してメモリセルアレイ10が設けられる方向をZ方向又は上方向とする。XY平面内において互いに交差する方向をX方向及びY方向とする。
【0034】
図3は、第1実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図3では、1個のメモリストリングMSのうち、1本の配線SOTLの一部、及び当該配線SOTLの一部に接続される3個のメモリセルMCが示される。図3に示されるように、メモリストリングMSは、導電体層30及び素子層40を含む。
【0035】
基板(図示せず)の上方には、絶縁体層20が設けられる。絶縁体層20の上面上には、導電体層30が設けられる。導電体層30は、X方向に延びる。導電体層30は、配線SOTLとして使用される。導電体層30のうちZ方向に見て素子層40と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層30のうちZ方向に見て素子層40と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0036】
導電体層30は、非磁性及び導電性を有する重金属を含む連続膜である。導電体層30は、重金属として、例えば、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セレン(Se)、及びポロニウム(Po)から選択される少なくとも1つの元素を含む。導電体層30に重金属として含まれる元素は、酸化物、窒化物、又は硫化物を含んでもよい。また、タンタル(Ta)、タングステン(W)、又はタンタル(Ta)が含まれる場合、当該元素の構造は、β構造が好ましい。導電体層30には、ルテニウム酸化物(RuO)やイリジウム酸化物(IrO)等のような導電性酸化物が用いられてもよい。また、導電体層30には、WTe、WS、WSe等のような2次元層状構造を有するダイカルゴゲナイド化遷移金属が用いられてもよい。導電体層30は、上述した材料を含む単層で構成されていてもよいし、上述した材料を含む複数の層が積層されて構成されていてもよい。導電体層30は、内部を流れる電流により、主としてスピンホール効果起因のスピンを発生させる。また、スピンスプリッタ効果(Spin Splitter Effect)に起因するスピントルク、ラシュバ(Rashba)効果によるスピントルク等を発生させる場合もある。これらのスピントルクを総称して、スピン軌道トルク(SOT:Spin Orbit Torque)と呼ぶ。スピン軌道トルクは、素子層40のうち導電体層30に接する部分に作用する。
【0037】
導電体層30の下面は、XY平面に略平行な第1下面LS1と、XY平面に略平行かつ第1下面LS1より下方に位置する第2下面LS2と、第1下面LS1及び第2下面LS2を接続する第3下面LS3と、を含む。第1下面LS1及び第2下面LS2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層30の上面は、XY平面に略平行な第1上面US1と、第1上面US1より下方に位置する第2上面US2と、を含む。第1上面US1及び第2上面US2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。
【0038】
図4は、第1実施形態に係る配線及び素子層の形状の二例を示す平面図である。図4では、図3のIVA-IVA面と導電体層30との交線(すなわち、Z方向に見た場合における第1上面US1と第2上面US2との境界)が実線EAとして示される。また、図4では、図3のIVB-IVB面と導電体層30との交線(すなわち、Z方向に見た場合における第1下面LS1と第3下面LS3との境界)が点線EBとして示される。また、図4では、第1上面US1のうち、Z方向に見て第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と重複しない部分(すなわち、第1下面LS1と重複する部分)が、ハッチングされて示される。なお、図3に示される断面は、メモリストリングMSを図4に示されるIII-III線で切った断面に対応する。
【0039】
図4の上部(A)には、1個目の例として、実線EAが円を形成し、点線EBが楕円を形成する場合が示される。すなわち、Z方向に見た場合、第1上面US1は、円形状となり、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域は、楕円形状となる。そして、図4の上部(A)に示される例では、実線EA及び点線EBは、交差する。すなわち、第1上面US1の一部は、Z方向に見て、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と重複する。
【0040】
図4の下部(B)には、2個目の例として、実線EAが正方形を形成し、点線EBが略長方形を形成する場合が示される。すなわち、Z方向に見た場合、第1上面US1は、正方形状となり、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域は、略長方形状となる。そして、図4の下部(B)に示される例では、実線EA及び点線EBは、交差する。すなわち、第1上面US1の一部は、Z方向に見て、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と重複する。
【0041】
素子層40と導電体層30との重複という観点では、実線EAは、Z方向に見た際の素子層40と導電体層30とが重複する領域とも見なせる。当該観点において、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域は、Z方向に見て、素子層40の縁領域とは重複するが、中央領域とは重複しないとも言える。
【0042】
再び図3を参照して、配線SOTLについて説明する。
【0043】
導電体層30の膜厚は、Z方向に見て第1下面LS1と第1上面US1とが重複する部分(素子層40の中央部と重複する部分)において最も薄い。Z方向に見て第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と第1上面US1とが重複する部分(素子層40の縁部と重複する部分)における導電体層30の膜厚は、Z方向に見て第1下面LS1と第1上面US1とが重複する部分(素子層40の中央部と重複する部分)における導電体層30の膜厚より厚い。Z方向に見て第2下面LS2と第2上面US2とが重複する部分(素子層40と重複しない部分)における導電体層30の膜厚は、Z方向に見て第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と第1上面US1とが重複する部分(素子層40の縁部と重複する部分)における導電体層30の膜厚より厚い。導電体層30の膜厚は、Z方向に見て第2下面LS2と第2上面US2とが重複する部分(素子層40と重複しない部分)において最も厚い。すなわち、配線SOTLの配線部の膜厚は、セル部の膜厚よりも厚い。
【0044】
