(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136128
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01H25/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047115
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰樹
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS27K
5G031FS01J
5G031GS24
5G031HU02
5G031HU73
5G031KS03
(57)【要約】
【課題】押下げ式のスイッチを用いる場合であっても、操作ロッドの傾倒操作によって安定してスイッチを作動させることができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作装置は、操作ロッド16と複数のスイッチ14と動作変換機構17を備える。操作ロッド16は中立姿勢から軸部16aと直交する四方向に傾倒操作が可能とされる。動作変換機構は17、並進ブロック20と、カムブロック21と、動作伝達部と、を備える。並進ブロック20は操作ロッド16の軸方向と交差する方向に並進移動する。カムブロック21は、並進ブロック20の並進動作をスイッチ14の押下げ動作に変換する。動作伝達部は、並進ブロック20と操作ロッド16の間に設けられる。動作伝達部は、操作ロッド16の傾倒動作を許容しつつ、操作ロッド16の傾倒動作を並進ブロック20に並進動作として伝達する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部が起立した中立姿勢から前記軸部と直交する四方向への傾倒操作が可能な操作ロッドと、
前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒操作に応じて作動する複数のスイッチと、
前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒動作を、対応する前記スイッチの押下げ動作に変換する動作変換機構と、を備え、
前記動作変換機構は、
前記中立姿勢の前記操作ロッドの軸方向と交差する方向の並進移動が可能な並進ブロックと、
前記並進ブロックの前記四方向の各並進動作を各前記スイッチの押下げ動作に変換するカムブロックと、
前記並進ブロックと前記操作ロッドの間に設けられ、前記操作ロッドの傾倒動作を許容しつつ、前記操作ロッドの傾倒動作を前記並進ブロックに並進動作として伝達する動作伝達部と、を備えている操作装置。
【請求項2】
前記動作伝達部は、中間ブロックを備え、
前記中間ブロックは、前記並進ブロックに、前記軸方向に略沿う方向に変位可能に組付けられるとともに、前記軸方向と直交する第1軸を介して前記操作ロッドに回動可能に係合され、かつ、前記軸方向及び前記第1軸と直交する第2軸を介して前記並進ブロックに回動可能に係合される請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記第2軸は、前記中間ブロックの外面に突設され、
前記並進ブロックには、前記軸方向に略沿うガイド溝が設けられ、
前記第2軸が前記ガイド溝に係合されることにより、前記中間ブロックが前記並進ブロックに対して前記軸方向に略沿う方向に変位可能とされるとともに、前記第2軸を介して前記並進ブロックに回動可能に係合されている請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作ロッドを揺動可能に支持する支持ブロックと、
前記支持ブロックを介した前記操作ロッドの押下げ動作よって作動する中央スイッチと、
をさらに備え、
前記中央スイッチは、前記支持ブロックを押上げ側の初期位置に向けて付勢する付勢部材を有し、
前記中間ブロックは、前記付勢部材によって前記第2軸が前記ガイド溝の押上げ側の端部に当接するように付勢されている請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作ロッドが挿通される開口を有するカバー部材と、
各前記カムブロックを押上げ側の初期位置に向けて付勢するカムブロック用付勢部材と、をさらに備え、
前記カバー部材の前記開口の周辺領域で前記並進ブロックに対向する側の面は、当該並進ブロックが摺動可能に当接するガイド面とされ、
