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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136123
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】測定装置および測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20240927BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01J5/48 E
G01J5/48 A
G06T5/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047109
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 将宣
【テーマコード(参考)】
2G066
5B057
【Fターム(参考)】
2G066AC16
2G066BB07
2G066BC02
2G066BC05
2G066BC11
2G066BC15
2G066BC21
2G066CA02
5B057AA20
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE02
5B057CE03
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
(57)【要約】
【課題】像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制する。
【解決手段】実施形態に係る測定装置100は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する取得部121と、撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、測定対象の熱画像を算出する算出部122とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する取得部と、
前記撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、前記測定対象の熱画像を算出する算出部と
を有し、
前記算出部は、
前記測定結果を前記撮像素子の熱応答に基づく定常成分と非定常成分との領域に分解する分解部と、
前記2つの測定結果に対する前記非定常成分の変化量に基づいて、前記非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する非定常成分補正部と、
前記非定常成分補正値と定常成分とを合成する合成部と
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記分解部は、
熱画像の空間情報の周波数特性に基づいて、前記測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解する空間分解部と、
前記低周波成分を前記2つの測定結果の変化量に基づいて、前記非定常成分と背景成分とに分解する時間分解部とを有し、
前記高周波成分と背景成分とを組み合わせて前記定常成分とする
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記空間分解部は、現在フレームの平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出し、
前記時間分解部は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分をとり、差分が閾値よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する
ことを特徴する請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記空間分解部は、移動平均またはエッジ保持型平滑フィルタを用いて平滑化処理を行うことを特徴する請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記閾値は、温度が一定の静止物をカメラで撮影した時に、補正適用前後の差分がゼロ近傍となる最小の値であることを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項6】
前記閾値は、最小2乗和が画素数よりも小さい値であることを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記非定常成分補正部は、定常成分と非定常成分を分離するための閾値をthとし、第1測定結果である現在フレームをIc、第1測定結果の直前に測定された第2測定結果である過去フレームをIp、補正後の結果をI′、現在フレームと過去フレームの時間差をt、赤外線検出の熱時定数をτ、ネイピア数をeとし、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を平滑差分1であるIave1として、数式6に基づいて、前記補正後の結果I′を演算する
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項8】
前記非定常成分補正部は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を、平滑化処理前の現在フレームと平滑化処理前の過去フレームとの差分を平滑化した結果に近似する平滑差分2であるIave2とすることを特徴とする請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記合成部は、数式8を用いて、前記非定常成分補正部において生成された熱画像Icバーダッシュと、前記分解部で分解された定常成分の領域Ic-Icバーを合成することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項10】