導電体層30は、導電体層31及び32の積層構造ともいえる。導電体層31は、導電体層30のうち第1下面LS1より下方の部分に対応する。導電体層32は、導電体層30のうち第1下面LS1より上方の部分に対応する。
【0045】
導電体層30の第1上面US1上には、素子層40が設けられる。素子層40は、Z方向に延びる柱形状を有する。素子層40の下面と、導電体層30の第1上面US1とは、例えば、面一となる。素子層40の側面は、絶縁体層50に覆われる。
【0046】
素子層40は、磁気抵抗効果素子MTJとして使用される。具体的には、例えば、素子層40は、強磁性層41、非磁性層42、強磁性層43、非磁性層44、及び強磁性層45を含む。強磁性層41、非磁性層42、強磁性層43、非磁性層44、及び強磁性層45は、この順に、下方から上方に向けて積層される。すなわち、素子層40は、Z方向に延びる。
【0047】
強磁性層41は、導電体層30の第1上面US1と接するように設けられる。強磁性層41は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層41は、膜面に垂直な方向(Z方向)に磁化容易軸方向を有する。強磁性層41には、導電体層30において発生したスピン軌道トルクが作用する。所定の大きさのスピン軌道トルクが作用した場合、強磁性層41の磁化方向は、反転するように構成される。
【0048】
強磁性層41は、一般的には、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)から選択されるいずれかの元素を用いた強磁性層である。コバルト鉄(CoFe)合金、鉄(Fe)、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、鉄ボロン(FeB)、コバルトボロン(CoB)、及びコバルト鉄ニッケルボロン(CoFeNiB)等が垂直磁化になる代表的な強磁性層である。これらは、体心立方構造(BCC構造)を有する。また、ボロン(B)に代わる元素としては、リン(P)、炭素(C)等も挙げられる。上述したCoFeB等の磁性材料は、NaCl(001)構造を有する酸化物と接することによって、界面で垂直磁気異方性を発生させる。MgO(001)/CoFeB積層膜等がその典型である。
【0049】
強磁性層41の上面上には、非磁性層42が設けられる。非磁性層42は、非磁性を有する絶縁膜である。非磁性層42は、トンネルバリア層(Tunnel Barrier Layer)として使用される。非磁性層42は、強磁性層41と強磁性層43との間に設けられて、これら2つの強磁性層と共に磁気トンネル接合を形成する。すなわち、磁気トンネル接合部分で磁気抵抗効果が発生する。また、強磁性層41の界面層にコバルト鉄ボロン(CoFeB)等の初期アモルファス層が用いられる場合、非磁性層42は、強磁性層41の結晶化処理において、強磁性層41との界面から結晶質の膜を成長させるための核となるシード材として機能する。同様に、強磁性層43の界面層としてコバルト鉄ボロン(CoFeB)が用いられる場合には、非磁性層42は、強磁性層43に対してもシード材として機能する。ここで、初期アモルファス層とは、成膜直後にアモルファス状態であり、アニール処理後に結晶化する層である。非磁性層42は、膜面が(001)面に配向した正方晶系又は立方晶系の構造を有する。非磁性層42に用いられる酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)が代表的である。非磁性層42に用いられる酸化物のその他の例としては、酸化マグネシウムアルミニウム(MgAlO)、酸化マグネシウムガリウム(MgGaO)、及び酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)等も挙げられる。以下は、酸化マグネシウム(MgO)が適用される場合について説明する。酸化マグネシウム(MgO)は、NaCl構造を有する。非磁性層42に酸化マグネシウム(MgO)が用いられる場合、酸化マグネシウム(MgO)の(001)界面とコバルト鉄ボロン(CoFeB)の(001)界面とは整合してアニール処理により結晶成長する。このため、コバルト鉄ボロン(CoFeB)は、(001)配向した体心立方構造となる。
【0050】
非磁性層42の上面上には、強磁性層43が設けられる。強磁性層43は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層43は、参照層(Reference Layer)として使用される。強磁性層43は、膜面に垂直な方向(Z方向)に磁化容易軸方向を有する。強磁性層43の磁化方向は、固定されている。なお、「磁化方向が固定されている」とは、強磁性層41の磁化方向を反転させ得る大きさのトルクによって、磁化方向が変化しないことを意味する。図3の例では、強磁性層43の磁化方向は、強磁性層41の方向を向いている。通常、強磁性層43には界面層を含む。強磁性層43の界面層としては、コバルト鉄ボロン(CoFeB)等の初期アモルファス層が用いられる。更に、当該コバルト鉄ボロン(CoFeB)層のうち、酸化マグネシウム(MgO)層に接する面とは反対側の面と接するように、補助的な強磁性層が設けられる。当該補助的な強磁性層は、例えば、コバルト白金(CoPt)、コバルトニッケル(CoNi)、及びコバルトパラジウム(CoPd)から選択される少なくとも1つの合金膜を含む。また、当該補助的な強磁性層としては、Co/Pt積層膜、Co/Pd積層膜等の積層膜も用いることができる。初期アモルファス層となっているコバルト鉄ボロン(CoFeB)層は、上記のCoPt、CoPd、Co/Pt積層膜、Co/Pd積層膜等と積層して用いられる。この場合、強磁性層43のうちの界面層、例えば上記したCoFeB層は、他の層よりも(001)配向したMgOが非磁性層42側に形成される。
【0051】
強磁性層43の上面上には、非磁性層44が設けられる。非磁性層44は、非磁性を有する導電膜である。非磁性層44は、スペーサ層(Spacer Layer)として使用される。非磁性層44は、例えば、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びクロム(Cr)から選択される元素又はこれらの合金からなる。
【0052】
非磁性層44の上面上には、強磁性層45が設けられる。強磁性層45は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層45は、シフトキャンセル層(Shift Cancelling Layer)として使用される。強磁性層45は、膜面に垂直な方向(Z方向)に磁化容易軸方向を有する。強磁性層45は、例えば、コバルト白金(CoPt)、コバルトパラジウム(CoPd)、コバルトパラジウム白金(CoPdPt)、及びコバルトクロム白金(CoCrPt)から選択される少なくとも1つの合金層を含む。また、強磁性層45として、Co/Pt積層膜、Co/Pd積層膜、及びCo/Ni積層膜等の積層膜も用いることができる。
【0053】
