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特開2024-136137光硬化性樹脂組成物、硬化被膜、および該硬化被膜付き基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136137
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物、硬化被膜、および該硬化被膜付き基材
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047126
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390033628
【氏名又は名称】中国塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】阿辻 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】落合 洋之
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB051
4J127BB221
4J127BD411
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CA02
4J127CB271
4J127CB274
4J127CB344
4J127CB372
4J127CB373
4J127CC024
4J127CC094
4J127CC174
4J127FA08
(57)【要約】
【課題】低粘度かつ無溶剤型のために塗膜形成時に溶剤の乾燥工程が不要な光硬化性樹脂組成物であって、硬度、密着性、透明性、耐擦傷性、および耐カール性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】本発明による無溶剤型光硬化性樹脂組成物は、(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、(B)2官能(メタ)アクリレート、(C)3~4官能(メタ)アクリレート、(D)5官能以上(メタ)アクリレート、および(E)光重合開始剤を含み、23℃における粘度が1,000mPa・s以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、(B)2官能(メタ)アクリレート、(C)3~4官能(メタ)アクリレート、(D)5官能以上(メタ)アクリレート、および(E)光重合開始剤を含み、23℃における粘度が1,000mPa・s以下である、無溶剤型光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマーの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、10質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)2官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、10質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)3~4官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)5官能以上(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(E)光重合開始剤の含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(B)2官能(メタ)アクリレートが、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(D)5官能以上(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
【請求項10】
基材と前記基材上に設けられた請求項9に記載の硬化被膜とを備える、被膜付き基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜および該硬化被膜付き基材にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイの表示画面上には、ハードコート層を備えた保護フィルムが使用される。当該ハードコート層は、硬化性樹脂組成物をフィルム表面上に塗布し、硬化させることで形成される。当該ハードコート層は薄膜で形成されることが多く、従来は、硬化性樹脂組成物を溶剤希釈により低粘度化して膜厚制御を行うことが主流であった。
【0003】
例えば、特許文献1では、硬度、密着性、外観、耐カール性を向上させたハードコート層を形成するために、(A)6官能ウレタンアクリレート;20~70重量部、(B)4官能以上の(メタ)アクリルモノマー;15~60重量部、(C)分子内に反応性(メタ)アクリレート基を有するシランカップリング剤にて表面処理されたコロイダルシリカ;10~40重量部、(D)光重合開始剤、および(E)希釈溶媒を含有するハードコート用組成物が提案されている。また、特許文献2では、硬度、基材密着性、および耐擦傷性を向上させた硬化物を得るために、特定のウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と、一分子中に1以上2以下の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)と、一分子中に3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(C)と、溶剤とを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-150484号公報
【特許文献2】国際公開第2020/209264号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有機溶剤を含む硬化性樹脂組成物を基材に塗布して塗膜を形成した場合、塗膜形成時に溶剤の乾燥工程が必要となるため、生産性やエネルギー効率の点で課題があった。
【0006】
本発明は上記の背景技術および課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低粘度であり、かつ、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物であって、硬度、密着性、透明性、耐擦傷性、および耐カール性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、(B)2官能(メタ)アクリレート、(C)3~4官能(メタ)アクリレート、(D)5官能以上(メタ)アクリレート、および(E)光重合開始剤を含み、23℃における粘度が1,000mPa・s以下である無溶剤型の光硬化性樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを知見した。より詳細には、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物は希釈溶媒を含有しないため、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いると、光硬化性樹脂組成物の粘度が上昇し過ぎる恐れがあった。また、官能基数の少ない(メタ)アクリレート(例えば、2官能のモノマー)を添加することで、粘度の上昇は抑制できるが、一方で架橋密度が低下し、硬度や耐擦傷性が低下する恐れがあった。そこで、3~4官能の(メタ)アクリレートと5官能以上(メタ)アクリレートを併用することにより、粘度上昇を抑えつつ架橋密度を上げることができ、塗装性、硬度や耐擦傷性、耐カール性をバランスよく付与することができるとの知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] (A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、(B)2官能(メタ)アクリレート、(C)3~4官能(メタ)アクリレート、(D)5官能以上(メタ)アクリレート、および(E)光重合開始剤を含み、23℃における粘度が1,000mPa・s以下である、無溶剤型光硬化性樹脂組成物。