測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する取得ステップと、
前記撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、前記測定対象の熱画像を算出する算出ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記算出ステップは、
前記測定結果を前記撮像素子の熱応答に基づく定常成分と非定常成分との領域に分解する分解ステップと、
前記2つの測定結果に対する前記非定常成分の変化量に基づいて、前記非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する非定常成分補正ステップと、
前記非定常成分補正値と定常成分とを合成する合成ステップと
を含むことを特徴とする測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーモグラフィカメラの画像処理において、赤外線検出素子の熱時定数よりも短い間隔で連続撮影を行い、連続するフレーム間の変化量を抽出することにより、像が移動方向にぼける現象である像流れの影響を補正する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-61405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、像流れの補正に際しノイズが増幅されてしまうという課題が存在する。例えば、ノイズが増幅されることにより、サーモグラフィ装置等による計測温度のばらつきが大きくなる。このように精度が低下することで検査対象の合否判定を誤るおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制する測定装置および測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の測定装置は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する取得部と、前記撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、前記測定対象の熱画像を算出する算出部とを有し、前記算出部は、前記測定結果を前記撮像素子の熱応答に基づく定常成分と非定常成分の領域に分解する分解部と、前記2つの測定結果に対する前記非定常成分の変化量に基づいて、前記非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する非定常成分補正部と、前記非定常成分補正値と定常成分とを合成する合成部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、従来技術について説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る測定装置の処理の概要を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る測定システムの構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る測定装置が行う処理の一例を示す図である。
図7図7は、二次元画像への対応を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る測定装置の処理結果の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る測定装置の処理結果の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る測定装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11図11は、測定プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本願に係る測定装置および測定プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示しており、重複する説明は省略する。
【0010】
[全体概要]
はじめに、図1図2を用いて全体の概要について説明する。図1は、従来技術について説明するための図である。図2は、測定装置100が行う処理の概要を示す図である。
【0011】
従来、サーモグラフィ装置の画像処理において、赤外線検出素子の熱時定数よりも短い間隔で連続撮影を行い、連続するフレーム間の変化量を抽出することにより、像が移動方向にぼける現象である像流れの影響を補正する技術が存在する。
【0012】
上記の従来技術には、像流れした物体の形状を復元することができる一方で、熱画像のノイズを増幅するという課題が存在する。例えば、静止している被写体(測定対象)の熱画像(図1(1))に対して、従来技術の像流れ補正を適用した場合、ノイズが増幅され、熱画像のノイズが際立つようになる(図1(2))。
【0013】
移動する被写体の熱画像(図1(3))に対して、従来技術の像流れ補正を適用した場合、像流れが補正され、被写体の静止時の形状が復元される一方で、図1(2)と同様に、ノイズが増幅され、熱画像のノイズが際立つようになる(図1(4))。
【0014】
図1(2)および図1(4)で示したように、熱画像のノイズが増幅されるとサーモグラフィ装置の計測温度のばらつきが大きくなる。その結果、例えば、サーモグラフィ装置を用いて組まれた検査システムにおいて、検査対象と背景との区別がつかなくなる、または検査対象の合否を判定精度が低下するといった重大な問題が生ずることとなる。
【0015】
そこで、実施形態に係る測定装置100は、図2に示すように、熱画像を、時間経過に伴う温度変化が起こらない定常成分と、時間経過に伴う温度変化が起こる非定常成分とに分解し、非定常成分のみに像流れ補正を行い、補正後の非定常成分と定常成分とを合成する。
【0016】