強磁性層43及び強磁性層45は、非磁性層44によって反強磁性的に結合される。すなわち、強磁性層43及び強磁性層45は、互いに反平行な磁化方向を有するように結合される。このような強磁性層43、非磁性層44、及び強磁性層45の反強磁性的磁気結合を、SAF(Synthetic Anti - Ferromagnetic)カップリングという。SAF結合状態により、強磁性層45は、強磁性層43の漏洩磁界が強磁性層41の磁化方向の変化に与える影響を相殺し、強磁性層41に与える実質的な強磁性層43の漏洩磁界の影響を低減することができる。
【0054】
磁気抵抗効果素子MTJは、記憶層及び参照層の磁化方向の相対関係が平行か反平行かによって、低抵抗状態及び高抵抗状態のいずれかを取ることが出来る。磁気メモリデバイス1では、このような磁気抵抗効果素子MTJに書込み電流を流すことなく、参照層の磁化方向に対する記憶層の磁化方向を制御する。具体的には、配線SOTLに電流を流すことによって発生させたスピン軌道トルクを利用した書込み方式が採用される。
【0055】
配線SOTLに、Y方向に或る大きさの書込み電流Ic0を流すと、記憶層及び参照層の磁化方向の相対関係は、平行になる。この平行状態の場合、磁気抵抗効果素子MTJの抵抗値は最も低くなり、磁気抵抗効果素子MTJは低抵抗状態に設定される。この低抵抗状態は、「P(Parallel)状態」と呼ばれ、例えばデータ“0”の状態と規定される。
【0056】
また、配線SOTLに、書込み電流Ic0と反対方向に書込み電流Ic1を流すと、記憶層及び参照層の磁化方向の相対関係は、反平行になる。この反平行状態の場合、磁気抵抗効果素子MTJの抵抗値は最も高くなり、磁気抵抗効果素子MTJは高抵抗状態に設定される。この高抵抗状態は、「AP(Anti - Parallel)状態」と呼ばれ、例えばデータ“1”の状態と規定される。
【0057】
なお、データ“1”及びデータ“0”の規定の仕方は、上述した例に限られない。例えば、P状態をデータ“1”と規定し、AP状態をデータ“0”と規定してもよい。
【0058】
1.2 製造方法
図5図8は、第1実施形態に係るメモリストリングの製造途中の断面構造の一例を示す断面図である。
【0059】
まず、基板の上方に絶縁体層20及びマスクがこの順に設けられる。そして、フォトリソグラフィ等によって、マスクのうち、Z方向に見て配線SOTLの第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域が重複する予定の領域が開口される。
【0060】
次に、図5に示されるように、当該マスクを用いた異方性エッチングによって、絶縁体層20の上部に複数のホールH1が形成される。本工程における異方性エッチングには、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)が使用される。
【0061】
次に、図6に示されるように、絶縁体層20の上面上に導電体層が設けられる。導電体層は、例えば、導電体層30と同等の材料を含む。導電体層のうち複数のホールH1を埋め込む部分より上方の部分は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって除去される。これにより、複数のホールH1を埋め込むように、複数の導電体層31が形成される。導電体層31の上面の一部は、Z方向に見て磁気抵抗効果素子MTJが設けられる領域の縁と重複するように設けられる。複数の導電体層31の各々の底面及び側面はそれぞれ、配線SOTLの第2下面LS2及び第3下面LS3に対応する。
【0062】
次に、図7に示されるように、絶縁体層20及び導電体層31の上面上に、導電体層32L、強磁性層41L、非磁性層42L、強磁性層43L、非磁性層44L、強磁性層45L、及びマスク46Lがこの順に積層される。導電体層32Lは、導電体層31と同様に、導電体層30と同等の材料を含む。強磁性層41Lは、強磁性層41と同等の材料を含む。非磁性層42Lは、非磁性層42と同等の材料を含む。強磁性層43Lは、強磁性層43と同等の材料を含む。非磁性層44Lは、非磁性層44と同等の材料を含む。強磁性層45Lは、強磁性層45と同等の材料を含む。
【0063】
次に、図8に示されるように、フォトリソグラフィ等によって、マスク46Lのうち、Z方向に見て磁気抵抗効果素子MTJが設けられる予定を除く領域が開口される。しかる後、異方性エッチングによって、強磁性層41L、非磁性層42L、強磁性層43L、非磁性層44L、及び強磁性層45Lが加工されて、複数の積層体が形成される。複数の積層体の各々は、下方から上方に向けてこの順に積層された強磁性層41、非磁性層42、強磁性層43、非磁性層44、及び強磁性層45を含む。複数の積層体は、Z方向に見て互いに離れて配置される。本工程における異方性エッチングには、例えば、IBE(Ion Beam Etching)が用いられる。
【0064】
複数の積層体の間には、連続する1個のホールH2が形成される。ホールH2の底面には、導電体層32Lが露出する。なお、ホールH2内に露出する導電体層32Lは、IBEによって上部の層と同時に加工される。このため、導電体層32Lの上面のうち、ホールH2内に露出する部分の高さは、素子層40と接する部分よりも低くなる。導電体層32Lの上面のうち素子層40と接する部分は、配線SOTLの第1上面US1に対応する。導電体層32Lの上面のホールH2内に露出する部分のうち、X方向に並ぶ素子層40間の部分は、配線SOTLの第2上面US2に対応する。
【0065】
この後、導電体層32Lが複数の配線SOTLに対応する部分に分断されることにより、複数の導電体層32が形成される。1個の導電体層32と、当該の1個の導電体層32に接する複数の導電体層31とは、後続するアニール処理等によって、1個の連続膜(すなわち、導電体層30)となる。
【0066】
以上で説明した製造工程によって、メモリストリングMSが形成される。なお、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよいし、一部の工程が省略又は統合されてもよい。また、各製造工程は、その他の処理で代替されてもよい。
【0067】
図9図11は、第1実施形態の変形例に係るメモリストリングの製造途中の断面構造の一例を示す断面図である。図9図11は、図5及び図6を用いて説明した導電体層31の形成工程に代替され得る工程の一例を示す。
【0068】
まず、図9に示されるように、基板の上方に絶縁体層20、導電体層31L、及びマスク33Lがこの順に設けられる。
【0069】
次に、フォトリソグラフィ等によって、マスク33Lのうち、Z方向に見て配線SOTLの第2下面と第3下面とが重複しない予定の領域が開口される。そして、図10に示されるように、当該マスク33Lを用いた異方性エッチングによって、導電体層31Lを貫通する複数のホールH3が形成される。これにより、導電体層31Lは、複数の導電体層31に分断される。複数の導電体層31の各々の底面及び側面はそれぞれ、配線SOTLの第2下面LS2及び第3下面LS3に対応する。図10に示される工程で形成される第3下面LS3は、図6に示される工程で形成される第3下面LS3とテーパの方向が逆となり得る。
