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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136140
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240927BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20240927BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20240927BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/22
C09J7/24
C09J201/00
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047131
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】清水 いずみ
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義宣
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 哲志
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA05
4J004DB03
4J004EA06
4J004FA08
4J040DF031
4J040EF282
4J040GA07
4J040HA136
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA32
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA06
4J040LA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】フッ素樹脂を含む基材を備えながらも光学装置への使用に適した粘着テープを提供する。
【解決手段】提供される粘着テープは、フッ素樹脂を含む基材と、基材上に配置された粘着剤層とを備える。提供される粘着テープにおいて、波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率は50%以上である。基材の厚さは90μm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂を含む基材と、前記基材上に配置された粘着剤層と、を備え、
波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率が50%以上であり、
前記基材の厚さが90μm以下である、
粘着テープ。
【請求項2】
前記基材が切削シートである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層が白色粒子を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層における前記白色粒子の含有率が3.5重量%以上30重量%以下である、請求項3に記載の粘着テープ。
【請求項5】
光を拡散及び/又は反射する材料として、前記基材に含まれる前記フッ素樹脂と、前記粘着剤層に含まれる前記白色粒子とのみを含む、請求項3に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記基材が延伸シートである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記基材が単層構造を有する、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項9】
前記粘着テープが片面粘着テープであり、
波長550nmの光に対する前記基材側の表面の反射率が50%以上である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項10】
波長450nmの光に対する前記少なくとも一方の表面の反射率が50%以上である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項11】
180°引きはがし粘着力が0.6N/10mm以上である、請求項1に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)やエレクトロルミネセンス(EL)表示装置等、光学部材を備えた光学装置の内部に、光の反射性に優れる粘着テープが使用されることがある。特許文献1には、LCDモジュールの液晶パネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される粘着テープが開示されている。特許文献1には、白色着色剤を含んだポリエステルフィルムを有する光反射層を備えたテープ基材とすることにより、反射性に優れる粘着テープが得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-175328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリエステル樹脂に代わってフッ素樹脂をテープ基材に使用することが考えられる。フッ素樹脂の使用により、粘着テープとしてのクッション性や滑り性の向上が期待される。しかし、フッ素樹脂は一般に柔らかく、白色着色剤を基材に添加した場合、ポリエステル樹脂に比べて使用時に着色剤が脱落しやすい。光学装置における着色剤の脱落は避けることが望まれる。換言すれば、フッ素樹脂を基材に使用しながら反射性に優れる粘着テープを得るためには検討が不十分であった。また、特許文献1では、平坦な面への粘着テープの貼付のみが考慮されている。しかし、更なる薄型化や高機能化等がなされた近年の光学装置では、例えば部材の形状が多岐にわたることにより、粘着テープの貼付面は平坦であるとは限らない。粘着テープを折り曲げながら貼付することも想定される。