なぜなら、像流れ補正は、伝熱における一次遅れの性質を利用して、非定常状態から定常状態を予測するものであり、定常成分に対して像流れ補正を行う必要がないためである。このように、像流れ補正の対象を非定常成分に限定することにより、定常成分に含まれるノイズは増幅されず、結果として、像流れ補正に際して熱画像のノイズの増幅を抑制することができる。
【0017】
[像流れ補正の処理]
従来技術における像流れ補正の処理は、下記(1)式を用いた演算により行われる。ここで、Icは測定結果の現在フレームである。Ipは測定結果の過去フレームである。I′は補正後の結果である。tは現在フレームと過去フレームの時間差である。τは赤外線検出の熱時定数である。eはネイピア数である。
【0018】
【数1】
【0019】
一方、実施形態に係る測定装置100により行われる像流れ補正の処理は、下記(2)‐(5)式を用いた演算により行われる。ここで、thは定常成分と非定常成分とを分離するための閾値である。
【0020】
【数2】
【0021】
【数3】
【0022】
【数4】
【0023】
【数5】
【0024】
従来技術における像流れ補正と、実施形態に係る測定装置100により行われる像流れ補正との違いは、(1)式では、かっこ内部が現在フレームと過去フレームとの差分であるのに対し、(2)式では、かっこ内部が非定常成分となっている点である。
【0025】
(2)式のかっこ内部の非定常成分は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分と、定常成分と非定常成分とを分離するための閾値thとの関係とに応じて、(3)‐(5)式の右辺が示す値となる。
【0026】
このように、従来技術における像流れ補正の処理は、定常成分と非定常成分とを区別することなく、(1)式を用いた演算により熱画像全体に対して行われる一方、実施形態に係る測定装置100により行われる像流れ補正の処理は、(2)‐(5)式を用いた演算(例えば、下記(6)式を用いた演算)により非定常成分に限定して行われる。
【0027】
【数6】
【0028】
[測定システムの構成]
次に、図3を用いて、測定システム1の構成について説明する。測定システム1は、測定対象の熱画像の生成・補正・合成を行うシステムである。例えば、測定システム1は、図3に示すように、搬送される測定対象の熱画像の生成・補正・合成を行う。測定システム1は、赤外線カメラ50と、測定装置100とを有する。以下、各装置について説明する。
【0029】
赤外線カメラ50は、筐体内に撮像素子およびレンズを有し、熱型の撮像素子により測定対象の温度を特定し、特定した温度を示す熱画像を生成する。
【0030】
測定装置100は、赤外線カメラ50が生成した熱画像を定常成分と非定常成分とに分解し、非定常成分のみに像流れ補正を行い、補正後の非定常成分と定常成分とを合成して熱画像を算出する。
【0031】
[測定装置の構成]
次に、図4図5を用いて、測定装置100の構成について説明する。図4図5は、測定装置100の構成の一例を示す図である。図4に示すように、測定装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下、各部の処理について説明する。
【0032】
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部120の通信を可能とする。例えば、通信部110は、赤外線カメラ50等の外部装置と制御部120との通信を可能とする。
【0033】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部130が記憶する情報としては、例えば、熱画像、熱時定数、定常成分、非定常成分、非定常成分補正値、閾値、変化量、数式、その他像流れ補正に必要な情報が含まれる。
【0034】
ここで、定常成分は、熱画像に含まれる、時間経過に伴う温度変化が起こらない成分であり、静止物を撮影した領域に多く含まれる。また、非定常成分は、熱画像に含まれる、時間経過に伴う温度変化が起こる成分であり、移動体を撮影した領域に多く含まれる。
【0035】
定常成分を、空間的な周波数特性に基づいて分解すると、高周波成分としてエッジを抽出でき、低周波成分として背景を抽出できる。エッジとは物体の境界面のことを指し、境界面での温度変化は断続的であることから、高周波成分に相当する。背景とはエッジ以外の領域を指し、一般に同一物体内の熱は滑らかに伝わることから、低周波成分に相当する。非定常成分を、空間的な周波数特性に基づいて分解すると、撮像素子の一次遅れの影響により高周波成分が除かれるため、低周波成分が支配的になる。なお、記憶部130が記憶する情報は上記に記載した例に限定されない。
【0036】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。図4に示すように、制御部120は、取得部121と、算出部122とを有する。以下、制御部120が有する各部について説明する。
【0037】
取得部121は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する。例えば、取得部121は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された現在フレームIcと過去フレームIpとの2つの測定結果を取得する。
【0038】
算出部122は、撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、測定対象の熱画像を算出する。例えば、算出部122は、撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、測定結果を撮像素子の熱応答に基づく非定常成分と定常成分とに分解し、非定常成分に対する補正値を算出し、非定常成分補正値と定常成分とを合成することにより、測定対象の熱画像を算出する。
【0039】
ここで、算出部122は、図5に示すように、分解部122aと、非定常成分補正部122b、合成部122cとを有しており、これら各部により算出部122の処理が行われてもよい。
【0040】