【0070】
次に、図11に示されるように、複数のホールH3が絶縁体層21によって埋め込まれる。絶縁体層21のうち複数のホールH3を埋め込む部分より上方の部分は、例えば、CMPによって除去される。これにより、代替される工程によっても、図6で説明した構造と同等の構造を形成することができる。
【0071】
1.3 第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、メモリセルアレイ10は、1本の配線SOTLに複数の磁気抵抗効果素子MTJが接する構成を含むメモリストリングMSを有する。配線SOTLとして使用される導電体層30は、Z方向に見て、各々が磁気抵抗効果素子MTJとして使用される複数の素子層40のいずれとも重複しない第1部分と、素子層40の中央領域と重複する第2部分と、素子層40の縁領域と重複する第3部分と、を含む。第1部分の膜厚及び第3部分の膜厚は、第2部分の膜厚より厚い。これにより、配線部の抵抗を、セル部の抵抗よりも低くすることができる。
【0072】
補足すると、導電体層30は、素子層40を加工する工程において、素子層40と共に上部がエッチングされる。これにより、配線部の膜厚が薄くなり、配線部の電流密度が相対的に増加すると共に、セル部の電流密度が相対的に低下するおそれがある。配線部の電流密度の増加は、配線部の断線を引き起こしうるため、好ましくない。特に、配線部とセル部の境界では、膜厚が最も薄くなり易いため、電流密度の局所的な増加に伴う断線が発生しやすい。また、セル部の電流密度の低下は、書込み電流の増加につながるため、好ましくない。
【0073】
第1実施形態によれば、導電体層30は、導電体層31及び導電体層32を含む。導電体層31は、X方向に隣り合う素子層40間において、導電体層32の下面と接するように設けられる。これにより、IBEによって導電体層32の一部がエッチングされても、配線部の膜厚をセル部よりも厚く保つことができる。このため、IBEによる導電体層30のエッチング量のマージンを確保できる。
【0074】
また、導電体層31の上面の一部は、Z方向に見て、素子層40の縁部と重複するように設けられる。これにより、セル部と配線部との境界で導電体層30の膜厚が局所的に薄くなることを抑制できる。このため、断線の発生を抑制すると共に、書込み電流の増加を抑制できる。
【0075】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る磁気メモリデバイスについて説明する。第2実施形態では、配線SOTLのセル部と配線部が異なる材料で形成される点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び製造方法については、説明を適宜省略する。
【0076】
2.1 メモリストリングの構成
図12は、第2実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図12は、第1実施形態における図3に対応する。図12に示されるように、第2実施形態に係るメモリストリングMSは、導電体層30A及び素子層40を含む。素子層40の構成は、第1実施形態と同等である。
【0077】
絶縁体層20の上面上には、導電体層30Aが設けられる。導電体層30Aは、例えば、X方向に延びる。導電体層30Aは、配線SOTLとして使用される。導電体層30AのうちZ方向に見て素子層40と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層30AのうちZ方向に見て素子層40と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0078】
導電体層30Aの下面は、XY平面に略平行な第1下面LS1と、XY平面に略平行かつ第1下面LS1より下方に位置する第2下面LS2と、第1下面LS1及び第2下面LS2を接続する第3下面LS3と、を含む。第1下面LS1及び第2下面LS2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層30Aの上面は、XY平面に略平行な第1上面US1と、第1上面US1より下方に位置する第2上面US2と、を含む。第1上面US1及び第2上面US2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。
【0079】
導電体層30Aは、非磁性及び導電性を有する重金属を含む導電膜と、当該重金属を含む導電膜よりも低い抵抗を有する導電膜と、を含む積層膜である。具体的には、導電体層30Aは、複数の導電体層34及び1個の導電体層35を含む。
【0080】
複数の導電体層34は、絶縁体層20を介して互いに離れてX方向に並ぶ。複数の導電体層34は、第1実施形態における複数の導電体層31に代えて設けられる。すなわち、複数の導電体層34の各々の底面及び側面はそれぞれ、導電体層30Aの第2下面LS2及び第3下面LS3に対応する。また、複数の導電体層34の各々の上面の高さは、絶縁体層20の上端の高さと揃う。
【0081】
導電体層34は、導電体層35よりも比抵抗が低い材料により構成される。具体的には、例えば、導電体層34は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含む。なお、耐熱性の観点から、導電体層34は、上述した元素のうち、タングステン(W)、銅(Cu)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含むことが好ましい。
【0082】
複数の導電体層34の各々の上面と接するように、導電体層35が設けられる。導電体層35を構成する材料は、第1実施形態における導電体層30を構成する材料と同等である。導電体層35は、内部を流れる電流により、スピン軌道トルクを発生させる。スピン軌道トルクは、素子層40のうち導電体層35に接する部分に作用する。
【0083】
導電体層35の下面は、導電体層34に接する部分と、導電体層34に接しない(絶縁体層20に接する)部分と、を含む。導電体層35の下面のうち導電体層34に接しない部分は、導電体層30Aの第1下面LS1に対応する。
【0084】
導電体層35の上面は、素子層40に接する部分と、素子層40に接しない(絶縁体層50に接する)部分と、を含む。導電体層35の上面のうち素子層40に接する部分は、導電体層30Aの第1上面US1に対応する。導電体層35の上面のうち素子層40に接しない部分は、導電体層30Aの第2上面US2に対応する。導電体層35の上面のうち素子層40に接しない部分のうち最も下方に位置する部分の高さは、導電体層34の上面より上方に位置する。すなわち、導電体層35は、導電体層30Aのセル部だけでなく、配線部にも設けられる。言い換えると、導電体層30Aの配線部は、導電体層34及び35の積層構造となる。
【0085】