前記カムブロック用付勢部材は、前記カムブロックを介して前記並進ブロックの押上げ側の面を前記ガイド面に押し付ける請求項1に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチ部を操作可能な操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作ロッドの多方向の傾倒操作によって複数のスイッチ部を操作可能な操作装置が案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の操作装置は、操作ロッドが装置ボディに傾倒操作可能に組付けられ、操作ロッドの多方向の傾倒操作によって複数のスイッチが選択的にオン操作できる構造とされている。
装置ボディには、操作ロッドの中立位置を中心とした四方向の各傾倒操作を水平方向の対応する向きのスライド動作(並進動作)に変換する動作変換部が組付けられている。動作変換部は、直角に交差して二段に配置されたスライドブロックによって構成されている。各スライドブロックには長孔が形成されている。二つのスライドブロックの長孔の交差部には操作ロッドの軸部が挿通されている。また、各スライドブロックは、基板上のスイッチ接点に接触接続可能なブラシを備えている。
【0004】
この操作装置の場合、操作ロッドが一方のスライドブロックの長孔と直交する方向に操作されると、一方のスライドブロックが操作ロッドの傾倒方向と合致する方向にスライドし、そのスライドブロックのブラシが対応するスイッチ接点に接触する。また、操作ロッドが他方のスライドブロックの長孔と直交する方向に操作されると、他方のスライドブロックが操作ロッドの傾倒方向と合致する方向にスライドし、そのスライドブロックのブラシが対応するスイッチ接点に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の操作装置は、スライドブロックのブラシが基板上のスイッチ接点に接触するスライド式のスイッチを採用している。このスライド式のスイッチは薄型化が可能になる等の利点があるものの、押下げ式のスイッチに比較して、耐久面や接点の離接の確実性等において劣る場合がある。
【0007】
さらに、上記のスライド式のスイッチは、操作ロッドの傾倒操作時において、接点への動作伝達部材が斜め方向に押圧されることで動作不良を生じる可能性があり、接点が斜め方向に押圧されることで接触不良を生じる可能性もあった。
このため、上記のような操作装置においても、押下げ式のスイッチを適用することが望まれている。
【0008】
本発明は、押下げ式のスイッチを用いる場合であっても、操作ロッドの傾倒操作によって安定してスイッチを作動させることができる操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る操作装置は、軸部が起立した中立姿勢から前記軸部と直交する四方向への傾倒操作が可能な操作ロッドと、前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒操作に応じて作動する複数のスイッチと、前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒動作を、対応する前記スイッチの押下げ動作に変換する動作変換機構と、を備え、前記動作変換機構は、前記中立姿勢の前記操作ロッドの軸方向と交差する方向の並進移動が可能な並進ブロックと、前記並進ブロックの前記四方向の各並進動作を各前記スイッチの押下げ動作に変換するカムブロックと、前記並進ブロックと前記操作ロッドの間に設けられ、前記操作ロッドの傾倒動作を許容しつつ、前記操作ロッドの傾倒動作を前記並進ブロックに並進動作として伝達する動作伝達部と、を備えている。
【0010】
上記の構成において、操作ロッドを四方向のいずれかの方向に傾倒操作すると、操作ロッドの傾倒動作は、動作変換機構の動作伝達部を介して並進ブロックの並進動作に変換される。このとき、並進ブロックの並進動作は、カムブロックを介して対応するスイッチの押下げ動作に変換される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る操作装置は、操作ロッドの傾倒動作を、動作変換機構の動作伝達部を介して並進ブロックの並進動作に変換し、並進ブロックの並進動作を、各カムブロックを介して対応するスイッチの押下げ動作に変換することができる。したがって、本発明に係る操作装置を採用した場合には、押下げ式のスイッチを用いる場合であっても、操作ロッドの傾倒操作によって安定してスイッチを作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の操作装置を採用したステアリングホイールの正面図である。