分解部122aは、測定結果を撮像素子の熱応答に基づく定常成分と非定常成分の領域に分解する。例えば、分解部122aは、熱画像の空間情報の周波数特性に基づいて、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解し、低周波成分を2つの測定結果の変化量に基づいて、非定常成分と背景成分(定常成分)とに分解する。
【0041】
ここで、分解部122aは、図5に示すように、空間分解部122a1と、時間分解部122a2とを有しており、これら各部により分解部122aの処理が行われてもよい。
【0042】
空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に基づいて、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解する。例えば、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に対して、ローパスフィルタを用いることにより、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解する。また、例えば、空間分解部122a1は熱画像の空間情報の周波数特性に対して、移動平均を用いることにより、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解する。
【0043】
例えば、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に対して、所定の閾値または所定の範囲を用いて、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解してもよい。例えば、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に対して、所定の閾値以上の周波数特性を高周波成分として分解し、所定の閾値未満の周波数特性を低周波成分として分解する。
【0044】
また、例えば、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に対して、ある所定の範囲の周波数特性を低周波成分として分解し、他の所定の範囲の周波数特性を高周波成分として分解する。なお、所定の閾値または所定の範囲には、目的に応じた任意の値や範囲を用いることができる。
【0045】
また、空間分解部122a1は、現在フレームの平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出する。ここで、空間分解部122a1は、目的に応じた任意のフィルタを用いて、現在フレームや過去フレームに対して平滑化処理を行う。例えば、空間分解部122a1は、平均化フィルタやガウシアンフィルタ、メディアンフィルタを用いて平滑化処理を行う。また、例えば、空間分解部122a1は、バイラテラルフィルタやドメイントランスフォームフィルタのようなエッジ保持型平滑フィルタを用いて平滑化処理を行う。
【0046】
より具体的には、例えば、空間分解部122a1は、現在フレームに対して平均化フィルタを用いて平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出する。また、例えば、空間分解部122a1は、現在フレームに対してバイラテラルフィルタを用いて平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出する。
【0047】
時間分解部122a2は、低周波成分を2つの測定結果の変化量に基づいて、非定常成分と背景成分とに分解する。例えば、時間分解部122a2は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分をとり、差分が閾値よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する。例えば、時間分解部122a2は、(3)‐(5)式を用いて演算を行うことにより、背景成分または非定常成分を抽出する。
【0048】
ここで、時間分解部122a2は、閾値として、温度が一定の静止物をカメラで撮影したときに、補正適用前後の差分がゼロ近傍となる最小の値を用いてもよい。例えば、時間分解部122a2は、閾値として、最小2乗和が画素数よりも小さい値を用いてもよい。
【0049】
そのため、より具体的には、時間分解部122a2は、(3)‐(5)式を用いて演算を行い、平均化フィルタによる平滑化処理後の現在フレームと、平均化フィルタによる平滑化処理後の過去フレームとの差分をとり、差分が閾値(補正適用前後の差分がゼロ近傍となる最小の値)よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する。
【0050】
また、例えば、時間分解部122a2は、(3)‐(5)式を用いて演算を行い、バイラテラルフィルタによる平滑化処理後の現在フレームと、バイラテラルフィルタによる平滑化処理後の過去フレームとの差分をとり、差分が閾値(最小2乗和が画素数よりも小さい値)よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する。
【0051】
非定常成分補正部122bは、2つの測定結果に対する非定常成分の変化量に基づいて、非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する。
【0052】
例えば、非定常成分補正部122bは、定常成分と非定常成分とを分離するための閾値をthとし、第1測定結果である現在フレームをIc、第1測定結果の直前に測定された第2測定結果である過去フレームをIp、補正後の結果をI′、現在フレームと過去フレームの時間差をt、赤外線検出の熱時定数をτ、ネイピア数をeとし、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を平滑差分1であるIave1として、数式6に基づいて、補正後の結果I′を演算する。ここで、平滑差分1であるIave1は、例えば、下記(7)式の左辺である。
【0053】
【数7】
【0054】