【0005】
本発明は、フッ素樹脂を含む基材を備えながらも光学装置への使用に適した粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
フッ素樹脂を含む基材と、前記基材上に配置された粘着剤層と、を備え、
波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率が50%以上であり、
前記基材の厚さが90μm以下である、
粘着テープ、
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粘着テープは、フッ素樹脂を含む基材を備えながらも光学装置への使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の粘着テープの一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の粘着テープの一例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、実施例で実施した追従性試験2を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1態様にかかる粘着テープは、
フッ素樹脂を含む基材と、前記基材上に配置された粘着剤層と、を備え、
波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率が50%以上であり、
前記基材の厚さが90μm以下である。
【0010】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる粘着テープでは、前記基材が切削シートである。
【0011】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる粘着テープでは、前記粘着剤層が白色粒子を含む。
【0012】
本発明の第4態様において、例えば、第3態様にかかる粘着テープでは、前記粘着剤層における前記白色粒子の含有率が3.5重量%以上30重量%以下である。
【0013】
本発明の第5態様において、例えば、第3又は第4態様にかかる粘着テープは、光を拡散及び/又は反射する材料として、前記基材に含まれる前記フッ素樹脂と、前記粘着剤層に含まれる前記白色粒子とのみを含む。
【0014】
本発明の第6態様において、例えば、第1及び第3から第5態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、前記基材が延伸シートである。
【0015】
本発明の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、前記基材が単層構造を有する。
【0016】
本発明の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0017】
本発明の第9態様において、例えば、第1から第8態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、前記粘着テープが片面粘着テープであり、波長550nmの光に対する前記基材側の表面の反射率が50%以上である。
【0018】
本発明の第10態様において、例えば、第1から第9態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、波長450nmの光に対する前記少なくとも一方の表面の反射率が50%以上である。
【0019】
本発明の第11態様において、例えば、第1から第10態様のいずれか1つの態様にかかる粘着テープでは、180°引きはがし粘着力が0.6N/10mm以上である。
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
本実施形態の粘着テープの一例を図1に示す。図1の粘着テープ1は、フッ素樹脂を含む基材2と、基材2上に配置された粘着剤層3とを備える。粘着テープ1について、波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率(以下、R550と記載)が50%以上である。基材2の厚さは90μm以下である。
【0022】
フッ素樹脂を含む基材2は、他の樹脂、典型的にはポリエステル樹脂、からなる基材に比べて柔軟である。また、基材2の厚さは90μm以下に制限されている。このため、粘着テープ1は、貼付面への追従性に優れており、例えば、光学装置の設計上、段差を有する貼付面に貼付する場合や粘着テープを折り曲げながら貼付しなければならない場合においても、その貼付性を高めることができる。更に、波長550nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率は所定値以上である。粘着テープ1は、光学装置への使用に適している。
【0023】