[2] 前記(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマーの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、10質量%以上60質量%以下である、[1]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[3] 前記(B)2官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、10質量%以上50質量%以下である、[1]または[2]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[4] 前記(C)3~4官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上40質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[5] 前記(D)5官能以上(メタ)アクリレートの含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上30質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[6] 前記(E)光重合開始剤の含有量が、前記光硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%以上10質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[7] 前記(B)2官能(メタ)アクリレートが、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[8] 前記(D)5官能以上(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
[10] 基材と前記基材上に設けられた[9]に記載の硬化被膜とを備える、被膜付き基材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低粘度であり、かつ、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物であって、硬度、密着性、透明性、耐擦傷性、および耐カール性に優れる硬化被膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物を提供することができる。本発明の光硬化性組成物は、無溶剤型のために塗膜形成時に溶剤の乾燥工程が不要である。また、本発明によれば、このような無溶剤型光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜および該被膜付き基材を提供することもできる。本発明の無溶剤型光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜が基材上に設けられた基材は、硬度、密着性、透明性、耐擦傷性、および耐カール性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をより詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを表す。
【0011】
<光硬化性樹脂組成物>
本発明による無溶剤型の光硬化性樹脂組成物は、(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、(B)2官能(メタ)アクリレート、(C)3~4官能(メタ)アクリレート、(D)5官能以上(メタ)アクリレート、および(E)光重合開始剤を含むものである。本発明においては、光硬化性樹脂組成物が(A)~(E)成分を含むことで、硬度、密着性、透明性、耐擦傷性、および耐カール性に優れる硬化被膜を形成することができる。
【0012】
光硬化性樹脂組成物の23℃における粘度の上限値は、1000mPa・s以下であり、より好ましくは700mPa・s以下であり、さらにより好ましくは500mPa・s以下である。また、当該粘度の下限値は特に限定されないが、例えば、10mPa・s以上であってもよく、50mPa・s以上であってもよく、70mPa・s以上であってもよく、100mPa・s以上であってもよい。粘度が上記数値範囲内であれば、塗布適性に優れ、塗料として好適である。
なお、光硬化性樹脂組成物の23℃における粘度は、B型粘度計を用いて、JIS K 7117―1:1999に準拠し、ローター回転数は30rpmの条件で測定した値である。
【0013】
光硬化性樹脂組成物は、有機溶剤で希釈する必要が無い無溶剤型であり、塗膜形成時に溶剤の乾燥工程が不要であるため、生産性やエネルギー効率を改善することができる。また、揮発性有機化合物(VOC)の発散がほとんどないため、人体への影響がなく環境対応性に優れるため好ましい。本発明において、無溶剤型とは、光硬化性樹脂組成物の固形分(硬化被膜を構成する成分)が、光硬化性樹脂組成物全体に対して98質量%以上であることを言う。光硬化性樹脂組成物の固形分(硬化被膜を構成する成分)は、光硬化性樹脂組成物全体に対して、好ましくは99質量%以上であり、より好ましくは99.5質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
【0014】
以下、光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について詳述する。
【0015】
((A)6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)
6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内に官能基として6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、かつウレタン結合を有するオリゴマーを意味する。6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物である6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
【0017】
イソシアネート化合物の合成原料であるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、これらのうちの1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、特に製造方法の制約はなく、例えばジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化してエステル交換反応させたりする等、公知の方法にて得られるもの等を使用できる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ジマレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
【0019】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドープロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
【0020】