【
図3】カバー部材を取り去った実施形態の操作装置の斜視図である。
【
図6】実施形態の操作装置の一部の分解斜視図である。
【
図7】
図2の斜視図の一部を断面にした部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の操作装置10を採用した車両のステアリングホイール1の正面図である。
ステアリングホイール1は、図示しないステアリングシャフトに一体回転可能に結合されるハブ部2と、ハブ部2の径方向外側に配置される環状のリム部3と、ハブ部2から径方向外側に延びてハブ部2とリム部3を連結するスポーク部4A,4B,4Cと、を備えている。リム部3のうちの、操舵中立状態で運転者が手で把持する部分の近傍にあるスポーク部4Aの前面(運転者に対向する側の面)には、本実施形態の操作装置10が設置されている。操作装置10は、運転者がリム部3を把持した状態において、例えば、親指によって操作することができる。
操作装置10は、運転者による操作によって車両に搭載した電装機器の接点操作等の電気的な操作を行うことができる。
【0014】
図2は、操作装置10の斜視図であり、
図3は、後述するカバー部材12を取り去った操作装置10の斜視図である。また、
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図であり、
図5は、
図2のV-V線に沿う断面図である。
以下、操作装置10の詳細構造について説明する。
以下で説明する操作装置10に関しては、説明の便宜上、
図1に示すステアリングホイール1に取り付けられた状態において運転者に対向する側を「上」と称し、「上」と逆側を「下」と称する。図面の適所には、上側を指す矢印UPが記されている。
【0015】
操作装置10は、
図2,
図4,
図5に示すように、上方側に開口する収容ケース11と、収容ケース11の上方側を覆うカバー部材12と、を備えている。カバー部材12は、収容ケース11の上向きの開口と対向するように下方に開口している。カバー部材12は、平面視が正八角形状に形成されており、上壁12uの中央部領域には、方形状の開口13が形成されている。開口13の周縁部には、上方側に突出する補強リブ12rが突設されている。
なお、カバー部材12の形状は一例であり、特に上記の形状に限定されない。
【0016】
カバー部材12は、収容ケース11に対して凹凸嵌合やクリップ係合等によって一体に結合される。収容ケース11とカバー部材12の周壁は、上述したステアリングホイール1のスポーク部4Aの前面に埋め込まれ、その状態でスポーク部4Aにビス止め等によって固定される。このとき、カバー部材12の上壁12uの上面は、スポーク部4Aの前面から外側に露出する。
ただし、カバー部材12の上壁12uの上面には、別体の化粧パネルを取り付けることも可能である。
【0017】
収容ケース11は、四隅を面取りした略方形状の平面視形状に形成されている。以下では、説明の便宜上、平面視での収容ケース11の面取り部に相当する領域を除く四つの辺を、「収容ケース11の周辺領域の四辺」と称することがある。
図4,
図5に示すように、収容ケース11は、底壁を形成するベース部材11Bと、ベース部材11Bの上面側に組付けられるアッパケース部材11Uと、を有する。ベース部材11Bの上部には、五つの押下げ式のスイッチ14が設置されている。押下げ式のスイッチ14は、例えば、マイクロスイッチ等によって構成することができる。
【0018】
スイッチ14は、スイッチケース14a内に進退自在に突設されたピンプランジャ14bと、ピンプランジャ14bを突出側の初期位置に向けて付勢する板ばね等の図示しない付勢部材と、ピンプランジャ14bが所定の後退位置まで後退したときに電装機器の回路を操作(例えば、ON操作)する接点端子等の図示しないスイッチ部と、を備えている。本実施形態では、スイッチケース14aとピンプランジャ14bの突出部の周辺領域はエラストマー製の保護用の被覆膜15によって覆われている。
【0019】