R550は、55%以上、60%以上、63%以上、65%以上、68%以上、70%以上、73%以上、75%以上、78%以上、80%以上、更には83%以上であってもよい。R550の上限は、例えば100%以下であり、98%以下、95%以下、93%以下、更には90%以下であってもよい。
【0024】
基材2の厚さは、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、45μm以下、更には40μm以下であってもよい。厚さの下限は、10μm以上、15μm以上、20μm以上、23μm以上、25μm以上、28μm以上、30μm以上、33μm以上、更には35μm以上であってもよい。
【0025】
[基材]
基材2は、フッ素樹脂を含む。フッ素樹脂は、基材2の主成分であってもよい。本明細書において主成分とは、含有率が最大の成分を意味する。主成分の含有率は、例えば50重量%以上であり、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、更には95重量%以上であってもよい。基材2は、フッ素樹脂により実質的に構成されていてもよく、この場合、基材2におけるフッ素樹脂の含有率は、例えば97重量%以上であり、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、99.9重量%以上、更には99.9重量%超であってもよい。
【0026】
フッ素樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン-ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びエチレン-ポリテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)から選ばれる少なくとも1種である。フッ素樹脂は、PTFEであってもよい。本発明者らの検討によれば、粘着テープ1の追従性には、基材2の変形性及びコシも寄与しうる。変形性は、例えば、粘着テープ1の折り曲げのし易さに影響する。コシは、例えば、粘着テープ1の貼付時における皺の発生の抑制に影響する。薄型化された粘着テープ1であるほど、貼付時に皺が発生しやすい。PTFEは、良好な変形性及びコシを有する基材2の達成に特に適している。
【0027】
基材2は、切削シート(スカイブシート)であってもよい。切削シートである基材2の典型的な一例は、PTFE切削シートである。なお、切削シートであることは、シートの表面を拡大観察したときに、切削シートに特有の線状のキズ(切削キズとして当業者に周知)が確認されることから判別できる。切削シートである基材2の製法の一例を、フッ素樹脂がPTFEである場合について、以下に示す。
【0028】
PTFE粉末(モールディングパウダー)を金型に導入し、所定の圧力を所定の時間加えて予備成形する。予備成形は、常温で実施できる。PTFE粉末を収容する金型の内部空間の形状は、後述の切削旋盤による切削を可能とするために円柱状であることが好ましい。この場合、円柱状のPTFEブロックを形成できる。次に、形成された予備成形品を金型から取り出し、PTFEの融点(327℃)以上の温度で所定の時間焼成して、PTFEブロックを得る。次に、得られたPTFEブロックを所定の厚さに切削して、切削シートであるPTFEシートを製造できる。PTFEブロックが円柱状である場合には、ブロックを回転させながら連続的に表面を切削する切削旋盤の利用が可能となることで、PTFEシートの効率的な製造が可能である。また、切削旋盤によれば、製造するPTFEシートの厚さの制御が比較的容易であり、帯状のPTFEシートを製造することもできる。PTFEシートは、そのままで、あるいは、歪みを除去するための熱処理や表面改質処理等の各種の処理を実施した後に、基材2として使用できる。
【0029】
基材2は、延伸シートであってもよい。延伸シートである基材2の典型的な一例は、微多孔のPTFE延伸シートである。本明細書において、微多孔シートとは、厚さ方向の通気度がガーレー数で表示して20~1万秒/100mLの範囲にあるシートを意味する。微多孔シートにおける上記厚さ方向の通気度は、20~5000秒/100mL、40~1000秒/100mL、更には50~300秒/100mLであってもよい。ガーレー数は、JIS L1096(2010)に定められた通気性測定B法(ガーレー形法)によって与えられる空気透過度を意味する。
【0030】
微多孔シートの平均孔径は、例えば、0.01~1μmである。微多孔シートの気孔率は、例えば、5~50%である。平均孔径は、ASTM(米国試験材料協会)F316-86に準拠して測定できる。気孔率は、シートの質量及び体積、並びにシートを構成する材料の真密度を下記式に代入して算出できる。なお、PTFEについて、真密度は2.18g/cm3である。
式:気孔率[%]={1-(質量[g]/(厚さ[cm]×面積[cm2]×真密度[g/cm3]))}×100
【0031】
微多孔の延伸シートである基材2の製法の一例を、フッ素樹脂がPTFEである場合について、以下に示す。
【0032】