導電体層30AのうちZ方向に見て第2上面US2と重複する部分の抵抗は、導電体層30AのうちZ方向に見て第1上面US1と重複する部分の抵抗より低くなるように設計される。上述の通り、導電体層34には、導電体層35よりも抵抗が低くなる材料が選ばれる。このため、第2実施形態では、導電体層30Aの配線部の抵抗がセル部の抵抗に対して十分低いという条件を満たせば、導電体層30Aの配線部の膜厚は、セル部の膜厚よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0086】
図13は、第2実施形態に係る配線及び素子層の形状の二例を示す平面図である。図13は、第1実施形態における図4に対応する。図13では、図12のXIIIA-XIIIA面と導電体層30Aとの交線(すなわち、Z方向に見た場合における第1上面US1と第2上面US2との境界)が実線EAとして示される。また、図13では、図12のXIIIB-XIIIB面と導電体層30Aとの交線(すなわち、Z方向に見た場合における第1下面LS1と第3下面LS3との境界)が点線EB’として示される。図13の上部(A)には、1個目の例として、実線EAが円を形成し、点線EB’が楕円を形成する場合が示される。図13の下部(B)には、2個目の例として、実線EAが正方形を形成し、点線EB’が略長方形を形成する場合が示される。なお、図12に示される断面は、メモリストリングMSを図13に示されるXII-XII線で切った断面に対応する。
【0087】
導電体層34の抵抗を導電体層35の抵抗に対して十分低くすることにより、導電体層30Aの配線部の抵抗がセル部の抵抗に対して十分低いという条件を満たすことができる。この場合、図13の上部(A)の例、及び図13の下部(B)の例のいずれにおいても、導電体層30Aの第1上面US1の一部は、Z方向に見て、第2下面LS2及び第3下面LS3を含む領域と重複していなくてもよい。
【0088】
2.2 第2実施形態に係る効果
第2実施形態によれば、導電体層30Aは、導電体層34及び35の積層膜により構成される。導電体層35は、素子層40と接する。導電体層34は、導電体層35に対して素子層40と反対側で、X方向に隣り合う素子層40間に設けられ、導電体層34と接する。これにより、IBEによって導電体層35の一部がエッチングされても、配線部の膜厚をセル部よりも厚く保つことができる。このため、IBEによる導電体層30Aのエッチング量のマージンを確保できる。
【0089】
また、導電体層34は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含む。これにより、導電体層34の抵抗を、導電体層35の抵抗よりも十分低くすることができる。このため、導電体層35を用いない場合よりも配線部の抵抗を低くすることができる。したがって、第1実施形態と同様に、断線の発生を抑制すると共に、書込み電流の増加を抑制できる。
【0090】
2.3 第2実施形態の変形例
上述の第2実施形態では、配線SOTLの配線部が、セル部と同等の抵抗を有する部分と、セル部より低い抵抗を有する部分と、を含む積層構造である場合について説明したが、これに限られない。例えば、配線SOTLの配線部は、セル部と同等の抵抗を有する部分を有していなくてもよい。以下では、第2実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第2実施形態と同等の構成及び製造方法については、説明を適宜省略する。
【0091】
図14は、第2実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図14は、第2実施形態における図12に対応する。図14に示されるように、第2実施形態の変形例に係るメモリストリングMSは、導電体層30B及び素子層40を含む。素子層40の構成は、第2実施形態と同等である。
【0092】
絶縁体層20の上面上には、導電体層30Bが設けられる。導電体層30Bは、例えば、X方向に延びる。導電体層30Bは、配線SOTLとして使用される。導電体層30BのうちZ方向に見て素子層40と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層30BのうちZ方向に見て素子層40と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0093】
導電体層30Bの下面は、XY平面に略平行な第1下面LS1と、XY平面に略平行かつ第1下面LS1より下方に位置する第2下面LS2と、第1下面LS1及び第2下面LS2を接続する第3下面LS3と、を含む。第1下面LS1及び第2下面LS2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層30Bの上面は、XY平面に略平行な第1上面US1と、第1上面US1より下方に位置する第2上面US2と、を含む。第1上面US1及び第2上面US2は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。
【0094】
導電体層30Bは、非磁性及び導電性を有する重金属を含む導電膜と、当該重金属を含む導電膜よりも低い抵抗を有する導電膜と、を含む積層膜である。具体的には、導電体層30Bは、複数の導電体層36及び複数の導電体層37を含む。
【0095】
複数の導電体層36を構成する材料は、第2実施形態における複数の導電体層34を構成する材料と同等である。複数の導電体層36は、絶縁体層20を介して互いに離れてX方向に並ぶ。複数の導電体層36の各々の底面及び側面はそれぞれ、導電体層30Bの第2下面LS2及び第3下面LS3に対応する。複数の導電体層36の各々の上面は、導電体層37に接する部分と、導電体層37に接しない部分(絶縁体層50に接する部分)と、を含む。導電体層36の上面のうち導電体層37に接しない部分は、導電体層30Bの第2上面US2の一部に対応する。導電体層36の上面のうち導電体層37に接しない部分は、導電体層36の上面のうち導電体層37に接する部分よりも下方に位置する(窪んでいる)。導電体層36の上部の窪みは、複数の導電体層37の間と共に、絶縁体層50によって埋め込まれている。
【0096】
X方向に隣り合う導電体層36の各々の上面の一部と接するように、導電体層37が設けられる。複数の導電体層37は、絶縁体層50を介して互いに離れてX方向に並ぶ。導電体層37を構成する材料は、第2実施形態における導電体層35を構成する材料と同等である。導電体層37は、内部を流れる電流により、スピン軌道トルクを発生させる。スピン軌道トルクは、素子層40のうち導電体層37に接する部分に作用する。
【0097】
導電体層37の下面は、導電体層36に接する部分と、導電体層36に接しない(絶縁体層20に接する)部分と、を含む。導電体層37の下面のうち導電体層36に接しない部分は、導電体層30Bの第1下面LS1に対応する。
【0098】
導電体層37の上面は、素子層40に接する部分と、素子層40に接しない(絶縁体層50に接する)部分と、を含む。導電体層37の上面のうち素子層40に接する部分は、導電体層30Bの第1上面US1に対応する。導電体層37の上面のうち素子層40に接しない部分は、導電体層30Bの第2上面US2の一部に対応する。