五つのスイッチ14のうちの一つは、ベース部材11Bの上面の中央に設置されている。また、五つのスイッチ14のうちの残余の四つは、ベース部材11Bの上面のうちの、収容ケース11の周辺領域の四辺の各辺に近接した位置に設置されている。これらの四つのスイッチ14は、四辺の各辺の中央部と対向する位置に配置されている。したがって、これらの四つのスイッチ14は、一つのスイッチ14の周囲の四方向を取り囲むように配置されている。以下では、中央のスイッチ14と、四辺の近傍のスイッチ14を区別する場合には、中央のスイッチ14を「中央スイッチ14C」と称し、四辺の近傍のスイッチ14を「傾倒操作スイッチ14S」と称する。
【0020】
操作装置10は、中央スイッチ14C及び傾倒操作スイッチ14Sと、軸部16aが起立した中立姿勢から軸部16aと直交する四方向への傾倒操作が可能な操作ロッド16と、操作ロッド16の傾倒動作を傾倒方向の対応する傾倒操作スイッチ14Sの押下げ動作に変換する動作変換機構17と、を備えている。操作ロッド16の軸部16aは、上端部がカバー部材12の開口13から上方に突出している。
【0021】
操作ロッド16は、軸部16aの上端部に操作ノブ16bが一体に形成されたロッド本体16Aと、ロッド本体16Aの下端に一体に連結された被支持部16Bと、を備えている。被支持部16Bは、
図4,
図5に示すように、下方に凸に膨出する球状面16Baを有する。操作ロッド16の下方には、球状面16Baを摺動自在に受容する支持ブロック18が配置されている。
本実施形態では、被支持部16Bはロッド本体16Aと別体部品として構成されているが、被支持部16Bはロッド本体16Aと一体に形成するようにしても良い。
【0022】
支持ブロック18は、操作ロッド16の下端を揺動可能に支持する部材である。支持ブロック18の上面には、
図4,
図5に示すように、操作ロッド16の下端の球状面16Baを摺動自在に受容する凹球面状の案内凹部18aが形成されている。支持ブロック18は、収容ケース11のアッパケース部材11Uに形成された中央ガイド部19によって昇降可能に案内されている。中央ガイド部19は、支持ブロック18の外周面を昇降可能に案内する筒部19aと、筒部19aの上端部から内向きに張り出して形成された規制フランジ19bと、を有する。規制フランジ19bは、支持ブロック18の外周側の上縁部に当接することにより、支持ブロック18の過大な上方変位を規制する。
【0023】
支持ブロック18は、中央ガイド部19の内側において、中央スイッチ14Cの上面に支持されている。中央スイッチ14Cは、被覆膜15とピンプランジャ14bを介して内部の付勢部材によって支持ブロック18を上方に付勢する。中央スイッチ14Cの付勢部材は、支持ブロック18を押上げ側の初期位置(支持ブロック18が規制フランジ19bの下面に当接する位置)に向けて付勢する。
【0024】
図6は、カバー部材12を取り去った操作装置10の分解斜視図である。
図3~
図6に示すように、動作変換機構17は、操作ロッド16の軸部16aと交差して配置される並進ブロック20と、四つの傾倒操作スイッチ14Sの各上部に配置される四つのカムブロック21と、操作ロッド16の軸部16aと並進ブロック20の間に配置される中間ブロック22と、を備えている。並進ブロック20は、上下方向と直交する方向(中立姿勢の操作ロッド16の軸方向と交差する方向)の並進運動が可能とされている。カムブロック21は、並進ブロック20の初期位置から直交する四方向への各並進動作を各傾倒操作スイッチ14Sの押下げ動作に変換する。中間ブロック22は、操作ロッド16の傾倒動作を許容しつつ、操作ロッド16の傾倒動作を並進ブロック20に並進動作として伝達する。
本実施形態では、中間ブロック22は、並進ブロック20と操作ロッド16の間に設けられる動作伝達部の一部を構成している。
【0025】
並進ブロック20は、軸方向が上下方向を向く四角筒状の枠部23と、枠部23の四辺の各側壁23sの外面から直交方向外側に向かって延出する四つのアーム部24と、を備えている。各アーム部24は、上面24uが平坦面とされている。すべてのアーム部24の上面24uは、水平な同一平面の一部を構成するように形成されている。枠部23の上部領域は、アーム部24の上面24uに対して上方に突出している。枠部23のうちのアーム部24の上面24uよりも上方に突出する部分を、以下、「規制壁23b」と称する。また、各アーム部24の先端部には、アーム部24の基端側(枠部23側)に向かって下方に傾斜する平坦な傾斜面24iが形成されている。
【0026】