PTFE粉末の分散液(PTFEディスパージョン)をベースシートに塗布して塗布膜を形成する。ベースシートは、耐熱性プラスチック(ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等)、金属及びセラミック等の耐熱性材料から形成されうる。塗布膜は、コーターを用いる方法の他、ベースシートを分散液に浸漬する方法によっても形成できる。ベースシートに対する濡れ性を高めるために、分散液には界面活性剤が含まれていてもよい。次に、形成した塗布膜を加熱して、塗布膜中の分散媒を除去すると共にPTFE粒子を相互に結着させて、PTFEのキャストシートを得る。典型的な加熱の一例では、90~150℃程度の加熱(1段目)により分散媒を除去した後、PTFEの融点以上の温度である350~400℃程度の加熱(2段目)によりPTFE粒子を結着させる。塗布膜の形成及び加熱を繰り返すことで、キャストシートの厚さを大きくしてもよい。なお、キャストシートであるPTFEシートを基材2として使用してもよい。
【0033】
次に、ベースシートから剥離したキャストシートをその面内のある一方向(例えばMD方向;帯状である場合は長手方向)に圧延し、更に上記とは異なる面内のある一方向(例えばTD方向;帯状である場合は幅方向)に延伸して、微多孔の延伸シートであるPTFEシートを製造できる。圧延は、例えば、プレス圧延又はロール圧延により実施できる。圧延の温度は、例えば80~200℃である。圧延の倍率は、例えば1.25~3.5倍である。延伸には、テンター延伸機等の各種の延伸機を使用できる。延伸の温度は、例えば100~400℃である。延伸の倍率は、例えば1.25~3.5倍である。PTFEシートは、そのままで、あるいは表面改質処理等の各種の処理を実施した後に、基材2として使用できる。
【0034】
表面改質処理の一例は、PTFEシートの被接合性を高める処理である。当該処理によって、例えば、PTFEシートを含む基材2に対する粘着剤層3の投錨性を向上できる。被接合性を高める処理は、化学的な処理であっても、物理的な処理であってもよい。化学的な処理の一例は、ナトリウム等のアルカリ金属を用いたアルカリ金属処理である。アルカリ金属処理では、例えば、金属ナトリウムを含むエッチング液をPTFEシートに接触させる(ナトリウム処理)。エッチング液の例は、金属ナトリウムを液体アンモニアに溶解させた金属ナトリウム/液体アンモニア溶液、及び金属ナトリウムをナフタレン溶液に溶解させた金属ナトリウム/ナフタレン溶液である。物理的な処理の一例は、スパッタエッチング処理である。スパッタエッチング処理は、例えば、減圧チャンバーに収容したPTFEシートに対して、アルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で高周波電圧を印加することで実施できる。
【0035】
延伸シートである基材2の別の一例は、多孔質のPTFE延伸シートである。多孔質のPTFE延伸シートは、例えば、PTFE粒子を含むペースト押出物を延伸して、又はキャストシートを圧延することなく延伸して形成できる。多孔質シートの厚さ方向の通気度は、ガーレー数で表示して、通常、20秒/100mL未満である。
【0036】
図1の粘着テープ1における一方の露出面11、換言すれば、基材2における粘着剤層3の側とは反対側の露出面、は、フッ素樹脂を含む基材2から構成される。露出面11が基材2から構成されることは、粘着テープ1の滑り性の向上に寄与しうる。
【0037】
図1の基材2は、単層構造を有する。フッ素樹脂を含む層の単層構造を有する基材2は、粘着テープ1の追従性の向上及び片面粘着テープとしての滑り性の向上に、特に寄与しうる。ただし、基材2は、2以上の層から構成される多層構造を有していてもよい。
【0038】
基材2は、少なくとも一方の主面、特に粘着剤層3の側の主面、に対する表面改質処理がなされたシートであってもよい。表面改質処理の例は、アルカリ金属処理及びスパッタエッチング処理である。
【0039】
基材2の形状は、例えば、正方形及び長方形等の多角形、並びに帯状である。ただし、基材2の形状は、上記例に限定されない。
【0040】
[粘着剤層]
粘着剤層3は、粘着剤組成物から形成された層である。粘着剤組成物の例は、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系及びゴム系の各粘着剤組成物である。粘着剤組成物は、アクリル系又はシリコーン系であってもよく、アクリル系であってもよい。換言すれば、粘着剤層3は、アクリル系粘着剤層又はシリコーン系粘着剤層であってもよく、アクリル系粘着剤層であってもよい。ただし、粘着剤層3を形成しうる粘着剤組成物は、上記例に限定されない。アクリル系粘着剤組成物の例は、特開2005-105212号公報に開示されている。シリコーン系粘着剤の例は、特開2003-313516号公報に開示されている(比較例として開示のものを含む)。
【0041】
粘着剤層3は、白色粒子を含んでいてもよい。白色粒子を含む粘着剤層3は、粘着テープ1の反射率の向上に寄与しうる。
【0042】
白色粒子の例は、無機粒子である。無機粒子の例は、酸化チタン(典型的には、二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム及び酸化セシウム等の金属酸化物から構成される粒子、炭酸カルシウム及び炭酸バリウム等の金属炭酸塩から構成される粒子、並びに水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム及び水酸化亜鉛等の金属水酸化物から構成される粒子である。白色粒子は、樹脂粒子等の有機粒子であってもよい。白色粒子は、酸化チタン粒子であってもよい。
【0043】
白色粒子を含む粘着剤層3における白色粒子の含有率は、例えば、0.1重量%以上90重量%以下である。白色粒子の含有率の下限は、0.5重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、12重量%以上、更には13重量%以上であってもよい。含有率の上限は、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、更には20重量%以下であってもよい。白色粒子の含有率は、3.5重量%以上30重量%以下であってもよい。