【0099】
以上のような構成の導電体層30Bの配線部は、スピン軌道トルクを発生させるために用いられるような、比抵抗が比較的大きい材料を含まない。このため、配線部の電流密度を更に低下させることができる。
【0100】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る磁気メモリデバイスについて説明する。第3実施形態では、配線SOTLが磁気抵抗効果素子MTJの上方に設けられる点において、第1実施形態及び第2実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び製造方法については、説明を適宜省略する。
【0101】
3.1 メモリストリングの構成
図15は、第3実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図15は、第1実施形態における図3に対応する。図15に示されるように、第3実施形態に係るメモリストリングMSは、素子層70及び導電体層80を含む。
【0102】
基板の上方には、素子層70が設けられる。素子層70は、Z方向に延びる柱形状を有する。素子層70の側面は、絶縁体層60に覆われる。
【0103】
素子層70は、磁気抵抗効果素子MTJとして使用される。素子層70は、第1実施形態における素子層40が上下反転した構成と同等である。具体的には、例えば、素子層70は、強磁性層71、非磁性層72、強磁性層73、非磁性層74、及び強磁性層75を含む。強磁性層71、非磁性層72、強磁性層73、非磁性層74、及び強磁性層75は、この順に、下方から上方に向けて積層される。すなわち、素子層70は、Z方向に延びる。
【0104】
強磁性層71は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層71は、シフトキャンセル層として使用される。
【0105】
強磁性層71の上面上には、非磁性層72が設けられる。非磁性層72は、非磁性を有する導電膜である。非磁性層72は、スペーサ層として使用される。
【0106】
非磁性層72の上面上には、強磁性層73が設けられる。強磁性層73は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層73は、参照層として使用される。
【0107】
強磁性層73の上面上には、非磁性層74が設けられる。非磁性層74は、非磁性を有する導電膜である。非磁性層74は、トンネルバリア層として使用される。
【0108】
非磁性層74の上面上には、強磁性層75が設けられる。強磁性層75は、強磁性を有する導電膜である。強磁性層75は、記憶層として使用される。
【0109】
強磁性層75の上面に接するように、導電体層80が設けられる。導電体層80は、X方向に延びる。導電体層80は、配線SOTLとして使用される。導電体層80のうちZ方向に見て素子層70と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層80のうちZ方向に見て素子層70と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0110】
導電体層80は、非磁性及び導電性を有する重金属を含む連続膜である。導電体層80を構成する材料は、第1実施形態における導電体層30を構成する材料と同等である。導電体層80は、内部を流れる電流により、スピン軌道トルクを発生させる。スピン軌道トルクは、強磁性層75に作用する。
【0111】
導電体層80の上面は、XY平面に略平行な第3上面US3と、XY平面に略平行かつ第3上面US3より上方に位置する第4上面US4と、第3上面US3及び第4上面US4を接続する第5上面US5と、を含む。第3上面US3及び第4上面US4は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層80の下面は、XY平面に略平行な第4下面LS4と、第4下面LS4より上方に位置する第5下面LS5と、を含む。第4下面LS4及び第5下面LS5は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。第4下面LS4の一部は、Z方向に見て、第4上面US4及び第5上面US5を含む領域と重複する。
【0112】
導電体層80の膜厚は、Z方向に見て第3上面US3と第4下面LS4とが重複する部分において最も薄くなる。Z方向に見て第4上面US4及び第5上面US5を含む領域と第4下面LS4とが重複する部分における導電体層80の膜厚は、Z方向に見て第3上面US3と第4下面LS4とが重複する部分における導電体層80の膜厚より厚い。Z方向に見て第4上面US4と第5下面LS5とが重複する部分における導電体層80の膜厚は、Z方向に見て第4上面US4及び第5上面US5を含む領域と第4下面LS4とが重複する部分における導電体層80の膜厚より厚い。導電体層80の膜厚は、Z方向に見て第4上面US4と第5下面LS5とが重複する部分において最も厚くなる。すなわち、配線SOTLの配線部の膜厚は、セル部の膜厚よりも厚い。
【0113】
導電体層80は、導電体層81及び83の積層構造ともいえる。導電体層81は、導電体層80のうち第3上面US3より下方の部分に対応する。導電体層83は、導電体層80のうち第3上面US3より上方の部分に対応する。
【0114】
3.2 メモリストリングの製造方法
図16図21は、第3実施形態に係るメモリストリングの製造途中の断面構造の一例を示す断面図である。
【0115】
まず、図16に示されるように、基板の上方に強磁性層71L、非磁性層72L、強磁性層73L、非磁性層74L、強磁性層75L、導電体層81L、及びマスク82Lがこの順に設けられる。強磁性層71Lは、強磁性層71と同等の材料を含む。非磁性層72Lは、非磁性層72と同等の材料を含む。強磁性層73Lは、強磁性層73と同等の材料を含む。非磁性層74Lは、非磁性層74と同等の材料を含む。強磁性層75Lは、強磁性層75と同等の材料を含む。導電体層81Lは、導電体層80と同等の材料を含む。
【0116】
次に、図17に示されるように、フォトリソグラフィ等によって、マスク82Lのうち、Z方向に見て磁気抵抗効果素子MTJが設けられる予定の領域を除く領域が開口される。マスク82Lは、複数の磁気抵抗効果素子MTJに対応する複数のマスク82に加工される。しかる後、当該マスク82を用いた異方性エッチングによって、強磁性層71L、非磁性層72L、強磁性層73L、非磁性層74L、強磁性層75L、及び導電体層81Lが加工されて、複数の積層体が形成される。複数の積層体の各々は、下方から上方に向けてこの順に積層された強磁性層71、非磁性層72、強磁性層73、非磁性層74、強磁性層75、及び導電体層81を含む。導電体層81の下面は、配線SOTLの第4下面LS4に対応する。複数の積層体は、Z方向に見て互いに離れて配置される。本工程における異方性エッチングには、例えば、IBEが用いられる。複数の積層体の間には、連続する1個のホールH4が形成される。