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記成分Aと成分Bを重縮合して得られる反応生成物等が挙げられる。即ち、成分Aとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール類、または、これらジオール類と、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸との反応生成物などが挙げられる。また、成分Bとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、2-トリル-4-トリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、炭酸エチレン等の芳香族系カーボネートまたは脂肪族系カーボネートなどが挙げられる。
【0021】
イソシアネート化合物の合成原料であるジイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、直鎖式、脂環式、または芳香環を有する脂肪族ジイソシアネートが好適である。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有分岐鎖状炭化水素、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-キシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4、4-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート基含有芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0022】
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、水酸基を少なくとも1個以上、好ましくは1~5個有する(メタ)アクリレートを用いることができる。また、このような水酸基含有(メタ)アクリレートの炭素数は特に限定されないが、好ましくは炭素数が2~20の炭化水素部位を有することが望ましい。ここで、炭化水素部位とは、直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基を有する有機基をいい、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよい。なお、当該炭化水素部位の一部には、エーテル結合が含まれていてもよい。
【0023】
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記以外にも、ポリカプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の変性体を用いてもよい。
【0024】
6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、市販品を用いることもできる。例えば、商品名:RUA-071VE(亜細亜工業社製)、商品名:UV-7600B(日本合成化学株式会社製)、商品名:ART RESIN UN-3320HA(根上工業(株)製)、商品名:EBECRYL 1290K、EBECRYL 5129、EBECRYL 220、EBECRYL 8254(以上、ダイセル・オルネクス(株)製)、商品名:U-6LPA、UA-1100H(以上、新中村化学工業(株)製)、商品名:CN975(サートマー(株)製)、商品名:DM527、DM528、DM571、DM576、DM776、DM87A、DM88A(以上、DOUBLE BOND CHEMICAL(株)製)、商品名:ヒタロイド7902-1、TA24-195H(以上、日立化成(株)製)等が挙げられる。
【0025】
6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、通常500~50,000、好ましくは600~20,000、より好ましくは1,000~15,000である。
【0026】
6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上55質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下である。6官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が上記数値範囲内であれば、光硬化性樹脂組成物の粘度の上昇を抑えながら、硬度、密着性、耐擦傷性、および耐カール性に優れる硬化被膜を形成することができる。
【0027】
((B)2官能(メタ)アクリレート)
2官能(メタ)アクリレートとは、分子内に官能基として2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレートおよびネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラフルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート;水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;1,3-ジオキサン-2,5-ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕等のジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物ジアクリレート物等のビスフェノールAまたはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物等のビスフェノールAまたはビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート;シリコーンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート;2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン;2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン;2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらの2官能(メタ)アクリレートの中でも、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートが好ましく、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの中でも、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,10-デカンジオールジアクリレートが好ましく、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。これらの2官能(メタ)アクリレートは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
2官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。また、2官能(メタ)アクリレートの含有量は、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計含有量に対して、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上75質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。2官能(メタ)アクリレートの含有量が上記数値範囲内であれば、光硬化性樹脂組成物の粘度低減や、密着性向上の効果があり、かつ硬化性を大きく損なわないため、硬度および耐擦傷性を維持することができる。
【0029】
((C)3~4官能(メタ)アクリレート)
3~4官能(メタ)アクリレートとは、分子内に官能基として3個または4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。3~4官能(メタ)アクリレートとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの3~4官能(メタ)アクリレートは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