また、例えば、非定常成分補正部122bは、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を、平滑化処理前の現在フレームと平滑化処理前の過去フレームとの差分を平滑化した結果に近似する平滑差分2であるIave2として演算する。ここで、平滑差分2であるIave2は、例えば、(7)式の右辺である。
【0055】
つまり、非定常成分補正部122bは、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分としてIave2を用いて(6)式に基づく演算により、補正後の結果I′を演算する。
【0056】
合成部122cは、非定常成分補正値と定常成分とを合成する。例えば、合成部122cは、(8)式を用いて、非定常成分補正部122bにおいて生成された熱画像Icバーダッシュと、分解部122aで分解された定常成分の領域Ic-Icバーとを合成する。
【0057】
【数8】
【0058】
[測定装置による処理]
次に、図6‐9を用いて、測定装置100による処理について説明する。図6‐9は、測定装置100による処理の一例を示す図である。
【0059】
まず、取得部121は、赤外線カメラ50により生成された測定結果である現在フレームIcと過去フレームIpとを取得する。
【0060】
次に、空間分解部122a1は、現在フレームに対して移動平均フィルタを用いて平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出する。これにより、測定結果を低周波成分(定常成分(背景)、非定常成分)と、高周波成分(定常成分(エッジ))とに分解することができる。
【0061】
続いて、時間分解部122a2は、移動平均フィルタによる平滑化処理後の現在フレームと、移動平均フィルタによる平滑化処理後の過去フレームとの差分に対し、閾値を用いて(3)‐(5)式を用いて判定を行う。時間分解部122a2は、差分が閾値よりも小さければ、移動中の物体はないと考えられるため、定常成分(背景)として抽出することができる。一方、時間分解部122a2は、差分が閾値よりも大きければ、移動中の物体であると考えられるため、非定常成分として抽出することができる。
【0062】
続いて、非定常成分補正部122bは、(6)式を用いて演算することにより、非定常成分のみに像流れ補正の処理を行い、非定常成分補正値を算出する。そして、合成部122cは、(8)式を用いて演算することにより、補正後の非定常成分と、定常成分(エッジ・背景)とを加算して合成し、補正フレームとして出力する。
【0063】
このようにして、測定装置100は、熱画像を定常成分と非定常成分とに分解し、非定常成分のみに像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。なお、移動平均フィルタを用いた平滑化処理は一例であり、空間分解部122a1は、目的に応じた任意のフィルタを用いることができる。
【0064】
[二次元画像への対応]
次に、図7を用いて二次元画像への対応について説明する。図7は、二次元画像への対応について説明するための図である。ここで、図7(1)は、ペルチェ素子が左方向から右方向へ移動する様子を撮影した熱画像である。図7(2)は、図7(1)の波線部(移動方向)周辺の輝度変化を示すプロファイルである。図7(3)は、図7(1)の波線部(垂直方向)周辺の輝度変化を示すプロファイルである。
【0065】
移動方向のプロファイルは、図7(2)に示すように、代表的な一次遅れの特性を示しており、ローパスフィルタで抽出可能であると考えられる。一方、垂直方向のプロファイルは、図7(3)に示すように、一次遅れとは異なる特性を示しており、ペルチェ素子の残像と背景部の境界にエッジが形成されている。
【0066】
このように、移動方向のプロファイルは一次遅れの特性を示し、その垂直方向のプロファイルは一次遅れと異なる特性を示す場合には、エッジ保持型平滑化フィルタを用いて、非定常成分を抽出する。エッジ保持型平滑化フィルタは、ノイズや細かな凹凸を除去しつつ、急峻なエッジを残す特性を有する。この特性により、移動方向に対しては平滑化を行い、垂直方向に対してはエッジを残すことになるため、像流れ補正の対象として、垂直方向のエッジを含めることができる。つまり、空間分解部122a1による平滑化処理にエッジ保持型平滑化フィルタを用いることにより、エッジを像流れ補正の対象に含めて、二次元画像への対応を可能とする。
【0067】
[処理結果]
次に、図8、9を用いて測定装置100の像流れ補正の処理結果について説明する。図8、9は、測定装置100の像流れ補正の処理結果を示す図である。
【0068】
上述した測定装置100により、図8、9に示すように、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。例えば、静止している被写体の熱画像(図8(1))に対して、従来技術の像流れ補正を適用した場合、ノイズが増幅され、熱画像にノイズが視認されるようになる(図8(2))が、実施形態に係る測定装置100による像流れ補正を適用すると、移動平均を用いた適用結果(図8(3))や、バイラテラルフィルタを用いた適用結果(図8(4))のように、適用前とほぼ同一の画像を得ることができる。
【0069】
また、移動する被写体の熱画像(図9(1))に対して、従来技術の像流れ補正を適用した場合、ノイズが増幅され、熱画像にノイズが視認されるようになる(図9(2))が、実施形態に係る測定装置100による像流れ補正を適用すると、平滑化処理に移動平均を用いた適用結果(図9(3))や、平滑化処理にバイラテラルフィルタを用いた適用結果(図9(4))のように、静止時の形状を復元し、かつ、ノイズ増幅を抑制することができる。
【0070】
なお、平滑化処理に移動平均を用いた適用結果(図9(3))には、ペルチェ素子と背景との境界面で尾を引いたような跡が確認される。これは、垂直方向から見た際のエッジ成分が影響しているためである。
【0071】
他方、平滑化処理にバイラテラルフィルタを用いた適用結果(図9(4))では、図9(3)で示した境界面の影響が軽減される。これは、垂直方向から見た際のエッジ成分を像流れ補正の対象として含めることができるためである。