ここで、カバー部材12の下面のうちの、方形状の開口13の周辺領域には、
図4,
図5に示すように、水平な平坦面から成るガイド面25が設けられている。並進ブロック20は、四つのアーム部24の各上面24uが、カバー部材12のガイド面25に摺動可能に当接している。並進ブロック20は、カバー部材12のガイド面25に摺接しつつ、水平方向に並進移動可能とされている。
【0027】
また、並進ブロック20の方形状の規制壁23bは、下方側からカバー部材12の開口13内に挿入されている。方形状の規制壁23bは、規制壁23bの周辺領域の四辺の各外側面が、方形状の開口13の四辺の各内側面と対向するように開口13内に配置されている。並進ブロック20は、規制壁23bがカバー部材12側の開口13の内側面に当接することにより、水平方向の過大な変位を規制される。
【0028】
四つのカムブロック21は、収容ケース11のアッパケース部材11Uに形成されたカムガイド部26によって昇降可能に案内されている。カムガイド部26は、ベース部材11B上に設置された四つの傾倒操作スイッチ14Sに対応して設けられている。
【0029】
カムブロック21は、
図4,
図5に示すように、カムガイド部26に案内される案内基部21aと、案内基部21aから上方に突出するカム部21b、を有する。案内基部21aは、カムガイド部26によって昇降可能に案内されるとともに、上下方向に沿う軸回りの回転を規制される。カムガイド部26は、案内基部21aの外側面を昇降可能に案内する筒部26aと、案内基部21aの過大な上方変位を規制する上昇規制部26bと、を有する。カム部21bは、並進ブロック20の対応するアーム部24の傾斜面24iに対向するカム面27が上端部に形成されている。カム面27は、対応する傾斜面24iと平行な面であり、対応する傾斜面24iに対して摺動自在に当接する。
なお、傾斜面24iは、カム面27に向かって凸形状の曲面であっても良い。
【0030】
カムブロック21の案内基部21aは、カムガイド部26の内側において、対応する傾倒操作スイッチ14Sの上面に支持されている。傾倒操作スイッチ14Sは、被覆膜15とピンプランジャ14bを介して内部の付勢部材(以下、「カムブロック用付勢部材」と称する。)によってカムブロック21を押上げ側の初期位置に向けて上方に付勢する。
【0031】
各カムブロック21のカム面27は、並進ブロック20の対応するアーム部24の傾斜面24iに、傾倒操作スイッチ14Sのカムブロック用付勢部材の付勢力によって押し付けられている。各傾倒操作スイッチ14Sのカムブロック用付勢部材は、カムブロック21を介して並進ブロック20の上面24u(押上げ側の面)をカバー部材12のガイド面25に押し付けている。また、各傾倒操作スイッチ14Sのカムブロック用付勢部材は、これと併せ、カムブロック21を介して並進ブロック20を並進方向(水平方向)の初期位置に戻すように付勢している。
なお、カム面27は、傾斜面21iに向かって凸形状の曲面であっても良い。
【0032】
並進ブロック20は、カバー部材12の中央の初期位置から各アーム部24の延出方向に沿うように並進操作されると、その操作方向に存在するカムブロック21がアーム部24の傾斜面24iによって下方によって押し下げられる。これにより、並進ブロック20の並進動作がカムブロック21の押下げ動作に変換される。このとき、カムブロック21は、カムブロック用付勢部材の付勢力に抗して対応する傾倒操作スイッチ14Sのピンプランジャ14bを押し下げ、傾倒操作スイッチ14Sのスイッチ部を作動させる。
【0033】
また、
図5,
図6に示すように、操作ロッド16の軸部16aの外周面には、軸部16aの軸線方向と直交する方向に突出する第1軸28が突設している。第1軸28は、操作ロッド16の軸部16aの外周面の相反位置から相反方向に向かって突出している。
【0034】
中間ブロック22は、軸方向が上下方向を向く四角筒状に形成されている。中間ブロック22の相互に対向する一対の側壁22sfには、操作ロッド16の第1軸28の各端部が支持される支持孔29が夫々形成されている。操作ロッド16の第1軸28は各側壁22sfの支持孔29に回動可能に支持されている。
【0035】
また、
図4,