3~4官能(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。また、3~4官能(メタ)アクリレートの含有量は、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計含有量に対して、好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上55質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上50質量%以下である。3~4官能(メタ)アクリレートの含有量が上記数値範囲内であれば、光硬化性樹脂組成物の粘度上昇を抑えながら硬化性を向上し、硬度、耐傷性を維持することができる。
【0031】
((D)5官能以上(メタ)アクリレート)
5官能以上(メタ)アクリレートとは、分子内に官能基として5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を意味する。5官能以上(メタ)アクリレートとしては、5~6官能(メタ)アクリレートが好ましい。5官能以上(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの5官能以上(メタ)アクリレートは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
5官能以上(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上27質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上25質量%以下である。また、5官能以上(メタ)アクリレートの含有量は、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計含有量に対して、好ましくは1質量%以上45質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下である。5官能以上(メタ)アクリレートの含有量が上記数値範囲内であれば、光硬化性樹脂組成物の架橋密度が高まることにより硬度、耐擦傷性が向上するとともに、耐カール性を維持することができる。
【0033】
((E)光重合開始剤)
光重合開始剤は、特に限定されず、従来公知の紫外線硬化用の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイルホルメート系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤、ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤等が挙げられる。
【0034】
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
アセトフェノン系重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系重合開始剤としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系重合開始剤としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]およびエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤としては、ベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、および4,4’-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
光重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上9質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上8質量%以下である。光重合開始剤の含有量が上記数値範囲内であれば、光硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となり、透明性に優れる硬化被膜を形成することができる。
【0036】
(その他の成分)
本発明による光硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)~(E)成分以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、重合禁止剤、つや消し剤、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、密着性向上剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤、シランカップリング剤、可塑剤等を必要に応じて配合することができる。
【0037】
<光硬化性樹脂組成物の調製方法>
本発明による光硬化性樹脂組成物は、上記の各成分を、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を用いて、混合・撹拌することにより得られる。このような装置としては、例えば、混合・分散ミル、ホモディスパー、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザー等が挙げられる。
【0038】
(硬化被膜)
本発明による光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜は、厚さ3μm~10μmの場合、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズ(HZ)が、好ましくは1.0%未満であり、より好ましくは0.80%以下であり、さらに好ましくは0.50%以下である。また、厚さ3μm~10μmの硬化被膜は、JIS K 7361-1に準拠して測定した全光線透過率(TT)が、好ましくは80.0%以上であり、より好ましくは85.0%以上であり、さらに好ましくは90.0%以上である。ヘイズおよび全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性に優れる。
【0039】
<被膜付き基材>
本発明による被膜付き基材は、基材上に上記の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜を備えるものである。基材としては、特に限定されないが、プラスチック基材等の透明基材を用いることが好ましい。基材としては、各種の透明プラスチックフィルムを用いることが好ましい。透明プラスチックフィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタラートフィルムが強度や光学特性等のバランスなどの点で好ましい。
【0040】
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上500μm以下であり、より好ましくは50μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは100μm以上300μm以下である。
【0041】
(用途)
本発明による被膜付き基材は、用途は特に限定されず、光学機器のディスプレイ、家電製品、窓等の建材用品、自動車の内外装部品等の保護フィルムに好適に用いることができる。
【0042】
<被膜付き基材の製造方法>
本発明による被膜付き基材は、上記の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