【0044】
粘着剤層3の厚さは、例えば1~50μmである。粘着剤層3の厚さの下限は、3μm以上、5μm以上、7μm以上、10μm以上、更には12μm以上であってもよい。粘着剤層3の厚さの上限は、45μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、23μm以下、20μm以下、更には18μm以下であってもよい。
【0045】
粘着剤層3は、上述した以外の他の材料を含んでいてもよい。他の材料は、粘着剤層3を形成しうる粘着剤組成物に含まれる材料であってもよい。他の材料の例は、架橋剤、架橋助剤、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤及び光安定剤等の添加剤である。ただし、粘着剤層3は、蛍光剤及び金属粒子を実質的に含まなくてもよい。蛍光剤及び金属粒子を実質的に含まない粘着剤層3は、粘着テープ1について、光の波長による反射率の相違を抑えること、例えば、R550と、波長450nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率(以下、R450と記載)との差の絶対値を小さくすること、に寄与しうる。蛍光剤の例は、蛍光増白剤である。本明細書において、実質的に含まないとは、含有率が、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.03重量%以下、特に好ましくは0.01重量%未満であることを意味する。
【0046】
[粘着テープ]
図1の粘着テープ1は、基材2及び粘着剤層3を備える。基材2及び粘着剤層3の組み合わせの例は、切削シート又はキャストシート、特に切削シート、である基材2と、白色粒子を含む粘着剤層3との組み合わせ、及び、延伸シートである基材2と、白色粒子を実質的に含まない粘着剤層3との組み合わせである。基材2は、白色粒子を実質的に含まなくてもよい。
【0047】
粘着テープ1は、光を拡散及び/又は反射する材料として、基材2に含まれるフッ素樹脂と、粘着剤層3に含まれる白色粒子とのみを含んでいてもよい。この態様は、貼付面への追従性の向上に特に適している。また、この態様は、粘着テープ1について光の波長による反射率の相違を抑えることに適している。
【0048】
粘着テープ1のR450は、例えば50%以上であり、55%以上、60%以上、63%以上、65%以上、68%以上、70%以上、73%以上、75%以上、78%以上、80%以上、83%以上、更には85%以上であってもよい。R450の上限は、例えば100%以下であり、98%以下、95%以下、93%以下、更には90%以下であってもよい。
【0049】
粘着テープ1について、波長630nmの光に対する少なくとも一方の表面の反射率(以下、R630と記載)は、例えば45%以上であり、50%以上、55%以上、60%以上、63%以上、65%以上、68%以上、70%以上、73%以上、75%以上、78%以上、更には80%以上であってもよい。R630の上限は、例えば100%以下であり、98%以下、95%以下、93%以下、更には90%以下であってもよい。
【0050】
R450とR550との差の絶対値は、6%以下、5.5%以下、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、更には2%以下であってもよい。上記絶対値の小さい粘着テープ1は、光学装置への使用に特に適している。R450は、R550に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0051】
R630とR550との差の絶対値は、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、更には3%以下であってもよい。上記絶対値の小さい粘着テープ1は、光学装置への使用に特に適している。R630は、R550に比べて小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0052】
R450、R550及びR630は、例えば、分光光度計等の光学特性評価装置を用いて評価した粘着テープ1の反射スペクトルから求めることができる。ただし、反射スペクトルは、鏡面処理がなされた面を有するステンレス板の当該面に粘着テープ1を貼付した状態で評価する。このとき、反射スペクトルを評価するための光は、ステンレス板の側とは反対側の露出面から粘着テープ1に入射する。ステンレス板への貼付には、粘着テープ1の粘着剤層3を使用でき、この場合、片面粘着テープである粘着テープ1については、基材側反射率を求めることができる。
【0053】
図1の粘着テープ1は、片面粘着テープである。片面粘着テープである粘着テープ1について、R450、R550及びR630の各反射率は、基材2の側から光を入射したときの反射率(基材側反射率)であってもよい。換言すれば、粘着テープ1は片面粘着テープであって、波長550nmの光に対する基材2側の表面の反射率が50%以上であってもよい。
【0054】
本実施形態の粘着テープ1は、片面粘着テープに限定されず、両面粘着テープであってもよい。両面粘着テープである粘着テープ1は、基材2と、基材2の双方の主面上に各々配置された一対の粘着剤層とを備える。少なくとも一方の粘着剤層は粘着剤層3であり、双方の粘着剤層が粘着剤層3であってもよい。粘着剤層3ではない粘着剤層には、公知の粘着テープが備える粘着剤層を適用できる。