【0072】
[フローチャート]
次に、図10を用いて、測定装置100による処理の流れについて説明する。なお、下記の各ステップは、異なる順序で実行することもでき、また、省略される処理があってもよい。
【0073】
まず、取得部121は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する(ステップS101)。例えば、取得部121は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された現在フレームIcと過去フレームIpとの2つの測定結果を取得する。
【0074】
次に、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に基づいて、測定結果を高周波成分と低周波成分とに分解する(ステップS102)。例えば、空間分解部122a1は、熱画像の空間情報の周波数特性に対して、所定の閾値以上の周波数特性を高周波成分として分解し、所定の閾値未満の周波数特性を低周波成分として分解する。
【0075】
続いて、時間分解部122a2は、低周波成分を2つの測定結果の変化量に基づいて、非定常成分と背景成分(定常成分)とに分解する(ステップS103)。例えば、時間分解部122a2は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分をとり、差分が閾値よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する。
【0076】
続いて、非定常成分補正部122bは、2つの測定結果に対する非定常成分の変化量に基づいて、非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する(ステップS104)。例えば、非定常成分補正部122bは、定常成分と非定常成分を分離するための閾値をthとし、第1測定結果である現在フレームをIc、第1測定結果の直前に測定された第2測定結果である過去フレームをIp、補正後の結果をI′、現在フレームと過去フレームの時間差をt、赤外線検出の熱時定数をτ、ネイピア数をeとし、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を平滑差分1であるIave1として、数式6に基づいて、補正後の結果I′を演算する。
【0077】
そして、合成部122cは、非定常成分補正値と定常成分とを合成する(ステップS105)。例えば、合成部122cは、数式8を用いて、非定常成分補正部122bにおいて生成された熱画像Icバーダッシュと、分解部122aで分解された定常成分の領域Ic-Icバーとを合成する。
【0078】
[効果]
実施形態に係る測定装置100は、測定対象から放射された電磁波を測定する熱型の撮像素子を用いた測定結果であって、当該撮像素子の熱時定数よりも短い測定期間で測定された測定結果を取得する取得部121と、撮像素子が異なる測定期間で測定した2つの測定結果を用いて、測定対象の熱画像を算出する算出部122とを有し、算出部122は、測定結果を撮像素子の熱応答に基づく定常成分と非定常成分の領域に分解する分解部122aと、2つの測定結果に対する非定常成分の変化量に基づいて、非定常成分の補正値である非定常成分補正値を算出する非定常成分補正部122bと、非定常成分補正値と定常成分とを合成する合成部122cとを有する。
【0079】
これにより、測定装置100は、熱画像を定常成分と非定常成分とに分解し、非定常成分のみに対して像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0080】
実施形態に係る測定装置100の分解部122aは、熱画像の空間情報の周波数特性に基づいて、測定結果を高周波成分と低周波成分に分解する空間分解部122a1と、低周波成分を2つの測定結果の変化量に基づいて、非定常成分と背景成分とに分解する時間分解部122a2とを有し、高周波成分と背景成分とを組み合わせて定常成分とする。
【0081】
これにより、測定装置100は、熱画像を高周波成分(定常成分)と低周波成分とに分解し、低周波成分を非定常成分と背景成分(定常成分)とに分解し、非定常成分のみに対して像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0082】
実施形態に係る測定装置100の空間分解部122a1は、現在フレームの平滑化処理を行うことで低周波成分を抽出し、現在フレームから平滑化処理後の現在フレームを差し引くことで高周波成分を抽出し、時間分解部122a2は、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームの差分をとり、差分が閾値よりも小さい場合に背景成分を抽出し、差分が閾値よりも大きければ、非定常成分として抽出する。
【0083】
これにより、測定装置100は、現在フレームの平滑化処理により高周波成分と低周波成分とに分解し、平滑化処理後の現在フレームと過去フレームとの差分と閾値とを用いることにより低周波成分を非定常成分と背景成分(定常成分)とに分解し、非定常成分のみに対して像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0084】
実施形態に係る測定装置100の空間分解部122a1は、移動平均またはエッジ保持型平滑フィルタを用いて平滑化処理を行う。
【0085】
これにより、測定装置100は、被写体の移動方向に対する垂直方向の輝度変化に現れるエッジを像流れ補正の処理の対象として含め、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0086】
実施形態に係る測定装置100が用いる閾値は、温度が一定の静止物をカメラで撮影した時に、補正適用前後の差分がゼロ近傍となる最小の値である。
【0087】
これにより、測定装置100は、補正適用前後の差分がゼロ近傍となる最小の値を閾値として用いて非定常成分と背景成分とを分解することで、静止物を像流れ補正の対象から除外し、移動体に対してのみ像流れ補正を行うことができる。