図6に示すように、中間ブロック22の残余の一対の側壁22ssには、各側壁22ssの外側面(中間ブロック22の外面)から外側に突出する第2軸30が突設されている。第2軸30は、一対の側壁22ssの外側面の相反位置から相反方向に向かって突出している。中間ブロック22は、支持孔29の形成される側壁22sfの方が第2軸30の突設される側壁22ssよりも水平方向の延出長さが長くなっている。支持孔29の形成される側壁22sfの水平方向の延出長さは、並進ブロック20の枠部23の内面幅とほぼ同じ幅(若干狭い幅)に設定されている(
図4参照)。
操作ロッド16が中間ブロック22に組付けられた状態では、操作ロッド16の第1軸28と中間ブロック22の第2軸30とは、相互に直交した状態となる。
【0036】
図7は、
図2の斜視図の一部を断面にした部分断面斜視図である。
図4,
図7に示すように、並進ブロック20の枠部23の相互に対向する一対の側壁23sには、下向きに開口する略U字状のガイド溝31が形成されている。ガイド溝31は、枠部23に上下方向に沿って(中立状態の操作ロッド16の軸方向に略沿って)形成されている。一対の側壁23sの各ガイド溝31には、中間ブロック22の側壁22ssに突設された第2軸30が摺動可能に挿入されている。これにより、中間ブロック22は、並進ブロック20に対して上下方向に変位可能とされるとともに、第2軸30を中心として回動可能とされている。
なお、中間ブロック22は、第1軸28を介して操作ロッド16の軸部16aに連結され、操作ロッド16は、支持ブロック18を介して中央スイッチ14Cの付勢部材の付勢力を受ける。このため、中間ブロック22は、中央スイッチ14Cの付勢部材によって、第2軸30がガイド溝31の押上げ側の端部に当接するように付勢されている。
【0037】
操作ロッド16は、中間ブロック22に対して第1軸28を中心として回動可能とされている。このため、操作ロッド16と中間ブロック22が並進ブロック20に組付けられた状態では、中間ブロック22は、操作ロッド16の四方向の傾倒動作を許容しつつ、操作ロッド16の四方向の傾倒動作を並進ブロック20に並進動作(水平方向のスライド動作)として伝達することができる。
【0038】
中間ブロック22は、第2軸30が並進ブロック20のガイド溝31に摺動自在に挿入されているため、並進ブロック20に対して上下方向に相対変位することができる。このため、操作ロッド16が四方向のいずれかの方向に傾倒操作されると、操作ロッド16の第1軸28の上下変動に応じて中間ブロック22が上下に変位する。このため、操作ロッド16の傾倒操作時には、並進ブロック20には当該並進ブロック20を傾斜させる荷重が作用しにくくなる。
【0039】
また、中間ブロック22は、並進ブロック20のガイド溝31によって上下方向に変位が許容されているため、操作ロッド16が中立姿勢の状態で下方に押し込み操作されたときに操作ロッド16の下方変位を許容する。このため、操作ロッド16が中立姿勢の状態で下方に押し込み操作されると、操作ロッド16の下端が、支持ブロック18を介して中央スイッチ14Cを下方に押し下げ作動させることができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の操作装置10は、操作ロッド16の傾倒動作を、動作変換機構17の動作伝達部(中間ブロック22)を介して並進ブロック20の並進動作に変換し、並進ブロック20の並進動作を、各カムブロック21を介して対応する傾倒操作スイッチ14Sの押下げ動作に変換することができる。
したがって、本実施形態の操作装置10を採用した場合には、押下げ式のスイッチ14を用いる場合であっても、操作ロッド16の傾倒操作によって安定してスイッチ14を作動させることができる。
【0041】
また、本実施形態の操作装置10は、操作ロッド16と並進ブロック20の間に設けられる動作伝達部が中間ブロック22を備えた構成とされている。そして、中間ブロック22は、並進ブロック20に、上下方向に変位可能に組付けられるとともに、第1軸28を介して操作ロッド16に回動可能に係合され、かつ、第1軸28と直交する第2軸30を介して並進ブロック20に回動可能に係合されている。
このため、第1軸28回りの操作ロッド16の回動と中間ブロック22の昇降によって操作ロッド16の相反する二方向のスムーズな傾倒を可能にし、中間ブロック22を介した第2軸30回りの操作ロッド16の回動と中間ブロック22の昇降によって操作ロッド16の他の相反する二方向のスムーズな傾倒を可能にすることができる。
【0042】