【0055】
粘着テープ1の厚さは、例えば6~400μmである。粘着テープ1の厚さの上限は、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、125μm以下、100μm以下、85μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、更には55μm以下であってもよい。粘着テープ1の厚さの下限は、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、更には35μm以上であってもよい。
【0056】
粘着テープ1は、基材2及び粘着剤層3から選ばれる少なくとも1つの側、典型的には基材2側、の外観が白色である白色粘着テープであってもよい。なお、本明細書において白色とは、例えば、白色度が、L***表色系のL*値により表して70以上であることを意味する。L***表色系は、国際照明委員会(CIE)により1976年に定められた表色系であり、「CIELAB」とも称される。L***表色系では、明度に対応するL*の値が大きくなるほど、白色度が高くなる。
【0057】
粘着テープ1の180°引きはがし粘着力は、例えば0.6N/10mm以上であり、0.8N/10mm以上、1.0N/10mm以上、1.2N/10mm以上、1.4N/10mm以上、1.5N/10mm以上、1.6N/10mm以上、更には1.7N/10mm以上であってもよい。180°引きはがし粘着力の上限は、例えば6.0N/10mm以下であり、5.5N/10mm未満、5.0N/10mm以下、4.5N/10mm以下、4.0N/10mm以下、3.5N/10mm以下、3.2N/10mm以下、2.5N/10mm以下、2.0N/10mm以下、更には1.8N/10mm以下であってもよい。180°引きはがし粘着力は、日本産業規格(旧日本工業規格;JIS)Z0237:2009に定められた、粘着テープに対する180°引きはがし粘着力の測定方法に準拠して測定できる。なお、上記180°引きはがし粘着力は、後述する加熱試験前の粘着力(初期粘着力)である。
【0058】
粘着テープ1について、加熱試験(温度60℃の雰囲気下に1週間放置)後の180°引きはがし粘着力(加熱試験後粘着力)は、例えば1.0N/10mm以上であり、1.2N/10mm以上、1.3N/10mm以上、1.4N/10mm以上、1.5N/10mm以上、1.8N/10mm以上、2.0N/10mm以上、2.5N/10mm以上、3.0N/10mm以上、3.5N/10mm以上、更には3.8N/10mm以上であってもよい。加熱試験後粘着力の上限は、例えば6.0N/10mm以下であり、5.5N/10mm未満、5.0N/10mm以下、4.5N/10mm以下、更には4.3N/10mm以下であってもよい。加熱試験後粘着力は、加熱試験後の粘着テープ1を評価対象物とする以外は、初期粘着力と同様に測定できる。なお、上記加熱試験は、粘着テープ1の長期保存を想定した加速試験に対応する。
【0059】
片面粘着テープである粘着テープ1における基材2側の露出面11の表面抵抗率は、1×1011Ω/sq以上、1×1012Ω/sq以上、1×1013Ω/sq以上、更には1×1014Ω/sq以上であってもよい。表面抵抗率の上限は限定されず、例えば1×1018Ω/sq以下である。
【0060】
粘着テープ1の形状は、例えば、正方形及び長方形等の多角形、並びに帯状である。ただし、粘着テープ1の形状は、上記例に限定されない。多角形の粘着テープ1は枚葉としての流通が、帯状の粘着テープ1は、巻芯に巻回した巻回体としての流通が、それぞれ可能である。帯状である粘着テープ1の幅、及び帯状である粘着テープ1を巻回した巻回体の幅は自由に設定できる。
【0061】
粘着テープ1は、基材2が含むフッ素樹脂に由来する特性を示しうる。特性の例は、耐熱性、耐湿性、耐溶剤性、耐薬品性、耐燃焼性及び耐候性である。
【0062】
粘着テープ1は、基材2及び粘着剤層3以外の材料及び/又は層を含んでいてもよい。更なる層を備えた粘着テープ1の一例を図2に示す。図2の粘着テープ1は、粘着剤層3を覆うように粘着剤層3上に配置された剥離ライナー(セパレータ)4を更に備える。剥離ライナー4は、粘着テープ1の流通や保管時に粘着剤層3を保護する機能を有する。剥離ライナー4は、通常、粘着テープ1の使用時に剥離される。剥離ライナー4における粘着剤層3の側の面には、剥離処理が施されていてもよい。剥離ライナー4の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂のシート、及びポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂のシートである。剥離ライナー4は、公知の粘着テープが備えうる剥離ライナーと同じであってもよい。
【0063】
粘着テープ1は、例えば、LCD、EL表示装置等の光学装置に使用できる。粘着テープ1は、光学装置に使用する部材に貼付して使用してもよい。光学装置の製造工程において当該部材は、粘着テープ1が貼付された状態で光学装置に取り付けられてもよい。ただし、粘着テープ1の用途及び使用の態様は、上記例に限定されない。
【0064】