塗布工程の後、紫外線照射により上記の光硬化性脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を含むものである。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0043】
(塗布工程)
塗布工程は、基材の少なくとも一方の面上に、従来公知の方法により、上記の光硬化性樹脂組成物を塗布する工程である。塗布には、例えば、スプレー、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(ナチュラルロールコーターおよびリバースロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーターおよびブレードコーター等の塗布機が使用できる。
【0044】
(硬化工程)
硬化工程は、基材の塗布面に紫外線を照射して、塗布された光硬化性樹脂組成物を硬化させて、硬化被膜を形成する工程である。紫外線で硬化させる方法としては、200~500nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、UV-LED等を用いて、紫外線を照射する方法等が挙げられる。紫外線の照射量は、光硬化性樹脂組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から、好ましくは100~3,000mJ/cmであり、より好ましくは200~2,000mJ/cmである。
【実施例0045】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
光硬化性樹脂組成物のために、以下の材料を用いた。
・(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー1:亜細亜工業社製、商品名:RUA-071VE
・(A)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー2:日本合成化学株式会社製、商品名:UV-7600B
・(B)2官能(メタ)アクリレート1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、MIWON社製、商品名:MIRAMER M-200
・(B)2官能(メタ)アクリレート2:1,9-ノナンジオールジアクリレート、共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレート1.9ND-A
・(B)2官能(メタ)アクリレート3:1,10-デカンジオールジアクリレート、MIWON社製、商品名:MIRAMER M-2010
・(B)2官能(メタ)アクリレート4:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDCP-A
・(C)3~4官能(メタ)アクリレート1:3~4官能、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート、ダイセルオルネクス社製、商品名:PETIA
・(C)3~4官能(メタ)アクリレート2:3官能、トリメチロールプロパントリアクリレート、ダイセルオルネクス社製、商品名:TMPTA
・(C)3~4官能(メタ)アクリレート3:3官能、グリセリントリアクリレート、東亜合成社製、商品名:アロニックスM-930
・(D)5官能以上(メタ)アクリレート1:5~6官能(5官能が40~50%)、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(DPPA/DPHA)、東亜合成社製、商品名:アロニックスM-400
・(D)5官能以上(メタ)アクリレート2:6官能、カプロラクトン変性DPHA、日本化薬社製、商品名:KAYARAD DPCA-20
・(E)光重合開始剤1:アセトフェノン系重合開始剤、IGM Resin社製、商品名:Omnirad 184
【0047】
[実施例1~12、比較例1~4]
[光硬化性樹脂組成物の調製]
表1および2に記載の配合に従って、各成分を混合することにより、無溶剤型の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0048】
[光硬化性樹脂組成物の評価]
(粘度)
上記で調製した無溶剤型の光硬化性樹脂組成物の23℃の粘度を、B型粘度計を用いて、JIS K 7117―1:1999に準拠し、ローター回転数は30rpmの条件で測定した。23℃の粘度が1000mPa・s以下であれば、低粘度であり、塗布適性に優れると評価した。
【0049】
[被膜付き基材の製造]
PETフィルム(厚さ188μm)基材に、上記で調製した光硬化性樹脂組成物を膜厚が約5μmとなるように1回塗布した。続いて、上記基材の塗布面に、高圧水銀ランプにて紫外線を照射することで(照射量:600mJ/cm)、塗膜を硬化させ、硬化被膜を形成し、被膜付き基材を得た。
【0050】
[被膜付き基材の評価]
(硬度)
上記で製造した被膜付き基材の塗膜表面硬度を引っかき硬度(鉛筆法)により評価した。具体的には、鉛筆硬度の測定は、JIS K 5600-5-4:1990に準拠し、引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製、553-M)および日本塗料検査協会認定の鉛筆(三菱鉛筆株式会社製、Hi-uni)を使用した。鉛筆を硬化被膜に対して角度45、荷重750gで押すように取り付けた後、引っかき試験を行い、硬化被膜の破れや窪み、擦り傷等が認められない最も硬い鉛筆の濃度記号を塗膜の鉛筆硬度とした。鉛筆硬度がH以上であれば、硬化被膜が十分な表面硬度を有すると評価した。
【0051】
(密着性)
上記で製造した硬化被膜付き基材の密着性を評価した。具体的には、JIS K 5600-5-6:1990に記載されている碁盤目試験の方法に準じて、被膜付き基材の硬化被膜上にカッターで1mm幅、100マスの傷を入れ、碁盤目を付けた試験片を作製した。続いて、試験片にセロテープ(登録商標)(商品名、ニチバン株式会社製)を貼り付けた後、セロテープを速やかに、碁盤面に対して45度斜め上方の方向に引っ張ることで剥離した。残った碁盤目上の硬化被膜数を計数し、この残存数を密着性の指標とした。測定結果を表3および4に示した。碁盤目上の硬化被膜の残存数が100/100であれば、密着性に優れていると評価した。
【0052】
(透明性)
上記で製造した被膜付き基材の透明性をヘイズ(HZ)および全光線透過率(TT)により評価した。具体的には、ヘイズの測定には、JIS K 7136に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、ND H4000)を使用した。全光線透過率の測定には、JIS K 7361-1に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、ND H4000)を使用した。測定結果を表3および4に示した。ヘイズが1.0%未満であり、 全光線透過率が80.0%以上であれば、透明性に優れていると評価した。
【0053】
(耐擦傷性)
上記で製造した被膜付き基材の耐擦傷性を耐擦傷性試験前後のヘイズの変化により評価した。具体的には、平面摩耗試験機(PAS-400、株式会社大栄科学精器製作所製)を使用して硬化被膜の耐擦傷性試験を行った。スチールウール(#0000)を使用し、500g/cmの荷重をかけて50往復し、耐擦傷性試験前後のヘイズ(HZ)の差を測定した。測定結果を表3および4に示した。耐擦傷性試験前後のヘイズ(HZ)の差が3.0%以下であれば、耐擦傷性に優れると評価した。
【0054】
(耐カール性)
上記で製造した硬化被膜付き基材の耐カール性を評価した。具体的には、硬化被膜付き基材を10cm×10cmのサイズのサンプルに切り出した。その後、サンプルの中央部分が測定台に接するように置き、サンプルの四隅の測定台(水平面)からの浮き上がりを測定し、平均値を算出した。合計値を表3および4に示した。平均値が10mm以下であれば、合格とした。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】