また、本実施形態の操作装置10は、上記の中間ブロック22を備えているため、操作ロッド16が四方向に傾倒操作される限り、中間ブロック22から並進ブロック20には並進ブロック20を傾斜させる過大な荷重が作用しない。このため、操作ロッド16の傾倒操作をロスなく並進ブロック20の並進動作に変換することができる。したがって、本実施形態の操作装置10を採用した場合には、傾倒操作スイッチ14Sが押し下げ式のスイッチであっても安定したスイッチ操作を得ることができる。
【0043】
さらに、本実施形態の操作装置10は、上記の中間ブロック22を備えているため、操作ロッド16の傾倒時の回動を第1軸28回りの回動と第2軸30回りの回動に限定することができる。このため、本構成を採用した場合には、操作ロッド16の四方向以外の傾倒を制限し、複数の傾倒操作スイッチ14Sが同時操作されるのを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態の操作装置10は、第2軸30が中間ブロック22の外面に突設され、第2軸30が並進ブロック20のガイド溝31に係合されることにより、中間ブロック22が並進ブロック20に対して上下方向に変位可能とされるとともに、第2軸30を介して並進ブロック20に回動可能に係合されている。このため、簡単な構成により、操作ロッド16の傾倒操作時の中間ブロック22の昇降変位と、第2軸30回りの中間ブロック22の回動を許容することができる。したがって、本実施形態の構造を採用した場合には、装置のコンパクト化と製造の容易化を図ることができる。
【0045】
さらに、本実施形態の操作装置10は、操作ロッド16を揺動可能に支持する支持ブロック18と、支持ブロック18を介した操作ロッド16の押下げ動作よって作動する中央スイッチ14Cと、を備えている。そして、中央スイッチ14Cは、支持ブロック18を押上げ側の初期位置に向けて付勢する付勢部材を有し、中間ブロック22の第2軸部30は、付勢部材によってガイド溝31の押上げ側の端部に当接するように付勢されている。
このため、操作ロッド16が押下げ操作されると、操作ロッド16が中間ブロック22とともに下方に変位し、中央スイッチ14Cが支持ブロック18を介して押下げられる。また、操作ロッド16の押下げ操作後には、中央スイッチ14Cの付勢部材によって支持ブロック18を初期位置に速やかに復帰させることができる。操作ロッド16が付勢部材の付勢力を受けて押上げ側の初期位置に戻る際には、中間ブロック22が操作ロッド16と一体となって上昇する。このとき、中間ブロック22の第2軸30が並進ブロック20のガイド溝31の押上げ側の端部に当接する。この結果、操作ロッド16は傾倒操作に適した高さ位置に維持されることになる。したがって、本実施形態の操作装置10を採用した場合には、操作ロッド16の押下げ操作によって中央スイッチ14Cを作動させることができ、かつ、操作ロッド16の押下げ操作後には、操作ロッド16を傾倒操作に適した初期位置に自動復帰させることができる。
【0046】
また、本実施形態の操作装置10は、操作ロッド16が挿通される開口13を有するカバー部材12と、各カムブロック21を押上げ側の初期位置に向けて付勢するカムブロック用付勢部材と、を備えている。そして、カバー部材12の開口13の周辺領域で並進ブロック20に対向する側の面は、並進ブロック20が摺動可能に当接するガイド面25とされ、カムブロック用付勢部材は、カムブロック21を介して並進ブロック20の上面24uをガイド面25に押し付けるようになっている。
このため、操作ロッド16の傾倒操作の後に、カムブロック用付勢部材の付勢力によってカムブロック21を速やかに初期位置に戻すことができる。カムブロック用付勢部材の付勢力は、カムブロック21を介して並進ブロック20の上面24uをカバー部材12のガイド面25に押し付ける。この結果、並進ブロック20の上面24uがカバー部材12の開口13の周辺領域に押し付けられ、スイッチ14の配置される空間部に、開口13を通して埃や水滴が進入するのを抑制することが可能になる。したがって、本構成を採用した場合には、装置の防水性と防塵性を高めることができる。
また、本構成では、カムブロック用付勢部材の付勢力がカムブロック21を介して並進ブロック20に作用するため、操作ロッド16が中立位置付近にあるときの操作ロッド16のガタ付きも抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、操作装置が車両のステアリングホイールに搭載した例について説明したが、操作装置の搭載はステアリングホイールに限定されない。四輪車両や二輪車両の種々の部位に適用することができる。