【0117】
次に、図18に示されるように、ホールH4が絶縁体層60によって埋め込まれる。絶縁体層60のうちマスク82より上方の部分は、例えば、CMPによって除去される。これにより、マスク82の上面が露出する。
【0118】
次に、図19に示されるように、マスク82が除去される。これにより、導電体層81の上面が露出する。
【0119】
次に、図20に示されるように、絶縁体層60及び導電体層81の上面に導電体層83Lが設けられる。導電体層83Lは、導電体層80と同等の材料を含む。
【0120】
次に、図21に示されるように、導電体層83Lの上面上にマスクが形成される。そして、フォトリソグラフィ等によって、当該マスクのうち、Z方向に見て第3上面US3が設けられる予定の領域が開口される。しかる後、当該マスクを用いた異方性エッチングによって導電体層83Lが加工されて、複数のホールH5が形成される。複数のホールH5の各々の底面には、導電体層81の一部が露出する。複数のホールH5の底面に露出した導電体層81は、配線SOTLの第3上面US3に対応する。複数のホールH5の側面に露出した導電体層83Lは、配線SOTLの第5上面US5に対応する。導電体層83Lの上面のうち、X方向に並ぶホールH5間の部分は、配線SOTLの第4上面US4に対応する。導電体層83Lの上面の一部は、Z方向に見て磁気抵抗効果素子MTJが設けられる領域の縁と重複するように設けられる。
【0121】
この後、導電体層83Lが複数の配線SOTLに対応する部分に分断されることにより、複数の導電体層83が形成される。1個の導電体層83と、当該の1個の導電体層83に接する複数の導電体層81とは、後続するアニール処理等によって、1個の連続膜(すなわち、導電体層80)となる。
【0122】
以上で説明した製造工程によって、メモリストリングMSが形成される。
【0123】
3.3 第3実施形態に係る効果
第3実施形態によれば、導電体層80は、Z方向に見て、複数の素子層70のいずれとも重複しない第1部分と、素子層70の中央領域と重複する第2部分と、素子層70の縁領域と重複する第3部分と、を含む。第1部分の膜厚及び第3部分の膜厚は、第2部分の膜厚より厚い。これにより、配線部の抵抗を、セル部の抵抗よりも低くすることができる。
【0124】
また、導電体層80は、導電体層81及び導電体層83を含む。導電体層81は、素子層70の上面と接するように設けられる。導電体層83は、X方向に並ぶ複数の導電体層81の各々の上面を電気的に接続するように設けられた後、Z方向に見て素子層70と重複する部分がエッチングされて形成される。これにより、配線部の膜厚をセル部の膜厚よりも厚く保つことができる。また、導電体層83の上面の一部は、Z方向に見て、素子層70の縁部と重複するように設けられる。これにより、セル部と配線部との境界で導電体層80の膜厚が局所的に薄くなることを抑制できる。このため、断線の発生を抑制すると共に、書込み電流の増加を抑制できる。
【0125】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係る磁気メモリデバイスについて説明する。第4実施形態では、配線SOTLのセル部と配線部が異なる材料で形成される点において、第3実施形態と異なる。以下では、第3実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第3実施形態と同等の構成及び製造方法については、説明を適宜省略する。
【0126】
4.1 メモリストリングの構成
図22は、第4実施形態に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図22は、第3実施形態における図15に対応する。図22に示されるように、第4実施形態に係るメモリストリングMSは、導電体層80A及び素子層70を含む。素子層70の構成は、第3実施形態と同等である。
【0127】
複数の素子層70の各々の上面と接するように、導電体層80Aが設けられる。導電体層80Aは、例えば、X方向に延びる。導電体層80Aは、配線SOTLとして使用される。導電体層80AのうちZ方向に見て素子層70と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層80AのうちZ方向に見て素子層70と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0128】
導電体層80Aの上面は、XY平面に略平行な第3上面US3と、XY平面に略平行かつ第3上面US3より上方に位置する第4上面US4と、第3上面US3及び第4上面US4を接続する第5上面US5と、を含む。第3上面US3及び第4上面US4は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層80Aの下面は、XY平面に略平行な第4下面LS4と、第4下面LS4より上方に位置する第5下面LS5と、を含む。第4下面LS4及び第5下面LS5は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。
【0129】
導電体層80Aは、非磁性及び導電性を有する重金属を含む導電膜と、当該重金属を含む導電膜よりも低い抵抗を有する導電膜と、を含む積層膜である。具体的には、導電体層80Aは、1個の導電体層84及び複数の導電体層85を含む。
【0130】
導電体層84は、X方向に並ぶ複数の素子層70の各々の上面と接するように、X方向に延びる。すなわち、導電体層84の底面は、強磁性層75と接する部分と、強磁性層75と接しない部分と、を有する。導電体層84の底面のうち強磁性層75と接する部分は、導電体層80Aの第4下面LS4に対応する。導電体層84の底面のうち強磁性層75と接しない部分は、導電体層80Aの第5下面LS5に対応する。また、導電体層84の上面のうちZ方向に見て素子層70の中央部と重複する部分は、導電体層80Aの第3上面US3に対応する。導電体層84を構成する材料は、第3実施形態における導電体層80を構成する材料と同等である。導電体層84は、内部を流れる電流により、スピン軌道トルクを発生させる。スピン軌道トルクは、強磁性層75に作用する。
【0131】
導電体層84の上面上には、複数の導電体層85が設けられる。複数の導電体層85は、互いに離れてX方向に並ぶ。複数の導電体層85の各々は、Z方向に見て、複数の素子層70のいずれとも重複する。複数の導電体層85の各々は、Z方向に見て、素子層70の縁部と重複してもよいし、重複していなくてもよい。複数の導電体層85の各々の上面は、導電体層80Aの第4上面US4及び第5上面US5に対応する。
【0132】
導電体層85は、導電体層84よりも比抵抗が低い材料により構成される。具体的には、例えば、導電体層85は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含む。なお、耐熱性の観点から、導電体層85は、上述した元素のうち、タングステン(W)、銅(Cu)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含むことが好ましい。