粘着テープ1は、例えば、基材2上に粘着剤層3を形成して製造できる。粘着剤層3は、例えば、粘着剤組成物の塗布膜を基材2上に形成し、形成した塗布膜を乾燥及び/又は硬化して形成できる。白色粒子を含む粘着剤層3の形成には、白色粒子を含む粘着剤組成物を使用できる。粘着剤組成物の塗布、並びに塗布膜の乾燥及び硬化には、公知の方法を適用できる。
【実施例0065】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0066】
本実施例では、片面粘着テープである粘着テープを作製した。作製した粘着テープの評価方法を示す。
【0067】
[反射率]
粘着テープの反射率は、以下のように評価した。評価対象の粘着テープをサイズ2cm×2cmに切り出して試験片とした。鏡面処理がなされた面を有するステンレス板(日本金属製、SUS304 BA板)を準備し、切り出した試験片を、その粘着剤層を介して上記面に貼付した。次に、貼付した試験片をステンレス板ごと分光光度計(日本分光製、紫外可視分光光度計V-560)にセットし、試験片の基材側を光の照射側として、波長200~800nmの光に対する試験片の反射スペクトルを得た。得られた反射スペクトルから、波長450nm、550nm及び630nmの各光に対する試験片の反射率を求めた。
【0068】
[初期粘着力]
粘着テープの初期粘着力(単位:N/10mm)は、JIS Z0237:2009に定められた、粘着テープに対する180°引きはがし粘着力の測定方法に準拠して測定した。試験片のサイズは、幅10mm及び長さ150mmとした。被着体であるステンレス板(SUS304)と試験片とは、温度23℃及び相対湿度50%の試験雰囲気にて、質量2kgのローラーを1往復させて圧着させた。被着体と試験片との接合を安定させるために、上記圧着から少なくとも30分放置した後、試験片を被着体から剥離角度180°及び剥離速度300mm/分で引きはがす180°引きはがし試験を実施した。試験開始後、最初に引きはがされた長さ40mm分の測定値は無視し、その後、引きはがされた長さ100mm分の測定値の平均を、粘着テープの初期粘着力とした。
【0069】
[加熱試験後粘着力]
作製後、温度60℃の雰囲気下に1週間放置する加熱試験を経た粘着テープを評価対象物とした以外は、初期粘着力の評価と同様にして、加熱試験後粘着力を評価した。加熱試験には、熱風乾燥機を使用した。
【0070】
[追従性試験]
粘着テープの追従性試験は、以下のように実施した。各試験は、温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気で実施した。
(試験1)
JIS Z0237:2009に記載の試験片の準備方法(項目4.1)に従って、幅10mmの試験片を得た。次に、ステンレス製の丸棒(直径8mm)を準備し、試験片をその長さ方向の一方の端部から丸棒に巻き付けた。巻き付けは、試験片の他方の端部を手で引っ張りながら、丸棒の周面の円周方向に実施した。既に巻き付いている試験片と幅方向の両端を一致させながら約1周半巻き付けた時点で試験片を幅方向にカットし、カットした端部が密着するように表面に垂直に軽く力を加えた。その後、温度40℃及び湿度95%RHの環境下に3時間放置する間に、カットした端部に浮きが発生しなかった場合をA、浮きが発生した場合をBとした。
【0071】
(試験2)
JIS Z0237:2009に記載の試験片の準備方法(項目4.1)に従って、幅10mm及び長さ200mmの試験片21を得た。次に、ステンレス製のプレート51(長さ200mm、幅15mm、厚さ2mmの短冊状)を準備し、プレート51の幅方向の一方の端部52に、長辺の方向が互いに平行となるように試験片21を貼付した。貼付は、プレート51及び試験片21の幅方向の断面を見たときに、試験片21がコの字状に上記一方の端部52を囲むように、かつ、試験片21におけるプレート51の各主面53A,53Bと接合している部分の幅Wが、試験片21の長さLの方向にわたって一定となるように実施した(図3参照)。試験片21がその幅方向にわたって浮きや皺なくプレート51に貼付されている場合、上記幅Wは、プレート51の双方の主面53A,53Bにおいて各々4mmとなる。また、貼付は、プレート51の一方の主面53Aに対して幅4mmで試験片を貼付した後、上記コの字状に囲むように試験片21を幅方向に折り返すことで実施した。貼付した試験片を確認したときに、皺、及びコの字の折り返し部分におけるプレートからの浮きの双方が見られなかった場合をA、皺が見られたが浮きは見られなかった場合をB、浮きが見られたが皺は見られなかった場合をCとした。
【0072】
[基材の作製]
(製造例1)
PTFE粉末(三井・デュポンフロロケミカル製、テフロン(登録商標)PTFEモールディングパウダー7A-J)を円筒状の金型に導入し、温度23℃、圧力60MPa、及び圧力印加時間1時間の条件で予備成形した。次に、予備成形品を金型から取り出し、375℃で3時間焼成して、高さ100mm及び外径50mmの円柱状であるPTFEブロックを得た。次に、得られたPTFEブロックを切削旋盤により切削して、厚さ38μmのPTFE切削シートを形成した。次に、PTFE切削シートに対して、粘着剤層との接合性を向上させるためのナトリウム処理を施し、処理後のシートを基材Aとした。ナトリウム処理は、処理液(テクノス製、フロロボンダーE)にシートを浸漬させることで実施した。
【0073】
(製造例2)