また、操作装置の適用は車両に限定されない。車両以外の部位においても適用することができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、第1軸28が操作ロッド16の軸部16aに突設され、中間ブロック22に第1軸28が摺動自在に係合される支持孔29が形成されているが、逆に、第1軸を中間ブロック22の内側面に突設し、支持孔(支持穴)を操作ロッド16の軸部16aの外周面に形成するようにしても良い。
同様に、上記の実施形態では、第2軸30が中間ブロック22の外側面に突設され、並進ブロック20に第2軸30が挿入されるガイド溝31が形成されているが、逆に、第2軸を並進ブロック20の内側面に突設し、ガイド溝を中間ブロック22に形成するようにしても良い。
【0049】
さらに、上記の実施形態では、操作ロッド16の傾倒動作を許容しつつ、操作ロッド16の傾倒動作を並進ブロック20に並進動作として伝達する動作伝達部が、中間ブロック22とその係合部の構造によって構成されている。しかし、動作伝達部の構成はこれに限定されない。動作伝達部は、例えば、操作ロッド16の外周面に四方向に突出する軸(第1軸及び第2軸)を突設し、並進ブロック20の内側壁に、操作ロッド16の各軸が挿入されるガイド溝を形成するようにしても良い。
【0050】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<付記1>
軸部が起立した中立姿勢から前記軸部と直交する四方向への傾倒操作が可能な操作ロッドと、
前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒操作に応じて作動する複数のスイッチと、
前記操作ロッドの前記四方向の各傾倒動作を、対応する前記スイッチの押下げ動作に変換する動作変換機構と、を備え、
前記動作変換機構は、
前記中立姿勢の前記操作ロッドの軸方向と交差する方向の並進移動が可能な並進ブロックと、
前記並進ブロックの前記四方向の各並進動作を各前記スイッチの押下げ動作に変換するカムブロックと、
前記並進ブロックと前記操作ロッドの間に設けられ、前記操作ロッドの傾倒動作を許容しつつ、前記操作ロッドの傾倒動作を前記並進ブロックに並進動作として伝達する動作伝達部と、を備えている操作装置。
<付記2>
前記動作伝達部は、中間ブロックを備え、
前記中間ブロックは、前記並進ブロックに、前記軸方向に略沿う方向に変位可能に組付けられるとともに、前記軸方向と直交する第1軸を介して前記操作ロッドに回動可能に係合され、かつ、前記軸方向及び前記第1軸と直交する第2軸を介して前記並進ブロックに回動可能に係合される付記1に記載の操作装置。
<付記3>
前記第2軸は、前記中間ブロックの外面に突設され、
前記並進ブロックには、前記軸方向に略沿うガイド溝が設けられ、
前記第2軸が前記ガイド溝に係合されることにより、前記中間ブロックが前記並進ブロックに対して前記軸方向に略沿う方向に変位可能とされるとともに、前記第2軸を介して前記並進ブロックに回動可能に係合されている付記2に記載の操作装置。
<付記4>
前記操作ロッドを揺動可能に支持する支持ブロックと、
前記支持ブロックを介した前記操作ロッドの押下げ動作よって作動する中央スイッチと、
をさらに備え、
前記中央スイッチは、前記支持ブロックを押上げ側の初期位置に向けて付勢する付勢部材を有し、
前記中間ブロックは、前記付勢部材によって前記第2軸が前記ガイド溝の押上げ側の端部に当接するように付勢されている付記3に記載の操作装置。
<付記5>
前記操作ロッドが挿通される開口を有するカバー部材と、
各前記カムブロックを押上げ側の初期位置に向けて付勢するカムブロック用付勢部材と、をさらに備え、
前記カバー部材の前記開口の周辺領域で前記並進ブロックに対向する側の面は、当該並進ブロックが摺動可能に当接するガイド面とされ、
前記カムブロック用付勢部材は、前記カムブロックを介して前記並進ブロックの押上げ側の面を前記ガイド面に押し付ける付記1~付記4のいずれかに記載の操作装置。
【符号の説明】
【0051】
10…操作装置
12…カバー部材
13…開口
14C…中央スイッチ
14S…傾倒操作スイッチ(スイッチ)
16…操作ロッド
16a…軸部
17…動作変換機構
18…支持ブロック
20…並進ブロック
21…カムブロック
22…中間ブロック(動作伝達部)
24u…上面(押上げ側の面)
25…ガイド面
28…第1軸
30…第2軸
31…ガイド溝