【0133】
導電体層80AのうちZ方向に見て第5下面LS5と重複する部分の抵抗は、導電体層80AのうちZ方向に見て第4下面LS4と重複する部分の抵抗より低くなるように設計される。上述の通り、導電体層85には、導電体層84よりも抵抗が低くなる材料が選ばれる。このため、第4実施形態では、導電体層80Aの配線部の抵抗がセル部の抵抗に対して十分低いという条件を満たせば、導電体層80Aの配線部の膜厚は、セル部の膜厚よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0134】
4.2 第4実施形態に係る効果
第4実施形態によれば、導電体層80Aは、導電体層84及び85の積層膜により構成される。導電体層84は、素子層70と接する。導電体層85は、導電体層84に対して素子層70と反対側で、X方向に隣り合う素子層70間に設けられ、導電体層84と接する。これにより、配線部の膜厚をセル部よりも厚く保つことができる。
【0135】
また、導電体層85は、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びモリブデン(Mo)から選択される少なくとも1個の元素を含む。これにより、導電体層85の抵抗を、導電体層84の抵抗よりも十分低くすることができる。このため、導電体層85を用いない場合よりも配線部の抵抗を低くすることができる。したがって、第3実施形態と同様に、断線の発生を抑制すると共に、書込み電流の増加を抑制できる。
【0136】
4.3 第4実施形態の変形例
上述の第4実施形態では、配線SOTLの配線部が、セル部と同等の抵抗を有する部分と、セル部より低い抵抗を有する部分と、を含む積層構造である場合について説明したが、これに限られない。例えば、配線SOTLの配線部は、セル部と同等の抵抗を有する部分を有していなくてもよい。以下では、第4実施形態と異なる構成及び製造方法について主に説明する。第4実施形態と同等の構成及び製造方法については、説明を適宜省略する。
【0137】
図23は、第4実施形態の変形例に係るメモリストリングの一部の断面構造の一例を示す断面図である。図23は、第4実施形態における図22に対応する。図23に示されるように、第4実施形態の変形例に係るメモリストリングMSは、導電体層80B及び素子層70を含む。素子層70の構成は、第4実施形態と同等である。
【0138】
複数の素子層70の各々の上面と接するように、導電体層80Bが設けられる。導電体層80Bは、例えば、X方向に延びる。導電体層80Bは、配線SOTLとして使用される。導電体層80BのうちZ方向に見て素子層70と重複する部分は、セル部として使用される。導電体層80BのうちZ方向に見て素子層70と重複しない部分は、配線部として使用される。
【0139】
導電体層80Bの上面は、XY平面に略平行な第3上面US3と、XY平面に略平行かつ第3上面US3より上方に位置する第4上面US4と、第3上面US3及び第4上面US4を接続する第5上面US5と、を含む。第3上面US3及び第4上面US4は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。導電体層80Bの下面は、XY平面に略平行な第4下面LS4と、第4下面LS4より上方に位置する第5下面LS5と、を含む。第4下面LS4及び第5下面LS5は、X方向に交互に繰り返すように並ぶ。
【0140】
導電体層80Bは、非磁性及び導電性を有する重金属を含む導電膜と、当該重金属を含む導電膜よりも低い抵抗を有する導電膜と、を含む積層膜である。具体的には、導電体層80Bは、複数の導電体層86及び複数の導電体層87を含む。
【0141】
複数の導電体層86の各々は、対応する素子層70の上面上に設けられる。複数の導電体層86の各々の底面は、導電体層80Bの第4下面LS4に対応する。また、複数の導電体層86の各々の上面のうち、Z方向に見て素子層70の中央部と重複する部分は、導電体層80Bの第3上面US3に対応する。導電体層86を構成する材料は、第4実施形態における導電体層84を構成する材料と同等である。導電体層86は、内部を流れる電流により、スピン軌道トルクを発生させる。スピン軌道トルクは、強磁性層75に作用する。
【0142】
X方向に隣り合う導電体層86を接続するように、導電体層87が設けられる。導電体層87は、X方向に隣り合う素子層70のいずれとも重複しない部分と、素子層70の縁部と接する部分と、を有する。複数の導電体層87の各々の底面のうち、Z方向に見て素子層70と重複しない部分は、導電体層80Bの第5下面LS5に対応する。複数の導電体層87の各々の上面は、導電体層80Bの第4上面US4及び第5上面US5に対応する。複数の導電体層87を構成する材料は、第4実施形態における導電体層85を構成する材料と同等である。
【0143】
以上のような構成の導電体層80Bの配線部は、スピン軌道トルクを発生させるために用いられるような、比抵抗が比較的大きい材料を含まない。このため、配線部の電流密度を更に低下させることができる。
【0144】
5. その他
なお、上述の実施形態は、上述の例に限らず、種々の変形が適用可能である。
【0145】
上述の実施形態では、スイッチング素子SEL2に3端子型のスイッチング素子が適用される場合について説明したが、これに限られない。例えば、スイッチング素子SEL2には、2端子型のスイッチング素子が適用されてもよい。2端子間に印加する電圧が閾値電圧Vth未満の場合、2端子型のスイッチング素子SEL2は、“高抵抗”状態又は“オフ”状態、例えば電気的に非導通状態となる。2端子間に印加する電圧が閾値電圧Vth以上の場合、2端子型のスイッチング素子SEL2は“低抵抗”状態又は“オン”状態、例えば電気的に導通状態に変わる。2端子型のスイッチング素子SEL2は、2端子間に印加される電圧がどちらの極性でも(流れる電流の方向に依らず)、対応するメモリセルMCに印加される電圧の大きさに応じて、電流を流すか遮断するかを切替えることができる。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
1…磁気メモリデバイス
10…メモリセルアレイ
11…ロウ選択回路
12…カラム選択回路
13…デコード回路
14…書込み回路
15…読出し回路
16…電圧生成回路
17…入出力回路
18…制御回路
20,50,60,90…絶縁体層
30,30A,30B,31,31L,32L,34,35,36,37,80,80A,80B,81,81L,83L,84,85,86,87…導電体層
40,70…素子層
41,41L,43,43L,45,45L,71,71L,73,73L,75,75L…強磁性層
42,42L,44,44L,72,72L,74,74L…非磁性層
46,46L,33L,82,82L…マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23