PTFE粒子の分散液(PTFE粒子の濃度40質量%、PTFE粒子の平均粒径0.2μm、PTFE100質量部に対してノニオン性界面活性剤を6質量部含有)に、フッ素系界面活性剤(DIC製、メガファックF-142D)をPTFE100質量部に対して1質量部加えた。次に、フッ素系界面活性剤を加えた上記PTFE分散液の塗布膜(厚さ20μm)を、帯状のポリイミド基板(厚さ125μm)の表面に形成した。塗布膜は、ポリイミド基板をPTFE分散液に浸漬した後、引き上げることで形成した。次に、基板及び塗布膜の全体を加熱して、PTFEのキャストシートを形成した。加熱は、第1の加熱(100℃、1分)と、その後の第2の加熱(390℃、1分)との2段階とした。第1の加熱によって、塗布膜に含まれる分散媒の除去が、第2の加熱によって、塗布膜に含まれるPTFE粒子の結着に基づくキャストシートの形成が進行した。上記浸漬及びその後の加熱を更に2回繰り返した後、形成されたキャストシート(厚さ25μm)をポリイミド基板から剥離した。次に、剥離したキャストシートをMD方向(長手方向)に圧延し、さらにTD方向(幅方向)に延伸した。MD方向の圧延は、ロール圧延により実施した。圧延の倍率(面積倍率)は2.0倍、温度(ロール温度)は170℃とした。TD方向の延伸は、テンター延伸機により実施した。延伸の倍率は2.0倍、温度(延伸雰囲気の温度)は300℃とした。このようにして、圧延及び延伸により形成された無数の細孔(平均孔径0.1μm)を有するPTFE微多孔シート(厚さ10μm)を形成し、これを基材Bとした。
【0074】
(製造例3)
PTFEファインパウダー(ダイキン工業製、F104)100重量部と、成型助剤としてn-ドデカン(ジャパンエナジー製)20重量部とを均一に混合した。得られた混合物をシリンダーにより圧縮した後にラム押出成形してシート状とした。次に、シート状の混合物を一対の金属ロールを通して厚さ0.12mmに圧延した後、150℃の加熱により成形助剤を乾燥除去してシート成型体とした。次に、シート成型体を長手方向(圧延方向)に延伸温度280℃、延伸倍率10倍で延伸してPTFE延伸多孔質シート(厚さ25μm、平均孔径1μm)を形成し、これを基材Cとした。
【0075】
(製造例4)
切削厚みを100μmに変更した以外は、製造例1と同様にして、ナトリウム処理されたPTFE切削シートである基材Dを得た。
【0076】
[粘着剤組成物の作製]
(製造例5)
アクリル酸2-エチルヘキシル(2-EHA)100重量部と、アクリル酸(AA)5重量部との混合液に、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部、及び重合溶媒としてトルエン100重量部を加えた。次に、N2置換を2時間行った後、60℃で6時間、重合を進行させて、アクリル共重合体を得た。次に、得られたアクリル共重合体100重量部に対してイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン製、コロネート-L)を1重量部加えた後、トルエンで希釈して、固形分濃度40重量%の溶液である、透明な粘着剤組成物Aを得た。
【0077】
(製造例6)
イソシアネート系架橋剤と共に、酸化チタン粒子を固形分濃度で75重量%含む白色顔料(レジノカラー工業製、OT-906)を加えた以外は、製造例5と同様にして、白色の粘着剤組成物Bを得た。白色顔料は、形成した粘着剤層における含有率が0.9重量%となるように加えた。
【0078】
(製造例7~13)
白色顔料を、上記含有率が3重量%、3.6重量%、6重量%、15重量%、30重量%、60重量%又は90重量%となるように加えた以外は、製造例6と同様にして、白色の粘着剤組成物C~Iを得た。
【0079】
[粘着シートの作製]
(サンプル1)
製造例6で作製した粘着剤組成物Bを基材Aの一方の主面に塗布し、温度100℃で3分間加熱して、片面粘着テープである粘着テープを得た。粘着剤組成物の塗布にはロールコーターを使用し、塗布厚みは、加熱後の粘着剤層の厚さが15μmとなるように調整した。
【0080】
(サンプル2~13)
基材及び粘着剤組成物を以下の表1に示すように変更した以外は、サンプル1と同様にして、片面粘着テープである粘着テープを得た。
【0081】
作製した各粘着テープの構成及び評価結果を、以下の表1及び表2にそれぞれ示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
サンプル13からの光の反射は不十分であった。
【0085】
追従性試験の結果に劣るサンプル12について、以下のように、平面への貼付性を評価した。
【0086】
サンプル12について、追従性試験2と同様にして、幅10mm及び長さ200mmの試験片21を得た。次に、ステンレス製のプレート(長さ200mm、幅15mm、厚さ2mmの短冊状)を準備し、平面であるその一方の主面に、長辺の方向が互いに平行となるように試験片21を貼付した。貼付は、試験片21の長さ方向の一方の端部をプレートに接触させ、そのまま試験片21の表面に垂直に軽く手で力を加えた後、当該端部から試験片21の長さ方向に他方の端部に向けて力を加えたまま手を滑らせて実施した。結果、貼付した試験片21には、皺は見られなかった。サンプル12について、平面への貼付は問題なく実施できるにもかかわらず、光学装置への使用を想定した追従性試験1,2の結果に劣ることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の粘着テープは、LCD、EL表示装置等の光学装置に用いる他、種々の用途に使用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 粘着テープ
2 基材
3 粘着剤層
4 剥離ライナー
11 露出面
図1
図2
図3