【0088】
実施形態に係る測定装置100が用いる閾値は、最小2乗和が画素数よりも小さい値である。
【0089】
これにより、測定装置100は、最小2乗和が画素数よりも小さくなる値を閾値として用いて非定常成分と背景成分とを分解することで、静止物を像流れ補正の対象から除外し、移動体に対してのみ像流れ補正を行うことができる。
【0090】
実施形態に係る測定装置100の非定常成分補正部122bは、定常成分と非定常成分とを分離するための閾値をthとし、第1測定結果である現在フレームをIc、第1測定結果の直前に測定された第2測定結果である過去フレームをIp、補正後の結果をI′、現在フレームと過去フレームの時間差をt、赤外線検出の熱時定数をτ、ネイピア数をeとし、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を平滑差分1であるIave1として、数式6に基づいて、補正後の結果I′を演算する。
【0091】
これにより、測定装置100は、熱画像を定常成分と非定常成分とに分解し、(6)式に基づく演算により非定常成分のみに対して像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0092】
実施形態に係る測定装置100の非定常成分補正部122bは、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分を、平滑化処理後の現在フレームと平滑化処理後の過去フレームとの差分に近似する平滑差分2であるIave2とする。
【0093】
これにより、測定装置100は、熱画像を定常成分と非定常成分とに分解し、平滑差分2を用いた(6)式に基づく演算により非定常成分のみに対して像流れ補正を行い、各成分を合成することにより、より自然な画像処理を可能としつつ、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0094】
実施形態に係る測定装置100の合成部122cは、数式8を用いて、非定常成分補正部122bにおいて生成された熱画像Icバーダッシュと、分解部122aで分解された定常成分の領域Ic-Icバーとを合成する。
【0095】
これにより、測定装置100は、分解された非定常成分のみに対して像流れ補正を行いった結果である非定常成分補正値と、定常成分(エッジおよび背景)の各成分を、(8)式を用いて合成することにより、像流れの補正に際してノイズの増幅を抑制することができる。
【0096】
[プログラム]
上記実施形態において説明した測定装置100が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0097】
図11は、測定プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。図11に示すように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0098】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。ディスクドライブ1100には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1110およびキーボード1120が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1130が接続される。
【0099】
ここで、図11に示すように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各テーブルは、例えばハードディスクドライブ1090やメモリ1010に記憶される。
【0100】
また、測定プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、ハードディスクドライブ1090に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明したコンピュータ1000が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0101】
また、測定プログラムによる測定処理に用いられるデータは、プログラムデータとして、例えば、ハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0102】
なお、測定プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。または、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0103】
[その他]
様々な実施形態を、図面を参照して、本明細書で詳細に説明したが、これらの複数の実施形態は例であり、本発明をこれらの複数の実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書に記載された特徴は、当業者の知識に基づく様々な変形や改良を含む、様々な方法によって実現され得る。
【0104】
また、上述した「部(module、-er接尾辞、-or接尾辞)」は、ユニット、手段、回路などに読み替えることができる。例えば、通信部(communication module)、制御部(control module)および記憶部(storage module)は、それぞれ、通信ユニット、制御ユニットおよび記憶ユニットに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0105】
100 測定装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 算出部
122a 分解部
122a1 空間分解部
122a2 時間分解部
122b 非定常成分補正部
122c 合成部
130 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11